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2015年8月19日(水)
検証…川内原発再稼働 新基準は万全か?

ゲスト

宮路拓馬
自由民主党衆議院議員
田嶋要
民主党衆議院議員
柏木孝夫
東京工業大学特命教授
田坂広志
多摩大学大学院教授

検証…川内原発再稼動 再稼動は妥当だったのか
秋元キャスター
「今月11日、4年3か月ぶりの再稼働となった川内原発ですけれども、まずは再稼働に至るまでの経緯を振り返っていきたいと思います。2013年7月、原発の新規制基準が施行されると、九州電力は川内原発1、2号機の再稼働を目指して、原子力規制委員会に審査を申請しました。その後、規制委員会は2014年の9月に審査書を完成させ、新基準に適合と判断しました。九州電力と地元自治体も再稼働に向け動き始めます。原子力規制委員会による新基準に適合しているとの判断を受けて、2014年10月には、鹿児島県などが審査書の住民説明会を開始。地元、薩摩川内市議会と岩切市長が再稼働に同意。11月に鹿児島県議会と伊藤知事が再稼働に同意しました。今年5月に審査を終了しまして、今月11日、1号機の再稼働が始まりました。こういう流れで川内原発、新基準で初めて再稼働する原発となったわけですが、まず宮路さん、今回の再稼働をどのように受け止めていますか?」
宮路議員
「私は現在からが大事だと思っています。再稼働、これまで原子力規制委員会を始めとする、多くの組織のご尽力。また、現在ご紹介いただいたように鹿児島県、薩摩川内市においても徹底的な議論のもと、同意ということで、再稼働したわけですが、まだ、不安を抱えていらっしゃる方もいらっしゃいますし、その点についてこれから政府、事業者、自治体がまた一丸となって理解の促進に努める。また、安全を常に高めていく努力をしていく、これが重要ではないかと思っています」
反町キャスター
「再稼働したあと、町の雰囲気とか、様子とか、変わるものですか?」
宮路議員
「私が知る範囲で、住民の方々は冷静に受け止めています。それだけこれまで徹底した議論を積み重ねてきたうえでの再稼働だったのではないかと思っています」

地元の本音は?
反町キャスター
「冷静にと言うと、僕は、たとえば、待っていた人達からすると、これによってある程度安定した財政的なものが自治体に落ちるとか、ないしは働く人にとっての収入源がある程度安定したものが確保されるとか、安堵感が広がるという言葉が出るかなと思っていたんですけれども、冷静な受け止めはだいたいそんなぐらいの感じですか?」
宮路議員
「当然、地元においては原発稼働を望んだ方もいらっしゃいますし、その背景に原発停止後、町に活気がなくなった。夜の町に人が出なくなったこともありましたので、そこはある意味、喜んでいらっしゃる方もいると思いますが、一方、先ほども申し上げた通り、依然として不安を抱えていらっしゃる方もいるので、地元の方々は、そこは冷静に受け止めていらっしゃるのではないかなと思っています」
反町キャスター
「経済的打撃というのは、当たり前の話ですが、そんなに巨大なものがあるものなのですか」
宮路議員
「マインド的なところもあると思いますが、含めての話だと思っています」
秋元キャスター
「田嶋さんは、この再稼働をどのように見ていますか?」
田嶋議員
「現在の話を聞いていて、いわゆる何々城下町とよくありますが、原発のあるところは原発で生計を立てている方もたくさんいます。火が消えたようになってしまっていたということで、こういった再稼働に喜んでおられる方も大勢いるのだというのはよく理解できるのですが、基本的にあとで出てくるかもしれませんが、国民の声の過半が現在でも反対しているということは重く受け止めなければいけないと思います。エネルギーの基本計画という中で、国民の懸念の解消に全力をあげる前提のもとに再稼働というくだりがありまして、そういうことから考えても国民の懸念が解消をされたとは言えない状況があると。そういう状況は今なおあるわけですから、本来、その状況の解消を前提にした再稼働という手順になるんだろうと思うので…」
反町キャスター
「民主党は再稼働に反対なのですか?」
田嶋議員
「今回の、この原発に関してはそうですね」
反町キャスター
「今回に関しては反対?」
