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2015年7月2日(木)
林芳正農水相と未来像 ニッポン農業の正念場

ゲスト

林芳正
農林水産大臣 自由民主党参議院議員(前半)
本間正義
東京大学大学院農学生命科学研究科教授
澤浦彰治
グリンリーフ(株)・(株)野菜くらぶ代表取締役

TPP交渉の行方は 日本のコメと農家の未来
秋元キャスター
「今月中に日米閣僚級会合が開かれ、交渉の大きな山場を迎える見通しのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)ですけれど、日本側が重要5 項目とする農産品、これらが主な焦点とされています。コメ、砂糖、乳製品、牛・豚肉、麦となっていますが、これまで高い関税で国内の生産を守ってきた、いわゆる聖域です。項目としては5 つあるのですが、それぞれ細かい品目に分かれています。たとえば、コメですと、精米ですとか、玄米ですとか、それぞれ税率も違って、コメだけで合わせて58品目ということになります」
反町キャスター
「コメとか、砂糖とか、乳製品とかがある中で、どうしても関心がコメというものへの、守る、守らないというより、こだわり。これは自分がコメづくりの農家ではないので、微妙で理解できない部分もあるんですけれども、コメに対するこだわりというのは、どこまで守らなければならないのか。何を守らなければいけないのか。それは、どういう姿勢で臨まれるのですか?」
林農林水産相
「根拠となっている、特にこだわりというのは、私も定義は聞いたことはないので、よくわからないのですが、この5品目の中で、重要な1つであることは間違いないですね。歴史的に考えれば、コメは日本の主食だというものがあって、ただ、現実に言えば、じゃあ本当に、昭和37年がピークですが、あの時に、1年あたり118キロのコメを食べていたんですね。現在、56キロ~58キロぐらいですから、その分、パンを食べたり、うどんを食べたりというのはありますからね。だけれど、田園風景を見ても、まだシェアからいってもコメは大きいというのは事実ですから、コメというのは特別な想いを持っている方がたくさんいらっしゃるということでしょうね」
反町キャスター
「ある程度コメは特別なものとして守らなくてはいけないというところは、当たり前のこととしての、確認ということでよろしいですね?」
林農林水産相
「だけど、他の麦とか、これは5つ出ていますけれども、それと何か差をつけなければいけないということではなくて、同じように大事なものとして、重要5項目というのができています。だから、コメさえ守れば他のものはということではないと思いますね。決議には、そう書いてありますから、決議は素直に読むということだと思います」
反町キャスター
「本間さん、この5項目。守り方、攻め方はないのでしょうけれども、どのようにTPPの舞台でやっていくべきだと感じていますか」
本間教授
「まず、TPPは非常に質の高いFTAを目指すということだったわけですね。従って、なるべく例外は設けないということが望ましいと。つまり、日本の立場として、農業を守るという姿勢と、それから、国際貿易を守るという中で、日本が成長していくと。その両面があると思うんですね。従って、関税は、なるべく低く、ないしは撤廃して、その一方で、農業を守る別の方策を考えていこうというのが求められているんだと思いますね。ですから、関税を入れて守るのではなくて、例えば、直接支払か、様々な技術に対する支援だとか、あるいは、言ってしまえば、離農ですね。規模拡大のためには、一定の農地しかありませんので、何かに担ってもらわなければいけない。そうすると、誰かが退出しなくちゃならないと。そのための補助金を出すといった、そういう方向で、関税に頼らないやり方を、まさにTPPを契機にして考えていっていただきたいと思いますね」
反町キャスター
