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2015年9月21日(月)
ドイツ大使緊急生出演 欧州揺るがす難民の波

ゲスト

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン
駐日ドイツ連邦共和国大使
谷合正明
公明党政務調査副会長 党難民政策プロジェクトチーム事務局長
長有紀枝
NPO法人AAR Japan (難民を助ける会)理事長
森井裕一
東京大学大学院総合文化研究科教授

シリア難民の現状 国内避難民と難民
秋元キャスター
「ヨーロッパに押し寄せるシリア難民ですけれど、シリアにおける難民の現状について見ていきたいと思います。まず難民の数ですけれど、シリアの現状としては、シリアの総人口2240万人に対して、先月末の調査では国内で避難をしている国内避難民の数が763万2500人。国外に逃れている難民は408万8078人ということですけれども、一口に難民と言っても国内で避難している人、国外へ出て行く人というのがいるわけですが、まず長さんに聞きたいのですが、それぞれの事情、どういう事情があるのでしょうか?」
長氏
「そもそも1951年の難民条約では、難民というのは人種や宗教や国籍、それから、政治的意見とか、特定の社会的集団に属している、そういった理由で自国にいると迫害を受ける、あるいは受ける恐れがあるということで、国外に逃れた方を難民と言っているんです。ですが、シリアで起きている状況はそういうこととはまったく別に、現在、シリアで戦争が始まって4年。1つの国というよりは、アサド政権側、一枚岩ではない反政府側、クルド人の支配地区、それから、IS(イスラム国)の地区とか。1つの国が4つの破綻した地域で成り立っているような、そういうところで、生きるために皆さん逃げるしかないという状況だと思います。さらに、国内避難民のお話がありましたが、そのうちの3分の1ぐらいは援助がきちんと届かないぐらい治安が悪化しているような状況です」
秋元キャスター
「シリア人で国外に出ている人達、難民になっている人達についてですが、近隣諸国の中でも主にどこに逃れていくことが多いのでしょうか?」
長氏
「どのあたりに難民が多いかというのは、人数から言いますと、トルコの193万人。レバノン、ヨルダン、イラク、こういうことですけれど、数字だけでは見えない、もっと深い意味がありまして、人口比で考えますとトルコの場合は人口7500万人ぐらいですので、人口比で2.5 %です。他方で、レバノン111万人、トルコより少ないですが、人口が450万人なので人口の26.5%にもなっていると。ヨルダンの場合は人口の1割、イラクで0.7%。トルコでは人口の2.5%と申し上げたのですが、それは全土に均等に散らばったら、2.5%ですが、国境沿い、都市部では本当に10人に1人とか、それ以上の方が難民だといわれている状況があります」
反町キャスター
「ドイツの問題を離れて、現象面としてこの状況をどう受け止めるかというのを聞きたいんですけれど、シリアからわかっているだけで400万人を超える人達が周辺に流出している。現在のシリアを取り巻く状況をどのように、外交官として結構です。どう感じていますか?」
ヴェアテルン大使
「そこに住んでいる人々にとって現状は非常に悲惨です。シリアでは23万人以上が既にこの戦争によって亡くなっています。そして760万人余りは国内で難民となっている。この状況がどれだけ悲惨かというと、我々の想像を絶する状況です。私は、豊かなヨーロッパの国々、ヨーロッパ以外の豊かな国々は、これらの難民を助ける義務があると思います」

シリア難民はなぜ欧州へ 海上、陸での事故相次ぐ
秋元キャスター
「シリアから周辺国に逃れて、その後、ヨーロッパを目指す人達というのも大変多くいるわけですけれども、シリア難民がなぜヨーロッパに行くのかということですが、世界がシリア難民問題に注目するきっかけとなった事件がいくつかありました。振り返っていきます。まず8月の27日、オーストリアで保冷車の荷台から難民、移民71人の遺体が発見されました。リビア沖の地中海で多数の難民、移民を乗せた密航船が沈没し、最大で200人が死亡した可能性があります。また、9月2日にトルコの海側でシリアから逃れてきた少年の遺体が発見されましたが、これは大きな衝撃を与えました。写真もありましたけれども。昨日、エーゲ海で難民、移民46人を乗せたボートがフェリーと衝突し、沈没し、少なくとも13人が死亡ということですけれども、シリアの人達は命の危険もある中で、それでもヨーロッパを目指す理由。これはどういうことがあるのでしょうか?」
長氏
「今、現在の生活がどこに行っても八方塞がりなのだと思います。国内におられる方もそうですし、トルコにおられる方も収入があまりない中でどんどん貯金が減っているとか。もうそうなると命を懸けてでも動くしかなくなっていると。4年経っているわけですから、そういう時期というのもあると思います」

