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2015年8月13日(木)
戦争の『教訓』を問う 『談話』ともつれた糸

ゲスト

河野洋平
元衆議院議長

河野洋平元衆院議長 “戦後70年の日本論”
反町キャスター
「村山談話の時は、国策を誤りという表現があり、植民地支配と侵略という言葉が入り、痛切な反省、心からのお詫びという言葉が盛り込まれました。小泉談話においては国策を誤りという言葉はなくなりました。けれど、その他の3つの言葉は継承されました。ここ(安倍総理)の部分というのは、我々もこういうふうになるのだろうなとメディアが臆測している部分ですけれども」
河野氏
「私の基本的な気持ちから言えば、70年には談話はいらないのだろうというふうにそもそも思っているわけです。70年という、長い歴史ですよね。戦後70年にもなったんだよと。70年にもなったんだからと言うならば、70年経っても解決しない問題というものがいくつもある。それは何も対外的な問題だけではなくて、国内的にも基地の問題。とりわけ沖縄の基地の問題は70年経っても、まったく沖縄の人達は納得していないですよね。70年で、もし何かを言うならば、70年でこうだと言うなら1つの意味があると思う。それから、もう1つは、たとえば、核問題ですね。原子爆弾、被爆の問題。この核問題も70年経っても、未だに広島の人、長崎の人は本当に(腑に)落ちていないですよ。モヤモヤがある、依然として。あそこに原子爆弾を投下したのは良かったか、悪かったかという議論はアメリカではまだ決着がつかない。もちろん、アメリカはむしろあれで戦争が終わったのだからという意見が多い。一方で、国際社会はこうした非人道的な武器を使ったということは許せないという議論があるわけです。それを許せないという議論と同時に、それは過去に向かって許せないというんだけれど、前に向かえば、そういう武器は非合法の武器だと決めるべきではないかという議論もありますよね。一方、日本は、唯一の被爆国だから、核兵器については唯一の被爆国として、イニシアティブをとっていろいろなことをやっていこうと、繰り返し言うけれども、じゃあ、どれだけやってきたのかと。現在、それに対してどういう姿勢をとっているのか。1番簡単に言えば、核の傘にある日本の存在が、どうするのかということについても、いや、直ちに、核の傘から出て、裸になって…核兵器国が周辺にあるのだから、裸でいいよと言うのでは政治として無責任だろうと。そう簡単に核の傘から俺は出るよというわけにはいかない。それは私もそう思います。だけれども、じゃあ、ずっと核の傘の中に座っていて、一方で、核廃絶、核軍縮、核廃絶と言っているこの姿勢が何かやたらに二面性と言いますかね」
反町キャスター
「どちらかに寄れという意味で言っていますか?」
河野氏
「ええ、それはどこかで議論を整理しなければダメだろうと。私は、ここで安倍さんに考えてほしいことは非核三原則と広島で言わなかった。言わなくても納得する場合だってあるんですよ。それは日頃から非核三原則をきちんと守っていくんだと言い続けている人なら、あそこで言わなくたっていいんですよ。ちっとも疑いはないです。だけど、安倍さんが言わなかったばっかりに、あれ、ひょっとして変えるのではないのという疑いが出てくるわけですよ。これが、つまり、国民と、あるいは近隣諸国、あるいは国際社会との信頼関係。信頼されているか、いないかです。平たく言えば、信用されていないから、言わないとああいうふうに言われちゃう。だから、大変だと、長崎ではきちんと言うよと。これで言えばいいんだろうと。ああ、言ったら、いいよということになるんです。これは、今度の談話でも、心からのお詫びを、言うか言わないかというのが現在、注目されているけれども、安倍さんがいくら言っても、言わなければわからないよという人はたくさんいる。だから、それでは、言わないと本当ではないんだということになってしまうかもしれない。そこは政治家としての信頼の問題ではないのかと、私は思いますね」
