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2015年8月27日(木)
世界株安ショックの先 最新データを独自解析

ゲスト

宅森昭吉
三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト
松野利彦
SMBCフレンド証券チーフストラテジスト
永濱利廣
第一生命経済研究所主席エコノミスト
大山泰
フジテレビ解説委員

最新データ独自分析 中国発・世界同時株安の余波
秋元キャスター
「アメリカ、日本、上海と、反発の値動きもあるなど、一時の危機感は薄らいだように見えるんですけれども、松野さん、ここ数日の市場動向をどう見ていますか?」
松野氏
「ひと頃よりは市場心理というのは回復してきたのかなとは思うんですけれども、ただ、過去において、こういうふうに結構大きくマーケットが揺れた時、その時の荒れた理由にもよるんですけれど、だいたい4週間から6週間ぐらいで終息に向かうケースが多かったものですから、それを考えると今回のケースというのは、値幅は大きくいきましたけれども、ただ、8月10日の高値から、だいたい3週間で来週の月曜日、8月31日ぐらいでようやく3週間ですから。場合によってはもうちょっと市場心理が落ち着くには時間がかかるかもしれないというふうに思いますね」
秋元キャスター
「そうすると、まだ、底を打っていないと見た方がいいのでしょうか?」
松野氏
「そうですね。それが値幅調整になるのか、あるいは日柄調整になるのかというのはいろいろあるかと思います。今後の新しいニュースの出方次第だとは思いますけれど、一時、日経の先物に、夜の時間で一時1万7100円ぐらいまで調整する場面がありましたので、そのぐらい、だいたい高値から18%ぐらいの調整ですから、これは2013年の5月の時に、バーナンキFRB議長が、金融緩和の縮小をしようかなと言った瞬間に、今回と同じような現象が起きたんですけれども、あの時もだいたい日本株22%ぐらい調整しましたので、だいたい2割ぐらいの調整という格好で、そろそろ値幅いいところまで来たのかなといったところで、あとは日柄、時間が解決してくれるのかなというような状況になるのかな思いますね」
秋元キャスター
「このまま回復していくと見ていいのでしょうか?」
松野氏
「そうですね。今回の問題は中国発という話ですけれども、もう1つ、アメリカの利上げの話ももちろん、ありますので、中国の経済の問題、先日、追加の金融緩和、利下げと預金準備率の引き下げを行いましたけれども、もう一声、たとえば、財政施策とか、そういったものがあるともうちょっと力強く中国の経済も底入れから回復という方向に向かう状況が見られる、あるいは観測できるということ。それと、もう1つ、アメリカの利上げの話ですね。背景にはアメリカの経済が強いというのがあるんですけれど、これがうまくスムーズに利上げの方向に向かっていけるのかどうかと。あるいは見方によっては利上げをしないで、経済がそこそこ良い感じでずっと続いているのであれば、それはそれで良いんでしょうけれど、また、そういった状況と金融政策当局者との考えに若干のズレがありますので、そこは今後の課題になるのかなと思いますね」
秋元キャスター
「今日の上海総合指数をどう見ますか?」
松野氏
「上海総合指数もさすが今回の震源地だけあって、先ほどの報道にもありました通り、この5日間で23%と非常に大きく下落しまして、どうでしょう、今回の主要な株価指数の下落率を見ると、上海が申し上げたように23%ぐらい。その下のヨーロッパがだいたい20%ぐらい。日経平均株価は終値ベースでだいたい15%ぐらいですね。ニューヨークダウもだいたい同じぐらいですけれども、こんなような調整になっています。ですので、それを考えますと、上海のところはさすがに震源地であって大きく下がってはいるんですけれど、今回、この下げが大きくなってしまった背景には想定外のことがいくつかあって、たとえば、中国関連で言いますと、市場との対話をある程度考えないで、いきなり人民元を切り下げてしまった、実質ですけれども。切り下げてしまったという話です。