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2015年9月4日(金)
朝鮮半島…緊迫の余熱 南北高官会談の舞台裏

ゲスト

飯島勲
内閣官房参与
小此木政夫
慶応義塾大学名誉教授
平井久志
共同通信客員論説委員 立命館大学客員教授

朝鮮半島…緊迫の余熱 韓国・北朝鮮で何が?
松村キャスター
「まず南北の緊張が高まった経緯をおさらいしておきましょう。発端は、8月4日、南北軍事境界線付近で地雷が爆発し、韓国軍兵士2人が重傷を負ったことです。10日には韓国が、地雷は北朝鮮が仕かけたものと発表。報復として拡声器による宣伝放送を11年ぶりに再会しました。20日、北朝鮮は韓国に対し、2度の砲撃を行いまして、韓国も対応射撃する事態になりました。この北朝鮮による2度の砲撃というのは、韓国の発表によるものです。翌21日、金正恩第一書記が準戦時状態を宣言しました。22日からは南北高官会談が開催されまして25日に合意をしています。こういう流れなのですが、小此木さん、まずこの緊張の高まり、この流れをどのように見ていましたか?」
小此木名誉教授
「結果的には大したことはなかったのではないですか。砲撃は、確かにあったのですが、本当に北がやるのであれば拡声器を破壊します。外さないです。韓国側の反撃も外して撃っているわけですから、お互いに相手が本気でないというのは、その時点でわかっている。だから、準戦時事態の宣布というのは、そういう言葉というのは外交。宣伝は非常に大げさなのですが、コントロールをされた緊張だというふうに思います。これは、北のやり方というのは、軍事力を外交に利用をしているわけですから。本当に、軍事行動をとるのであったら、宣伝なんかしないです。黙ってやるわけですから」
反町キャスター
「騒いでいるうちは、本気ではないと」
小此木名誉教授
「そう」
平井氏
「戦争というのは予告して起こる場合ではなくて、偶発的な要因で、本来の意図と関係なく戦争は広がっていくという状況が多いわけですね。そういう意味では、北も南もある意味、愛国意識を煽って、非常に危険な状態になったので、それはコントロールをされている間はいいですけれども、そのコントロールの枠から外れた場合に、という意味で、非常に危険な側面はあったのだろうと思います」
飯島氏
「これは韓国も北朝鮮もアメリカもだらしない。地雷の発表をしました。負傷者が2人出た。38度線、少なくとも1950年6月から1953年7月まで朝鮮戦争があって今日まできている。今もって実際は終ったのではなくて、休戦状態の中での38度線。38度線、私は行ってみたことがあるのですが、2名が負傷したら、その爆発した状況の飛散した場所の写真。飛散した地雷と称するのだったら、その破片。これを見れば、爆弾なのか、地雷なのかがわかるし、しかも、韓国製なのか、アメリカ製なのか、北朝鮮製なのかというのがわかるんです。これはまったく専門家にも誰にも開示していないと。それで、お互いにやりっこをしている」
反町キャスター
「証拠物があるのだったら出すべきだと、飯島さんの指摘がありました。平井さんは、地雷は北が仕かけたものなのか、まさか南の自作自演というのはないと思うんですけれども、どう見ていますか?」
平井氏
「あとの砲撃がちょっとわかりませんが、地雷自体は、北朝鮮の木の箱に入っている地雷というのは雨でよく南の方に流れてきて、韓国側で、よく爆発事故が起きている。事故は過去には多いんです。ところが、今回爆発した場所というのは北よりも高いところで爆発しているんです。ですから、水で流れてきて、爆発した可能性は低いと。木製ですから、金属探知機で探しにくい。そういう意味で、地雷そのものに関して言えば、北朝鮮製の木の箱に入った地雷である可能性は非常に高いと思います」
飯島氏
「発表していませんよね?先生」
平井氏
「いや、それは発表しています」
飯島氏
「いや、細かい写真とか」
反町キャスター
「破片の写真とか、そういうのは出ていないですよね」
平井氏
「あとの砲撃は、実は小此木先生がおっしゃいましたように、誰もいない山野の中に落ちたりするので、その部分については、全然証拠がないんです」
反町キャスター
「松村さんから説明があったのですが、こういう経緯で進んでいる中で、20日にこういう事態になりました。その地雷の爆発があって、砲撃を行ったとされる日に、韓国から、要するに、我々は抗日戦争勝利70年記念式典に出席しますという、発表がありました。本気だったら、本当に国の安全保障上の危機的な状況だという認識があるのだったら、国を空けるわけがないですよね。そういう状況の中で式典に出席の発表をしたというのをどう見ますか?」
平井氏
「20日の段階では、まだ準戦時体制の宣言はなされていない段階ですから、それを最初に発表したということだと思うんです。それと、一部で今回の挑発が、朴槿恵さんが中国の式典に参加するのを阻止するためものだという、そういう見方が出ましたけれど、それは違うと思います。もしそういうことを思っているのであれば、この緊張状態を長引かせれば、朴さんは行けないわけですから、この板門店の会議で早期に妥結に導く必要はないわけです。でも、それをしないで北朝鮮側は合意に至ったと考えると、そういう発想は面白い発想ですけど、ちょっと現実から遊離しているのではないかなという気がします」
反町キャスター
「そうすると、この地雷爆発事案というのは、北側が仕かけたけれども、たぶんその前提で話を聞きますけれども、結果的に、別に韓国に対して何かをしようというわけではなくて、国内的な狙いがあったという、そういう意味になりますか?」
平井氏
「2つあると思います。1つは、10月10日の党創建70周年を前にこういう危機状態をつくって、最高指導者の権威を高めよう、ハンドリング能力を誇示しようと、そういった問題と、もう1つ、韓国との対話を始めたいと。特に、経済的な観点から、金剛山観光の再開、現在貿易が禁止されていますから、5.24措置ということで、そういうものを再開し、外貨というものを韓国から得るための、そういう対話局面に変えたいという意図が北朝鮮側にあったのではないかと」
小此木名誉教授
「これは、私の考えでは、現在行っている韓国の北に対する制裁措置、5.24措置という、例の延坪島砲撃のあとです。船が沈んだ、砲撃したあとの、これをどうやって解除するかと、そういう目的であったということです。やっているのは。まずそれをやって、それから、もっと政治的に南北の対話が拡大していく可能性もあります。合意文書の第1条が当局者会談ですから。今回も地雷のことなんか書いてありません、第1条は。それはそうすると、結構、地道なところから始めているわけです。常識的に言えば、南北を動かして、それから、中国を動かすために6者会談を再開し、それから、アメリカというような普通のコースです」

