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2015年8月20日(木)
下村博文文科相に問う 『新国立』と教育改革

ゲスト

下村博文
文部科学大臣・教育再生担当大臣 自由民主党衆議院議員
井上寿一
学習院大学学長

下村文科相に問う 新国立問題の経緯と今後
秋元キャスター
「2012年に、新国立競技場は公募で、イラク出身の女性建築家ザハ氏のデザインに決定しましたが、募集要項に、工事費はおよそ1300億円程度としていました。2013年8月に事業主体のJSC、日本スポーツ振興センターが総工費は3000億円を超えると文部科学省に報告。しかし、昨日行われました第三者検証委員会の場で、7月にJSCは、設計会社から、総工費が3462億円にのぼると報告されていたことが明らかになりました。あまりに総工費が高過ぎるということでJSCは規模を4分の3に縮小した基本設計を公表。総工費は1625億円としました。しかし、今年の2月、建設会社は、総工費が3088億円にのぼるとの試算をJSCに提出し、文科省に報告。下村大臣も予算委員会で工費は最大で3000億円と述べています。ところが、第三者検証委員会の場でJSCがこの建設会社の試算とは別に、2112億円程度とする試算を文科省に報告していたことが明らかになりました。6月、下村大臣が2520億円の総工費を公表したものの世論の反発もあり、7月には建設計画白紙撤回ということになりました。下村さん、そもそも何でいろいろな数字が出てきて、行ったり来たりしているような状況になったのでしょうか?」
下村文科相・教育再生担当相
「これはまったく私は逃げるつもりはありませんが、第三者検証委員会できちんと調べてもらう必要があると思います。なぜかと言うと、たとえば、2013年の8月、JSCが試算を文科省に報告。そのあとに、2015年の2月にJSCが2つの試算を文科省に報告とありますね。これは文科省に報告をしていたというのは、検証委員会で、その金額も含めて、つい数日前にわかったことですが、私のところに直接、報告があり、現在のままでは間にあわないと。それから、予想額より相当超えそうだという報告があったのが、2015年、今年の4月ですね。4月以前については私のところへも上がってきていなかった。ただ、これはサボタージュでは、私はないと思って、それはなぜかと…」
反町キャスター
「文科省の中のサボタージュという意味ですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「ではないと。それと言うのも、JSCというのはスポーツ振興センター。確かに文部科学省の所管の独立行政法人ですけれど、文科省の所管の独立行政法人というのは百数十あるんですよ、そもそも。百数十ある。教育、文化、スポーツ、科学技術と幅広い分野ですから、100%全ての独立行政法人の問題が全部、その時々、私のところに上がってきているわけではなくて、別にJSCだけではなく、それぞれのつかさ、つかさで判断してきていたことだと思うんですね。ただ、その判断でもっと検討し、業者とあわせて、ゼネコンとあわせてコストダウンをしようということがどうしてもできなくなって、最終的に上がってきたのが、今年の4月。それを受けて、工期も間にあわないし、相当額も多いということで私自身が動き始めたということですから、実際にその上げ方が良かったのかどうか。これは第三者検証委員会できちんとチェックしていただく必要があるだろうということでお願いをしているのですが。ですから、正直言って、何で、そんなに予算額と業者の額に乖離があって、それを埋められなかったのか。普通で言えば、たとえば、ザハ・ハディ氏のデザイン1300億円に決まったのなら、1300億円で抑えないとおかしいわけですよ」
反町キャスター
「家を建てる時の例でよく話をしますけれど、そういう感じになりますよね」
下村文科相・教育再生担当相
「なりますよね。それができなかったら、契約破棄だねと。破棄はしないにしても、どこまでコストダウンできるのかねということでやるのは、当然の話ですから、それで収まり切らなくて、そういう経緯になったということについては、これは第三者検証委員会できちんとどこがどう問題だったのかということについては検証をしてもらって。その時に、同時に責任問題も議論をしてもらおうと思っています。既に、もう検証委員会が20人ぐらい、これはJSCと文部科学省のそれぞれの当事者なり、その時々の交渉者、個別に呼んで聞いているようですから。聞き取り調査しているようです。私に対しても是非、遠慮なく聞き取り調査をしてもらうように言っていますから、たぶん近々にそういう話があるかと思いますが、そういう中で客観的に経緯をきちんと検証して、2度とこういうことが起きないようなことをするということは、国民に対する説明の、あるいは責任の取り方にもなってくると思いますね」
反町キャスター
「入札というか、1300億円でできる会社はどこですかという呼びかけはしていないですよね、今回は」
下村文科相・教育再生担当相
「いやいや、もちろん予算が決まっているわけですから」
反町キャスター