田嶋議員
「そうですね」
反町キャスター
「どこに関しては賛成なのですか?」
田嶋議員
「どこにというのではなくて、後ほども議論が出るかと思いますが、私達は、現在の手続きで不十分だと考えているということです」

新規性基準と安全性
秋元キャスター
「新しい規制基準を満たしたことで再稼働が可能になった川内原発ですけれども、どういう安全対策が新たにとられたのか。具体的に見ていきたいと思います。地震対策としては、耐震設計の目安となる地震の揺れの想定を引き上げ、重要施設の直下に活断層がないことも確認しています。津波対策については、想定を4mから6mに引き上げました。火山対策は火山灰を防ぐフィルターなど新たに設置しました。その他、電源車やポンプ車などを配備。しかし、新規設計基準にも入っているテロなど特定重大事故等の対策施設や放射性物質を減らしたうえで、格納容器内の蒸気を排出するフィルター付ベントは、2018年までに設置が猶予されています。宮路さん、まだ、その設置が完了していない施設もある中での再稼働ということですけれども、これが全部整ってからの再稼働ではダメだったのでしょうか?」
宮路議員
「川内原発の状況は私も把握していますが、こうした特定重大事故対処施設、つまり、何かあった時にそこでしっかり原発の状況を確認し、そこで指揮がとれるような施設。これは設けられていますし、特定重大事故等対処施設、そのものでありませんが、同様の機能を持ったものが既に設けられています。フィルター付ベントについても、これはさらなる安全を確保するためにということで、2018年まで猶予するというバックアップのようなものですので、規制委員会は、これを除いてあったとしても、これで十分安全が確保されたということで、当然、許可をしたわけですので、そこは問題ないのではないかと思っています」
反町キャスター
「田坂さん、猶予を設けること。現在のだけで十分だったなら、こんな規制委の条件に入れる必要がないかなと思いながら、話を聞いていたのですが、規制委員会の信頼度というのと絡めて、この猶予を持ったOKのハンコ。どう感じますか?」
田坂教授
「国民の側からすれば、安全であってほしい。同時に安心できるものであってほしい。この2つが要件ですね。ところが、規制委員会の現在の考え方というのは、技術的な安全については確かに宮路さんがおっしゃるようにかなりしっかりと。私は、かなり厳しい基準をつくられたと思います。その意味では、安全度についてかなり努力をされているのですが、国民の側からすると、万一のことが起こった時の避難計画とか、確かに、福島の経験を振り返れば、そこで混乱が起こったことも事実ですから。そうすると、それは起こらないのだろうなというところを、むしろ安心論として求めているわけです。だとすると、これは誰が補償をするのかという問題が置き去りにされているんです。規制委員会の考え方としては、我々は技術的安全については世界で最も厳しい基準で判断します。この覚悟たるや、私はお見事だと思うんですけれども、実はそこからこぼれてくる、住民が万一の時に安心できる仕組みは整っているのかということについて、誰が責任を持つのですかと。少なくとも規制委員会が、我々の範疇でないというのであれば、これは自治体の首長さんなり、政府が前に出てでも、国民の安心が保てるような手を打たれるべきですね」
反町キャスター
「柏木さん、この技術的に安全ということが、住民の安心につながっていないと世論調査なんかで、特に僕らには見えます。住民の安心につながっていない部分というのは、これはしょうがないと見るのか?」
柏木特命教授
「それはもう少し説明が必要だと思いますよ」
反町キャスター
「説明で済む話なのですか?」
柏木特命教授
「説明をしてやっていく必要があると思いますね」
反町キャスター
「今回のその基準の部分というのは防ぐということに重きを置いている部分はあるとは思うんですけれども、起きたあと、万が一の、その事故が起きた後の対応は避難計画を含めて、たとえば、よく言われるのは、原子炉での事故が発生した時の特別対応部隊。今日の自民党のPTにも、その創設が謳われています。ないですよ、どこにもない。では、この間の福島の決死隊。放射能を浴びても影響があるのかないのかわからない、60歳以上の人で志願兵を募ろうみたいなね。そんな前時代的な構成で事故の時に対応する緊急対応部隊をつくるなんて、まさかですよね。そういうものがない。そういうものを含めた安心というものが、きちんとできているのかどうかという部分についてはこれももしかしたら、過剰な対応になるのですか?」