朴大統領支持率が急上昇
反町キャスター
「地雷事案の韓国大統領の支持率への影響を見てみます。先月の朴大統領の支持率の推移ですけれども、3週目から4週目。つまり、北朝鮮による砲撃から南北会談の合意にかけて朴大統領の支持率が急上昇しています。さらに、中韓首脳会談のあとで、さらに支持率が上がっているという状況になっているんですけれども。朴大統領の支持が低いということをずっと我々も言ってきたんですけれども、小此木さん、朴大統領の支持率の上がりぶりをどう見ていますか?」
小此木名誉教授
「南北対話を庶民は望んでいるんですね、緊張よりは。合意ができたのですから。この合意の第1条を見れば、ソウルと平壌で高官級会談をやるわけですから、交互に。たぶん。ですから、これはそれまでなかったこと、これまで随分なかったことができるわけですから、それは当然上がるでしょう。中国との外交に関していえば、この上がり方の方が小さいです。これはまだ国民がこれでいいのかという迷いが少し残っているんです」
平井氏
「韓国の世論は現在、保守と革新系が非常に二分され、非常に力が拮抗しているわけです。ですから、朴さんの固定支持層が30%ぐらい、固定的な支持層があるのですが、ところが、この衝突が起こったあとも野党の側が対応すべきだ、南北の高官対話をすべきだということで、板門店での会議が実現したわけです。それで、なおかつ野党の党首は、北京にも行くべきだと主張をしていた。だから、ある意味では、朴槿恵さんがやったことは野党の要求を受け入れた。結果的には、受け入れた形になっているわけで、ですから、一時的には韓国の新興勢力と言われている人達が今回のことに関しては、朴さんのやったことは我々の要求と同じだと。そういう評価をして支持にあらわれたのだと思います」
反町キャスター
「朴大統領は自分の持っている支持票に野党の要求を飲むことによって、トントンと数字が挙がっていった?」
平井氏
「結果として飲んだと思います。高官級会談をやり、対決を対話局面に変えると。野党の側も要求していた中国に行くということを実行して自分の支持層とは違った階層の支持を一時的に集めている。だから、私は五十何パーセントの支持率がずっと続くとは思いません」
反町キャスター
「一時的なもので、また元の30%に戻る?」
平井氏
「30%に戻るのか、45%ぐらいで止まるのか。それは今後の推移。おそらくは、たとえば、南北対話がちゃんとした南北対話になっていくのか。あるいは何らかの問題で、再び対立関係になっていくのか。そういうことが絡んでくると思います」
小此木名誉教授
「朴さんが野党の要求を受け入れた。簡単に言うと、そういうことですね。だけど、彼女自身はそうは思っていないと思います。自分の政策でやってきたことが成果を上げたと。なぜそう思うかというと、今回も習近平さんとの会談の中で、北の話を随分しているんですね。それは韓国の報道でいうと朴大統領の信頼プロセスが動き出したという評価です。これまで彼女がやってきた政策が動き出したことに関して、中国側も、韓国側も、それを歓迎したということですから、だから、彼女自身は、やっと苦労して待っていたのが動き出したんだと思っていると思います、きっと」

