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2015年7月20日(月)
結婚無理にせずが4割 原因は…制度か家族か

ゲスト

猪口邦子
自由民主党女性活躍推進本部長代行 参議院議員
大日向雅美
恵泉女学園大学院教授
森信茂樹
中央大学法科大学教授 東京財団定石研究員

税制&企業・社会支援策は
松村キャスター
「今月2日から政府税制調査会は、およそ20年ぶりとなる所得税の抜本改革の議論を始めているのですが、その前提となっているのが先月30日に閣議決定された『経済財政運営改革の基本方針2015』、いわゆる骨太の方針です。その中の税制構造改革という項目で、このように書いてあります。まず基本的考え方ですが、将来の成長の担い手である若い世代に光を当てることにより、経済成長の社会基盤を再構築する。改革の基本方針は、働き方、稼ぎ方への中立性・公平性の確保。女性の活躍推進。子供子育て支援の観点等を踏まえつつ、多様化する働き方等への中立性・公平性をより高めるため、早期に取り組む。低所得若年層・子育て世代の活力維持と、格差の固定化防止のための見直し。このようにあります。森信さん、なぜ税制の構造改革が必要になってきているのでしょうか?」
森信教授
「税制を考える時には標準世帯というものを念頭に置くんですね。これは夫婦2人モデルと言って、妻が専業主婦で、それから、子供は2人いると。これを常にモデルとして、この人達の、この家庭の税負担がどうなるかと。これが経済の成長を伴って、どうなるか、こうなるかということを常に考えながら税制改正を行ってきたわけですが、このモデルがまったくマジョリティではなくなった。従って、税制を考える、よって立つモデルが社会構造の変化の中で古臭くなったということだと思いますね」
反町キャスター
「それは子育て、共働きと専業主婦が、1990年代から逆転が起きている。この中で、現在、細かい法律の組み方、あとで聞きますけれど、考えるべきなのは、法律というか、税制や社会保障制度の多様化なのか。ないしは中庸で、バランスの取れた法律、法改正で一本化なのか。どういう方向性に向かっていくべきだと思いますか?」
森信教授
「税制としては、所得税をオーバーホールすると。最近の骨太にも書いてありますけどね。まさに方向も含め、その中でも若い世代、しかも、子育て世代。そこの負担を軽減するような形での、いろんな税制の手直しだと思いますね」
反町キャスター
「それは多様化になるのですか?それとも何か別の形?」
森信教授
「多様化というか、時代にあった形にするのだと思います」
反町キャスター
「それは、つまり、90年代以降、明らかに、逆転現象が出て来る中で、20年ぐらいですか、もう。これは、放置されてきたと見ればいいんですか。それとも、政府側がこの状況に関して、何か、元に戻るかもしれないと思って放っておいたのか。何を以って、この20年間は、時が過ぎてきたのか」
森信教授
「これは極めて、私は政治的な理由もあると思います。つまり、この10年間、もっと長いかもしれませんが、財務省が消費税率の引き上げ。これをプライオリティ、No.1としてずっと作業をしてきたわけです。それでご承知のように一応、消費税については、8%の引き上げが終わり、10%が一応条件なしに2013年から始まるということで、敢えて言えば、一段落した状況になるんですね。そこで、今度は消費税ではなく、本来、だから、膿が溜まってきている。所得税改革について手直しをする余裕が出てきた、あるいは必要がより生じてきたことだと思います」

