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2015年10月2日(金)
『下流老人』その実態 老後崩壊打開の道

ゲスト

鴨下一郎
元環境大臣 自由民主党衆議院議員
長妻昭
民主党代表代行 元厚生労働大臣 衆議院議員
藤田孝典
NPO法人ほっとプラス代表理事
西沢和彦
日本総研調査部上席主任研究員

『下流老人』の現実と運命 『老後崩壊』の窮状
松村キャスター
「番組冒頭でも触れましたが、今日のゲスト藤田さんが『下流老人』と定義しています生活保護基準相当で暮らす高齢者、またはその恐れのある高齢者というのは現在、どのぐらいいるのでしょうか?」
藤田氏
「私の調べだと、高齢者の方の人数が3000万人を超えていますので、3000万人のうちの相対的貧困率。貧困に苦しんでいるという人の割合も出しているのですが、だいたい20%を超えてきている状況もあって、そうすると600万人から700万人ぐらいいるのではないかという、推計でしかないですけれども、そのくらいの数の人が現在、苦しんでいるというんですね」
松村キャスター
「特に多い相談というのはあるのでしょうか?」
藤田氏
「特に年金が少ないという相談が多いです。国民年金だけで暮らしていて預貯金が底をついたと」
反町キャスター
「国民年金だと6万円ですか?」
藤田氏
「6万円を超える、6万4000円ぐらいですけれど、それぐらい貰っていて、それだけでは暮らせないので、それまでは貯金を使いながら、あとは息子さん、娘さんからの仕送りを受けながら、生活をしてきたというんですけれども、その貯金が底をついたら、あとは息子さん、娘さんからの仕送りがちょっと難しくなったという場合には、その年金水準だけでは暮らしていけない。特に都内、首都圏となりますので、貯金が底をついて、自分の生活をどうしようかと。それも70歳前半とか80歳前半とか、高齢期が長くなっていますので、85歳、90歳まで生きるというのが普通ですから、そうなると、どこかの場面で貯蓄が底をつくという、そんなような、その中で出てきていますね」
松村キャスター
「下流老人の人達の暮らしぶり、日常生活はどのようなものなのですか?」
藤田氏
「酷いケースだと、年金は2か月に1回支給されるんですけれども、年金の支給前になると、数日、1週間くらい前になると、河川敷に行き、野草を採って、それを食べているとか、あとは私達も都内のホームレスの支援団体の方と一緒に連携をして支援をしていますけれども、ホームレスの人を対象にした炊き出しですね。そこに低年金の高齢者が並んでいるという状況、あとはコンビニの廃棄弁当等を求めながら、そこで食いつないでいるというんですか。そういった実態が1件、2件ではなく、相談の中で頻繁に寄せられるんですね。食べることすら成り立たないというんですかね。贅沢をしているわけではなく、普通の生活をしたい。普通の暮らしで十分だと思っているのですが、その暮らしすらできないという具合ですね」
反町キャスター
「(プレハブの写真を提示して)これはどういう写真なのですか?」
藤田氏
「たとえば、いろんな方がいらっしゃいますけれども、特徴的に高齢期になって要介護状態になってしまうとか、あとは病院から出る先がないということになると、一般のアパートに移れないというケースがあって、下流老人の問題の1つは、住まいです。住まいのお金も払えないということになりますので、生活保護を申請したりだとか、様々なことで住宅を確保しなければならないですけれども、中にはこういう要介護状態でも劣悪な環境で生活をせざるを得ない。中には貧困ビジネスという施設に入らざるを得ないという高齢者も非常に多くて…」
反町キャスター
「これは、いわゆる生活保護を受けるような人達がここで、集団で生活をしているのですか?」
藤田氏
「そうですね。こういう施設が首都圏周辺には増えてきているという状況にあります。低年金とか、生活保護受給世帯が、特に高齢者が入る施設が首都圏に足りないので、低家賃の住宅が足りなくて、こんな施設に頼らざるを得ないということですね」
反町キャスター
「これはプレハブですよね?」
藤田氏
「そうです」
反町キャスター
「夏は暑く、冬は寒いやつですよね?」
藤田氏
「そうです」
反町キャスター
「70代、80代の、いわゆる低年金、または生活保護受給の皆さんがこういうところに住まう。集団で住まわれている?」
藤田氏
「そうです。集団で生活し、だから、生活保護費なり、年金が搾取されるというケースが多く、他に老人ホームがないからと言っていると、いくつかあるのですが、その老人ホームが、有料老人ホームが高額な入居費を求めますので、特養であっても10万円を超える負担がかかるし、有料老人ホームになってくるともっと…、20万円、30万円というところがありますので、一月あたりそれくらいかかりますから、とてもではないけれども、低所得で、住まいを出なければいけないという場合には、こういう劣悪な施設を頼らざるを得ない」
反町キャスター
「生活保護の受給資格のある人を集め、生活保護をこうすればもらえるんだよというところまで手引きをして、集めて、住まわせて、1人1人の生活保護の月々12、13万円のものをほとんど団体側がとって衣食住を提供する。これは悪いイメージで、僕らはこういう悪いビジネスがあるんだよという形で報道をせざるを得ない部分があるのですが、現在の話を聞いていると。もしかしたら、入っている人達は悪いことをされていると思っていない。ここは一応、これで手引きをしてもらって、教えてもらって、生活保護を申請してもらうことができて、衣食住が保証されている。安心している部分というのが、もしかしてあったりしますか?」
藤田氏
「そうですね。そういった声が非常に多く、実際に養護老人ホームとか、公的な、もっとしっかりとした施設が整っていればいいのですが、そういった状況がない。整っていないという現状があるので、だから、こういった施設が蔓延して、頼らざるを得ない。最低限暮らせるのであれば、それも仕方がないというような消極的な肯定なのではないかと思っていて、ここが決していいわけではなくて、もう少しいい環境があれば、そちらを望むけれども、現状としては、それはないという実態があるのかなと思います」
松村キャスター
「鴨下さん、こうした高齢者の実態についていかがでしょうか?」
鴨下議員
「現実にそういうような方が多くなってきているというのはよくわかります。それで現在の、ここに例示されている人達は、生活保護を受けつつ、生活をしているわけですけれども、先ほど、藤田さんがおっしゃったように、低年金で、非常に言ってみれば、キャッシュフローがない。こういうような人達は、いわば本当に苦しい生活をしているという事実はあると思います。ただ、私達政治家が下流老人という言葉を使うべきかどうかという意味では、非常に抵抗があります。ですから、敢えて私は使いませんけれど、そういうような生活実態のあるということは、我々も重く受け止めなければいけないと思うし、様々な解決策をいろいろ皆で考えないといけない。こういう現状になってきているということは事実だと思います」

