プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年10月5日(月)
荒れる株価揺れる景気 新『三本の矢』狙う的

ゲスト

片山さつき
自民党広報本部副本部長 参議院議員
本田悦朗
内閣官房参与 明治学院大学客員教授
水野和夫
日本大学国際関係学部教授
熊野英生
第一生命経済研究所首席エコノミスト

TPP大筋合意へ 成長戦略の柱となるか
反町キャスター
「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉は、この番組でもいよいよ大詰めと、ここ2年か3年ずっとやってきているような気もするんですけれども、本当に最後の閣僚会合とみられるものが現在進行中です。本日中にも大筋合意に至ると見られているんですけれども、本田さん、国民生活はTPPによって楽になるのですか?」
本田氏
「一般論として言えば、物価が下がりますので、モノの値段が下がりますので、それはプラスの面が多いと思います。ただ、マクロ的にどれだけプラスになるかというのはなかなか計算が難しいわけで、学者によっていろんな意見があるんですけれども、現在、TPPがない状態での均衡点からTPPをつくった時には、どれぐらいマクロ経済にプラスがあるかということについては、現在の均衡点から次の均衡点に移るということが、TPPの直接的な影響ですけれど、そのTPPによっていろんな構造改革が起こってくるということが継続的に起これば、経済全体に対するプラス効果はより大きくなるだろうと思います」
反町キャスター
「可能性を孕んでいると。こういうことですか?」
本田氏
「可能性を孕んでいると」
秋元キャスター
「片山さん、TPPの影響をどう見ていますか?」
片山議員
「基本的には現在行われている試算は一応プラスです。大きなプラスではないのですが。自動車産業に関しては、ほぼ日本の自動車業界から見て満足のいく部品の輸出方向になりそうですから、そちらの方はいいですし、特にアジア諸国で政府系の企業が事実上、独占、寡占になっているところにも入れるような可能性も出てきていますから。日本としてはインフラ輸出も含めてとれる分野はあります。ただ、それ以上に、政治的な問題として畜産を中心とした農業に対する十分な対策をやらなくてはいけないと。これは当然現在このタイミングでまとまったとすれば、1月の冒頭に出すであろう補正予算にキチッとした皆さんに安心していただけるような補正予算を、打撃を受ける農林水産業中心ですが、分野について出すということになると思います」
秋元キャスター
「水野さんは、このTPPの影響をどのように見ていますか?」
水野教授
「私はほとんどプラスの影響というのは期待できないと思いますし、それから、そもそもTPPはいったい日本にとってメリットがあるのかどうかと考えると、私は、9.11とか、それから、北アフリカの天然ガス工場がテロリストに襲われたとか、そういう時代に現在入ってきていると思うんですね。地球上、1つにしようという経済的な動きが、私は失敗したと思っています。それは経済を1つにするというのは、世界の警察官は、治安と秩序をちゃんと維持してくれる、強力な人がいたわけですけれど、2013年にオバマ大統領が世界の警察官をやらないと言いましたので、そうすると、世界を1つにするというのは、私は事実上、終っていると思います」
反町キャスター
「現在の話を前提にすると、TPPという政策を現在日本が取り組むこと自体、たぶんピントがずれているのではないかという指摘のような気もするんですけれど、いかがでしょうか?」
本田氏
「現在中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に加入するかどうか、ヨーロッパの国、それから、他のアジアの国で加入した国があるんです。日本とアメリカは加盟していません。どういう哲学、基本原則で経済を運営していくのかというシンボリックな意味で、我々は自由貿易を重視していくんだということをこれで明確に示したわけです。ですから、そういうシンボリックな意味。それと日本とアメリカ、それから、環太平洋の自由主義、民主主義を大事にしていく国のグループの中で、結束を高めるんだという安全保障を確認するんだというシンボリックな意味が大きいと私は思います」
反町キャスター
「水野さん、この2点。AIIBに対するシンボリックな意味もある、安全保障上の意味もあるのではないかと。たぶんに、何か政治的なメッセージ性が強いという話かと思うのですが、いかがですか?」
