プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年7月30日(木)
尖閣TPP南シナ海 東アジア大人のルール

ゲスト

秋葉賢也
自由民主党外交部会長 衆議院議員
山田吉彦
東海大学海洋学部教授
西浜徹
第一生命経済研究所主席エコノミスト

TPP交渉と南シナ海の今後 アジア成熟のルールは
秋元キャスター
「まずはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に参加しているASEAN(東南アジア諸国連合)4か国と日本の貿易の現状を見ていきたいと思うのですが、日本への輸出品目というのは、エネルギー資源、食料品、電気機器などです。一方、日本からの輸出品目は金属、ゴムなどの工業製品の材料。自動車や電気機器などとなっているのですが、その内訳についてはそれぞれ国ごとに違ってきますけれども、資源国のブルネイだけは、95%以上は天然ガスや石油の輸出というのが現状です。これらの貿易におけるTPPによる日本へのメリット、デメリットをどう見たらいいのでしょうか?」
西浜氏
「既にASEAN諸国というのは、日本も含めて、中国も含めてですけど、アジア一体として、もうサプライチェーンの中に入ってしまっている。つまり、最終的にモノをつくるために、どの国でどういうモノをつくったらいいのかということで、非常に重要になってきている。実はここに日本からの、ASEANの主要国の直接投資を、2013年、昨年末段階での残高と、あと在留している日本人の数といったもので、タイを見ていきますと過去50年ぐらい、ずっと自動車産業を中心に入っています。非常に額が大きい。かつ人も多いということです。特に、自動車に関して言うと、裾野産業、いわゆる部品とか、そういったものが入っている。シンガポールに関して言うと、金融とか、いろんな分野が広い。一方で、TPPの中に入っている、交渉に参加しているマレーシア、ベトナム。経済規模でいうと、インドネシアと、ASEANの中ではあるのですが、意外に投資を見ていくと、このマレーシアとベトナムというのは多いです。特に、このマレーシアに関して言うと、家電であるとか、電気関連です。これが多いと。ベトナムに関しても電気機器、電子部品とか、そのあたり。ベトナムに関しては1990年代、または2000年代にかけてベトナムブームと言ったらいいのか、進出ブームが起きました。そういったところで、日本との関わりあいが強い。そことの間で、TPPによっていろいろなルールが標準化される。共通化されるということになれば、この地域で生産することのメリット。より日本としては、受けやすくなるということは言えるかと思います」
反町キャスター
「TPPの極めて高い開放度は厳しいのではないですか。最後ギリギリのところで落ちるとか、そういう可能性はないですか?最後についてくるのですか、この2か国は?」
西浜氏
「言われているのは、マレーシアに関して言うと、マレーシアをおいていけぼりしようという議論がちらほら出てきているのは事実です。もう1つ、知的財産の件でいくとカナダはかなり議論が遅れていますよね。カナダとマレーシアはおいておき、10か国で、締結しようではないかという話も側聞していますので、そのあたりマレーシアがどう国内の議論を高められるのか、と言うのがナジフさんに課された大きなポイントになると思います」
反町キャスター
「ベトナムはついていきそうなのですか?」
西浜氏
「ベトナムはいろいろと課題がありますけれども、まさに、中国に対する脅威というのを、彼らはひしひしと感じていますので、これについていくことによって、どこか突破口をブレイクスルーしていこうという思いが強いと思います」

ASEAN新興国の狙いと実情
反町キャスター
「一方、市場開放の動きとか、高度な、高いレベルの自由化の動きが、ASEANに大きく広がっていくことに関しては、各国、いろんな意味で、海洋進出のことも含め、中国を意識しているわけではないですか。中国はそういう東南アジアにおける市場開放の動きをどのように見ていると思いますか?」
西浜氏
