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2015年7月6日(月)
中国『埋め立て完了』 南シナ海と日本の立場

ゲスト

古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
朱建栄
東洋学園大学教授
小原凡司
東京財団研究員・政策プロデューサー

中国による南沙諸島埋め立て
秋元キャスター
「中国が南シナ海、南沙諸島、英語名、スプラトリー諸島で行っている岩礁の埋め立てとは一体どういうものなのか見ていきたいと思います。南沙諸島は中国の南、およそ1000kmの海域にありまして、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、フィリピンなども領有権を主張しています。中国は7か所で埋め立て工事を進めていて、アメリカの国防総省によりますと、5月8日現在で、中国が埋め立てた面積はおよそ8?。東京ドーム170個分だということです。昨年12月末と比べると、4か月余りで4倍に拡大したという、かなり急速なスピードということになるんですけれども」
反町キャスター
「工事前、工事後の写真です。2014年8月のファイアリークロスの衛星写真。2014年8月ではこのように非常にぼやけた、つまり、表面上に、しっかり浮かび上がっていた島ではなかったファイアリークロスが、今年3月の段階では埋め立て作業やら何やらで、しっかりと土地の形が見えていて、なおかつ鋭角となっている、港湾になっている部分もあるだろうと。こういうところから感じられる中国。中国はこの地域において、何をつくろうとしているのか。具体的に、そこが地域の軍事情勢にどういう不安、懸念を撒いているのか。どう見ていますか?」
小原氏
「この埋め立てたところというのが、まず滑走路。これが3000mあると言われていますから、中国の持っている軍用機のほぼ全て、ここから運用できます。さらには浚渫工事によって、非常に深い港ができているということは、大型船が着けられるということは、中国が利用しようと思えば、航空機を展開し、その人員とか、物資を大量に輸送することができるということですね。これをすぐにやるとは思われませんが、中国は既に軍事的な目的もあるんだということを明言していますから。では、ここにポイントをつくって、何をしようとしているのかということだと思います」
反町キャスター
「古森さんはどう思いますか。中国の急速な南シナ海へにおける展開。どう見ているのですか?」
古森氏
「基本点に、南シナ海における90%ぐらいは中国の領海であると、あるいは領土であるという主張がボンと出てきているわけですよね。それがなぜ何を根拠にしているかというと、1992年に中国が国内法でつくった領海法というのがあって、それで、国内法で、ここの紛争地域、紛争海域も含めて、これは全部中国のものだと、国内法で言っておいて、それを外に向けて発信していくというのが、1つの中国のパターンで、これは国際的な合意とか、ルールとかに全然合致しないわけですよ。それから、たとえば、最近よく言われる。九段線がずっとつながるとほとんど南シナ海の海域が中国のものになるという。これも王朝時代にあったとか、国民党政権が使っていた何かとか、いろいろあるけれども、合理的な判断でいくと、何だかわけがわからないわけです。だから、国際合意、国際的規範に違反して、実力を使って、領有権紛争を自国のために解決しようとしている、この動き。そこで屋上屋を重ねるという形で、まして対象となっている領域に、どんどん人工の島をつくっていく、人工の陸地をつくっていくという。これも海洋法、その他で、他の国も少しずつやっているというのはあるらしいけれども、この規模になると、軍事ということが絡んでくると、これも明らかに国際規範の違反であるという。アメリカとの対決なんか、なぜそんなことをするのかなといろいろと意図を汲むけれど、アメリカ側もいろんなことを言うけれども、基本には国際合意というものを中華人民共和国が無視して、実力行動をしているということをバチッと見ておかないと、今度の本質はわからないと思います」
秋元キャスター
「いろんなことを国際社会から言われるとしてもメリットの方が大きいということになるんですよね。中国側からしたら?」
古森氏
「中国側からすればそうでしょうね。それは南シナ海全部が中国の領海だということにして、軍事専門家の間では、あそこは海の底が深いから、たとえば、原子力潜水艦とか、大型艦艇を置けるとか、自由に航行できるとか、シーレーンを中国がコントロールできるとか、中国から見たメリットはあって、だから、国際世論、アメリカの反発を無視しても、ここまでやっているのだと思いますよ」
