プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年8月18日(火)
『安倍談話』を考える 国内評価と米中韓反応

ゲスト

宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
朱建栄
東洋学園大学教授
陳昌洙
世宗研究所所長

4つのキーワードが入った背景
秋元キャスター
「『事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配からの永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。(中略)我が国は、先の大戦における行いについて繰り返し。痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました』ということで、間接的な言いまわしながら4つのキーワード、侵略、植民地支配、そして、痛切な反省、心からのお詫びというキーワードは盛り込まれたということですが、朱さん、まず、どう感じましたか?」
朱教授
「今回の談話も相当、気持ちを込めて、いろんな方面の目線を意識してつくった、おそらく政権側としては、バランスのとれたもので、結局どちら側も怒りだすことはできない。でも、どちら側も少し物足りなさを、不満の残る、そのようなものになったのではないかなと思います」
反町キャスター
「植民地時代というか、帝国主義時代の欧米の列強が、アジアの国々をどんどん植民地化していく流れの中で、日本は、そういう状況の中で、どのような生き方をするのかという説明がずっと続きました。あの部分に対しては、中国政府というか、朱さんの個人的に解するもので構わないですけれども、あの説明は受け入れられるものなのですか。それはしょうがなかったんだねと、そういう意味で受け入れられるものですか」
朱教授
「今回は終戦70周年の談話ですので、あくまでこの第二次大戦。アジアにおいて、この中国への侵略などね。その戦争について総括ということでは、その前の部分で長々と触れるということは、なかなか正直言って、1つはどこか言い訳に聞こえますね。それは、私達が悪いのではなくて、当時の他の国も、朝鮮も悪かったという部分と、もう1つは、かつて日清戦争、中国が大きく負けたんですけれども、ただ、当時の中国の清朝、満州族の政府も悪かったと。ですから、そういうところでは当時の日本だけ一方的に悪いというような総括の仕方をしていないので、その部分について賛成はしないですけれども、特に、反論とか、そうではないと。反論とか、そういうところ、焦点、第二次大戦、対中戦略という部分ですね」

米中韓の反応を徹底検証
反町キャスター
「宮家さん、この中国の反応をどう感じますか?」
宮家氏
「私は非常に成熟した反応だなと。最も内容的にも先ほど、おっしゃったように、非常にバランスがとれているし、長々と冒頭書いてあるけれども、私はある意味で、客観的に物事が書いてあるし、それから、どちらかというと、言い訳がましいというよりは、成熟しているし、未来志向になっている。そういうことを中国も、韓国の方々もおそらく感じとられたのだろうと思います。それで、この侵略というのを何か曖昧だとおっしゃるのですが、僕は、ちょうどこの談話が出た時にワシントンにいたんですよね。友達と一緒に、日本語版と英語版両方を見て、アメリカ人ですよ、英語版が何て書いてあるかというと、Aggressionと書いてあって、We Shall Never Again Exert to~と書いてある。We Shall Never Againですから、Againということは、やったということです。ですから、これは、日本語しか読まないと、そういうことがあるかもしれないけれど、英語を読めば、これは明確でしょうとアメリカ人はおっしゃる通りだと」
反町キャスター
「これは日本語の訳の方が、言い方が客観視していません?もう、2度と用いてはならないというと」
宮家氏
「だから、2度と用いてはならないでしょう」
反町キャスター
「でも、We Shall Never何とか。我々は2度とやらないという意味ですよね?」
朱教授
「それがまさに、中国が、主語は誰が、するかと。現在おっしゃったように英語だったら、このような文章を、そのまま日本語にすればね」
宮家氏