難民の移動手段は?
秋元キャスター
「ヨーロッパに移動するためのルートというのもいくつかあるようですが、説明いただけますか?」
森井教授
「これまで主に2つのルートがあったと言われているんですけれども、地中海を渡っていくルートが最初、暫く使われたわけですけれども、こちらは危険が大きいわけです。ここにイタリアの領土の島があって、たくさんの人が殺到したりしたわけですけど、この夏、大きな問題になっているのはトルコからギリシャに渡って、旧ユーゴ、バルカン半島を通過して、セルビアを通って、ハンガリーに入るというところが1番問題になって、ハンガリーが非常に多くの難民を引き受けるということになったわけです。この数日間の間にハンガリーが国境を閉ざしたために、クロアチアに入って、スロベニア、もしくは、またハンガリーというふうにだんだん西の方に動いていくような状況も見られています」
反町キャスター
「森井さん、シリアの人達、ないしはトルコとか、周辺諸国に逃げた人達がさらにヨーロッパを目指すにあたって、パスポートを皆さん持っていなかったりするわけではないですか。しかも、実際に移動するにあたってはどういうツテを頼って、彼らは陸路、ないしは海路でヨーロッパを目指していくことになるのですか?」
森井教授
「いろいろなタイプの方がいらっしゃるので、もちろん、書類を持っている方もいますし、それらを捨てて逃げていく、もしくはそうせざるを得ないというパターンもありますけれども。いずれにしても今回、バルカンルートに非常に人が集中しているのは、情報化というのが1つあると思うんですね。最近、何も持たずに難民の方が移動してくるわけですけれど、多くの方がスマーフォンを持っているということは非常によく言われるわけです。着の身着のままだけれど、スマートフォンは持っていると。それは、要するに、情報を、どのように安全なヨーロッパの国、EU(欧州連合)の国に入れるかという情報を、そこから得るということが、非常に需要なことになっているようなので、もちろん、その情報はどこから来るのかというのが非常に大きな問題で、それが闇ブローカーというのか、難民の方からお金を捲き上げたり、実質的に人身売買ようなことをやったりと、まったく安全が保障されない形で輸送をすると。先ほどのトラックの中でという事件。まさにそういうことが頻繁に起きているわけで、暗躍するブローカー情報というのがこのルートを決める。もしくは1つのルートにたくさんの人が殺到するということの、1つの背景になっているのではないかと思います」
秋元キャスター
「ちなみにスマートフォンは、皆さん、どうやって充電を?」
長氏
「駅とか、できるところでやっていると思います。それから、もう1つ、スマートフォンで情報収集だけではなくて、私が現地で聞いたところでは、身を守る手段というか、国境を越える時に危ないことをされそうになったなら、あなた達のことをカメラで撮っているということで、そうするとそれが記録されてどこに流れるかわからないということになると、それで怯むという方達もいるので、スマホのカメラを向けている人も結構いると聞きました」
反町キャスター
「料金の支払いなんか、だんだん余計なことが心配になってきますけれど。それが続いている限りは使用が…。そのうち使用料未払いで使用禁止、中断をさせられたら。キャリアによってはその時点で終わってしまう?」
長氏
「もしかしたら逃げて来る途中なので、まだもっているのかもしれないですけれども」
反町キャスター
「先ほどいわれたブローカーの実態というのは、たとえば、1人いくらで、どこまでで、何か具体的な相場感みたいなものというのは出ているのですか?」
森井教授
「難民が持っているスマートフォンにはその相場表みたいなものがどうも出ていると、私はドイツの報道で見ました。相場と安全の程度というのがその中で表示されていて、安全なルートは高いと。実際にどうかわかりませんけれども、少なくともそういう情報を手にして、難民の方はEUに向かっているということのようです」
反町キャスター
「長さん、そのへんの相場みたいなものを聞いたりしたことはありますか?」
長氏
「私は、シリア国内からトルコ国境に出るだけで700ドルとか…」
反町キャスター
「シリア国内からトルコに出るだけで8万円?」
長氏
「というのを聞いたことがあります。さらに、船の大きさですとか、そこに何人乗れるかによって、20万とか、40万とか、もっととか、いろんな噂があります」
反町キャスター
「その40万円でドイツへ届けてくれるのですか?」
長氏
「いや、ドイツまでではなくて、ギリシャまでだと思います。そこから先は自力で、徒歩だったり、バスだったり、電車で動くのだと」
反町キャスター
「大使、大量のシリア難民がドイツを目指しているという、この状況についてはどう感じますか?」
ヴェアテルン大使
「難民の方々にとってはシリアから逃げたいということです、まず。近隣諸国でシリアよりはましなところに行きたいということです。ドイツに関しては、パラダイスのようなところだと噂が広がってくるようで、もちろん、パラダイスではありません。しかし、私はドイツ大使として、多くの人々がドイツが素晴らしい国だと、行きたいと思っていただけることは非常に栄誉なことであります。ドイツでは本当に難民の方々を歓迎しています。本当にドイツ国民の普通の方々が、駅に難民の方々が電車で着いたらあたたかく迎え入れるんです。それは、私はまさしく今年1番の素晴らしい映像だと思います。しかし、一方、密航ブローカーです。この人達にとっては実際に密航させる難民達の命はどうでもいいんです。犯罪です。ですから、EUとしてはこの密航ブローカーのビジネスモデル、人身売買や密航ブローカーに対して対策を講じるということを決めています」
反町キャスター
「谷合さん、いかがですか?現在のシリア難民の、ヨーロッパに向けた想いというか、考え方。どう感じましたか?」
谷合議員
「私も難民の方の思いを全てわかっているとは思っていないですけれども、1つは豊かさを求めて、当然ヨーロッパの中でもドイツや北欧のスウェーデンといったところを目指すんだと思います。難民の方も情報は持っていますから、どこの国が難民に対してポジティブなのかというのは当然、知っているわけでありまして、ヨーロッパの国々でも、それぞれが難民、移民の受け入れについて内政問題化していて、それが政策判断にも影響を与えているくらいなものですから、そうした中で大使が言われましたけれど、より良い国を目指す。そういう動きになっているのだと思います」

