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2015年9月28日(月)
2大国世界戦略の虚実 米中首脳握手の意味は

ゲスト

中山泰秀
外務副大臣 自由民主党衆議院議員
藤崎一郎
前駐米大使 上智大学国際関係研究所代表
天児慧(あまこ さとし)
早稲田大学現代中国研究所所長
朱建栄
東洋学園大学教授

習国家主席 米企業と会談の思惑
秋元キャスター
「習主席の訪米スケジュールを見ていきたいと思うんですけれど、最初に訪れたのが西海岸のシアトルでした。22日にシアトルに到着します。23日にIT企業のトップと会談しました。ボーイング社の工場を視察し、航空機300機の購入、中国に旅客機組み立て工場の設立で合意をしたということを発表しました。24日、オバマ大統領と非公式の夕食会があり、25日には米中首脳会談。朱さん、習主席の訪米。西海岸から始めて、アメリカの経済界の人達と交流を重ねましたけれども、中国の狙いはどのようなものなのでしょうか?」
朱教授
「今回まずシアトルから乗り込んで、経済界、特にこれからの経済をリードするIT産業のトップ達と会ったりですとか、そういうところで、1つは米中関係、互いに必要とすること。もう1つは一緒に新しいいろいろなルール、特に、IT産業関係で引っ張っていくのだと。そのようなことを説明しつつ、これがテレビや、いろんな報道される、そういう表のものより実質的な成果を求めると。第2に、今回はわざわざ習近平さんが何度も言ったようにアメリカのリーダーシップに挑戦をしない。アジアにおけるアメリカの利益も尊重するんだと。そういう意味で、アメリカによる対中の疑念を解くための旅で、今回、シアトルから入るという意味、相当、中国は用意周到に日程をいろいろやったのではないかなという感じがします」
反町キャスター
「アジアの問題は、アジアの国々で解決をしようというふうに、かつて習主席は言いました。それで現在の話をどう整理したらいいですか?」
朱教授
「私は、日本の報道の問題だと思います。昨年6月のアジア安全保障の会議で、習近平さんはアジアでいろんなことがあって、協力して、こういうことをやるべきだと。最後の最後に、とどのつまり、という表現が前提。とどのつまりアジアとは、我々は自分で努力してやらないといけないと。ところが、日本の報道はいつの間にか、それを持ってきて、アメリカを除外してやるのだと。その報道は、中国は違うということを…」
反町キャスター
「違うということはアメリカを排斥する言葉ではなかった?」
朱教授
「今回、習近平さんはアメリカにこの言葉はそういう本意ではないということを説明に行ったわけです」
反町キャスター
「天児さん、現在の説明でいいのですか?中国の真意はアメリカも組み込んだガバナンスを意味しているのですか?それとも、とどのつまり、のあとに言った、アジアのことに手を出すな、アメリカは。どちらが中国の真意なのですか?」
天児氏
「今回、行った段階では、狙いはアメリカとの関係ですから、そのアメリカとの関係においてはできるだけ協調をした、そういう関係をつくりたいと。ただ、もっと長期的に中国の対外戦略を考えてみると、中国は自らの影響力が非常に強い、そういう空間をつくりたいと思っていると思いますから、その点においてはアメリカをある意味では排除するというか、その意図は、私はないとは言えないと思います」
反町キャスター
「同盟国アメリカのトップと、現在様々な問題を抱えている隣国である中国のトップによるトップ同士の会談。日本にとっても無視できないと思うんですけれど、どう感じますか?」
中山議員