それから、もう1つ、これまで中国というのは計画経済の中でうまく経済がコントロールできているのだと。あるいは株価をうまくコントロールできていたという見方があったんですけれど、さすがにどんどん中国は経済を、少しずつ自由化しよう、自由化しようと動いているわけです。そうなってくると、自由化すれば、当然なかなかコントロールが効かなくなるのは当たり前のことですけれども、だんだん自由化していくうちに、中国のコントロールが効かなくなってきたのがはっきりとわかってしまったといったところが、ある程度、今回、想定外だったので、マーケットが大きく揺れたのかなと思いますので。ただ、現在、申し上げました通り、そういった市場の揺れというのは、だいたいそのぐらいの時間の経過があると。ある程度、市場参加者も落ち着きを取り戻して、冷静に、一歩引いて状況を見ることができるようになっていきますので、何か新しい問題とかが起きない限りはだんだん終息に向かっていくのかなという感じはします」
秋元キャスター
「中国経済には不透明さがあるというのが以前から指摘されてきましたけれど、世界が注目する中でどのような経済指標を見れば、中国経済の実態がいちはやくわかるのかというのを聞きたいんですけれども」
松野氏
「上海の数字、赤い線。これが先ほど見ていた数字ですけれども、ちょっと長めの2012年3月から出しています。もう1つの青い線が香港ハンセン指数で、マーケットの違いは市場参加者の違いですね。上海というのはご承知のように、ほとんどが中国の個人投資家で、ごく一部、外国人投資家が入っていますけれども、ほとんどが中国の個人投資家です。一方で、ハンセンは海外に開かれたマーケットですので、外国人投資家が自由に出入りできるマーケットということで、こういった違いがあるのですが、昨年から今年にかけて、この赤い線(上海総合指数)はだいたい2000ポイントあたりから5000ポイントを超えるあたりに急激に上昇をしたという、この反動が現在行われているということですけれども、同様に、ハンセンも上昇してはいるんですけれども、ただ、香港ほどの上昇がなかったということでより今回の調整はマイルドであるんですけれども、ただ、経済的には同じ国の中の話で全部が全部一緒というわけじゃないんですけれど、同じ銘柄も、このハンセン、それから、上海は上場していますので、ある程度、同じ動きにはなるのですが、ただ、こうした違いがあって、ちょっと上海はやり過ぎましたねといったところの調整が現在、行われているのかなという感じがありますね」

中国経済減速を読む
秋元キャスター
「宅森さんが注目している中国のデータというのはありますか?」
宅森氏
「おそらく今回、世界同時株安を起こしたきっかけになったのはこれです。最近の製造業のPMI、民間でつくっている方のデータです。これは2つありまして、国家統計局のやつと両方あるんですね」
秋元キャスター
「どう違うのですか?」
宅森氏
「まず民間の方のデータは中小企業が多いと言われています」
秋元キャスター
「中小企業?」
宅森氏
「はい。国家統計局の方は国有企業などの大企業が割と多いのではないかと言われていまして、その違いがあるんですよ。国家統計局の方は分岐点が50ですね。50を上まわっているといいので、下まわっていると悪いということですが、国家統計局の方は50ギリギリのところにいるんですけど、民間の方の数字というのは7月分で下がった。8月の速報値が8月の21日に出て、これが悪いのかと思わせるような数字になっちゃったんですね。これは6か月連続して50割れになっています。しかも、6年5か月ぶりの低水準です。ただ、あくまでも速報値なので確報値で変わる可能性があります。ちょうどこれが9月の頭あたりぐらいに出てくるのですが、これがどうなるのか。この1年間の速報と確報との変化の幅を見ると、今年の2月分というのは0.6ポイント上方修正されたというのが1番大きい上方修正ですね。だから、9月の初めの数字で実際にどうなっているのかということを確認する。国家統計局の方も50を割らないかどうか。このへんが注目になるのではないかなと思っています」
秋元キャスター