反町キャスター
「たとえば、現在の沖縄の基地問題であるとか、原爆の問題、ないしは核に関する話というのが、あまりにも70年談話を取り巻く政治家、我々、メディアの姿勢もおかしいのかもしれませんけれども、どうしてもこういう言葉にこだわっていて、70年というと歴史問題はどうなるんだと。原爆の話だ、核の話はどうなるんだというところに話がいっていないことについて、この部分というのは、あまりにもその議論に偏り過ぎていると見ていますか?」
河野氏
「ええ。私は、ですから、この談話が対外的な、外国に対する発信というだけで見ている。特に、中国、韓国、アメリカも若干そうですけれども、そこがどのようにこれを受け止めるのかということに関心が行き過ぎていて、国民がまったく置き去りにされているのではないかと。70年談話を読んで、国民は、自分達にとって、それはどういうことなのか。どうなのでしょうね。私は、政治の流れとして、秘密保護法から始まって、一連の政治の手順をずっとついてきて、それで現在の安保法制にきているという政治の1つの流れの中で、この談話の話になると、そういうことを感じざるを得ませんね」
反町キャスター
「では、現在、日本がとるべき行動というのは具体的にはどういうものがあるのか、どう感じていますか?」
河野氏
「もしやるなら、70年を記念して、記念事業を何か始める。たとえば、これは随分前から議論がありますけれども、国立の追悼施設をつくる」
反町キャスター
「靖国に代わるものということですか?」
河野氏
「靖国に代わると言ってはいけないかもしれないですけれども、靖国は靖国で、当然、宗教法人として存在し、あそこに私の父親は眠っています、私の息子は寝ていますという人が靖国にお参りをされるのは当然のことだと思います。ただし、靖国神社はあくまで宗教法人ですよね。国立で、誰も何のわだかまりもなく参拝のできる、お参りできる、そういう国立の施設をつくるべきだという議論がずっとあるんですよ。だけれど、それはまったく具体化されずに、そういう議論があっては、また引き出しに入り、また、議論になるということになっているけれど、それをこの際、70年という節目とおっしゃるのなら、節目の年を記念して、そういう国立の追悼施設をつくろうと決めて、作業を始められたらいい。それができあがった時には、これは70年を記念してつくったんだよという追悼施設ができるということであれば、それは相当、意味のあることではないかと思います。もし国立の、こだわるようですけれども、慰霊施設ができて、そこに総理もお参りをされる。願わくば、両陛下にもお参りをしていただくということになれば、私は、毎年8月15日に靖国に行った、行かない、なんていう、韓国・中国と日本の関係は、そこでなくなります。それだけでも一歩前進ではないだろうかという気がしているんです。重ねて申し上げますけれども、靖国にお参りをなさる方、あるいは靖国に祀られているんだという方は、靖国にいらっしゃることは、これは何の妨げもないし、それは従来通りにおやりになるということで、ちっとも何の支障もないと思います」

相克の先に描く未来…日中の戦後70年
秋元キャスター
「河野さん、外務大臣時代から現在に至るまで、中国を度々訪問されていまして、数多くの中国側のリーダーとも会談をされています。江沢民、胡錦濤、習近平と3代の国家主席と会談をされていて、それから、政界引退後も毎年のように訪中されています。近年は日本の企業関係者らと共に経済外交もされていまして、この春には李克強首相とも会談をされています」
反町キャスター