「上出来だったなと思います、アメリカ側から見て。アメリカは大統領が記者会見する時に、鷲の紋章が付いています。あの紋章の片手、鷲の両手と言うのですか、何を持っているかご存知でしょうか。片方はオリーブの葉を持っているわけです。もう片方は矢を持っているわけです。アメリカの紋章の意味というのが何かと言ったら、オリーブの葉と言うとノアの方舟で、ハトを送って、丘を探すためにハトを行かせて、オリーブの葉を咥えてきたから丘があると。要するに、平和の象徴です。片方は矢ということで戦争です。要するに、相手にあわせて、相手が経済外交で握手を求めるのだったら、オリーブの葉で対応をしますと。相手が戦争を求めるのだったら、矢を持って対抗をするぞ。そのシンボルが、実はそれこそ大統領の鷲の紋章だと私は思っています。ですから、その意味からすると、今回のオバマさんのやり方というのは的確だったと私は思います。経済面では握手をして、軍事衝突が起こり得るような、コンフリクトの要因になりそうなものに対してははっきりと平行ではあるけれども、意見を明示する、相手に伝えると。中国で明哲保身。哲学を明らかにして、自分の身を守るという言葉がありますけど、まさにアメリカが明哲保身に着実な外交をやっていると。それが我々、東アジアに住まう民主主義国家として1つの安心感を覚えました」

会談前の両首脳演説
秋元キャスター
「米中首脳会談の成果について話を聞いていきたいと思います。まずは首脳会談の前に催された歓迎式典での演説で、両首脳はこのように述べています。オバマ大統領は『米中両国は協力していくが、習国家主席も理解しているように我々に相違点があることも率直に認めなければならない』と。習近平国家主席は『米中両国は新たな大国関係のモデルを構築するための正しい道を歩むべき』だと話をしていますけれど、朱さん、習主席の発言の意図、それから、首脳会談にどういう目的を持って臨んだと思いますか?」
朱教授
「報道ではどうしてもオバマさんの公の場でのやや無表情の顔、厳しい話になるんですけれど、それはどこの国でも、これは実は国内の保守派や何か、世論に見せるものがあって、実際にオバマさんが習近平主席と会談をしたあと、一言、本音を言ったんです。今回は、It’s true productive meeting。最も極めて非常に効果的な会談だったと。それで言いたいのは、実はこれが表で、ローマ法王の騒ぎの中で中国が焦って、問題はかえってそれで良かったかもしれない。だって米中のマスコミが、いろんな世論が、オバマさんが笑顔で言うということができないと。しかし、裏ではいろいろと言ったと。その中で先ほど、アジアにおけるアメリカの権益。そういうところは我々が挑戦をしないというメッセージ。中国はかなりそこに重点を置いたと思うんですね。ヒラリー・クリントンさんが当時、言ったのが、広い太平洋には2つの大国を入れるスペースは十分にある。それに対して現在、中国はたくさんこの言葉を使っているんです。それをマスコミでは太平洋を分けてというようなことを…中国の指導者は1度も、太平洋を分けて、西太平洋は俺のものだということを言ったことはないです。しかし、アメリカは自分が西太平洋から排除をされるのではないかと。それに対して今回、敢えてそうではないという意味では、私はクローズドの会談ではかなりの成果があったと理解をしています」
反町キャスター
「藤崎さん、データを確認するみたいで変なのですが、ヒラリーさんは現在、朱さんが言ったみたいに、広い太平洋は2つの大国が共存できるだけのスペースがあると言っているのですか?」
藤崎氏
「私は、それは知りません。中国の軍人の方が西太平洋と東太平洋と分けて、西太平洋、ハワイ以西の方は中国の勢力範囲にしようではないかという議論、発言をして、アメリカ側がびっくりしたということは聞いたことがあります」
天児氏
「太平洋指令官と人民解放軍の総参謀長が…」
反町キャスター
「話をした時ですよね」
朱教授
「その発言は中国の参謀長のレベルではない。本当に参謀レベルで、ハワイでの話の中で、しかも、レセプションで互いにお酒を飲みながら中国がそれを言った。しかし、その言葉が大きくされ、中国はアメリカの西太平洋における覇権に挑戦するなと。それで今回は敢えて打ち消しに重点を置いたわけですね」

新型大国関係
反町キャスター
「朱さん、基本的ベースの話で言うと今日、たとえば、この番組の中で、中国がアメリカに対してG2、ないし2国間関係を求めようとしている、太平洋を真ん中で割ろうとしていると言うと、我々はそんなことを言ったことはない、ヒラリー氏が言ったのだ。誰それが言ったのだと。ずっとそのような話をされていますけれども、中国側からそれを本気では言ったことはないのですか?」
朱教授