「でも、公式の英語の訳ですからね。そこはよく考えてもらわなければいけない。日本語と英語はニュアンスが違う」
反町キャスター
「もしかしたら対日国内配慮をしたという言い方になってしまいませんか?」
宮家邦氏
「そんなことはないでしょう」
反町キャスター
「いわゆる、対中強硬派に対する配慮として」
宮家氏
「それは対中強硬派だけではなく、日本の国内で、この問題の本質はキーワードが4つ入るかどうかというのは、あまり意味のある問題ではないです。この談話の最大の目的であり、僕が1番評価をするのは、日本の国内で、歴史の問題についてコンセンサスをつくろうとする努力の始まりだと思っているんです。これは保守派の人が何か良かった、良かったというわけですよね。だけど、そうは言っても過去の談話を全部引き継いでいるわけでしょう。リベラルの人は、けしからんと、全然引き継いでいないと言うけれども、実際にはこの文言を読めば、明らかなわけですよ。と言うことは、ああいう形で、不満はどちらも出るのかもしれないけれども、それは、実は日本の国内での、この歴史問題に関するコンセンサス、最小限のものかもしれませんよ、現在の段階でね。徐々に、徐々に、でき上がっていく過程の始まりなのかもしれない。そうあってほしいと私は思っていますけど。ここでこれまで何が1番問題だったかと言えば、歴史問題について、日本の国論が割れていた。割れていたために外国にいろいろつけ入れられた。ここはちゃんとしっかりとした日本のコンセンサスが、国民的なコンセンサスをつくったうえで、最終的な和解に進まなければいけない。そういう意味で、この談話というのは個々の問題、そのワードが入ったか入らないではなくて、そういうものとして見ていただけないと、この談話の本質がわからないのではないかと思っています」
陳氏
「安倍談話というのは、中途半端な談話だと思っているんですけれども、その理由は、右派からも距離は置いているし、リベラルからも距離を置いているんですね。微妙なバランスをとっているわけです。その微妙なバランスが本当に日本の国民のコンセンサスなのかということです。その意味で、安倍さんが言っていることが最小限のコンセンサスだということでは、私はないんだと思います。なぜかと言うと、韓国人から見ると本当に、安倍談話に4つキーワードが入ったということについては評価できる部分もあるんですね。でも、植民地時代に入るプロセス、過程については本当に韓国人から見ると認められないわけ。これはなぜかと言うと、アジア人とアフリカ人について、勇気づけられたということは、韓国の植民地時代について韓国人がそれに関係したような形になっているんですね。だから、その意味では、この前の部分がとても認められないということだと思います」
反町キャスター
「外務省、中国外交部の筆頭外務次官が日本の小寺大使を呼んで、こうこうこうだというふうな形で、コメントを、コメントというか、クレームをした。一方、でも、中国外交部というと、日本でいうと外務省ですよね。外務省がそういうふうに文句を言う一方で、先ほどおっしゃったように、李克強さんとか、ないしは習近平さんとかというのは、日本から二階さんが3000人連れて行ったり、河野洋平さんが行ったりすると、そういう人達が最近、すごく頻繁に時間をとって会うようになっている。中国の最高指導部7人とか、常務委員とか呼ばれる皆さんというのは、比較的、行動から見ると、日本に対する非常に接近している行為を、そこに示しているような印象を受けながらも、外務省は従来通りの批判、ないしは注文というものを出し続けている。これは役割分担なのか、それとも、そこに何か中国の最高指導部と外務省の間に多少ズレがあるのか。どう見たらいいのですか?」
朱教授
「当然、役割分担もあるかと思います。外交部としては、先のコメントというのは、今回の談話について否定はしないんですけれども、こういうことも言ってほしかったというような注文だったわけですね。外交部、外交筆頭事務次官が木寺大使と会うというのが、同じような内容を裏で繰り返し、日本側にもっと謝罪をしてとか、そのような話が中心ではなかったと思います。外交というのは、それぞれの国でそれぞれの外交的なスタンス、立場というのがこうだ。相手と自分の立場と違うところは常に言わないといけない。特に、今回の談話の中で、外交上、日本の歴代首相の中で、初めてこのような公式談話で、それが各国の国名をあげる中で、台湾というのをあげたわけですね。