蜜月…中韓関係の展望
松村キャスター
「中韓首脳会談ですが、一昨日行われました。主な内容を見てみます。先月、緊張が高まった際に中国が建設的な役割を果たしたと、朴大統領は謝意を表明しています。習主席からは、北朝鮮の核問題で情勢を緊張させるいかなる行動にも反対する、としています。朴大統領は、北朝鮮と虚心坦懐に意見交換を交わしたいと朝鮮半島情勢について言っています。両首脳は、6か国協議の早期再開の考えで一致しています。今回は、首脳会談を行った他にも昼食を共にするなど両国の蜜月ぶりが目立ったのですが、小此木さんは北朝鮮はこうした中韓の接近というのをどのように見ているのでしょうか?」
小此木名誉教授
「それは嫌でしょうね。朴さんが北京に行った1つの理由は、それは北に嫌がらせをするためです。当然これまでであれば、雛壇の上に金日成とか、金正日とか、ああいう人がいるわけでしょう。あそこに朴さんがいるわけですから」
反町キャスター
「飯島さんは、平壌は今回の中韓首脳会談をどう見ていると思いますか?」
飯島氏
「要は、相手にしていないんでしょう。僕はこんな…現在、議会かな、韓国は。国会が、この最中に、なぜ北京に行ったか。習近平氏と良い会談ができたと言っている。構造的に考えると、経済。中国も現在、大変です。韓国も大変です。だいたい、対GDPは1兆3000億ドルぐらいの状態で、世界の順位で、スペインだとか、あそこよりも低い。そのぐらいの状態。青年の失業率が9%もあるわけです。こういう状況の中で、朴槿恵が、ちゃんと韓国の経済を復活させるには財閥の問題、全産業の業界の2割以上を占めているという、こういう状態の構図を変える政策をやっていかなければいけない時、まさに中国も同じです。こういう時は、ただ、そういう裏の部分では握手はできるけれども、南北の会談、会話に、中国がどうのこうのというのはまずあり得ないと、私は言いたい。だから、支持率は一過性で、どこを見ているんだということになります。日本から見てもアメリカから見ても北朝鮮から見ても。ここが心配です」
反町キャスター
「いわゆる北朝鮮が、まさに、先ほど小此木さんが言われたみたいに、これまで中国が、日本と戦うというか、対日戦のパートナーというのは金日成だったわけではないですか?」
飯島氏
「そうです」
反町キャスター
「そういう記念の場に北朝鮮の崔竜海さんがいたとは言っても、朴槿恵大統領がいて、あたかも一緒に中国と、日本と戦ったような構図になってしまっている。こういう状況に対し平壌というのは苛立ちは感じないものなのですか?こんなのは放っておけばという感じになるのですか?」
飯島氏
「でしょう。だって、核実験3回やっているのですから、無視して。これは金指導部から見たら、行って握手したって大したことはないと思うでしょう。私はそう思うな」
反町キャスター
「小此木さんはそういう感じですか?北朝鮮は、いわば超越した何か。中国に対する依存が高いとか、そういうのは関係ないと我々は独自の道で行くのだという、こんな感じですか?」
小此木名誉教授
「突っ張るしかないのではないですか。今回も、北の外務省の声明の中には中国からの圧力を思わせる部分がありますね。自制しろというような、誰からか我々に自制を要求したけれども、そんなことは聞いていられないと。もはやその段階は過ぎたと。たぶん中国がストップをかけたのだろうと思います、随分。ただ、だけれど、北は、それは関係ないと。自分達のやり方でやると言ってやったのですが、ただ、内実はどうかと言われれば、これから中国との関係改善をしたいと思っていると思いますけれど」
飯島氏
「今回、面白い、中国のマスコミの発表を見ると、朴槿恵と習近平」
反町キャスター
「写真を出しましょうか。これが、飯島さんが言われた写真で、これが記念写真ですけれども、真ん中に習近平主席がいて、朴さんがいて、プーチンさんがいるんだけれども、北朝鮮からの代表者はこの1番後ろです」
飯島氏
「面白いのは、中国のマスコミが発表した写真の、近隣諸国で言ったら、北朝鮮、あとモンゴルがあります。プーチンと朴槿恵だけは一等席にいて、写真で見ると、朴槿恵と習近平はこういう対等の握手です。ところが、人間はお辞儀をしたりしますね。酷いのはモンゴルの大統領、90度で曲げた状態で写真を発表しているんです。これはモンゴルに対する嫌がらせでしょう。あと北朝鮮、その隅っこ。これを見ると、中国は何でそこまで、プーチンは別にして、韓国をそこまでよいしょするのかというのは、専門家じゃないからよくわからないな」
小此木名誉教授
「周りの写真をとったなら、どうなるかというと習近平氏とプーチン氏の2人だけになっちゃうではないですか。終わりですよ、これ」
反町キャスター
「広がりがなくなってしまうから、そういう意味で言うと…」
小此木名誉教授
「彼女がいないと成り立たない式典になっちゃったんです、最後はね」

