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2015年6月26日(金)
速報『ギリシャ危機』 EUとユーロの生命線

ゲスト

山本幸三
自由民主党衆議院議員
浜矩子
同志社大学大学院ビジネス研究科教授
田中素香
元日本EU学会理事長

“ギリシャ支援”協議は不調 溝はなぜ埋まらないのか
松村キャスター
「ギリシャのデフォルト懸念が高まった経緯からおさらいします。2009年から2010年にかけてギリシャの財政赤字見込みの粉飾が明らかになり、対GDP比マイナス3.7%からマイナス13.6%に大幅修正されたのが発端でした。ギリシャ国債が暴落し、ユーロも下落。ギリシャ発の世界恐慌の懸念もでました。そこで2010年からから2012年にかけてEUなどから総額で2400億ユーロの金融支援を受けることで合意しました。条件は、ギリシャが厳しい財政緊縮策を行うことでした。この緊縮策にギリシャ国民の不満が高まりまして、1月の総選挙では反緊縮派のチプラス政権が誕生することになります。これを受けて、2月末に切れるはずだった金融支援の期限が6月末に延長されたのですが、緊縮策の条件を巡ってギリシャ政府との交渉が続いています。日本時間の今日未明にもユーロ圏財務相会議が開かれましたが、合意できませんでした。その対立点がこちらです。24日付のウォールストリートジャーナルによりますと、まず年金についてですが、EUなど債権団が大幅な歳出削減。年金カットを可能にする法整備を求めたのに対しまして、ギリシャ側は、社会保険料の引き上げ、歳入の増加で対応しようとしているということです。また、軍事支出や消費税、法人税などでも依然、隔たりがあるように見えます」
田中氏
「ギリシャの財政を持続可能にしたいというのがユーロ圏側の要求です。しかし、そのためには支出を減らし、収入を上げないといけないですけれど、支出を下げるということは、年金をカットしたり、収入を上げるということは増税をしたりということになりますので、そういうことをしないということで、チプラス政権が成立したわけですので、非常にギリギリの対応になってしまっているんですけれども、でも、ギリシャとしては、ユーロ圏からの支援を貰わないとやっていけませんので、最後は妥協するんだろうと思うんですね。弱者の恐喝と言うんですかね。本当は立場が弱いのに強いふりをして、ユーロ圏側を脅して出て行くぞというようなことも見せながら対応しているんですけれど、そこは割れていると言ったら悪いんですけれど、妥協する以外にないという形で、EU側もそれがわかっているのではないかと思うんですね。ただし、チプラスさんの立場を考えると、ギリシャの国民に対してがんばるぞと言っていますので、最後までがんばるという姿勢は見せてあげないと、国内政治で苦しくなりますよね。そのあたりを読んだうえで行動しているのではないかというのが、僕の考え方ですね」
反町キャスター
「田中さん、たとえば、年金に対する対応でも、債権団は、要するに、歳出をカットしなさいと言っているにもかかわらずギリシャ政府は社会保険料の引き上げということを言っています。歳出カットなのか、負担増なのかという、歳出削減、要するに、年金支給額を減らすぐらいだったらば、保険料を上げるよというこの部分、何か狙いというあるものなのですか?」
田中氏
「それは両方やらなければいけないのではないですかね。年金については、そもそもレベルが、ギリシャの経済力から見ると高過ぎるんですね」
反町キャスター
「ギリシャの年金は何か評判が良いですね」
田中氏
「すごく高いですよ、経済力に比べると。だから、それは外国からお金を持ってくるから、インフレでごまかせばいいということしかないんですけれど、ギリシャの政治はポピュリズム、大衆迎合主義ですので、次から次にいい条件を出して、選挙で勝とうとするんですね。その結果、非常に高い、ギリシャの経済力にあわない年金制度ができてしまっているというのを、EU側はそれを受け入れられないと。53歳で退職していい年金がくるよとか、最初はそうだったんですね。2010年の時はそうだったんです」