柏木特命教授
「いや、私はそれは重要だと思います。訓練はもちろん、計画がなくてはならないです。計画は間違いないと。訓練というのは何回も何回も繰り返しやらなければ意味がないですよ。1回やったから、訓練終わりましたよでは済まないですね。訓練をすることによって改善していくという努力を、これをこれからやっていくべきだと、私はそう思っています」
秋元キャスター
「川内原発からおよそ52kmの距離にある桜島の噴火の警戒レベルが、入山規制の3から避難準備の4に引き上げられまして、いつ噴火してもおかしくない状況と言われています。その他にも、およそ64km離れた霧島山ですとか、およそ140km以上離れている阿蘇山など、活火山が周辺にあるわけですけれども、柏木さん、この安全への心配はないのですか?」
柏木特命教授
「私はこの原子力というのは密閉ロックですから、簡単に言えば、原子力の熱で、すごい熱が出るわけで、湯を沸かすわけです、ボイラーで。出てきた蒸気で羽根車を回して発電するわけですよ。水蒸気ですから、それを海の水で冷却して、完全な密閉ですから。海の水の中まで火山灰は入ってきません。むしろ海の水に火山灰が入った時は、海の水を少しきれいにするためのフィルターとかが必要になるかもしれませんけれども、もっと危ないのは原子力より火力発電です。要するに、天然ガスのコンバインドサイクル。飛行機だって飛びませんものね。飛行機が飛んで、ジェットが飛んでいて、火山灰の中に入ったら、タービンがトラブルでガタガタになって落ちますよ。ですから、そういう意味では、飛行機のジェットエンジンと、天然ガスのコンバインドサイクルと同じですけれど、空気を取り込んで燃焼をして回す」
反町キャスター
「火力は火山灰を吸い込んで止まるだけだけれども、原発の場合には…」
柏木特命教授
「原発は海の水で冷やしているわけですから、海の水の中に、別に、その火山灰は…。そこに大きな岩がですよ、52km飛んできたということになれば、これは問題でしょうね」
田嶋議員
「現在の柏木先生のご説明がある意味、典型的な技術の詳しい方による安全性の説明だと思うのですが、私は安全性の概念よりも安心の概念の方が大きいと思っているんですね。安全の説明は十分しても、それだけで先ほどの信頼の問題がありますから、国民は本当に安心できると思えない。だから、そこは技術的な話で言うと、ちょっと違う問題があるのではないかなと」
宮路議員
「火山の話について言うと、たとえば、御嶽山の噴火が昨年ありました。また、先日、口永良部島の噴火がありましたね。そうした噴火が原発に何か影響を及ぼすのかというと、まったくそういうことではないわけです。さらに、火山対策としてフィルターの設置であるとか、あるいは火山灰が15㎝積もっても大丈夫なことについては、しっかりと検査をしたわけですよ。15㎝というのは相当な量です。私は長年、鹿児島に住んでいますが、そんなことはないわけですね。それは桜島に近いエリアであっても、そんなわけですよ。従って、基本的に相当かなり、発生頻度は、ほぼ天文学的数字だといっても過言ではないと思っています。その確率と、起こり得る、本当に破滅的な、壊滅的な噴火の際に、確かに原発施設に影響があるかもしれない。しかしながら、そうしたデータというのは、十分に予測可能であるということが火山の専門家によって言われているわけですし、そこは、そういうものだよというあたりを説明していく必要があるのではないかと思います。私の周囲の方々でもここまでしっかりと理解をされている方はあまりいないのではないかなと思いますので、私自身そうした説明を尽くしていきたいと思いますし、先ほど申し上げた通り、ここからがスタートだと思っていますので、引き続き説明責任を果たし続けていくことが大事だと思います」

避難計画は万全か
秋元キャスター