所得税改革の必要性
反町キャスター
「猪口さん、子育て世帯の話は、時代の変化にどうも政治の方の対応が後手後手にまわってきているのではないかという話ですが、どのように感じますか?」
猪口議員
「私は、2つの理由があると思うんですね。まず何となく、男性が主たる家計の担い手であって、奥様はちょっと補助的に働く。こういう、標準世帯のイメージですか。これが何となく心地よく続いてしまったということで20年、直さなきゃ、直さなきゃと思っていたかもしれないけれども、そういうことで来てしまったと。それから、もう1つは、それでは女性も本格的に働きますという時に、子育て支援が追いついていなかったので、現実にどうなのかというのがあったと思います。ここに来てチェンジです。まず4月1日から、子ども、子育て支援制度、ついに発足。消費税は10%にはならなかったけれども、しかし、財源は全面的に確保をして、できました。これが順々に実現してきますとかなり子育て支援が、社会の中に充実しますので、多くの女性がフルタイムに近い形で働くことが実際に可能になります。そうしますと、この103万円の壁、130万円の壁ということで、配偶者控除を気にしながら、それを超えて働いてはいけないというような、そういう悩みを抱えなくても良い税制ということを希求する、現在そのタイミングになったと思います。家族は現在、多様化してきていますので、そういう意味で、標準世帯のイメージも、心地よかったのかもしれないけれども、ここに来て、女性もフルに近い形で働かなければならないという場面も多いし労働意欲も減少している中、女性の成長力の担い手としての役割だって期待されているし、いろいろな意味で社会が変わってきて、ようやく、ここで配偶者控除。これを見直しましょうねという流れが出てきたんじゃないでしょうか」