「1つは、おそらくここで出てくるのは6月末に直前に合意されたAIIB(アジアインフラ投資銀行)というところに大きく絡んでくると思うのですが、AIIBを通じアジアはまだインフラの需要があると。そこに中国が支援をしましょうということで旗を振っている。ただ、これは1つ考えられるのは、中国国内が現在、相当景気は怪しくなってきている中で、国内にいろんなものが余っています。これを、まずASEANだとか、いろんな地域に入れていこうというような思惑がある。その一方、貿易関係を深めることによって、中国が抜き差しならない関係に、実はASEANがなっているということは、事実上としてあって、これは、かつてであれば、日本の方がASEANからの輸出入ともに大きかったものが、2000年代、急激に経済成長をする中で、急激に中国が台頭をしてしまう。中国との関係は、ASEANにとっても抜けられない状態になっています。ここに、AIIBの新たなツールを通じることによって中国と一体化をしようと。ASEANも貿易の中でやられているのは、人民元で決済をするということがなされています。要するに、ASEANは人民元経済圏の中に取り込まれていくような流れになって、そこにプラス、考えられるのが、ルールでさえチャイナスタンダードを浸透させていくという動きがある。そうすると、TPPのあくまでも、きちんとハードルの低いルール適用することによって、チャイナスタンダードといったものの入る余地を少しずつなくしていく。もしくは中国に、ルールを守った方があなた達も入りやすいですよ、という間口を広げていくというのが、TPPにとって求められる話になるかもしれないと考えています」
反町キャスター
「山田さん、海洋進出の話、既に経済の領域において、中国をどこまで認めるのか。ないしは中国の権益拡大、ないしは中国のイニシアティブをどこまで認めるのかの戦いだという印象を、僕、聞いていて思っちゃうのですが、どう見ていますか?」
山田教授
「既に入り込んでいる中国経済がしっかりと、それぞれの国に基盤をつくっている。結局、TPPが導入された時に、必ず中国が関わってくるようになっていきます。これは、中華民族の偉大なる復興です。かつてのように、既に入り込んでいる中国経済へ、中国人社会を利用しながら、さらに、中国が外に、経済的に膨らんでいくために、しっかりとTPPの流れを見ながら、その側面でAIIBを使いながら、両面で、当然、経済、社会がそれぞれ膨らんでくれば、投資、要は、融資先として、それぞれの国の経済にまた入り込んでいくことができるとなると、中国は次のステップの膨張戦略というのをつくることができると思います」
反町キャスター
「マレーシアにしても、シンガポールにしても、インドネシアにしても、他の東南アジアの国においても、いわゆる華僑の経済力はすごく侮れない、圧倒的な力があるという前提に立った場合に、でも、中国本体はもちろん、TPPに入っていないわけではないですか。この中華経済圏の影響力はどのぐらいのものになるのか。TPPをつくった時に入っていない中国だけれども、中華経済圏は確実に浸透しているぞと。このバランスをどう見ていったらいいと感じますか?」
山田吉彦東海大学海洋学部教授
「しっかりと、今は、中国を見極める。特に、日本の動きを含めて、見極める中で、中国社会がどこに出ていくのか。というところがポイントなんだと思いますね。特に、今の政権と経済社会の乖離が始まっている中で、経済社会は、どんどん先へ進んでいくと。たぶん、それが、今、中国政府がコントロールしきれていないというふうに感じますので、そこが、今、華人社会と中華人民共和国の共産党政権の乖離というのが始まっている表れなのではないかなと感じでいます」

アジア経済と外交・安保 どう描く?大人のルール
秋元キャスター
「それぞれの参加状況を整理していきます。まずTPPとAIIB、両方に参加しているのはベトナム、ブルネイ、シンガポール。TPPに参加、しかし、AIIBは設立時の署名を見送ったのがマレーシア。AIIBに参加している、しかし、TPPには参加していないというのがミャンマー、ラオス、カンボジア、インドネシア。AIIB設立時の署名は見送り、TPPにも参加していないというのがフィリピン、タイということなのですが、西浜さん、この各国の立ち位置。それはアメリカ、中国との関係の近さ、政治情勢も織り込まれているのでしょうか?」
西浜氏