「1300億円で請け負える会社はどこですかと。1300億円で図面が引ける会社はどこですかという、こうではなく、最初から決まっていたから、こういうふうな形になっているという、この指摘は嘘ですか、本当ですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「いや、これは、業者は実際に決まっていません。業者は、実際に設計会社は決まりました、この4月にですね。ゼネコン業者が決まったのは、2014年の、つまり、昨年の12月です。昨年の12月になぜそのゼネコンが初めて決まったのかというのは、キールアーチと言って、背骨みたいなやつですね。あれはどちらかというと、橋みたいなもの、橋が上に2つできる。東京タワーの2倍の大きさの橋が2本立つということで特殊工事、建設工事とか、土木工事にあたるんです。これができる業者は限られていると。それから、非常に高度だということで、技術協力をしてもらえる業者を決めたのが昨年の12月だったんですね。それが竹中と、それから大成だったわけですけれど、竹中、大成が請け負うことが決まって、技術協力をして、今年の2月、JSCが2つの試算を文科省に報告と。つまり、建設会社が3088億円で出したというのが、今年2月になったんです。ですから、もうちょっとはやくいろんな形で詰められれば、縮小も含めた交渉もできたのではないかということは、検証委員会で現在、議論をしてもらっているのではないかと思います」
反町キャスター
「1625億円と3088億円との乖離は、どうにもよくJSCはどんぶり勘定とか、言うではないですか。予算感覚がないとかですね。そこの言葉に全部収斂をさせていいものなのですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「いや、これは検証してもらいたんだけれども、JSCが、勝手にどんぶり勘定なんか、そもそもできるはずがないですよ。こういうことについては素人ですから。JSCがなぜその根拠化したかというのは、この建設についての設計は日建設計というところがやっているんですね。日建設計の積算の上で、JSCはその額を言っているわけですから、積算通りにゼネコンが出す金額でなかったという、その乖離ですね。材料費の問題。それから、確かに東日本大震災の復旧、復興でなかなかそれぞれのところでの入札が不調だったと言われましたね。それから、同時に、東京都もいろんな競技場を新規につくるというようなことがありましたから、人手不足の問題とか、建築資材の問題とか、いろんな問題があることは事実ですから、それでも、その予定価格の倍というのは、これはちょっと考えられないことですから、なぜそうなったのかというのはきちんと専門家の方々にチェックしていただきたいですね」
反町キャスター
「2015年4月になって初めてお聞きになったと。ここで聞いた数字は、ここで言う3000億円超ぐらいの数字が初めてお耳に入ったという感じなのですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「この時は、金額の話はありませんでした。これは2015年、つまり、今年の4月に、JSCの河野一郎理事長から、私が、国立競技場の解体工事がほぼ終了しそうだということで、現地に視察に行ったんですね。その時、視察が終わったあと、JSCの本部で、このままいくと2020年のオリンピック・パラリンピックにも間にあわないと」
反町キャスター
「金の話ではなくて、工期の話だったわけですね?」
下村文科相・教育再生担当相
「そうです。間にあわないと。それから、1625億円というのも大幅に超えそうだ。どれぐらい超えるかという3000億円という話はありませんでした。大幅に超えそうだということで、これはJSCだけでは対応できないので何とかしてほしいという、直接、私に話があったのは、今年の4月10日です。それを受けて1つは開閉式の幕ですね。それは先送りをしようと。つまり、2019年、ラグビーワールドカップ。2020年のオリンピック・パラリンピックは開閉式の幕、競技場の上の幕ですね。観客席は屋根があるんですけれど、競技場の上の幕についてはそれは要らないと。なぜそれが必要なのかと言うと、2020年以降そこでコンサートを開くと。周辺の騒音問題があって、年に2回ぐらいしかコンサートができない。1回のコンサートの時も、周辺住民に1人1人にハンコを押して了解をとってもらうんです。数百人。それで毎回コンサートをやるぐらいの騒音問題が、コンサートを制限しているらしいんです。ところが、コンサートの時だけは開閉式の幕、屋根をつければ、これはコンサートができるわけですね。なぜコンサートをやるのかというのは、1回のコンサートの収益によって、10回程度やれば、国立競技場の維持管理費を黒字にすることができる。だから、コンサートもやろうと。またそういうニーズがあるということだったんですね。オリンピック・パラリンピックの話だから、開閉式幕は先送りをすれば、それで期限は間にあうと。それから、コストについてはザハ氏のデザインというのは相当、かなりハイセンスなレベルの高い材質が使われようとしていたので、それは相当コストダウンをするようにしていこうというようなことをすることによって、期限を間にあわせる。さらに、コストダウン、削減していくと。それを私の方から指示。私自身も独自によりもっと大胆なコスト削減できないかどうかということで、関係者から、期限を間にあわせることも含めて、聞いてきたということですね」

責任のありかと取り方は?