反町キャスター
「現在、何歳なのですか?」
田中氏
「現在、62歳まで上げると言っているんですけれども、でも、軍人なんかは相変わらず53歳で貰っているらしいですね」
山本議員
「例外がたくさん」
田中氏
「例外がたくさんあるんです。そもそも維持できないわけです。だから、できるようにしようとしてくれというのがEU側ですよね。それは収入を上げてもいいし、税収を上げてもいいし、年金をカットしてもいいと。たとえば、年金の場合も、12か月ですが、13か月の分がボーナスであるんですよ。年金ボーナスと言うんですけれど。それも止めてくれと、こう言っているんですけれども、いや、700ユーロ以下の年金の少ない人に対しては止められないと。チプラスさんは言っているんです。共産主義モデルですね。ギリシャの経済運営というのは。国有企業をたくさん持っていて、公務員を増やして完全雇用までいかないですけれど、公務員で完全雇用を増やしている。これは社会主義的発想ですよね。それで戦後ずっときましたので、それを強く主張しているのが、急進左派連合のチプラスさん達の現在の政権ですよね。2013年までは6年続きのマイナス成長だったんですけれど、ようやく昨年、プラス成長になったんですね。0.8%。今年の1月の選挙で、もしチプラスさんの政権にならないで、サマラスさんの政権になっていたら、連続していたら、もっと、ずっと今年の経済成長率は3%とかだったのではないかと欧州委員会の予想があるのですが、チプラスさんがなって、経済はむちゃくちゃですね。企業は現在、毎日60社が潰れています。このチプラス政権ができて。(毎日)600人が失業しています。という状況で、企業はお金を引き出して、外国に移すとか、ギリシャの企業自身が、チプラス政権がどうなるかわからないということで信用していないです。信頼なしに経済の正常な運営はできませんよね。だから、非常に困った状態で、はやく解決して、どちらにしても、チプラスさんにしても、EU側にしてもやらなければいけないんですけれど、先ほど言ったように、瀬戸際政策で、ギリギリまでユーロ圏に譲歩させようとチプラス政権は思っていますので、まとまる話もまとまらないわけですね」
反町キャスター
「でも、大多数の国民はそれを支持しているわけでしょう」
田中氏
「いや、国民の中でもだんだん、どうかな、と疑問に思っている人達はいるのではないでしょうかね。増えてきていると思いますよ」

返済期限まで4日…デフォルトの可能性は
反町キャスター
「ギリシャの状況をもう少し見ていきます。今後の日程です。6月30日を返済期限として2100億円ありますと。あと、7月、8月と、それぞれ4800億円、4400億円という、要するに、借金の返済期限が次々来るわけですけれども、これは、田中さん、このギリシャの今後の返済期限での、この借金のスケジュールを見た時に、デフォルトというのが本当に、要するに、国家として倒産みたいなものですよね。このリアリティとか、現実味というのは、どういうふうに見ていますか?」
田中氏
「いや、だから、ユーロ圏側がもう出さなければ、あるいは欧州中央銀行(ECB)の融資もあるですけれども、銀行に対して。そういうものが提供されないとアウトですよね。それがデフォルトです、確実に。この欧州中央銀行への返済は、2010年の5月から、ECBがギリシャの5年ものの国債を買い上げたんです、ギリシャ危機の時に。それが満期になって、返済になっているわけです。難しいのは、民間が貸していたならなかなか話が難しいですけれども、欧州中央銀行は公的機関ですので、まだ話ができないわけではないのではないかと思いますし、そういう意味では、対応可能なんのではないですかね。もちろん、ユーロ圏側が融資するというようなことは必要ですけれども、場合によって、欧州中央銀行はギリシャの短期国債の発行に上限を、キャップをつけているんですけれど、それをやや上げる方法もあるんですね」
反町キャスター