「昨日のゲストは甘利さんでした。甘利さんもTPPの話で、こういう話をされているんです。『衆参両院の農水委員会の決議には、関税率は何パーセントと書いておらず“再生産が可能”という表現なんですね』と。『基本的に国内農業への対策が必要にならないことを目指しているが、交渉妥結後に再生産をさらにあと押しする必要性など、いろいろな議論が出てくると思う』と。本間さんに聞いた方がいいのかな。農水省が現在、進めているコメづくりの方向性というのは、現在、コメづくりをしている農家の皆さんと同じ規模で、同じ水準で続けてくださいということを目指しているのか。それとも先ほど言われた離農も含め、集約も含めて規模としては全体の生産水準をちょっと減らしながらも、より効率的なコメづくりを目指しているのか。僕は、政府ははっきりしたメッセージを出していると思いますが、そこはどうですか?」
本間教授
「そうだと思います」
反町キャスター
「出していますよね?」
本間教授
「つまり、規模拡大、あるいは農地の集約化ということを通じて、コメの生産比を下げていくと。これは明らかなメッセージですね。ですから、再生産が可能といった場合に、量的な再生産を可能とする。それを誰が担うかということが、重要な課題になってくると。従って、現在、担い手に生産量をシフトさせて、なるべく大規模な形に対応するように担うような形での農地の集積をやっていくということを、まさに進めているわけですね。ですから、再生産が可能だということは、現状維持ではなく、むしろ生産比を下げて、なおかつ日本のコメの生産を維持していくんだというメッセージで、農水省はその政策を打っていますので、私は、それをもっと積極的に進めていけば、十分国際的に対応が可能な稲作ができてくると思っています」

農業改革の進捗と課題
秋元キャスター
「ここからは、今国会に提出されている、農協改革関連法案について、その狙いなど詳しく聞いていきたいと思います。この法案は、火曜日に衆議院で可決され、引き続き、参議院で審議されるもので、その主な内容がこちらですけれど、農協については、全国の農協を束ねている中央会。いわゆる全中のあり方の見直し。たとえば、全中が、全国で行ってきた会計監査を廃止し、地域農協がそれぞれ、会計士に頼むという形にし、全中と地域農協の関係を少し弱めて、その分、地域ごとの農協は創意工夫をして、農家の所得向上に全力投球するという方針です。農協以外に、農業委員会にも改革案があります。これは地域の農家代表が集まって、農地管理や技術指導をする組織ですけれど、これまで地域ごとに選挙をして、メンバーが選ばれていたものを、今後は市町村長が任命する方式へ変えるという案です。もう1つの柱は民間企業などが農業などに参入する際に設立する農業生産法人に関する改革案です。これまで役員のうち、4分の1以上は、実際の農家の方が関わっていることが義務つけられていたのですが、今回の改正案では最低1人へと緩和されていて、一般企業が参入しやすくなると言われています」
反町キャスター
「投資のイメージ、自由化の市場メカニズムというのがこれまでの農業には足りなかったというのが基本的な視点だと。こういう理解でよろしいですか?」
林農林水産相
「これまでもいろいろやっている人はいるのですが、もっと促進をすると。だから、これをやったら、すごく農業所得が上がると、すぐそういう質問がくるのですが、そうではなくて、これは必要条件でより自由にすると。と言うのは、自由になったらすぐにモノが売れるかと。そうではなくて、自由になったところで、もっとがんばると、そのプレーヤーが。そのためのいろんな道具は政策で用意をしました。だから、この道具を使って、プレーヤーが自由に本当にがんばってもらうということがあって、初めて十分条件だと思っているんですね」
反町キャスター
「この3つの、農協、農業委員会、農業生産法人。特に、農業委員会について、ちょっと聞きたいんですけれども、確かに、農業委員会というのが、地域の農地の貸し借りとか、そういうところに対して深くコミットしていた組織で、そこのメンバーというのが、公選制といっても無投票で、ないしはやるとしても兼業農家が多く、本格的に農業をやるという人達がなかなか、そういう人達の意見が反映されないというところに問題があったというところはいいですよね?」
本間教授
「農業委員も様々な農業委員がおられまして、とってもよく働いて地元に貢献をした農業委員の方もたくさんいます。一方で、無投票でなかなか本来の役割を果たし切れていない農業委員会があることも確かなわけですね。だから、もう1点、農業委員会、そのものの役割が変わってきたということが大きいと思うんですね。もともとの農業委員会というのは、いわゆる農地法ですね、農地法において権利移動、賃貸をやったり、それから、売買だったりする時の審査をすることが目的であったり…」