反町キャスター
「ここまでの話を聞いていると、僕は、個人的に聞いていて、はっきりさせてほしいなと思うのは、今年の4月の10日にJSCが持ってきたという、このままでは間にあわないし、予算も倍ぐらいかかるという、いわば、そのどん詰まりというのか、どん詰まりですよね。どん詰まりになるまで問題を抱え込んでいたJSCの体質、その感覚。それともう1つは、先ほど、文科省に報告がいった時、それが大臣に上がっていなかったという話からすると、これは、要するに、大臣に上げる問題ではなくて、文科省とJSCとの間で、ないし建設会社、設計会社を一緒に飲み込めば、何とかなるのではないかという判断があったから、大臣に上げなかったとすれば、それは文科省の中における判断はどういったものだったのかと。この2点だけ、僕はポイントだと思うんですけれども、いかがですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「おっしゃる通りですね。ですから、これは本当に第三者の検証委員会に検証をしてもらいたいと、客観的に。つまり、JSCが無責任であったのかどうか。JSCはもっとはやくから文科省に、担当者に言っていたにも関わらず文科省から適切な指導がなかった。だから、止むに止まれず、私、大臣に、ある意味、直訴みたいな形で話したいというのかもしれないし、あるいはそもそも文科省の担当者を含めて、それはちょっと言葉で言えば、それはゼネコン、ここまでいくとJSC、しっかりしろ。そんなことはJSCで、しっかりやれなかったらおかしいのではないのという意味で、その程度のことを大臣に上げる必要はそもそもないだろうという判断だったのかもしれません。客観的にこれは本当に調べてもらいたいと思います」
反町キャスター
「あと1問。オリンピックのあと、スタジアムがどうなるんだと。ここの部分ですけれど、先ほど、コンサート。屋根つきにしてコンサート。でかいコンサート、5万人なら5万人のコンサートを10回やればペイするという、維持費が出せるという話がありましたけれども、今度の新計画、屋根はとりあえずなくなってしまっているわけですよね。そういう中で、2020年以降、オリンピック(以降)、新国立競技場、利用方法としてはどういうものが視野に入っているのですか?
下村文科相・教育再生担当相
「これは現在、遠藤大臣とも新国立競技場見直しのための関係閣僚会議を開いていて、正式にはこの9月の上旬に、整備計画の基本方針を出すことになっています。ただ、その中のスキームとして、2020年以降は、民間委託ということが1つのテーマに入っています。国立競技場は聖地として残すということは、アスリートからすると期待かもしれませんけれども、そうすると、年間、相当の維持管理費が必要だし、それから、修繕費も別に、また必要ですね。結果的には国民の税金を投入することになると。そもそも今回ゼロから見直すと総理が判断されたのも、あまりにも国民の税金投入を、予算の程度を超えているのではないかところから始まっているわけですから、2020年以降もできるだけ、私はと言いますか、国民の税金投入をゼロにするようなスキームを考える意味では、民間委託にして、逆に、そこから収益の一部が国に上がってくるような、そういう逆転の発想をしていくべきだと思います」
反町キャスター
「プロスポーツの導入の話があります。アメリカのプロ野球、メジャーリーグと日本のプロ野球の違いは何かというと球団が球場を持っているかどうかによって、その球団の財政状況が劇的に違うという話を僕はよく聞きます。どこかの人気球団、どことは申し上げませんが、どこかの人気球団が自前の球場を持たずに毎試合、毎試合、何万人というお客さんが来る中で、球場の膨大な使用料を、要するに、球場のオーナー会社に払っているとすれば、その人達がもしも国立競技場を野球場のホームグラウンドに使えるのであれば、当然、触手は動くと思うんですけれども、プロスポーツの誘致についてどう考えますか?」
下村文科相・教育再生担当相
「8月の上旬に、ロスアンゼルスでスペシャルオリンピックス世界大会の開会式があって行ってきたんですね。知的障害者の人達の集まりがスペシャルオリンピックスです。ここのロスのスタジアムというのは、かつてのオリンピックのメインスタジアムだったところ。そのあと、同じ問題があるので、プロ野球チームが使ったり、それから、アメリカはアメリカンフットボールが盛んです。そういう商業スポーツが活動することによって成り立っている部分があるんですね。我が国においても、野球だけとは限りませんが、サッカーも含めて、収益性の上がるもので活用をするというのを考えるというのは、必要なことではないかと思いますね」