韓国と北朝鮮の今
平井氏
「非常に面白かったのは、儀典的には、朴槿恵さんを高く優遇しているんですね。場所とか、そういうところは。しかし、たとえば、首脳会談で朴さんが本当に嬉しかったこと。それは中国が北朝鮮の核に対してノーと言ってほしいと。その部分について、実は、中国は譲っていないです。朝鮮半島の非核化というレベルにとどめて、北朝鮮の核に対する、中国にもっと抑え込んでほしいという部分は、中国は既存の姿勢を維持するんです。ですから、中国は、非常に儀式の演出では朴さんを優遇しましたけれども、首脳会談の中身においては依然として北朝鮮に対する配慮をしていると。中国は、昨年の暮れぐらいから、ずっと北朝鮮に対する関係改善のシグナルを送っているんですね。たとえば、お父さんの命日の時に、党の常務委員が大使館を訪れて、中朝の伝統的外交関係は続いているとか、そういう発言をしたとか。非常に中国側の、むしろ努力が目立つんですね。ところが、北朝鮮はこれにちゃんと応えていないです。まだ北朝鮮が突っ張っているという、そういう局面が続いているんですけれど、今回、私は当初、崔竜海さんと何らかの少し会談があるのではないかと思っていましたけれども、現実には単独会談はなかったと。そういう意味では、中朝の和解というのは、そんなに早くは進まないだろうとは思いますけれども、北朝鮮は未だに経済を中国に依存していますから、たとえば、ロシアとの関係がいくら良くなったと言っても、トータルのところ、貿易額から言っても比較にならないわけです。そうすると、長い目で見ると北朝鮮が突っぱねて、ちょっと強がりを言っていますけれど、中朝の関係修復という方向性というのは、長い目で見ると、私は出てくるのではないのかなと見ているんですけれども」
反町キャスター
「そうすると、今回70周年の軍事パレードに朴大統領が来ました。非常に丁重な扱いを受けました。けれども、今言われたみたいに、中国は韓国が望むような、対北に対する、さらなる踏込みはしなかった。一方、これまで継続的に北に対する秋波とは言いませんけれど、話しあいをしたいという、別にしてもいいというものを送り続けた。中国は北を切って、南に舵を切ったのではないかというこの見方についてはどうですか?」
平井氏
「それはないでしょう」
小此木名誉教授
「2本足でやっているんです。ある意味では、等距離外交と言ったなら、ちょっと韓国は嫌がるでしょうけれども。韓国との関係も、北との関係も、両方とも大事にしている。ただ、たまたま現在こちらを利用しているだけ。こちらとの関係は現在、改善できないから。だけれど、将来的に改善しないなんてことは全然、考えていないわけではないです。韓国だけになっちゃったら、どうするのですか。北がおかしくなったら、朝鮮半島全体が不安定化するわけでしょう。中国が1番恐れているのは、不安定化です。そのためには北を支えなければいけないですから。その施策は、平井さんが言っているように、全然変わっていないです。今回も変わらない」