台湾に次いで、韓国、中国と。それについては、中国としては、それは国を並べる中で、現在の発言というのが、日中国交正常化以来の立場とどう合うのかという真偽を正したいと。おそらく日本側は、いや、それは歴代の…、我々は台湾が中国の一部であるという立場は変わらないと。そのような説明をすれば、ある程度ことは済むんですけれども、そこの部分を外交当局としては逆の立場で、日本も言わないといけない部分があるんです。言っておかないといけないですね。それが首脳部というのが当然、全般的な外交で、これからどのように日中関係を、今年というところで改善のチャンスにするか。そのようなことを最も戦略的に考えると。外交部というのは、外交上のいろいろなルール、これまでの約束。そういうところを踏み外れているかどうかの確認。それを言う。そのような分担はあるかと思います」
宮家氏
「使い分けているわけですよ。だって、これは、党は政策を立案できるんですよ。外交部は政策立案機関ではありませんから。政策の実施機関、ちゃんと決まっているの。国務院とはそういうものです。ですから、中国の外交部と政策立案の話をしても、これは限界がある。何もないとは言いませんよ。しかし、その最終的な決定権は、政治指導部にあるとして、党にあるわけです。従って、党の方は日本の中で親中的な人が来れば、それは会いますよ。それは1つのやり方ですね、役割分担。だけど、そうでない場合に中国の内務省もしくは外交部と言われる人達が果たしてどこまで自分の判断でできるのか。それはこれまでの基本的なラインを踏み外すわけにはいかないですから。こういう形で対応をしている。ですから、もちろん、外交部が何もしないと言っているわけではないですよ。役割がないわけではないけれど、あくまでも限定であって、それは実施機関としての役割の範囲内で、施策上の立案を働きかけるということが限界なのではないかと思います」
朱教授
「それは、私の話とどこが違うのですか?」
宮氏
「何も否定していないではないですか」
朱教授
「外交部は外交部の仕事をして」
反町キャスター
「国の名前の順番とかという、こういう名前が出てくる順番について、韓国はこだわるのですか?」
陳氏
「そういうことについては誰も気がついていないです。順番がどうであれ、中身が問題ですから。その意味で、現在のお話を聞いたら、中国は中身についてはあまり考えていないのではないかということまで考えるんですけれど、でも、韓国は4つのキーワードが入っていても、その中身については、本当に心を込めた談話になっていないということですね。なぜかと言うと、先ほど、話をした通り、植民地時代に入るプロセスについて、何も書いていないですよね。だから、韓国は植民地時代に入る1916年の、日韓併合条約について不法だと言って、主張しているわけですね。その観点から見ると、そのプロセスに入る過程について、それは問題があったと言ってほしかったわけです。そのことが一言も入っていないですね。ただし、1931年以後の戦争については、国策を誤ったという具体的なことで、入っているわけです。そのことについて、植民地時代については、ある程度、苦しみを与えたという村山談話の続きで継承しているのだと、私は思いますけれど、その前のところについて話をしていないということは村山談話から見ると、それは後退。歴史認識の後退だと思っているわけです」
反町キャスター
「日韓併合についてですけれど、ちょっと際どい話ですが、敢えて聞くと、たとえば、日韓併合というのは、建前上とか、手続き上は、当時の大韓帝国が日本に対し、大日本帝国に対して併合を申し出て、法的な手続きがちゃんととられたうえで併合された、手続き上の話ですよ。そこに植民地的なものとか、帝国主義的な思いがあったのかどうか、それはあったのでしょう。韓国の中の議論として。では、あの時、日本と併合しない場合、大韓帝国が日本との併合という選択肢をとらなかった場合、どうなっていたのだろうと。そういう議論はないのですか?」
陳氏
「それはありますよ」
反町キャスター
「どうなっていたという想像が皆さんの間であるのですか?」
陳氏
「だから、植民地時代のことから、いろんな問題が残っているわけです。だから、その時、もし植民地支配にならなかったならば、いろいろな選択肢があって、韓国は現在よりももっと発展するだろうと」
反町キャスター