「原発の再稼働には安全対策に加えて、事故が起きた場合の住民の避難について自治体が避難計画をつくることが定められています。その避難計画書ですけれど、83ページに渡って内容が事細かに記されているんですけれども、中身について、主な項目は、避難手段や安定ヨウ素剤の服用など、住民の行動指針をはじめ、避難の際、どの道を使うかという避難経路ですとか、住民への情報伝達の他にも、国と自治体との連絡体制や県と関係市町の対応体制など細かく書かれているということです」
反町キャスター
「田嶋さん、この避難計画はすごく問題だと言われています。避難計画の問題についてどう感じていますか?」
田嶋議員
「避難計画は、先ほどの安全、安心の話であれば、安全に関しても影響しますけれども、より安心の問題だと思うんですね。これは1個1個評価するのは、私は難しいんですけれども、たとえば、1つ例をあげますと、ここに書いてありませんけれども、ヨウ素の配布が現在7割ですね。つまり、再稼働をしたのに、まだ3割の家庭にはヨウ素配布、UPZではなくて、PAZの方ですけれども、半径5km圏内は、各家庭に配備されなければいけないのですが、残念ながらまだ7割ということを確認しました。ヨウ素は、半減期が短いやつなものですから、爆発とかが起きた直後が大事ですね。そうなると、PAZから30km前後、つまり、UPZよりも外に逃げるんですけれども、逃げる前に、家で飲んで出るんですけれども、それができる人が7割で、残りの人は30kmの外から出て飲むことになるんですね。それをちょっと指摘したら、ちょっと慌てて、まだ、一生懸命に増やしますということを役所は言っているのですが、そういうこと1つとっても、拙速に、再稼働を急いでいるような感じがして、本来の住民の安心、特に、子供達を含めた甲状腺がんのことは、私も福島の現地の本部長をやった時に、1番苦労した、現在でも多くの人が心配をしていることなので。それから、もう1つ大事なことは、いわゆる避難計画を最後に誰が責任をもってお墨付きを与えるか、これは安心につながる話だと思うのですが、これを自治体任せにしていてはいけないのではないのかと、いろんな方から指摘がありまして、私達は、7月の末に法案を出させていただきました。その法案の中では、いわゆる規制委員会、それから、内閣総理大臣がある意味、お墨付きを与える。同意を与えるということをもって、手続き上、責任者は国ということを明示する、避難計画に関しての話。現場のことは自治体が詳しいだろうと。それはその通りなのですが、私は、福島の時に思ったんですけれど、常に自治体と国と県で連携があるものですから、国策の原発を動かしているわけだから、そういったことが何か起きた時の、住民を安全に逃がせるかの最終責任は、これは知事ではなくて、市長ではなくて、総理大臣でなければいけないし、そういうことを全面に立ってというのであれば、そこをしっかり押さえることは、安全ではなくて、安心の、原点だと私は思っています」
反町キャスター
「地域住民の方の気持ちを思えば、そこまで政府が責任をとると言った方が、皆さんは安心する気はするんですけれども、そこはどうですか?」
宮路議員
「そこはそもそも原発事故を起こさない安全基準であると。それが現在、決定されているわけですが、万が一起こった際には、国が責任を持って対応するということは、これは総理も、あるいは経済産業大臣なども申し上げているわけですので、そこは、そうしたメッセージがまだ届いていないのであれば、さらに、発信し続ける必要があると思いますし、私は十分なされていると思っています」
反町キャスター
「あと避難計画ですけれども、違っていたらごめんなさいですけれども、僕がいろんな人から聞いた限りにおいては、避難計画というのは、たとえば、何があった時には逃げなさい、逃げる道はここですというのが書いてあるんだけれども、それぞれの家庭が車で集中をしたら、あっという間に交通集中で渋滞が起きてしまう。それは福島でもそうなったではないですか。逃げられるものではないんだよと。たとえば、それが計画、計画と言い張っているところと、今回の避難計画の1番ひどいところだという指摘が、何かの話で聞いたのですが、そんな事実はないのですか?」
宮路議員
「事実?」
反町キャスター
「事実。避難計画自体が非常にずさんであるという意味です、はっきり申し上げれば。とても、実際のオペレーションでは対応できないものではないかという、こういう指摘についてはどうなのですか?」
宮路議員