水野教授
「私はその通りだと思います。あまり経済的なメリットはなくて、本田先生がおっしゃったように、AIIBも、それも私の理解では陸のユーラシア大陸同盟です。ドイツとフランスと中国、イギリスも、私は海の国をやめて、ユーラシア大陸同盟に入ってきていると思います。日本とアメリカの今回のTPPというのは海の同盟で行きましょうという選択をとったと思います。近代というのは海の時代だと思いますから。海の時代というのは、コントロールが効かなくなってきて、BRICSを中心とした陸の国がG20 をつくって、現在ユーラシア大陸に、いわゆる、ハートランドと言われているところに、どんどん投資が集まってきてという。ですから、本当に、成長戦略をしたいのであれば、私はユーラシアの中央部、ハートランドと言われる、そこにどう食い込んでいくかというのを考えないといけないですけど、環太平洋というのはその周辺をちょっとずつかすっているぐらいですから、そういう意味では、経済的でなく、安全保障で割り切るのであったら、そうかなと」
反町キャスター
「熊野さんはいかがですか。TPPについては、どんなスタンス、評価をされているのですか?」
熊野氏
「TPPはどんどん推進すべきだと思うんですけれども、安全保障論と絡めて言うと、TPPはTPP単独で議論をしてもあまり意味がないと。日本が環太平洋でそういう貿易圏をつくるとおそらく次はヨーロッパと日本のEPA(経済連携協定)が出てきて、もしかすると、韓国と中国のEPAが出てくると。日本とおそらく中国がEPAを結んだ時が1番効果があるんです。日本に来て爆買いをしている中国人、これは関税がかかっているから、中国国内では安く買えないので日本に来た時に買うと。だから、中国と日本がEPAをどういう形になるかわからない。でも、先の先ぐらいに結んだ時には、日本の輸出産業は中国に大量に家電製品を輸出し、日本に来なくても、いろいろな温水便座とか、いろんなものが売れると。そこがおそらく安全保障の意味でも、中国にとって日本経済なしには豊かさを感じられなくなるし、日本も中国が経済のパートナーとしてより存在が大きくなって、戦争などを起こすデメリットが極めて大きくなると。そこまで発展的になると、おそらく世界中の貿易がリンクをして世界的な安全保障にも貢献をすると。そこまで視野に入れると、経済と政治がつながってきて非常に発展的でいいのではないかと思います」

“新三本の矢”検証 その狙いは
秋元キャスター
「安倍総理は先月24日、アベノミクスが第2ステージに入ったとして、新たな三本の矢を打ち出しました。『一億総活躍社会』を目指すとしまして第一の矢、名目GDP600兆円を目指すと。第二の矢、希望出生率1.8の実現。第三の矢、介護離職ゼロを目指すということですけれども、これら新三本の矢ということですが、個別具体的な内容を聞く前に、本田さん、総理がこの三本の矢で目指すものというのは何でしょう?」
本田氏
「実は先週、総理に随行いたしましてニューヨーク、その後、ジャマイカだったんですけれども、ニューヨークに行ってきまして、総理と別プログラムで、ニューヨークの国際投資家と意見交換をしてきました。いろんな誤解がありまして、この新しい三本の矢と、従来の元祖アベノミクスの三本の矢の関係はどうなのかと。たとえば、新しい三本の矢には、デフレ脱却という言葉が入っていないです。投資家によってはもうデフレ脱却は諦めたのかという人もいましたし、あるいは矢が6本もあるのかと。6本もあれば、どの矢を重点的に放っていいのかわからないという人もいらっしゃいました。それで、確かにこの矢という言葉を使うとやや混乱をする可能性があるんですけれども、従来、伝統的なというか、元祖アベノミクスは基本的には成長戦略ですね。15年、20年、日本を苦しめたデフレを脱却すると。それが大前提ですけれども、それと同時に成長戦略。これは法律、制度を変えるとか、規制緩和、それから、労働力を強化する。女性の活躍する場を広げると。そういう構造改革。それに3つの矢が成長戦略です。私が総理に申し上げていたのは、この中には所得再分配の政策が欠けていますということを申し上げていました。つまり、従来の1、2、3の矢でもってパイを大きくする。でも、大きくしたパイをより果実が行き渡っていない方にもきちんと行き渡るような政策を打つ必要があるということで、それが従来のアベノミクスに欠けていますという話を私はしていました。今回の第一の矢、第二の矢、第三の矢の、第一の矢というのは、従来の伝統的なアベノミクスを凝縮して、第一、第二、第三。つまり、成長を目的として今回の新しい第一の矢が、実はこれは矢ではなく、目的と言った方が、つまり、的といった方がわかりやすいと思うんです。名目GDP600兆円というのは的です。希望出生率1.8。これもいわば的です。介護離職ゼロもこれも的です。第一矢というのは、元祖アベノミクスの1、2、3によって実現するものを凝縮したものが、新第一の矢、あるいは第一の的です。これまで欠けていた所得再分配。その得られた果実、成長の果実をどういうふうにして所得の低い人に分配をするかという話が第二の矢、第三の矢によって実現されていると」