配偶者控除 見直し
松村キャスター
「配偶者控除ですが、どのようなものなのか。見ていきたいと思います。夫が会社員で、妻がパートで仕事をしている場合、妻の収入が103万円以下の場合ですが、配偶者控除として夫の給与収入から38万円を控除。課税ベースが減る分、夫にかかる所得税が安くなります。妻の収入が103万円を超えて141万円未満の場合。収入が増えるごとに徐々に控除額が下がっていく配偶者特別控除。これが適用されます。141万円以上の場合には、配偶者に関する控除はありません。森信さん、この配偶者控除の適用が、よく103万円の壁と言われますけれども、なぜ103万円なのでしょうか?」
森信教授
「これは給与所得者の場合は、65万円までは給与所得を得ても課税をしないと。最低限、最低保障と呼んでいますが、まずそれがあります。それから、人間は、憲法からくるのかもしれませんが、基本的に38万円までは、国家は課税をしないという、基礎控除というのがあるわけですね。65万円と38万円を足すと103万円になるんです。従って、この103万円というところが、1つの区切りになるということですね」
反町キャスター
「森信さん、もう1つの130万円の壁というのもありますね。よく103万円の壁、130万円の壁、どういう壁なのか、説明いただけますか?」
森信教授
「まず103万円というのは、先ほど、松村さんが説明されたように、この103万円というのが、配偶者控除と基礎控除の合計額ですね。配偶者特別控除が実は103万円を超えても、税制上は家計の所得の手取りが逆転しないようにつくられたものです。妻の所得が増えていけば、夫の方の控除が減っていくという形で、逆転現象が起きないようにしているんですね。それで、一応ここで言いたいのは、税制上は逆転現象が実は起きないようになっているんです。だけど、現実は103万円で、皆さん、パートで、そこで就労をやめているんですね。それはなぜかと言うと、あとで出てくると思いますが、これは税制の壁というよりも実はもっと違う要因。民間の要因が大きいですね」
反町キャスター
「働き損になるということですか?下世話な言い方をすると…。103万円以上は稼いでも結局、税だ、何だで持っていかれるので、働き損になってしまう?」
森信教授
「だから、税制上はそうならないようになっています。働き損にはならない。だから、それは多くの企業、たとえば、フジテレビもそうだと思いますが、この103万円を目指してというか、ここを境にして、たとえば、配偶者手当、扶養手当とか、いろんな手当の呼び方がありますが、たとえば、1人一家庭2万円とか、そういう民間の会社は手当を出しているんですよ。実は、公務員も手当を出しているんですけれども、公務員は実は130万円を超えると、手当てをやめるようになっているんです。だけど、多くの企業は、103万円という、たまたま配偶者控除の、ここは便利だというので、それを条件にして出しているわけです。そうすると奥様のパートの収入が103万円を超えると税制上は逆転しないのですが、その2万円がなくなる。2万円は大きいです。毎月2万円ですから。年間24万円。これがなくなるから、そうすると逆転現象が起きるんですね。だから、この問題を考える時は税制の問題もありますが、だけではなく、民間の企業もあわせて考えていく、企業が手をあげているものもあわせて考えていかないといけないということ。それから、もう1つは、130万円。これはややこしいのですが、税制ではなく、いわゆる年金ですね。130万円を超えて女性の方が働くということになりますと、今度は厚生年金の保険の加入の義務が生じるんですね。そうすると、これは保険料を払うわけですから将来、返ってくるんです、実は。保険ですから。返ってくるんだけれども、なかなか将来の1万円よりは、現在の2万円の方が大事ですから、そういうことで、この130万円が1つの壁になっていると。また、130万円の壁がややこしいのは、130万円を超えると企業の方も厚生年金ですから、半分は企業も負担しているわけですね。そうすると、企業の方からしても130万円を超えると自分達の負担も増えるよねというような意識があるわけなんです」
反町キャスター
「大日向さんいかがですか?この103万円の壁。130万円の壁。現場の主婦の皆さんも、そこは強く意識されていますか?」
大日向教授
「子育てが一段落して、もう1回働こうという再就職の主婦の方々は、130万円のあたりで働く時間を調整するわけですね。そうしますと雇う側も人手が足りなくて、働いていただきたい時に、今月はちょっと働き過ぎたからやめますというと、女性は当てにならないということになってくる。ここは改善をしないといけないですが、ただ、私は、この扶養控除というのは1960年代に専業主婦の内助の功を評価するということで始まった。当時はファイアーウォールだと思うんです。守る壁。同じ壁と言っても女性を守る。ところが、現在は皆さんおっしゃるように時代が変わってくると壁は乗り越えていかなければならなくなってきたわけですね。でも、果たして乗り越えられるだろうか。現在の状況で、たとえば、専業主婦と言っても、住む地域によって大都会だったら就職口がいっぱいあるわけです。でも、地方に行くと、働きたくても働き口がなかなかない。あるいは姑さんがいて、こんなに小さな子供がいて働くのと、そういうことがあったりする。子育て支援も十分ではない。さらには、企業はこれまで女性の労働力を基幹労働力として使う気持ちが本当はあったのだろうかと。景気の調整弁で使うとか、負担の軽減をはかってきた。こういうことも諸々、子育て支援とか、企業の本当に本気で女性を使うかというところを踏台としなければ、女性はこの壁を乗り越えられない。簡単に、壁を廃止していいということだけではないと思います。もちろん、時代の趨勢として、私は廃止の方向だと思うんですよ。だけど、必ずしも一緒くたに、女性、専業主婦を守るとは言い切れない、いくつかの条件整備を整えて、車の両輪と(同じように)一緒にしてやってほしいなと思います」
松村キャスター
「先ほどの配偶者控除の話ですけれども、森信さん、具体的にどのようにすべきというのは?」
森信教授
「政府税制調査会では、昨年の年末に3つの案が出ているんですけど、これは全部説明すると時間がないなので、私は、望ましいと思っている案は、まず配偶者控除というものはすっぱりやめてしまうと。50年経って、先ほどから内助の功という言葉が出ていましたが、現在の若い人が、内助の功をほとんど知らないです。意味を知らないですよ。それが専業主婦だけではなくて、内助の功で共稼ぎ世帯もあるわけですよ。だから、それを優遇するということをしていた配偶者控除はとにかくやめてしまうと。しかし、それに取り組むのではなくて、今度は結婚をすれば、女性の方の収入、所得にかかわらず、結婚をしたということで、夫婦というものが形成された段階で、新たな控除を与えると。夫婦控除と呼ばれています。こういうものをつくれば、つまり、結婚をすれば、夫婦控除が貰えるので、少し税負担が安くなる」
反町キャスター
「共働きであろうと、専業であろうと、夫婦控除?」
森信教授
「そうです。それでもちろん、所得制限をしていけば、特に若い結婚したての世帯にとってはプラスになると。もう1つは、税制調査会では言われていないのですが、私が主張していることは、それを所得控除にするのではなくて、税額控除にしてはどうかと」
反町キャスター
「その違いは何ですか?」
森信教授
「たとえば、38万円の控除を考えますと、限界適用税率です。お金持ちで5割の人がいるとします。50%。そうすると38万円の所得控除は19万円の減税になるんですね。ところが、多くの方はだいたい所得税が5%ぐらいの適用税率です。そうすると、38万円かける5%で、1万9000円ですか。それしか減税にならないです。それを、所得控除をやめて、たとえば、一律1万5000円、あるいは2万円と税額控除化していくと。どんな所得の方も…」
反町キャスター
「低所得者に厚い夫婦控除になる?」
森信教授
「はい」
猪口議員
「魅力的ではあると思います。他にもいくつかの案がありますけれども、夫婦控除。配偶者控除を廃止すると日本の家族がどうなるのですかという質問をよく受けますので、いや、夫婦控除という考え方がありますと切り返すこともできますし、税額控除でやれば、低所得者の層に重点的に優遇が効くということは、低所得、あるいは多子世帯、あるいは一人親世帯。こういったところを今後どう重点化できるかというのが実際の給付のポイントになります。あるいは税制のポイントになりますし、その流れの中にある議論だと思っています」
大日向教授
「配偶者控除よりは一歩進んだ考え方だと思うんですよ。でも、配偶者控除から夫婦控除になるという時に、どういう家族を単位で考えているのかなというのが疑問ですね。家族は非常に多様化している。ですから、1人親家庭に対するいろんな施策というのは、父子家庭にも支援が出てきているようになったんだけれども、依然として、子供を持つことに関しては、法律的な父母の婚姻環境や家族関係というものを前提としているのではないかと思うんですね。そうしますと夫婦単位よりも、もっとさらに進んだ個人単位でできないだろうかと。基礎控除も、個人の単位を上げることによって、基礎控除が財務省はどう言うかわかりませんけれども、基礎控除を上げることによって、低所得の方々の支援もできるだろうと。さらには多様な家族、これだけ多様化しているわけですよ。デキ婚とか、授かり婚と言って妊娠期間の方が実際の結婚の期間よりも長いと。そういう場合にもし1人親になった場合にどうなるのだろうかと考えた時にも、夫婦控除よりは、もう少し家族というものを、多様な家族を考えた控除というのを考えていただけないかという、今のお話を伺っていて思いました」
森信教授
「それは、私もおっしゃることはよくわかります。ただ、税法というのは民法を前提にしているんです。ただ、民法の家族法、ここが変わらなければ、税法だけが先に進むということはなかなか難しいと思うんですね」

