プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年7月9日(木)
陸海空元幕僚長が集結 安保法制『現場』の声

ゲスト

古庄幸一
元海上幕僚長
火箱芳文
元陸上幕僚長
片岡晴彦
前航空幕僚長

安全法制に防衛の現場は
秋元キャスター
「現在、国会で議論が行われています安全保障関連法案によって防衛の現場での対応はどのように変わっていくのか。具体的に聞いていきたいと思います。まずは、安全保障法制全容を見ていきたいと思います。大きく分けますと、日本の平和と安全の部分。それから、国際社会の平和と安全の部分。この2つに分かれるはずですけれども、日本の平和と安全に関わる部分では、平時、グレーゾーン事態、重要影響事態、存立危機事態、武力攻撃事態と5つの事態を想定して、切れ目なく対応をするため、法律の整備が検討されています。今回は、特に、日本の平和と安全に関わる部分について、実際に防衛現場を預かった三方に聞いていきたいと思うのですが、平時、グレーゾーン事態について聞いていきます。古庄さん、これまでの法律では、現場は、平時に任務を遂行するうえで、歯がゆい点ですとか、対応できない点というのはあったのでしょうか?」
古庄氏
「何もできませんね。現在でも。法律まだできていませんけど。たとえば、よく言われるんですけれども、海上自衛隊の船が現在、ソマリアに出ていますけれども、その途中で、海賊行為を見たとか、あるいはどこかの客船が襲われていても、何もできない」
反町キャスター
「手助けもできない?」
古庄氏
「できません。法的に。それでいろんな例題をよく言うんですけれど、たとえば、護衛艦の『あたご』の事故(護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件)がありましたよね。あの時、最終的に海軍であれば、艦長が全部責任をとればいいわけですね。だけど、もちろん、艦長は自衛隊の中では懲戒処分は受けました。だけど、実際に法廷で立ったのは、その時に立直していた、船を動かしていた2人ですよね。これが現実ですよ。そういう法律的なことがきちんとなされていないというかね。だから、本当に現在であったら何もできない」
火箱氏
「自衛隊の、結局のところ、武器使用という、ここが1つの大きなポイントだと思うんです、平時ですね。情報収集、警戒監視をしていても、基本的に何も武器を持って行っていないですね。海上自衛隊は哨戒をやっていますけれども、何もないという状況。ですから、航空自衛隊が一応、領空侵犯をやっていますけれども、その武器の使用というのも極めて限定的なところで起きていますけれども。陸上自衛隊も、何もないわけですね。何かおかしいのではないかということ。調査、研究の時も武器を持っていくわけにもいかない、弾薬も持っていくことができない。こういう状況ですね。丸腰状態。海上自衛隊の方で、もし、海上警備行動がかかれば、陸上自衛隊の場合は治安出動という形になろうかと思うんですね。平時は、基本的にグレーゾーンまで、海上保安庁や警察が対応すると、こうなっているわけです。ですから、何か行動がかからないと、我々としてはまったく動けないとこういう状況ですね。だから、ここらへんのグレーゾーンの隙間と言いますか、その部分を今回、法律改正をやってほしいと思っていたんですけれど、ここの部分はこれまでとまったく変わっていませんので、ここはこれからもいろいろ検討していかなければいけないところがあろうと思います。だから、先ほど、手続き、政府としての情報の共有とか、こういったものをしっかりやりなさいというものが明確に出たんです。このへんはいいと思うんです。ただ、我々としては若干、そこにかかるにしても、準備の時間というのが要るんですね。そこを何とかしてほしいと思いました」