「日本に対して、どういう姿勢、どういう考えで中国は日本を見ているか。うちの番組で中国の話をすると、中国はもう日本を見ていないんだよと。彼らはアメリカしか見ていないんだと。日本はアメリカに従属する変数にしか見ていないから、米中関係が第一で、日本というのは現在、中国から見たら視界のちょっと端っこのところぐらいにあるぐらいだと。こんなことを言う人もいるし、南シナ海、東シナ海のことも考えてみると、中国というのは、ある意味、言葉は微妙かな、要するに、欲望を隠さない大国になってきたのではないかという、そういうことを言う方もいます。どうですか?」
河野氏
「そこは2つ申し上げたいと思います。1つは中国をよく見ている方の話を聞いてもそうですけれども、今年に入って中国は日本に対していろいろメッセージを出しているんですね。たとえば、私も国貿促という経済団体の会長をしているものですから経済団体50人ぐらいの人と一緒に北京へ行きました時に、李克強首相が出てきて会談をやりました。これはそれまでまったく出てこなかった人ですね。その総理が日本のそういう団体と会うということはなかったことですけれども、非常に私もびっくりしましたけれども、中国側が日本に対してメッセージを出した。つまり、日本に対して自分達は非常に関心を持っているし、日中関係を進めようと思っているんだよというメッセージだと私もそういう理解をしました。それに対して日本側はどう答えたか。この春から今日まで、日本側は中国側にどういう返信をしたかというと、たとえば、国防白書、防衛白書で中国に対してもっとしっかり書けということをしきりに言う。それは何かというと中国が大変な脅威だということをもっと書けという、自民党からの指摘があったんですね。それから、書き加えられたとかですね。これは最近ですけれども、安保法制の議論が参議院に移ってから、中国脅威論という、中国を名指しで中国が中国がという話になってきていますよね。こういうことは、向こう側から日本に関心を持っていますよと。日本とやりましょうねという感じに比べて、日本からすると、それに対して打ち返している返信としては、誠に厳しい返信をしていると思うんです。この返信ではこれ以上は進まないなと思っています。唯一、我々のそういう心配をひっくり返して進むとすれば、安倍談話です。安倍談話はそれを超える可能性がある。そういう期待を持ちます。これが儚い期待にならないことを望みますけれども、それ以外では、日本側が中国に対して一緒にやろうねという呼びかけみたいなものは、政治的にはないですね。政治的にはないです。それは、二階さんが1人でとてもがんばられているけれど、それ以外はないと言っていいと思います。これは非常にまずい状況だなと。それはいくら文化交流をやり、経済交流があっても、政治がきちんと対応をしないと、これ以上は進まないなという感じですね。それでは、そんな状況なのに中国側は随分我慢をしているなという感じですよね。これまでだったら、日本側の一挙手一投足、すぐ記者会見で日本がこういうことを言っている。非常におかしいというコメントが中国側からいつも出てきたんですけれど、ここのところ、それは非常に抑制をされたコメントです。どうしてそんなに我慢をしているのか。そこが1番問題ですけれど、それはどうも中国の国内事情があって、特に経済ではないかと。中国の国内の経済状況が芳しくないというところに問題があるのではないか。日本とは手を握っていかなければいかんと。日中の補完関係ですね。経済の補完関係というのも非常に大事だと。ここで腹を立てて、日本は何だと言っちゃって、つまり、向こうは国家主導ですから、これが怒れば絞るのはわけなく絞れちゃうわけですから、許認可にしても何にしても。それから、輸出入の通関業務だってギュッと絞れちゃうわけですから。怒ったらすぐ経済はスローダウンしちゃいますからね。だから、そこはすごく我慢をして、抑制的に対応をしているのではないか。それに引き換え、日本側の対応が、それをいいことに、相当、厳しく中国に対する批判、攻撃をしていると。これでいいのかなと、私はとても心配ですけどね」

中国台頭に日本の対応は?