EU・ドイツの対応は?
秋元キャスター
「今回のシリア難民問題ですけれど、EUは積極的に対応策を打ち出しています。ここまでのEUの動きを振り返っていきたいと思うのですが、まず7月20日にEU域内で4万人の割当制度導入を検討しました。9月の9日、12万人の追加域内移住を提案します。9月23日からEUの緊急臨時首脳会議が開催されているという流れになっているんですけれども、ドイツが今回の問題で他のEU諸国をリードしているように見えるんですけれども、ドイツの動きを見ていきたいと思います。8月31日にメルケル首相が難民排斥デモに対し『人の尊厳を軽んじる者を容赦はしない』と非難しています。9月7日に、ドイツは今年末までに入国する難民は80万人と予想していて、60億ユーロを追加拠出するとしています。9月13日、難民の流入に一時的な国境検問を開始ということなのですが」
反町キャスター
「これまでに何万人の難民を実際に受け入れているのか?これから先、トータルでは80万人という話になっていますけれど、80万人をいわゆるアッパーリミットとして考えているのか、ないしはこの間の記者クラブにおいても100万人の可能性があると言いましたけれど、どのぐらいまで最終的に広がると見ているのか?この2つを教えていただけますか?」
ヴェアテルン大使
「ちょっと誤解をされていることが1つあると思うのですが、まるでドイツ政府が80万人受け入れますと宣言したかのように思われていますが、そうではありません。80万人という数字はあくまでも予測です。この数字は今年の末までに、2015年末までに80万人になるだろう。80万人の難民が来るだろうという予測です。もしかすると、それ以上になって100万人になるかもしれません。ドイツの難民庇護法というのはドイツの憲法で保障されています。自分の祖国で政治的な迫害を受ける者は、ドイツでは庇護権を申請する権利があり、それに関して上限はありません。これはメルケル首相もつい先頃、はっきりと公言したところです」
反町キャスター
「これまでに何万人を受け入れているのですか?実績としては」
ヴェアテルン大使
「合計では、私も数字がわからないのですが、随分前から、ドイツは第二次世界大戦後にまで遡るのですけれども、1945年以降、1200万人のドイツ人が当時の東ヨーロッパからドイツへと追放され、追われて逃げてきました。これも当時のドイツにとっては大きなチャレンジでした。バルカン半島での戦争の間にも多くの人々がドイツへと逃れています。ドイツはそういう経験をしており、多くがドイツを目指して、ドイツで仕事を探す移民の人々との経験を基にしています。難民というのは、ドイツを豊かにする人達でもある。私達は、彼らから学ぶことができ、社会にとって大変大きなチャレンジではあるものの、つまり、難民を統合するというのは大変ではあるが、一方で、経験を積むことによって社会が成長する機会でもあるのだと捉えています」
反町キャスター
「それはある意味、人道的な理由から受け入れるという理由も1つあるけれども、一方で、移民、難民による労働力がドイツ経済を下支えする。そういう外から入ってくる労働力はドイツ経済の大きなパワーとなっている。こういう理解でよろしいのですか?」
ヴェアテルン大使
「はい。ただし、2つのことを混同してはいけません。現在、ドイツの域などに到着している難民というのは決して彼らがドイツにとって優れた労働力か否かということで区別されることはありません。難民というのは、ドイツの負っている人道的な責任から助けなければならない人々です。ただ、一方で、ドイツは実際に技術職、専門職の不足に悩んでいます。ドイツは積極的に教育水準の高い移民を受け入れていますけれども、移民と難民をきっちりと区別することが必要です」
秋元キャスター
「森井さん、ドイツのような難民への対応策みたいなものというのは、他のEUの国ではできないものなのでしょうか?」
森井教授
「なかなか難しい面があると思います。ドイツの基本法第1条には人間の尊厳は不可侵であると書いてあるわけです。これは、第二次世界大戦に対する反省から人間の尊厳は不可侵であると。次に、憲法16A条というのがありまして、政治的な、大使が言及されたように迫害されている人を受け入れると。これも歴史的な経験からきているわけで、このような明示的な憲法の規定を持っているが故に難民の扱いというのはドイツでは別格になっていると。戦後70年、寛容な社会をつくるというのをドイツは目指されてきましたし。それから、多くの移民労働者を受け入れましたけれども、これも近年、社会の一員として、しっかりとドイツ社会を統合するというのができてきているなど、外から来た人々に対する非常に寛容な姿勢というのがドイツでは一般的だと。これに対してこれまで外国人が少なかった、移民が少なかった東欧の国々では、経験があまりない。また、歴史的な戦争の経験もまったく異なるわけなので、EUの中で全ての国が同じようにというのは非常に難しい。しかし、これを何とかして合意形成していくというのがEUなのではないかと思います」