グレーゾーン事態対処の現実
片岡氏
「非常に、グレーゾーンでレベルが低い。たとえば、偽装漁民、武装した漁民が上陸した場合、想定はエスカレーションさせないために、一義的には、警察、海保で可能な限り対処するというが、そこのところを自衛隊と連携をしながら、やっていく必要があると思っています。ただ、自衛隊の方は急速にエスカレーションする場合、エスカレーションを防止するためのいろんな準備活動というのができるようになって、準備しておく必要があるし、また、エスカレーションをさせないための、言葉の表現が適切かどうかはわかりませんけれど、たとえば、日米共同演習をやってプレッシャーをかけるとか、演習をやるということが、逆に、エスカレーションを生む場合がありますので、そこのところは判断をする必要があると思いますけれども。グレーゾーンは一義的には、可能な限りできる、警察、海保で対処する。エスカレーションさせないための取り組みと、エスカレーションをした場合の毅然と対応をする準備をするというのが、重要だと思いますけれど、ただ、空の場合は、海保とか、警察に相当する組織がありませんので、航空自衛隊の方は、より慎重に領空侵犯措置なんかの対処については、気を配りながらやるということになりますし、エスカレーションを、偶発的な事故を阻止するために、日中とも、ロシアとも、事故防止のメカニズムというのがありますけれども、そういう取り組みを普段からやっていく必要があるのではないかと考えています」
秋元キャスター
「まさに、片岡さんがおっしゃったような、グレーゾーン事態、つまり、有事とは言えないけれども、警察や海上保安庁では対応できないおそれのある事例としてあげられるのが、先ほど、話にあったこういうケースですね。国籍不明の武装した集団、たとえば、武器を持った漁民や、漁民を装った兵士などが、離島に上陸するような状況ということですけれども、特に、尖閣諸島などを念頭に、このようなケースを想定されると思うのですが、古庄さん。こうしたケースへの対応に対しまして、陸、海、空、それぞれの現場、古庄さんには海の対応を聞きたいと思いますけど、どんな声が現場から上がっているのでしょうか?」
古庄氏
「これは海上自衛隊だけでもちろん、対処できないので、現在やっているような統合作戦でやらなくてはいけないとなると、そういう訓練をずっとやっておくことが大事だというのが1つありますね。だけど、普通の国では上陸させないようにするためにどうするかの方が本来ですよね。だけど、なぜか日本の場合は、専守防衛が効いているのか、どうかわかりませんけれども、上陸をされたあと、占拠されたあと、どうするのかということが非常に言われるんですよね。だから、私は、占拠されないようにするには、じゃあ、どうすればいいのか。これだけたくさん島がある島国なのだからという、そこは、私は、何らかの法的な措置できちんとやっていくことの方が抑止力にもなるし、相手にも、そういう思いを与えることができるのではないかなと思います」
火箱氏
「先ほど、言いましたように、第一義的には海保と警察が対応をするのですが、前提として海保、警察が対応しきれない、こういう状況になった時の話ならば、そのまま次から次へと上陸してくるだろうということになりますね。放っておけないと思うんですね。その時に海上自衛隊がもちろん、出動するのでしょうけれども、陸上自衛隊も出動すると。排除するということで。その時はグレーゾーンと言いながらも、限りなく黒ではないですか。その時、発動する時に、自衛権の発動と言いますか、武力攻撃というような判断をする時に、手続き上、非常に時間がかかるんですね、国会の承認とか。その時に、はやい段階でやれればいいけれども、しっかり固められていると、今度は本当の戦いになる。ですから、その間に何とかしなければいけないという、私どもの思いがあるわけですね。ですから、その時、できる適用法律というのは治安出動しかないわけです。治安出動の時も武器の使用というものは、基本的に少しは現在のところはできるんですけれども、治安出動、その前の情報収集よりは基本的に自己防護型の警察官職務執行法というのか、その部分の切れ目のないという、現在の法律にあるのは少しそこを自衛権の発動の、いわゆるハードルを低くするか、あるいはもう1つ別の法律をつくって、迅速に出動できるような体制にするか。また、武器の使用というものをどこまでやっていいのか、というところに権限を拡大するか。そういう法律を何とかできないかなと、私どもは思っていたのですが、現在の場合は、手続きの迅速化ということで止まっていますので、だから、ここを本当に真剣に議論をしていただきたいと思っているところであります」

島嶼防衛 自衛隊はどう動く?
反町キャスター
「武器の使用について、たとえば、治安出動が出ました。自衛隊が、尖閣に上陸した中国の武装漁民だか、民兵だかわからない人達に対して、彼らを撃退するために行くという時に、治安出動の武器の使用基準というのが警察官の職務執行法と同じことになるわけですか?」
火箱氏
「そうですね」
反町キャスター
「そうすると…」
火箱氏
「武器のグレードは少し上がりますけれどもね」
反町キャスター
「それも相手と相対でということですよね」
火箱氏
「そうです」
反町キャスター
「相当な理由がある場合の、必要最小限の武器使用ということになっていますよね?」
火箱氏
「そうです」
反町キャスター
「それで行った場合に、要するに、自衛隊だから軍に近い装備を持っているからと言いながらも、相手と同じレベルで、しかも、非常に拘束をされている。武器使用において手足を縛られたような状態で行かされるということに対しての内部における不満というか、不安感ということはどういうものなのですか?」
火箱氏
「それは不満感という、そういう問題ではなく、非常に問題があるので、私どもはそこに部隊行動基準なりを、そういうのをして、ここまでやってもいい、やってはいけないと、これだけはしっかりと明確にして、そういう形をとってもらいたいと思っているんです。だから、これまでは、そこまで議論がないままでして、ですから、行く隊員の身になれば、撃たれたから撃つしかないと、あるいはこういうことですね。ですから、非常にリスクを抱えながら行かせる場合は本当に不安ですね。ですから、そこを何とか、政府としても検討していただきたいと思います」
反町キャスター
「派遣するなら、ある程度の裁量権を持たせてほしいと。そういうことですね?」
火箱氏
「そうです。現場しかわからないですからね、現場を」

