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2015年8月12日(水)
戦争の『教訓』を問う 戦後70年と日本の転機

ゲスト

曽野綾子
作家
西尾幹二
評論家

先の大戦と戦後70年の歩み 戦後70年談話のあり方
秋元キャスター
「安倍総理の戦後70年談話についてどのように考えていますか?」
曽野氏
「戦争のことというのは1人の人間の感覚はあるのですが、仕方ないと思うんですけれども、総理がどんなものをお書きになってもうまくいかないと思います、基本的に。反対の意見もあるし、1つの文章を読んで我々が皆同じに感じないですね。ですから、何をおっしゃっても無理だと思うのですが、私は作家としてお話すると、お詫びということは、1度はとてもいいです。でも、何度も何度も謝るに従ってどんどんお詫びという言葉と行為が変質していって、不愉快なものになってくる。普通の感覚を持っている人なら、何度も言わせないでしょう。しかし、この頃の日本人はすぐお詫びをしろと。流行ですから、新しい世代で、何度もお詫びをすることが気持ちのいい世代が出てきたのかもしれません。私の場合、何度も何度もお詫びを要求する人に対しては、どんどん尊敬の念が減っていきます」
反町キャスター
「どこの国とは言いませんが、謝罪を続けろという心情をどう感じますか?」
曽野氏
「それによっていい気持ちになる。ヨーロッパ的な感覚の中で、お詫びというのは金を払えということ…」
西尾氏
「いきなり中心テーマに入ってしまいましたが、よくヴァイツゼッカー大統領が謝ったという話。あれは全然謝っていないですし、罪も認めていない。異様なる演説ですけれども、大元はカール・ヤスパースという哲学者ですよ。それが1946年に責罪論というのを書いていますが、ドイツ民族を守ったんですよ。彼の論理で。罪は4つあるんです。責罪論です。歴代の大統領は踏襲しているんです。1番の罪は刑法上の罪である、致死量の注射をユダヤ人に打った看護婦は刑法上の罪に問われる。個人の罪ですよね。2番目の罪は政治的な罪であると。これは刑法上の罪ではないので、これについては金銭で賠償する意外に方法はない。本当の罪は、3番目の道徳的な罪であり、4番目の形而上の罪、つまり、神に対する罪であると。3番、4番に対して目に見える償いの手段はないんですよ。だって、道徳的な罪だから、自分で考えなさないと。神に対する罪も祈りの中にあるでしょうと。関係あるのは2番目の罪です。つまり、お金ということを言いましたが。しかも、カール・ヤスパースは、罪と責任、責任という言葉をドイツ語でVerantwortungが普通使われるのですが、Haftungという、たとえば、賠償責任とか、保険のそれがHaftungなんですよ。それを使ったんですよ。ヴァイツゼッカーもそれを使ったんです。ちゃんとうまく言い逃れているんですよ。責罪論が第1代大統領からずっと続きまして、現在のガウク大統領はついに、今回、5月の戦後70年(の式典)に登場しなかったんですよ。ところが、ベルリン大学のヴィンクラーという歴史学者に喋らせて、ヴァイツゼッカーと似たようなことを喋らせて、自分は顔を出さなかったと。だから、安倍さんが何かことを決し発言しようとかねてからされていたので、期待していて、明後日ですから、期待しているのですが、期待が裏切られて何か下手なことになるぐらいなら談話なんかしない方がよかったと。何のために談話なさるのですか、眦を決してなさるのなら、抵抗があってでもある程度のことを言わなければいけないではないですか、それをなさらないで、従来のものを踏襲して、未来志向で逃げるのだったら、国民は失望するし、戦後の70年の次は戦後100年ですよ。戦後100年ってあり得ないでしょう。安倍さんは大事なところですよ」