反町キャスター
「ここの部分というのは、ニューヨークにおける投資家との話なんかにおいてきちんと理解を得られたのですか?」
本田氏
「得られたと思います。広い意味での所得再分配政策。社会政策で言われている分野にもちろん、入っていますけれども、純然たる経済政策だけではないですけれども、広い意味の所得再分配政策の、最も重要な分野として出生率、人口です。人口問題。それから、介護の問題、これを取り上げたという説明は十分投資家に理解をされたと思います。それでアベノミクスの本来の出発点でありましたデフレ脱却を諦めたのかという疑問に対してはそんなことはまったくありませんということで、確かに、足元の現在の消費者物価指数、生鮮食料品を除く、はマイナス0.1ですけれど、これはアベノミクスによって、アベノミクスはいろいろな効果があります。たとえば、予想インフレ率を上げることもできることによって、実質金利を下げると。マイナスにする。あるいは企業のバランスシートを改善する。あるいは資産効果。つまり、株、あるいは為替市場を変えることによって所得、資産を膨らます効果がある。必然消費を喚起すると、いろいろな効果が出てきています。それによって実際エネルギー価格以外の価格は順調に上がっています。ただ、エネルギー、それから、原材料、天然資源、その価格は下がっていますので、そのプラス効果、アベノミクスによって押し上げる効果とエネルギー価格で押し下げる効果が非常に拮抗しあって、その結果、マイナス0.1になっているわけでありますけれども、たとえば、エネルギー価格を除く、生鮮食料品とエネルギー価格を除く数字、これを見ると、何とプラス1.1上昇しています。従って、いずれこのエネルギー価格、未来永劫下がり続けるわけではないわけで、エネルギー価格が下がりますと時間差を追ってエネルギー関連の品目のCPI(消費者物価指数)を押し下げる効果もありますので、それが剥げ落ちれば、必ずや全体としては、CPIが上がっていきます。ですから、私は決して悲観的ではありません。ただ、タイミングは、2%近くにたどり着くタイミングが後ずれするというのは間違いないことでありますので、たぶん現在、日本銀行の公式の見解は2016年度の前半で2%近くに達するであろうというのが、日本銀行の将来見通しですけれど、たぶん後ずれすると思います。ただ、日本経済の実態経済、実態面から見て決してマイナスの効果にはならない。マイナスにはならないと思います」

“名目GDP600兆円”は可能か
秋元キャスター
「具体的に聞いていきたいと思うのですが、第一の矢、あらためまして第一の的ということですけれど、名目GDP600兆円を目指すという、この600兆円という数字、これは達成可能な数字なのでしょうか?」
本田氏
「達成可能だと思います。ただ、これは目標でありまして、重要なことはここには重要な発想転換があるということです。これまで我々が目標としていたのは、たとえば、日本銀行では2%のインフレ率を目標にしています。つまり、成長率、あるいは率でもって、成長率を決めていたわけです。たとえば、その実質成長率2%。名目成長率3%以上という目標の決め方をしていたんですけれども、今度は水準で決めたんです。名目GDP600兆円という水準を2020年に達成をしましょうと。これは非常に発想の転換です」
反町キャスター
「でも、そのための前提としてよくある(実質)2、(名目)3というのは、それがずっと実質2の、名目3というのを維持していっても600兆円に届かないというのが現在の試算です。結局、同じことであって、難しさは変わっていないのではないですか?かえってより難しさが増したのではないですか?」
本田氏
「簡単だと思いません。簡単だとは思いませんが、目標として掲げるということに意味があるんです。ですから、たとえば、成長率でやりますと、たとえば、名目成長率が1回落ちましたと。落ちても、また翌年、同じ本来の目標成長率に戻れば、それで目的が達成したということになるのですが、この水準を目標にしますと、ある年、たとえば、2017年、消費税増税によって名目成長率ががたんと落ちました。そうすると、その翌年、それをカバーするためにもっと目標以上のもっと高い成長率を実現しないと600兆円に達しないです」