「ギリシャの国債を買う人なんているのですか?ECBが買うのですか?」
田中氏
「ギリシャの国債は国内の銀行が買います。ギリシャの国内の銀行は、自分の国の国債は買いますよ」
反町キャスター
「そういうものですか?この状況下でギリシャが国債を出して、利率が何パーセントかわからない」
田中氏
「利率は高いと思います」
反町キャスター
「国内で消化できるような状況ですかね?そういう雰囲気は感じますか?」
山本議員
「金利が高くなったりしますけれども、銀行はいろんなことをやる時に、担保として国債が要るとか、がありますので、それはある程度の国債をその国の銀行は買うと思いますね」
反町キャスター
「山本さんはギリシャの返済期限やスケジュールを見て、この国はどうなるのだろうと感じますか?まだまだいけるぜと、現在はECBが追い貸しをしてね」
山本議員
「ドイツとECBがその気を失ったら、アウトですよね」
反町キャスター
「イメージがわかないのですけれども、国家が債務不履行になるというのはどういう状況になるのですか?」
山本議員
「国際資本市場で一切、資金調達ができなくなると。それから、国際機関から一切、お金が借りられなくなるということですよね」
反町キャスター
「日常生活ではどういうことが?」
山本議員
「年金も払えなくなる」
田中氏
「国家公務員の給料も払えなくなる可能性が高いです。そうなると、ひっちゃかめっちゃかですよね、国は」
反町キャスター
「そういう危険性は、ギリシャ国民は皆共有しているのですか。俺ら、下手したら、そうなっちゃうぞというのはわかっているのですか?」
田中氏
「どうなのですかね。そのあたりは」
浜教授
「でも、預金を引き出して、現金にして、現金をさらには現物化するというような動きをギリシャの国民はやっていますよね。最近どえらく、車がギリシャで売れていると。前年比3割、4割増という形で皆、要するに、ユーロの現金を持っているのでは、まだ安心できないからというので、現物を持とうということで車を買っちゃおうという感じになっている人が多いと。国がデフォルトに陥るということはそういう反応を国民から誘発するというか、引き出す。つまり、だんだん現物に戻ってきていると言うことは経済活動が原始化していくということですね。だから、国がデフォルトに陥るということは、結構、そういう状況に陥るということを示唆していると。それを我々に、現在のギリシャの姿が身をもって示してくれていると思うんですね。田中さん言われたように、経済がちゃんとまともにはまわらなくなると。金を軸にして、経済活動がまわっていくという、そういう今日的な経済の姿というところからだんだん遠ざかっていくという、現物を持っている人が勝ちという格好になっていく。それが国家倒産に見舞われた国々の人々の悲劇と。痛みは人々にくるということが、それで必死になって車を買っているという、かわいそうではないですか。でも、それは、我々日本人にとって、明日は我が身かもということになるわけですね。先ほどの、自国の国債を買うかという話も、日本の金融機関だって、いっぱい日本の国債を買っているではないですか。あれほど危ないものは、世の中にはないと思いますけれど。だけど、一応、とりあえず山本さんが言われたように、担保物件として一応ゼロリスク資産ということに、国債は形式上はなっていますから、持っておかないといけないので、皆さん冷や冷やものだが持たざるを得ないという状況になっているということですよね。さすがにギリシャの金融機関はこれ以上、欧州中央銀行が、ギリシャ国債を担保として認めないと言い始めているので、もうちょっと、さすがに金融機関でさえも買えない、買いたくないという状況にもなっていると思います」
反町キャスター
「そうすると、現象的にいうと、ギリシャは国債を新たに、もし発行をしても、それが未達というか、裁き切れないような現象が出てくる」
浜教授