EU諸国の反応は
秋元キャスター
「EU諸国の難民の振り分け案、各国の反応というのは?」
ヴェアテルン大使
「世界中、ヨーロッパでも、ドイツでも一国で難民問題を解決できる国はありません。そこでドイツ政府はEU全体で取り組むべきだと言っているわけです。EUの理念というのは責任と連帯。我々としては難民を受け入れる負担を公平な原則のもとに、EU加盟国に割り振る必要があると思っています。多くのEU加盟国が、連帯を示しています。その恩恵にも預かってきました。現在、連帯がまさに求められているわけです。さらに重要な点はEUの統合プロセスの中で獲得してきたものを危険に晒したくないと。たとえば、移動の自由。EU域内では国境の検査なく、検問なく、自由に移動できる。あるいは労働力の移動も自由です。これが現在少し危険な状態になりつつあります。すぐにとは難しいと思いますが、EUの中で合意を見つけて、この理念がそのまま受け継がれていくと思っています」
反町キャスター
「実際に東欧諸国、特にハンガリーが非常に厳しい対応をしている?」
森井教授
「ハンガリーは特殊事例だと思います。以前からEUの中では民主主義や、法の運用の仕方で問題があるという指摘がここ数年間続いていた国なので、今回の難民に対する対応も厳しい。ドイツから見ると、非人道的な対応が行われたとよく指摘されています。ハンガリーは少し例外的な状況だと思いますが、中東欧の国は移民・難民の経験値が低いということもあって社会で受け入れに対する寛容度が若干低いということもあります」
反町キャスター
「陸路はどうなるのか?」
森井教授
「難民が出発してくるところに向けてEUは外交的努力をしていますが、直接難民が殺到しているところにもEU全体として力を貸すことをしなければいけない」
反町キャスター
「EU全体として、たとえば、ハンガリーなり、クロアチア…受け入れに慎重な東欧の国々に対して圧力をかけることが暫く続いていくことになるという理解でいいですか?」
森井教授
「ドイツの国内政治でも圧力をかけるような発言はチラチラ見られましたが、それはEU全体のコンセンサスを壊してしまうので、その方向にもっていくのではなくて、EUにはフロンテクス、域外国境管理協力庁と言うのですが、能力が十分でない国に対して、域外、外の国境を管理するのを皆で助けると。これはこれまで地中海でも行ってきましたし、ハンガリーでも現在行っているのですが、十分ではないですね。他のEUの国がお金を出しあったり、実際の組織、国境警備の要員などを出したりもしながら、体制ができていて、2005年から動き出しています。こういうのを充実させながら、難民問題に対応していくしかない。できるだけ短い間にコンセンサスを政治的に構成するということが重要だと思います」