反町キャスター
「かえって難しい、ハードルを高めに設定をしたことにはなりませんか?」
本田氏
「高いです。高いですがそれを目標にするというところに意味があると。つまり、この水準を目標にするということは日本銀行と政府が協力をしあいながら、連携をしあいながら、日本の経済を大きくしていきましょうと。いわゆる、名目GDP、水準目標というのが学会でも唱えられている有力な説です」
反町キャスター
「達成できなかった時の責任論というのはどこかにあるのですか?」
本田氏
「達成目標ですから、いろんな経済のことが起こりますから、それを、たとえば、その外的要因で、中国経済が混乱するといった要因、ユーロ経済、あるいはアメリカ経済、いろんな要因がありますので達成するかどうかはわかりませんが、ただ、この水準を目指して最善の努力を続けるというところに意味があると思います」
片山議員
「内閣府の中長期試算というのをベースに、経済運営、財政運営をしているんですけれども、これでいきますと594兆円、2020年度になる予測で動かしているわけです。それは確かに予定ですけれども、ある程度、企業業績の予測を経営者が発表するという話とは違って、国家運営は意思あるところに道があるのでなければ、成長戦略として意味がないと。我々は成長する経済のための政策を総動員するということをやってきたわけですから、それこそ第3の革命の、次の4番目はICT(情報通信技術)の対応であるのかとか、あるいはTPPもその1つですし、国土強靭化もその1つですし、新産業もその1つですし、地方創生も大きな…。そういうものを全部動員して、そこへ持っていくのだという国家の強い意志にそれは表われているということではないですか」
秋元キャスター
「名目GDP600兆円を目指すということについてはいかがですか?」
熊野氏
「はっきり言って現実離れしていると思うんですね。どうやって実現するのかという、そこのロジックというか、的よりも矢が大切ですね。そこをあの手この手で示していただくと、金融市場も、ああそうか、わかったと、これは、株は買いだというふうな話になるのですが、現在のところマーケットではあまりこの600兆円に反応していないです。これはリアリティを感じない。600兆円というのは現在500兆円を1.2倍にするということです。名目GDPは企業収益と賃金、あるいは人件費です。我々の賃金があと5年くらいで2割増えるかと。2年連続で賃上げは行われたんですけれども、わずか1%前後なんですね。企業収益も1.2倍になると、流れとしては企業収益がすごく伸びて、その中から賃金へ分配されるという話ですが、そういう道筋をもうちょっと具体的に示していただくと、これはこれからの課題ということになると思うんですけれども、現在、現実離れした数字ですが、徐々にそれが浸透していくのではないかと。そこは課題だと思いますね」

経済成長のあるべき姿とは
反町キャスター
「最初の三本の矢の時は株価が跳ねました。新・三本の矢をマーケットはどう見ているのですか?」
熊野氏
「最初の矢は金融緩和だったんです。それは日銀総裁が替わったこともありますし、超円高だった。マーケットにうまく働きかけることができたので、それが劇的な円安を生み、株高になった。今回はそういう具体的なルートがちょっと見当たらないですね」
本田氏
「それは着実に実質GDP2%を実現し、名目GDP成長率は平均3%では足りないです。だいたい3.4%くらい伸びていかないと600兆円には達成しない。確かに決して楽ではありませんけれども、現在世の中が劇的に変わりつつあるんですね。このデフレの15年間は名目成長率の平均はマイナスだったんです、平均すると。現在それが明らかにプラスになってきた。これから通常の経済、つまり、緩やかなインフレ経済になっていきますと、だいたいCPI、消費者物価指数とGDPデフレーターが近づいてきます。そうしますとGDPデフレーターが2%に近づいてくるということになると名目GDPの成長率が3%を超えてくるという、そういう巡航速度を目指しているわけですね。その目指した結果、600兆円が実現するという。これは我々の目標でありまして、それを実現するために全力を尽くす。それは地道に金融政策、財政政策、いろんな構造政策、労働力の強化を1つ1つきちんとやっていくしかないんですね。それにあたって気にかかっているのは2017年の消費税増税によって、昨年の消費税増税によって四半期連続マイナスになって現在でもなかなか回復してないですね。ですから、私はカンフル剤的ではありますけれども、低所得者に対して手厚い所得補填をすべきであると。そのための補正予算が必要だと申し上げているんですけれども、次回の…」