「そうすると、大企業が入っている方は、良いと悪いの間の50ぐらいで、中小企業の方はかなり悪いに寄っていますよね」
宅森氏
「寄っていますね。ただ、8月速報値なので、確報値になって、どうなるかというところもあります。ただ、すごく悪い数字が出たので、それで株を売るのにちょうど良い材料になってしまったということがあると思いますね」
秋元キャスター
「永濱さん、どの数字に注目されますか?」
永濱氏
「私は、市場関係者はほとんど知っているんですけれど、李克強指数というのがありまして、何かと言いますとウィキリークスで曝露された話ですけれども、李克強氏がGDP(国内総生産)は参考程度にしか見ていないと。実際の中国の実態を見るには、重要視しているデータが3つあるということで、電力消費量と貨物輸送量と銀行貸出。これが非常に重要であるということで、これが李克強指数なんて言われているんですね。実際にグラフを見ると、GDP成長率はこのグリーンのデータで、滑らかな感じで、直近は7%成長という形ですけれども。3指標の中でも、特に、GDPと連動性が高いという意味では、電力消費と貨物輸送を持ってきたんですけれども、確かに、時系列で見ると連動性が高いんですけれども、直近を見ていただくと、GDPの水準よりも伸び率が相当減速しているということから見ると、GDPのデータよりも実際の中国経済は良くないかなと。過去のGDPと李克強指数の関係を統計で、ちょっと計算をして見ると、甘めに見積もっても、おそらく4-6月期のGDPの成長率は、中国は4%ぐらいしかしていないと思うんですね。ですから、表面上の数字以上に中国経済は悪いのかなと。ただ、細かく見ると、李克強指数も今年の初めぐらいに一旦底打ちをして、ちょっと戻る兆しはあったんですね。そこは若干、楽観視する見方もあったんですけれども、ただ、先ほど、宅森さんがご説明された製造業PMIが、相当8月は悪くなったではないですか。それを考えると、李克強指数も非常に重要ですけれども、おそらく今後、展望するうえで、確か、来週、確報値が出る、8月の。それがどうなるのかということだと思うんですけれど、おそらく中国を中心としたマーケットが本当に落ち着くには、中国の経済データが底打ちするようなシグナルが出てこないといけないと。そうなれば、1番はやく出るのは、中国PMIなので、新しい9月データが、9月の下旬ぐらいに出てくると思うので、そこで反転とかしてくれば相当落ち着くと思うんですけれども。そこであまり改善しないとなると、まだ、マーケットの混乱が長引く可能性があるのではないかなと思いますね」
秋元キャスター
「原油安についてはいかがですか?」
松野氏
「輸入物価が下がるという意味では、原油安、さらにそれが安く、円高によって、さらに安く手に入りますので、これは日本にとっては良い話ではあるんですけれど、その原油ですけれども、過去の例と比較して見たんですけれども、今回の原油安は、だいたいバレル100ドルぐらいから急激に落ちてきています。マーケット的にこういう動きというのはあまりなくて、だいたい上昇トレンドの中を上下するか、下降する中で上下するか、あるいはこちらの方みたいに大きく前後に上がったり下がったりしながらといったような状況があるんですけれども、今回みたいに、横ばいからいきなり下がったのは、実は1980年代の半ばぐらいですね。同じような格好でバレル30から10まで下がった時があります。ご承知のように1970年代というのはオイルショックの時でかなり原油価格が上がり、それ以降、エネルギー消費国といわれるところは、省エネとか、代替エネルギーとして原発といったものをどんどん開発していこうという動きがあって、そのような中でだんだん石油の需要が少なくなってきましたので、OPEC(石油輸出国機構)がここで値下げ競争に走ったといったような状況ですので、当時と同じような状況になっていると思います。今回も需要と供給のバランス、需要側と供給側と両方の事情がある。たとえば、先ほど来、やっている中国の経済が弱くなると、原油輸入の最大の輸入国ですし、原油の需要が当然少なくなっているという一方、供給の方はアメリカ、これも世界最大の原油輸入国だったんですけれど、シェール革命のおかげで原油を輸出しようかというぐらいまで原油がどんどん出てきましたので世の中にじゃぶじゃぶ原油が溢れている状況。