「それは現在の状況では買い手がつかないでしょう。誰が買うのという。だから、しょうがないから、ECBが買ってあげるということは、一応ギリシャをまだユーロ圏に留め置くということですけれども、そういう決断を果たしてするかですよね。どちらかというとギリシャが出ていっても、ユーロという通貨にそれほど痛みが生じないようにどうするという出口を、むしろ現在ユーロ圏側は探り始めていると言ってもいいかもしれないですね」

経済悪化の現状
松村キャスター
「ギリシャ経済の現状ですが、2013年の公的債務残高は、およそ3191億ユーロ、日本円でおよそ40兆円まで膨らんでいまして、2014年の実質GDP(国内総生産)はおよそ1865億ユーロ、26兆円と、このところ減少傾向です。失業率も26.5%と危機的な状況となっています」
反町キャスター
「GDPの表を見ると、2000年から2008年まではいい具合にどんどん増えていますね」
田中氏
「4%ぐらいで」
反町キャスター
「2000年よりも前の時代に比べると、この2000年以降の経済の伸びというのは、ギリシャにとっては歴史的成長期間?」
田中氏
「そうだと思います。金利も25%から名目金利だと。10年物ですよ、住宅ローンのということになると。でも、それが数パーセントになったわけですからね。ちょっと信じられないというか、歴史が始まって以来、というのは大げさかもしれないですけれども、まさにそういう状況だったんです。ドイツの大銀行も貸し付けましたし、フランスの銀行はギリシャの銀行を買収して、支店を展開して、貸し付けまくったわけですから。ユーロになりましたから為替リスクがありませんので、それまではあまりギリシャに貸し付けていないです、ドラクマの時は。ユーロになると為替リスクがありませんので貸しまくったわけですね。だから、貸し手責任もあると思いますね。ところが、それはドイツの銀行やフランスの銀行だから、現在ドイツの政府やフランスの政府がもっと責任を持つべきですよね。まったく知らん顔をしていますので、ユーロ圏側の先進国側にも応分の責任はあると思います」
反町キャスター
「そうですか?山本さん」
山本議員
「そうですね」
反町キャスター
「貸し手の責任ですか?」
山本議員
「要するに、そういう実情を無視して、ユーロに入れちゃったというところが最大の問題ですね。入れた以上は面倒を見ないといけないわけで、それは盟主国の責任だと。つまり、ユーロに入ると金融政策は同じですから、名目金利が各地域で一緒で、インフレ率が最初高かった。実質金利が低くなってブームになっちゃったわけですね、経済は。それに為替リスクがないということもあって、どんどん貸し付けたということですからね。それはドイツなり、フランスの銀行に責任もあると思います」
反町キャスター
「田中さん、たとえば、ドイツやフランスの銀行が、ギリシャがユーロに入ってきたぞと。この国にガンと貸し付けることによって儲かるかもしれないなというふうに進出してきた時に、ギリシャ政府は、将来を危惧してちょっと待てよと言うことはできないものなのですか?」
田中氏
「EUの場合は単一金融市場になっていますので、チェックすることはできません。EUの銀行は自由に入ってきて、自由に営業をしていいんですよね。もちろん、ギリシャの銀行が出て行って、自由にやることはできるんだけれども、資金力も違いますので。結局、西欧の銀行が入ってくることになります。先ほど、欧州中央銀行に9000億円ぐらい返済、それは欧州中央銀行がギリシャの国債を買ったからだと言いましたけれども、その国債を売ったのは誰だと思います。フランスの銀行であり、ドイツの銀行ですよ。ギリシャ国民のために国債を買ったわけではなくて、ドイツやフランスの銀行を助けるために欧州中央銀行が国債を買っているんですよ。だから、共同責任です」
浜教授