配偶者手当 見直し
松村キャスター
「配偶者手当も、配偶者控除と同じ金額に設定している企業が多いですけれども…」
森信教授
「これが先ほどから言っている、要するに、企業が配偶者手当というものを配っている。その時にメルクマールにするのが、この配偶者控除103万円であるということですね。企業も何かどこかで切らないといけませんから。それを借りてきている。だから、その配偶者控除がなくなれば、企業が、頼りにしているメルクマールがなくなりますから、何らかの形で制度は変えないといけないとなるわけですね」
反町キャスター
「この企業や団体がやっている配偶者手当というのは、女性の社会進出を妨げる障害になっているのですか?」
大日向教授
「こういう議論を女性の社会進出とすぐに結びつけて議論することの無理というのをずっと感じていました。社会進出なんて言うと、ずっと昔から、第一次産業の時、農業の時も一生懸命働いていたではないですか。高度経済成長になると内助の功と言って今度は家庭を支えてきた。今度、少子高齢化になると女性の活躍促進といろいろ言われているけれど、そもそも女性は経済をずっと支えてきたのだということをまず前提に考えてほしいと思います。そのうえで森信先生がおっしゃるように、配偶者手当と配偶者控除というのをセットでこの矛盾点というのを乗り越えていくことは必要だと思います。これがなくなることが即女性の社会進出ということにならない。むしろ生活苦になる層もあると思うんですよ。そこをどう手当していくか。ちゃんとキチッと女性を働かせてくれている、きちんと働かせてくれたうえだったら、こういうのをなくしてもいいけれども、十分に働かせないで景気の調整弁として、こういうのだけどんどん梯子を下ろすということであると、これでは子どもも生めません。結婚もできません。ますます少子化に拍車がかかるということを心配しています」
猪口議員
「この配偶者手当、企業は国の制度を前提に支給してくれてきたと思います。一定の役割が歴史的にもキチッとあって、重要なものだと思いますけれども、現在やはり大きな問題は子育ての困難性ということがある。子どもを持つ家庭、低所得で子どもを持っている家庭、一人親で子どもを持っている家庭、あるいは一定の所得があっても、多子世帯。こういうところに重点的に何らかの焦点を当てた給付に切り替えていくということを民間企業でこのような手当を出せるという場合には、お願いしていく必要があると思うんですよね。でも、国としてそういう自らの税制や社会保障給付をそういう方向に持っていけば、民間企業もそうしてくれるだろうと。ですから、配偶者手当ではなくて、何らかの子どもに対する給付、そういうものを民間企業も上乗せしてやってくれればというふうに思うんです。それから、大日向先生おっしゃるとおり、女性の雇用ということ、それから女性の賃金水準。これがどうなのかということですね。最近の男女共同参画白書を見ますと、東京圏に男性よりも女性が大量に流入している。それの理由は、結局その他の地域ではなかなか女性の雇用がない、少ない。あったとしても東京圏よりは所得水準が低い。こういう問題が幅広く見られると思いますので、男女の賃金格差、そういうことも非常に大きいので、今後、女性の雇用と所得水準を、本格的にもう少しレベルアップしていく。子育て支援も多様なニーズに重点化していく。とりわけ育児休業は1年及び1年を越えて法律的に取得できますので、そういうことを確実に取得できるように。また、男性もそのようなニーズがあれば取得できますので、そういうことを推進することによって、子どもを育てやすい環境、仕事と両立しやすい環境というのをつくっていくと。そういうことの努力をしているところに配偶者手当ではなく、子どもに対する手当を給付していくというのはいかがでしょうか?民間企業もそうやってくれれば、子どもを育てている家庭の苦労が少しは軽減されるし、また、若い世代は勇気づけられるのではないかと思います」
反町キャスター
「子どもがいない独身者が1番割を食う社会構造を目指していく?」
森信教授
「うん、結局、税制改革と言うのはどこかに負担がかかる。単身者はどちらかと言えば、割を食うというのは事実だと思います。しかし、世の中で1番求められているのは少子化対策」

