プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年7月3日(金)
6夜連続…安保法制① 『PKOと後方支援』

ゲスト

佐藤正久
自由民主党国防部会長 参議院議員
長谷川祐弘
日本国際連合協会理事
伊勢﨑賢治
東京外国語大学大学院教授

安保法制検証 どう変わる?武器使用
松村キャスター
「安保法制の政府案の全体像が、自衛隊法改正や周辺事態法の改正など、日本の平和や安全の確保を目的とした部分、日本が行うPKOの活動や諸外国への後方支援など国際社会の平和、安全を目指すの部分に分かれています。今日はいわゆるPKO法の改正と自衛隊の海外派遣を随時可能にする国際平和支援法案を検証していきます。まずは国際平和協力法を見ていきたいと思います。こちらは国連の枠組みで人道的な救援活動に協力するための法律で、これまでも自衛隊は、道路などのインフラ整備や救援物資の輸送などの活動を行ってきました。活動の原則として定められてきた5原則が停戦合意の成立、活動地域国及び紛争当事者の同意。中立的立場の厳守。それらに支障が出た場合、撤収が可能。武器使用は要員の生命等防護のための必要最小限度のものが基本。これが5原則です。今回の法改正では、主に武器の使用基準を変更するというものです。どのように変更するのかと言いますと、武器使用は要員の生命等防護のための必要最小限のものが基本。これに、新たに加え、いわゆる安全確保業務及びいわゆる駆けつけ警護の実施に自己保存型及び武器等防護を超える武器使用が可能という文言が追加されています」
佐藤議員
「法案に書いてあるのは、受け入れ同意。これが安定的に維持されているということが確認されている場合に、この追加部分があるという。要は、これは、武力の行使しないということを担保するために、受け入れ同意があれば、9条が禁止するような、国、または国に準する組織…」
反町キャスター
「受け入れるというのは?」
佐藤議員
「受け入れ国の同意。これが安定的に維持されていれば、国とか、国に準ずる組織が出てくることは少ないねと。これまで23年の経験でも、それはなかったということで、そういうのが担保できていれば、今言われた武器使用を緩和して、任務遂行型の武器使用、あるいは駆けつけ警護を認めることができますねということを今回、憲法9条との関係で、また制限をし直したということの追加です」
松村キャスター
「この安全確保業務及び駈けつけ警護。これはどういったことですか?」
佐藤議員
「駈けつけ警護というのは、自分が正当防衛と緊急避難、自己保存型でしか、武器を使えなかったということから、自衛隊の近くで、日本人とか、NGO(非政府組織)の方が攻撃をされても、自衛隊は武器使用を前提に助けに行けない。自国民を助けに行けない。あるいは離れた場所で、自分の部下、隊員が作業をしていますね、道路工事とか、学校修復とか。そういう時、襲われた時に本隊が自分の部下ですら助けに行けないと。正当防衛ではないから。普通の国の軍隊で、自国民とか、文民を守る、助けてくれと言われて守れないとか、自分の部下を守れない軍隊は、普通はありませんから。それが、これまで駈けつけが認められていたのにできなかった。そうかと言って、本当に日本人がいて、助けてくれと言った時に、助けないという選択肢はかなり厳しいですよ、現場は。何とかして助けたいと思うわけです。そういうことで、長谷川さんが詳しいんですけれど、たとえば、東ティモールで、ディリで暴動が起きた。日本人のレストラン経営者が自衛隊に助けくれと。でも、駈けつけも何もないですよね。どうしたかと言うと、あれ、あいつ、確か部下の隊員が今日休暇で、外出していたよなと。あいつを迎えに行かないといけないと。迎えに行って、そのついでに日本人経営者を乗せてきたと。そういうような、とんちみたいなことを現場の方でやらないと助けられないんです。安定的な受け入れ同意が前提であれば、駈けつけ警護も、他の国と同じようにできるようにしましょうねというのが、この駈けつけ警護です。あと安全確保業務というのは、どちらかと言うと治安維持的に、まさに任務遂行型の武器使用ができるようにしましょうと。治安維持的なこともできるようにしましょうよと。たとえば、これまでそういう警護は任務とかできなくなったために、たとえば、我々はイラクで日本から多くの物資をクウェートまで持って行きました。クウェートから今度は300km近く離れたサモアに運ばないといけない。そういう時にインド人、バングラデシュの方々から、そういう大きなコンボイ、トラックですね、それで運んでもらうと。そういう時に、警備をしないと国境通過はダメですよと。イラク内の移動も警備をしないとダメですよというルールがあったんです、お達しが。でも、警備がいないわけですよ」
