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2015年9月29日(火)
日露首脳会談徹底検証 北方領土『安倍戦略』

ゲスト

鳩山邦夫
NPO法人『日本ロシア協会』会長 自由民主党衆議院議員
新藤義孝
日本の領土を守るために行動する議員連盟会長 自由民主党衆議院議員
畔蒜(あびる)泰助
東京財団研究員・政策プロデューサー

検証・日露首脳会談 成果と今後の課題
秋元キャスター
「国連総会出席のため、ニューヨークを訪れていた安倍総理とプーチン大統領ですけれど、日本時間の今朝、首脳会談を行いました。会談では平和条約締結交渉をはじめとする今後の日露関係について議論が行われたということですけれども、会談の中身について、主な要点ですけれども、まず1つ目が領土問題については双方に受け入れ可能な解決策を作成するため、交渉の前進をはかる。今後、G20やAPEC(アジア太平洋経済協力)の機会を活用して、首脳会談を開催し、首脳レベルでの対話を継続する。昨年11月の、APECの際の首脳間の合意に基づいて、プーチン大統領の訪日に向けて引き続きベストな時期を探っていくということで一致したということなのですが、1つ目の領土問題ということについて、双方に受け入れ可能な解決策というのは何かということなのですが、鳩山さん、これは何なのでしょうか?」
鳩山議員
「プーチンさんが森嘉朗先生に『引き分け』と言われました。私はその言葉と、双方受け入れ可能だということは、プーチンさんの頭の中では1つの問題ではないかなという気がするんです。それは少なくとも面積で2つに割る、島の数で2つに割るという話ではないだろうと思います。経済が結びついたことを考えてのことではないかと私は想像しているんです」
反町キャスター
「たとえば、言われたような島を2つとか、面積を半分とか、そういういわゆる数値的なことではなく、双方に受け入れ可能なというところがいかにもたくさん距離はあるぞという印象も受けるんですけれども、こういう表現で双方が歩み寄る必要があるのかどうか。そこからどうですか?」
鳩山議員
「あの表現は、あんな程度だなという感じですけれども。だけれど、私は10分間、2人だけで話をしたでしょう。そこは何かあるのではないかなという気はします。11回目でしょう、今度。安倍政権になってから。それで今度、G20、トルコ12回目。APEC、マニラ13回。年内に13回目の会談になる。その間にプーチンさんが、あと2か月の間に日本に来る可能性があるかということです」
新藤議員
「最近のロシアはこれまでの長年の日露の領土交渉を踏みにじる、でたらめな話をしているわけです。直近の外務大臣が出かけていった時の、相手のラブロフ大臣の、それから、向こうの外務省の人間ももう領土問題は解決済みであると。そもそもないのだと。それは70年前の戦争の結果であって、だから、私達は領土問題の話はしないと。この平和条約締結に向けての交渉は行うが、領土の問題はやらないということを、思いっきり、それは自分達がこれまで言ってきたことも切り変え、すり替えていく。建設的で、静かな雰囲気で進めようではないかと。これは最近、メドベージェフさんだとか、あちらの大臣達がずかずかと行っていると。まったく静かではないと。これは対話をしていく、しかし、言うべきことは言うよということを示しつつ、日露は現在おっしゃったように、かなり離れてしまったのではないかという心配をしています」

北方領土と平和条約締結交渉
反町キャスター
「双方受け入れ可能な解決策。ロシアから見た場合というのは、ずっとプーチン大統領が言って、直近、先ほど新藤さんがおっしゃいましたけれども、ロシアの外務省もそのフレーズをリフレインしている。何度も何度も使っている。前提として、要するに、何が言いたいのですか?譲歩しないという土俵をまず強くイメージつけたい?」
畔蒜氏
