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2015年9月7日(月)
踊り場?失速?反転は アベノミクスの現在地

ゲスト

片山さつき
自由民主党参議員外交防衛委員長 参議院議員
大塚耕平
民主党政策調査会長代理 衆議院議員
小幡績
慶応義塾大学准教授
永濱利廣
第一生命経済研究所主席エコノミスト

世界経済不安から日本を守れるか G20開幕
秋元キャスター
「一昨日、閉幕したG20ですが、共同声明の概要を見ていきたいと思います。成長戦略を適時、かつ効果的に実施することを確認したうえで経済回復を維持するため、断固たる行動をとる。いくつかの先進国、アメリカなどで金融引き締めの可能性が高まっていることに留意する。特に、金融政策、その他の主要な政策決定を行うにあたり、明確にコミュニケーションを行う。通貨の競争的な切り下げを回避、あらゆる形態の保護主義に対抗するとして、中国を牽制しているということですけれども、片山さん、これで経済安定の道筋が見えてきたと見ていますか?」
片山議員
「まずG20で、中国問題を皆でシェアするということで、中国の代表も含めて、自らには行動調整の問題があると。バブルの崩壊もあったということを認めたということは、昔で言えば、G7の議題に乗ったということですから、これは1つ大きいですよ。言うべきことをきちんと言って、G20の財務省中央銀行総裁が認識を1つにしたと。やってはいけないのは、マーケットを裏切る形の急激な利上げなり、急激なアクション。それから、中国は習近平体制が強すぎるのも、軍事的には我が国にとってはまずいけれど、弱すぎて崩壊し、突然なリスクを負うことも世界経済にとってはまったくマイナス。そういう二局面が表われた結果だと思います」
大塚議員
「これは、今回のG20は、アメリカと中国に対してちょっと待ったということを言ったG20です。結局、8月に中国が元の切り下げを3日連続でやって、アメリカは、利上げが秋に予定されていたと。皆が思っているわけです。元の切り下げ、米国の利上げという、このパッケージで暫く行くのではないかとマーケットが疑心暗鬼になっていたわけです。このパッケージが定着すると、元の切り下げということは、これは中国からの投資資金が海外に流出すると。それから、アメリカは結果として若干のドル高になって、アメリカにとっては決していいことではないと。だから、元切り下げ、アメリカ利上げ。それに伴う中国から資本流出。アメリカの輸出減少に伴う景気後退。このパッケージが、マーケットが、ビルトインというか、そう思い込んでしまうと、暫く流れが決まっちゃうんです。だから、それが決まっちゃうと秋口の経済は大変なことになるので、コミュニケの2番目で、アメリカにまず利上げ、ちょっと待ったと。もうちょっと冷静に考えろと。それから、3番目で、中国に対して通貨切り下げにちょっと待ったと。そんなことをやると自分の国から資本流出するよということで、今回は何か決まったというよりまずこの8月の混乱の原因について冷静になりなさいということを両国に申し渡したというところまでです」
反町キャスター
「米中に対して言ったといっても、中国もアメリカも、この声明を了解して出しているわけですよね」
片山議員
「そうです」
反町キャスター
「アメリカも、中国も、こういうふうに言われることを了解したというのは、これは片山さん、どういう?」
片山議員
「これははっきり言って、まとめる時に相当議論しますから、この方向を向く可能性が高いという意味で意味があるんです。ですから、一定の安定とアナウンスメント効果を生むのですが、中国が抱えているのは長年溜まった構造問題ですから、それをどうするのということは、中国の体制にもかかわることですから。そう簡単には…彼らがそれで構造調整、少しずつでもやりましょうと。国内政治調整をどうするのというと、おそらく国有企業の既得権にメスは入れられにくいでしょうから、だから、5年かかるとか、10年かかるという話が出てくるので」

中国ショックへの対応は
秋元キャスター
「4日のG20の会議において、楼継偉中国財政相がこのように発言しています。『5年間は中国経済にとって、構造調整の痛みの時期だ。苦難の過程になるだろう』と話をして、また、難局は10年間続く恐れもあるということも示唆しているんですけれど、永濱さん、中国の財政相がこのような発言をする中国の状況をどう見ていますか?」
永濱氏