反町キャスター
「自分のところに持って来る食料や物資の警備もできない?」
佐藤議員
「要は、コンボイを守れないということです。正当防衛ではないから。だから、いつまで経っても運べませんね。どうしたかと言うと、距離が長いでしょう。道も迷ってはいないから、だから、道先案内人が要りますと。完全武装の装甲車を前と真ん中とあとについたと、誰が見ても警護に見えますけれども、これは道先案内人ですと。現場に無理をさせて、迷わせたことはあったわけです。いろんなことが。そういうことを今回、受け入れ同意が安定的に維持されているのであれば、こういう安全確保業務とか、任務遂行の武器使用とか、あるいは駈けつけ警護とかもできるように改正をしましょうというのが、今回の考え方です」
伊勢﨑教授
「日本においては、武器の使用というのは、特に海外ですよ、海外での武器の使用というのは、日本の場合、自衛隊員が主語です。個人が主語になっているんですよね。しかし、軍事行動というのは国家の命令ですよ。海外においては」
反町キャスター
「PKOに参加することは国家の命令による軍事行動?」
伊勢﨑教授
「そうです。だって、PKFとして自衛隊の施設部隊が入るわけですから」
佐藤議員
「今回、法改正が変わったから、PKFができるわけではないです。武器の使用の制限があったからというのもありましたけれど、法的にはできていない。そこはやってこなかった。それは、まさに、政策判断として日本政府はやってこなかった。これからも、いわゆる南スーダンで展開をしていますよね。それで、我々の得意分野の施設部隊を派遣して、そういう文民の一部の支援とか、あるいは人道支援をやっています。そういう部分の中で、安全確保業務で駈けつけようというと、できるようにすることによって、さらに、これまでやった我々の活動をより円滑に、安全にしようというのが、今回の考えです。だから、私はサマワに行きました。我々の仕事は人道支援です。だけれど、我々は治安維持の任務はないわけです。我々は、ある町でこういう人道支援をしたいと言っても、そこにいるオランダ軍が治安維持で来てくれるとは限らないわけですね。今回これができれば、たとえば、1人の指揮官の下に、人道支援部隊と自衛隊の限定的な、そういう治安を維持するような警備部隊がいれば、自分で自分を守れるという治安維持の機能を持ちながら、そうすることによって治安が良くなれば復興支援は進む。復興支援が進めば治安が良くなると。相乗効果。今回の改正で、文民の活躍の場を広げて、強制事務の司法関係とか、あるいは立法関係に関与するようにしていますから。1人の指揮官の下で、そういう立法、あるいは行政、司法、あるいはそういう人道支援、治安維持というのを一体的にできれば、町が、あるいは市が良くなる場合もあるわけですよ。そういうレベルで現在、議論をしていますから」

世界が見る日本のPKO
反町キャスター
「国連というか、国際社会から見た時に、日本のPKO、今回の法改正をしたうえでも、ここまでしかできなかったのがちょっとここまで広がるPKOについて評価。僕らの感覚で、すごく大幅な改正だから、これは評価してくれるのだろうという期待感もあっての改正だとした時に、世界はどう見るのですか?」
長谷川氏
「それなりに国連、国際社会では評価をしてくれます。しかし、既に、国連の担当者とか、多くの国においては日本が憲法の下で、制約があって、国際社会が期待していることを自衛隊ができないことも理解しています。ですから、日本の自衛隊からの期待感というのは、それほど高くはないですね。戦闘部門に関わっていくとか。それと同時に、日本の自衛隊が道路を直す、あるいはそこで使ったブルドーザーの使い方を教えるとか。そういうことをすることに対しての評価は非常に高いです。受け入れ国にとってみれば、日本の自衛隊が来ることによって、復興事業とか、そういう部門、インフラの整備ということを行って、他の国と同じようなことをするということは、私はわからないです。なぜかと言うと、自衛隊にはこれまでしてきたことに対する高い評価がありますから」
反町キャスター