中国・韓国との対立の根源
西尾氏
「徹底的な間違いは、中国は戦勝国ではないということですよ。中華人民共和国は存在しなかったんですから。日本は太平洋戦争で、アメリカに敗れて中国から撤兵したわけですから、韓国とのことは皆知っての通り、日本国民だったから戦争をお互いにしていない相手です。ところが、韓国は『トンデモ歴史』をつくるわけですよ。つまり、独立戦争があったと。どこか外国に逃げていた亡命政権があったと」
反町キャスター
「上海ですよね」
西尾氏
「何人いたのでしょうね。独立戦争というのは200人ぐらいの馬賊を日本軍が駆逐したという事件はあったかもしれない。しかし、韓国が意図的に戦争をしかけてきて、独立戦争で日本軍に敗れて、その結果、屈辱的な敗北を喫したという歴史は何もないわけですよ、そんなことは。韓国が日韓合併を望んだのですからね、大半の人達が。それが忘れられているわけですよ。ただ、自分達の恨み、つらみだけから歴史をつくり上げているだけですね。中国も同様です。それに対して同情したり、共感したり、あるいは謝るとか何とかという話になってくると、これはそういうことをいう人達、政党、政治家、知識人というのは結局、反国家的行動をしているんですよ、日本に対して」
反町キャスター
「とは言え、放っておくわけにはいきませんよね?問題の解決に向けて日本側も何かしなければいけないのでは?」
西尾氏
「放っておけばいいと言っているわけではなくて、歴史の認識を正していただきたいわけですよ。根本問題は、日本が侵略戦争をしたわけではなくて、先の大戦は、日本が始めた戦争ではないということですよ。はるか前に欧米列強によるアジア対する一連の長期にわたる侵略戦争があったわけです。もし日本が防衛しなかったら中国大陸の3分の1と朝鮮半島はロシア領になっていたでしょう。中国も日本も被侵略国であったと。アジアの中で最後に戦った国だから、欧米に対して。そのことを中国が理解して、日本のやったことも理解しようと。おそらく毛沢東は理解していたと思いますよ。現在の中国政府は知りませんけれども。幕末から中韓に呼びかけていたわけですよ、仲間として一緒にやろうではないかと。仲間がほしかったんです、あの時の日本は、欧米に対する。日本が一国でやらなければならないと自覚するのが福沢諭吉の問題ですからね。日本が一国でやろうとなったのがあの時代の運命ですから。そういう歴史を理解して中国が、韓国も、世界の中でのアジアの運命をともに理解するという姿勢が中国にも韓国にも生ずれば、解決の糸口はありますよ」
反町キャスター
「日中、日韓で歴史問題に対する協議会は何回も開かれていましたが、ダメでしたよね?」
曽野氏
「うん」
西尾氏
「北岡伸一が座長になったペーパーを読みましたけれども、反論も出したのですが、これは酷いものですわ。全部日本が…、中国が正しくて、こちらが間違っていると」
曽野氏
「その問題は、悪いだけの人間とか、悪いだけの国家とかないですよ。そういうのがあったら見たいくらいです。私達は、小説でよくもか弱い女を騙したわねという男を書きたいんです。ところが、本当に人間として長けていたら、その中に一抹のいいところが出てきてしまう。そういうものですよ、存在って。悪いだけも良いだけも(ない)。国家もそうでしょう。ですから、悪いだけの国家、悪いだけの人、と言い張る姿勢そのものが成熟していない」
反町キャスター
「わかりあえる人とわかりあえない人がいるではないですか」
曽野氏
「当然です。私はわかりあえないことに絶望的ではない。努力はしますけれども」
反町キャスター
「対中関係でも、対韓関係でも、政府も我々も…」
曽野氏
「もちろん、努力しますよ」
反町キャスター
「そうそう」
曽野氏
「努力しますけれども、でも、わかられなくていいと思いますよ。そういうものですよ。世の中って」
西尾氏
「個人と集団となると違って…」
曽野氏
「かもしれませんね。良きところも見ないといけないと思います」