反町キャスター
「それが最初の目的だったんですね?」
本間教授
「それがだんだん制度が変わってきて、特に農地の中間管理機構なんかが出てきますと、その賃貸は、むしろそちらの方でバイパス的にやりましょうという話になってきたわけです。農地中間管理機構の前からそうなっています。そうすると、農地法の番人というよりも、農地の耕作放棄地だとかの有効利用を監視するような役目に変わってきたと」
反町キャスター
「農業委員会の目的が?」
本間教授
「従って、今回の改正でも、農業委員会とあわせて農地最適化推進委員というのを設けまして、彼らが耕作放棄地の監視をしていく。そういう制度をつくったわけです」
反町キャスター
「それは新たにあるように市町村長が選任する形が、1番いいのですか?」
本間教授
「それでいいと思います。地元の中で、誰が農業委員になると言った時に、様々な思惑がある。あるいは実は話をすると、長くなるんですけれど、農地の転用に関する・・・」
反町キャスター
「宅地。商業用地?」
本間教授
「はい。変わっていく時の審査もやるんですね。決定権は都道府県知事にあるんですけれども、そういう中で、内輪で、自分達の利害を決めてしまうというのは、公正性の欠如がありますので、それは市町村長が公正な判断の下で選定をしていくということの方が私は望ましいと思います」
反町キャスター
「利害に直結するような話であれば、市町村長が選任ということよりも、もっと透明性の高い形で選ぶ方法はないのですか?ここが限界になりますか?」
本間教授
「そうですね」
反町キャスター
「もう少し悪く言ってしまうと、お手盛りのリスクがあると、そういう話ですよね」
本間教授
「そうです。現在の状況では」
反町キャスター
「お手盛りを防ぐためには市町村長が選任するのが、1番いい方法なのか。ないしは公取みたいなイメージかどうかは別にしても、もうちょっと、そういう透明性の高いものがあっても良かったという話には?」
本間教授
「透明性の、まさに農地に限らず、地域の土地利用をどうするんだと。いわば土地利用計画ですね。それを農地含め、全体で話をするという議論もたくさんありました。しかし、私もそういう方法が望ましいとは思っていますけど、そこに行くステップの1つとして、まずは現在の農業委員会の役割を見直し、なおかつ実態にあった形で、耕作放棄地等々の効率的な農地が利用されるかどうかということを監視する方にウェイトを置くという形にしたということがありますので、ここは試行錯誤ですね。転用期待をいかに防ぐかと。お手盛りをいかに防ぐかというのが、まさに、地域で全体の土地利用ですね。農地に限らず、そういうことを審議する委員会というのが必要だと」
反町キャスター
「農地の宅地転用とか、商業地への転用についての最初のゲートになる、判断を示すことになっているということが、どれほどの利権がそこに生じているかということについてあまり知られていないということはないのですか?」
林農林水産相
「先ほど、本間先生がおっしゃったように、様々な、すごくうまくいっているところもあるし、アンケートをとると、ちょっとというところもあるので、なかなか一律にこうというのは考えにくいところがあって、従って、今回、試行錯誤、先生がおっしゃったように、やってみて、別に、これで100年、これで行くと言っているわけではないのだから。これでベストだと思ってやっていますけれども、やりながら、いろいろ見直すべきところを見直すということがあってもいいと思います」

コンニャクから年商27億円へ 農業経営の戦略と課題
秋元キャスター
「澤浦さんは、2つの株式会社の経営責任者でいるということですよね。1つ目がグリンリーフ。こちらはコンニャク芋、白菜、小松菜など有機野菜の生産と、それから、コンニャク、漬物などの加工商品の生産、つくったりもされているということです。農地がおよそ20ヘクタール。社員が90名ということです。もう1つ、野菜くらぶという会社は、地元農家3軒が集まって設立した会社で、レタス、トマト、キャベツ、大根など、有機栽培、特別栽培を主体に、およそ40品目、年間100社以上の取引先との契約栽培をされていることで、農地は、青森県とか、静岡県など、全国に展開を広げていて、およそ415ヘクタール。14の農業生産法人を含め、生産者は74名ということです。2014年度の年商は2社合わせて27億円ということですけれども、この多角的な農業経営はコンニャク芋、自家製でコンニャク商品に加工することからスタートされたということですよね」