「伊勢﨑さん、PKOに参加する国も、言葉が悪いかな、ドンパチ担当か、復興担当か、もしあるとすれば、日本の果たすべき役割というのはドンパチ担当でなくてもいいのではないかという話ではないかなと僕は思ったんですけれども」
伊勢﨑教授
「だから、それは昔のPKOですね」
反町キャスター
「それは現在だって、復興担当は必要でしょう?」
伊勢﨑教授
「必要ですけれども。だから、東ティモール、僕がいた時は戦闘が主体のPKOだったんですね。その後、復興、長谷川さんになられて、復興中心ですね。あの時に自衛隊を出した時に、それも一大隊600人ぐらいですと言ったわけです。小泉さんに呼ばれて、行って、自衛隊員ですから、それは仕事をするでしょう。真面目に仕事をするし、実際、就かれたわけですね。でも、軍事的なニーズはありませんと言ったんです。つまり、工兵大隊、日本で後方支援と言っていますけれども、後方支援という言葉はないですからね。ロジスティクスですから、兵站と訳してくださいと。兵站とは別に小学校をつくることが目的ではなくて、戦闘部隊の補完をすることですから、基地をつくったりですね。それが目的でやっているわけですから。僕の下でもパキスタン軍の工兵なんていたわけですね。まさに、彼らは自己完結的に、これはしっかりと認識してほしいんですけれども、国連PKOにおいては、PKOのROE(行動基準)というのは、攻撃部隊であろうが、工兵部隊であろうが、実は同じです。ただ、業務が違うだけだから武器の使用の頻度が違うだけの話であって、武器の使用基準は同じですから」
佐藤議員
「ただ、日本は違うんです」
伊勢﨑教授
「ただ、そういうところになぜ…。だから、無理をして出さないと。国連的ニーズがないと。軍事的ニーズと人道的ニーズと分けて考えてくださいと言ったんです」
反町キャスター
「日本は人道的ニーズに応えるPKO参加ではダメなのですか?」
伊勢﨑教授
「それだったら、費用対効果の面から業者に頼んで、小規模の警護をつけてできるわけです」
佐藤議員
「そうじゃない。だから、運用ごとに、現在の国連のスタンダード、武器使用基準と自衛隊の武器使用基準は乖離があるわけです。そういう中で、これまで2年間、PKOをやってきたわけです。我々はどちらかというと、後方支援、それは兵站という言い方ではない部分がある。学校をつくるとか、まさに、それは軍事に対する支援ではなく、民生支援の分野もやっているわけです」
伊勢﨑教授
「僕の時にはNGOにやらせていたんですがね」
佐藤議員
「だから、NGOの方はイラクの場合、なかなか入れない。つまり、自分で自分の身を守れて、しかも、自分の食事とかを含め、そういう自分の面倒を見られる。しかも、そういうある程度の安全確保能力もあると。業務と自己完結性とそういう安全確保。3つを備える組織は、普通では軍ですよね。とりあえずある程度、治安がすごく良くなれば、軍がNGOを警備していくというステージも増えるかもしれない。でも、軍でないといけないような場合もあるわけですよ。そういうステージはいろいろあると。南スーダンの場合、これは国づくりの支援で行きました。今回、治安維持を担当している部隊はほとんど発展途上国の国から出ているんです。今回、南スーダンはね」
伊勢﨑教授
「いや、工兵部隊も発展途上国です」
佐藤議員
「今言った治安維持をやっている歩兵部隊を出しているのが、全部発展途上国なわけです」
伊勢﨑教授
「PKF全体が発展途上国は周辺国です。先進国は出しません」
佐藤議員
「南スーダンで、歩兵部隊、治安部隊を出しているのは、全部、発展途上国。その中で、後方支援とか、そういう分野をやっているのは日本とか、韓国がありますけど、そこには先進国からも派遣をしている。先進国の強みというのが、そういう難しいような兵站支援、あるいは人道支援的な部分の方が得意な国が多いわけです。だから、この前は韓国が、弾薬が足りなくて、それは先進国が使っている5.56の口径、それの弾薬は日本しかないんです。他の発展途上国は7.6mm。違う口径です。先進国の方がどちらかと言うと、PKOではこういう後方支援をやり、発展途上国が歩兵部隊を出しているというパターンがあるわけです」
長谷川氏
「そのことについて3週間前に、私はソウルで韓国の方々と会って、いろいろと話しあいをしました。ここでは、現場の人達はお互いに協力をしていこうという気持ちが高いです。なおかつ中国も現在、南スーダンに多くの隊員を出しているわけです。ですから、私が感ずるのは、日中韓が国連の場において協力して、これまで西欧諸国が行ってきたようなこと、PKOの違いですね。同じようなアプローチをするのではなくて、住民のことを考えてやっていくとか、そういうことをどんどん考えることが必要だと思います」