反町キャスター
「夏、冬は野球で、サッカーは通年で、新国立競技場がプロスポーツのホームグラウンドになる。こんなイメージですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「そうですね。ですから、そういうスポーツビジネス関係の人から見たら、黒字にすることは可能だと。どんなスキームでやるかだという方もたくさんいらっしゃいますから。それは、赤字の垂れ流しというのは、結果的には税金が投入されることになりますから、そういうことがないことを、私はこの負のレガシーではなく、プラスのレガシーとして、遺産として考えるべきだと思います」

学習指導要領改訂へ…いま日本に必要な教育とは
秋元キャスター
「新学習指導要領の答申草案についてですが、歴史科目で世界史と日本史を統合して、歴史総合という科目を新設し、必修化することが検討されています」
下村文科相・教育再生担当相
「現在、世界史と日本史というのが選択必修ですね。世界史、日本史というのもAとBに分かれていまして、Aというのは世界史の近現代史。それから、日本史Aというのは日本史の近現代史ですね。ところが、この新科目の総合科目というのは日本史と世界史をミックスした近現代史を教えると。それが歴史総合という意味です。なぜそれをやる必要があるのかというのは、たとえば、中学校以下の学習指導要領も改訂し、初めて領土を明確に明記させるということで、北方領土とか、それから、竹島とか、尖閣は我が国の固有の領土というのを教科書に書き込むことにしたんです。しかし、もっと同時に大切だと思うのは、高校生レベルであれば、特に領土問題でそれぞれ主張が違う尖閣諸島について、中国はなぜ尖閣諸島を中国側も領土だと主張しているのか。それから、竹島についてはなぜ韓国が、我が国の固有の領土だと言っているにも関わらず占有しているのかということについて、韓国の主張や中国の主張、それから、我が国の主張と両方教えることによって、より客観的に、日本の言っていることがどうなのかということが子供達にわかるようにして、それはこれからグローバル社会でこれまで以上に高校生達であっても、韓国や中国の子供達、高校生と議論する必要が出てくると思います。ディベートですね。ところが、日本の高校生はそもそも自分達の知識もない。知らないと。それから、固有の領土だということも実は教えられてない。だから、一方的に中国や韓国の高校生が主張しても反論ができないという部分があったんですね。そうすると、中国、韓国の高校生達から見たら自分達の主張が正しいと。日本の高校生達は誰も反論できないということになるわけですね。しかし、我が国は我が国としての主張はあるわけですから、きちんと日本の主張だけでなくて、中国、韓国の主張も教えながら、その中で近現代史の歴史的な経緯とともに、これから中国、韓国とどう議論しながらも、共生していくかと。そういう視点としての歴史教育を教えるということは、グローバル社会だからこそ必要になってきたと思いますね」

『公共』必修化の真意は
秋元キャスター
「公民科目についても大きな変更が検討されています。課題解決のあり方を協働的に考察、公正に判断、合意形成する力、公共的な事柄に自ら参画しようとする意欲や態度を養うなどとして、国家・社会の形成者として主体的な社会参画に必要な力を実践的に育むとしています」
下村文科相・教育再生担当相
「来年の参議院選挙から、18歳に選挙年齢引き下げになります。もう来年からの話ですね。私は随分前から、これは引き下げるべきだということを議連でもやっていた立場ですけれどね。ですから、高校生や大学生にいろいろと聞く機会があった。高校3年生は誕生日が来たら、18歳になったら、選挙権が得られるわけですね。高校生に聞くと、是非ほしいと、選挙年齢は是非18歳で投票したいという子がどれぐらいいるか。いない。3割ぐらいしかいない。要らないと言うんです」
反町キャスター
「どうしてですか?」
下村文科相・教育再生担当相
