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2015年6月30日(火)
戦後70年談話のあり方 日本が取るべき方策は

ゲスト

北岡伸一
21世紀構想懇談会座長代理
東郷和彦
京都産業大学教授

戦後70年談話のあり方 閣議決定の是非
秋元キャスター
「21世紀構想懇談会は、安倍総理が、戦後70年談話の内容を検討するため、2月に設置した私的な諮問機関です。日本郵政代表執行役社長の西室泰三さんが座長を務め、北岡さんが座長代理を務めています。これまでに6回の会合を開いていて、先週木曜日に実質的な議論が終了、来月中に報告書を提出し、総理はその報告書を踏まえて、夏に談話を発表すると見られています。21世紀構想懇談会では、安倍総理の指示の下、このような論点で議論されてきました。20世紀の経験から汲むべき教訓。戦後日本の平和主義、経済発展、国際貢献の評価。アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパとの和解の70年。中国、韓国をはじめとするアジアの国々との和解の70年。20世紀の教訓を踏まえた21世紀のアジアと世界のビジョン。戦後70周年にあたってとるべき具体的施策ということなんですけれども、これまでに日本政府が発表している総理談話はこちらです。まず1995年の村山談話。閣議決定しているんですけれども、戦後50年にあたり、国策の誤りと植民地支配と侵略を認め、反省とお詫びを表明しています。2005年に閣議決定された小泉談話については、戦後60年にあたり、村山談話の内容を踏襲したもの、植民地支配と侵略を認め、反省とお詫びを表明したものとなっています。細かい内容については、後ほど聞きますが、この村山談話も小泉談話も閣議決定されているのですが、安倍総理の戦後70年談話については閣議決定しない方針も検討されているということですけれども」
東郷教授
「私は戦後50年経ったところで、過去の戦争は何だったのかと。これは日本人にとって大変な問題だったと思うんです。それを社会党の総理と自民党の、しかも、相当の右派の入った人達と、1つのコンセンサスをつくった。あのコンセンサスの内容というのは、過去の戦争について非常に謙虚な、その謙虚さについてあれ以上の表現はないものができた。それから、20年ですね。これはイギリス、オランダ、韓国、中国、北朝鮮、アメリカ。全ての国と20年の間、外務省が和解交渉をした。それは村山談話がなかったらできなかった。私は、オランダとの交渉を自分でやりましたので、多くはわかるんですけれど、すごく重みのあった談話だったんですね。さて、70年経ちました。10年ごとに閣議決定で談話を出す必要は、私はまったくないと思いますね。それで小泉、村山と閣議決定をして、20年生きてきたものは、そのまま続くわけですよね。安倍総理は今度、新しく談話を出すという時に、もう1回閣議決定をされると、今度はその前の閣議決定との関係について、非常にどう上書きしているのか、していないのか。そういう問題が出てくる」
反町キャスター
「僕らはその整合性、言葉は悪いけれども、検証をしますよ」
東郷教授
「閣議決定をしないということは、前のものが、その基礎としては続くと思うんですね。それをベースにして、安倍総理がご自分でお考えになるということは、私は、なかなかの、総理が最終的にどうされるかわかりませんよ、しかし、名案だと思いますね。ただし、1つだけ条件があります。それは、閣議決定をしてやっている現在のものを、安倍総理が今度お話になることは、基本的に引き継いでいくということですね」
北岡氏
「でも、全体として、村山談話を踏襲すると言っておられますからね。じゃあ、一言踏襲すると言えばいいのですか」
反町キャスター
「そうすれば、全部、それを閣議決定すればいいのかと、こういう話になりますね」
北岡氏
「踏襲すると一言、閣議決定するんですよ」
反町キャスター
「それも変ですよね」
北岡氏