「ですので、先ほど、柏木先生のおっしゃった計画があって、それに基づいて訓練をして、支障があれば直していくということです。計画というのは、別に、地域防災計画、これまでずっとあったわけです。その原発災害のみならず、地震、竜巻、あるいは水害等々で同じように避難ついては、そこに期待をされているわけです。ただし、それも事象によってどう実際に逃げるのかというのがそれぞれあるわけですので、最初から全てきれいに解決しきれるわけではないと。訓練はいろいろな事態を想定し、いろんなケースでやっていく。その中で身をもって、私はいくらきれいな計画を書いても、それを訓練、あるいは実際に試してみない限りはまったく意味がないと思っていますので、これからだと思います」
反町キャスター
「あと順番だけですよ。そこまできれいに、ブラッシュアップされた、これならちゃんと逃げ切れるという計画の成立をもって再稼働なのか、再稼働をしたあと、計画のブラッシュアップなのか。ここの部分というのは先ほど猶予という話がありました。そこは宮路さんとしては、飲み込んで、再稼働したあとに、ここをきれいにしていけば、ブラッシュアップしていけば、それでいいという、そういう考えでよろしいのですね」
宮路議員
「ええ。先ほど来、申し上げている安全というのは、常に向上を目指していく。そのために訓練、ブラッシュアップ、訓練、ブラッシュアップで続けていく。不断に続けていくべきものだと思いますので、そういう意味で、再稼働のタイミングはあるかもしれませんが、そうした意識で常にやっていくということの方が大事だと思っています」

将来の電源構成と原発
秋元キャスター
「ここからは川内原発に続いて今後、他の原発の再稼働に拍車がかかるのか、さらに、今後の課題について話を聞いていきたいと思います。政府は2030年度電源構成の目標を次のような割合にしようとしています。天然ガスや石炭、石油をあわせて、火力を56%程度、再生可能エネルギーを22~24%程度、原子力を20~22%程度にするとしています。しかし、この目標を達成するには、まだ、課題が残っていて、その1つが、原則40年という運転制限の問題、いわゆる原発の寿命の問題ですけれども、新しい原発がつくられなかった場合は、2030年に寿命を過ぎすぎている原発が24基あります。それに対して、まだ寿命が残っている原発は19基しかない状態となります。柏木さん、この19基で、2030年時点での原子力の割合20%~22%というのは達成できるのですか?」
柏木特命教授
「ちょっと難しいと思います。最低15%~16%ぐらいでしょうから。ですから、これは、私は事務方でこの作成に関わっていましたから、3つの視点からエネルギーミックスを考えろという命題が与えられたんですね。1つは自給率をどうにか25%ぐらいまで持っていくエネルギーミックスを考えてくれと。もう1つは、電力料金、随分上がっていますからね。産業用でも3割。これは大変なことです。固定でも2割ですから、これは毎月かかるものですからね。そういう意味では、コストを上げないと。それが2番目です。現在だいたい2013年度で9.7兆円を払っています、燃料費だけで。サーチャージはその時に2013年度で0.5兆円。ですから、9.2兆円分が皆、化石燃料ですよ。国民の富が産油国に流れているということになりますね。それを上げないで、どうにか、9.5、9.6兆円で抑えるという目標を立てました。それから、3つ目は、環境問題で、CO2の削減をどうにか先進国とほぼ対等にできるような25%、26%というのを削減するという、何年度を目標にするかということで、今回はちょっと戦略的で、2013年度をベースにして、2030年度で25%、26%。この3つの命題で考えて、まずは原子力を減らすという方向にいったわけですよ。再生可能エネルギーをどれぐらい上げられるか。そうすると、3兆円以上に増えていきましたよね、賦課金が。1.5兆円ぐらい払っていますよ、昨年ぐらいで。これが、どんどん増えてきて、4兆円までぐらいしか、全体の中で、7.6兆円で、4兆円ぐらいまでしか再生可能エネルギーを入れられないというので、個体が22%~24%になったわけですよ。それだけですよ。あとは原子力をゼロにして…」
反町キャスター
「それ以上に再生可能エネルギーを高くすると電気料金は?」
柏木特命教授