澤浦氏
「そうですね。ちょうど平成元年ぐらい。あの時はGATTのウルグアイラウンドの時だったんですけれども、その時にコンニャクの相場が暴落し、経営がやれなくなってきたんですね。その時に、何でやれないのだろうと。自分は農業が好きで始めたのだけども、何でやれないのだろうと。そう考えた時に、自分で値段をつけられない農業をやっていては、これは先が見えないと。それでコンニャク芋に値段をつけるためには、スーパーマーケットには安かろうが、高かろうが、同じ値段で売られているので、単純な考え方で、だったら、コンニャクにすれば、これは値段がつけられるということで、そこで、自分で加工して、コンニャクにして、販売を始めたんですね」
反町キャスター
「コンニャクというのは、比較的に勝負をする作物として、迷いはなかったのですか?」
澤浦氏
「目の前にコンニャクしかなかったんです。単純に」
反町キャスター
「他に選択肢はなかった?」
澤浦氏
「見ればあるのでしょうけれど、でも、自分の1番身近にあって、1番得意なもので、勝負というとおかしいですけれども、取り組んでいくということが、1番早いですよね。そこで、いろんなところで何が儲かるかでなく、1番身近にあって、1番得意なもので、加工をしていくと。それがいいと思う」
反町キャスター
「特に、法人化、大規模化するのにお金が必要ですよね。資金の手当てとかはどうされていたのですか?」
澤浦氏
「最初は本当に自前のお金で10万円とか、そういう小さなお金で始めたんですね。ですから、最初からお金がなかったから逆に良かったんです。ところが、それが平成6年ぐらいになってきて、いろいろとお金が必要になった時に、ちょうどスーパーL資金(農業経営基盤強化資金)という制度ができた。公庫の、長期の融資制度ですね」
反町キャスター
「それは農業を対象とした融資?」
澤浦氏
「農業に対しての。そういう制度ができて、それを利用して、工場をつくって、やっていると、またいろいろと資金が必要になってくると。そんな時に、株式会社が農業できるようになって、そのあとアグリビジネス投資育成という会社ができて、そこから、今度は出資をしていただいて、また、資金調達ができて。そうすると、今度、一般の銀行が農業を投資育成から出資してもらっている会社だからということで、普通の会社と同じように融資をしてくれるようになって、そんなことで、その都度、その都度、資金調達ができるようになってきたんですね」
反町キャスター
「金の話ですけれども、2つの会社をあわせて、従業員は160名、170名ぐらいになるのですか?」
澤浦氏
「そうです」
反町キャスター
「年商27億円。会社ということは月給制なのですか?」
澤浦氏
「グリンリーフとか、野菜くらぶの社員さんは全部月給ですね。この74人の生産者に関して言うと、この人達は生産して、出荷した、販売した野菜が収入になります」
反町キャスター
「そこの部分が天候による不作。そのへんの変動部分というのは、他の野菜でヘッジするとか。そういう安定した給与、生活水準を維持できるようなシステムが何かあるのですか、そこには」
澤浦氏
「そうですね。ですから、まず技術を上げるということですよね。もう1つは、ストックできるような加工品にしていくということも非常に重要だと思うんです。それから、あとは野菜で言えば、地域を分散してリスクヘッジして、青森とか、群馬とか、静岡ですね。そういういろんな工夫、だから、何か1つやったらうまくいくではなくて、いろんな工夫をしていくことで、安定化をさせていくということが大事だと思います」
反町キャスター
「このシステムをつくるまでに、今日、前半の議論になった、たとえば、農協の問題とか、農業委員会による農地の問題。それはビジネスだから、展開するのに障害にはならなかったのですか?」
澤浦氏
「障害は、私達よく農協と対立する立場としていろんなところで取り上げられるんですけれども、別に対立も何もしてないですよ」
反町キャスター
「対立していないのですか?」
澤浦氏
「対立していないですよ」
反町キャスター
「話を聞いていると、どう考えても、農協に卸していませんよね。直接ですよね」