そんなところにきて、OPECが減産をしないで価格、値下げ競争に走っていくということで、開発コストは割とシェールの方が高いものですから、値段を下げたら、彼らも産油量が落ちていくだろう。こんな思惑があって値段を下げ始めてきているということがありましたけれど、そういうわけで、需要、供給、両方の原油が下がってきた理由があるものですから、今後、原油がすぐに上がっていけるかとなると、供給過剰な状態が解消しない限りはなかなか難しいのかなと思います。過去に似たような状況だったものですから、原油価格の低迷がずっと続いて、前の水準まで一瞬だけ戻るんですけれども、この間5年ぐらい時間がかかっているんですね。今回もこのような格好になれば、おそらく日本経済にメリットがある状況が生まれてくるのではなかろうかと。ご承知の通り1987年後半というのはバブルが発生した年ですので、そんなようなバブル的な要素もこれで出てくるのかな。確かに、為替の方向は当時と真逆の方向で、あるいは結構、原油安はあったんですけれども、円高だったのですが、今回、円安で真逆なのですが、金融政策の方向は当時と一緒で、当時は円高を何とかしようとしていたんです。一生懸命に景気を助ける意味でどんどん金融緩和をしていったような状況ですね。現在も、デフレ脱却を目指して金融緩和をどんどんやっている状況は同じですので、場合によっては、こんなような格好でバブル的な経済が醸成されるような条件が少しずつできているのかなという感じはしますね」
秋元キャスター
「為替レートの変動が日本経済に与える影響をどう見ていますか?」
永濱氏
「特に、足元の原油の価格が上がっていれば、円高に伴うプラスもあると思うんですけれど、現在、松野さんからお話があったように原油が下がっていますので、こういう時は円安の方がいいかなと思います。実際、原油安はすごくプラスの効果が大きいということをマクロのデータも示していまして、一般的に注目されるのは実質GDP。この変化率というのが経済成長になるわけですけれども、これを見ると直近ちょっと下がっていて、これはまさに4-6月がマイナス成長になりましたというところを、これが表しているわけです。年率でマイナス1.6%になったんですけれども、これはGDPですので、プロダクトということは、どれだけ国内でモノをつくりましたかということですね。より重要なのは、どれだけ国内に所得が落ちましたかというところがより重要なわけではないですか。それを考えるとどれだけ国内に所得が落ちたかというとGDI(グロスドメスティックインカム)の方です。この差は何かと言うといわゆる公益利得、公益損失と言って公益条件の変化によって同じ生産をしてもどれだけ国内の所得、実質的な所得が落ちるかというのは違ってくるわけで、今回は原油が下がることによって、公益損条件が改善していますから、実は表面上のGDPの落ち込みほど所得が落ちていないということがわかるんです。実際、直近を見てみるとほぼ横ばいですよね。これを見ると、実際の景気実感というのは、GDIの方が近くて、それを見ると、世間で騒がれているほどマイナスの悪影響が出ているのかというと、そうではないと。逆に言うと、GNI(国民総所得)というのがあるんですけれども、これはよく政府がGNIをまわせと言っているのですが、これは何かというと、GDIにいわゆる第1次所得収支というのが乗っかっているんです。ウェイトが1番大きいのが海外に証券投資とかをして、その利息とか、配当の受け取り、日本から支払うのを相殺しているんですけれども、そこの部分が結構、増えているんですけれども、ただ、これは投資の部分のウェイトが大きいので、どちらかと言うと日本国民の景気の実感という意味では、ここが伸びても、そこまで大きな実感はないのかなということからすると、私は個人的にはGDPでもGDIでも経済指標としてはいいのではないかと思っているんですけれども、こういうデータから見ても原油安というのは相当プラス。こういう状況であれば、もう少し円安の方が日本経済にとってはいいのではないかと」

日本の景気回復は?