反町キャスター
「それは、日本のPKOだと、他の国に比べるとその可能性、余地、技量はある?」
長谷川氏
「あります」
佐藤議員
「日本が評価をされているのは、規律の正しさ、それから、正確さ、あるいは心、住民との付き合い方。この3つは他の国よりはレベルが高いと評価をされている」
伊勢﨑教授
「それは、僕は全然、否定をしません。自衛隊は素晴らしいと思いますよ。でも、現状、長谷川先生の話にも出ましたけれども、南スーダンを含めて、中央アフリカ共和国、最近はコンゴも、この3か国というのはこれからPKOのスタンダードになりつつある。その他いっぱいPKOがアフリカに展開しているが、全て住民の方。特に、この3つに関しては、住民の保護がすごく前に出ているわけ。国家の代わりをやるということです。どういうわけか、南スーダンだけ韓国、中国、日本だけが部隊を出しているんです。あとは全然出していません、先進国は。この頃は旧宗主国も出しませんから。出しませんよ」
反町キャスター
「それはリスクが高いから?」
伊勢﨑教授
「それはそうですよ。住民を守るためにドンパチをやらなければいけないのですから。国防以上のインセンティブというのは、どの国にもないですよ。これは。それをわざわざやりに行くというのは、特別の事情がある国しかないわけですよ」
反町キャスター
「そういった現在の3つの国というのは、今後、PKO派遣の、日本政府における前提となっている受け入れ国の了承とかというのは、ないですよね?」
伊勢﨑教授
「ないです。だって、そういうものがあったら何で住民の保護をしなければならないのですか」
反町キャスター
「そういうところは日本の自衛隊のPKO派遣に当然、入らない。大前提は受け入れ国の要請ですよね?」
佐藤議員
「5原則がないといけないですよ」
反町キャスター
「そういうことですよね」
伊勢﨑教授
「ただ、アフリカ、南スーダンはすぐに帰ってこないといけないです。本当だったら」
長谷川氏
「ないというのは誤解を生む。なぜかと言うと、そこにいる政府とか、当事者、彼達が、国連が入ってくるということに対して反対はしないですし、ですから、私達が、彼達に合意を得るということはできます。ただ、その同意をしたからといって、彼達が、私達に期待しているようなことができるかと言えば、全然できないです。と言うことは、私は、伊勢﨑さんが国家ということを言っていますけれども、国連がしていることは、徐々にその地域で、複数の国も含めて、そこでの最低限度の人命を守るという、ガバナンスの、そういう担い手になってきているわけです。ですから、それも認識をしないと。私達が国として貢献をしていると。相手国のみのことを考えているわけではないです。国連というのはそれなりに世界のガバナンスということを徐々に受け持ってきていると。そこに日本が参加するか、しないか。そこで、私は2週間前にハーグで、現在、国連は70周年の会議を開いているんです。そこでカナダ人と会ったんですね。議論になったのは、湾岸戦争の時に日本は非常にお金を出したと。自衛隊は非常に人命というのを尊重しており、日本は民主主義国家であるということを力説したんです。けれども、カナダ人はそれに対して、すごく反発をしました。なぜかと言うと、日本が自分達の国民のことだけを考えて、行動をするというのは、彼達としては納得いかないと。カナダは、だいたい150人、もう既に命を落としていますよね。彼達は、グローバルガバナンスの1つの手段で、そこにカナダは参加をしているんだという問題意識があります」
反町キャスター
「日本の憲法上の制約というのは全然、理解されないわけですよね?」
長谷川氏
「されないです」
反町キャスター
「話をされたカナダ人というのは、国連の中においては各国の憲法よりも国連憲章、並びに国際条約みたいなものが上位概念で、そちらが優先するのが当たり前であるという、そういう感覚で皆さん、いる?」
長谷川氏
「そういう方向に向かいながら、彼達は参加していると。そういうことですね」

武力行使との一体化
松村キャスター
「活動の要件としまして、国連の決議が必要という点についてはいかがですか?」
長谷川氏