世界、日本は難民にどう向き合うか 日本ができる支援の形とは?
秋元キャスター
「今後、日本は難民に対してどういう姿勢で臨めばいいのでしょうか?」
谷合議員
「一般論でいいですよね。2011年に衆参の本会議で、難民政策に対して日本がこれからも積極的にやりましょうという全会一致の決議が出ているんです。世界で初めて。難民問題では、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とか、パレスチナ難民救済機構などがありますが、基本的には日本に対しては高い評価だと思います。何が高い評価かというと、1つは日本の財政的な貢献、もう1つはNGOのグループとか、実際に日本の若い男女のスタッフが現場で貢献している。問題は受け入れの数になってくるんですね。安倍総理が今回の平和安全法制の議論もありましたけれど、シリア難民問題について日本としては軍事的な後方支援はやらないと、非軍事の人道支援をやると宣言しています。日本はこれから何ができるかということで、国会で議論になりましたが、シリア周辺国の安定化支援、難民が発生しないような支援、難民が発生した場合の難民に対する人道支援をしっかりとやります。そこから先はどうするのか、1つは現状の政策のままで強化する。現状の政策というのは、シリアを含めた周辺国支援、この3年間でシリア周辺には日本は1000億円を拠出しています。難民に対する支援だけではなくて、受け入れ国の住民に対する医療だとか、教育だとか、そういう支援も同時にやります。プラスアルファをどうするのか。1つは難民条約上の難民の定義がありますから、これまでは紛争難民は基本的には受け入れていないわけですね。紛争難民は人道的に配慮という形で、法務大臣が年間で150人ぐらい受け入れる。その中に、新しい迫害の形態、紛争による迫害であるとか、DV(ドメスティック・バイオレンス)による迫害であるとか、広い意味での難民を日本としてどうやって受け入れていくのか。この中にシリアの難民問題だとか、ここをどう位置づけるというのも1つだと思います。第3国定住ということがあります。難民受け入れに関しては、条約難民で受け入れるやり方と、そうではなくてシリア周辺にいる難民、たとえば、ヨルダンにいるシリア難民がいますね。そのヨルダンから第3国である日本に、第3国難民として日本が受け入れるかという話があります。現在のところは、第3国定住制度というのは、基本的にミャンマー難民だけ年間数家族受け入れているのが現状です。国籍を外して、もう少し柔軟に対応していくかどうか、これも選択肢として考えています」
反町キャスター
「難民の枠を拡充するという選択肢を日本はとるべきかどうか、そこはどうなのか?」
谷合議員
「個人的に、何百万人と発生しているシリア難民ですから、日本が受け入れた数はたかが知れていまして、その意味では、根本的な解決にはならないと思います。財政的な支援をこれまで以上にしっかりやっていくということが…。国内の世論の問題もあります。たとえば、シリア難民だけではない、ロヒンギャ難民などもいる。さまざまな地域で紛争なり、迫害で難民が発生していますけれども、その中で日本が受け入れた時にどの自治体が受け入れるのかとか、具体的な話になっていくると…」
反町キャスター
「移民の話、経済力とか、人口を考えた時に、移民を受け入れることについてはどのように考えていますか?」
谷合議員
「現在、日本は移民政策をとっていません。移民とは定住前提に受け入れるということです。ですから、難民も定住を前提に受け入れるわけです。日本は定住させずに、いったん受け入れるという政策なので、高度人材を受け入れるというところにとどまっている。その理屈には、建前のところもあって、実際は長く居てほしいというのもあるわけでして、これからの労働人口を考えていくと若者とか、女性の労働力とか、高齢者の労働力でカバーしていくのは当然ですけれども、それで今後、10年、20年、30年という長期的なビジョンに立った時に耐え得るかという話があります」
反町キャスター
「ドイツの例から見た時、日本の難民政策、移民政策は、今後どうあるべきだと考えていますか?」
ヴェアテルン大使
「もちろん、日本に何かアドバイスをするという立場ではありません。実は難民が発生する原因についての話がなかなかできていないと思うのですが、たとえば、シリアという国を安定化させるにはどうすればいいのか、そういうことに日本は非常に大きな貢献をなさっている。国連分担金を、2番目に大きな額を拠出していらっしゃいます。国連人権理事会に多大な貢献をなさっているわけです。しかし、グローバル化した世界の中で、離れ小島というのはもはや存在しない。たとえば、アジアの地域でもどこかの国が不安定になって、難民が日本の海岸に押し寄せる事態も排除できないわけです。その時になって難民問題について考え始めても遅いわけですね。ですから、現在ヨーロッパが直面している難民問題を契機に日本でもいろいろ考えていただければいいのではないかと思います」