「良かっただろうという議論ですか?日本に併合されていなければ、清国にとか、ロシアにとか、他の国にやられていたのではないかという議論にはならない?」
陳氏
「日本ではよくそういう議論はしますけれども、それは韓国人から見ると、その時にいろんな選択肢があって、日本を利用してロシアを防いだりするわけですね。外交戦略上、いろんな選択肢があるわけですけれども、日本で強制的に日韓の併合条約を結ばれて、そのあとから悲惨なことになったということが韓国の認識です」
反町キャスター
「併合されなければ、もっと良くなっていたはずだと」
陳氏
「それが前提になっているわけで、それはわかりませんけれども」
反町キャスター
「そこですよ」
陳氏
「歴史はわかりませんけれども、日本でなかったならば、他の国に、侵略をされて、問題になったのではないかということは、1つの歴史の中で、1つの選択肢です」
反町キャスター
「仮説ですよね。もちろん、うまくいっただろうというのも仮説ですよね?」
陳氏
「それはそうです」
宮家氏
「歴史認識がないんですよ」
陳氏
「それはないですけれども、そういういろんな選択肢があることは間違いないと。だから、その中で、韓国の人達は希望を持って、植民地支配にならなかったら悲惨なことにならなかったし、それに現在の韓国よりももっと発展するだろうということは、韓国人だったら皆、そう思っているのだと思いますね」

アメリカの反応を検証
秋元キャスター
「アメリカ国家安全保障会議のプライス報道官が、戦後70年談話の発表を受け、このように声明を出しています。『我々は、第二次世界大戦中に日本がもたらした被害に対し、安倍首相が痛切な反省を表明したこと、及び歴史に関する過去の日本政府の声明を引き継ぐというコミットメントを歓迎する。70年間の日本の平和・民主主義・法の支配へのコミットメントという足跡は世界のあらゆる国家にとってモデルとなるものだ』と話をしているのですが、宮家さん、アメリカはなぜ歓迎する声明を出したのでしょうか」
宮家氏
「特に、日米の和解が順調に進んでいるということですね。一言で言うと、ここにあるように、反省を表明したことを歓迎しているわけですから、別にお詫びだ、何だということを言っていないわけですね。それは当然アメリカと日本の和解というのが、そこまで進んでいるということですよ。それから、もう1つ大事なことはこのあとにも、あらゆる国家にとってモデルになるという言い方もしているでしょう。これは、おそらく2つ意味があると思うんです。あらゆる国家と言っても、モデルになってほしいという国家は3つぐらいしかないわけです。中国と北朝鮮と韓国しかないわけ。北朝鮮についてはともかくとして、中国については何とかうまくやってよねという気持ちはあるのだけれども、実は、これについては面白い話があって、ワシントンポストの社説が15日に、翌日に出ているんですよね。そうすると、ワシントンポストに何て書いてあるかというと、安倍談話は必ずしも直接の言葉としてお詫びはしていないと言いながらも、実は本当にけしからんのは、中国のダブルスタンダードだと言っているわけですね。要するに、中国は、たとえば、大躍進(政策)で何百万人も死んだ。本当は何千万人だと思います。それから、1989年の天安門事件でどんな弾圧があったか。こういうことを自分の国民には学ぶことを許さないのに対して、日本に対してはいろいろ言っているのだと。これはダブルスタンダードではないかということをワシントンポストが言っているわけですよ、社説でね。ですから、それはアメリカがそこまでは言わないけれども、現在のアメリカ人達の感じを見ているともちろん、日本については厳しいことを言う人も、もちろんいるんですよ。いるんだけれども、体制は、むしろ中国はちょっとアレではないですか。ダブルスタンダードやり過ぎちゃいますかと思っているのが1つ。それから、もう1つ、韓国については、これは別です。同盟国ですから。ですから、日本という同盟国と韓国という大事な同盟国があって、その同盟国2つが仲良くしてよと、頼むよ、という気持ちが籠った言い方だと思います」
朱教授