「大学生でも、いろんな大学生に話を聞いたら、大学1年生、2年生だとまだ20歳になっていませんから、要らないと。つまり、選挙年齢は権利ではなくて義務だと。そんな義務は要らないと。重荷だと思っているんですね。それはないだろうと。選挙年齢というのはこれまでの歴史の中で勝ちとってきた権利だと。納税高額者しか選挙権がないのを一般市民まで広げ、女性まで広げ、近代の歴史の中で現在があるんだと。これは義務という話ではなく権利だという話を言っても、要らないと言うんです。それだけ日本の高校生というか、諸外国は皆18歳という選挙年齢があるし、場合によっては16歳から被選挙権もある国だってあるわけですから、ドイツなんかもそうですけれどね。もっともっと自分達が関わることによって、社会は善くも悪くもなると。悪くなるということは、それだけ逆に言えばコストがかかる社会だと。つまり、税金がかかる社会だと。自分達は、国的に言えば、1人1人が社会や国家の形成者としての自覚と、国家社会の形成者として主体的な社会参画に必要な力を実践的に育むとなると、おせっかいな国家主義的と思われるかもしれませんが、そうではなく、こういうことをすることによって自分達がコストダウンをはかることによって、税金もかからない。それから、自分達の主張が通るような、より社会がスムーズに、自分達の目指す方向になるという意味では参加することが民主主義社会の中では、よりよい社会、国をつくるために重要だということを子供の時からキチッと教育をするという意味で、公共の役割が必要だと思います」
反町キャスター
「制度だけではなく、教員の育成も含めて、どのように評価するのかという中身をこれからやっていくと」
下村文科相・教育再生担当相
「全部やっていかないと、絵に描いた餅になってしまうんですね。総合学習も良かったんですけれども、結果的にはあとは学校現場にお任せ、総合学習というのは理科とか、社会とか、あるいは家庭科とかをミックスした、しかし、結果的に能力のある教師はそれをうまく活用して子供の意欲や学習能力を高めるようなことができたけれど、図書館で百科事典を写すような総合学習的な緩みになってしまった。ですから、そういう意味で新しく学習指導要領も変えました。新たな教科、公共ができました。さぁ、やってくださいではなかなか難しいと思いますから、教員研修も含めたトータル的なことをこの5年、6年、7年の中で準備していく必要があると思います」
井上氏
「重要な割に、教育の現場に落ちてきた時に最も難しい、やりにくい科目になるのではないかなと思います。1つの授業の中で、答えがあらかじめ1つ決まっている、そこにたどりつくためにどれだけ能力を発揮したかで評価するというのはわかりますけれど、公共という科目は原理的にも違うわけですよね。答えが1つではない、2つか3つあるかもしれない。もしかしたら考えても答えにたどり着けないかもしれない。でも、その途中で、何をどうやったということが評価されるということが必要だと思います。実際に現在の高校でアクティブ・ラーニングを導入している学校とか、経験している先生は1割ぐらいしかいないです。しかも、アクティブ・ラーニングと言いながら、実際には博物館に行くとか、社会科見学をして、息抜きになっていると。本来、そういうところに行って息抜きをして、家に帰ってから勉強しようとか、予備校に行こうとなっていて、本末転倒になっていると。アクティブ・ラーニングの理想はいいのだけれども、実際にそれをどうやって評価と結びつけていくのか、入試とどうやっていくのか、そこまでやっていかないと結局、理想倒れに終わってしまう。1番理想が高いのだけれど、1番危なさそうな新しい科目だと思います」
下村文科相・教育再生担当相
「これから求められる能力というのは、いろいろな課題がある中で、自ら主体的に解決する能力。答えはこれということではなくて、いろんな見方によって考え方があると。多様な中で、自ら解決しようという能力が問われると思います。そのためにはクリエイティブな、創造的な、企画的な能力も必要だと思います。それから、人間的な感性とか、優しさとか、いたわりが必要だと思うんです。それを大学入学試験で問わなければ、本当の能力を問うということにならない。だから、基礎基本は必要だから、公共においても基本的な、社会的な、常識的な部分は当然問います。でも、それだけではただの暗記だから、その中で自分は何をすべきなのか。何を為すべきなのか。それは確かに正解は1個ではありません。いろんな考え方があるでしょう。でも、その考え方の深みがどれくらいあるのか。あるいは自分のことだけでなく、社会全体、あるいは国、世界、そういう視点から物事をどのくらい考えているかということが入学試験で問われると思いますから、暗記的な部分と、記述的な部分、論文的な部分がトータル的に問われる、そういう試験になると思いますね」