「それは、だから、私は、政治家は何々するかもしれないということをいちいちあまり真剣に考えない方がいいと思っているんですよ。こういうのは、世論の反応を見ているだけかもしれないし、そうなってから考えればいいのであって、どうなるだろうかというのは、いろいろ考えて、臆測をたくましくしても私はあまり意味がないと思っているので、根拠不確実なものについてコメントは控えたいというのが、私の意見です。全体として引き継げばよろしい」
東郷教授
「村山談話のキーワード、植民地支配、侵略、お詫びという言葉を使われるのが1番良い。1番良いという意味は、現在、戦略的に考えると、中国と韓国が今度出した言葉に対し、わかりましたと言って、向こうから握手の手を出してくるようなことにするのがたぶん日本として、これから1番の外交力を強めることだと私は思うんですね。そのためには、今のようなことは疑義の余地がなくおっしゃられるのが本当にこれからの日本の外交力を、中国、韓国だけではなくて、アメリカ、ヨーロッパに対しても強めるのではないかと、これは私個人の意見」

侵略・植民地・謝罪の扱い
秋元キャスター
「談話について、韓国は、侵略、植民地支配、お詫びの言葉がその談話に入るかどうかというのを中心にしているわけですけれども、北岡さん、この70年談話において、これらの言葉というのは、どう扱われるべきだと考えますか?」
北岡氏
「お詫びは、日本はこれまで何度もお詫びをしているんですよ。だから、これをあまりやると現在の日本人というのは、ほとんどが戦後生まれで、また、お詫びするのかという反発が高まるんですよね。だから、私はお詫びの強調というのは、お詫びをしなくてはいけないこともあるんだけれども、これまで何度も、中国にも、韓国にも、お詫びしているんですよ。それで、向こうは受け入れると言っているわけですよ。それで、また、お詫びするのかというのはどうも若い人を中心に釈然としない人が多いのではないかと。それは、かえって日本の中の反発を強め、反中、反韓感情を高める。お詫びというのは何のためにするのかと。それは和解のためにするんですよ。それはメルケルさんも言っていたけれども、和解というのは、謝罪する側と許す側がいて成り立つわけで、両側の努力で実現する外交的行為ですよね。日本国民を代表する総理大臣が、相手がどう反応をするかわからずに、一方的にお詫びし続けるということは、私は反対です。よく言われる、ワイツゼッカーさんのスピーチと言うけれども、あれは別に謝罪をしていないですよ。我々は、過去にどんな酷いことをした(かという)ことをよく思い出そうと。これを忘れないようにしようと。ドイツ人、皆に責任があるということはないんだと。ただ、私の言葉で言うと、現在の若い世代の責任は、かつて日本人は酷いことをしたことをちゃんと覚えて、それを繰り返さないように努力をすることであって、たとえば、戦争時の世代の日本人と、現在の人とどちらに責任があるかと言ったら、それは明らかです。あるいは昔の人だって、本当に政治決定の中心にいた人や、軍の中枢にいた人と、何も知らなかった庶民とでは、責任の度合いが違うわけで、本当に、酷いことに対する心からのお詫びというのは、そういう人がやって、そういう人がパニッシュするべきであって、他の、直接の関係はあまりない人達の責任というのは、過去の悲惨なことをよく覚え、忘れないようにし、これが2度と起こらないように努力をするということは、我々の世代の責任ではないかと思うものですから、実は、その意味では、未来志向であるべきだと」
反町キャスター
「東郷さん、侵略という言葉を使えるかどうかと、謝罪と反省を分けて聞きたいんですけれど、侵略という言葉を使うかどうか。ここの部分。そこへのこだわりというのはどう感じていますか?」
東郷教授
「村山談話、侵略、もう1つ、植民地支配。この言葉を使った時に、いったい侵略とは何なのか、植民地は何なのかと定義をしていないですね。これはすごく重要な点だと私は思うんですね。ただ、定義をし始めると、これはいろんな議論ができる。しかし、普通の日本人、私達の世代の日本人が、日本は少なくとも、1937年から1945年まで100万人の軍隊が中国に入ったと。その軍隊が全員、殺戮者だとはとても思えません。しかし、100万人の軍隊が、あそこにいた間に、中国人が苦しんだ部分は否定できないと思うんですね。そのことを、フワッと表現したのが侵略という言葉で、その国際法の定義とか、そういうことになると、話はすごく複雑なので、もう少し庶民感覚で侵略という言葉を使っておられて、植民地支配もそうですね。その35年の韓国の植民地支配で投資もしたし、韓国も豊かになった。だけれど、少なくとも最後の15年の間、韓国人を日本人にしようとしたことは否定できませんよ。その部分は、少なくともやり過ぎた部分があるのではないかというのは、私の歴史認識、私の知識。私達のジェネレーションが共通の感じだと思うんですね。村山談話は、そういうフワッとした日本人の感覚を表現している点において、非常に東洋的、非常に法哲学的、直感的なものとして。ですから、20年、生命力を持っていたわけですよ」