日本人の戦争観と平和観 先の大戦は何のため?
秋元キャスター
「21世紀構想懇談会の報告書の抜粋で、『1930年代以後の日本の政府、軍の指導者の責任は誠に重いと言わざるを得ない』『なお、日本の1930年代から1945年にかけての戦争の結果、多くのアジアの国々が独立した。多くの意思決定は、自存自衛の名の下に行われた』『アジア解放のために戦った人は勿論いたし、結果としてアジアにおける植民地の独立は進んだが、国策として日本がアジア解放のために戦ったと主張することは正確ではない』。この報告書をどう受け止められますか?」
西尾氏
「あまり丁寧には読まなかったんですけれど、何かGHQの宣伝文句を読んでいるような、もう大戦が終わった直後にアメリカ占領軍が日本国民をうまく、上手にのせて、教えた、そうした戦争観がそのまま書かれていますね。特に昭和3年、1928年から問題が始まったと。これは半藤一利さんの昭和史と同じですけれど、結局GHQ史観ですよ。つまり、昭和3年というのは満州事変。それから、この時から不戦条約というのができて、日本をはめるために不戦条約違反というのが出てくるわけですね。もうこの時、裁きが始まってるんですよ。しかし、敢えて言っておきますけれど、戦争はそれよりはるかに前、100年も前から始まっていると言うことを日本人は知っているはずですね。その当時の世界地図というのを考えればいいのですが、当時の世界地図は、地表の支配面積の6割近くをイギリス、ソ連、フランス、アメリカの4か国が占拠していたんです。イギリスは27%、ソ連が15%、フランスが9%、アメリカが6.8%の合計で57.8%がこの4か国。その他にご承知のようにたくさんの他のヨーロッパ諸国がいますから、当時の日本の人口は7200万人で、世界人口約30分の1でありましたが、専有面積は0.25%にすぎない。その頃の世界では経済力ではなく、領土の広さが勢力を表す指標であったことは忘れてはいけないですよ。つまり、イギリスは本国の約100倍、オランダは約60倍ものアジア、アフリカ諸国の土地を奪っていた。アジア全土の99%は欧米列強の専断するところになっていて、敢然と日本がそれに抵抗したんです。ノーと言ったんです。それだけのことは単純なことですが事実です。ガーッと抑えこまれることに耐えられなかった」
反町キャスター
「日本が欧米のアジアの植民地化にノーと言ったのか、欧米に代わって日本が新たな植民地支配者になると手を挙げたのか、これは全然違うんですよ」
西尾氏
「同じですよ。それは強者にならなければ弱者になってしまうのですから。日本がやったことは慎ましやかなことです。パーセントを見ればわかる。侵略されずに残った最後の砦だったんですよ」
反町キャスター
「生き残るための方策だったと?」
西尾氏
「ええ。戦前の日本においてはこの日本人の自覚は極めて明確だったのですが、戦後はバカバカしいことに、侵略国家というレッテルを貼られて、戦勝国に騙されてここまできているんです。よく考えてください、侵略国はどこですか?アメリカであり、イギリスであり、フランスであり、ロシアであり、オランダでありが侵略国家であって、日本を侵略国家に入れるのはカッコづけにしなくてはいけませんよ。加えて中国に対して侵略したではないかと必ず言うのですが、証拠を示してほしい。ご承知の通り、盧溝橋事件は現在のPKOですよ、日本が進駐していたのは。現在のPKOと同じにもともとは北進事変で日本軍に滞留していてくれというのが国際条約で。日本軍だけがいたわけではない。米、英、皆いたのですから。盧溝橋事件で1発の弾で始まった。それも国民党軍が撃ってきたのは明らかであり、それは中共軍が介入したのではないかというのが、現在の議論の研究上のテーマになっていますけれども。つまり、日本軍と国民党軍を争わせることにより、ソ連が動き出していましたから、ソ連と中国共産党にとって最大のことですから、それにイギリス、アメリカが乗ったんですよ。そういう日本の動きに、日本を懲らしめるためにワーッと世界中が怒った。それに乗らないで退ければよかったかもしれないですよ、しかし、なかなかそうはいかなかったのは居留民攻撃。日本人が出ていっている。現在だってそうですよ、韓国にたくさん日本人が(4万人)いる。それが殺害されているということが続いたら、これは放っておけないです。それこそ自衛隊、出ていけということになりますよ。あの当時、居留民攻撃というのがあって第2次上海事件が起こるわけですが、これは4000人ぐらいの守備隊に、40万人ぐらいの蒋介石軍が襲いかかったんです。その後ろにソ連との密約があって武器弾薬を、アメリカがソ連に金を出してやらせていた」
反町キャスター
「本当に乱暴な議論ですけれど、歴史をつくるのは戦争に勝った国ではないのですか?」
西尾氏
「だから、それを70年と言ってるんです。終わったんです、それが。終わるのが安倍さんの役目ではないですか?」
反町キャスター
「戦争の美徳みたいなことを説かれている部分をこの間、読んだのですけれど」
曽野氏
「美徳かどうかわからないですけれど、私はあらゆるものに、プラスの面とマイナスの面を見るんですね。それで、戦争はもちろん、私は本当に戦争中、嫌だったんですよ。明日まで生きていられないと思ったから。もう単純です。13歳の子供が防空壕の中にいて、明日まで生きていられない。嫌だな、何とかして明日まではお前さん生きているよと言ってもらえるような世の中になりたいと思ったんです。それで終わって、良くなったかというと、私は本当に現在、大変だと思うのは汚職ですよ。べっとりと覆っている、アフリカでも何でも。アフリカだけでないので。汚職から、これから何時の日か脱却できる日があるかと思う。これが全部貧しさの元であり、人間の心を締めつけています。だから、何かがなくなると何かまた悪が出てくるのではないか。もう1つ言いたいのは、私は悪というものをもう少し正面切って解釈するとプラスの面はあると思うんです。キリスト教徒として、我々の言葉の中に、おお幸いなる罪、フェリックス・クルパという言葉がある。ラテン語か何かで。おお幸いなる罪よと、罪は幸いではないですよ。たぶん自分がこういうことを犯しているのだということの人間としての自覚があった時に、それは幸いなる罪になるという解釈です。そうあまりならない方がよろしいですけれどね。でも、私はちょっとそれがわかるんです。人間と生まれたからには何もかも私は自覚したい」