半島有事 自衛隊はどう動く?
秋元キャスター
「重要影響事態について聞いていきたいと思いますが、重要影響事態というのはそのまま放置をすれば、我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態などの、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態と定義されていて、例として、あげられるのが、朝鮮半島で有事が発生した場合に逃げてくる邦人を運ぶアメリカの艦船を自衛隊が防護するケースです」
反町キャスター
「古庄さん、この邦人輸送のイメージというのは具体的にもっとわかりやすく言ってしまうと、半島有事で、朝鮮半島から日本人が逃げだそうとしている時に、それをアメリカの輸送船に相乗りさせてもらって、釜山から日本に、福岡に向って移動中であると。その船を、たとえば、北朝鮮の艦船が攻撃する可能性がある時に日本の護衛艦は何か役割を果たせますかという。先ほどの何もできないというのは、つまり、北朝鮮の飛行機が日本人を乗せたアメリカの輸送船を攻撃しようとしていても、現在の法制下では、日本の護衛艦は何もできないのですか?」
古庄氏
「できません」
反町キャスター
「よく、そこで言われのが、体を張るというわけのわからない理屈ですけれども、その時に、日本の護衛艦というのは、まさに体を張った楯のように、人間の楯のようになることしか、日本人を乗せたアメリカの輸送船を守る手段としては、それしかないのですか?」
古庄氏
「だから、間に入って、よく言われる、自分を撃たせて、自分の船の隊員と武器を守るという、そういう法律は現在あるわけなので。それも、だけど、警察権の範囲内で、正当防衛の範囲内と言われているので、それで、たとえば、アメリカを見捨てているのではないかと。アメリカが攻撃をされているのを見ていて、できないわけですからね。だから、そこを言っているので」
反町キャスター
「今回の新たな法制によって何ができる、どういう行動がとれるようになるのですか?」
古庄氏
「だから、そういう事態が非常に日本に影響を及ぼすと。邦人輸送も、朝鮮半島の半島有事とか、これだけではなく、テロにしろ、核兵器の拡散にしろ、そういうことをいろんな国がそれを抑えようとしているのを日本は何もできない。これもよくないのではないかと。いろんな事態ではあると思いますよ。日本に影響をすることは」
反町キャスター
「火箱さん、この場合、同じケースで聞きます。脱出する邦人を乗せた米艦輸送船、アメリカの輸送船を守るというオペレーションになった時に、これまで陸上自衛隊が果たせた役割がどれぐらいで、今度の安保法制によって、どういうことができるようになるのか。これはどういう話になりますか?」
火箱氏
「朝鮮半島が有事になったような時は、我が国にまったく影響がないわけがないわけですから。その時に米軍の施設を防護すると、そういうことはしっかりやろうというのがありますよね。陸上自衛隊としてやるんですけれども、その時もまた警察権の範疇になるんですね」
反町キャスター
「ここも警察権ですか?」
火箱氏
「そうです。防衛出動があって、初めて武器の使用というのがある。ですから、私どもは基本的に防護。自己防護型の、アメリカも一緒に基地を警備しているのは全然、違う対応なところに、若干のズレが出てきますよね。こういう問題はあるんですけれども、ただ、今度支援をする、支援メニューが米軍の後方支援というのが拡大するわけですから、アメリカとしてもそれはありがたいことだと。これまで、武器はダメなわけですけれども、弾薬もダメだったんですけれども、弾薬もいい。それから、給油もいいと。飛び立つ飛行機に給油すると。そういうものができるわけですから。改正することによって、この部分はアメリカとしても(日本は)頼りになる国だという形になる。ですから、アメリカとの同盟関係が緊密なるというのは、このへんも言えると思うんですね」
古庄氏
「私はなぜ邦人を自分の国で輸送するという話が、どうして出てこないのというのが非常に不思議ですよ。アメリカは他の任務をやっていて、海軍の艦艇なんか(邦人の)輸送しませんよ」
反町キャスター
「そこは古庄さんの気持ちからすると、今回我々が議論をしているような邦人を輸送している米艦を守るというのではなくて、日本の船が直接、釜山に乗りつけ、日本人を乗せて帰ってくるという、そういうオペレーションがなぜ議論をしきれないのか。そういう意味ですね?」
古庄氏
「そうです」
反町キャスター
「なぜ議論できないのですか?」
火箱氏
「アメリカでも、韓国でも、同意が要るでしょうし、そういうところがなかなか外交上難しい場合もあるということでしょうね。自衛隊が有事のところに乗り込んで行く。こうなると、集団的自衛権という形になるんですよね。ですから、そこは、今回の法律の極めて限定されたところになると思うんです。集団的が全面的になるということになると、そういうことも可能かもしれませんけれども」
反町キャスター
「片岡さん、現状を、邦人を輸送する米艦を守るという意味において、現在の空自ができること。今度の新しい法制下においてできるようになるであろうことは?」
片岡氏
「現在は米艦防護ということになると、日本人が乗っていても、それをどう解釈するか、基本的に集団的自衛権の話になりますよね。非常にその取り扱いがたぶん難しいですね」
反町キャスター
「そうすると、例え話になってしまうんですけれども、日本人を乗せた、アメリカの輸送船が釜山から福岡に向かってくる時に、北朝鮮のミグ21が攻めてきた。その時、航空自衛隊は出動できないのですか?」
片岡氏
「それはどんな状況で、どんな地域でやっているかというのを見ないと。様々な状況、公海上かとか」
反町キャスター
「北朝鮮の領海内だったら」
片岡氏
「領海内、それは現状できませんよね」
反町キャスター
「今度の法制において、その可能性が多少出てくるのですか?」
古庄氏
「出ないのではないですか」
片岡氏
「集団的自衛権にいかないから」
反町キャスター
「空自は非常に抑制的な対応になるんですかね」
片岡氏
「たぶん、なると思うんですけれども、そこらへんの法制のやつをよく見てみる必要があると思うんですけれど、米軍の部隊の防護みたいなのはできるようになりました。そのへんをどのように運用するかという話が今後、出てくるのかもしれませんけれども」