秋元キャスター
「先週末からの、金融市場の混乱が起こる前の日本経済の景気回復の足取りはどの程度までしっかりしていたのか?」
宅森氏
「もともと2015年度の経済成長率は、外需の寄与度はゼロですよ、見通しでは。政府の見通しでも、民間の見通しでも。内需で引っ張っていこうということですね。景気好循環がうまくまわり始めている面があって、内需で引っ張れる面はあると思っています。これは1つ、先ほど、短観で全体の数字がありましたけれど、中小企業に関して見た数字です。中小企業の非製造業の判断で言うと、プラスが続いていますよね。これはいつ以来かご存知ですか。プラスになったのは1992年の2月調査以来です。23年ぶりです。雇用吸収力のある中小企業の非製造業が緩くなっている。だから、有効求人倍率が1.19倍まで上がっている。これもいつ以来かというと23年ぶり。つまり、バブルが弾けた翌年の1992年以来です。そういうところまで来ている数字が結構出始めているということで、内需に関しては良い動きになってくるのではないかなと期待しています。たとえば、地方の景気が心配だという見方も多々ありますけれども、景気ウオッチャー調査、街角景気を見ると、これは先行き判断DIですけれども、2月から6月まで全地域で50という分岐点を超えていました。7月だけちょっと残念なことに東北地方で49.5というのが出てきているんですけれども、季節性みたいなものもあると思います。現在、1番元気な、直近の調査だと北陸ですよね。これは北陸新幹線が通っています。観光客も相当行っていまして、金沢兼六園の7月の入園者数は前年比98%増。倍です。すごい数字になっています。それから、東北の方も結構、8月分の数字で良い数字がありまして、8月上旬にやっている四大祭りの数字が全部、昨年よりも増えています。合計すると725万人ぐらいになるのですが、昨年よりも11%増えています。仙台七夕祭りは震災後、1番多い人出になりました。と言うことで、ちょっと元気がなさそうな東北も、四大祭りとか、8月の数字を見ると、しっかりしているということになります。それから、企業収益が過去最高水準だとよく言われていますけど、それを表す数字として大相撲の懸賞があると思います。最近、東京でやる時は、過去最高の懸賞本数ということを言われます。これは企業収益が良く、企業が広告を出すんですね。これは企業しか懸けられませんから、そこが最高だろうということになっているわけです。夏場所が1776本。これが史上最高ですね。名古屋場所はというと、地方場所としては過去最高になりまして1509本ということです。ですから、ちょっと地方場所と東京場所、交互にジグザグ状で、どんどん右肩上がりで上がっているという姿になっています」
秋元キャスター
「あと、こういうデータがあるんですよね」
宅森氏
「これ(日経平均株価)ですね、ちょっと前までつけていたのが2万0900円台。現在、ちょっと落ちてしまって、1万8000円台になっちゃいましたけれども、また、戻る可能性がある水準だと思いますが、実は2万0900円台は何年ぶりかというと、これは18年半ぶりだったんですよ。これもそういう数字だったんですよ。1996年に2万2666円という高値があるので、ここを抜く、2万2700円というといつ以来かと言うと、23年ぶりになるんです。1992年ぐらいになる。だから、ようやくそういうところまで、株価で見ても、18年ぶり、23年ぶりという数字が出るところまでいろんな数字がいろんなもので改善してきているということが言えると思うんですね」
秋元キャスター
「ここまでデータを見てみますと、意外と良かったと」
大山解説委員
「そうですね。よく言われているように1990年にバブルが崩壊して、日本中の会社とか、含めて、設備と雇用と、それから、借入れのお金の過剰という、この3つの過剰、あと人員とかがあるんですけれども、その調整がようやく終わって、ここ数年は、ひょっとしたら日本企業、日本経済は、絶好調と分析されている専門家の方もいらして、それが続いていたところだという話もよく聞くんですね。現在、宅森さんの話もそういうことで言えば、流れから言って、なるほどとすごく思うところがあります」