「先ほど、日ソ共同宣言が交渉の出発点だと申し上げましたが、もう1つ、東京宣言という、1993年の宣言をやった。それは4島の帰属について話し合ったあとに、その4つの島の帰属を確定した平和条約を締結するということ。2001年のイルクーツク声明という、あの時には、まさにこの日ソ共同宣言と東京宣言を並立する形で、要するに、これをもとにやっていきましょうというところなので、つまり、2島の、ただ、ポイントは日ソ共同宣言の文言の中で、2島は返還するとは書いていないです。2島を引き渡すという言い方をしている、平和条約締結後に。平和条約締結後に2島を引き渡すという文言になっているというところが、実はロシア側がある意味、当時から変わっていなくて、つまり、4島の、いわゆるロシアが占有していることに対する法的な根拠はあるんだと。ただし、当時の文言で、いわゆる日本の利益に鑑み2島は引き渡すという言い方で、そもそも日ソ共同宣言では…」
鳩山議員
「引き渡すというのは、あげるという意味ですから」
新藤議員
「私もいろいろな研究者の人達と意見交換をすると、厳密に言うと、ロシア側の反応というのは、日本人は日本側でうける報道しか見ていないわけですね。ですから、ロシア側でどんな報道をされているのかというのを、研究者は皆、チェックしているわけです。プーチン氏は1956年の日ソ共同宣言も引き渡すが、主権の存在がどうなるのかは、そこには約束していないとまで言っているわけです。と言うふうに、東京宣言を尊重するというのは2001年、2002年まで言っていたんです。でも、2005年から変わってしまって、それ以降の変更はないです。ですから、先ほど言った『引き分け』、今度は両国の外務省にそれぞれの首脳が柔道で言うところの『始め』の号令をかけようではないかと言っているけれども、実はロシア外務省に『始め』の号令がかかっていないのではないかと。だから、まったく貝のように閉じてしまっていると。それを、我々は抗議をしながら、有効な策をつくっていかなければいけないという厳しい局面にあると」
反町キャスター
「日露首脳会談の冒頭にやり取りがありましたが、一言ずつピックアップするとこんな発言が双方から出ています。プーチン大統領から『日露両国の関係の改善に向けて協力を強化しましょう』という話がありました。安倍総理から『平和条約交渉は、建設的で静かな雰囲気の中で進めていきたい』という発言がありましたが、それぞれの意味については、先ほども、皆さんからの話もあったんですけれど、この意味も含めて、ただ、全体を通しては、その発表された限りにおいては、ロシア側からは領土問題という言葉は出ていません。日本側、安倍総理も領土問題という言葉も使っていない。平和条約交渉という言葉を使ったという発表は出ているけれども、領土問題、北方領土という言葉を使ったのかどうか。そこの部分についても、北方領土という言葉が出ていたという発表文にはなっていません。そうすると、その双方が北方領土という言葉、領土問題という言葉、安倍総理から一言出ているという外務省の発表もありました。その部分は、双方すごくお互いに配慮をした。遠慮しつつあったやり取りだったように思えるのですが、ここの発表、ここの双方の北方領土問題、領土問題に対して直接、踏み込むことを避けての双方の意見交換。これはどういう意味があるのかというところを聞いていきたいのですが、畔蒜さん、どうですか?この何かもやもやした感じをどう見たらいいのですか?」
畔蒜氏
「その前のラブロフ外相と岸田外相とのやり取りも含めて、明らかにあそこでは、要するに、領土問題をやった、やらないという齟齬があったんですけれども、その起点が実はどこにあるのかというと、9月2日にモルグロフという外務次官が、要するに、領土問題は解決済みであると。なので、もう70年前に解決済みなので、これはやらないんだと、交渉しないというところにきている。ただし、彼がそのあとで付け加えているのは、平和条約交渉はやりますと。これは双方がお互いに、まさに広い分野で、しかも、未来志向で、協力関係を構築していく中で、双方に相互に受け入れ可能な案を、双方の努力で模索していく必要があるんだと。実はそういう発言をしているんです。日本側の報道だとほとんど、この前段だけが報じられているわけですけれど、後段のところが意味するところは、それは双方に受け入れが可能な案が双方の努力によってというところを読むと、それは日本側からしてみたら、どう考えても、それは領土の交渉が、そこに含まれるという以外の何ものでもないし、それはロシア側も理解をしているということだと思います」