秋元キャスター
「せっかく中国は歩み寄ってきているのにという話がありましたけれど、一方で、たとえば、東シナ海ですとか、南シナ海ですとか、中国の海洋進出。中国の脅威論というものについてはどのように考えますか?」
河野氏
「非常に、これも微妙な話で、あまりパッと聞いて、この野郎というふうにやるのはいかがと思います。ただ、基本的に、中国にもう少し考えてもらわなければいかん。だから、これはきちんと中国にはまず言わなければいけないことだと思いますけれども、皆わかっていると思いますけれども、ガス田開発ですか、地図の上で見ると、あれは日中中間線のギリギリだけれど、向こう側ですよね。向こう側です。だけど、向こう側だけど、実は、中国は日中中間線を認めていないわけですよ。あれを認めていれば、まだこちら側だからという説明ができるんだけれども、そうは言わないわけですね。彼らの言っている中国側の線はもっとずっと200海里ですから、日本側に食い込んでいますからね。だから、それを主張し、さらに、ガス田を主張されるとこちらは黙っているわけにはいかないから。考えてくれと、2008年ですか、共同開発についてのやりとりがありますよね。あそこは、白樺についてはあとから日本が参加しようと。新しいところについては共同開発をしようという合意事項があって、そのための協議を始めようというところで、いろいろ問題が起きちゃったものだから、そこで止まってしまってその問題が解決していない。していないのに、また向こうは始めちゃったということですから、これはきちんとテーブルに着いて、合意のところまで戻って、お互いに協議をして、共同開発するべきものは共同開発する。日本側があとからだけれど、参加するものは参加してやろうというところへ戻さなければいけないと。その戻すための作業をやらなければいけませんが、そこはこちら側も居丈高になってとんでもない話だとやったら、協議にはなかなか乗ってこない。だから、そこは、しっかり1つずつ事実を確認しながらですね、何か軍事的基地をつくっているのではないかみたいな話まで言っていますけれども、そういう議論もあるけれども、本当に軍事的なものができているのかどうかというところまで確認をしなければいけない。でも、それがわからないわけですから。そこは落ち着いて、冷静にきちんとした議論をするということが大事でしょうね。あの共同開発の議論だって、日本側のトップが行って、向こう側と話しあって、じゃあ、共同開発にしようとかいう話を決めてきたわけですから。今度もそうやって政治のトップが先方と話しあって、解決案をつくるという作業をしないと、それは、事務的なやりとりだけでは話が進まないと思いますね。もっと上でやりとりをする必要があると」
反町キャスター
「トップの外交と。でも、まだ日中首脳会談、本格的なものがなかなか首脳間の相互訪問がまだできない状況があります。一方、安倍さんが第2次政権になってからやられたことというのは比較的、官邸は認めないんですけど、中国の周囲をまわっていくような印象が、僕には見える」
河野氏
「いわゆる包囲網ですね」
反町キャスター
「安倍さんの中国に対する姿勢というのはどのように見ていますか?」
河野氏
「いや、私は包囲網というのは随分、努力をしておやりになったけれども、結局、たいした意味はなかったと。たとえば、AIIB(アジアインフラ投資銀行)なんて言うのを見ると、包囲網をつくったつもりが、皆が参加して、参加しないのは日本とアメリカだけになっちゃうということになりますよね。さらに、インドの対応も、インドと中国の現在の対応も結構、微妙な対応ですよね。だから、安倍さんはずっと行って、いろいろなものを援助するとか、何とか言いながらまわっていますから、それは日本の総理大臣が来れば、拍手で迎えられるので、結構、結構と言われるけれども、それほど、包囲網という固いものができたとは思いません」
反町キャスター
「その意味で言うと、現在、日中首脳の相互訪問が1番求められる?」
河野氏
「それはまわりをグルグルまわるのも、私はいかんとは言いません。意味がないとは言いませんけれども、ピシッと中国とは隣同士ですから、直接やられるのがいいと思いますね。それは日米が重要ですよ。日米が重要だけれど、歴史的、長い歴史を考えても、それから、地政学的に言っても、日中は日中できちんと意思の疎通ができるようになっておくことがやはり大事ですよ。首脳会談、2回やりました。APEC(アジア太平洋経済協力)でやって、それから、バンドンですか、やりましたけれど、これは本当に胸襟を開いた議論ではないですよ。つくり上げられたもの。アメリカに言われ、誰かに言われて、手をとられてやっているわけで、それは会わないよりはいいですよ。やったことで、それを根拠に中国が随分、文化交流などで窓口を広げたということもありますから、意味がないとは決して言いませんけれども、本当に政治家と政治家が会って、極端なことを言えば、冗談を言いあいながらでも、冗談の中に本音を探りあっているというぐらいの会談ができるようになる必要があると思うんですね」