「新型の大国関係を世界最大の先進国に対して、中国は、自分は最大の途上国だと、しかも、どんどんとアメリカを追い上げていると。中国自身の判断で2020年代の半ば頃には、間違いなくGDP(国内総生産)ではアメリカに追いつくと。そうすると、新しい関係というのは、これまでの大国間は、追いつき、追い越された段階で、どうしても戦争とかがあると。それに対して戦争を避けるというのが新型だと。しかし、現在は、ただのG2を中国はつくらないと。むしろ温家宝前首相が否定しているんです。なぜならば、この表現を中国が使うと、今度はロシアがどう思うか、日本がどう思うか。米中ばかりやっていて、我々が小国扱いになるのではないかと。現在、明らかに中国は、今度はロシアを持ち上げていろいろやっているわけです。ですから、今回、9月3日の北京の記念式典で、習近平さんがあらためて違う表現を、これが現在いろいろな国と新型の国際関係をつくっていくのだと。アメリカとも新型の大国関係を、ロシアとも、あるいは日本とも新型のいろいろな関係をつくっていくのだと。これまでの冷戦方式、あるいは戦争利益を奪うような関係ではないということを、中国はPRしようとしていると思います」
藤崎氏
「現在の議論は、30年ほど前に日本がGNP(国民総生産)が2位になって、その頃に、エズラ・ヴォーゲルさんが『Japan as No.1』という本を書かれて、我々も何となくおだてに乗って、さあ、これから日本がという時代だった。大国だという議論をし始めた。あれを思い出すのですが、本当のことを言うと、外交で必ずしも自分が大国だということを言い出すことが、他の国を、現在まさに朱さんが言った通り、So Happyにしないですよ。にもかかわらず、実は2013年の時からずっと言い続けている。全ての会談で、この新たな大国関係ということを言い続けているんです。今回も言われて、それに対してアメリカは答えていない。これが繰り返されているんです。私は正直言って、2つのことを考えるのは、1つは、しかし、中国がこういうことをはやく言ってくれるのはありがたいと、ある意味で。だから、皆それは大変だと。そう思っているのだったら、こちらも準備しなければということで、いろんな準備が安保法制なり、いろんな形で行われます。従って、そういう意味でのワーニングを早く出してくれている。ある意味では、非常にありがたい。第2点が何かと申しますと、中国だって現在、朱さんもおっしゃったようにわかっているわけです。こんなことを言うことは得策ではないと。にもかかわらず、なぜ言うのだろうという場合、国内的な考慮もあるのだろうと。なかなか大変なのではないかと。習さんのシアトルでの演説でも、党の腐敗や何かを撲滅しないと国民の不満が到底吸収されないのだという主旨のことを、つまり、日本で言えば、政権移譲を皆さんどうやっているかを考えるわけですが、そんな場合ではない。政権をどうやって維持していくのかという、基本的なところに直面をして、必死になって、現在どうやっていくかと考えているのが現在の中国の指導部ではないですか」
朱教授
「今回、習近平さんのアメリカでの発言というのは私が見ていても意外に思ったのは、現在まさに大使が指摘されたように、我々は多くの問題を抱えているのだと。これこれをクリアしなければいけないと。ですから、そこには1つは、アメリカに対し、アメリカの覇権に挑戦するところではないというようなメッセージ。一方で、中国はいろいろ問題を抱えながらも発展していくのだというところで、そういうところはむしろアメリカに対して率直に言った方がアメリカに理解してもらえると、美辞麗句よりは。今回は率直な会談だったという評価だったんです」

南シナ海問題
秋元キャスター
「南シナ海の問題に関して米中首脳会談後の記者会見でオバマ大統領は『論争がある地域での岩礁の埋め立て、施設の建設、軍事化に重大な憂慮を抱いていると伝えた』としました。習近平主席は『南沙諸島は太古以来、中国の領土。我々は領土主権と合法で正当な海洋権益を維持する権利を持っている』と話しています。合意内容としては、両国軍用機の偶発的な衝突を回避するための文書に署名ということなのですけれども、具体的にはホットラインを通じて、緊急時に連絡を取りあう体制の整備などが柱となるということです。藤崎さんは今回のこの内容、アメリカはどう受け止めたと見ていますか?」