反町キャスター
「単に言葉として領土問題ということを口にできないロシア側の事情がある?」
畔蒜氏
「そうです。そこは、実は先ほどの日ソ共同宣言。あそこのポジションに現在、ロシア側は立っているということです」
反町キャスター
「問題はないと?」
畔蒜氏
「だから、領土の正当性に関しては、我々はないのだと。ただし、イルクーツク声明、先ほども申し上げたように、東京宣言も、要するに、有効なものとして認めていると。そこでは4島の帰属について議論すると。これはセットになっているんです。先ほど、新藤先生がプーチン氏は2005年以降まったく殻に閉じこもっているとおっしゃったのですが、実は必ずしもそうではなく、2013年6月にサンクトペテルブルグの経済フォーラムというのがあったのですが、そこで日本人の記者とのやり取りの中で、4島の帰属問題について議論をするんだと。初めてです。そういう意味では、久しぶりに4島という言葉を出しているんです。と言うことを考えるとロシア側も日本との平和条約を締結するうえでは、この問題は避けて通れないということは、プーチン氏自身がよくわかっているし、彼の発言も…」
反町キャスター
「何で領土問題という言葉を口にしないのですか?」
畔蒜氏
「おっしゃる通りです。ただし、実際に具体的な交渉に入りますといった時に、それぞれどのポジションをとるんだと。スタートラインです。つまり、ロシア側は、日ソ共同宣言のポジションをとる。当然、日本側は東京宣言のポジションをとる。そこの食い違いがまさに、ラブロフ外相と岸田外相のやり取りの食い違いだったということです」
新藤議員
「ただ、それは日ソ共同宣言の立場に立って言うならば、領土問題がないとは絶対に言わないです」
反町キャスター
「でも、日ソ共同宣言においては、2島を明け渡すとか、譲り渡すとか…」
畔蒜氏
「引き渡す、です」
反町キャスター
「引き渡すという前提では、領土問題はそこにないという前提に、当時、ソビエトは立っていたのではないですか?」
新藤議員
「いやいや、だけれども、2島を還すとか、残りの2島についてはまだ話し合いがつかないという時点で、これは領土問題ではないですか。ですから、外務省が大統領の意に反して、より厳しくハードルを上げて勝手に言うなんてことはあり得ないわけです」
反町キャスター
「ロシアの場合はですね」
新藤議員
「はい。日本だってそうです。ですから、そこが非常に問題ではないかと私は、敢えて提起したいです。いろいろな希望を持って、また、いろんな分析をしながら進めていくんですけれども、でも、もっとおもいっきり厳しいところから見ていって、そして、ハードな交渉をしなければならないのですから、そこにもしかしたら楽観とか、希望とかが入ってしまっていたら交渉でも何でもなくなってしまうと。それはかつての不可侵条約を破られて、そういう時のことから、我々は反省すべきではないのかというのは、敢えて申し上げたいです。これは現在、ロシア外務省はまったく前に進まなくなってしまった。少し言わせていただくとかつてプーチン氏はこの問題は歴史の事実と法と正義に基づいて解決されるものだと言ったんです。だから、ソ連も含め、第二次世界大戦後の平和の秩序というのは、これは大西洋憲章、それから、ポツダム宣言もそうですけれども、連合国は領土不拡大が原則だと。戦争は終わって皆、それぞれ自分の国に戻れと。だから、日本も領土を拡大した部分は本州他島と小島の中だと。そこに戻りなさいと。固有の領土に戻ろうではないかというのが大原則です。それで1度もソ連やロシアの領土になったことのない、北方四島がどさくさの中で不法占拠されていて、その問題を話し合わざるを得ないのは向こうも認めていたわけです。しかし、現在ここに至っては、その問題は戦争の成果なのだと。そこまで言われて、これをそれは向こうが、勝手に前提をつくっていいというものではなく、世の中、世界の道理だから道理を捻じ曲げて、勝手に自分達だけで前提をつくっちゃって、それをもとに日本とお互いが誤った、勝手に自分達で解釈してしまっているものと、交渉ができないではないかということを日本が言わなければいけないのではないかと思っているわけです」