「これは非常に重要なことで、国際社会の一員としてこういう活動に参加する時に国連の総会、あるいは安保理の決議、要請というものがなければできないと思います。なおかつしない方がいいと思います」
松村キャスター
「他国の武力行使との一体化を回避とありますけれど、現場でこうしたケースというのは判断できるものなのでしょうか?」
佐藤議員
「これはもともとこれまで我々がサマワで行ったのも、非戦闘地域の中に実施区域を設けてやると。非戦闘地域であれば、武力行使の一体化をしないという、憲法上の官僚がつくった概念的な整理をやっていますから、それはないわけですよ。さらに、我々が活動するのに非戦闘地域の中で、限定した実施区域の中でやりますから。そこは違ってくるんですね」
伊勢﨑教授
「僕が知る限り国連PKOの世界でも有志連合的なアフガン、イラクの世界でも、現に戦闘が行われていない現場と言える、そういう概念上の場所をつくろうとしたら、それは基地の中だけですよ。現在、我々が戦っているのは両方、国連PKOもそうではない、有志連合、いわゆる非対象戦ですよ。つまり、敵は民衆の中にいるわけです。民衆が普通の生活をしている中にいるわけです、彼らが。だから、どんな場合でも基地を一歩出たら、そこは戦闘地域ですよ。民衆一般生活、そこから撃ってくるわけだから。それでも中に迫撃砲を撃たれた、日本の自衛隊が。プラス自爆テロ犯も入っているわけです。だけど、少なくとも兵士達が枕を高くして寝られるところというのは武器で守っているわけだから基地の中だけです。国連でもNATOとか、アメリカの考え方もそうですけれども、基地を一歩出たら、線引きがあるわけではない。危険度のグラデーションがあるだけの話です。それは日夜変わるんです。これが一般的な考え方。これに沿って考えてほしいです。1つは、言わせてもらうと、一体化ですけれども、一体化しないわけがないです。それは国連PKOでも、有志連合的なものでも。皆、ボランタリーにやっているわけですね。だから、撤退をするのは勝手なわけです、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれど、そういう意味では一体化してない。しかし、送ってしまえば、それは統合司令部の運用の指揮下に入るわけです。それはなぜかと言うと、統合司令部は必ず国連の場合は国連地位協定を政府と結ぶ。これが有志連合的だったら軍事業務協定を現地政府と結ぶ」
反町キャスター
「これは日本から送られた部隊も統合司令部の命令下に全部入るのですか?」
伊勢﨑教授
「当たり前です、それは。運用上の指揮下に入ります」
反町キャスター
「たとえば、中断とか、撤退はどうなるのですか?」
伊勢﨑教授
「できませんよ」
佐藤議員
「我々もインド洋に行きましたよね。インド洋のケースでも別に多国籍軍の中の指揮下に入っていない。イラクにも行きました。向こうの多国籍軍の指揮下にも入っていない。そこは日本の指揮下であって、ただ、業務関係のコントロールというか、コーディネーションの世界あります。統制調整、そこは違います。武力の行使の一体化の議論がこんがらがっているのは、指揮の話と業務の話がごっちゃになっているのではないですか。我々もイラクで、指揮は日本の指揮です。ただ、活動する時には調整しなければいけませんよね。オランダ軍の地域にいましたが、イタリア軍の地域に行く時には、事前にオランダ、イタリアと調整し、動く時は統制を受けなくてはいけない。勝手に動いたら、向こうの業務を妨害する可能性もあります。ある程度、統制に入ることになる。軍同士の中で、指揮は受けないけれども、コントロールとコーディネーションを密接にやりながら動くんです。そういうことによって、我々は安全を確保し、彼らにも現在の我々の位置、状況などを教えるということをやりながら、対応している。武力行使の一体化の場合は、国会答弁にあるように、憲法9条で禁じている武力行使の一体化を避けるという意味です。だから、自衛隊が後方支援する場合、相手の支援する部隊がどういう活動をやっているか。同時に、日本の支援がどういう内容なのか。さらに、支援する側と日本の関係はどうだと。業務の密接性はどうだと。4つの評価項目で、これを分けて、現場の方では計画をつくる時に4つの項目に着目しながら、これはどうだとチェックをしてやるわけです」
長谷川氏
「1つ違うことは、国連のPKOがここで扱っていることは、地域紛争ですよ。国際紛争ではないです」
反町キャスター