トヨタ自動車 配偶者手当廃止&子ども手当拡充へ
松村キャスター
「トヨタ自動車が配偶者手当を廃止し、子ども手当てを充実させる制度を検討していているということですが」
森信教授
「配偶者控除を、要するに、やめて、その財源を子どもにまわすという企業版です。非常にびっくりしました。というかさすがはトヨタだなと。経済財政諮問会議の議論を前どりするような、さすがだなと私は思いましたね」
猪口議員
「時代が変わってきたということですよね。だから、配偶者手当が大事だった時代もあるし、奥さん、苦労があるでしょうということですよね」
森信教授
「損得論が生じますよ。だけど、これが究極の構造改革だと思うんですよね」
反町キャスター
「子ども手当ての2万円、効果あるか、ないしはその相場感として5000円を4倍にし、1人2万円で、その代わり配偶者手当ゼロというここの部分をどう感じますか?」
大日向教授
「まず配偶者手当を廃止するのは時代の趨勢だということには賛成します。その分、子どもの方にというのも私はいいと思いますよ。原則いいと思う。だけど、中立の企業版のところはよくわかる。でも、何かちょっと市民感覚と言って複雑な思いもあるわけですよ。たとえば、トヨタのような大手の優良企業に勤めれば、3人、生みたかったら生めるわけですよね。6万円が入るわけでしょう。そうすると3人生めて、生んだ子ども達に対しても十分な教育、子育てができる。でも、民間の中小企業の、もっと零細だったら、昔、貧乏人の子だくさんということがあったけれど、子どもが生めなくなる。ほしくても。その社会的な格差を、これは企業の問題だから、とやかく言うのではないですけれども、社会全体でどうやって補完していくかということを、子どもの格差、貧困格差がこれだけ深刻な問題となっている時に、この問題はこの問題、税制の問題でいいでしょう。でも、一方でトヨタはいいですよねではすまない。社会全体で、先生が先ほどおっしゃっているような子どもに対する支援のお金を確保して、どんな家庭の子どもでも、良質な発達環境を整えていくと。あとの子ども、子育て支援新制度の話に移っていく。それに、ずっと関わってきた者としては、ちょっと複雑な思いも、税制の話をやっているんだと分かりつつ、一方では…」
反町キャスター
「足りない分を埋めるための政策を国がやってくださいねという、そういう意味で言っている?」
大日向教授
「国です」