反町キャスター
「謝罪と反省の話。もう謝罪は十分してきたんだと。そこの部分はどう感じますか?」
東郷教授
「ですから、先ほど申し上げたように、村山談話を閣議決定し、そういう表現を使って、小泉談話もそれを上書きし、そのまま世の中に自然に進んでいれば、もう1回、こういうキーワードがなくてもいいのかもしれないです。だけれども、その後の20年の、村山談話の声明にもかかわらず、ただいま現在の世界の目は、これは中国、韓国だけではなくて、特に、アメリカ、欧州の目は、いったい安倍さんは本当にそういう過去に対する想い、痛みを伴う気持ちを持っているのかという疑いの目で見られているんです。それが非常に恐ろしいことだと思うんですね。ですから、日本として1番良いことは、そういう疑いを吹き飛ばすと。まさに、安倍総理もそういう痛みを分かちあっているということをわかるように言うことだと思うんです。私は、この際、1番わかりやすいのは、その3つのキーワードを使うことだというのが、私の意見です」
反町キャスター
「北岡さん、それぞれの言葉が入っているかいないかと。見るメディアはそうなりがちですけれども、中国、韓国もやるでしょう。それはどう感じますか?」
北岡氏
「それは、メディアがそこにばかり注目するからですよ。私は全体として、それだったら、裏を返せば、全部引き継ぐのでいいのかと。あるいは逆に、植民地支配、侵略、反省、お詫び、以上。だったらいいんですけれども、そんなことは不誠実ですよ。でも、私は、本当のポイントは、歴史学者としてはポイントですよ、国際法が誤っているということですよ。きっかけは大恐慌ですよ。日本が1920年来、それなりに大正デモクラシーという時期に、政党政治も発展し、普通選挙権もできて、それで、幣原外交に代表される。まあまあ協調的な外交をやっていたわけですよ。それは列強と、他の国とも平和に貿易を中心にやっていけば、日本は発展できるというのはあったわけです。そういう期待がね。ところが、大恐慌で、それはすっ飛んでしまったわけですよ。それで、大恐慌でアメリカのお金でまわっていた世界経済がまわらなくなって、ドイツも破産するわけですよ。オーストリアもね。それでナチスが出てくるわけですよ。共産党も出てくるわけですよ。そういう中で、日本の中に、日本は明治憲法という、まだ脆い体制ですからね。軍の独立性は維持されているわけです。独立していたけれども、政党に協力的だったわけです。協力的だったわけね、1920年代。でも、彼らはこんなのではやっていけないと。我々はアメリカも関税を上げると、英仏もブロック経済だと。我々は力で膨張して、発展するしかないと言っちゃったわけですよ。それが国策を誤ったということです。私は、その意味で、国策を誤ったというのは大変なポイントだと思いますよ。ただ、それは、こんなのは、歴史学者は当たり前なので、わざわざ書かなくても構わないと思いますよ」
反町キャスター
「最後にそう言われると、言葉として入れた方がいいのか、入れない方がいいのか、よくわかりませんが」
北岡氏
「国策を誤ったというのはいろんな表現の仕方がありますからね」
反町キャスター
「ニュアンスとしては、それはポイントになるだろうと。そういう話で言っているんですね?」
北岡氏
「いや、私は、談話というのは我々の認識を示すもので、世間の関心が4つだけだと、わざわざこの一文を入れる必要はないと思います。ただし、私にとって1番重要なのは、日本がなぜ、どこで間違えたかということなので、国策を誤ったというのは、私にとって歴史の認識で最も重要なことです」

慰安婦問題と日韓関係
秋元キャスター