「そういった面と、もう1つは、貿易関係といったところも大きく影響しているかと思います。AIIBに関して言うと、中国との関係というのが1番大きくはなりますが、ただし、AIIBに入る国、AIIBだけに参加する国は、ミャンマー、ラオス、カンボジア、インドネシア。特にミャンマー、ラオス、カンボジアというのは経済発展段階で、かなり遅れた国。1人あたりGDP(国内総生産)がまだ1000ドルにいくかいかないかといった国ですので、そういったところでいきますと、公平なルールをいきなり設けられてしまうと、ほとんど自分達は生きていけないと。そんなところがあります。それは、TPPに手を挙げないのは仕方がない。もう1つは、インドネシアに関していうと非常に問題になっているところもあるんですけれども、もともと政治が強いと。インドネシアを何とか守ろうという姿勢が非常に強いということもあって…」
反町キャスター
「それは産油国だから、自分のところは強い、潜在的なパワーがあると、何か自信みたいなものがあったりするのですか?」
西浜氏
「産油国であったのは正しいが、実は原油に関しては準輸入国になってしまっています。ですので、OPEC(石油輸出国機構)に関して言うと、2008年に加盟停止状態になってというところで」
反町キャスター
「それでは、余裕がないではないですか?」
西浜氏
「はっきり言って余裕がないです。ただ、あくまでも国内で、インドネシア人がちゃんと生活できるようにしたいと。それを切に願っているということは、中国との関係も非常に深めたいという、一方で、ASEANと中国との、実はFTA(自由貿易協定)が結ばれているのですが、中国に対して一方的に、インドネシアは実は見直しをしませんかということを通告するような。実は、FTAを結んで自由にしておきながら、あまりにも中国が入ってくると、自分達はつらいと。ちょっと見直しをしませんかというようなことですね。通告するような立ちまわりをやる国ですので、そこらへんは、確かに、TPPについて、かなりハードルは高いと言えるのだと思います。一方で、TPPに参加している国は、ベトナム、ブルネイ、シンガポール。特に、ブルネイ、シンガポールに関して、もともとブルネイ、産油国ですし、ほとんど産業というものはない。どちらかというと、輸出がきちんとできるところが正しいと。シンガポールに関して言うと小国ですし、あくまでも金融といったところが柱ですので、人、モノ、金の行き来ができると。ここはそのまますんなりと入っていくと思う。ベトナムに関して言うと、先ほども申し上げましたように、中国への対抗。ここが相当、効いているのかと思います。AIIBには入っていますが、その一方で、アメリカとか、大国とどういうふうな…、ちょうど等間隔でいろいろと立ちまわりたいというところが影響しているのかなと思います。一方、マレーシア。ここはかなり厳しいのは、先ほど来申し上げているように、国内でいろんな問題を抱えていますが、実は、ASEANの中では非常に輸出依存度が高いです。国内の人口が2500万人しかいませんので、輸出のGDPが100%近い水準です。ですので、外に開かないとしょうがない。一方で、マレー人も優遇したいという、非常に板挟み。非常に矛盾しています。矛盾を抱えながら、ずっと議論に入ってきている」
反町キャスター
「TPPによる高度な貿易の自由化が自国のGDPを増やすことにつながるのか。ないしは国有企業がズダズダにされるのかという、その希望と恐怖の間で、未だに決めきれずにいる、こんな理解でいいのですか?」
西浜氏
「はっきり言って国内の議論はそこでずっと2分していると言えるとは思います」
反町キャスター
「ベトナムとフィリピンは、中国と南シナ海の、その領有権を巡って、非常に対立している国だと、認識をしているんですけれども、でも、このTPPとAIIBを巡る対応でいくと、ベトナムは両方とも参加をしています。フィリピンは両方とも腰が引けています。TPPは参加をしない。AIIBも考慮している。対中国と激しく対立している、この2国がそれぞれまったく真逆の対応をとったことについては、どう感じていますか?」
山田教授
「そもそも日本ではASEANは一枚岩だと言われているんです。私は、ずっと海賊対策とかをアジアでやってきて、それはそれぞれ国の主権というのはあくまでも自分達のそれぞれの宗教的な裏づけもありますし、民族性も違う中で、経済の発展過程も違う中で、それぞれの立場はそれぞれ持っています。ですから、フィリピンとインドネシア、インドネシアとベトナム、インドネシアとマレーシア。全てが必ずしも一枚岩の行動をとるわけではない。むしろそれぞれの立ち位置というのを明確に示したい。それがそれぞれのスタンスが違うということになっていると思います」