プーチン大統領訪日の行方
秋元キャスター
「プーチン大統領の訪日について昨年11月のAPECの際の首脳間の合意に基づき、プーチン大統領の訪日に向けて引き続きベストな時期を探っていくということですが、1度合意をしていたプーチン大統領訪日についてはウクライナ問題などで延期していたわけですけれども」
反町キャスター
「プーチン大統領の訪日。現在の状況下においてはどうすべきで、いつ頃がいいと見ていますか。暫く放っておくというか、冷やすしかない思いますか?」
鳩山議員
「昨年の終わりの時点に比べれば、たいぶ冷めてきている、そういう意味では。だから、来年の前半期ぐらいに訪日が実現したらいいなと。日ロ協会会長としては痛切に思います」
反町キャスター
「新藤さんは、北方領土返還ということを考えた時には首脳会談というのは頻繁にあった方がいいか、それとも現在の状況下では会っても仕方がないから、環境が整うまで首脳会談は急ぐべきではないか、そこはどうですか?」
新藤議員
「国と国としては会った方がいいです。ですから、政府、外務省、首脳はそれを模索しているんです。でも、私は議会(議連)の立場から領土の問題を進めようという立場から言わせてもらえば、そもそも2010年にメドジェーベフ大統領が初めて北方領土に上陸しました。11月1日に上陸をして、11月13日がAPEC横浜だから、何で招待をするんだと。来るだけではなくて、当時、菅総理だけれど、首脳会談をやってくれませんかと申し入れていると。何ですかと私はそれをだいぶやったんです。それから、2度目に今度は首相として2012年7月に行きました。その時には7月に行って、7月末には玄葉外務大臣が出かけて行って、しかも、プーチンさんに会い、秋田犬のプレゼントを持って行ったと。我々が絶対許さないと言っている、戦後誰も行っていなかったのに2010年からです。そういうのを行き始めてしまったのは。今回3度目で行った。私はそういうことに有名無実化されて、抗議はするけれども、ロシア側の報道では日本の抗議は儀式だと書かれちゃっているんです。ですから、1つ1つ、それはきちんと決着をつけて、こういうことをやるならば、我々はペナルティを出すよと。しかし、話し合いはするよ、ということをきちんとやっていかないと、日本は何をやっても、反論、抗議は形式的にするが、結局、経済や融和外交を変えないと。これは韓国や中国に対しても。また、中国や韓国に対して、そういう行動をとっていることがロシアに対しても誤ったメッセージになっていませんかとずっと追求しているんです。ですから、これは日本国の首脳として言うべき言葉ではないです。私達はそういう国民の強い怒りの声があるというものを出したうえで、そのうえで外交当局者はこういう声があるけれど、それを踏まえて交渉をしていると。あなた達、しっかりやれ、という日本としてのきちんとした矜恃を示さないといけないのではないかと。今度来るのも、来てくれと、一緒にやろうと。しかし、けじめをつけろということは言っていただきたいなと思います」
畔蒜氏
「ウクライナ問題があったことで、このコンタクトが途切れてしまったわけです。当然のことながら日本側も、ロシア側も、具体的な成果を示さない限り、はっきり言って、呼んでも仕方がないし、行っても仕方がないということですので、そこはもちろん、最大限の努力をできる限り、一応、昨年11月の、北京のAPECで、年内までの訪日で再調整をするということを一応合意しているわけですから、最大限の努力をするということは当然のことでしょうけれども、だからと言って、年内に間にあわなかったからと言って失敗だということでもないですし。その先であっても、具体的な成果を。ただし、具体的な成果というのが領土問題に直接すぐに解決するということではなくても、たとえば、何らかの共同宣言を出すとか、そういう形の成果がない限りなかなか進めるのは難しいのではないかと思います」