「今月22日、ソウルで行われた日本政府主催の日韓国交正常化50周年の記念式典におきまして、韓国の朴槿恵大統領が、このような発言をしています。『正常化50周年の今年を、両国が新たな共存共栄に向かい、歩み始める転機にしなければならない。それが後世に対する我々の責務だ。そのためには、最も大きな障害要素である歴史認識の重荷を和解と共生の心でおろしていくことが大切だ』と話をしているのですが、北岡さん、ここにあります歴史認識の重荷をおろすというのは、慰安婦問題を念頭に発言をしていると思われますけれども、韓国が、この歴史問題の中でも、慰安婦問題を引きあいに出し続けるということについてはどう考えますか?」
北岡氏
「どう考えるというか、こういう発言はどういうふうに大統領の発言が変化してきたかを見なくてはいけないですよ。つまり、朴さんはそれまで歴史認識問題の解決なしに他の議論は一切ダメと言ってきたわけですよ。でも、現在はトータルアプローチというか、歴史問題が実務レベルの協力を妨げてはならないと態度を変えているわけです。以前は、1000年経っても変わらないとか、酷いことを言っていたわけですよ。ですから、我々に、もしその時点でこの発言どう思いますかと。ただ、いや、困ったものですということになるので。だから、その頃は激情に駆られていたわけですね。現在は慰安婦問題というふうに特定もしていないと。こういうものを書く時に、慰安婦問題を念頭に置いているのだろうと。その通りですと。だけれど、感情ではそれをストレートに言うか、オブラートに包んだかの大きな違いなのでね。どういうふうに変わってきているかというのは考えるべきだと思うし、現にだんだん少し良くなっているんですよ。記念式典にも、安倍さんはこちらで、朴槿恵さんは向こうで出席された。あれは私の知っている範囲で言うと、安倍さんが、朴さんが来るかどうかわからないけれども、向こうはどうか知らないけれども、安倍さんは来たらしいですよ」
反町キャスター
「僕は逆に聞いていました。そうなのですか。安倍さんが先に?」
北岡氏
「安倍さんが行くなら、行かないと、私もちょっと強硬に見えると思ったのではないかという、1つの解釈です。私も情報源が1つだけだから、本当かどうかわかりません。だけれど、安倍さんの方が首尾一貫しているんですよ。私はオープンです、いつでも対話をしますと。歴史問題があるけれど、それで対話をしないということはないと。無条件で、いつでも会いますと言っていますから、むしろ、朴槿恵さんの方が近づかれたのではないかと。私はその方が正しいやり方だと思います」
東郷教授
「韓国の中に、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)という、挺対協だけではないですけれども、この問題を政治問題化する。それは女性の問題とすると同時に、植民地問題の悪の象徴として、ですから、解決のためには日本が法的責任を認める。それから、日本が犯罪性を認めよという議論に凝り固まっていて、かつアジア女性基金のお金を受け取った人達を非国民として排除したんですね。社会から排除しようとした。そのことは、韓国社会の、その人達に対して大変つらいことだろうということを、アジア女性基金の人達が理解をして、ですから、何人が正確に受け取ったかを、2013年まで彼らずっと黙っていたんですね。これは日本の矜持ですよ。日本の品格だと思いますね。ですから、韓国の方に反省すべき点があるんですけれども、でも、現在の状況では納得しないと言う状況が残っている。そうすると、いくつかの点を具体的に、日本の方も変える、彼らも法的責任と犯罪性というのは要求しないというところに、歩み寄ることによって、和解スキームができるのではないかと」
反町キャスター
「韓国とはどう付きあっていけばいいと思いますか?」
北岡氏
「韓国はいつも日本に誠意ある対応を示せと。誠意ある態度をとらないとは、何ですかと。わかっているでしょうと」
反町キャスター
「それは、自分が考えることだろうと言うではないですか?」
北岡氏
「言うでしょう」
反町キャスター
「これは難しいでしょう」
北岡氏