4月スタートの“少子化対策”“子ども・子育て支援新制度”
松村キャスター
「大日向さんは、子ども・子育て支援新制度に関わってきたわけですが、十二分に稼動させるには、今後どのような課題があると思いますか?」
大日向教授
「新制度がスタートしてみたら、いざ蓋を開けてみたら、待機児問題が噴出してしまって、たとえば、所沢の…育児休業中に上の子は退園させてください。ああいう問題が起きてしまうわけです。なぜああいう問題が起きているかというと、潜在需要は、待機児対策、政府も一生懸命にやってくださっているのですが、追いつかないわけです。保育園をつくれば、つくるほど潜在需要で、当然現在の時代、女性は働きたいと出てくるわけですよね。イタチゴッコみたいになってくる。それに対してどうやってきめ細やかに多様なニーズに応えていくかという時に、財源確保が1つ必要です。同時に限られた財源の中で、工夫、智恵を働かせながら、どれだけ自治体がやる気とセンス、覚悟を見せることができるのか。所沢の問題は、随分努力はされたと思うんです、待機児対策に。保育園をつくった。でも、足りなかった。足りなかったら足りないなりに、たとえば、親のニーズをもっときめ細やかに聞いて、潜在需要と言っても、待機児と言っても、実はフルタイムで9時-5時預けたい親ばかりではないかもしれない。もっと短い時間でいいかもしれない。あるいは箱モノでつくるのではなく、小規模保育とか、稼働率の高い家庭的保育になっていこうとか。現在は無理でもこれだけあと半年待ってください。そうするとこれだけ整備しますというようなロードマップをつくったりして、市民と行政が一緒に議論するような姿勢が本当は必要だった。ですから、もちろん、財源は必要です。財源は足りないです。消費税が10%に上がってもまだ足りない。どこからか3000億円、4000億円持ってこないと足りない。でも、財源には限りがある。そうすると限られた財源の中で市民と行政がどれだけ工夫をしながら、地域の活性化をはかっていくかということも大事で。その自治体のやる気と覚悟とセンスというものが問われていく」

猪口邦子 自由民主党女性活躍推進本部長代行の提言:『給付型奨学金の公的制度』
猪口議員
「給付型奨学金の公的制度を我が国で樹立するということであります。経済的な負担が非常に大きい。経済的にやっていけるかという、不安があることがアンケートでも明らかになりました。少子化対策として、家庭の経済的な教育費の負担を少しでも軽減するということです。我が国には貸与の奨学金はありますけれど、給付型の公的な制度。高等学校までは、ある種の形が樹立できましたけど、さらなる進学を希望するお子さん達に、この制度があれば、格差の循環であるとか、再生産であるとか、そういうことも断ち切れるのではないかと思います。私は、待機児童ゼロのために少子化大臣を務めて以来、この9年間ずっと努力してきましたけれども、次に、私が目指したいゼロというのがあります。それは我が国において学業、経済的理由で諦める子どものゼロ社会というもので、経済的理由で、学校を辞めるということがないように、給付型の奨学金の公的制度、このような制度がない先進国は日本だけですので、是非政治の責任でこれを樹立していきたいと思っています」

大日向雅美 恵泉女学園大学院教授の提言:『女性に真の自立と選択肢を』
大日向教授
「女性の生き方がいろいろ言われています。かつては内助の功と言われて、家庭に入ることを美化されました。現在少子高齢の時代に労働力が当然求められています。今度は女性の活躍促進と言われています。その根底にその時々の経済的要因があることを女性自身もきちんと見分けて、美辞麗句に踊らされずに、しっかりと自分の生き方を見極めること。そのために、本当の選択肢を勝ち得た時、人々は喜びをもって家族、あるいは子育てを享受できるのではないかと思います。本当の女性の自立、そのための真の選択肢を社会がきちんと用意することが必要だと思います」

森信茂樹 中央大学法科大学教授の提言:『国・企業・家庭が一体で』
森信教授
「私は少子化対策というのは、国と企業、それから家庭です。この3つが三位一体となって行わなければ、国任せでもダメ、それから、企業任せもダメ、家庭も含めて、やっていくことが必要だと思っています」