朱教授
「実際に中国はこの九段線を含めて、南シナ海の南沙諸島の占有の主張は、別に1992年からではないですよ。1946年。今回、米中戦略対話で、外務大臣、ケリー長官に対して言っているんですね。実は現在、中国が調べてわかったことは、1946年の秋に中国が中華民国で、当時、南沙諸島に行って主権回復、それまでは日本が占領していたんですね、中国主権回復というところで記念碑を建てる時、その船は米軍が中国にリースした軍艦であって、アメリカが全部、それはわかっているはずだと。その当時は、他のどこの国からもクレームがつけられていなかったと。そのようなこと、ちょっと歴史の経緯ということを、私はもうちょっと振り返って、見る必要があるのと、それから、先ほど、3000mの話がありましたけれども、全てこの問題を軍事で見るより、私は、中国のいろいろ専門家に聞いたら言われたのが、我々は南シナ海、南沙諸島で1300m、1500mの滑走路をつくっても何ら意味がないと。なぜなら大陸から1500km、2000kmぐらい離れているんです。民有機でも飛ぶのに、これぐらい長い滑走路が必要です。それを専ら、軍事的にそれを使うというのは、現在小原さんがおっしゃるように、臨時的に、まだそこは中国を基地にするということは言えないわけですね。しかも、中国は、今回はあくまで、この島を守るための軍事的必要性はあるんですけれども、それを軍事拠点にするとは1度も言っていないと。そこは、私はあわせて言う必要がある」
秋元キャスター
「小原さん、経済的な側面から見て中国が南シナ海にこだわるというか、重要視する点というのはどういうことなのでしょうか?」
小原氏
「まず中国は領海という言葉を明確に使いません。南シナ海に、南沙諸島の領有という、その周辺海域における議論の余地のない権利という言い方をするのですが、これは国際社会が、領海と言った途端、それは違法だということで批判するからだと思いますよ。この理屈についてはいくつか理論を立てて、どれが中国政府の公式見解なのかということも明らかにしていないと思います。歴史的権利とか、あとは閉鎖海というようなことも言います。これは同じ海洋法条約の182条と何か他にも組みあわせるというようなことを言うんですけれども」
反町キャスター
「閉鎖海は閉じた海ということ?」
小原氏
「閉じた海ですね。それが普通、例として取り上げられるのは、瀬戸内海のような海を言うのですが」
反町キャスター
「でも、内海化したいと。南シナ海は中国にとって内海だと主張しているわけですか?」
小原氏
「でも、それは1つの理論だとしか言わなくて、国の正式な説明ではないですね。ただ、南シナ海全体をコントロールしたいということは間違いない。理由は大きく3つで、1つは海底資源、これは共同開発をしょっちゅう言っていますから、これだけでないということは、海上輸送ルートの保護。これもある。これはミャンマーのチャオピューから昆明までにパイプライン、あるいは鉄道を敷いている。2013年には天然ガスのパイプラインは通りました。今年の1月には石油のパイプライン、試験が開始されたのですが、現在こうした通路、輸送路をつくるということは、マラッカ海峡を通らなくても、中国国内にエネルギー資源を入れたいということですね。と言うことは、マラッカ海峡が米軍によって押さえられるのを非常に怖がっているということ、中国がですね。ですけれども、中国は海上輸送路の優位性を放棄することはないですから、あくまで代替手段であって、南シナ海をコントロールすることが第一義であるということは言えると思います。最後は、先ほどもおっしゃられていた目的で、これは全て複合されたものだろうと。南シナ海というのは、中国が外洋に出ていくうえで非常に重要な海になっていると言えると思います」
反町キャスター
「小原さん、ここの地図、もう1回見ていきたいのですが、現在、南シナ海と言っているだいたいこのあたり。なぜここにこだわるかという話になった時に現在、小原さんは、マラッカ海峡がアメリカによって封鎖をされた。これは油のルートの話ですか?」
小原氏
「そうですね」
反町キャスター
「こういう油のルートが切れることを中国は懸念をしていると。これは日本も同じように懸念をしている中で、マラッカ海峡が、お互い、中国も日本も石油輸入国として心配だと。心配であるという時にここの地域の軍事的なプレゼンスを高めることによって、シーレーンというか、オイルロードを守ろう、ないしは守るだけではなくて、他の国に対しての圧力に使うように見えているんですけれども、そのバランスというのはどう見たら?中国国内の政策方針になっているのですか?」