「それはできません。それは、私も和解を、事実と矛盾する和解はできないです」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、そもそも慰安婦と言われる人達50人が本当に全員慰安婦かどうかという、これからの検証をしなくてはいけない。河野談話の時にも、聞き取り調査をやったけれども、その部分があやふやなままですよね」
北岡氏
「そこまでと言うのではないですけれども、たとえば、日本に強制的に、彼らの、挺対協が前に言っていたような、20万人からの女性が強制的に拉致され、連れて行かれたということについて、謝罪せよと言われたら、それはできないですよ。それは違いますよと。だから、それは少しオブラートに包んだ形にするかだけれども、和解の基礎は、両方の合意です。この問題を可決しようという両方の意思があって、じゃあ、こういうことでやっていこうというので、アジア女性基金のあとに実は小渕、金大中会談があったんですよ、1998年に。あの時、金大中さんというのは立派な決断をされ、小渕さんも心から謝罪をし、金大中さんは、もうこれ以上、取り上げないと。日本の文化に対する解放を進めると。こういうことを言った。あれが日韓友好のピークですね。中曽根・全斗奐とか、最初の朴大統領は、立派な決断をされたわけです。そういうわけで、私はヒストリアンとして過去にどういう先人が努力してきたかをちゃんと理解し、それを踏まえてこなくてはいけないと思うので。それをよく踏まえてほしいと思っていますから、ですから、日本単独でできることはほとんどありません。協力してできることはあります。向こうが一定のことを受け入れてくれれば、このくらいはできるでしょうというので、よく日本が何かして、最後逃げるという言葉はムービングゴールポストとよく言うんですけれど。そうならないように、しっかりやってくれということで、最初の池田内閣、次の佐藤内閣、向こうの朴大統領とよく勇気を持って決断をされたわけですよね。だから、そういうことは必要なので、具体的に言うと、私は全然、事実は知りませんよ。知らないけれど、アジア女性基金のようなもの以外は、私は難しいのではないかと思いますよね」
反町キャスター
「もう1回、その見直しでもいいから、そういったものを立ち上げ直すことが雰囲気改善につながるんじゃないかと」
北岡氏
「いや、雰囲気改善ではなくて、それはファイナルですよ」
東郷教授
「ようなものであって、かつ200万円の償い金というのを今度、政府の予算で出す。そこまではできると思うんですね。あの時は、つまり、民間からの寄付、なぜ民間からの寄付にしたかというと、日本の裁判所で訴訟がずっと起きていて、それで、日本の裁判所で提起する訴訟が、2007年4月に最高裁の先例拘束の判決によって、戦後に結んだ諸条約によって許可されるという判例が出ているんですね。これは、日本の国内における法的な立場を非常に強くした。その状況の中で、予算で出すからと言って、法的な責任を認めることにはならないという議論は少なくとも地盤としてずっと強くなっているので、それは、現在はできると思うんです」

中国・韓国との火種
秋元キャスター
「中国の兪常務委員は『村山談話の遵守を受け入れてもらえなければ、中国国民は受け入れられない。未来に向かうことは極めて大事だが、その前提となる基礎が壊れたのでは困る』と発言しています。日本は中国をどの程度意識した方がいいのですか?」
北岡氏
「極めて重要ですけれどね。ただ、中国はだいたい、時々ぶれがありますけれど、基本的には歴史を直視せよと言うんですよ。歴史を直視せよ、だから、歴史を歪めるなと。日本は侵略していないと、そういうことは言うなと言っているわけで、あらためてお詫びしろとは言っていないです、ほとんど言っていないです。だから、それは重要なことで、私の先ほどからのポジションと同じです。我が国に日本が酷いことをしたことをちゃんと認めろよということであって、それは何度も、たとえば、近い過去で言いますと、温家宝さんが来日した時に、それから、そのあと胡錦濤さんが2008年にやってきました。特に、温家宝さんの時は良いメッセージ交換しているわけです。胡錦濤さんの時は、中国は日本の戦後の平和的発展を評価する。それから、日本は中国の平和的発展を希望すると。そういうこといろいろ交換しているんですね。ですから、それでいったんこれは落着しているんですよ。ただ、向こうに言わせると、日本の政治家で時々違うことを言う人がいるので、文句を言うんだと言っていますけれども、ただ中国は、率直に言うと、言論の自由ある国ではありません。ですから、歴史も何でも政治のカードになる可能性はあります。だから、完全に安全ということはないですけれども、できるだけ歴史を直視し、相手を挑発しないように気をつけるということは基本ラインだと思っています」