澤浦氏
「直接、お客さんですね」
反町キャスター
「そうすると、農協は何でうちを通さないんだと、まず、そこで摩擦が生じるのではないですか?」
澤浦氏
「逆に言うと、農協のお客さんを獲っているわけではないので、自分達の昭和村というところで、農協は農協でお客さんを持ってやっていますし、私達は、私達でやっている。ですから、棲み分けがしっかりできているんですよね」
反町キャスター
「別に地域の農家の皆さんの生活を圧迫しているわけではない?」
澤浦氏
「全然」
反町キャスター
「肥料とかどうしているのですか。いわゆる農協関係のところから購入しているのですか?」
澤浦氏
「私達が所属しているJA利根沼田に関していうとマルチとか、肥料とか、そういうものは、非常に安くなっているんですよね」
反町キャスター
「それはよく言われる」
澤浦氏
「それは、それぞれの農協によって、そういう努力をしている、してないがあると思うんですよ、違いが」
反町キャスター
「林さん、話を聞いていると、澤浦さんのビジネス展開と、農業委員会とか、農協とか、共済連との関係とか、どう見ていますか?」
林農林水産相
「おっしゃった通りで、対立軸で…これはメディアだからしようがないんですけれども、実際、現場はそうではなくて、別にもっと良いサービスがあれば、そちらを使うというだけの話で、たとえば、弁護士会みたいに弁護士会に入らないと弁護士業務ができないというわけではなくて、つくろうと思った人達がつくっているんだというのは、別に、そこに入らないから、農業をやっちゃいけないというのはないし、皆で集まった方が、バーゲンニングパワーが出るぞというのでスタートしているだけですからね。自分は別のルートでやるとか、別のルートでモノを調達するとかというのは当然あっていいわけですね」
反町キャスター
「農協を改革するのではなくて、農業従事者、農家の皆さんの意識改革というものが、もし進んでいった時には、将来的に皆さんが澤浦さんのようなマインドになったら、農協というものが、日本から必要なくなる時代になるのかなという話も、現在考えていて、思ったんですけれども。それぞれのマーケッターになればいいですよ」
林農林水産相
「結構、本質的な問題で、たぶん現在農協が全体で取り扱っているシェアというのは、だいたい5割ぐらいです。既に農協系ではない農産物は、既に5割ほどですが、澤浦さんの例でも、最初から法人業態で入られて、いろんな情報を得られたと。スタート時点からこういうことができる人はいないですね。だから、最初は、中小企業でモノづくりでも、いろんな情報をいただきながら、商工会に入っていろんなことをやりながら、大きくなって、卒業をする人もいるし、自分の目標の中で引っ張っていく人もいる。それはいろいろあっていいと思うんですけれど、まさに、小さいところから大きくなっていく過程で、サービスというのが有効になってくると。こういうことになるといいと思います」

林芳正 農林水産大臣の提言:『みんなちがって みんないい』
林農林水産相
「私の地元の有名な詩人に金子みすずさんがいますが、『みんなちがって、みんないい』と。だから、これが良くて、これがダメではなく、それぞれの地域でこれをつくるとか。澤浦さんのところはコンニャクをつくっているから、皆コンニャクをつくるのではなくて、地域にあったいいものをつくるということが、これから大事だし、これをやっていけば、私は必ず農林水産業は地域振興、インバウンドにつながってきて、トヨタの車やコンピューターというのは輸出が増えても、それを地元に工場見学にくるという人はあまりいないと思うんですけれども、農産物とか、食品というのは、どこどこの何々というのができますから。1回、本場で食べてみたいなと必ずなるんです。ワインが好きな人がフランスのボルドーに行って、ついにワインを買ってきたと、子供みたいに(喜ぶと)。高いお金を払って。同じことが、コンニャクでいったいどういうことになるのかという、群馬、昭和村が、ということです。従って、違いを出すことによって、それぞれの地域が、自分に得意なものをどんどんやって、それが残念ながら人口はこの20年で減っていきますから、インバウンドの人に来てもらって地方創生をやっていくと。こうつなげていければいいなと思っています」

年商27億円の経営戦略 日本農業に活路あり!