藤崎氏
「私は、アメリカ自身はわかりませんが、今回は極めて残念だったと思うんです。なぜかと言うと、一種、開き直りという言葉は強過ぎるかもしれませんけれども、自分の主張だけを言って、それを認めさせようという感じだったけれども、それはおそらく国際的にはなかなか通用しません。それでこの問題、南沙諸島の問題については中国の九段線の、南シナ海の主張。これについて国際法上は必ずしも説明がきちんとされないというのが第1点。第2点はフィリピンとの間で国際海洋法裁判所にフィリピンは調停に持ち込みましたけれど、これについて中国はまったく応じていないと。こういう状況下で一方的な埋め立てなりがずっと行われていく。もちろん、フィリピンやベトナムは少しやりましたけれども、規模がまったく違うレベルで行われていくということについて、かなり多くの国が懸念を持つわけです。まったく違う話ですけれども、たとえば、尖閣ということに持ってきますと、たとえば、政府の方はこういう議論はなかなかしにくいとは思いますが、日本は歴史的に、国際法的にまったく日本のものである。これは明確なのですが、しかし、この20年間、30年間、まったく現状変更をしないようにしているわけです。対話と協議を通じて、情勢が悪化しないようにしようということを昨年も中国が話をしているわけです。こういう極めて慎重な姿勢を、日本のような国はとっているわけです。中国は、自分の問題になると、そういうことを他の国に対してあまりとらないというのは、本来、中国はもう少し大きな国として、理解が持てる国、途上国の味方である国なのだから、どうして、ここでこんなにこの問題で一方的な行動を早急にやらなければならないのだろうかというと、先ほどの問題に戻って、国内の情勢とか、いろいろなことで、そういう問題になってくるのだろうと。なぜこんなに急ぐのだろうという感じ。ちょっとわからないという議論がありますね。私もどちらかというと、そういう感じがします」
反町キャスター
「中国は、南シナ海の埋め立てにおいては、いわゆる一面で見せる国際協調路線、ないしは発展途上国に対する、仲間である、優しい中国という表情。もう一方、国内的に説明のつかないから、ここは強気でいかなくてはいけないと。そのどちらの顔かといったら、国内の表情しか我々には伝わってこないと。これは南シナ海における中国の外交政策としては問題ないのですか?そういう手段しか取り得ないのですか?」
朱教授
「現在、結果として周りの国との緊張関係が生じていますが、中国もいろいろとベトナムで…。9月3日の北京の式典には、ベトナムから国家主席が出席したんです。その後もベトナムの大臣級の人が行って、今回APEC(アジア太平洋経済協力)がフィリピンで開かれるので、フィリピン大統領は中国に対しても最近、いろいろと緩和的な話をしているわけです。中国もおそらくそれが周りの国の懸念というところを意識した部分はあると思います。ただ、これがもっと根本的に、南シナ海のことについて言えば、現在の話で、前提というのは中国が悪いということですけれども、しかし、中国から見れば、日中関係で見ていても、戦前は日本が満州事変以降、中国に侵略の過程の中で、南沙諸島をとって、これを信南諸島と命名して、台湾に所属させたわけです。第二次大戦以降、中国は1946年に回復したと言いたいのは、当時の国民党政府と1952年、日華条約を結んだのです。日華条約の前文に、日本は台湾、澎湖列島、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島を放棄していると。中国との条約の前文に書いてあるんです。北方領土とか、朝鮮とかは関係ない。ですから、そういうのが当時は世界に、一般的に中国の領土。しかも、日本が中国との文書中に書き入れているわけです。そういう話、歴史的な経緯を一切触れずに最近の中国は悪いと、私はそこが問題の本質、あるいは中国の対応を見極めることができないと思います」
反町キャスター
「日本が主権を放棄することと、その主権を中国、当時の大陸の中国に認めるというのはイコールではないですよね」
朱教授