秋元キャスター
「韓国に関しては先ほど、慰安婦問題を早急にと言っていましたが」
東郷教授
「それは談話の出たあとに取り上げるべき問題として」
秋元キャスター
「中国との間で1番…」
東郷教授
「私は、談話で日本が非常に謙虚な姿勢を示して、中国が歩み寄ってきた時に、総理にやっていただきたい問題は靖国。その次、最後に尖閣があるのですが、これは半端なく難しいので、尖閣を私が思っているような意味で解決するというのは、これは本当に難しいので、しかし、靖国問題は基本的には日本の国内問題ですね。中国に言われなくて、総理の決断でできる問題ですね。それで、なぜ私がやっていただきたいかというと、私は基本的には靖国神社というのは非常に大切な場所で、なぜ大切かというと、日本の兵隊で死んでいった多くの人達が、死んだら靖国で会おうと。残った人達、自分の夫なり、自分の弟なりと会おうとした時にどこで会うか。靖国と思っていた話があまりにたくさんあるんですね。現在、まだ生きておられる女性の方々が、靖国に1年に1回来られて、手記を残しておられるわけですよ。涙なくして読めないですね。その靖国に僕らの視点からして、1番大きな問題というのは、天皇陛下が行っておられないということです。ですから、天皇が行かれるような靖国神社にしてほしいというのは、私は、安倍総理に是非お願いしたいことで、しかも、この問題は、公平に見て中国との関係で問題があると思うんです、靖国問題というのは。なぜかと言うと、1972年に日本と中国は国交回復しました。その時に、まさに北岡先生がおっしゃったように、中国は、日中人民の共通の敵は日本の軍国主義者ということを言ったんですね。これは最初に着いた晩の周恩来の演説です。その前の20年間は、周恩来はそういうことを中国の国内にずっと言っていたということがあとでわかったんです。ところが、もしその説をそのまま受け入れるのであれば、軍国主義者は誰ですかという問題が出てくるんです。それで歴史の中で名前が残っているのは、これはA級戦犯ですね。A級戦犯として歴史の中に固定されてしまったのは、靖国神社に奉られる重要人。そうすると、中国の立場からすれば、この線引きを認める限りは、A級戦犯に参拝するのはおかしいのではないかというのが中国から出てくると思うんですね。問題は、1972年に周恩来が演説した時から今日に到るまで、日本の責任ある指導者が誰一人中国に、先ほどからおっしゃっておられる満州事変から今日まで、特定の軍国主義者というのは線引きできますかと。日本の戦争主導というのは、もっとずっと連続的なものであり、国民もそれに参加し、マスコミが勝つ度に、戦争が広がる度に提灯行列をして、そういうのが戦争の実態だったわけです。ですから、線引きはそう簡単な問題ではないですということを中国にちゃんと説明して、その歴史観をちゃんと変えるようなことをやるかどうかという問題があるわけですね。しかし、これは大変なことです。本当に大変なこと。簡単にはできない。そこでそういう中国の立場と、それから、天皇陛下が行かれるような環境をつくっていただきたいという私達の靖国支持者の想いとを兼ねあわせると、そこで総理に、ある種の智恵、ある種の決断をお願いしたいと。それで、天皇陛下も靖国に行かれるような環境であり、すなわち中国も異議を唱えないような環境を考えていただけないかと」
反町キャスター
「分祀ではないですか?」
東郷教授
「それはいろいろなアイデアがあります」

北岡氏、東郷氏に問う 安保法制議論のあり方
秋元キャスター
「現在の安保法制議論を巡り、違憲か合憲かという議論がされていますが、これをどう見ていますか?」
北岡氏
「安全保障の議論なのだから、日本の安全を守るために、こういう新しい法律をつくることが有効かどうか、そこを議論してほしいですね。そうはなっていないですね」