防衛の現場が見る安保法案
秋元キャスター
「日本の武力行使によって米艦防護を行う必要性をどのように考えますか?」
古庄氏
「日米安保条約をいかにうまくまわすかということと、それによって、この周辺の安定を保つだとか、いろんなことがあると思うんですけれど、まずミサイルを守っている船というのは非常に自分の防御が薄くなる可能性があるわけですね。対潜水艦戦ができない、現在それを同時にやろうというシステムになりつつあるんですけれど、対潜戦ができない。あるいは対艦ミサイル撃たれたら、そのミサイルの対応をどうするかとか。そうしたら、それを守ってやる必要があるわけですね。だから、十分これは考えられることですよね。だから、それをそういうことが発生したのに、いや、うちは現在のままだと、ごめんなさいと、有事ではないからできませんと。それは通らないのではないのということ。だから、当然でしょうと言って、そこはもうキチッと、今回限りなく有事に近い状況で同じような武器使用というか、それができるようにしようというのが、そもそもの目的だと思います。武力行使が可能になるように」
反町キャスター
「現状においては、というのは、先ほどの輸送艦の時と同じで、まさに体を張って何かできるか、そういうレベルの話ですか?」
古庄氏
「そんなレベルではないですね」
反町キャスター
「何もできないわけですか?」
古庄氏
「何もできない。だって、情報も…アメリカの船がどういう状況下で、敵がどういうミサイル撃っているか、情報も共有できていないと思いますね」
反町キャスター
「事実上、横にいても何の役にも立たないということになるわけですね?」
古庄氏
「だから、今回の新しいガイドラインの中で、情報をいかに平時から共有するかということがピチッと書かれているわけですね。あれは現在の状況からすると情報を共有していなかったら、即応できないわけですね。だから、ガイドラインであれだけしつこく情報の共有が出ているんだと思いますよ。だから、そういうことも含めて、存立危機事態というのはもっと早くに本当は整備する必要があったのではないかなと」
反町キャスター
「限定的とは言え、集団的自衛権の行使容認、武力使用、武力行使の話だと僕は思っているんですけれども、陸上自衛隊と航空自衛隊はこういう事態においてはこれまでと違って、こういう選択肢が広がるとか、何かあるのですか?」
火箱氏
「陸上自衛隊も、対鑑ミサイルを撃ち落とすような、対空のミサイル対処できるものもあるし、離島において、撃つということも、支援の可能性はありますね。そういうところもありますかね」
反町キャスター
「そういうことがこれまではできなかったけれども、この法制のもとでできるようになる?」
火箱氏
「はい」
片岡氏
「攻撃については艦艇が出てくるというのは非常に稀で、航空部隊が出てくる。航空部隊にそれに対処するという形になると思いますけれども、イージス艦がBMDの任務につきますと、レーダーがほとんどBMDの方に探知が集中してしまいますので、対空警戒が非常にできないというデメリットが出てくるんです。その意味で、全般防空、日米で共同対処することになると思うんですけれども、非常に欠落していた部分について今後できるようになるということで、大きな前進だと思っています」