「日本は第二次大戦後、台湾を含めて、一貫して我々は領土を放棄した。しかし、それはどこの国と私達は言わないけれども、しかし、これが1972年の国交正常化を含めて、そこに相手との条約の中で、これに触れるということと、中国の条約の中で北方領土とかを触れるはずがないわけです。そこのところでギリギリで、これがかつて中国のする主張ということは意識していると。その部分があるのと、もう1点、言いたいのは、今回で習近平主席は南沙諸島についてアメリカの懸念というのが、そこを軍事基地化で今回、国家主席の口から、アメリカで軍事化はしないという表現に対して、オバマ大統領は公の場で、同盟国や東南アジアに対し、どこか言う必要があるのでしょうと。中国への牽制。しかし、私の判断ですけれども、今回は明らかに、米中が今年の6月から7月にかけての水面下の、激しい取引、駆け引きを経て現在、事実上、互いにさらに一歩前進する手段を持つんですけれども、いかないと。互いにこれがこれから、さらに結果にすることは認めないけれど、現状の中で、相手をどう思うかと。そこのところで、米中が一種の暗黙の了解に達したと思います」
反町キャスター
「天児さん、中国の、南シナ海に対する想いというのか、戦略的な価値はどのようなものを持っていると感じていますか?」
天児氏
「非常にあそこは資源も豊かだというところで、これからの中国が、さらに発展を進めていこうとすれば、非常に重視すべき資源で、エネルギー資源という意味では拠点でもあるし、それから、あの地域のイニシアティブを握るか、握れないか。これはあそこを通過している、いろんな国があるわけで、特にアメリカ、日本には非常に重要な意味を持っているわけですから、そこのところで、イニシアティブをとるのか、とらないのか。これは立場がすごく変わってくるという意味がありますね。ですから、非常に強行に出たことは、それは内心では中国の指導部はよくわかっているわけです。だけど、敢えてそれをしたということです。そこのところは、我々は決して軽視してはならないだろうと思います。国際法上の問題という議論は、私も非常によくわかりますし。ただその突っ込み方がアメリカにしても、それから、日本にしても、私は非常に弱いのではないかと。つまり、国際法上という議論をした時には、どうしても国際法上の議論というのは、近代史以降の歴史の中で出てきた概念ですから、それ以前の話が出てこないわけですね。そうすると、中国はここにも書いたように、太古以来中国の領土、我々は領土主権を合法的だと言っている。正当性があると言うわけですよ。南シナ海という、南中国海という。その時に我々が、それが本当に領土とか、領海というものを意味するのか。あるいは主権というものを意味するのかということを中国と本気で1度、議論をしなければ、1度ではダメですけれど、相当そこのところをやって、そこで、要するに、中国にある程度、そのことに対する理解が出てこないと、国際法を守るか、守らないかという議論は全然出てこないと思うんですよ。ですから、なかなかそこのところでもアメリカ、日本、西側が非常に行き詰った状態にあると見られます」
反町キャスター
「天児さん、まさに言われたところで太古以来、中国の領土という時間軸と、領土主権とか、合法というのは、これは近代における概念、その2つの両論を併記した、これが我々の考え方ですと出してくる国というのはたぶん地球上、中国しか…」
朱教授
「いや、現在、前大使も尖閣は、日本は歴史的にも、法律的にも、それは同じと」
反町キャスター
「太古以来とは言いません」
朱教授
「いやいや、前大使が…」
天児氏
「違うんです。それは歴史的と言った場合は、これは厳密に言えば、日本が…」
反町キャスター
「近代以降ですよね」
天児氏
「そうです。それ以前は結局、無所地だと言うんです」
朱教授
「日本の固有の領土であると?」
天児氏
「いやいや、そんなことは言っていない。無所地だと」

サイバー攻撃問題
秋元キャスター
「中国の関与が疑われるサイバー攻撃についてアメリカが中国を名指ししている背景をどう見ますか?」
中山議員