小原氏
「中国としては、あくまでアメリカに対して防御的だと思いますね。これは中国が、あくまでアメリカが中国を攻撃する、あるいはアメリカが中国の経済発展を阻害する、妨害することを恐れていると。これを保護するためには軍事力も使わなければならない。これは国防白書等でも言われていることですね」
反町キャスター
「朱さん、どうですか?中国国内でアメリカはいろんな海峡を封鎖して、中国を干し上げようとしていく。だから、我々は南シナ海を押さえなければならないと。こんな議論が本当にあるのですか?」
朱教授
「そもそもこの議論は中国の中で成立しないと思うんですね。なぜならマラッカ海峡をアメリカが押さえる。それで中国が南シナ海で軍事拠点をつくると。つくっていて、別にマラッカ海峡を守れるわけではないですから。ですから、そういうような議論は専ら、これを軍事的に見るというより、実は南シナ海というのは中国、これが周りの国との一種の主権の争いで、これまで他の国が既に埋め立てをしている。共同開発を2002年、中国はASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と合意したにもかかわらず、他の国はどんどんと単独開発をしていて、中国は何もやっていないと。そうすると、中国もそこに埋め立てを含め、プレゼンスを強化して、あなた、文句があるなら、交渉しようじゃないかと。どうも私が聞いた話では今年中に、現在、中国と関係諸国、フィリピン、ベトナムを含め、ASEANと南シナ海のところの安全を巡って交渉すると。言ってみれば、この10年間、中国がいくら共同開発と言っても、誰も聞いてくれない。中国が何も動いていない時に、他の国がどんどんと開発していると。そこも中国はちょっと焦りが出ていると思うんですね」

中国・軍事戦略上の思惑は…
反町キャスター
「南シナ海における、中国がこだわる理由の1つに、潜水艦という話を聞くのですが、これはどういう意味ですか?」
小原氏
「中国がアメリカからの核攻撃を恐れている。これに対しては核攻撃の手段を持っていることによって、アメリカの核攻撃を抑止することができるということなのですが、その核報復攻撃の最終的な手段となるのが、原子力潜水艦に搭載した核弾頭搭載の大陸間弾道弾になる。実は、中国は現在、戦略編成と言いますか、これを、海南島の南端にあるサンヤーというところがありますが、ここの海軍基地に配備をしています。と言うことは、ここからアメリカに対する抑止を効かせたい。ただ、潜水艦に搭載している大陸間弾道弾の射程は8000kmぐらいと言われていますので、そうすると、南シナ海からだとアメリカ本土に届かないです。そうすると、必ず太平洋に出て戦略パトロールを行わなわなければならないということですけれども、そのためには、南シナ海から、バシ―海峡、あるいは他の海峡は狭いですけれども、どこかを通って、太平洋に出なければならない。アメリカとしては、太平洋に出られてしまうと、あるいはインド洋に出られてしまうと、今度は捉えるのは、ほぼ不可能に近い。だから、南シナ海にいる間に、必ず探知しておかなければならないですね。探知をしておけば、太平洋に出たあとにアメリカの攻撃型の原潜が追尾できる。そうすると、アメリカを攻撃しようとする意図を持った時に、その前に必ず破壊できるわけですね。反対に中国としては核抑止にならないわけですから、必ず探知されずに出なければならない。こうしたせめぎあいもあるということ」
反町キャスター
「そうしたせめぎあいが現在起きているという意味で言っていますか?」
小原氏
「現在、起こっています」
反町キャスター
「朱さん、どうですか?」
朱教授
「それも、私は意味がないと思うんですね。中国が、これが現在7つです。実際には9つの島、岩礁を所有しているんですけれども、他の国が占領しているところの間にあるわけですね。ですから、それがよほど周りの島全部、中国が確保しないと、そこだけ他の国に察知されずに、そこだけ利用するということはあり得ないわけです。ですから、そこのところは軍事的に、アメリカがそういうところを想定しているという話、別の解釈も、逆に言えば、アメリカは200%の覇権を維持するために、他の国が、自分に挑戦する、一寸先の可能性も潰すんだと。そのようなことで、このままでいいのか。実際アメリカが平和のためと言ったら、この十数年の間に、世界の大戦争は、アメリカがやっているではないですか。アフガニスタンでも、リビアでも、イラクでも、シリアでも、そういうようなことで、それぞれ皆、大義名分を持って、相手のいろんな可能性があるというところを潰すと。私はそういうところを含めて、ただ、日本はアメリカの同盟国ですから、それで、アメリカの動きを全部、善悪で解釈することではなくて、もうちょっと冷静に、アメリカこそ、これまで軍事的にどんどん出ていると。それとあわせて見る必要がある。他の国が感じる脅威ということも考える必要があるのではないかということです」