「上がってしまう。では、原子力ゼロにし、次は化石燃料にするかということになるというのもダメですよね。値段もダメですよ。しょうがないから、どれぐらいまでだったら、値段が9.5兆円に抑えられるようになるのかというのかを分けてみますと、CO2のどうにかゼロミッション型が44%ぐらいの電源がないとダメということになって、原子力の値が20%~22%に決まったと。こういう経緯ですよ、ロジカルには。あと、これぐらいが化石燃料でというのはここに書いてあって、石炭が26%で、ガスシフトをはかるということで、27%という値で、石油は3%と。これが現在の3つの命題、視点からベストソリューションではないかなということで考えたわけです。20%~22%というとだいたい約30基ぐらいの原子力が動いていないと(いけない)」
反町キャスター
「点検中を含めて30基ぐらいが現役でないといけない?」
柏木特命教授
「いけない。この値は達成できない」
田坂教授
「いずれにしても柏木先生、非常にロジカルに説明をされていると思うんですね。問題はどこにあるかというと、国民がそういう状態、構造だということ、エネルギーについてどこまで理解しているかだと思うんです。国民の中にいろんな意見があっても、ある種の人は全て再生エネルギーでいけるのではないかと思う人もいれば、火力で、たとえば、原発を止めて、火力でいけばいいのではないかと。CO2の問題はあとまわしにするみたいな。いろんな議論で、その中で、国民は現在、全体としてある種のラーニングプロセス、つまり、学びのプロセスに入るべき時代です。つまり、どこにもユートピアがない。何かを立てれば何かがおかしくなる。であれば、どこにベストがあるということを一昔前は柏木先生のような有識者の専門的なご判断で国民は信頼できた時代があった。ところが、福島の事故が何をもたらしたかというと、1つは先生に大変失礼に聞こえるかもしれませんが、専門家の判断が本当なのかという、特に、安全については福島で、専門家が安全だと言ったことがあれを起こしたので、本当に専門家の委員が集まってどれだけ英知を出してみても、それは納得できない。本当はそこに何か意図があるのではないのかと見るようになってしまっている。だからこそ、国民全体がラーニングプロセスに入るべきだと思っている。たとえば、再生可能エネルギーについて大きな期待を持っているのであれば、政府はベストを尽くしてみる。サーチャージをどこまでやるかを丁寧に、正直に伝えていく。それをやりながら、国民全体が納得していくというプロセスを、10年ぐらいのオーダーでしっかりやらないと、いつまでも経っても政府の決定は何かの意図があってやっているのだろうという無用な議論がずっと出てくるんですね。日本も現在、政府がやるべきはまずは現在の時点では、こういう計画で原発を減らしていくことをしますと。ただし、何年か先に、逆に、国民にもう1度、判断を仰ぐようなことを、私はするべきだと思う。私は、2021年3月11日の国民投票をやるべきだと。10年後に、10年間かけてこれだけベストを尽くしましたけれど、その段階でオープンにすべきことは全てしますから、国民の判断を仰ぎたいと。こういう形をとって国民を信頼するということをやらないと、どこか国民の方を見ると、どこか国民不在のまま、蔑視と言っては失礼ですけれども、どうも国民はわかっていないのだから、専門家が決めていくのだと見えてしまうと、福島以降、私はエネルギーの政策論がなかなか国民の理解が得られないだろうと思う。私は、考え方としては先ほど、柏木先生のお考えは1 人の技術者としては、非常に納得できることをおっしゃっていると思うのですが、問題はそれをどこまで国民に理解をしてもらうか」
反町キャスター
「それは誰の仕事ですか?政治家ですよね?」
田坂教授
「そうですね、政治家の仕事でしょうね」
反町キャスター
「政治家がなぜ原子力に関する正直な議論を、もっと言ったら赤裸々な議論を国民の前でなぜ政治家が展開しないと感じるのですか?」
田坂教授
「それはこれを争点にしたくないという発想をする方がいらっしゃるわけですね。気持ちはわかるんですけれども、それを国民に1回委ねて、国民は無意識に間違って判断をするから、我々が決めるしかないという日本の官僚機構を含めて持っている、その文化を1回変えるべきだと思うんです。そうしない限り、国民が学んでいくプロセスに入れないと思うんですね。日本という国はまだ民主主義が成熟していないと言われますけども、このエネルギー政策についても、国民は学び、政策的に転換する時があってもいい。そういうプロセスに入るべきだと。たとえば、スウェーデンも、その1つの例だったと思いますね」