反町キャスター
「2017年の消費税の2ポイント引き上げはGDP600兆円にとってはマイナスに働くと。見送るべきというお立場ですか?」
本田氏
「まだそういうことを申し上げるのは時期尚早だと思いますが、まだ時間があるので、できる限りのことをやって、それから、日本経済にとって1番いいベストの選択をするということで、まだ時間は残されている。そのためには現在直ちにできるだけはやく補正予算をうつ。低所得者の消費がすごく落ちています。年金生活者の消費も落ちている。消費が1番落ちているところに手厚く手当をすることがまずやるべきことで、それで巡航速度に一刻もはやく戻すと。それでもって、2017年にどうなっているかということを判断すべきだと思います。もちろん、判断するのは2017年前に判断しないといけないわけで、まだ現在の段階で2017年の増税をどうすべきかというのは時期尚早だと思います」
水野教授
「そもそも600兆円と数字をあげること自体、できないことを掲げていったいどうするんだろうと。できるかもしれませんけれど、600兆円を掲げるよりも、所得再分配をしないと、そちらを的にしないといけない」
反町キャスター
「経済同友会の小林さんも『600兆という数字はとんでもない、はっきり言ってあり得ない数値だと思う』と言っている。どうですか?安倍内閣の政治力を弱める危惧はないですか?」
片山議員
「もともとずっと出している、試算の延長線上の数字を上まわって言っているわけではないのと、現在またデフレギャップが生じているわけですよね。そこがポイントで、1回アベノミクスでほぼデフレギャップはゼロに近くなったんです。だけれども、消費税(増税)後に消費が弱く、特に再分配が必要な層も多いと。これはまったくその通りで、そこである程度の経済対策が必要な状況に現在なっていて、潜在成長率があまり上がっていないということを、水野さんもそうおっしゃりたいのだと思うが、それはその通りで、これはイノベーションだけではなくて、仕事のやり方、ICT革命みたいなのも必要ですよ。ですから、初めて今回の骨太の方針で、雇用者は現在7割以上がサービス産業ですから、サービス産業の生産性を本気であげよう。そこで所得を上げることでとりにいかない限り、製造業だけに全部おぶさっても無理な部分がある。ここに目をつけたということは、それはワーキングモードから変えていくことになるんですね。そこにチャレンジして成功したことはこれまでにないので、それはわかります。過去のトレンドから伸ばしていくことができない。だから、革命的な岩盤ですけれど、ICT活用をやりながらそこを上げるとともに、社会資本ストック形成もワイズスペンディングをやっていかないと600兆円できないですね」

第二の矢“希望出生率1・8”
秋元キャスター
「第二の矢は、希望出生率1.8の実現ということですが、これはどういうことでしょう?」
片山議員
「今年初めぐらいから、子供さんの多い、多子世帯、あるいは非常に所得の少ない世帯に対して補わなくてはいけないという、これは再分配策でありますよね。子供を持っても女性が働きやすい社会、これアベノミクスの一丁目一番地ですから、もっと具体的な数字の形でやっていこうということをパンと打ち出したのですが、難しいのは難しいです。ただ目標はつけなくちゃいけないということで、この1.8に向けて、待機児童というのは景気が良くなるとニーズが出てきて逃げ水のように先に行っちゃうので、現在消費税から出てくる0.7兆円だけと言っていますが、いろいろなところからかき集めて、しっかりうっていく。それから、教育支出が不安だからお子さんを持つのを、たとえば、1人でとか、あるいは2人目はという方が多いので、我が党が昔から言っている幼児教育の無償化に少しでも近づけていくと。それから、子育てステーションはそもそも不安感を減らすというのと、これは地方創生ですが、コマツの坂根会長がおっしゃっている同じコマツの中で同じ学歴で採用して、東京では子供が0.9人、小松では2人ということですから、地方分散。これも本気でやることで何とかここに持っていくこと自体が景気の底上げにもなるし、幸せな日本、希望の持てる像にもなるのでいい目標ですが、実はこの3つの中で1番難しいかもしれません」