古森氏
「ただ、国際紛争の解決、あるいは国家主権、あるいは国家的利益の追求のために、外交とか、話しあいとか、いろんな方法があるけれど、最初から軍事力を使うということがありますよね。日本はそういうことはしてはいけないということになっているけども、これは、他の国は使うわけですよ。こういう目的があって、どれほど簡単に軍事力を使うかというところに、今回の特徴というのが分かれる、区別できるんです。残念ながら、中国の場合には非常に簡単に、海洋紛争その他で軍事力を使ってくるわけですし、だから、平和ということをおっしゃっているけれども、確かにそういう面もあるのでしょうけれど。たとえば、南ベトナムという国があった時に、西沙諸島を一気に人民解放軍が軍事力で獲った。最近ではフィリピンに対して同じスカボロー諸島といったかな、それを軍事力でバッと獲っている」
朱教授
「中国軍は1度も、海軍は1度も出動していませんよ」
古森氏
「だって、実力部隊ですよ。海警とか、いろんなのがいるかもしれない」
朱教授
「フィリピン軍は、その横にあるんですよ、軍艦が」
古森氏
「1995年かな。スカボローですよ。それは、アメリカが撤退をするという時に、(撤退が)わかった時にバッと来る。アメリカがいなくなった時バッと来る。低いレベルの軍事力行使というのは、だから、いろいろおっしゃったけれども、ベトナムに50万人の中国人民解放軍が入っていった。ソ連とも戦った。インドとも戦った。皆戦ったわけですよ、中国軍は。だから、中国という国家が軍事力を簡単に使うということは、これは事実として認めざるを得ないと。ただ、慎重ですよ。冷徹です。だから、今度、南シナ海の埋め立ても、アメリカがいよいよ中国側から見ての領海に軍艦で入ってきますよということを言ったら、すぐに完了をしたと止めたんですね。一応、中断した。これは、強い相手とはやらないという、非常に理性的だという点で、我々は安堵するんだけれど、相手が弱いところだったらスパッと来るわけですよ。だから、平和という中国の夢とか、平和的発展とか、いろいろあるけれども、言葉と行動の乖離というのが、中国ウォッチをやっていると、どうしても1番大きな要素ですね。バンときますね」
朱教授
「古森さんが、アメリカの専門家で、長年アメリカにいて、現在、中国についていろいろ批評をされたんですけれど、アメリカという国はこの十数年の間にどんどん戦争をする。1番、戦争を多くした。戦争に踏み切っているということ。それについてはどう思いますか」
古森氏
「よくないと…」
小原氏
「そこは認識の差があることこそ問題だと思います。現在のこの議論はいつまで経っても終わらないと思いますので、この認識の差をいかに埋めるかということが大事だと思います。先ほど、おっしゃった軍事的な意味については正しくないので、これは機会があれば、また、お話をさせていただきたいと思いますが、その認識の差を埋めるということについて、私が心配しているのは、別に日本やアメリカが打撃を受けるということではないですね。ここで、もしアメリカと中国が戦争を起こせば、第一に被害を受けるのは中国です。さらには中国が被害を受けることによって、国際社会自体のダメ―ジも非常に大きくなる。なのに、中国があまりに米中にこだわり過ぎることに非常に懸念を持って…、さらに、ここで起こっていることは米中ではなく、日本や韓国、オーストラリアといったアメリカの同盟国と言われるかもしれませんが、最近ではヨーロッパも、中国が国際機関に対して挑戦しようとしているのではないのかと。ただ、挑戦はいいのですが、それを、実力をもってやろうとしているのではないかという、これも懸念を持っているからこそ、強く反応をするわけです。ですから、こうした疑念を中国が違うとおっしゃるのであれば、それは中国にちゃんと証明してもらいたいと思いますし、中国はアメリカを怖がるということであれば、それはアメリカもその意図をしっかりと示していくべきだと思います」

自衛隊は何が可能になるのか?