「その通りだと思います。中国の構造問題というと、そもそもこれまでの、いわゆる、投資中心の高度成長から、安定成長への移行期ということで、必然的に成長が下がりやすい状況で、まさに生産年齢人口が減り始めてしまったので、そういう時は、過剰投資になりやすいんです。ある程度、成長の減速というのは仕方がない。さらに言うと、ここにきて、急に世界同時株価安になりましたけれども、実際の、中国のデータを見てみると、中国のデータの中で1番信用されると言われる李克強指数。これを見ると年明けから相当、減速しているわけです」
反町キャスター
「李克強指数というのはどういう数字なのですか?」
永濱氏
「貨物輸送とか、発電量とか、銀行貸し出し。これを合成し、これが中国の実態を1番表しているというデータですけれども、と言うことなので、今さら急に景気が悪くなったわけではないです。さらに言うと、私は、この世界同時株安が反転するきっかけというのは、中国で信頼のおける経済データが反転するということが必要だと思うんです」
反町キャスター
「李克強指数みたいなやつ?」
永濱氏
「実は、李克強指数は、いったんちょっと反転しているんです。実は中国も何も対策をやっていないわけではなく、年明け以降金融緩和をやっているし、小出しだけれど、財政政策もやっているので、その効果がちょうど出てくるのかなぐらいのタイミングで、こういうことになっちゃったんですけれども」
反町キャスター
「5年間と区切っている。5年間で何ができるのか。何をするのかというのは?」
片山議員
「ないでしょう。要するに、中国共産党ですから昔のソ連のゴスプランみたいに5年計画とか、10年計画があるだけで、永濱さんがおっしゃっていたことでポイントを突いているのは、ずっと7%で、人民代で決めようと、政府決定の。この数字はそのままではないだろうということを、皆、言っていたんですけれども、李克強指数みたいなものが出ていることを容認して、実際は低いんだけれど、底を打っているという情報を出させているというところが、彼らもマーケットを見てきていて。ですから、14億人いる経済で、実態はまだ途上国的なものがあるので、その人達が皆、食べていかなければならないですから、その力というのはあるんです。現在ドル建てでいけば、日本の倍近いGDPを持っていますから。多少下がっても、世界の終わりではないです」
大塚議員
「そもそも根拠がないというのは5年が10年になるかもしれないと言っているわけだから、倍ですから」
反町キャスター
「何年かかると見ていますか?永濱さん」
永濱氏
「対応の仕方次第だと思いますけれど、過剰投資をある程度ソフトランディングさせるためには、それなりの需要を刺激するとか、景気を支える政策をやりながら、逆に言うと、バブルにしないような舵取りが求められると思うんですけれども、ただ、幸いなことに中国はまだ一応、金融財政政策の余地はあるので」
片山議員
「州政府の赤字が割に少ない。20%ぐらいですか…しかないので」
永濱氏
「ですから、いかにうまくやるか。あるいは国際的にアドバイスもしていければいいのではないかという気もしますけれども」

アベノミクス徹底検証 異次元金融緩和から2年
秋元キャスター
「アベノミクスについて聞いていきますが、アベノミクスの第1の矢であります大胆な金融政策が実施されたのが2013年の4月ですけれども、あれから、およそ2年半が経ちました。最も顕著に動いたのが株価でした。こちらを見ていただきたいと思いますが、2012年の12月には1万円を切っていた日経平均株価ですけれども、今年の6月には2万0952円まで回復しました。現在は、1万8000円を割り込み、今日は1万7860円となっています。それから、為替ですけれど、東日本大震災や不透明な景気で、90円台前後で推移していた円も現在は119円前後で推移するなど大幅に円安傾向になっています。この株価上昇、それがもたらした円安ですけれど、それらの要因となったのが日銀の2度の量的、質的金融緩和と言われていますが、片山さん、この2年半、アベノミクスはどのような効果を出したと見ていますか?」
片山議員
「まず20年続いた低成長デフレ。デフレということは投資してもしようがない、買ってもしようがないということですから、そのマインドを払拭して、企業収益を上げたということが1番大きいと思います」
反町キャスター
「大塚さんはどうですか?株高、円安をもたらした金融緩和」
大塚議員