反町キャスター
「でも、日本が変に手を出すと、かえって貧乏くじを引くという言い方も変ですけれども、各国それぞれの足並み、アジアの各国の思惑に惑わされ、結局、最終的に日本が外交的にエネルギーを消費、浪費して損をするという、そういうリスクはないのですか?」
山田教授
「当然、あります」
反町キャスター
「中国がけしからんと。我々が正義であると。法と正義の名の下に出て行くことが、かえって…そういう意味ですよ。」
山田教授
「そういう意味では、日本だけが矢面に立つということは必ずしも結果が良くなるとは思えないと思います。日本という調整機能を働かせながら、ASEANをまとめたうえで対中戦略をとっていかなければいけないと。これは非常に難しいとなると、まずは現状をしっかり把握しなければいけないと思います。それだけ現在、ASEANは複雑な関係になってきている。それがこのTPPを見ても、AIIBを見ても、非常に複雑だという、この1つ、1つを紐解いていくなかで、南シナ海の情勢というのも見えてくると思います」

南シナ海の秩序と安定 日本が果たすべき役割は
反町キャスター
「南シナ海の国々がそれぞれ中国と対峙をしながらも、それぞれ個別の利害を主張としていると、その問題に日本はそれぞれどうコミットしていけるか。総理もシンガポールにおけるシャングリラにしても、他の国際会議においても南シナ海における法の支配とか、力による現状変更に反対だとか、これはもうたぶん全員が賛成しますよ。けれども、それを実際にやるにあたっては、変に手を出すとさらに混乱をする。ないしは一国に肩入れすることもできないし、全体が同じ、共通要求項目を持つ中国に対峙をしているかと言えば、そうでもない。どうしていったらいいと思いますか?」
秋葉議員
「コミットメントを上げるだけではなくて、具体的なアクションに結びつけておくことは大事ですね」
反町キャスター
「アクションに結びつけるべき?」
秋葉議員
「日本は、既にフィリピンとの共同軍事訓練をやるということも決めました。また、オーストラリアとも、この南シナ海も想定の範囲内に入れた上で、日豪米という形になりますけれど、3か国での軍事行動を、軍事訓練も行っていくということも決めましたけれども。また、日本はどうしても日米安保というのが基軸になりますけれども、日本の要請もあって、米軍が今度、新しくシンガポールに巡視船になるのか、私も軍事の専門家ではありませんけれど、米軍の艦船を配置するということも決めましたし、そういう意味で、オーストラリアのダーウインにも米軍が新しく海兵隊の配置を決めましたし、これは日本に限らず、日米を中心にしながら、監視の目、あるいは具体的な1つの抑止効果を高めていくという、そういうアクションをこれからさらに積み上げていくということになるのだろうと思いますね」
反町キャスター
「たとえば、安全保障上の緊張感が高まること。たとえば、南シナ海における海洋領有権の強引な主張を中国がしているんですよ。それに対して批判をするだけではなく、今、言われたみたいに、具体的な軍事力の緊張感を高めることによって、それに対峙しようとするまでの動き。ASEANの国々はそこまで望んでいます?」
西浜氏
「現状、ASEANが先ほど、山田先生もおっしゃっていましたけれども、1枚岩ではないというところに尽きるんだと思います。ここはASEANが、たとえば、経済の面で見ても、今年の末に共同体ができますと。6億人の新市場ができるみたいな見方をされるんですけれども、いや、それぞれの国は手を変え、品を変え、いろいろと入っていくには難しいですよということがある。ただし、トータルとして見れば、EPA(経済連携協定)みたいな形で6億人の市場ができるんですよというのは、ボヤッとした形ではあるんですけれども、それぞれの国の認識というところ、中国との関係性もそうですけれども、いろいろ濃淡がある。中国にある種、おんぶに抱っこでないと経済がやっていけないというのも、この中に多いということで、中国と確かに距離を持たないといけないけれど、そうは言っても、先ほど来、あるような領土の問題で、いろいろと対立するところがある。そこの間に濃淡がある。そこをどう調整をしていくのかというのが、実は共同体でありながら、ASEAN事務局というのは、実は強制力がないですね、これは。たとえば、EUであれば、EU本部に最終的に大統領がいたりして、何らかの命令をくだすことができますけれども、ASEANは、実はそういう機能を持っていません。これが先ほど来、申し上げている、あくまでも共同体と言いながら…」