反町キャスター
「そうすると、今回の日露首脳会談の結果を受けても、事実上、年内のプーチン大統領の訪日というのは、これは断念したうえで、今後とも前向きに検討をしていきましょうというのが合意点だという説明になっていますけれども、そういうふうに?」
畔蒜氏
「いや、そうは思っていないです。ただ、最大限年内にというので全力を尽くすと。ただし、仮に年内に間にあわなかったとしても、別にその先で目指せばいいだけの話であって、たぶん現在の総理のお考えは、できるだけ年内、最大限年内を実現するということで、最大限努力をするというための首脳会談だったと私は分析します」
反町キャスター
「そういうことでとりあえず最大限努力しようとするということを双方が確認する。実際には来られないという結果に終わっても、この努力をお互いに認めようと。ここもまたちょっと話として美しくて」
畔蒜氏
「いや、そうではなくて、たとえば、この一連の首脳会談の前には谷内安全保障会議の局長と、パトリシェフ氏、あちらの安全保障会議の書記がモスクワでも会い、日本でも会いという形で戦略対話をやっている。それから、ラブロフ外相と岸田外相も会ったと。今度、モログロフさんと杉田審議官の会談もあると、次官級の会談があるということで、まさに10月8日です」
鳩山議員
「10月8日に次官級で、これは何について話をするのですか?」
畔蒜議員
「これはおそらく領土問題だろうと、まさにそのためのフォーマットですので、領土問題ということだと思うのですが、そこをまさに加速化させると。そのコンタクトを、これまで途切れていたものをもう1度加速させて、具体的に、何ができるんだということをあらためて再確認をするというプロセスは年内、要するに、実現するにしても、諦めるにしても、当然必要なプロセスですので、まさにその確認作業を現在再稼働させたと」

北方領土と平和条約締結交渉
反町キャスター
「4島一括返還、2島先行、4島帰属確認。どういうふうに島を返させるのか、取り返すのか、具体的に3つのうちのどれかですか?それとも別の方法ですか?」
新藤議員
「これは国の方針として決めていますから。それをきちんと遵守していくと。また追求していくことが重要だと思いますね。それは北方四島の帰属の問題を解決して、ロシアとの間で平和条約を締結する。それに尽きるんです。まず帰属問題を解決すると。それは4島の問題です。帰属を確認したうえでそれをどう返還させるか、そういう手続きの交渉、時期の交渉に入ってくということです」
反町キャスター
「本来、日本に帰属するということを確認するという意味?」
新藤議員
「橋本、エリツィンだったか、国境線をどこに引くのかと、ウルップと択捉との間に国境線を引いて帰属を確認しますよと。そのうえで島の取り扱いをどうしましょうかという交渉に入って、寸前までいったではないですか」
反町キャスター
「帰属の確認ができたとしても、そこから先、日本の領土として取り返していくのかという具体的な返還のプロセスというのは、その先の話になるわけですよね。具体的なスケジュール感は誰も持ち得ていないですよね?」
鳩山議員
「これは怒られるかもしれないけれども、返せ、返さないという話でいったら200年経っても解決しません。現在、日本とロシアの人の行き来というのは何万人か知っています?10万人強ですよ。たとえば、日本と台湾では500万人ぐらいかな。中国とは500万人くらい。圧倒的に少ないです。人的交流が圧倒的にロシアとは少ない。一般的な行き来がない。そのへんを解決し、少なくとも年間50万人、100万人が行き来するようになるとお互いの国の感情も変わるのではないかというのが日ロ協会の考え方です」
