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2015年7月13日(月)
世界経済に2つの台風 中国とギリシャの進路

ゲスト

浜矩子
同志社大学大学院教授
柯隆
富士通総研主席研究員
松沢中
野村証券チーフ金利ストラテジスト

ギリシャ債権危機 ユーロ圏首脳会議での結果は
秋元キャスター
「昨日から今日にかけて行われたユーロ圏首脳会合で、2日間、協議が行われ、先ほど、日本時間の夕方ですけれども、ギリシャへの支援再開に向けた協議開始が全会一致で合意に至ったということですが、これまでのギリシャに関する動きを見ていきたいと思います。まず6月30日、ギリシャからIMF(国際通貨基金)への15億ユーロ、日本円でおよそ2100億円の債務の返済ができず、ギリシャが先進国として初めて延滞国になりました。7月5日、ギリシャ国民投票が行われたんですけれども、緊縮策は反対多数で否決されています。9日、ギリシャが増税や年金削減等を柱とする財政改革案をEUに提出しました。12日、昨日から今日にかけてユーロ圏首脳会議が行われ、その中で、ギリシャへの支援再開に向けた協議開始に合意をしたということですけれども、9日に出されましたギリシャの財政改革案の中身をちょっと見ていきたいと思うのですが、主な内容としては、付加価値税を23%に引き上げるとか、国防費の上限を削減するとか、法人税を引き上げる。年金支出削減などが盛り込まれているんですけれども、これに対してユーロ圏首脳会議では話し合われたポイント、提示された条件については、ギリシャへの金融支援の検討。これは、規模は3年間で820~860億ユーロ。最大で約11兆7000億円にものぼるということです。先ほど、説明しましたギリシャの財政改革案。付加価値税増税ですとか、年金改革などの措置を、15日までにギリシャが法制化することを条件としています。EU側はその法制化を確認したあとに、大規模な支援融資実施に向けて協議に入るということですけど、浜さん、11日の財務相会合から含めると3日にも及んだというので、ギリシャ債務問題に対する会合はかなり揉めましたけれども、どう見ていますか?」
浜教授
「どう見るも、こう見るもという感じですよね。何をやっておるのかと。要は、ギリシャから出てきた新しい改革案というのは、ギリシャの中で、国民投票で否決されたEU側から提示してきたものをほんのちょっとずつ軽減しているとは言え、骨格についてはほとんど全面的に受け入れているという話ですよね。その見返りとして、債務の減免というようなものを、もしかしたら取りつけるという話になっていくかもしれませんし、大きな金融支援を獲得したというので、チプラスさんは胸を張るつもりなのかもしれませんけれども、それで現在ギリシャ国民の上にのしかかっている重圧がなくなるというわけではないですよね。今回、本当に以前、嫌だと言っていたものを、やりますと言って、本当にやる気?というので、はやくこの法律を通せと言われているわけではないですか。だから、一段とギリシャを見る目というのは厳しくなっていくでしょう。メルケルさんは、かつてギリシャの財政は欧州委員会に任せてくれということを言っていたこともあったと思うので、さらに締めつけが厳しくなる可能性があります。だから、ギリシャ国民も随分、これで小突きまわされたので、元気がなくなっていますけれど、それなりに元気があれば、彼らは革命を起こすのではないかなという、そんな感じさえ持ってしまいますね」
反町キャスター
「革命というのは、つまり、国民投票でチプラスさんが緊縮にノーと言えとあれだけ言って、61%の人が反対した。その61%のエネルギーというのが革命に至るという、そういう意味ですよね?」
浜教授
「そういうことですね」
反町キャスター
「つまり、政権打倒という意味ですよね?」
浜教授
「裏切られた感が非常に強いと。だから、政権打倒でもありますし、少なくともユーロ圏に対して明確に反旗を翻すというようなことになっても全然おかしくはないし、いろんな波紋が出てくるし、当然、これは同じような形で問題を先延ばししながら、どんどんこの波紋を大きくしているという感じだと思います。私が心配しているのは、これでユーロ圏の中、あるいはユーロ圏に入っていなくても統合の中で小さい国、東ヨーロッパ系の小国達はすごく不満を鬱積させると思うんですね。つまり、自分達はそもそも統合に入るため、ユーロ圏に入っているところは(ユーロ圏に)入るために、相当にがんばって、経済改革をやった。緊縮もやったと。ハードルを超えてきたわけですね。下手をすれば、そういう苦労をした彼らが今回、これでまた合意をすれば、ギリシャを助けるために自分達が金を出さなければいけないことになるわけです。こんなの絶対にフェアではないのではないかというので、ぎりぎりと不満を鬱積させていくわけです。そうすると、ギリシャ問題は何とか抑えたと言っても、今度はそちらの方から亀裂が生じてくると。統合の求心力に、ということですね。そういう方向に向かう、今回の合意で実は道を開けてしまったという面があると思いますね」
反町キャスター
「道を開けたというのは破滅への道が開いたと。そういう意味で言っているのですか?」
浜教授
「そうですね。ギリシャという傷は何とか縫合したと。必死になって。だけど、そのことをしたことによって他のところに、いろいろなどんどん亀裂が生じてくるという展開になる恐れが非常に大きいと思いますね。だから、とりあえずこの難関を乗り切ったつもりでいながら、別の、もう1つの難関をつくる。もう1つの別の墓穴を掘ってしまったということになる恐れがすごくあると思いますね」