『老後崩壊』へのシナリオ
松村キャスター
「さて、藤田さんは下流老人の特徴として著書の中で、3つの『ない』をあげています。それがこちらです。収入が著しく少ない。十分な貯蓄がない。頼れる人間がいないということなのですが、藤田さん、この3つのケースに当てはまると下流老人と呼ばれるということになるのでしょうか?」
藤田氏
「そうですね。私が一応、定義を決めていて、1つ目の収入が著しく少ないというのは、生活保護基準相当の収入、そのあたりで暮らさざるを得ないという高齢者ですから、首都圏だと生活扶助費と住宅扶助費をあわせると12、13万円前後なので、それに生活保護受給世帯は医療費とか、介護費とか、様々なものが減免されていくということになりますので、実際には16万円から20万円、生活するうえで必要だということが言われていますので、年収200万円前後で生活せざるを得ない老人が該当してくるのではないのかということを考えています」
松村キャスター
「収入についてなのですが、厚労省のまとめによりますと2014年の高齢者世帯の平均所得金額はおよそ300万円です。この高齢者世帯というのは、65歳以上の者のみで構成されている。またこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯のことを言います。現役世代を含めた、全世帯の平均所得が529万円ですので、ここには大きな差があるのがわかります。この300万円というのは、高額所得者も含まれた平均ですので、実際に分布としては100万円から200万円未満の世帯が26%と1番多くなっていることがわかりますよね。この人達が下流老人になる可能性があるということでしょうか?」
藤田氏
「そうですね。この方達が、要するに、年金だけでは暮らせないという水準です。だから、この年金だけでは暮らせない中で、他にどんな要素があれば生活できるかというと、家族と同居するとか、あるいは株の配当とか、あと持ち家で家賃がゼロであるとか、様々な要素がいくつかあって、この年金支給額で暮らせていけるということになるのですが、これから先おそらく家族も頼れないとか、あるいはちょっとした病気、介護で、この収入だけだと払いきれないという支障が、1つでも2つでも起こってきたら、この所得だけ、収入だけでは暮らせない人達が容易に出てくると。もう既に出てきているのですが、そういう状況にあるのだろうと思うんです」
反町キャスター
「ただ、高齢者というのは、この番組でよくやるのは、高齢者はすごく貯金を持っているとよく言うんですけれど、藤田さんが見ている下流老人の皆さんというのは、貯金がない人達だというところでよろしいのですか?」
藤田氏
「そうです。これが最も日本を象徴する出来事だと思っていて、二極化しているんです。単純に言えば。これは所得が上がっていて、資産を持っているという人達も一方でいて、そのあたりが2割ぐらいを占めるのですが、残りの8割はどうかというと、中間層がほとんどなくなっていて、貧困層、下流老人と言われるような、その予備軍からの層まで含めると、そちらの方が分厚い層を形成しているのではないかというところが、私は日々、実感しながら社会に問題提起をしている部分ですね」
反町キャスター
「麻生さんもよく言われるのですが、年寄りは貯金、お金を持っているんだ。それをいかに動かすかのために、相続の問題とか、遺産の話とか、そういうことで言って、とにかくお年寄りの持っているお金をいかに動かすかがアベノミクスの経済の元だという話、よくここでも聞いているし、皆さんからもお聞きします。ただ、現在の藤田さんの話を聞いていると、そうでもない部分もあると。分化しているんだと。二極化しているんだと。アベノミクスがターゲットにしているのは、金持ちのお年寄りももちろんいる一方で、いわゆる下流老人の人達もいる。ここの部分に対する政治の目配り、気配りというのはあまりアベノミクスから聞かないのですが、そこのところいかがですか?」
鴨下議員
「これを今度、安倍さんは次の3本の矢の中に、社会保障の充実というような話がありました。ですから、経済が豊かになってある程度、パイが大きくなった時には、今度はその再配分をどうするのかという話ですから。ただ、確かに高齢者の中には貯蓄も多いし、資産も持っているし、それなりに年金も多い人、特にこれから高齢者年金の満額給付を受ける人が、どんどん退職していきますから。ただ、そういう人達は心配ないです。ただ、そういう人達だけではなく、今度は国民年金の、しかも、満額給付を受けていないような方々もたくさん、これから出てくるわけですから、そこの、いわば格差をどう調整をしていくか、再配分をしていくか。そういうのをこれからやっていかなければならない、重要なことだと思います。安倍さんも微妙にそちらへ、今回、舵を切ったと思っていますが、よりそれを鮮明にしていくべきだと思うけれども、ただ、経済を牽引していく人達は、それなりに経済力があって購買力のある人達ですから、そういう人達をスポイルするわけにはいきませんね。だから、そこのところのバランスをとりながら、しかし、先ほどからお話のあるような、非常に低所得で、低年金で苦しんでいらっしゃる人達をどう、我々はしっかり手当てをしていくかという。こういうようなことに、いよいよ安倍さんも本気で立ち向かわないといけない時だと思います」