反町キャスター
「中国に関して最後の1問。中国とアメリカと日本の関係を議論する中で、これから、たとえば、未来予測の中で2030年、2040年には中国がGDP(国内総生産)でアメリカを抜くぞ、人口はとっくに超えているし、中国が、要するに、アメリカを凌駕する時代が必ずくると。そうした中、日本が外交上ですよ、日米関係を軸とするか。日米関係と日中関係も軸とするのか。要するに、重心をどこに置くのかという、この議論です。現在の姿勢というのは、日米を基軸にして、中国と対峙するという形をとろうとしているのかと、僕はそうは思いませんけれども、そういう形をとっていくべきなのか、それよりも現在の状態よりも、より中国に重心をずらしたような形での、日本の国の方針、運営をした方がいいのか。このへんのバランスが非常に難しい、数値化するの難しいのですが、どう感じますか?」
河野氏
「外交政策は、日本はあまりに単純過ぎますね。中国だって、もっと外交は重層的でなければダメだと言いますね。アメリカだって、非常に価値観の多様化というものを持ちながら外交をやっているわけですよ。だから、いろいろ言うけれども、突如として、米中会談ができたり、つまり、ニクソンが訪中をしたり。あの時、日本は一辺倒ですから、そんな一辺倒な単純な外交政策ではついていけないし、しょっちゅう騙されたと言ってはいけないけれども、えー、違っちゃったということになっちゃいますね。だから、もっとそこは自主的に政策を考えて、もちろん、アメリカ、安全保障政策においてはアメリカが基軸だよと。しかし、経済、財政については、将来は中国の影響をもっとたくさん受けるようになるかもしれない。既に貿易、その他を見れば、中国がアメリカを抜いているわけですから。すると、日中関係というものも、相当大事だよということで、いろいろと重層的にいろいろな問題によって、アメリカとやり、中国とやり、それはそんなことをやっていたら、どこからも信用されなくなるのではないかと言う人もいるけれど、そうではないです。国家として国としてきちんと自立した政策というものを持って、この問題についてはアメリカと1番深くつきあうと。この問題については中国の意見もよく聞くとか、これは韓国と一緒にやろうという姿勢がなければ、やれないと思いますね」

河野洋平が明かす 官房長官談話の真意
河野氏
「あれは、もう終戦の1週間ほど前に資料は全部焼却しろと言って命令を出して、資料は全部焼却しちゃったんだということを言っています。これでは資料は残っていないなと思いましたし、まして慰安婦を集めろとか、慰安所をどうしろという資料はなかなか正式な資料としてはない可能性も多いですよね。それでも随分、加藤さんは努力をして、アメリカの図書館まで行って調べるとか、できる限りの報告を集め、中間報告をやられたわけです。ただ、それはあくまで中間報告であって、それから、引き継いで、私は、その暮れからそれを引き継いでさらに調査をずっと進めて、その報告書をもう1度さらに精査して、もうどうしても集めきれないものについて、たとえば、当時の慰安婦だったという方に話を聞くと…」
反町キャスター
「韓国側が用意した向こうの言う慰安婦ですよね?」
河野氏
「そうです。そういうことまでやって資料を集めたわけですね。ただ、河野談話の文章を書くにあたって、どの部分をとっても証拠のないものは書きませんと、その当時のスタッフは言いました。私も証拠のないこと書いて貰っては困るということを言いましたので、どの部分をとってみても聞かれれば証拠はあります。証拠のないものは書きません。ということを言われて、つくったんです。ただ、多少誤解があるかもしれませんが、河野談話における慰安婦問題というのは、日本の、いわゆる従軍慰安婦と言われる人達全体について調査をして、全体について書いているんですね。韓国の問題だけに絞って書いているかというと、そうではなくて、それは朝鮮半島の部分については、あの談話の中の3行だけ、それが書いてある。それ以外のところはむしろあちこち、インドネシアから何から全部、台湾もありますね、全体を書いてあるので、そこのところをただ、宮沢さんが韓国に行って演説をした時に言われたものですから、とりわけ朝鮮半島については特化して3行ほど書きましたけれども、それ以外のところは全体の慰安婦問題を書いている」

あの時“何”を語ったのか
反町キャスター
「いろんな強制性がある中で、集める時の強制性に議論が集中しているところ。ここはどう見たらいいと感じていますか?」