水野教授
「これも私は結果としてこうなればいいのですが、何もここに目標を掲げるということはまったく必要はなくて、そもそも希望出生率のアンケート調査で、ずっと以前から1.8で実際は1.4人とか、1.3人ですね。急にここにきて1.8になっていたのだったら急に的を出せばいいんです。だけど、これはずっと1970年代半ばに2を割れて、遂に1.4までくる。30年ぐらい経っているわけですね。30年間、ずっと何もやらないで、ちょっとやっていたとは思いますけれども。有効な対策をとらない。人口を増やそうというのは、フランスは100年かかっていると。普仏戦争に負けてから。フランスが普仏戦争に負けた原因は軍隊の高齢化だと言うところから発して100年計画で。これを2020年ですね。あと5年ですか。そもそも無理なことを掲げて、そのあとに結局できないということになれば、これは政府に対する信頼をますます下げていって次の政権がまた何か仮に素晴らしいことを打ち出したとしても、また、政府は前と一緒だろうと、そういうマイナスの効果を私は生み出すだけだと思います」

水野和夫 日本大学国際関係学部教授の提言:『よりゆっくり より近くに より寛容に』
水野教授
「日本は、明治維新以来、人よりも速く、人よりも遠くへ、より合理的、より科学的にということだった。この3原則を実行すると企業も利益が増えましたし、会社でも仕事ができる人だということになって出世していくという。そういうことが保障されていたと思います。でも、現在はより速く、コンコルドでより速く行ったら、空中分解するということがありました。より遠くへ行くというのはジャンボジェット機で太平洋が1番遠い海ですから。これはノンストップで、500人乗りでやっていたら日本の航空会社が事実上倒産するということになりました。それから、より化学的に、これは経済合理性を追求するという、経済では。より合理的に経済合理性を追求したら想定外の高い津波が来て、電源喪失してしまうということが起きました。現在はこれまでのやり方を、さらに先鋭化していく。もっと速く走れと、もっと成長しろというのは、この原則にまったく反する、これまでの原則だと思うんですけれども、それをやっているから、私は多くの人が皆疲弊して、とても1.8人を本当はほしいんだけれども、だけど、現実は1.4人ですよということになって、これまでの原理原則は、私はまったく180度変える。たとえば、より近くにというのは地方分権。よりゆっくりにというのは、私のイメージでは、まず社会に出る年齢をゆっくり。22歳で社会に出るのではなくて、もっと大学あるいは高校でもっと一生懸命勉強する。その間に学生結婚を奨励するような。同時に、ゆっくりすれば引退もゆっくりですから、健康年齢は2割欠ければいいそうですから、75歳に2割欠ければ60歳ですので、全体に後ろにずらすというのはよりゆっくりで。より寛容にというのは、所得再配分で、金融資産も1700兆円にいっぱい増えました。でも、真ん中の人が持っている中央値と言われる金融資産は減り続けている。より少数の人に財産が集中していますのでより財産が集中している人はより寛容になってくださいということで、具体的にはたくさん税金を払ってくださいということです」

熊野英生 第一生命経済研究所首席エコノミストの提言:『社会保障と雇用の一体改革』
熊野氏
「財政再建を忘れてはいけない。戦後最大の豊かさを果たすためには自分の背中に巨大な借金を背負っていては、豊かさは感じられない。経済成長と財政再建を両立させるためには社会保障が重要であり、社会保障も減らすだけではなく、雇用との関連でバランスをとっていかなければいけない。どういうことかと言うと、財政赤字の大きな部分は社会保障要因で、社会保障の年金でも医療でも収入が増えないまま支出だけが高齢社会で増えていく。そこで名目GDPというか、雇用者所得をどんどん増やさなければいけないが、現在の我が国には頭数は増えるが、平均賃金がなかなか増えない。つまり、どういうことかというと、女性や高齢者が新しい労働力に入ってくるんですけれど、彼らの所得自体は増えないです。それを増やすにはどうしたらいいか。一例としては、高齢者は年金収入と勤労収入あわせて28万円を超えると年金がカットされるので、すごく生産性が高い人でも非正規で働くというか、賃金を実質的に下げてやっているんですね。こんな機能不全はあり得ないと思うのですが、実はこれは2011年に1回議論になったのですが、店晒しになっている。だから、一体改革が重要だと思いますね」