『老後崩壊』への処方箋
松村キャスター
「ここまでは、いわゆる下流老人の現状を聞いてきましたが、長妻さんは、生活に困窮する高齢者の増加の現状をどのように見ていますか?」
長妻議員
「老後破産という言葉もありますけれども、そういう高齢者の方々には貧困が直ちに命の危険に結びついてくるのではないかと。統計データはないですが、緩慢な自殺というか、死にたいと強く思う方がいらっしゃって、敢えて病院に行かずに病死になるという方が、おそらく調査をすると相当多いのではないかと。私が本当に申し上げたいのは、本当に大変な状態になった時には、生活保護を受けていただくと。そのために憲法に生活保護制度があるのですから、ちょっと誤解があるのは、私もいろいろなところで話すと、年金を受け取っていても生活保護を受けることができるんですよと言うと、どよめいて、驚く方が多いのですけれども、一定程度、年金が額に達していない場合はその差額を生活保護ということもできますので。現在、65歳以上で生活保護を受けている人の中で、年金をもらっている人は半分もいらっしゃるんです。それは金額が足らないから差額を(生活保護で)受けておられるので」
反町キャスター
「長妻さん、一応、用意したんですけれども、だいたい13万円ちょっとぐらいが生活保護の総支給額といった場合に、国民年金の6万4000円しかもらっていない人。ここの部分、差額7万円というものを諸条件、あとで聞きますけれども、諸条件を満たしている場合には差額の7万円は出る?」
長妻議員
「はい」
反町キャスター
「そういう意味で言っているんですよね?」
長妻議員
「はい。ですから、本当に大変な方にはちゃんと受けていただくということが重要だと思います」
西沢氏
「わが国はこれまで経済成長をしてきましたから職に就けたし、賃金も得られた、家族も得られた。ですから、それが老後の世代になってきたんですけれども。ただ、現在の雇用情勢などを見ると、それが確保されなくなってきたわけです。ですから、経済成長もしなければいけない。経済成長に代わる若い時から備えを持てるようなインセンティブづけ、サポートしないといけないわけです。たとえば、イギリスとかですと、税制で就労を促進するような税制をつくったり、あるいは就労したくてもできない人には職業訓練をしたり、職業訓練をしながら保証をしたり、というような備えをやっているわけであって、経済成長に変わる備えを若い時からしないといけないと思いました」