日中韓の展望
反町キャスター
「安倍総理はこういう発言をしています。『日中韓の首脳会談をすることになった。その際、是非、日韓の首脳会談も行いたい。日韓で話すべきことは政治・外交・経済たくさんある。様々な課題についても話をすることは両国国民も、世界も望んでいることだ』。日韓首脳会談をやるのであれば、従軍慰安婦問題を朴大統領こだわってきますよねという質問に対して、話すべきことはたくさんあるんだと」
飯島氏
「それは100点満点の話です。慰安婦だけでなく、7項目あるんです、日韓の問題は。主要課題は竹島問題。2つ目は、慰安婦問題。3つ目は、半島の民間の徴用工の裁判。4つ目が日本農家の水産物などの輸入の禁止。6つ目は、日本海の東海表記の問題。最後は、仏像の問題。この7項目は内容は違いますが、安倍さんにとっては全部横一列の課題だと。慰安婦の問題というのは過去のワシントンでしたっけ…調印した時にはもう解決しているんですよ。あと歴史問題。小泉内閣と金大中政権の時に、教科書のアレも日本と韓国では違うんだと。日本の場合は学者がやって、総理も、文科大臣も関与できない。韓国の場合、国定でしょう。大統領の意思で内容が変わってしまうんですね。だから、学者同士で協議してカタをつけるべきだと言って、金大中は当時、首脳会談で決めて、小泉内閣で41回かやって決着しているんです。これを朴槿恵が表に出してきたんですね。安倍さんはそこが全部頭に入っていて、そういう発言をしたのかなと、私は見ています」

朴大統領訪米の影響は?
松村キャスター
「10月の朴槿恵大統領の訪米は、南北関係にどのような影響があると考えますか?」
小此木名誉教授
「韓国の朴槿恵さんの外交というのは、新しい外交を始めたという気がするんですよね。それは何なのかと言うと、大国気取りという言葉が適切な表現かどうかはわかりませんが、つまり、北京で習近平氏とプーチン氏と3人で会う韓中露の外交ですよね。日中韓パターンの3人の外交をやろうとしているわけですよね。その前にアメリカを訪問しておこうと。これは一連のものですからセットで考えなければいけない。パワーバランスみたいな感じの外交というのはあまりなかったような気がします。韓国の友人の中には、大国気取りの外交で大丈夫だろうかと言う人もいます。だけれど、そういうような形でバランスをとろうとしているんです、必死に。天安門に立っちゃった。本当は天安門には立ちたくなかった。中国を訪問して、習近平氏とは会談をしたかったけれど、天安門は避けたかったけれども、立っちゃったと。立っちゃった以上は日中韓の約束をとっておかなければいけないとか。その前にアメリカの機嫌をとらなくてはいけない、訪米して。これは一連の外交ですよ。大変な外交だと思いますよ。これからも大変だと思います」

ミサイル発射の可能性と影響
松村キャスター
「10月10日に朝鮮労働党創建70周年を迎えます。このタイミングで北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのではという見方もあります。可能性としては?」
平井氏
「そうですね。金正恩さんは管制センターみたいなところの視察を5月にやっていますから、これまではかなり可能性があったと思うんですね。ただ、それをもし変えることができるとすれば、今回の板門店で合意した南北対話、当局者対話です。これを本当に軌道にのせて、北朝鮮側が韓国から経済的な実利を得ることができるんだ、とはっきり感じ始めるとひょっとしたら中止する可能性がある。そうしないと自分達が現実的な実利を得られなくなりますし、中国との関係を考えても、米朝の関係を考えても、もちろん、やらない方がいいわけです。南北の対話であるとか、外交的成果、経済的成果につながるものを何か見せられることができれば、必ずしも人工衛星を打ち上げるというカードを切らなくてすむと思います」