ギリシャ危機・支援問題で合意 ユーロ圏内への影響は
反町キャスター
「松沢さん、浜さんの指摘されているヨーロッパ、EU加盟国、ないしはユーロ加盟国の他のもっと弱小な国々が、他の国々から見た時に今回のギリシャに対するEU、ないしはユーロ圏の妥協と言うのか、ある意味、厚遇というか、それが他の国々から見た時にどう見えるのか。そこはどう感じていますか?」
松沢氏
「相当不満を抱えていると思います。ですから、今回、EUはおそらく債務の減免とは言っても数字上、債務をおとすことは絶対にしないと思います。できるだけ先延ばしはする。ただし、減免はしないという形で、できるだけ表面に厚遇が見えないような形でやっていくと思います。ただ、それでも実質上、債務を減免しているわけですから、おそらく、こういった国がこれから不満を募らせていくというのはその通りだと思います」
反町キャスター
「それが先ほど、浜さんが言われた通り、最終的に将来的なユーロ圏の遠心力になるかどうか。そこはどうですか?」
松沢氏
「私は正直、ギリシャは9割公的に債務を抱えてしまった国なので、ある意味、倒産企業であって公的管理下に入りますから。ここをこれから切り離すというのはあまりにももったいないというか…」
反町キャスター
「もったいないというのはどういうことですか?」
松沢氏
「要するに、既に9割、EUの中で債務を抱えてしまったんです。ですから、ここを切り離すことによって、その通貨を崩壊させるというのはあまりにもそのコストの方が大きいと。だったら、この国は債務の繰り延べをしながら、ある意味、支えていけばいいのではないかと思うのですが、これが次の景気の後退局面でイタリア、スペインが真似をしようとした時に、これはとても規模が、数字が違いますが、これはたぶん支え切れなくなってくる可能性はあると思いますね」
反町キャスター
「その時が、本当にユーロの危機になると、そういう意味で言っているのですか?」
松沢氏
「私はそう思っています」
反町キャスター
「その可能性についてはどのように見ていますか?先ほど、景気後退期に入った時が危ないと言っていましたけれども、それは具体的にどんなイメージを現在、持っているのですか?」
松沢氏
「現在の時点ですと、ユーロ圏がこのあと数年与えられた猶予期間の間に、経済が十分に立ち直って、ユーロがきちんと維持できるほどの経済力がイタリア、スペインにもついていると。ちょっと考えにくいんですね。しかも、最終的にはドイツという一強国が何らかの形で財政支援をそれ以外のユーロ圏の中に振り撒いて、要するに、東京の稼ぎを地方交付税で渡すのと一緒です。その形を、何らかのルートを通じてとっていかないと、おそらくユーロ圏の格差というのはこれからも縮まらない、どんどん開いていくと。追っつけ景気後退の局面において、それが顕在化していく可能性が非常に高いと思っています」
反町キャスター
「ユーロ圏の所得の再分配と言うのか、高額所得者から所得税をガバッと取ってそれを分配するみたいな、そういう制度というのは現在きちんと機能していないという意味で言っていますか?」
松沢氏
「もともと今回のユーロ圏の通貨は、金融面での統合であって、政治面での統合ではまったくないので、そこにドイツが財政支援をする根拠も、メリットもあまりないということですね。ただ、事実上、そちらの方にもっていかないと解決しないと思います」
秋元キャスター
「逆に言うと、そこまでしてでもドイツにとってEUというものを維持した方がいいということなのですか?」
松沢氏
「おそらくそうだと。政治としてドイツ小国では十分に、米国、中国というものに対抗しきれないと。ユーロ圏という経済規模を持った国として運営をしていかなければいけないということがあるのだと思います」