宅森氏
「だから、そういう雇用面の限界的な数字が良くなってくるので、いよいよ今度は所得面ですね。賃金がじわじわと上がっていくと。だから、今年の春闘の時のアップ率も17年ぶりとか、98年以来のアップ率とか、そういう数字が出ているんですよね。だから、もうちょっとのところまで来ている。そんな感じがしますね」

2015年の日本経済
宅森氏
「コンビニの日本フレッシャーズチェーン協会さんの既存店ベースのデータですけれども、6月の伸びというのはわずかな伸びだったんですよね、6%、昨年よりも伸びています。7月分に関しては1.2%伸びている。7月の半ば以降、暑くなりましたよね。今年は冷夏かもしれないという予想に反して暑くなって、8月の半ばぐらいまでかなり猛暑が続いたわけですけれど、その効果ですね。コンビニは夏場、7月が1番売上げの出やすい時期ですけれども、さらに昨年より増えているという数字が出ていますよね」
秋元キャスター
「猛暑だと上がるのですか?」
宅森氏
「夏物商品、そういったものが売れますから、たとえば、アイスが売れるだとか、ビールが売れるだとか、そういったものがありますね。そういったプラス効果があります。これは、百貨店でもそういう感じになると思うんですけれども、8月の前半までマーケットニュースというところが大手の百貨店についてヒアリングをかけて、聞いている数字です。6月よりも7月の方が全体的に伸び率が高くなっているところが多いと思います。さらに、8月の方が伸びている。特に、前半猛暑でしたから。そういうことで、こういうバーゲンの時期も6月から7月にずれているというのもありますけれど、7月、8月の個人消費の数字は結構、こういう早めに見えるやつだとよくなっているものがあるわけですね。そういう意味では7-9月期の個人消費はプラスの伸びに転じるだろうと思っています」

景気腰折れの懸念は?
永濱氏
「残念ながら猛暑効果は一時的な効果なのではないかと考えていて、過去に猛暑で夏の消費が盛り上がった時というのは1994年と2010年ですが、確かに7月、9月は夏が暑くなって、GDPも消費も伸びたんですけれども、一時的な消費なので、その後、反動減でマイナス成長が…。さすがに今年はここまで伸びていないのでマイナス成長かどうかわからないですけれども、ここが1つ心配だなということと、エルニーニョ現象が続いていて、今週気象庁の3か月予報が出まして、その予報を見てみると、9月は雨が多いらしいです。となると、どうなるかというと、9月は非常に経済的に大きなイベントを控えていて、シルバーウィークです。これでシルバーウィークが雨にならなければいいんですけれど、仮にそこで雨とかになってしまうと、これちょっと心配だなというのが…」
秋元キャスター
「 今年は土日月火水…」
永濱氏
「5連休ですね。そこがちょっと懸念。雨になんなければいいですけどね。なってほしくないですけれども、そういう心配があるのと、もう1つ、11月が例年よりも暖かいとなっているんですね。そうなると、猛暑とは逆で冬は寒い方が売れ行きは良くなりますから、逆に今度は暖かくなると冬物の衣料が売れなくなる懸念があるのかなと。気象予報が当たってほしくないですけれど。あともう1つ、私が個人消費に楽観的になれないことがあって、何かと言うと、何だかんだ言って4-6月期は個人消費が落ちて、実際に時系列でデータを、世帯主の年齢階層別で見てみると、昨年、消費が盛り上がったシニア層が、消費が落ちているんですよね。何でなのかということでいろいろと追求してみたのですが、2つぐらい理由があるのではないかと思っていて、1つは、円安は確かにマクロ経済全体的にはプラスですけど、もしかしたらシニアの消費にはマイナスに効いているかもしれないなというところがあって、なぜかと言うと、要は、シニア層の消費の特徴としてエンゲル係数が高いんですね。