「現在の話はアメリカ政府のこととは関係ないと思います。一方、ダブルスタンダードについて言えば、それはどこの国も自分の国の国内問題で総括する部分は常にあります。それぞれ米中で毎年互いに白書を出しています。アメリカは、中国は悪いと。中国は、アメリカが自分で反省をしているのか、総括をしているのかと。いっぱい長い文書を出しているわけです。ですから、それは中国として総括する部分。大躍進、文化大革命では1981年の決議で、これは中国にとって、これ以上、悪いような、悲惨なことはないと。そういうようなことを言ってくれているわけですね。そのような中国国内の問題は、これからも常に、さらに、総括していく必要があります。しかし、これは外交です。国と国のことを、それを他国の国内のことを持ってきて、それはどうだと。現在の話は結局、ある新聞を持ってきて、中国に何であれだということを言うんですけれども」
宮家
「いや、ご紹介をしただけですよ」
朱教授
「ちょっと逃げですけれど。言いたいのはアメリカのこの発言というのは、今回の表明というのは、おそらく日本側と事前に一定の打ち合わせがあったと思いますけれど、しかし、それはこれから日本との関係を考えるうえでも、アメリカとしては日韓米の軍事同盟を持ちたいわけですね。常に日本と韓国の和解を。これは歴史認識というのが大きなわだかまりになっているんですね。日本は最低でもこれをしなさいと。それをしたうえで、アメリカが評価をするというようなことで、アメリカとしては、これから日本との関係、さらに、おそらく中国を意識した軍事同盟の強化。できれば、このハードルを超えれば、韓国も引っ張り込むと。そのような現実的なこの打算があったのではないかなと」

『慰安婦問題』への影響
秋元キャスター
「従軍慰安婦問題について、70年談話で女性の人権について触れられています。韓国の国内ではこの部分についてはどのような…」
陳氏
「だから、評価はあるんです。人権の問題について触れたということは評価できるのだと思います。でも、ちょっと不満になっているのは、もうちょっと具体的に話をしてほしいということで、慰安婦のことを入れ、慰安婦、他の問題等々ということになったらば、もっと具体性があっていいのではないかということがあるんですね。それと、先ほど話した通り、慰安婦の問題ということは、日本では強制連行がないと。だから、広い範囲の強制性は認めているんだということですね。そういうことで主語は、軍隊がやったのか、政府がやったのかということについて議論があるわけですね。だから、韓国はその意味で、広い範囲の強制性がある中で、狭いところの狭義の強制もあったのではないかという議論になっているわけです。でも、あったかどうかの議論は、歴史がこれから判断することで、これからは女性の人権問題としてとり上げてと、韓国が主張しているところです。その意味で、安倍さんが女性の人権問題としてとり上げたということは評価できるのですが、もうちょっと具体性があって、そのことで話をしたら、安倍さんもこういう問題について真剣になっているのではないかと受け止めるはずだったわけですね」
秋元キャスター
「慰安婦という言葉を使わなかったことについて」
宮家氏
「使うか、使わないかの判断は政治判断だから、何とも言えないけれども、僕は十分に慰安婦の問題を念頭に置いたうえで、しかも、戦争の犠牲者というのは慰安婦だけではなくて、女性一般として、そういうことがあったことも事実ですから、それを一般的な形で慰安婦の問題を念頭に起きながら言ったとして、むしろ格調が高いと思っています」
反町キャスター
「たとえば、第二次世界大戦中に日本人の強制収容所がありましたが、レーガン大統領でしたか?その当時の犠牲者というか、被害にあった人達に対しホワイトハウスに呼んで、大統領が謝罪のセレモニーを…やりましたか?」
宮家氏
「ステートメント出したと思いますし、お金も払ったと思いますね。それは確かに1980年代の終わりだったか。あったと思いますよ。
反町キャスター
「ああいう形というのを、たぶんセレモニーというのは陳さんが言っているのはそうだと思うんですけれど、そういうものというのは、たとえば、外交的にハードルが高いものですか?」
宮家氏
「それは外交的というよりも政治的な話ですね。それは外交官として言える話でのレベルを超えた話だと思います」

どうすべき? 今後の『謝罪』
秋元キャスター
「70年談話で、謝罪に終止符を打つということなのでしょうか、これは?」
宮家氏