EUの存在意義は
反町キャスター
「浜さん、ドイツはそこまでのメリットを享受していて、他の国々に金を撒いてでもユーロを維持するだけの気持ちになっているのかどうか。どう見ていますか?」
浜教授
「次第、次第に、全然なっていない状態にきていると思います。もともとマルクではなくユーロであるということによって、そんなに大きなメリットを得ているかどうかということは疑問なところがあります。そこはあまり立ち入っていくと長くなりますから、それはそれほどユーロにしがみつかなければいけないという状況に、決してドイツはないと思います。むしろ彼らから見れば、有象無象の面倒を見るために、勤勉なるドイツ人達がどうしてずっと金を、打ち出の小槌を振り続けなければいけないのかということに対する、この憤懣は相当のところまで来ていると思います。そのコストを払ってでもドイツは忠実なる統合欧州の一員と見せ続けるということをどこまでやらなければいけないのかという、相当な限界にきていると思いますね。だから、メルケルさんの本音とすれば、自分がその引き金を引くのではなくて、たとえば、ギリシャがきっかけになるとか、イギリスがEUから出ていくきっかけになるとか、そういうことでEUというものがいわばなくなると。自分の責任においてではなく消滅してくれると、これが彼女にとっては1番良いシナリオだと思います。本音中の本音では、これは支え切れないと思っているが、自分がそれを口に出すわけにはいかないので、どこか別のところから崩れてくれればラッキーだという、そういう感覚で彼女は現在いるのだろうと思います」
反町キャスター
「それは未だに第二次世界大戦におけるドイツの責任みたいなものが、議論のベースにあって、お前はあれだけの戦争を起こした国だろうと。統合欧州を支える国だろうと。そういう周囲からの目。そういうものを背負っているからこそ、それが自分達から言えないと、そういう感覚ですか?」
浜教授
「はい。それはすごく大きいと思います。殊の外、現在、彼女が背負っているのは西ドイツではなくて、統一ドイツで、東ドイツを入れ込んでしまいましたから、それで、東の方には間口が開いたという感じになっているわけですよね。それを使って、東の方に広がる大ドイツ共栄圏を目指すのではないのかというような想いを、ドイツ周辺の小国をはじめ、いろんな国々が折に触れて、それを思うわけですよ。そういう感受性の中に自分は身を置いていることも百も承知ですから。そういう状況の中で疑われないために、どういうふうに身を処すかと。これは本当に戦後のドイツが殊の外、統一ドイツになってから、神経質に考えていることですね。だから、1回謝ればいいとか、10回謝ればいいとかいう話ではない。そこのところと、とてもではないけれど、そんなの支え切れないという思いとの板挟み。その綱引きの中で股裂きになっているんですよね」