「スタートして、もう3年が経っているわけで、いろいろなデータがちょっとずつ気になり始めているんですけれども、たとえば、実質GDPは実額で10兆円ちょっとぐらいしか増えていないです、3年近くで。民主党政権の時はリーマンショック、そこから増えたので、単純比較はできないですけれども、あれだけいろいろご批判も受けたけれど、27兆円増えているわけです。今回まだ12兆円にとどまっている。さらに心配なのが、結局、先ほど、企業収益のことを、片山さんはおっしゃってくださったんですけれども、確かに、昨年度、経常利益で言うと23%増ぐらいになっているのですが、年が明けてから、年度が明けてから、設備投資が減速し始めているんです。かつ個人消費は確かに若干プラスで、実質賃金も2年3か月ぶりにプラスと言っておきながら、実質賃金の場合2年3か月ぶりということは前の年も、前の前の年もマイナスなので発射台が低くなっていますから、2年3か月ぶりにプラスになったのは良いけれども、決してまだ喜べる状況ではない。それから、個人消費全体が足踏みしているということになると結局、経済を構成している設備投資も、個人消費も、ちょっと心配。輸出は120円台で大変良かったんですけれども、110円台前半ぐらいで定着するようになると、輸出もちょっと昨年までが高かった分、減速します。そうすると、景気対策ということで結局、財政にまた皆の期待が戻っていくと、政府が、財政支出をする。それを支えるのは、日銀の国債市場での国債の購入という、いわばこれまで無理してやってきた構造をさらに無理しなければいけないという展開になっていった時には、これはちょっと心配な状況になるかもしれないです」
反町キャスター
「1の矢に関しては金融緩和。株高、円安をもたらしたところまでは一応評価できるという人が比較的多いですけれども、小幡さん、ここのところ、1の矢についてはどう見ていますか?」
小幡准教授
「アベノミクスという言葉を使っちゃうと、安倍政権がやれば、全部アベノミクスなので、要は、アベノミクスというのは、これまでの皆さんの議論は、要は、金融緩和です。ほとんど金融緩和。他はやっていないという、いろんな批判はありますけれど、要は、異次元緩和。過激な金融緩和。この点から言うと、アベノミクスは終わったんです。役目を終えたということです」
反町キャスター
「もう手じまいにすべきだという意味ですか?」
小幡准教授
「そうです。だから、評価する側に立てば役目を終えて良い部分は終わったと。つまり、総悲観論、デフレマインド脱却という言い方でもいいですし、総悲観論脱却という日本が皆落ち込んだ時に、やれるという雰囲気をつくって、株価もそれにあわせて上がったということで、これはすごく良かったんです」
反町キャスター
「では、手じまいにすべきだという意味ですか?」
小幡准教授
「そうです」
反町キャスター
「異次元金融緩和をやめるべきだという?」
小幡准教授
「そうです。やめ方がすごく難しいんですけれども。批判する側からすれば、短期的にはこういう刺激で、すごく落ち込んだ、くぼみに落ち込んだ、突っかかっていた日本経済をピューッと持ち上げたから、そこは素晴らしいと。短期的に量も出した、財政も出したし、刺激を突いた。でも、長期的にはどうですかというと、それは財政を使ったコストも、金融緩和のコストもないと言っている人もいますけれども、一般的には、長期にはコストが出てくると。どこかで、国債を回収しなければいけませんし。そう考えると、これからは長期的なコストの方がどんどん出てきて、負の方が出てくるから、手じまいと。いずれにせよ、アベノミクスがこれまでうまくいったという人も、今いちといろいろ言う人も一部はいるけれど、量はそんなによくなっていないという人も、いずれにせよ、金融緩和に関していえば、手じまいにしなければいけない。これだけは間違いないと思います」
反町キャスター
「永濱さん、手じまいとした方がいいタイミングなのですか?」
永濱氏
「いや、そうではないです。と言うのも、私はアベノミクスを基本的に評価しているんですけれども、結局、アベノミクスはデフレ脱却というのが最大の目標だったわけです。それを考えると、アベノミクスの評価、効果があると評価するには、需給ギャップがどうなっているかが最大のポイントだと思うんです。それで見ると、需給ギャップって、アベノミクスが始まって、円安、株高によって景気が良くなったので、相当縮小し、消費増税する直前は若干プラスになってきたんです。だったんですけれども、消費増税でまた元のところまで戻って拡大しちゃったわけです。そこから、また、戻したんだけれども、また、ちょっと現在拡大しているというところがあるので、需給ギャップが、私の計算だと9兆円以上あるんです、年額換算で。と言うことは、需要刺激策がまだ足りないということからすると、金融緩和だってまだ余地はありますし…」

消費が回復しない背景は
秋元キャスター
「肝心の景気回復はいつになるのかということを聞いていきたいと思うのですが、今年7月の消費動向を表す消費者態度指数ですけど、安倍政権発足後、ピーク時は45.7ポイントだったんですけれども、消費税増税で下落。昨年の原油安もあり、少々持ち直したのですが、今年も横ばい。7月の指数は40.3ポイント。相変わらず伸び悩んでいる状況なのですが」