反町キャスター
「全会一致でないと決められないのですか?」
西浜氏
「はっきり言って、最終的にそうなります」
反町キャスター
「僕は中国の肩を持つことはないですけれども、たとえば、中国の立場を代弁すると、南シナ海において最初に島を盗ったのはベトナムだと。最初に石油を採掘するプラットフォームをつくったのもベトナムだ。最初に滑走路をつくったのもベトナムだし、最初にミサイルを設置したのもベトナムだと。何で、ベトナムがやった時に、誰も文句を言わないで、我々がやり始めて、皆、言うんだと。ここの部分は何か説明つく部分はあるのですか?」
山田教授
「現在、ルールなくして、それぞれが手を入れてしまっている、それに対して安定をさせるための新しいルールづくり。そもそも海は誰のものかというところに戻っていかなければいけないということになるのですが、これが1つのヒントというのは、私は、海賊対策にあったと思います。海賊対策はアジア海賊対策地域協力協定というのがあるんですね。これは警察機構の連衡ですよ。実際に、まだインドネシアとマレーシアは参加をしていませんが、オブザーバーとして共同歩調をとっている。しかも、アジアの国だけではなく、アメリカも、イギリスも、オランダも、ノルウェーも海洋国は入って海の安全を守っていこう、海賊対策のためには協力をしていこう。情報共有センターがシンガポールにあるんです。これは、所長は日本人がやっていますが、国際条約を結んで、警備協力していきましょうということまで言ったんです。これを応用して、今度は海洋管理というものに環境問題、埋め立ての問題というのは単に領土の問題だけではなくて、海洋環境の破壊でもあるのだと。それはスプラトリーの中に当然、島をつくるということは、周辺国の海洋環境まで影響を与えることだと。当然、漁業にも影響を与えることだと。複合的に海洋管理していくことだという枠組みづくり。これを指導できる国がアジアにあるとしたら、日本だけです。しかも、南シナ海というは、日本の船が年間2万隻通る、非常に重要な航路であると。現在の安全保障法制議論の中で、この南シナ海は代替航路があるからと、それは大きな勘違いです」
反町キャスター
「今日、総理が似たようなことを話になっていませんでしたか?」
山田教授
「そうです」
秋葉議員
「今度は南シナ海。これまではホルムズ海峡だけ注目されてきました。それから、先生がおっしゃったように、南シナ海については迂回航路が確保できるという議論で明言してこなかったのですが、バイの貿易実績を見ても、まさに、ASEAN10か国というのは、日本にとって重要な経済の生命線と言ってもいいわけですね。ですから、我々の前庭は東シナ海かもしれませんけれど、この南シナ海の安定、安全を担保するというのは、我が国にとっても大変重要な課題ですね。これは、先ほど、反町さんがベトナムが(先に)全部始めたのではないかということを中国が言うといいましたけれども、レベルが違いますね、まず。現在中国が主張している、南シナ海で主張している、いわゆる九段線というのは、マレーシア、ベトナムの前沖まで線を引いちゃって、自分の領海だと言っているわけですね。ベトナムが掘削し、最初、埋め立てたと言っても本当にちょっとした規模ですよ。今回の中国は7か所ですよ。これだけの埋め立てというのは、埋め立て岩礁というか島ですよね。ですから、これまでとレベルが違うということですね。ですから、日本もASEANと共同歩調をあわせて、これにしっかりとした反論を示すということは、先ほど紹介しました。自由民主党としても、6月に決議案をとりまとめて、総理のところにもお持ちしたんですけれども、具体的にはフィリピンとの共同訓練も6月にやりましたけれども、さらに、日本政府としてこれまでも、たとえば、インドネシアに巡視船を3隻供与していますね。それから、今年はベトナムに6隻、この2月に2隻を供与して、夏にあと4隻追加します。さらに、フィリピンにも、これは新型の巡視船を10隻供与する予定にしていますので。ですから、日本がこういう形で、南シナ海における監視活動をしっかり充実させて、中国に対する抑止効果を高めていく。ある意味では、ホルムズ海峡に勝るとも劣らず、南シナ海に対する安全航路の確保というのは日本経済にとっては、私は死活的な問題であると思っているので、これは一歩も我々は下がるわけにはいかないと思っています」