中国・上海株乱高下 その要因は?
秋元キャスター
「もう1つ、マーケットへの影響が気になるのが中国上海総合指数の下落についてですけれども、現在の中国市場は、先日の急落より多少持ち直していまして、3790ポイントと回復しています。この株価の動きについて流れを見てみたいのですが、中国の株価が動き始めたのが、昨年の11月です。中国人民銀行が2年4か月ぶりに利上げに踏み切ったあとということですけれども、今年3月に入って、急激に値を上げています。以後、今年の6月までグーンと上昇していて、株価は1年前のおよそ2.5倍に跳ね上がりました。6月中旬から急落していきます。総合株価指数は3週間で3割下落しました。柯さん、この株の動き、特に3月からの急激な上昇と先月中頃からの急落。この背景をどう見ていますか?」
柯氏
「なぜ株価が上がったかをまず申し上げておくと、中国の株式市場の相場というのは妙なことに不動産とは逆の相関関係にありまして、不動産が上がる時、株価が下がって、不動産が下がる時に株価が上がるということがありまして、なぜかと言うと、中国の貯蓄率というのはGDP比で30%を少し超えていまして、彼らが運用するわけです。1年前までは皆、不動産にいっていました。株に投資をしないと。もう少し話を振り返ると、7年前に1度上がったわけですけれども、ストンとやられたわけですので、中国人はまだ覚えているというのはありまして、痛みを忘れていないので、そうすると不動産に。だけど、昨年の、要するに、現在から1年前に政府が不動産バブルを警戒していて、コントロールを始めたので、それで不動産価格はこれ以上、上がらないだろうと。皆、わかっているところで、今度は一斉に株式市場にお金をシフトしたわけです。きっかけをつくったのは人民日報。その時から何回も社説を出して、株式市場がこれから活性化するぞ、株価がもっと上がるぞと。株価が上がり始めたばかりだということできっかけをつくったわけです。なぜこのきっかけをつくったのかというと、すなわち不動産バブルの時に、シャドーバンキングをやっていたファンド、金融機関、それから、地方政府の投資会社。随分そこで大きな含み損を抱えてしまって、それを償却する原資が現在、見つからないわけですよ。本来ならば、財政資金でカバーしてあげればいいのだけれども、4兆元、胡錦濤時代に使っちゃったわけですから、そうすると唯一の方法というのは、株式市場で上げておいて、そこで稼ぐわけですけれども、出てきた利益を、含み損を償却していくという、とてもうまいシナリオを書いていまして、そのヒントがどこから来ているのかというと、私は冷静に見て、どうもアベノミクスからヒントを得ているような感じであって、そのうち無理に金融緩和をして、無理に誘導して株価を上げておいて…。ただ、アベノミクスは、いわゆる第2、第3の矢でキープするわけですけど、キープができるかどうか、あとで浜先生に聞いていただければと思いますが、だけど、今回、政府の誤算というのは、こんな短期間にストンと下がってしまった、急落してしまったというのは、そこは間違っていましたね」
反町キャスター
「そこはバッと金融緩和をして、政府のあと押しもあって株価を上げるところまでは中国政府の思い通り?」
柯氏
「そうですけれど、ただ、だいたい株を買う人、あとで松沢先生に教えていただきたいんですけれども、だいたい株を買う人が買った時には、1つの防衛ラインを設けますよね。どこまで上がったら売るというので、皆、持つわけですけれど、今回はどこで、そのボーダーラインを引いているかという、前回より6100ポイントぐらい下がったのですが、今回も6000ポイント下がったら、逃げ遅れるわけですから、だいたい皆、5000ポイントぐらいと思っていまして、実際5100ポイントぐらい下がったわけですから、リーズナブルな動きだろうと思います」
反町キャスター
「アベノミクスの手法をもってと、柯さんから指摘がありました。その日本においてアベノミクスを導入することで、金融緩和で金が流れることによって、資産価値が上がる。株も土地も上がったんですよね。中国の場合にはなぜ株だけで、土地が上がらなかったのか。そこのバランス、先ほどの柯さんの説明だと、土地を締めたから、金が株に流れたという話があったのですが、狙いは、同じ説明ですか?」
松沢氏
「ただ、不動産の規模と株式市場の規模を考えると、はるかに不動産の方が重要だと思っているんですね。実際、株式市場から企業が資金調達をしている比率というのは、全体の2%、3%です。ですから、実のところ株価がこれだけ急変しても、企業の資金調達に大きな問題があるかというと、それは他の国とは違っていて、銀行融資中心の世界ですから、そこは正直、あまり懸念しなくていいと。ただ、ここから不動産が本当に下落していってしまった場合、1980年代の日本のバブルが潰れていくような過程で不動産が消えていった場合、これは銀行そのものの経営に相当な悪影響が出てきますね。日本が経験したような金融危機で、さらなる金融収縮で、経済の成長が急低下という悪影響が実際に出てくると思います」
反町キャスター
「そうすると、松沢さん、現在の中国を見ているとバブルが弾けたあとの、日本の株と土地の急速な下落と同じものが中国に起きつつあるとか、そういうリスクがあると見ている?」
松沢氏
「今回の株価の急落をきっかけに、不動産の方にその売りが行ってしまった場合には、おそらく信用収縮の流れが止まらなくなってしまう可能性はあると思います」
反町キャスター
「止まるか、止まらないか。これはどちらですかと聞いても難しいとはわかっているんですけれども、そこをどう見ていますか?」
松沢氏
「私は少なくとも現在やっている株価対策も止めなければいけないと」
反町キャスター
「現在やっている株価対策はこれです。大手証券会社に2兆4000億円相当の株購入支援。上場企業株を5%以上所有している大株主に、6か月間売却禁止。その他、諸々、報道規制もあり、公安当局による、不正な行為があった場合の捜査開始など、こういうものがあるんですけれど、これは直ちにやめるべき?」
松沢氏
「と思います。これは日本がまさに1990年代、バブルが崩落していく中で行った、いわゆるPKOの政策とほとんど一緒です。つまり、物差しが壊れているから、物差しを壊しちゃうんです。つまり、市場というのは経済の体温計、その体温計そのものを壊す政策ですから、我々は誰も現在の適正な株価がわからなくなってしまう。そうすると、その間というのは、ずっと市場の不安心理がどんどん増幅していくだけですから、どうしようと。株は売れない。何を売ろう。他のものを売ればいいではないか。それが不動産であったり、あと我々もとばっちりを受けているんですけれど、最近、日経平均が急落していくのですが、要するに、中国の株が売れないがために日本株であったり、香港株であったり、日本株でヘッジしようとした人達が、こちらに売りを出してきている。ですから、他のもので、調整をしようとしますから、これが続けば、続けるほど、問題が他に波及していってしまうと」