片山議員
「我々がこれからやっていくべきものは、成長経済で、現在、大企業が、1億円以上の企業に法人税を減税して、収益が上がって、投資をさせようとかいうお話があるのですが、国民の9割は中小企業に勤めているわけですから、中小企業にその恩恵が行くかという話をやらなければいけないのと、それから、消費者の態度の中で何が変わっているかというと、民主党政権時代に比べて明らかにベースアップで給与は上がってはいるわけです。下がってはいない。2年連続。それから、最低賃金も17年上がっていないから、非正規雇用の取り分もあって、よく国会で論争になるのは、平均して、実質で見てしまうと伸びはちょっとなのですが、総雇用者所得で見ると上がっていると。そうすると、家計で奥さんがパートに出るから、ある程度できるのではないのと。あとはマインドが消費に出るかどうかです」
大塚議員
「片山さん、上がっているのに、何で消費態度指数が下がっているのか、そこの説明をしないと」
片山議員
「そこは先行き不安ですよね」
反町キャスター
「永濱さんから見て、日本の先ほどの需給アップの話。需要を増すためには、資産家にもっとリッチになってもらった方がいいのか。低所得者に対して、使えるお金をまわした方がいいのか。これはもしかしたら、自民党と民主党の違いなのかもしれない」
永濱氏
「両方です」
反町キャスター
「アベノミクスはどちらなのですか。アベノミクスはバランスがとれていますか?」
永濱氏
「やや、ちょっと弱者に対しては…もうちょっと手当てが必要かと。ただ、弱者が全部、割を食ちゃっているかというと、そうではなくて、アベノミクスが始まって、100万人の失業者が職に就けているんです。ということを考えると、そこは底辺の人達にも恩恵がいっているんです。ただ、一方、円安のところが皆にプラスにはならないので、あとは、どうせ賃金が上がっても、高齢者の方には関係ないです。そうなると、パイの全体が拡大したところの一部の税収が増えたところを使って、再分配というところは、ある程度必要になってくるのではないかと」
片山議員
「そこのところは、私達も認めていて、仮に、補正が必要な状況になったら、低所得者と年金所得者に対する、直接的な消費対策です。これをピンポイントで打つべきだと思います」
反町キャスター
「直接的な消費対策とは?」
片山議員
「それはどういう形で、それをまわせるかは…」
反町キャスター
「民主党政権の時に、散々言っていたバラマキ…」
大塚議員
「うちはバラマキをしていません」
片山議員
「消費税を上げる時には簡易な給付をやっています。それを取りにこない人がいるとか、いろんな議論はあるけれども、本当はマイナンバーとかで、あれに金融機能があれば、そこに送ればいいわけですね。きちんと家族状況、所得がわかるのだから。そうすれば、公平感もあるわけだから、分配をやるうえでも国民全体の理解もでるんですけど、それができれば1番です」
大塚議員
「あとは相対的に所得が、統計的にみれば低い中小企業に対しての考え方なのですが、だから、為替も円安になったのは確かにプラスですけれども、1970年代とか、1980年代までの円安の影響と今回が違うということに対する洞察がちょっと足りなかったです。つまり、あの頃は円安があると、大企業の周辺の中小企業もある意味、皆恩恵を被ったのですが、現在はさすがに120円になると、最終的な大企業にはプラスでも、関連企業とか、下請けは、原材料を輸入したりしていますから、120円というのは結局、行き過ぎだった面があるんです。だから、そこで働く皆さんの所得を上げるためにも、為替ももうちょっと、輸出側にも、輸入側にも、ニュートラルな水準に少し戻さないと、結果として中小企業の業績、そこで働く人達の所得という形にも波及していきませんから、だから、為替の水準も実は現在の消費の話と、決して無関係ではないと思います」
片山議員
「そうすると、大塚さんは、そのバウンドというのはどのぐらいと見ているのですか?」
大塚議員
「現在だったら、100円台でしょう。アベノミクスが始まった頃の購買力平価と、だいたい100円挟みの95円から100円ぐらい」
片山議員
「私は、むしろ今時分のレンジだと思います」
永濱氏
「結局、円安が進んでも倒産件数とか減っているわけではないですか。それを考えると必ずしも中小企業が皆マイナスというわけではなくて、パイの拡大には絶対、円安がいいんです。だから、私はある程度、円安は自然のままでいいと思っていて、再分配の方をもうちょっとやれば良いのではないかと思います」