どう育てる? 日本の担い手
反町キャスター
「7年後からこういう科目が公共にしても、総合にしても出てくるとした場合にですよ、入試ではなくて教員養成の場としての大学、すぐに始めないと。それに対応できる先生を、今年の入学生から、ないし来年かわかりませんけれど、教員養成のカリキュラムを変えていかなくてはいけないという、こういう問題はありますよね?」
井上氏
「そう思います。結局、歴史総合と言った場合に、日本史の先生とか、世界史の先生がいたんですけれども、その先生達に急に歴史総合をやれというのは無理です、本当に。それは本当に違う科目、従来の日本史、世界史、一国史というのではないのですから、それは本当に研修を積み、しかも、アクティブ・ラーニングとセットになった形での歴史総合ですから、これを息抜きではないアクティブ・ラーニングとしてやるのは、よくよくいろんな研修をしないといけないと思います。それは欧米諸国のいろんな例に学びながら、やっていかなければいけない。それをサポートしてもらう、あるいはシステムをつくっていくことを是非、文科省にやっていただかないと。これは、どこかの1つの学校が何とかできる問題をはるかに超えているので国レベルで短期間のうちに取り組んでいただかないと、とても間にあわないことだと思っています。特に、新テストとかを構想されていると思いますけれど、あれもなるべくはやくサンプル問題を出していただいて、こういう問題に対し、こういうふうに採点するんですというのを出していただかないと高校生も、大学もそうですけれど、本当に混乱すると思うんです。何度も言いますけれども、理念は私も非常に共鳴するところがありましたし、それ以外にこれから日本の行く道はないと思うんですけれども、でも、現場は本当に大変です」

下村博文 文部科学大臣・教育再生担当大臣の提言:『2030年から見た 日本の今の教育は?』
下村文科相・教育再生担当相
「つまり、15年後ですね。15年後にこれまでの延長線上の日本はもうないと。情報化社会の中で現在の職業の半分ぐらいはなくなっているだろうと。自動化によって、あるいは世の中の流れが激しくて、日本の現在の産業そのものがもっと他の国にもシフトしていくという中で、現在の教育のまま15年が経った時に、本当に仕事に就けるのかと、生きていけるのかと、半分がもしかしたら失業者になってしまうのかもしれない。半分が失業者になってしまうような状況の中で、これまでの教育の延長線上ではない、逆に、自分達が起業するとか、どういう社会でも生きていける。そういう逞しい人間力というのを教育でつくっていくために、これまでの延長線上でない教育をする必要があるのではないかという視点から考える必要がある、という問題提起です」

井上寿一 学習院大学学長の提言:『教育立国』
井上氏
「戦後の日本というのは科学技術立国だったと思うんですね。つまり、植民地を失い、領土が狭くなって、資源がない日本がどうやって再建すればいいのかといった時に科学技術を中心にして国を再興していこうと。たとえば、核エネルギーも、それが核兵器に使われるのには反対だけれども、それが原子力発電所に使われるのでは賛成という形で、短期間のうちに経済復興して先進国になったわけですけれど、でも、エネルギーのことにしたって今後どのようなエネルギー政策をとれば日本が持続的に発展していけるかというのは、そんな簡単に答えが出てこない。どうしたらいいのかというのは、教育に最重点をかけて、いろいろなアイデアを出していくという、現在の段階では、私達はとても想像がつかないような新しいエネルギーというのを未来につくり出さなければいけないというのを、それどうすればいいのかは教育で、非常に多様な教育をする中で、いろいろな能力のある人達が次々と出てくることによって、日本がこのままいくと衰退していってしまうというのを、教育に重点的にいわば投資をすることによって、先進国としてこれからも持続的に発展していく。そのためには言い古された言葉かもしれませんけど、あらためて教育立国で日本は国を立て直して、持続的に発展していく、そういう先進国のモデルを示すのだと、そういう意味を込めてこのように書きました」