新藤議員
「極東、シベリアという広大なエリアからすれば、本当に微々たるものですよ。ロシアは困っている、極東の開発ができなくて。資源はあるけれども、使いこなせない。ですから、技術、資金、人、こういうものを日本や中国に求めているわけです。しかし、中国とはいろんな緊張関係が日本とは別のものがあります。日本と良い意味での信頼関係ができれば、それは、彼らは中国よりも日本と組みたいと思っているわけです。そういう中で、極東開発、シベリア開発、こういうものをパッケージで考えていく中で、4島問題も解決せよと。それは私達に帰属し、我々の島となって、しかし、あのエリアを一緒に開発していくというのは、これはあくまで日本の島として開発していくことは十分あり得るし、さらにここで北極の開発関係の話も出てくる。温暖化の中で北極海が使えるようになる。海底資源開発の関係も出てくる。北極の海がこれまでよりも使えるようになる。それから、海底資源の開発が、技術が革新されているので、もっといろいろな可能性が出てくるわけです。そうすると、北極航路の日本側からの最初の不凍港は北方四島ですから。ですから、こういうものも考え、我々もきちんとプランをつくって、あなた達のエリアを共同で一緒にできることがあるんだよと。しかし、ここの原則は変えられないですよと、ダブルで持っていくことも可能ではないかと。私も数字だけは押さえています。人的往来は、日中間の26分の1、日米間の28分の1。貿易は、日中の9分の1、アメリカの6分の1。もっとポテンシャルがあるんじゃない。しかも、私達はロシアというとモスクワを考えるけれど、ヨーロッパ・ロシアを。でも、目の前に極東ロシアという自然や、いろいろなものを共有できる場所があるんです。我々がもっと開発できる場所はあるんです。だから、そういうものを含め、ロシアが日本と、これは日本を自分達の交渉相手として敬意を持ち、あなた達の言うことを聞かなければならないと思わせないとロシアは乗ってこない」
反町キャスター
「その延長線上に共同統治も視野に入るのですか?」
新藤議員
「共同統治はありません。主権は必ず日本に戻してもらわなければ領土不拡大の原則に反するんですから。そこは譲ってはいけない。しかし、その先の、実際の資本を入れるとか、開発するのはあくまで主権を持ち、日本国でやって、そこにいろんな企業が入ってくるのは、たとえば、既に向こうもやっていますけれども、自由経済特区というのをやっているんですよ。ウラジオストックもそうです。私も行ってきました。ちょうど私が日本の特区担当大臣でしたから、向こうの大臣が来て、実は、という話をやったこともあります。ですから、可能性はまだまだあっていくつものアプローチを考えながらやっていく。でも、根本はキチッと打ち立てて、相手にそれを認めさせないと、まだ現在、日本は押せば揺れるのではないか。何だかんだ言いながら拳を上げているけれども、そのまま出てこないよねという状態では何の交渉も始まらないと思う」
畔蒜氏
「まず日露の戦略対話をやるべきだと。日露がそれぞれに何でお互いがお互いを必要としているという確認がまず大前提だと思うんですよね。そのうえで、もし両首脳のここでいいという合意ができ、国内的に受け入れが可能であれば、あらゆる選択肢は排除すべきではないというのが私の立場です」
反町キャスター
「あらゆる選択肢と言うと、別に4つ返ってこなくてもいいという選択肢もある?」
畔蒜氏
「そういうことですね。問題は、千島列島というと範囲がどこなのか。1951年のサンフランシスコ条約で日本は千島列島を放棄するというところまでサインしていると。ソ連はサインしていないので、帰属は決まっていない。日ソ共同宣言の交渉する前の外務省の局長の基本的なコンセンサスは、択捉、国後が南千島であるという認識だったんですね、それまでは。ところが、日ソ共同宣言を締結するプロセスの中で日本政府自体はその解釈を変えたと、少なくともロシア側は…」
新藤議員