生活保護受給の実際
松村キャスター
「さて、下流老人の定義なのですが、生活保護レベルか、そうなる恐れのある高齢者のことで、生活保護を受ける人達、高齢者の数は年々増加しています。特に1990年代以降、ぐっと伸びているようにも見えますが、藤田さんはこの受給の申請にも立ち会われているということですが。このデータをどう見ますか?」
藤田氏
「低年金、無年金という方が非常に多いということで、長妻さんもおっしゃった通り、それを補足する形で、助ける形で生活保護制度を受給される方達が増えてきているのだろうと思います。あわせて、それを援助するような親族であるとか、あるいは高齢期でも働ける場所自体も少ないことから、もう高齢期は年金だけには頼れない。貯金が底をついたら生活保護という人達が非常に増えている状況は見てとれるかと思います。あとは、私達も生活保護の窓口に付き添っていきますけれども、福祉課の窓口で言われることは、親族を頼ってくださいと、息子さんどうしているのですかとか。親族を頼れという傾向が強いですね。私達もいろいろ話を聞いていて、親族は何をしていますかというと、自分の暮らしだけで精一杯だよというような、親の面倒まではみられないよという方達が多くて、なので、福祉課の窓口に付き添うということをやって、福祉課の方達に説明をしたりするのですが、これは高齢者の方だけが説明してもなかなか現状が伝わらない。福祉課の方には伝わらないという現状がありますよね」
反町キャスター
「それは本人の口から言いにくいものですよね?」
藤田氏
「そうですね。生活保護を受給する条件なので、出ていますけれども」
松村キャスター
「こちらに生活保護受給の条件がまとめてあります。まず預貯金・生活に利用しない土地や家屋は売却し生活費にあてる。可能な場合は働く。年金や手当てなどの給付をまず受ける。可能な場合は親族から援助を受ける。先ほど、話がありましたが、それでも収入が最低生活費に満たない場合、これは東京都の場合ですと、月額1人当たり13万円程度と言われていますが、そうすると、生活保護が受けられるということですね」
藤田氏
「なので、厳密に言うと、土地があっても、家があっても、それが、処分価値が著しく低いという場合には生活保護の申請が可能ですね。なので、本当に生活に困ったら、福祉課の窓口に気軽に相談に行ってほしいと思いますし、その際にも、自分が生活保護の水準なのかどうかというのは現在、インターネットでも計算ソフトが出ていますし、あとは専門家なり、NPOなり、最近だと弁護士さん、法律家等に聞いても生活の基準になっているかどうかということはわかりますから、本当に生活が苦しければ、生活保護の申請を気軽にしていただきたいと思います」
反町キャスター
「鴨下さん、年金の話はあとで聞きますけれども、現在、問題になっている生活保護受給の条件、この親族要件というのは重要なのですか?」
鴨下議員
「でも、全て国が生活を保障するという話は必ずしも適切だとは言えない部分があります。それはこの生活保護自体だって、納税者によって成り立っているわけですから、そういう意味で言うと、それなりの要件は課されるべきだと思うし、そういう中で、どうしてもお困りの方についは、生活保護は当たり前に受給するべきだとは思いますけれども、ただ、そうでない場合には、それなりの努力というものも必要だと思います。ですから、現在の受給要件については適切なところかなと思います。ただ、いろんな工夫はありますよ。たとえば、医療扶助だとか、何かについても、出口のところでもっとお医者さんへのかかり方というのも考えないといけないところもあるかもわからないし、家族の要件でも、性善説に立てば、家族が十分に付与しきれない場合もあるかもわかりませんけど、我々も、たとえば、私は元々は医者だったから、生活保護の保険証を持っている方が本当にこの人1人なのかなと。実はどなたかと、事実上の夫婦でいるのかなと。こういうような方もあるわけですから、だから、いろいろと裏から見る、表から見ることで、随分見方が変わってくると思いますけれども、先ほどお示しになった、その要件というのはいろいろと我々も悩みましたし、苦労もしました。その中でギリギリのところで納税者に対してもしっかりと説明できるというのが、現在の要件だと、こう思っています」
反町キャスター
「長妻さん、いかがですか?この要件について、どう感じますか?」
長妻議員
「まず生活保護は議論をごっちゃにしない方がいいのは不正受給ですね。現在も、鴨下先生がおっしゃったように、夫婦が偽装で離婚をしているとか、不正受給はダメですよ、犯罪ですから。これがクローズアップされ、全部けしからんみたいな論調になるのは、これは良くないので、もらわなければいけない方は国の主旨として、もらう資格のある方で、本当に本人も必要だとおっしゃる方にはきちんと手当てをするというのが必要で、これは社会保障と相対する関係にあると思うんですね。つまり、ヨーロッパ、他の国の生活保護を見るとほとんど若い人ですよ。お年寄りは、年金で生活が保証されている。だから、若い人達。他の国を見ると入りやすく、出やすい生活保護ですね。つまり、若い人がちょっと困った時に、職がない時に入って、生活保護に。職が見つかって出て行くと。ところが、日本の場合は、年金のちょっと補完機能みたいな形になって、たとえば、70歳の人が生活保護に入って、職を見つけてくださいと言ったとして、見つからないわけですよ、ずっと。そうすると、入りにくく出にくいということで、その前の、生活保護に陥る前の社会保障、特に年金が、最低保証がちょっと弱いので、一定程度お金をかけて整備をするのか、それがお金がかかるので、整備をしなければ、結局は生活保護ということで、丸抱えの税金ということですから、どちらが社会にとって、本人にとっていいのか。財政にとっていいかというと、生活保護に陥る前に、いろいろと社会保障制度を仕組んでいくということの方が重要」