機雷掃海と集団的自衛権
反町キャスター
「ホルムズ海峡における機雷掃海の重要性は?」
古庄氏
「現在の日本の経済活動、国民の生活そのものがどういう現状か。1年間で約90億トンのモノがまわっている。そのほとんどが船で輸送されている。その中の10億トンが日本ですよ。輸入量だけ見ても、約8.5億トンと言われています。原油をはじめ、鉄鉱石。その8.5億トンのものを365日で割ると、毎日230万トンぐらいの量になります。それを15万トンタンカーで運ぶとすると、1日に14隻ぐらいの15万トンタンカーが東京湾か、名古屋か、神戸のどこかに入るわけですよ。それがなければ、現在の日本の経済活動なり、国民の安定した生活はできない。これが現実です。たとえば、14隻とすると、だいたい1.6時間、1.7時間に1隻がどこかの港に…動いている。その中の約2億トンが原油でホルムズ海峡を通っている。日本で使っている約8割がここを通っている。それだけでもすごい量ですよ。それが止まると国民の安定した生活がなくなるのではないですか。武力攻撃よりもっと酷いかもしれないと言うことをキチッと言えば、そうなのかと。野党の人達は他の国が行ってやっているのに、うちが行ってやる必要がないではないかと、この間、どなたかが言われた。年間の備蓄量約180日と言われた。国の備蓄が90日、民間の備蓄が70日としても、160日ぐらいとしても、それをその時使うのか、本当に。違うでしょう。もっと大変な時に使うでしょう。それを使い切って、まだ船が動かなかったらどうするの。そういう具体的な話、現実を、私はそもそも論をすれば、非常にわかりやすいのではないかと思うます」