「現代における戦いというのは、距離の概念がないということだと思うんです。ですから、地政学的に南シナ海にあってもミサイルの能力によってはアメリカの本土までが攻撃される可能性があるということ。インターネットというのは戦場の血生臭さをワンクリックで瞬時にして東京に届けることができるという恐ろしさ。テロリストがハイテクと出会うという最も恐ろしいシナリオが、2001年9.11テロ以降に勃発しているというこの現実。70年前の戦争と、現在サイバーの戦争というのが同じ戦争の方式で行われているという錯覚をまず私達があらためなければいけないと思います。要するに、70年前は国対国の戦いだった。現在は1人の技術者が、逆に言えば、1国を相手に戦争を挑むことができるというリスク。これは米中含めて世界で一緒に協力しながら対策をしていかなければいけない問題だと思います。何もアメリカだけ、日本だけでなく、中国も攻撃されるリスクがあれば、現実もあると思うんです。それらを発見して、それに対して対処するための国際規範、ルールづくり、ルール・オブ・ウォーをいかにしてサイバースペースに持ち込むか、持ち込めるか。というせめぎ合いの時期がまさに現在だと思うんで、要するに、20世紀の冷戦構造のいわゆる国々、もしくは新たな関係を構築しようとしている人達に、能動的にどんどん信頼醸成を行っていって、お互いが驚くことのない状態というものをしっかりとつくっていって、それこそが世界を同時にサイバーテロリストから守るためのフォースというものを得るべきではないか、そのための信頼醸成、システムの構築というものを国際条例の中でやっていくべきだと思います」
反町キャスター
「日本政府も中国からサイバー攻撃を受けているという認識で中国を見ているのですか?」
中山議員
「細かい部分は避けますが、しかし、一般的な報道をされている中でも、逆に言えば、そういった事例があったというような話はよく聞きます。ただ、インターネットですから、どこを経由してくるかによっても、また、この発信地がどこなのかはなかなか捜査に時間がかかるわけですから、そういった意味では、お互いがお互い攻撃されたと仮に思ったとしても、敢えて胸襟を開いて、しっかりと対話して、信頼醸成して、お互いがベストプラクティスを示しあわせて、お互いが攻撃はないよねということ、それがまさに信頼関係を構築することになるだろうと思います」
反町キャスター
「人民解放軍の5名が顔写真入りで発表されました。あれを中国の当局はどう受け止めたのか?」
朱教授
「中国は現在否定しているわけですね。このサイバーというものが20年、30年、特にこの5年、10年で急速に発展をしてきていると。正直言って、これまでルールがないわけで、確認もできないというような中、しかし、アメリカは世界で1番強い力を持っているわけですね。オバマ大統領も言ったように、本当にやるなら我々はもっと強い力があるよ、というような意味で、米中が今回ホワイトハウスで、互いにサイバー攻撃をしないと合意したのは画期的だと思うんですね。ある学者が表現するには1973年に、米ソが中距離ミサイルの削減条約というところで、もちろん、それによってその後、問題がないわけではないですよ。しかし、その分野で最初の合意で互いにこれ以上は攻撃しないというルールをつくるということに一歩踏み出した。これからまだまだ問題も多いと思うんですけれど、私はまずそれを評価すべきだと」
藤崎氏
「率直に言えば、米ソの時代のミサイルはお互いに数を知っていて、数えられて、そういうものを削減するというのは極めて明快です。今回の場合はお互いが全然見えない、皆が被害者だと言っているわけですよね。政府以外の民間からやることを取り締まろうとしないのですから。それで限定的ですし、それから、既に対話という意味で言ってみれば、戦略対話のもとで作業部会もつくっていますし、戦略対話自体でもサイバーのことは議論してきているわけですから、決して新しいことではない。だから、そういう意味で、率直に言えば、サイバーの成果もそこそこだろうと思います。他方で、ある程度意味があるとすれば、これだけ首脳レベルで言った以上、あまりお互いに直に、政府が関与して、何か今度やれば制裁とか、あるいは逆の場合だって、アメリカがやる場合だって非常に世界に向けて、何をやっているんだということになりますから、お互いに慎重になるという意味ではいいだろう。しかし、こういう問題で信頼醸成がどんどん進むと考えるのはちょっと違うのではないかなと」
秋元キャスター