「終止符を打つと言うよりもね、この問題は謝罪、謝罪、お詫び、お詫びと言うけれども、先ほども言ったように問題の本質は和解ですよ。お詫び、もしくは反省があり、許しがあり、和解に到る。アメリカとも、欧州とも、東南アジアとも、そのプロセスを動かしているんですよ。その中で許しがないのが中国と韓国ですよ、象徴的に言えば。ですから、先に行かないです。その部分が大きなポイントであって、宿命を負わす、というのは、要するに、謝罪を続けるけれども、許しのないような状態のことはできない。これは和解に向かった本当に真摯な努力をお互いにしなければいけないということを訴えていると理解しています」
秋元キャスター
「中国としてはどうなのでしょう、納得できるものでしょうか?」
朱教授
「現在の話の後半が中国の中でも評価されていると思います。過去の歴史に、真正面から向きあうこと、謙虚な気持ちで過去を受け継ぐこと。それは歴史ということを忘れないということです。しかし、そもそも次の世代の子供達に謝罪を続ける宿命を負わせるというようなこと。中国はもともとそれを求めていないわけです。中国は最初から、国交正常化の時、中国の多くの国民は当然、日本全体、日本兵の中国侵略は悪かったと。ですから、日本に賠償を求めるべきだと。それに対して毛沢東、特に周恩来首相は、国民全体を説得する論理として大半の日本の国民、中国に実際出動した軍隊の兵士を含めて、彼らが一部の軍国主義者に先導され、騙された犠牲者であり被害者であると。従って、彼らに対しては賠償を求めてはならない。ですから、これから賠償とか、後ろ向きな話において、これから仲良くしようと。従って、これで国の指導者が、現在、安倍さんというのがついこの間、靖国に行ったというようなことで、そこのところで本当に歴史にどう向き合っているのかというのが、中国で厳しい目で見られていると思うんですけれども、日本一般の国民に謝罪を求めるということは、中国は国交正常化以来、政府として求めていません。ですから、ここの話は、ちょっと安倍首相がなぜそういう話をするのか。それより本当は、宮家さんもおっしゃったように、私はこの謝罪の話より、本当に次の世代は、日本の若い世代だけでなく、韓国、中国の若い世代と一緒に和解して、これからは次の世代が歴史の部分で一緒に乗り越えたこのような歴史をつくるために、我々に世代責任があると。次の世代は、本当に和解してヨーロッパとか、そのような関係になってほしいと。そのような話に持っていってほしいなと思います」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『日中の積み重ね 四つの政治文書を継承せよ』
朱教授
「日中国交正常化(してから)43年も過ぎていますので、その間に、日本と中国の間に4つの政治文書がつくられたわけですね。特に、最後の2008年の日中共同文書では、中国は日本の戦後の平和発展を評価する。一緒に、アジアの発展のために協力する。互いに脅威と見なさないというようなところで、せっかくこれまで40年間いろいろ積み重ねてきたので、それを前進させること。その前の年2007年に温家宝首相が来日し、日本の歴代首相のお詫びについては評価しているんです。問題は、首相が何かの発言にお詫びしては、また次に閣僚が出てきて、それに反する行動をすると。それについて日本、現在の政府はどう思っているのかと。その悪循環をはやく乗り越えて、一緒に前向きの関係にこれまでの積み重ねもあるので、その土台を壊さないこと、前に進むことを期待したいと思います」

陳昌洙 世宗研究所所長の提言:『行動』
陳氏
「安倍談話についていろんな評価があるんですけれど、評価できる部分もあるんですね。だから、評価できる部分については、これからの歴史認識について、これまで歴代の内閣政府がやったことについて継承するんだと、引き継ぐんだということについては本当に評価できるんですね。その気持ちを活かして現在の日韓の問題についての行動を見せてくださいと。そういう気持ちで、行動というふうに書いているんです」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『時間をかけても慎重 ていねいに』
宮家氏
「おっしゃる通りだと思う。ただし、行動は相互でなければいけません。現在の話を聞いていて、これは時間かかるなと思いましたね。この和解の問題が政治化している。中国は当然ですけれども、韓国も国内政治でもあるし、これを政治化してしまうんですね。本当の和解というのは、政治化しないものですよ。これは時間をかけて慎重に、しかし、丁寧にやりたいなと。やっていかなければいけないなと。このことは忘れてはいけないと思いました」