実質賃金上昇率0.3%に
秋元キャスター
「やっと賃金が上昇に転じたわけですが、この傾向というのはこれからも続くと見ていますか?」
片山議員
「トリクルダウンというのか、好循環になってきたわけですが、ただ、6月が悪かったので、これで諸手を挙げて賛成と思っているわけではなく、法人税改革をやる時に何とかして賃上げへの配慮というのを先行減税やりながらも、給与支払額を増加させたら、要するに、減税するようなことをやったわけですよ。大企業だけではなくて、中小企業も。この検証をできるだけはやくしたいと。まだ3%に下げた部分について出てきてないんですよ。来年の3月。これをはやく見たいねという話を主税局ともしていて、これが効かないのであったら要件を緩和するなり、本当に異次元的にこれまでにないことを…。要するに、給与支払いを増やしたら税金を減らしてくれるということまでやったのですけれど、そこまでやらないと、長いこと冷え切っていた企業マインドで労働分配率を上げるということはできないということで、そこが私は1つキーになると思っていて、ただ、いい形としては雇用者所得が増えている。名目も実質も増えているということは人件費を払う気持ちが出てきているし、実質も現在人が足りなくなっているので、この流れを実質賃金が上がるような形に持っていってきちんと全部給与も上げていく。そういう形にしたら減税という形にした方がいいかもしれないですね。給与をベアアップに変えたらと、はい」
大塚議員
「もちろん、プラスになったのはめでたいことですけれど、前半で申し上げたように、2年3か月ぶりだから。昨年もその前もマイナスだったわけなので発射台がこんな下がっちゃっていますから、決して手放しで喜べる状況ではありません。それから、そのうえで、それは平均ですし、全体で0.6ですから、今日は1度も格差という言葉が出てきていませんけれど、今年の前半はピケティさんで格差が話題になりましたけれども、最近は勤労者の中でも格差が拡大しているわけです。それで先ほど来、失業率の話も出ていますが、失業率は確かに完全雇用に近くなっていますが、アベノミクスがスタートしてからの雇用増のかなりの部分が、いわゆる有期雇用の皆さんで吸収されているわけですね。そうすると、雇用の正規の方との所得格差もありますから、0.6というのは、かなりばらつきがあっての平均値だってことを考えると、先ほどの消費の話とも関係してきますけれども、プラスに今後もしていくことは必要だけれども、より中低所得層が寄与する形で実質賃金がプラスになるということが必要ですし、2年3か月マイナスが続いたということを考えると、最低でも2年ぐらいプラスを続ける、続くと、ジワーッと勤労者所得からの消費にもプラスが出てくると思います。ここからですね」
永濱氏
「このデータが過小評価ですよね。どういうことかというと、からくりがあって、1人あたりの賃金でやっているので、要は、現在どういうことが起きているのかというと、パートタイム労働者の比率が上がっているではないですか。パートタイム労働者の賃金は低いから、その人の比率が上がるだけで、平均の賃金が下がっちゃうんですね。その要因がどれぐらいなのかを計算すると、直近は実はそれだけで0.3%下げられているので、名目の賃金は実は0.9%は、本当はあって…」
反町キャスター
「家計全体の所得はバンと増えている?」
永濱氏
「バンまでではないですけれども、さらに言うと、今年の1月に細かい話ですが、調査企業がサンプル替えされ、賃金がちょっと下がったことによって、過去の分で調整しているんです、低く。となると、本当はもうちょっと高く出る、たぶん実態は名目賃金1%以上は上がっていると思うんですね」
大塚議員
「そうすると、これは視聴者の皆さんのためにもそういう定義上の問題も理解していただくとすると、この統計は従業員5人以上の事業所が対象です。従業員5人以上の事業所で働いている人というのは、マジョリティではないです。5人以下の小さいところもかなりの方がいらっしゃるので、だから、永濱さんがおっしゃったようなプラス要因も加味するとすると、世の中全体の実態を見るためには5人未満で働いている人達のことも考えると、統計上は永濱さんのおっしゃった通りかもしれないけれど、全体としての賃金を見る時は、この統計はそういうものであることもちょっと理解しておかないといけないと思います」

安倍政権の成長戦略評価
秋元キャスター
「現在の日本に必要な成長戦略は何だと考えますか?」
永濱氏