「と言うことは、要するに、欧州中央銀行が何をしているかと言うと、ユーロという通貨を消滅させないために、やれることを手当たり次第やっているということですよね。だから、どこを救済するかという話でもないですけれども、問題はユーロという通貨を存続させるために、こんなやつらを助けてもいいのとか、自己責任でしょうということを言えないという状況になっている。この支離滅裂さというのが、現在の状況の問題ですよね。それは、ギリシャ政府が突然、ユーロでお金が借りられて、オリンピックもできてしまうという時にやめておきましょうとは言えないですよね。オリンピックできていないと思いますよ、ユーロ圏に入っていなければ間違いなく。それは発展途上国からそれなりの先進国の一角を形成できるようになりそうだというところに、結果として、ユーロ圏に入った結果としてなったわけですから、それは相当逆上していくのは当然ですね。それと、もう1つは、確かに、貸し手責任はないのかという話との関わりで、フランス、ドイツの金融機関。投資家はユーロ圏に入った以上は、ギリシャが危機に陥ったら、絶対にユーロを消滅させないために皆で助けるに違いないという。そういうふうにタカを括ったという面もあったと思うんです。案の定そういうふうになっているわけです。だから、いろんなそういう皮算用とか、そういうものが相まってこういうふうになっちゃっているわけで、誰の責任というか、こういう経済的に合理性のないことをやると、こういう結果になってしまうんだということを、我々は目の当たりにしていると。それがこの問題の本質だと思うんですね」

ユーロ その理想と現実
松村キャスター
「そもそもEUはなぜ生まれたのでしょうか?」
田中氏
「そもそもスタートしたのは1950年ですか。その時はソ連に対抗しなければいけない。それから、アメリカにも対抗、2つの超大国がありましたので、そのままにしていると、西ヨーロッパが没落すると。それを没落しないで復興していくためには、西ドイツの経済力を活かして、フランスの軍事力、政治力、これとドッキングして、西ヨーロッパが立ち直っていくということだったんですね。だから、フランスと西ドイツは戦争をしない体制をつくるというところからスタートしました。6か国ですね。これは先進国だけ、イタリアもありますけれども、イタリアも先進国と言っていいと思いますので、6か国の先進国でスタートしました。20世紀にはずっと西ヨーロッパに拡大はしたんですけれども、最後15か国までいきましたけれども、ソ連が崩壊し、経済的にもアメリカに追いついてくると、そもそものEUの目的は何だったかというか、東欧諸国がEUに入ってきましたので、EUは法の前の平等、民主主義という価値を大事にしますので、東欧諸国が、ソ連が崩壊したあと入ってきましたよね。そうすると現在28か国。西ヨーロッパは特にドイツが盟主ですけれども、周辺に貧しい国と言いましょうか、新興国が出てきたわけですね。20世紀は、西ヨーロッパの先進国だけの基本的に統合体で、平等の関係でスペインとかはありましたけれども、そこには地域政策とかでお金を出してあげて、15か国の中で4か国が新興国でしたので、お金も出しやすかったんですけれど、その頃までは何と言いましょうか、戦後の西ヨーロッパの生き残りがうまく平和と経済統合が成功したという感じだったのですが、21世紀に入って、周辺国がずらりとできますと、だんだん帝国的と言いますか、センターが、中心諸国が周辺国を支配していく。単一市場というのはそういうものですよね。単一市場をつくると、単一通貨がいると。市場だけでは効率が悪い。だから、大企業や大銀行はユーロ大歓迎ですよ。それは僕らにとってもあり難いですよ。ヨーロッパに行っても、前はいちいちお金を両替しなければいけなかったわけですけれど、そんなの必要ないですよ。だから、ユーロ圏の人達も、ユーロ危機の最中でも、60%以上はユーロ支持ですよ。ユーロ圏の国々の世論調査で。だから、ギリシャでも昨年の春の調査では70%の人が支持していて、30%が反対ですね。だから、庶民にとってはユーロというのはすごく安定して便利な通貨なわけですね。だから、単一市場に単一通貨をというような動きの時には、僕もそれは非常に経済的に筋が通っていると思っていました」
反町キャスター
「単一通貨にしたことが問題なのか?加盟国の拡大が問題なのか?」
田中氏
「私は後者だと思います」
山本議員