秋元キャスター
「南シナ海の事態に対し、アメリカは日本に対して情報収集、監視などの活動というのを期待しているのでしょうか?」
古森氏
「広い意味では期待していますね。ただ、日本も主権国家であって、憲法第9条というのはあるし、いろんな形で普通の国とは違いますから、軍事力は使えないという。だから、そのへんの事情というのはよくわかっていますから、面と向かってもっとこれをしてくれ、あれをしてくれとは決して政府レベルでは言わないですよ。ただ、議会で本音を語る人達は南シナ海というのも、東シナ海、尖閣諸島の問題も含め、東シナ海での中国の海洋戦略と一体になっているのだから、南シナ海の中国の挑発的というか、国際ルール無視の行動に対しては日本ももう少し積極的に関与してほしいと。たとえば、フィリピン、オーストラリアの潜水艦の技術、あるいは海上哨戒など、間接的な兵站、ロジスティックな支援というのはもちろん大歓迎で、これは面と向かって良くやってくれたということを言うけれど、だから、慎重に見ているけれど、期待は。ご質問に対する答えは間違いなくイエスですよ。期待はありますよね」
小原氏
「現状ではパトロール等はできるのですが、情報の交換等については、アメリカとはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を結んで、“秘”のレベルの情報交換までできると。ただ、こうしたことを他の国とも結ばなければならないということですが、現在、情報収集活動というのを日本の周辺でも行っていますけれども、これは軍事活動として行っているわけではないですね。これは新しい法案になっても変わらないといった時に南シナ海での活動をどのように位置づけるかというのは、まだ議論の余地はあるだろうと思います」
反町キャスター
「まだ議論の余地があるということは、たとえば、情報収集や警戒監視、アセット防護、この場合は共同で監視活動を行っているアメリカの軍艦もアセットに入るという説明ですよね?」
小原氏
「そうです」
反町キャスター
「そういう意味で、共同で警戒監視活動を組んで動いている時に、アメリカの軍艦がどこかの国から攻撃された時に、それを守るという選択肢もこの中に入ってきていると僕は思っているんですけれども、そういうことが今回の安保法制によってよりスムースにできるようになると、そういう理解でよろしいですか?」
小原氏
「はい。今回の安保法制はこれまで穴があったところをとりあえず埋める努力をしたものだと思います。ただ、実際の行動は法律でオプションは持っておくべきだと私は思います。全てのオプションがあるべきだとは思いますが、そのうえで能力の問題が議論されなければならない。政策的にこれを実施すべきかどうかという可否の問題。この議論があって初めて部隊を出す、出さないの決定がなされるべきだと思いますので、法案としてオプションを広く持たせることは、本質的な議論を導くためには非常に大切なことだと思います」
反町キャスター
「選択肢として手にしておくべき話だと、こういう理解でよろしいですか?」
小原氏
「はい」
反町キャスター
「フィリピンのクラーク基地を拠点にして日本のP-3Cが警戒活動を行うことがスムースに可能ならしめるのが、今回の安保法制の肝である?」
小原氏
「はい」

自衛隊の情報収集&警戒・監視
反町キャスター
「日本がそういう行動をスムースにとれるようになることについては、中国からはどう見られているのですか?」
朱教授
「最近の日本国内のこのような議論そのものも中国から見れば一種の観測、そういうような可能性がどうなのか、中国がどこまで反発するかということですけれど、中国の最近の動き、反応で見れば、実は米中の戦略と経済対話で、1年対話の中で実は南シナ海を巡って、互いに軍事的手段をとらないというところで今回合意したんです。あくまでも外交手段で解決すると。交渉すると。そういう意味で、中国は最近、日本が何で南シナ海のことで、こんなに積極的に軍事的な貢献やら協力ということを言っているのかと。そこは日本であまり報道されていないわけですけど、6月初めに訪米した中国軍の実質ナンバー1の范長龍副参謀総長がアメリカで、日本の動きについて名指しで批判しているんですよ。何でそこに出ているのかと。ですから、それに対して、我々は絶対容認しませんよということで、日本がなぜそうしているかという分析ですけど、森本元防衛大臣がおっしゃったように、中国の現在の海軍力、空軍力はまだ二正面対応ができないですから、南シナ海に集中するのに日本への圧力は軽減されると。言ってみれば、中国から見れば、日本が戦略的意図を持って、南シナ海のところの緊張の、むしろ持続というところを狙っているのではないか。中国がその泥沼に陥るようにと。だって、南シナ海で本当に戦争になったなら、1番損害を受けるのは中国です。輸送ルートですね。日本にはまだ代替のルートがありますね。中国はほとんど代替ルートがない。もう1つ、現在の安保法制で、安保法制のために中国脅威という口実が必要と。この間、週刊誌の報道で、安倍首相が実はそれが安保法制で、目的は南シナ海ですよということで伝えられて、中国の方で報道官を含めて日本に対して説明してくださいと。日本はイエスともノーとも言わないで、そのようなところで、裏でむしろ中国は日本の意図というのを最近かなり警戒して、警告も送っていると思います」