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 駐日ドイツ連邦共和国大使の提言:『一緒に助けましょう』
ヴェアテルン大使
「一緒に助けましょうと書きました。人々に対して、政府に対しての提言です」

谷合正明 公明党政務調査副会長の提言:『我が事として』
谷合議員
「他人事ではなくて、我が事として考えるべきだと思います。日本の国内に、実際に難民の方が暮らしています。数は少ないと思いますが、遠い世界の話ではなくて、身のまわりにもいるということを知るところから、この問題に取り組むきっかけになっていくと思います」

長有紀枝 NPO法人AAR Japan (難民を助ける会)理事長の提言:『シリアに和平をもたらす努力』
長氏
「シリアに和平が成るような努力を国際社会全体でと。受け入れと言っても限りはありますし、1番の解決策は、皆さんが帰れるような世界になることだと思います」

森井裕一 東京大学大学院総合文化研究科教授の提言:『多角的協調』
森井教授
「難民問題は、元を突き詰めていけば、地域紛争、地域の不安定などですから、日本で単独に何かということにはならないです。国連機関、UNHCRなどの財政貢献を含めて、ヨーロッパの国々、アメリカとも強調しながら、多角的な枠組みの中で国際社会が全力でこの問題に取り組めるように積極的に貢献していくことが重要だと思います」