「私は単一通貨をつくったところに問題があると思います。EUが最初できたのはアメリカが戦後復興で、マーシャルプランでアメリカがリーダーとしての責任を果たし、ヨーロッパの復興を助けたと、そこから始まるわけですけれども、その中で、ヨーロッパが1つの市場をつくろうという話、これは結構だと思うし、それは、市場が大きければ、大きいほどいいと思います。ただ、その中でお話がありましたように、各国の企業もそれぞれ工場が各地にあった時に、通貨が違うというのは非常に面倒くさいということで単一通貨をつくりたいという話になったんですね。その時きちんと議論していなかった。単一通貨をつくる時の裏の政治力学は、フランスとドイツですけれど、フランスはヨーロッパの盟主になりたいということで急いだ。ドイツは実は最初は慎重だったのですが、東ドイツと統合するという話になりまして、この統合を他のヨーロッパの国は警戒したんですね。それに対して、何とか統合させてくれと、その代わり単一通貨でフランスと手を握って、やりましょうという話になって、ユーロが、単一通貨が生まれたと言われています。その時に、単一通貨をつくる時に大事なのは最適通貨圏という理論があるんですけれど、これは1つの通貨でどこまで含んだらいいかというきちんとした理論がありまして、マンデルという人が提唱したのですが、1番大事なのは労働の完全移動。労働者がどこでも行けると。つまり、北海道と、日本の沖縄、九州、これは日本国内もほとんどどこでも行けるというところだったから、通貨が1つでいいということになるんですね。ところが、これは完全にできているわけではない。それが1つ。いざ不均衡になった時に主要国というか、中央が財政的な負担も含めて助けるんだというメカニズムがないと、これはうまくいきません。この問題は、アメリカの経済学者とかが、できる時に指摘していたんですね。それから、アラン・ウォルターズ卿というサッチャーさんの顧問がいたのですが、この人もいずれはギリシャのような問題が起こるよということを言って、ポンドはユーロに入らないのですね。そこは賢かった。だから、いざとなれば為替レートを動かして調整できるし、自由に金融政策ができるわけで、自分の国の経済をうまくするために、ちゃんとやれるということを確保しているわけです。フランスとドイツは政治的なそういうバックグランドから一緒になったために経済合理的なきちんとした詰めの議論ができていなかったということだと思いますね」

ユーロ財政の可能性
反町キャスター
「この先どうなるのかについて。どう決着すると思いますか?」
田中氏
「今年と言いますか、今回は、デフォルトは助けるし、そのつもりだと思います、ユーロ圏側もそれはやると思います。EU側は2054年までのギリシャの返済計画ができているんです。2400億ユーロをどう返していくかという。毎年GDPの5%ぐらいを返していく。その順序も決まってるんですよ」
反町キャスター
「ギリシャがユーロ圏から出て行くというのは」
田中氏
「仏の顔も3度と言いますよね。そういうことはあり得るかと思います。ユーロ圏から出て行くのは規定がないので、どうやってやるかと」
反町キャスター
「追い出し規定がない?」
田中氏
「ないです。EUからの離脱規定はできたのですが。ユーロ圏からの離脱の規定はないですね。どういうことになるかはわかりませんが、たとえば、欧州中央銀行が資金の供給を止めるとか、短期国債を出せませんよね、ギリシャ政府は。ECBとユーロ圏がギリシャの生殺与奪の権を持っているんですよ。だから、彼らが助けようと思っている間は助けられます。しかし、あまりにもギリシャがごねてということが続いていけば、どこかで、仏の顔も3度目だよねとなると思います」
浜教授