拉致再調査から1年超
松村キャスター
「北朝鮮による拉致の調査の原状は?進められているのでしょうか?」
平井氏
「おそらく調査委員会の調査自体は終わったという気がしますね。具体的な調査はほぼ終わっているのではないか。1年という期限を区切っていましたし」
飯島氏
「先生の見立てとほぼ同じですね。第2次安倍内閣で自分が拉致問題を必ず解決すると宣言している。その内容は、金正日の時から再調査ということでこれまできている。ただし、全員生きているということが、拉致関係者と官邸の発言です。1人でも2人でも死んでいた場合、解決にならない。隠しているだろうと。そうでない場合、誰がそのババを掴むかといった場合、逆説的に考えれば、外部者や官邸は受け取りを拒否していると見ることもできるんですよ、日本側で。これはわからないですよ。渡すけれど、受け取らない。受け取らない場合の原因は何か。全員が生きていないということです。これはどうですか?第一人者の先生から見て」
平井氏
「その結果の中身については、我々わかりませんけれど、北朝鮮側から言っても現在の日本の政治状況がこういう結論を出すのに適切な時期かどうかということについては少し躊躇があることはあるのかなと。政局ですよね。特に安保法制で揺れている時に、この問題を出すことが自分達に有利かどうなのかという判断をしている可能性は少しあるのではないのかなと」
飯島氏
「私の物差しではお叱りを受けるかもしれないが、期待する100%の生存ではなく、70%とか、50%という生存率、拉致された人の。日本側の受け取る時期は、参議院選挙が終わったあとでしょう。そうならざるを得ないでしょう。この種のアレは、政治的な判断の交渉と外交が直感的に大事だと思います。しかし、生存率が低い場合は、これは選挙の洗礼を受ける政治家は誰も触りたくないですよ。そういう状態で考察しなければいけないと。北だけが悪いわけではないと。心から融和の精神を持たないとお互いに信用できないでしょう。信用できない状態で改善なんてあると思いますか。信頼できる関係がある程度あれば、あとから…」

小此木政夫 慶応義塾大学名誉教授の提言:『隣国外交』
小此木名誉教授
「朴槿恵さんの北京での行動を見ていて、僕はちょっとうらやましいと思ったこともあるんです。平気で習近平氏とプーチン氏と会っているわけしょう。日中韓の首脳会談をやりますと言っているわけね。日本はロシアとも会えないし、中国とも…、韓国ともまだ会っていないし、北朝鮮とももちろん、会っていない。そういうような隣国外交というのは成功と言えない。ロシアから中国までこれだけあるのですから、ともかく韓国との関係を、突破口をつくらないと。韓国との関係が良くなれば、それを足がかりにして何かということもあり得るけれども。どこも閉ざされているというような状況というのからはやく脱却しないと。今回は1つのチャンスですから、是非、日中韓の首脳会談にあわせて日韓会談をやって動き出さないと。日韓関係をやってくれないと動きがとれないと思うんですよ。日韓関係は重要です。なぜ韓国が重要なのかというと隣の国だから重要です。当たり前のことを当たり前にやるということが重要なことです」

平井久志 共同通信客員論説委員の提言:『日韓協力の重要性』
平井氏
「違う言い方をすれば、日本も韓国も経済の面では中国の比重が非常に大きいですし、安保面において米国の影響下にあるということで、どちらにしろ、我々は米中間の間で生きていくしかないわけです。少子高齢化であるとか、国の規模であるとか、スーパーパワーにはなれない。これからおそらくミドルパワー、中堅国家として、どういうふうな役割をしていくか。そうなると、1人でやるというのは限界があると思うんですよね。非常に似た状況にある韓国と手を携えることによって、アメリカにも影響力を行使できるし、中国にも影響力を行使できると。あるいは北朝鮮に対するアプローチというものもできるわけで、確かに従軍慰安婦問題を含めて歴史問題で日韓のいろんな懸案がありますけれど、他の市民社会的なつながり、経済的なつながりというのは過去に比べると比較にならないくらい拡大しているんですよ。我々はあまりにも歴史問題の重荷を感じすぎているところがあるのではないか。もっとこれを管理するとか、解決するかとかして日韓の連携というのをとるということがむしろ日本外交をフリーハンドにしていく要素が大きいのではないかなと思います」

飯島勲 内閣官房参与の提言:『完結』
飯島氏
「日韓の7項目の重要課題とか、あるいは日露領土問題、あるいは日中いろいろありますね。安倍内閣としては何としてでも拉致問題も含めて、私の内閣で解決すると言った以上は、いつまで安倍内閣が続くかわかりませんが、100%完結する責務がある。それに期待したいと。ただ、違うのは日中、日露、日朝が先で、韓国は最後まで置いておいておいたっていいんじゃないかなという気持ちがある。2000年経っても満足しない国民性だと。だったら、すぐにやった方がいいのかどうか。すごく重要だけれども、意外とあとまわしにした方がwin-winの関係で着地するのかと、私は斜めから見て思っています」