活動分野拡大に防衛の現場は
秋元キャスター
「安保関連法案が成立しますと自衛隊員のリスクが高まるとも言われていますが」
片岡氏
「今回、本当にリスクが高まるという議論がなされているんですけれども、高くなるとか、低くなるというのはあまり意味がないような気がしているんですけれど、たとえば、活動期間が2倍になれば2倍リスクが増えるのですかと、同じような議論ではないかという気はしています。より現実的に活動する地域がどのようなリスクがあって、そのリスクは許容されるリスクなのかということと、リスクをいかに低減していくのかということが非常に重要だと考えていまして、それを考えて、実際の派遣地域が決められると思っています。今回、恒久法で整備されますので、非常に事前の準備が、事前の訓練、装備品の改修等が、行えるという利点があって、それがリスクの低減に十分つながっていくのではないかと考えています。結構、派遣する地域においては装備品の改修とか、それから、運用方法を変えていくと、そういう準備も非常に大切になってきますので、恒久法を整備され、通常の状態、平素から訓練ができる状態になってくるというのが非常に大きな意味あいを持っていくのではないかと考えています」
火箱氏
「私は、リスクの云々はナンセンスな問題だと思うんですね。自衛官の行動そのものは、どんなところに行ってもリスクはあるわけですよ。ですから、行動が危険だから、自衛隊に行かせるわけですね。行ってもらうわけです。ですから、危険でなかったら民間が行けばいいわけです。ですから、リスクは増えます、減りますという問題ではなくて、自衛官がある意味でリスクを負うことによって、自衛隊が負うことによって、国民全体のリスクを下げる。1億3000万人のリスクを下げる法律を現在つくろうとしているわけですね。自衛官、自衛隊と、米軍やその他の国としっかり絆を結ぶことによって全体のリスクが下がるのではないでしょうか、という問いかけをしてもらいたいですよ。自衛官は危険だけれども、ぐっと堪えて、我々は行くわけですよ。国民のためになったということに対して、そこに喜びを感じ、誇りを感じるわけですね。だから、そこのところ、単に自衛隊の皆さんが危険ですから、どうですかという話は、私は自衛官に対する冒涜と思っているぐらいです。彼らの気持ちを1つもわからないで、ただ、ダメでしょう、家族の人に戦争ですよと、こういう話をして、なおさら言うのは、家族やいろんな支援をしてくれる人に対する不安感ばかりを煽る法律だという言い方をしますよね。そうではなく、本当に我慢して堪えながら国のために役立とうと思っている。猛訓練に励んでいる人達に対する対応ではないと私は思っています。情緒的な話なく、25万人の自衛官が、1億3000万人のために、そのリスクを下げるんだと。だから、この法律は何とか通さなければいかんと思っています」
古庄氏
「現在は有事の行動しかできないと。そういう法体系ですよね。それがいろんな状況によって、法律ができることによって、それに向かっての訓練をするとか、あるいは装備がそれによって変わってくる、そういうことでむしろ現在リスクは法律ができることによって、そういう面では現在よりもリスクは下がるのではないかと思いたい。それから、我々は国民のリスクをいかに守るのか、低くするかということを日頃からやっているわけですよね。だから、本当に現場にリスクの話が散々出る時に、現役の人達と飲んだりすると、ふざけるなと。そんなことを言われたくないという声の方が多いですよ。それと、これは言っていいのかわかりませんけれども、総理が苦役と言いましたね。現場は我々だ、現在やっているのは苦役かと。酒を飲むとそういう話が出て、それはお前らが言っちゃダメだ。現役がそこを言ってはダメだよと話はしますけれど、あれはショックだったと思いますよ。そういうことからすると、今回こういう法律が決まって、私はリスクというよりも、違う切り口で、たとえば、アメリカと他の国と非常に国際的に貢献できるようになる。地域が安定するとか。そちらの方が多いと思います。本来、もっと言ってもらいたいのは隊員の身分ですよ。私はそれをなぜ議論しないのかなと。公務員ではないです。公務員のままで、そういう状況下に出すことが、国際法的に身分が確保できるの、守られるのかというのは非常に我々現役の時に何もできなかったことは申し訳ないと思いますけれども、そちらをもっと真剣に議論して、国際法的にきちっと軍人としての扱いを受けられるのか。そこを本当に担っているのは、軍人ではないではないかと言った瞬間に、どうなるのかなというのが心配ですよね」

古庄幸一 元海上幕僚長の提言:『好戦必亡 忘戦必危 チャンスを生かせ』
古庄氏
「私が書きましたのは、かつて我々の大先輩の山本五十六さんがよく書いていた言葉ですけれど、実はこの上があるんですけれども、戦を好めば必ず滅ぶ。これは大国でもという、上に1つあります。それから、戦を忘れれば必ず危うい。これは天下やすしと言えどもというのがあります。これは現在の日本で、国会はじめ、もう1回これをキチッとしたいなと。もう1つは、現在でしょうと。もう現在しかない。チャンスだと思います」

火箱芳文 元陸上幕僚長の提言:『平和創立のための自衛隊の歯止め議論でなく活用議論をすべし』
火箱氏
「これだけ世界に日本が展開し、世界の平和が保てないと、日本にすぐ影響を及ぼす。それから、また我が国の周辺地域の安全保障環境が厳しい。こういう中で、何で歯止めの議論ばかり、どこへ行くとか。国民誰1人として戦争をやろうと思う人はいないと思うんですね。政治家もそうです。ですから、この平和をどうして保てるかということに対する議論をもっとやってほしいですね。アメリカとの関係を結ぶ。それから、各国との連携も結ぶ。その中で自衛隊をどこまで活用できるのかと。こういう議論を、是非進めていただきたいと思います」

片岡晴彦 前航空幕僚長の提言:『実効性のある対処力の構築』
片岡氏
「抑止が機能するためには、我々がその能力と意図を兼ね備えた対処力を持って、それが相手方に認識されなければなりません。相手方が本物であると受けとった時に対処力は信憑性を持って真の抑止力となると考えています。紛争に勝利するのではなく、紛争を抑止することが極めてこの時代、重要だと考えていますので、そのためにも今回の安全保障整備、安全保障法制の整備は極めて重要だと考えていますので、是非実現してほしいと考えています」