「米中の首脳合意をどう見ますか?」
中山議員
「合意は一定の評価をしたいと思います。犯人がわからない中で何ができるか。ちゃんと準備をしておくということ。これからの時代は戦争の領域が変わってくるんです、場所が。サイバー空間、それと宇宙空間、この2か所のスペースが重要だと思うんです。その中の国際法をどうやってつくり上げていくか。これが1番のポイントだと思うんです」

今後の米中関係は 日本の外交戦略
秋元キャスター
「日米中の3か国の間で日本はどういう立場をとるべきなのか?」
中山議員
「成熟している大国には責任が伴うと思います。従って、責任をお互いが国際社会の中で果たしていくことが求められるのではないかと思います」
藤崎氏
「米中関係というのはマイナスの側面とプラスの側面があって、マイナスの側面はアメリカから見たら中国の軍事的な伸長です。人権の問題、ルールの問題に、サイバーも入れば、海洋も入るし、知的所有権の問題、皆マイナスのエレメントとしてあります。他方プラスのエレメントはまさに経済的なチャンス、国連での協力、イランとか、北朝鮮との関係改善についても中国の協力が必要です。従って、振り子のように動いているものだと。現在は若干、大統領選挙の前は厳しい側面が出ているけれども、また新しい政権になると、また新しい関係を模索するだろう。日本はその中で堂々と自分の道を行こうではないかと私は思っているんです」
反町キャスター
「韓国がバランサーと言われていますけれど、そういうイメージの日本のポジションではないのですか?」
藤崎氏
「そうではなく、中国とアメリカの関係はプラスの方向に揺れたり、マイナスの方向に揺れたりするのかもしれませんが、日本には日本の道があるのだから、マイナスになったからと言って心配したり、プラスになったからと言って安心したり、そういうことではなく、着々とアメリカとの関係を構築し、中国との関係も改善し、それぞれとの関係を考えていけばいいので、米中の1つのエレメントだと考える必要はないと」

藤崎一郎 前駐米大使の提言:『右顧左眄せず堂々と』
藤崎氏
「米中関係は若干揺れ動くかもしれませんけれども、日本は日本の道があるので、あまり常に米中、米中ということを考えないで日本は日本の道、アメリカとの関係も築く、中国との関係も改善していくということで、きちんと対応していけばいいのではないかと。こういう考え方であります」

天児慧 早稲田大学現代中国研究所所長の提言:『聴其言観其行』
天児氏
「これは実は中国の指導者がよく言う言葉なのですが、私はまず今回の米中会談でもすごくいいことをお互いが、平和がどうのこうのとやっているわけでしょう。本当に大事なことは実行力だと。それがなければお互いの国同士、あるいは国民同士の信頼関係はできませんよ。だから、言っていることとそれを実際に実行することによって、あの国を信用し、あの民族を信用するという。それを私はこれからきちんとやっていくことが大事なので、いくらたくさん会議を開いても、それがなければダメだと思いますので、是非、中国、日本、アメリカの指導者には心していただきたい」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『米中の是々非々主義』
朱教授
「今回の会談で双方の違いを隠さずに言いながら、互いにそれを乗り越えていく。将来的にはもっと信頼できる国同士になっていくのだと。是々非々主義というのも、対中外交で見習って、問題は問題として指摘しつつ、日中関係がアジアにとって大事だということをはっきりと強調すると。ただアメリカ一辺倒だけではないということを示していく必要があると思います」

中山泰秀 外務副大臣の提言:『法の支配 Rule of Law』
中山議員
「これをキチッとやっていかないといけないと思います。地球を俯瞰する外交を総理自ら表明していらっしゃいます。ある意味で、地球はたくさんの文化、宗教の違い、肌の色の違い、全てを乗り越えた形でそれぞれが毎日を生きているわけですよね。そこではある程度のルールというものをキチッと固めていって、お互いが胸襟を開いて、理解を深める、そこから、お互いの安全、幸福の利益の追求が起こり得るので、そのために法の支配が重要だと思います」