「いろいろあるんですけれど、敢えて1つ上げるとすると、私はもっと労働市場が流動化することが必要だと思っていて、そのために今回の成長戦略で実質先送りされた正社員のいわゆる金銭解決、それをやることによってたぶん企業も重石がとれることで、賃金も上げやすくなるでしょう。たぶん景気悪い時に、これをやっちゃうとまずいと思うんですけれど、現在景気が良くて雇用が増えている状況ですから、そういう状況であれば、そんなに失業者が増えるとか、そういうことはないと思うんです。かつ外国人投資家からの意見を聞いても、労働市場の流動化というのは日本の構造改革の象徴と言われていますから、そこを考えるうえでも私はいろいろありますけれども、その中で1つやるとしたら、1番直近にあるのはそこかなと」
大塚議員
「これは、日本の勤労者の労働慣行とセットで考えないといけないから、金銭解決の制度を導入したからといって、欧米のようにある意味、雇う方にも雇われる方にもプラスの流動化ができるかというと、そう簡単な話ではないので、私はもうちょっと慎重であるべきだと思います、この問題には。同時に、アベノミクスというか、本当の成長のための第4の矢という質問だったのですが、これは今さらですけれども、東京一極集中を是正しないといけないと思います。各地方がもう少し経済力を高められるような首都機能というのか、中枢機能の分散と言ってもいいかもしれませんけれども、かつて遷都論というのありましたが、遷都は無理として、全部の官庁、あるいは政府機関が東京に集まっている必要はないわけですから、均衡ある国土発展と、かつての自民党さんが言い始めてもう半世紀近く経っていますけれど、本当の意味での新しい均衡ある国土発展のために、少し機能を分散していくということをやると、各地方の経済力というのは、徐々に高まっていくと思います。それに伴って企業の本社機能の移転もある程度起きると思いますし、第4の矢と言うかどうかは別にして、そういうことに本腰を入れて与野党でがっちり話しあって取り組んでいくべきだと私は思っています」
小幡准教授
「僕の第4の矢は、政策をやめることです。経済政策に皆さん期待し過ぎで、政策議論をするわけですよ。政策だから、50年後にいいことあるよといわれても困るので、すぐにいいことがないのかということになるから、どうしても短期的な支持層に傾くので、短期的なものをやり過ぎてしまっているんです。これまでに相当、やり過ぎているから、やめていかないといけないとなると、政策をやめると言うと人気がないわけですよ。引かないとダメですよ。今回の議論だって、たかだか株価が2割ぐらい暴落しただけで騒いでいるわけですけれども、実態経済は、確かに株価の影響はありますけれども、本質的には変わっていないわけですよ。結局、株価を上げるために世界中で金融緩和して、金融緩和を引かなければと言ったら、ワッと下がって、ただ波をつくっている。株価のために経済政策があるわけではなく、東京と地方の問題、地方に雇用が増えれば、生活も変わるから子供も増えるかもしれない。環境もいい。コストも低いです。そういう社会的政策を政策ではやるべきで、短期的にGDPを刺激し、株価を上げるためにエネルギーと資源とお金を使って世の中を振りまわすのはもうやめてほしいということです」

片山さつき 自由民主党参議員外交防衛委員長の提言:『人類の課題を先行解決 IoHH革命』
片山議員
「日本は最初に超高齢化社会に入って、中国は15年、それを追いかけているんです。現在のままいくと2030年におそらく10人に1人ぐらいは非自立人口になっちゃうんですね。これでは国土をいくら強靭化しても、人間のベースが強靱化してないですから、社会的に不安定ですよ。何かあって逃げられない人が10人に1人の社会はサスティナブルではないし、そんなの人類経験していないですから。人類の課題先行解決のために、私はインターネットオブヒューマンヘルスケアを提唱していて、ICTをすごく効率的に使って、人間の健康状態をオンタイムで可視化するということによって、年齢ではなくて、状態で、どういう状況で働けるのか、働けないのか、医療がいるのかを見ていくような形に持っていきたいと。これはすごく投資も入ってくるし、現在、日本が割に強い分野です。化学に強いですから、ここをこれから盛り上げていくのが第4の矢かなと思っています」

大塚耕平 民主党政策調査会長代理の提言:『バランスのとれた需要・供給政策 分権的な国土政策』
大塚議員
「1つは現在、供給サイドに政策が偏っている気がするので、需要サイドのことも念頭に置いた、少し需要と供給のバランスのとれた政策体系をつくっていくということが1点。それから、一極集中を是正することによって、地方でも働く場もあるし、企業もあるし、新たな産業も起きるという、そういう国土構造にしていくということを、腰を据えて取り組むべきだと思っています」