ギリシャ・中国経済危機 日本への影響は
秋元キャスター
「日本株の動きをどう見ていますか?」
松沢氏
「中国株は売れないと。どこでそれをヘッジすればいいかということで、日本株、香港株、こういったものが選ばれ、売られたというのが1つの背景です。もう1つは現在、日本国民、もしくは日本の市場参加者が思っているのは、これだけ中国がやっきになって株価対策をしているということは、おそらく中国経済の実情は相当悪くなっているのではないかという疑念が湧いてきちゃったんです。そこで悪いニュースが広まってきて、中国関連の業績企業株を中心に売る動きが出ています」
浜教授
「もともと日本の株の動きというのは、非常に人為的につくられたものになってしまっているという現実があると思うんですね。だから、そういう意味では、外から来る外圧に対しては脆いという面がある。だけれども、その脆さを何とか隠蔽するというか、凌ごうとして、また一段と政策が介入してくるという、そういう格好。先ほど、松沢さんが言われた本当の株価はどこにあるのということを非常にわからなくするオペレーションをしている。だから、中国が日本から学ばなかったわけですけれども、逆に現在、日本は中国から学んじゃっているという感じかもしれないという、株価が世の中の状況に対して敏感に反応しないというのは、実は結構大きな問題だと思うんです。だから、だんだん外の世界と隔絶された状態で、2万円を死守となってくるというのは、いわば金融施策をしているような状況になってきていると。北朝鮮ではないのだから、と言いたい感じが日本の株式市場には出てきていると私は思いますね。断固として自然体の動きには向かわせないのだというので、あの手この手で公的な介入によって株式市場を支えている。支えているというよりは蜃気楼をつくり出していると。そこに1番大きな問題があると私は思います」
柯氏
「私は日本で生活して27年経ちまして、株価の暴落というかバブルの崩壊も皆さんと一緒に見てきました。今回、株価の上昇の後ろに必ずしも先ほど、浜先生おっしゃったようにファンタメンタルズの改善を伴っているのかというと、若干疑わしいところがありまして、もう少しがんばらなければいけないような気がしますし、それから、もしも日本経済、実体経済が強くなれば、ここまで外圧に弱くなくてもいいのではないかというふうにも感じるわけですよね」
反町キャスター
「中国の4-6月のGDPが7%を割るのではないか?」
柯氏
「ご質問に答える前に、まず中国のマクロ経済の統計を議論する時にいつも信憑性があるかと聞かれますけれども、それに最初に疑問を呈した人がアメリカのピッツバーグ大学のロースキ教授という方ですけれど、水増ししているという話がありまして、その話を踏まえて言えば、トレンドを見る意味では、今回、第2四半期の経済成長率というのはおそらく7%を少し下まわるだろうと。すなわち政府が発表する数字ですけれども、6.8%か6.9%ぐらいが妥当な線ではないかと思うんです。ただし、実態はどうなのかということですけれども、この間、アメリカの中国経済学会である種のコンセンサスみたいなのを得たんですけれども、だいたい5%ぐらいの成長しかないと」
反町キャスター
「2%も水増しをしているのですか?できるのですか、そんなことが?」
柯氏
「最初に、そういうふうに構成されてしまえば、そうなるわけです。やり方はいろいろあるんだけれども、ここでその統計の議論はしませんが、たとえば、CPIを操作しても消費者物価システム、実質GDPがそれで調整されますから統計の手法はいくらでもあるんですけれども、ただ、実態を考えると、トレンドで見た時に5%、6%ぐらいの成長ではないかと見て、私は間違ってないと思いますね」
反町キャスター
「中国では、毎年600万人の大学生が卒業し、就職する中で、就職難をもたらすとかはないのですか?」
柯氏
「現在、就職できない大学生もいますけれど、成長率が下がっているからではなく、それはミスマッチで起きたと思うんですね」