反町キャスター
「田嶋さん、政治はちゃんと説明をしているのですか?原発の重要性、ないしはエネルギーバランスの重要性。原発の危険性の説明はしていても原発はこういう意味で必要だという部分、ないしは日本のエネルギーの安全保障はこういう状況だという、こういう議論はされていますか?」
田嶋議員
「これは人によると思うんですけれど、私のように現地の本部長をやったものは、私は毎回、総選挙も含めて、普段からエネルギー政策が中心ですから、毎回説明しています」
反町キャスター
「そうすると、田嶋さんは有権者に対しては、原発は要らないと、こういう話をされているわけではないですよね?」
田嶋議員
「いや、ないというか、現実的なアプローチとして、民主党自身が与党時代に打ち出した、要するに、2030年に原発ゼロ。そういうことです」
反町キャスター
「…に向けて減らしていくべきだという話をしている?」
田嶋議員
「です」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、現在の2人が話をされていたような、現在の重要性、ないしは実は先ほどの柏木さんの言われた自給率、コスト、環境に対する配慮を考えた時に、原発、現在の状況においてある程度、やむを得ないものだというここの部分というのは、これは田嶋さんも合意されるわけですよね?」
田嶋議員
「中長期の課題以上に、短期は難しい面はあるとは思うんですね。ただ、たとえば、コストの話というのは料金かける使用量ですから、大事なことはコストの話をするだけではなく、どういう、これからエネルギー社会、消費者としてつくっていきたいのか。こんなに使ってはいけないなという議論も、実は3.11で多くの人は気づいたわけであるし、比率の問題以上に、全体量を小さくできる、どれだけ省エネですね、そういったことを、節電ももっと余地があるのではないかという議論も大事ですね」
宮路議員
「エネルギー安全保障、経済性、環境、大前提として安全があるわけですが、安全が確保されたうえで、いかにその両立をするかと。そういう観点から、コストの問題もあります。自給率の問題もあります。そこで原発を入れてコストをなるべく抑えながら、先ほど、話しあった通り、再生可能エネルギーというのは未だコスト高いですから、それを入れるには、電気料金自体を抑えるベクトルも必要だと思うということで、その2つをしっかり噛ませて、推進していく必要があると思っています」

宮路拓馬 自由民主党衆議院議員の提言:『両輪』
宮路議員
「安全と安心は両輪であるということ。エネルギー政策全般においても、原発と再生可能エネルギーの普及拡大、これが3.11以降の我が国の進むべきエネルギー政策の両輪だと思っています」

田嶋要 民主党衆議院議員の提言:『現実的卒原発』
田嶋議員
「民主党は与党時代に3.11を経験し、その中から2030年代に原発ゼロということで基本方針は与党時代も現在の野党時代も変わることなく、この目標のために様々な全ての政策資源を投入していくという覚悟でいます」

田坂広志 多摩大学大学院教授の提言:『原子力は信頼がすべて』
田坂教授
「3.11以降、原子力行政、原子力産業全ての方々に申し上げたいのは国民からの信頼を失ったのだと。このあとどのような政策を実行するにしても、そのことによって国民の信頼をどれくらい回復できたのか。そのことを見据えながら一歩一歩進んでいく、この姿勢を絶対に失わないでいただきたい。そのことによってしか、我々は前に進んでいけないということを申し上げたいと思います」

柏木孝夫 東京工業大学特命教授の提言:『原発再稼動は技術国日本の責務』
柏木特命教授
「これだけのシビアアクシデントを起こした日本ですから、はい、ごめんなさい、やめます、というわけにはいかなくて、きちんと解明したうえで、原子力自体を世界が捨てるわけではありませんから、日本は率先して、原子力の信頼性を高めたうえで、世界に対して日本の技術力を誇っていくべきだという考え方です」