食料品の消費の比率が高いんです。実際のデータがここあるんですけれども、世帯主の年代別のエンゲル係数を見ていただくと、シニア層になると、エンゲル係数が高いですね。円安で何の物価が上がっているのかというと、食料品の値段が1番上がっていますので、実はこの部分が、一方で実質的な年金の目減りなんかもありますので、影響しているのかなというところが1つ指摘できるのと、もう1つは、あくまで定性的な判断ですけれども、そうは言っても、これまでは株も上がっていたし、シニアというのは株も持っていて、富裕層もたくさんいるわけですから、何でそういう人が消費をしないのですかというと、あくまで私の推測ですけれども、社会保障の効率化の議論が非常に盛り上がっていますよね。結構議論が先走って、それこそ将来的に国が預金口座まで把握して、預金のたくさんあるシニアには応分の負担をしてもらうとか、そういう議論が出ているではないですか。実際に何が起きているかというと、金庫が売れてるらしいんですよ。家庭用の金庫が。結構お金を持っているシニアの人達は、本来であれば、株が上がって、その資産効果の部分で贅沢な消費をするところを、一方で社会保障の効率化の先走った議論が出ちゃったことによって自己防衛に走っちゃって、せっかくの資産効果を消費にまわしていないという可能性があるのではないのかなと。さらに、こうして株が下がって、それを考えると、そこまで消費を楽観的に残念ながら見られないかなと」

米国経済と利上げの見通し
秋元キャスター
「2015年後半の世界経済で注目されるのは中国以外ではアメリカということになるのでしょうか?」
松野氏
「そうですね。もともと中国の問題がクローズアップされる前から、アメリカの金融政策がかなり懸念されていたわけで、懸念されていた大きな背景というのは、過去においても、アメリカの金融緩和政策から引き締めの方向に向かった時に、今回のような、世界的な株価調整というのが過去に何度も見られましたので、今回も同様のことが起きる可能性があるのではなかろうかと。これまでは量的緩和政策をやめるといったような転換で、そういったことが起きたんですけれども、今回、それはもうやめて、金利を上げようかとなると、もっと混乱するのではなかろうかと、こんな見方もあって、かなり以前からこの話というのは警戒されてはいたんですけれども、一方で、金利上げるという話はどういうことかというと、アメリカ経済そのものはいいからということは当然想像されるわけですけれども、本当にいいのかどうかを実際に見てみたいなと思うんですけれども、IMFの経済見通し、4半期ごとに出ています。アメリカのところ、4月の段階で3.1%から2.5%まで2015年の経済見通しを下方修正しているんです。アメリカの経済が金利を上げるまで過熱しているかというと、そうでもないのかなと思います。NYダウは2015年以降、史上最高値の水準ではあるのですが、値上がり率はというと、ほとんど上がっていないですね。現在マーケット的にはもしかしたら年内金利を上げないのではなかろうか、場合によっては上げることがなくなってしまったのではなかろうかと、こういった議論が少しずつ増え始めているのが現状ですね」
永濱氏
「利上げのタイミングはどこかの予想よりも、できるだけ慎重にやってほしいなと願っています。それはなぜかと言うと、要は、日本株の影響が結構大きい可能性があるのではないかと考えていて、アベノミクスが始まって、ざっくりと2013年から始まったとすると、それ以降の日経平均の調整度合いを見てみると、二桁以上の調整をしたのは今回を含めて4回ですね。2014年の年明けから下がったんです。あの時もアメリカの出口の議論、新興国の懸念もあったんですけれども、次が昨年の秋ですよね、下がって。結局その時は日銀が追加の緩和をやって、すぐに株は戻ったんですけれども、その前の2014年の年明けから二桁で調整した時も、結局、元の水準まで株が戻るのに9か月ぐらいかかった。