秋元キャスター
「日本の万が一の備えというのは?」
山田教授
「まず石油のルートというのは、マラッカ海峡を越えて、シンガポール沖から入ってくる。またマレーシアのポートケランからの荷物も当然きます。シンガポールからもくる。ジャカルタからも入ってくる。当然、ベトナムのホーチミンからも。このエリアというのは非常に日本の経済にとって重要な、しかも、そこにまたアジア同士の経済交流というのも行われているわけですから、そうなってくると、ここの海域というのは日本の経済にとって非常に重要だ。先ほど出ましたマレーシアでは家電製品をたくさんつくっています。これを日本に運ぶのはこの海域で、代替する航路というのはほぼ考えられない。非常に重要な航路ですね。その中で1つ危惧されているのは、機雷処理の問題です。中国というのは、1つは台湾海峡封鎖のために5万発の機雷を持っていると言われていますが、この機雷が南に動いているという噂があると。これは米軍の方からもそういう話が入ってきていて、仮に米軍、あるいはベトナムなどが動き出した時に、自分達が埋め立てた島を死守するという時には機雷を敷設するというのも十分考えられる話になってきます。現在、中国の機雷の精度というのを考えた時の、浮遊機雷。南シナ海に流れてしまったらどうするのか。流れた機雷を処理する能力を持っているアジアの国は他にはありません。日本が処理するしかないとなると、南シナ海に日本の自衛隊が出て、掃海艇が出て行って、機雷の処理をするということも十分に考えられることだと思います」
反町キャスター
「山田さんの言う段階的なコミットメント論をどのように感じていますか?」
秋葉議員
「中国は、そもそもASEANの10か国と、2002年に合意しているんですね。このエリアについてはお互いにまだ解決していない問題ですので、これからしっかりと話しあおうということで合意をしているにもかかわらず、一方的に開発を進めているということはね、大きな問題だということですね。しかも、ASEAN諸国において、現状は中国の海南島あたりから軍用機が飛び立っていろんな活動をしているわけですけれども、事実上この7つの岩礁、完成をほぼしている岩礁もあるわけですけれど、そうすると、インド洋までわずか500kmしかないわけです。全てのアジアのエリアを給油なしでカバーできるという、このことが非常に日本にとっても脅威になってくるということですね。ですから、フィリピンをはじめ、いろんな国に巡視船を無償提供して、日本も一緒に監視活動を強化して、これ以上の埋め立てを行わせないようにしようという努力を現在しているわけです。重要なのはスピードと規模がもう容認できないレベルになっているということ。辺野古の問題以上ですよね、自然破壊という意味では。あそこは綺麗な珊瑚礁の海ですから、それを地下から全部土を吸い上げてやっているわけですし、これは本当に環境問題という観点からも、これはもうアジアのみならず、国際世論が1枚岩になって中国に対してしっかりとものを申していくべき大きな問題点だと思いますよ」
反町キャスター
「南シナ海における日本のプレゼンスを強く高めること、ないしはプレゼンスの可能性を高めることによって中国をある程度抑えこもうというお話だと聞こえるんですけれど、そこの部分、国内における安保法制に対する懸念論とか、慎重論を考えた時に、そのバランスというのが非常に難しいと思うんですよ。今回の安保法制というのはそれをやると決めるわけではなく、やれるようにするという法律ではないですか。やれるようにするという時に、やる側はやるかやらないかわからない、それが抑止だと言いますよ。反対する側から言えば、それをやるというところ、やるんだ、どんどんいくんだと、そこの懸念についてずっと議論が並行でここまで続いてきているわけですよ。その議論に現在のような話をしていくと、安保法制に慎重な側からすると、ほら、やるつもりでいるんだと。やるかやらないかわからないと言いながらやると言っているんだという、ここの議論に対しての説明、与党としてはどのようにしていきますか?」