秋元キャスター
「澤浦さんは日本全国で農地展開をされています。その多くは澤浦さんの農園で研修を受けたあと、いわば暖簾分けという形で独立された若手農家の方々ということですが、このようなシステムを始めたきっかけは?」
澤浦氏
「ちょうど私達が契約栽培で、レタスの出荷を始めて、秋になるとその年の反省会と言いますか、商談するその席で、夏の野菜、レタスはもう野菜くらぶに頼んでいるのだから、安定して出してくださいよという、そんな要望があったんですよ。それに対して生産者が、技術的に来年変えます、こういうふうにします、ということをいろんな技術的な努力をしていったんですね。数年経ってあるお客さんから、野菜くらぶは、生産者1人、1人が努力しているけれども、会社として何か努力しているのと言われて、非常にショックで、そうか、組織として何もしていなかったなと。そこで自分達ができないところ、農業の適地適作に戻って、適地で、自分達ができないところで、新規就農者を育ててやろうということで、新しい生産者を、新規就農者を募って始めたのが平成11年ぐらいからですね」
反町キャスター
「こういう方がたくさん育つための素地は、現在の日本の農業にあるのですか?」
本間教授
「ありますね。澤浦さんは、現在6次産業化という言葉で、厚生省も推奨していますけれども、澤浦さんは6次産業化という言葉がなかった時から6次産業化をやっているわけですね。ですから、そういう知恵がある人。それから、お金集めの努力をする人。信頼される人。というのが澤浦さんだけではなくて、全国各地におられて、そういう人達がいろんな形の事業を現在始めているということですね。ただ、残念ながら、野菜だとか、一部に限られて、米生産でそういう6次産業化、あるいは新しい付加価値をつけるという人があまり多くないと。野菜農家だから、つまり、あまり保護がないんです。関税もほとんどないですし、従って、初めから国際競争力を持たない。野菜は国内でしかつくれないというバックグラウンドもありまして、本当に現在あちこちでいろんな新しい取り組みがなされていますけれども、残念ながらほとんどが、野菜農家が主ですね」
反町キャスター
「厳しい環境に置かれた方が、そういう独立精神が旺盛な方が出てくるということですか?」
本間教授
「というふうに解釈していますけどね」
反町キャスター
「澤浦さんのような発想というのが、日本のあちこちで出ているような状況には、僕には見えていないんですけれども、その状況に向けて何が障害になっていると見ていますか?」
本間教授
「野菜関係で言えば、そんなに障害はないと思います。ただ、澤浦さんの持ち味ですけれども、後継者を育てて、その方々に出口を与えているんですね。いろんな新規参入の若い人達が農産物をつくること自体はそんなに難しい話ではないです。問題は売り方ですよね。もちろん、農協という出口はありますけれども、農協だけではなくて、付加価値を付けて自分達のブランド、農協に持って行くと他の生産者と一緒になりますから、何々農協のブランドではありますけれども、誰それさん家の野菜というわけにはいかない。それを確立するためには自分でマーケット、つまり、出口を探さなくてはいけない。それを澤浦さんのところは、野菜くらぶ等々で、出口をきちんと用意してあげているんですね。これは非常に素晴らしいビジネスモデルだと思います」

攻めの農業への改革 どう拡大?6次産業化
秋元キャスター
「1次産業、2次産業、3次産業を合わせた6次産業の市場規模を2020年までに10兆円に拡大と。日本産品の海外への輸出を現状から倍増へ。40代以下の農業の担い手も40万人へ倍増という成長戦略を掲げていますが、この実現性どう見ていますか?」
澤浦氏
「数字的なところはよくわかりませんけれども、そういう方向にどんどん進むのだろうなと思います。ただ、日本産農産物の輸出戦略を増やしていくという中で、自分も現在しらたきを輸出しているんですけれども、やっていて思うのは、一生懸命に、日本は営業するけれども、日本産ということに、ちゃんとした認証とか、基準とか、お墨付きと言いますか、マークとか、そういったものを日本はつくっていないですよね。ですから、何か知らないけれども、日本食みたいな他国でつくったものでも日本産のような顔をして海外で…」
反町キャスター
「誰がつくっているかがわからない日本食?」
澤浦氏
「そうそう。重要なのは、日本の国内でちゃんとつくられたものが、証明されるマークをつけられて海外に出てくということが大事だと思っていて、その時の認証制度というのはすごく大事だなと思いますね」
本間教授