今回もこれだけ株が短期的に調整して、このまま一応足元では戻りの兆しがありますけれども、これがこの勢いで短期間に戻ってくれば、私は年内利上げも大丈夫だと思うんですけれど、仮にそれがもたつくような状況であれば、むしろFRB(連邦準備制度)は利上げを先送りするみたいな判断というのは求められてくると思います。それだけではなくて、私は日銀の追加の金融緩和の必要性も出てくるし、ECB(欧州中央銀行)の追加の金融緩和、このへんの必要性も出てくるほど、悪くなる可能性は否定できないのではないかと慎重に見ておくべきだと思います」

宅森昭吉 三井住友アセットマネジメント理事の提言:『着実』
宅森氏
「アベノミクスの3本目の矢は成長戦略ですよね。これは、いろいろなことが考えられて、いろいろなことが提言されて、実際に法律もだんだん整備されるようになってきていると思うのですが、あとはそれを着実に実行していくことですよね。現在の若い人の消費性向が低いとかいろいろありましたけれども、たとえば、30代までの人は、23年前のデータが出てきたと言いましたけれども、そのあたりでは社会人になっていなかった人達はいっぱいいるわけですよ。だから、局面が変わってきたんだという認識を持てること。それから、潜在成長率を上げられること。そのためには成長戦略をしっかりやって、日本の生産性を上げていかなくてはいけない。そういう現在、非常に重要な時だと思うんですね。外のいろんな今回の同時株安みたいなこともあると思うんですけれども、そう言ったものを乗り越えられるような、そういうような体力のある日本経済にしていく。そういう政策を着実に実行していく。大事な時期だと思っています」

松野利彦 SMBCフレンド証券チーフストラテジストの提言:『米利上げと中国経済』
松野氏
「私の場合は、今回の番組の総括みたいな状況になっていますけれど、アメリカの利上げと中国経済ということで、先ほど来、ずっとありましたアメリカの金融政策で、これが経済的な影響、先ほど、永濱さんからもありました通りかなり影響を受けるということで、それはマーケット的にも同様ですけれども。それと、もう1つ中国の経済というところが相当にマーケット的にもそうですけれど、日本経済も少なからず影響がありますので、このへんをうまくコントロールできるのかどうかといったところが年後半の経済の非常に注目点だと思います」

永濱利廣 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『国際協調と再分配』
永濱氏
「政策対応ということですけれども、要は、金融財政政策をどう打ち出してくるかということだと思うんですね。特に、金融政策についてはここまで世界が同時株安になっていて、現在、足元戻っていますので、早期に元の水準ぐらいまで戻るような回復であれば、そこまでしなくてもいいのかもしれませんけれども、ここまでのことが起こったら、中国だけに任せておくのではなくて、先進国で協調して何か策を出さざるを得ない状況になってくる可能性があるかなと。そういった意味では、9月の4日、5日にG20があるんですね。そこでおそらくこの議論はされると思いますから、その時の株価の状況にもよりますけれども、どんな打ち出しが出てくるか。場合によっては9月に日銀が追加の金融緩和をしてくる可能性もありますというところで注目だと思います。もう1つは、財政政策の方ですけれども、こちらは4-6月期にマイナス成長になったことによってほぼ補正は既定路線になったと思うんです。ただ、ここで注意が必要なのは景気が悪くなったからと言って、経済効果を短期的に求めるために公共事業とやるのは、これまでの企業を見ても良くないと思います。逆に景気を上げるというよりも、むしろこれまでの円安の副作用の再分配を弱者に手を差し伸べるような、家計に、重点的な政策をどれだけ入れ込むことができるか。このへんが非常に注目されるところなのではないかなと思います」