生活保護受給者の心理
松村キャスター
「生活保護受給者としてはどのような心理なのですか?」
藤田氏
「多くの人達が、自分の年金だけでは生活が成り立たないということとか、これまでの計画が狂ってきてしまって生活保護を受けざるを得ないということですので。多くの人達が生活保護を想定していないですね。自分が生活保護を受けるだろうということは、多くの人達は思っていなくて、全ての人達が口を揃えて言うのは、想定外と言いますね。ですから、生活保護自体に恥ずかしいという認識があるとか、自分は受けたくないという気持ちがある。なので、積極的に受けたいから受けているかというと、それしか道がないから、受けざるを得ないという状況にあるのが多くのパターンだと思いますね」
西沢氏
「イギリスの社会保障に詳しい友人と話していて、イギリスは高齢者の所得補償、日本でいう生活保護なのですけれど、受けやすいようにペンションクレジットと名前を変えました。受け易いでしょうと。受ける時の恥ずかしさというものを、名前を変えることによって、軽減しようとしている、心理的な抵抗を。ですから、そこは日本とは違うなと思いました」
反町キャスター
「マイナンバーがあるではないですか。マイナンバーがキチッと機能し、所得、資産等を把握できるようになっていれば、福祉事務所の窓口における惨状に耐えるというのはなくなると思いますか?」
西沢氏
「期待できると思います。その人の就業履歴、家族の状況などがマイナンバーをもって証明できれば、根掘り葉掘りプライバシーを聞くような感じではなくて、もう少し自分の人生の履歴とか、所得とかを知らしめるようにできるのではないかと期待します」