平和のために必要なこと
秋元キャスター
「これからの時代も日本の平和を保っていくためには何が必要ですか?」
曽野氏
「私は正直言って、ここ数日、平和という言葉に疲れた。あまり簡単に、決して亡くなった方をないがしろにするわけではないんですけれども、8月15日がはやく過ぎないかと思っています。私は、普段からこれは考えるべきことであって最近みたいに憲法9条だとか、私は1番最近びっくりしたのは憲法9条が平和のもとだと。私は憲法9条を1年に1度も読みませんし、思い出しませんけれど。穏やかな生活、希求する気持ちありますね。イスラエルに行ったらシャーロームと挨拶するの。グッドモーニングもシャーロームだし、グッバイもシャーローム。シャーロームとは何ですかと聞いたんです。そうしたら平和と訳しているわけですね。シャーロームシャーロームという歌もある。でも、正確にどういう意味ですかと言ったら、欠けたることのない状態ですと。それで、さようならとシャーロームと言う。欠けたることのない状態は、日本では欠けたることもなしと思えばなんて唄を読んだ人がいるからちょっと困るんですけれど。ないです。それはユートピアをつくったあの人と同じ、要するに、ウートポスというのはどこにもない場所という意味です。私は卑怯者だから、楽になるのは、いつでも家では夫婦喧嘩しているし、親子喧嘩している。平和なんてあまりなくたっていいだろうみたいに思います。シャーロームも、ウートポスも、それほどにないもの、貴重なものです、原則として。だから、それほどにないものをお別れする時にあなたに差し上げますと。少し理屈めきますけれども。だから、そんなに簡単に平和、平和と言わない方がいいと思う。もう本当に疲れました、今年は。聞くのも嫌。なぜかと言うと貶めるような気になっちゃう、その言葉を。手垢がついたというのか、使い過ぎて。そうではなくて、じっと自分の心の中で考えた方がいい。自分は平和にあまり寄与していないと私なんかは思いますから。私は現在、夫の看護人をやっています。一応いい看護人だと思っているんですけれども、時々いじめているんです、夫を。そうするといじめた方がお父さんの頭がしっかりするなんて言っているんですけれども。そんなものです。どこかにそういう悪いこともあって、ですから、現在おっしゃった大切なことは、平和を保つのは何か。食えることです。それは1つです。食えないのですから、現在。世界中に食えない人がいると。それを日本人は考えない。食えると、だいたいお腹がいっぱいになったら喧嘩しないですよ。だから、食えるようにしてあげたい。全ての人がね。それだけです、私が考えるのは」
西尾氏
「平和は大事です。平和主義は大事ではないけれども。平和の持続というのは、私の日々の毎日でなくてはならない。皆さんの社会生活の基礎でなければならないですよね。放っておいて守れるものではないです。これは先の戦争における我が国の位置というものを一生懸命に考えて、歴史教科書でも何でもおかしいところは直していくという努力が、平和を生むと思っています。日本は戦争をした時にワシントンやロンドンを占領する計画があったでしょうか。ないですよ、そんなものは。日本の政治制度を世界に広めて、日本の精神文化をもって敗戦国を罰するとか、洗脳するという、大戦略を日本人は持っていたでしょうか。持ちませんよ。しかし、アメリカはそうだったんですよ。そのことを忘れてはいけないということです」

評論家 西尾幹二氏の提言:『先の大戦の結果が、あなたの今日の毎日の生活に深く響いているということを考えて下さい』
西尾氏
「とかく他人事のように言うんですよね。戦争に負けて、実はいろいろなことが起こっているんですよ。だけれど、現在の若い人は他人事のように語るんですよね。人類は平和であるべきだとか、そんな抽象的なことを言うばかりで、実はあなたの日々の生活にえらい影響があるんですよと、これは。たとえば、経済生活とか、(影響が)あるということをよく考えて生きてほしいと、そういうことです」

作家 曽野綾子氏の提言:『愛だけが平和を支える』
曽野氏
「あなたに幸せになってほしいわということです。私は、戦争がなぜ嫌だったかというと1人1人の小さな望みが果たせなかったから。(それが)何だかは知りませんよ。小さな望みを叶えてあげて、一生を叶えることに役立ったら、それが私の目的です」