秋葉議員
「いや、それはもうだって政治家に限らず政府は国民の生命財産に責任があるわけですから、不測の事態に常に備えるのは当然のことだと思うんです。ですから、そういう意味で本当にかつてなく南シナ海、東シナ海を巡る環境というのは激変をして、これまでは米国が1つのグリップをしていたわけですね。ところが、現在中国1か国になってしまった。ここにしっかり対峙をしていく。ですから、今回衆議院で安保法制が成立して、アジアの国も含めてですよ。ヨーロッパの新聞もアメリカの新聞も日本はよくいい法案をつくってくれたと、世界が絶賛したんですよ。反対したのは、中国と韓国の新聞だけです、とんでもない法案だと。つまり、ASEAN10か国を日本の現在国会で議論させていただいている安保法制は是非必要だ。これは中国のためにとは言いません、彼らも。しかし、このアジアの安定的な発展のために必要だという言い方で、ウェルカムしているというのは、そういうことではないのでしょうか」
秋元キャスター
「ASEAN加盟している10か国は、日本に何を望んでいるのですか?」
西浜氏
「仲裁的な役割を望んでいるということもあり得るのでしょうが、そもそもは失われた20年、日本は何していたんだと。ようやくアベノミクスで立ち直るという兆しが見えてきたと。そこでちゃんとしっかりした足取りをとって、ちゃんとアジアの大国としてきちんと経済面でも支えてくれよというのがASEANとしての望み。そうすれば当然中国と日本というのは対峙しながら、それはあくまでも正面でぶつかるという意味ではなく、経済の面でもASEANを引っ張る、ある種の段階になっていくところですね。彼らとしても望んでいるのだろうと私自身も考えています」
反町キャスター
「軍事的な安全保障上の緊張感の緩和と、経済的な日本の立ち直りを、要するに、各国にしてみたら経済的な中国に対する依存度を少しでも日本に散らしたいという想いもあると思うんです。そういう面における日本の台頭、安全保障上のバランサーとしての日本の台頭、その両方を望んでいると思うんですけれども、どちらの方を彼らは望んでいると見ていますか?」
西浜氏
「現状、中国に過度に依存していることを、彼らは非常にひやひやして…経済面がどちらかというと大きい」
反町キャスター
「つまり、経済的な依存度の強さが国としての安全保障上最大のリスクだというふうにASEAN各国は思っている国が多い?」
西浜氏
「そうですね。財布を握られているのに近いと言えるかと思います。財布はできれば分散したいというのが彼らのニーズになるんだと思います」

秋葉賢也 自由民主党外交部会長の提言:『成長のパートナー』
秋葉議員
「日本にとってアジアの地域というのはもはや援助の対象候補ではないと思うんですね。人材の育成やインフラの整備も含め、共に経済発展していく重要なパートナー。まさに、未来への投資。世界経済の中の中枢を担ってくエリアだと思っています」

山田吉彦 東海大学海洋学部教授の提言:『東アジア海洋管理機構創設』
山田教授
「海は誰のものか、それぞれの国が手を出してしまったところを紐解く時には、1度、国際機関を設置して共通の利益、それぞれの国がすべきこと、要望を確認しながら、現在、複合的にどうしても海洋安全保障と経済は一体ですし、さらに、その後ろには環境問題があって、漁業の問題があって、それぞれの紛争の問題を共通に話しあえる場をまず設置していかなければいけないと。10年かかっても、20年かかっても、しっかり一歩一歩前進していくということが必要です。海は誰のものかというところで共通の認識を持てる、国際法に基づいて海を管理していく流れを実質的に動かす機関が必要と考えています」

西浜徹 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『共通利益』
西浜氏
「経済的にまず利益がどうなのか、共通点を見いだしていく。これは外交努力、チャネルをきちんと開いていくということも必要ですし、おそらくこの安全保障に関しても、扉が常に開らかれている状態、常に話ができる状態だということを常につくる。その先に必ず共通利益を絶対に求めていくんだぞというのはそれぞれの認識をきちんと持っておくことが必要なのだろうと考えています」