『一億総活躍』の効用
松村キャスター
「安倍総理は9月24日、記者会見で『1億総活躍社会』を掲げました。アベノミクスの新3本の矢の、第3の矢として発表した社会保障の1つが『ずっと元気で生涯現役社会』、これは高齢者のどのような生活をイメージした社会なのでしょうか?」
鴨下議員
「働けるうちは一生懸命働くというようなことですけれども、現役世代は月曜日から金曜日まで働ける。たとえば、定年後は自分の時間にあわせて、3日とか、半日とか、こういうような働き方をする。元気だったら、75歳を過ぎても、ボランティア的に働いている方もいらっしゃって、我々としては、そういうふうにがんばって、たとえば、老人施設で、高齢者の方がボランティアで働いてくださって、そういう人達にポイントを付与して、そのポイントでいざ自分が介護(を受ける側)になった時にはある程度、そのポイントでサービスを買えると。こういうような仕組みをつくっていって、ずっと働き続けろということではなく、その時のライフスタイルにあわせて、自分の可能な限り社会とかかわっていくと。こういうようなことが、安倍さんがおっしゃった生涯現役と言うことなのだろうと思います」
反町キャスター
「下流老人の居所は見えますか?」
藤田氏
「見えにくいなと思いますし、生涯現役で働ける人達がたくさんいるのであれば、社会保障はなくていいのではと思うくらいで、これが社会保障として成り立つかというところから検証が必要かなと思っています。既に日本で高齢者の方達は大活躍されているので、65歳から75歳の大多数の人達は働いているんです。75歳以上の人達は働きにくくなるのですが、既に大活躍していて、それでもさらにがんばれというのはちょっと酷かなという状況で、全世帯の高齢者を見てもだいたい20%超えるくらいが働いているんですね。先進諸国で、フランスはだいたい2%しか働いていないのですが、高齢者が。働かなくてもいいよ、というような制度になっているんですよね。高齢者が働き過ぎているという状況にありますから、さらにそこで働き続けることにどういう意味があるのだろうか、若者の雇用を奪わないのかというところとか、全体の政策を見ながら検証が必要だと思いますね」
西沢氏
「今日、インセンティブが重要だと思いました。年金で言えば、在職老齢年金というのがありますね。働くと年金が減ってしまうんです。ですので、就労を阻害します。そういった制度上の障壁というのが残っていますし、取り除かなければいけないですし、所得と健康ですよね。健康については現在の医療制度は総じて言いますと、治療に重点を置いてきたかなと思いますけれども、より予防ですとか、公衆衛生の方にもっと重点を置いた医療・介護の提供体制を進めるということだと思いますね」

鴨下一郎 元環境大臣の提言:『住まい対策』
鴨下議員
「低年金で非常に苦しんでいらっしゃるお年寄りが多いという話ですが、最終的に住まいが確定していないというのが、負担が大きいと思いますので、たとえば、空き家とかがありますよね。ああいうのを国が借りて、公営住宅として使って、そういう人達に特に安く住んでもらうと。こういうことになると、衣食住の衣食だけになりますから、衣食だけだとそんなに負担感は大きくないので、基本的には住まいが非常に大変だということがありますので、それを公的にサポートしていく。これが重要だと思います」

長妻昭 民主党代表代行の提言:『情けは人のためならず』
長妻議員
「所得、資産とかに余裕のある方にもう少し負担をしていただくと。日本は、税の再分配機能というのが先進国の中でアメリカよりも弱くなっていますので、そういうところについて…。あるいは体力的に余力のあって、仕事を引退された方々が支える側にある程度まわっていていただく。厚生年金は一定程度年金が出るので、会社に勤めているのに厚生年金に入れてもらっていない方が、これは違法なのですが、数百万人いるということもあって、そういうところは、会社の方もルール違反ですから、きちんと厚生年金に入れると。そういうことで、社会全体を底上げすることが全体にとってもプラスに働くと。こういうような思いを持っていただくことが必要だと」

西沢和彦 日本総研調査部上席主任研究員の提言:『政策の監視』
西沢氏
「たとえば、介護離職を防ぐと言ってもタダではできないわけであって、いくらかかるのかという、国民の耳に痛いことも一緒に言ってくれないと、我々は判断しようがないので、我々自身が政策をウォッチしていくことが重要だと思います」

藤田孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事の提言:『脱商品化』
藤田氏
「これは下流老人になる手前の、現役世代の問題でもあるのですが、話を聞いていますと、家賃が高いとか、住まいに対する費用が高すぎるんですね。住宅ローンの費用も高い、現役世代だと子供を育てる教育費も高いというところで、そういったものが全て商品になって買わなければならないという状況になっていますので、この部分に公営住宅や社会住宅を広げていくこととか。家賃補助の制度を入れていくとか、教育費についても給付型の奨学金を入れていくとか、様々な形で、生活に必要な最低限のものを買わないといけないというような、そういったことをなるべくなくしていきたいと思っています」