「私は結局のところギリシャは追い出されるか、自分で開き直って出て行くか、いずれにしてもユーロ圏からは出て行くということになると思います。その先にはユーロ圏そのものの解体が待ち受けているというふうに展望しますが、そのプロセスでちょっと面白いことが起きる可能性が2つあるなと思うのは、1つはギリシャが出て行ったらば、出て行って、このユーロ圏の他の人達に、ああせい、こうせい言われなくなったならば、意外と現在言われていることを自力でやり始めるかもしれない。この構造改革ですね。国の危急存亡の時だとか言っちゃって、これは我等が自力でがんばるしかないというような格好になって、ああいう気まぐれな人達ですから、そうかと思ったらいきなりそれをやり始めて、結果的に出て行った方がギリシャ復活みたいな感じになっちゃうかもしれないと、そういうそこはかとない可能性を感じるのと、もう1つは、ユーロ圏から出て行くということは、必ずしも機械的にEUから出て行くということにつながるわけではない。ユーロ圏からは出たが、EUの中に残っていると、当然EUの予算の中からいろんな構造基金とか、いろんな困っているところの救済のための金とかいうのを、もらう権利がたぶんあるはず。だから、以外とそれで食いつないでいくという第3の道が見つかっちゃって、それを見て、ポルトガルとか、スペインとかもあの手があるのか、みたいな感じになっていくと、実はユーロ圏がだんだん細っていって、EUの一員ではあるけれど、ユーロ圏に入らないという、それが以外と居心地の良い解決かもというふうな側面が出てくるかもしれません。でも、より面白いのは外に出て見事に復活という。実はそれが経済的な流れとしては自然体だと思います」
反町キャスター
「離脱した直後は?」
浜教授
「直後は大変でしょうね。当面は全然信用されない。資本規制などして、いわば鎖国状態をつくると、事実上そうなってしまう。自給自足経済をまわしてみると、意外と何とかなるという面もあったりするかもしれない」

山本幸三 自由民主党衆議院議員の提言:『リーダーの責任』
山本議員
「ユーロをつくった時にリーダーが最終的には責任をとるということができていなかったので、現在、混乱に陥っているということだと思います。これはある意味で、国同士の場合のリーダー国というのもありますし、あるいは国内でもリーダーがきちんと何か起こった時にはちゃんと自分が傷みを感じてもちゃんと責任をとるんだということが必要だと思いますので、かつてアメリカがしっかりやっていたんです。これがなくなって、ユーロではドイツがそれをしっかりしなければいけない。そういう意味で、リーダーレスエコノミーになっているので、これを立て直す必要があるのではないかと思います」

浜矩子 同志社大学大学院ビジネス研究科教授の提言:『無理は禁物』
浜教授
「ギリシャも無理は禁物ですけれども、ユーロという通貨を無理繰りつくったというのも禁物だったのではないかということが現在見えている。ドイツもしっかりしろと言われて不本意な無理をせざるを得ない。そういうことが重なってぎくしゃくをもたらすということで、何事も無理は禁物よということです」

田中素香 元日本EU学会理事長の提言:『経済成長と消費税引き上げの両立』
田中氏
「日銀の話もあるんですけれど、財政の問題ということになると、消費税の引き上げが必要。20%とか、シミュレーションによれば25%まで上げなければと言われているんですね。ただ、3%引き上げて、この前、非常に大きなショックがありましたので、毎年1%ずつ上げていくというようなルールを決めて、10年やれば18%になりますし、今回10%になれば20%になりますけれども、そういう意味でのルールをリーダーの責任できっちりつくってもらわなければ、高齢化がどんどん進んでいきますので、団塊の世代はだんだん後期高齢者に入っていきますので、そのあたりのことを考えると日銀に任せるとか、差し引き60兆円という話では済まない。もっと長期に2030年とか、2035年ぐらいを見ながらきっちり消費税を上げていく、成長政策と一緒に。アベノミクスは成長政策を言うのですけれども、財政再建の方はあまり言われていないのではないか。そこを山本さんあたりがもう少し財政にも責任を持ってやっていただきたいなと。国民に傷みを伴いますよ。ギリシャ人はそれを避けているから、こういうことになったわけですから、そこは日本はそうはならないよというところを、自民党にはしっかり見せてもらいたいなと思います」