「そうした憲法論は国会で行われていますか?」
佐藤議員
「それはこれまでもありました。だから、アフガニスタンになれば、タリバンは、これは国なのか、国に準ずる組織なのかということで、国際紛争になるのかどうかという議論はこれまでされています」
長谷川氏
「なおかつ、そこで重要なことは、アフガニスタンにおいてアメリカの指導の下での多国籍軍として参加した場合においては、それは国家中心主義の行動であり、国際紛争ですよ。しかし、それが国連で行っているPKOの中で行う場合には地域紛争になる」
伊勢﨑教授
「国際人道法の議論の中では、これは事実上、決着がついていまして、一応内戦みたいなのがドメスティックウォーですね。しかし、アフリカなどで見ていると、アフガンなど中東でもそうですけれども、敵対している、国に準ずる反対勢力です。国境をまたいでいる。それに対して我々はインターナショナルトループスで戦っているわけでしょう。現在、言われているのは、インターナショナルドメスティックウォーという考え方になっているわけです。つまり、国際人道法も昔は国と国の交戦相手という考え方でできたんですけれども、1940年代にですね。それは運用によって、現在は違うんです。現在はそういう国準にあたるものも、いわゆる国際人道法が牛耳る世界になっているわけです。つまり、国際紛争です」

検証 PKOと後方支援 自衛隊員のリスク
佐藤議員
「今回、平和安全法制で、平時から有事まで切れ目なく日米が連携する体制をとることによって、抑止力は高まると。抑止力が高まれば、それは国家国民のリスクも、あるいは自衛隊のリスクも下がる。全体としては下がる。でも、個別のケースごとに自衛隊がどこで何をやるかというものによっては、リスクにいろいろ凹凸はあると思います。その部分の議論をしないといけないわけです」
長谷川氏
「そこで付け加えておくべきことはリスクと同時に選択肢が増えるということです。活動の範囲が増え、そこにおいて自衛隊、あるいは国の方でどこへどのような状態で行くかということを決めることが大事です」
佐藤議員
「伊勢﨑先生が言われるようなフルスケールのところであれば、それはリスクは高いかもしれないですね。そこ以外は派遣しない、そういう選択肢もあるわけです」
反町キャスター
「自衛隊の海外派遣手当、死亡した場合は最高5000万円、イラク、ソマリアにおいては9000万円、これは十分なのですか?」
佐藤議員
「イラクとソマリアは最高9000万円でしょう。これはPKOではないからです。現在行っているようなPKO、たとえば、南スーダンは6000万円です。けれども、よく言われるのは、消防の方がこういう殉職をされた場合は9000万円です。それは国と県と市があるから。私も国会で、この表使って議論したこともあるんですけれど、これから政治が考えないといけない分野だと思います。ここの手当はもう危険手当ですから」

佐藤正久 自由民主党国防部会長の提言:『オールジャパン』
佐藤議員
「自衛隊だけではなくて、民間、あるいはNGO含めたオールジャパンで日本の得意分野、正確性とか、規律、あるいは心というものをあわせ持った、そういう国際協調に基づいた積極支援。これをやってくべきだと思います」

長谷川祐弘 日本国際連合協会理事の提言:『比較優位』
長谷川氏
「すなわち日本ができることを行って国際貢献をすると。日本ができることは機動力、物事を企画、運営する、そういうことができる。なおかつ、非常に日本の軍隊が、他の軍隊と比べて組織力があると。そういうことが言えると思います。そういう意味で、私の提案として、たとえば、普天間飛行場が空いた場合、そこに国連の平和活動センターを設置し、日本が中心となって、国連のPKFというものを育てていくということをしたらいいと思います」

伊勢﨑賢治 東京外国語大学大学院教授の提言:『自衛隊の海外派遣は憲法改正してから』
伊勢﨑教授
「自衛隊に限らず全ての軍隊、自衛隊を軍隊と呼ぶかはアレがありますけど、国防のために命をかけるというのは絶対にやぶさかではないはずです。でも、国防以外のこと、これはちゃんとした国家がリスクと全責任をとる大義が必要です。大義をちゃんと持たせて、法整備までして、自衛隊をそういうところに送っているかどうか。僕は送っていないと思います。僕は自衛隊の法的な地位ですね、それは憲法の議論になるのですが、これをちゃんとしっかりやって、国民の信をしっかりと得て、それから送るべきだと思います」