市場はなぜ乱高下する?
反町キャスター
「景気の周期をどう見ていますか?」
松沢氏
「現在、おそらく景気の拡大期の中盤からそろそろ後半に入り始めたという認識をしています」
反町キャスター
「何年周期で世界の経済はまわっていると見ていますか?」
松沢氏
「概ね10年です。しかも、ここ30年は偶然ですが、0の年で始まって0の年で終わっている」
反町キャスター
「具体的に言うと何年ですか?1990年から?」
松沢氏
「つまり、1980年代の初めから、ここに至るまで。つまり、0の年近くで景気が底をついて回復が始まって、概ね6年、7年の年当たりでピークをつけて、そこから落ちていく。また、0に近いところで景気後退期に入っていくという周期をしています」
浜教授
「2009年に次の危機が訪れて、その時、日本は全然準備してなくて右往左往だというと、次は2020年ではないですか。オリンピックの年ではないですか。オリンピックの年に最悪の状態に突入すると、なかなか面白い話になるなという、この点に非常に着目をしたのが1点目です。もう1つ、おっしゃっていた市場の動き、時代が景気循環になっているというご指摘、これも非常に鋭いと思いますが、そうであってその中で振幅を小さくしようとして、政策が出動すると、次第にこの政策がこの危機をさらに大きくするように動いてしまう。つまり、本来ならばガス抜きがうまくいくところをどんどんそれに対して向かっていくので、そこで起こるべき調整、バランスをとるための経済の自浄作用というのをガーッと政策が押しとどめてしまう。まさに、リーマンショックの時がそうであって、そのことがもたらした怪しげな状態と現在、我々は格闘しているわけですけれども、だんだんこの政策危機という言葉を我々が当たり前のように使う時代が来つつある、そういうことではないかなと思いますね。本来は調整をなるべく傷みが小さい形でちゃんと進めるようにお手伝いをするというのが政策の役割ですが、政策があまりにもでしゃばり過ぎて、もう調整を止めてしまうということをやる、その典型的な事例が量的緩和というもので、それを世界中でやってしまったが故に全然、問題が解決しないまま今日に来ているということだと思うんですね。この問題をあらためて感じましたね」

浜矩子 同志社大学大学院教授の提言:『複合台風』
浜教授
「現在、日本の周りも台風だらけですけれども、世界のマーケットもまた然り、あちこちにいろいろな台風が起きていて、それが全部一体になってドンと押し寄せると、とんでもないことになるが、その時が近づきつつあるのではないかという感じです」

柯隆 富士通総研主席研究員の提言:『政府の役割 市場の役割』
柯氏
「政府の役割、市場の役割、ここで問われていると思うんですね。政府が市場に代わって市場に直接介入すると、必ずハードランディングすると。これ忘れてはならないと思います」

松沢中 野村証券チーフ金利ストラテジストの提言:『日銀は金融バブルに備えよ』
松沢氏
「金融バブルの崩壊に備えよと書きたかったのですが、おそらくまだ2年ぐらいバブルがこれから膨張する期間があると思います。ですから、その間に日銀がどのようにそれをコントロールできるかによって、そのあとの崩壊もマイルドなものに収まる可能性もあるということで、まだチャンスがあるということではないかと思います」