「ですから、6次産業化というのもそういう発想で、価格だけでなくて良いモノをつくる、付加価値をつけていくということが大事だよね、それでもっと農業を広く活用しようねという、そういう動きなわけですね。ただ、これまでは農家が加工も販売もやる、何でも農家発信の6次産業化しか、念頭になかったんですけれど、そうではなくて、たとえば、加工の方から農業におりてくる。販売、サービス業の方から、たとえば、居酒屋が農家の方までおりてきてというようなことです。加工でいうと沖縄の紅芋をつくっている某会社があるんですけれども、そこはまさに沖縄中に紅芋の原料を求めて開拓して、提携して、紅芋の農家を潤わすと。そういうことがありますので、だから、栗きんとんで有名な恵那川上屋さんはそういう形で、もともとはケーキ屋だったんですね。それがそういう形で地元の農業活性化のために6次産業化をして付加価値を高めたという方法がありますので、様々な入り口で6次産業化というものを実現していくということで、非常にここは広がりのあるところだと思うんですね」
反町キャスター
「日本の農業が6次産業化を進めて、高収益体質になるために、1番取り組むべき課題は何ですか?」
本間教授
「ベンチャービジネスを含めた、もっと複合的なクラスター…」
反町キャスター
「クラスター?何ですか?」
本間教授
「クラスターと言うのは、研究から生産、販売まで全て含め、複合的に、有機的に結合して、そこから新しいものを生み出していくというシステムです。フードバレーということで、1か所に集中し、あらゆるバリューチェーンの企業から、研究施設を集めてきて、相互に研鑽しながら、新しいものをつくり出していくという、新たな農業の展開というのもあるんです。北海道にもありますし、新潟にも熊本にもあります。それをもっと実現していくために、企業の参入、それの規制緩和が望ましいと。ですから、6次産業化というのはまだ農家レベル、一企業レベルですけれども、それをもっと膨らませて、日本発の新たな商品開発。まさに、日本食もブームですし、無形世界遺産になっているわけですから。それを徹底して科学しながら、和食を世界に広げていくという取り組みもあってもいいのではないか。そのためには和食フードバレーですね。というような展開も6次産業化の先にあると思っています」

澤浦彰治 グリンリーフ(株)・(株)野菜くらぶ代表取締役の提言:『人財育成』
澤浦氏
「農業生産は1年、1年の繰り返しで、人に技術が蓄積していく部分が多くあるんですよね。ですから、作物を育てる、あるいは加工する、販売する。そういった人達を育てていく。そういうことが非常に大事だと思っているんです。短期的な労働力だけでなく、そういった人を長期的な視点で育てていくことで、農業は良くなっていくと思うんですね。これしかないと思っています」

本間正義 東京大学大学院農学生命科学研究科教授の提言:『日本型農業成長モデルの確立』
本間教授
「現在、6次産業化だったり、それから、輸出戦略だったり様々な形で日本農業の取り組みが行われているわけですね。農協改革も含めて、それぞれの地域が自分の独自性を出して、得意分野で勝負すると、そういう時代になっているということです。それをもう少し突き詰めていけば、いろんな形の農業があると。その効率だけを追求して、食糧危機的な、北海道ですね、農業を確立する部分。先ほど話しましたようなフードバレーだとか、独自産業化で付加価値をぐんと高めて、世界に打って出るような産業、分野がある。一方で、サービス産業としての農業。これはレストランという話ではなく、農業はつくるプロセスが商品になるんです。澤浦さんは農業が大好きだからやっているとおっしゃっていますよね。直接農業までにいかなくても、家庭菜園ではなく、何かつくれると思った時には、うまいものつくりたいよねと。それから、土いじりするんだけれど、もう少し組織的に、体系的にやりたいよねと。農業はどうなのという形でそれを教授してくれる人が、お年寄り含めて、たくさんいるわけですよ。そういう意味で、まさにアグリカルチャー。アグリをとったらカルチャーです。ですから、カルチャーセンターならアグリカルチャーセンターという形で、講習会を開いてちゃんとそこではお金をいただくと。そういう現在あちこちで農業講習会をやられている農業従事者がたくさんいますので、そういう様々な農業のあり方を日本で提示して示せば、結局は東南アジア、あるいは韓国、台湾を含めた形の、まさにアジアモンスーン型の農業のあり方を示すことになると。日本がリーダーとして、そういう日本型の農業モデルをつくるということが望ましいと思っています」