河野氏
「それは現在申し上げたように、談話それ自体は資料、文章があるものだけを書きましたから、あの談話の中には、強制という言葉は入っていないです。しかし、実際はおっしゃるように、腕を掴んで引きずった、胸ぐら掴んで引きずったという、強制連行もあったんです。それは、どこにあったかと言えば、たとえば、いろいろなところにあって、1番はっきりしているのはオランダ人を慰安婦として連れていって、慰安婦にしちゃったということは、裁判をやって、証人がいて、本人が出てきて、判決が出て明らかに強制連行されたという事実があるんです。こういう事実があるのに強制連行はありませんでしたとは言えない。もし強制連行がありませんでしたと言ったら、オランダ政府は怒りますよ、おかしいと。オランダの国民の中に強制的に連れていかれて慰安婦にされてしまった女性が現にいるんですということを言われる。それは裁判の状況を見てもはっきりしている。インドネシアにもそういうことがありますね。ですから、強制連行がありませんでしたとは言えない。ただ、談話の中にはとりわけ先ほど、申し上げたように韓国に特化した部分を考えると、そこに文章がありませんから、ですから、総じて本人の意思に反して連れていかれたというふうにしか書いていないです。けれども、しかし、あの時代、考えてみてください。戦争中に軍が関与して、本人の意思に反して連れて行くということになれば、それは甘言によって連れていかれたものもある。あちら行けばいい仕事があるよと。あるいは別の仕事で工場で働くんだよと、別の目的で連れていって、行ってみたらそこは慰安所だったと。もう2度と出てこられないというようなことが、そういうケースもあったかもしれないけれども、いずれにしても総じて本人の意思に反して、本人が喜んで行ったというケースはほとんどない。中にはあったという人もいるかもしれません。お金がほしいから行ったという、そういう人達もなくはないけれども、それでも、慰安所に入れられたあとは、結局、強制的に女性の人格を否定されるような労働に強制的につかされたという事実が残っていることは間違いないです。ですから、私は、強制の部分、強制連行の部分に集中的におかしい、おかしいという議論があるけれども、それは事実としてありましたと。現にそういう事例もあるわけですから。全部が全部そうとは言いません」
反町キャスター
「韓国では物証はなかったんですよね?」
河野氏
「物証はありませんでした」
反町キャスター
「インドネシア、オランダはあったと?」
河野氏
「あったと。韓国の場合は証人がいると。本当かどうかという議論はあるけれど、本人でなければわからないような事情を説明なさる。そういうことが仮に文章としてないとしても、本人の意思に反して集められた人達が非常に強制的な状況の中で、女性としての人格を否定されるような労働につかされたという事実は否定しようもない、疑うべくもない事実」

恩讐を越える日は…日韓の戦後70年
反町キャスター
「韓国側が、ムービングゴールポストをやるので、韓国側の日本に対する姿勢、この議論が延々続くことによる徒労感、これはどうなのですか?」
河野氏
「韓国の国内にもいろんな議論があるんですね。ですから、金泳三大統領の時代、金大中大統領の時代、いろんな大統領の時代に、これは私の方で金銭的な経済的なものは全部やりますから、謝ってくれれば、それでいいですと言う人もいれば、謝っただけでは済まないという状況もあった、向こう側も相当国内事情で揺れているんです。それは確かに揺れているんです。ただ、それは政治ですから、国内の状況をまったく無視してというわけにはいかない。しかし、それは国際的な約束なら、国内事情がどうであれ約束したらそれは約束、国際的な約束として守るということにならなければいけないと思いますが。国際的な約束というほど固いものがあるかどうかという問題がありますよね。それと、(21世紀構想懇談会の)報告書を私も読んでみましたけれども、あの報告書を読んでみると、こちらも謝っているんだから、向こうだってそれに対して何か言わなければいかんよと。あれを読んだら、それはまた向こうは怒りますよ。あれは向こうのことまで言うべきではないと私は思いますね。偉い方々が集まって書くから、こちらがこう言うのだから、お前の方もこう言うべきだと言うんだけれど、それはそういう性質のものではないでしょうと私は思うんですけどね」

河野洋平 元衆議院議長の提言:『信無不立』
河野氏
「これは孔子の言葉です。国民の信頼がなければ何もできないよということですね。私は現在、政治が信頼を失っていると。政治は信頼を取り戻さなければいかん。政治が信頼を取り戻すためにもっと政治家は努力してほしいと思います。信頼されない政治家が何を喋っても意味がないと思いますね」