反町キャスター
「それは違憲、合憲で、この安保法制を議論すること自体が意味がない、ナンセンスであると?」
北岡氏
「セカンダリーだと思います。なぜなら集団的自衛権の問題は、集団的自衛権というのは国連憲章に全て書いてあるんです。全ての国が持っていると。サンフランシスコ講和条約に日本は集団的自衛権を持っていると書いてあるんですよ。日米安保条約にも書いてあるわけですよ。こういう基本的な国際法が憲法に対してまったく劣位にあるとは思えないですよ。憲法を考える時に、こうした日本は対外的公約をしているということは、参考にすべきだと思うんですね。それから、安全保障を考える時に安全保障の条件というのは、日本の周囲がどうなっているかということですよ。それはどんどん変わるんですね。私は、よく言う話ですけれど、日本は日露戦争にもかろうじて勝った、1905年です。そこから真珠湾始まるまで、36年ですね。その間にすごく大きな変化があったんですよ。たとえば、船の燃料は、昔は石炭だったんですよ。石炭ならまだ多少日本で採れるわけです。ところが、石油になっちゃっているわけです。真珠湾よりだいぶ前にね。それから、日本がむちゃくちゃになった空爆、飛行機は、日露戦争の時はほとんどなかったわけですよ。しかし、飛行機が発展したと。それから、潜水艦で大陸との輸送路が途絶されてしまったわけですよ。最後は原爆ですよ。こういう安全保障というのは、明治憲法を後生大事に守っていたら日本は安全だったかと言ったら、そんなことはないですよ。周りの環境、特に軍事技術の展開がどうなっているか。それにどう対応するかを考えるのが中心であって、憲法も大事だけれども、憲法だけを徹底的に守れば安全だということはないです。さらに、付け加えれば、明治憲法を徹底して守ったら、あるいは天皇大権で、天皇が全てを治めるという建前になっていますが、そうすると、日本は降伏できなかったはずです。つまり、降伏というのは、天皇の統治権を他者に委ねることですから。だから、憲法を徹底して守ったら日本は降伏もできなくて全滅したかもしれないんですよ。だから、憲法は大事ですよ、だけれど、憲法だけを徹底して守ればいい、そこから外れていないかだけを議論するというのは、私はちょっとウエイトの置き方が変ではないかと思っています」

北岡伸一 21世紀構想懇談会座長代理の提言:『反省と責任』
北岡氏
「反省の核は、日本が国策を誤り、やるべきでない戦争をしてしまったと。それから、やるべきでない植民地支配をしてしまった。そういうことは忘れないようにしようと。そういうことは2度と起こらないようにしようと。おそらく現代により良き国際市場をつくるために日本はもっと活躍しようと。貢献しようということで、たとえば、PKOをもっとしっかりやろうと、安全保障もしっかりやろうということなので、そういう意味で、未来志向でいきたいと。後ろを振り返るお詫びよりも、過去を認識して未来に向けて良いことをしようではないかというのが、私のポイントです」

東郷和彦 京都産業大学教授の提言:『村山談話を明確にひきつぐ』
東郷氏
「私は先ほど申し上げたように、先の大戦が何だったのかというのは日本人全体にとって非常に重い課題だったと思うんですね。それをその右と左のいろんな意見の対立の中から、1つにとにかくまとめ上げたのは1995年の村山談話で、このコンセンサスに基づいて、今日に到るまでの、そのまま20年ですね。日本は諸外国との和解を進めてきた。村山談話の価値というのは、できて最初の10年ぐらいほとんど諸外国で評価されなかった部分があるんですね。それを私は外国にいて痛いほど感じて、一生懸命に、非常に重要なメッセージであるということをいろんなところで発信し、私だけではないですよ、言った結果、現在のところにきているので、1番、普通の外国人がよくわかる。このメッセージをきちんと明確に引き継いで、そのうえに、これからどういう世界をつくっていくかというビジョンをおおいに語っていただいたらいいと思うんですね。その過去との関係の日本人の1番基本的な考え方というのはぶれない1つの見方を基礎にして、それで先に向かって発展していくというのが、1番現時点で必要なことではないかなというのが、私の意見です」