「それは1945年のポツダム宣言を受諾する時に、ポツダム宣言の中に、カイロ宣言の条約、領土不拡大、元に戻れと、これが履行されなければならないという前提付きですから、千島の南と、千島と確かにそういうつけ入れられるところであるのだけれど、しかし、日露通商条約以降、1度も他国の領土になっていない部分はカイロ宣言の範疇だよ。これをキチッと、これは国際条理ですから。それをねじ曲げて、自国の戦争の成果であるなんて言わせて、それをそうですかとは絶対に言わせないよ」
畔蒜氏
「つまり、ロシア側からしても日本の主張は絶対的に無謬な主張ではないというのがロシア側の確信なので、そういう意味では、2島の引き渡しという日ソ共同宣言の主張が、あれはまさにその前提に立って、歯舞、色丹は、要するに、譲ってもいいですよと」
新藤議員
「根拠ないものね」
畔蒜氏
「根拠はあるんですよ。つまり、サンフランシスコ条約で日本は千島列島を放棄しているでしょうと。彼らの主張で、ですから、お互いがお互いに絶対的な、どちらが間違っているかという決め手が実はないです」
反町キャスター
「ロシアは日本以外に領土問題を持っているのですか?」
畔蒜氏
「最後、ノルウェーとの間で問題があったのですが、ロシア側がある程度、譲歩する形で解決したということがあります。ですから、ロシアがまったく領土問題に関して1ミリたりとも譲らないということではない。ただし、ノルウェーの例などでわかるのが、明らかにロシアの利益が見えない限り、前には動かないということも、そこは厳しい現実」

鳩山邦夫 NPO法人『日本ロシア協会』会長の提言:『日ロが友好関係になれば 世界の経済地図は変わる』
鳩山議員
「北方領土問題が解決しないことによって、日本もロシアも両方とも大損しているわけですよ。もし日本とロシアが友好関係になったら、資源、人、カネ。これはもう資源的にも日本は安泰ですからね。変な話ですけれど、西郷隆盛の征韓論があるでしょう。西郷隆盛は非常に強くロシアを意識して征韓論を唱えたんですね。ロシアという国とどう付きあったらいいのか、西郷隆盛以来の大問題をやっているんです」

新藤義孝 日本の領土を守るために行動する議員連盟会長の提言:『断固たる覚悟、急がば回れ。』
新藤議員
「研究者といろんな話をしまして、ロシア人は友好国を軽視すると。緊張感を抱かせるだけの力を持っている国に対しては嫌だけれども、敬意を表する、認めるという国だと分析した学者がいます。言い得て妙だなと。私は、強いことを言っていますけれど、そういう強いことを踏まえて、日本政府には交渉をしてもらいたいし、ロシアの人達も、こういう日本の基本的な考えがあるのだということを知ったうえで、私達と交渉すべきだと訴えたいですね。ですから、1回1回の会談に成果を求めるのではなく、断固たる覚悟で必ずこれを解決すると。この法律に則って基本は変えない、しかし、そのうえで、我々の目的達成のためには道のりが必要だ。しかも、それは相手の国に自分達を認めさせるだけの強さと、我々の力が必要だ。それをつくりながらやっていく。これまで70年もかかっていますけれども、しかし、これは何があったって絶対に解決すると。そういう姿勢の中で、あなたの国はずっと隣ですから、あの国は。しかも、これは極めて戦略的に重要な地域になり得るのですから。そういうところに対して、お互いが責任を持つためにも基本問題は解決しようということを、時間がかかってもやるべきだと思います」

畔蒜泰助 東京財団研究員・政策プロデューサーの提言:『戦略環境の変化に対応した日露関係を』
畔蒜氏
「東アジアの現在の情勢、1番は中国の問題が大きいのだと思うのですが、そう考えると、中長期的に見た時には、日露の利害の一致はますます深まっていくはずなので、その意味で、中長期的な視野に立って、もちろん、領土問題、領土交渉はいろいろ難しい、厳しい問題はあると思うんですけれど、それはそれとしてロシアとどういう形で東アジアの安定のために協力できるかということに関しては、常に対話をし、議論をし、そういう形で日露関係を発展させることが重要だと思っています」