自衛隊の後方支援
秋元キャスター
「現在の周辺事態法では、南シナ海での後方支援が行えないと」
小原氏
「ただ、今日は南シナ海がテーマではありますけれども、周辺という地域概念を外すと、日本が国際社会の一員であって、国際社会、あるいは地球上のいろいろなところで起きる事象が日本の安全保障に影響を及ぼすのだということの意識の表れですし、これに対応すべきだと。そういった国際社会の安定を保つことが日本の安定につながるのだということを示すものだと思います。南シナ海における現状の力による均衡、これは、日本はそれを捉えているのですけれども、これに対しても、こういった事象も含まれることになるのだろうと思います」
反町理キャスター
「南シナ海の様々な島の領有権を巡り、たとえば、フィリピンとアメリカ軍が中国軍と武力衝突になる。そういうような事態になった時に、それに対して日本はいわゆる国益に関わるのかどうかを冷静に議論したうえで、それらの国に対して、アメリカ以外のフィリピンとか、他の国に対しても後方支援をするようになるべきという考えということですか?」
小原氏
「現在の話でアメリカとフィリピンが中国と戦うといった時に、何のために戦うのかと言うのが気になるところです。たとえば、これが中国とフィリピンの間の領有権を争う問題であれば、これは日本の自国の安全保障に関わらないかもしれない。そういった時に無条件に米軍を支援するというものではないと私は思います。あくまで何が起こっていて、それが日本の安全保障にどのように影響を及ぼすのかという議論が最初にあるべきで、それが日本に影響を及ぼすということが理解されたうえで初めて支援の議論が始まるのだろうと思いますし、2国間の領有権に、これはアメリカも、中国と東南アジア諸国との間の主権の問題には関与しないわけですから、これは日本も当然同じことだと思います」
反町キャスター
「中国は、日本の集団的自衛権の一部容認をどのように見ているのですか?」
朱教授
「日本の憲法にあっているかどうか。日本は法に則って行動しているのか。それとも何かの目的のためには拡大解釈になるのか。歯止めがどこにあるのか。そこの部分が集団的自衛権の議論を見る、中国の背後にある不安なのかなと」
小原氏
「朱先生がおっしゃった歯止めは何なのかということにお答えをすると、それは開かれた議論である。これが民主主義国家の歯止めであって、国民がそれを止めるのだと。開かれた議論こそが本当は国のあり方を決める最大の方策なのではないかと、私は思っています」

小原凡司 東京財団研究員・政策プロデューサーの提言:『国際社会の一員としての認識を』
小原氏
「まず日本は国際社会の一員であるということを強く認識するべきだと思います。日本の安全保障は国際社会の安定によって左右される。このために日本は何をすべきかといったことを考えなければならない。国際規範というのは変えていけないものではない。ただ、議論によって変えられなければならないもので、実力によって変えられるものではない。誰かが実力によってこれを変えようとした場合は実力をもって抑えなければならないこともある。この時に日本はどうするのかということを考えなければならないと思います」

朱建栄 東洋学園大学教授の提言:『東アジアの平和維持 ともに努力を』
朱教授
「日本、中国、アメリカ、周辺諸国と共に努力すべきだということを提言したいと思います。日本が中国に対して、懸念、脅威感を持つと、いろいろな議論が中国は潜在敵国のようなやり方で、やっているんですけれども、一方、中国も70年前の戦争の意識をもって日本を見るというような歪んだところも一部あるんですね。そういう意味で、日中とも、アメリカも巻き込んで、共に東アジアのこの平和を維持するためにどうすればいいのか。1つは民間の対話、政府間の対話。私は防衛軍事当局が共にそういうところで不測の事態を防ぐこと、共にシーレーンを防衛するためにはどうしたらいいのかと。そのようにただ裏で相手が脅威だと見るのではなく、共に一緒に行動する。その努力が必要ではないかと思います」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『米中関係の変動をみつめて』
古森氏
「現在、南シナ海での出来事を見る時にも、アメリカが現在どんなことを考えているか。アメリカは中国をどう認識しているか。中国が何を言って、何をしているのかということを見なければいけないのが大きいです。その点は日本の平和安保法制の議論にも十二分に反映されるべきで、日本国が自国の防衛をアメリカとの同盟、アメリカの軍事力に依存しているという事実。それから、日本の領海に毎週のように入ってくる国が中国であると。その中国がワーッと軍事力を増強しているという。少なくとも潜在脅威としての要因というのは十二分にあるわけで、その2つの国がどういう状態にあるかということを日本の防衛のあり方に反映せざるを得ないと、そう思う次第です」