プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年6月16日(火)
医療費抑制は必然か? “医療破産”の現実味

ゲスト

鴨下一郎
自由民主党社会保障制度に関する特命委員会委員長代理 衆議院議員
伊藤元重
東京大学大学院経済学研究科教授
堤未果
ジャーナリスト

増える社会保障給付費 医療費抑制のあり方
秋元キャスター
「社会保障給付費の推移ですけれども、2014 年度の社会保障給付費は、予算ベースで115.2兆円です。医療費だけ見てみますと、1990 年度には18.4兆円だったものが2000年度に26兆円。2014年度は37兆円に達しています。こうした中、財政健全化のために、歳出改革の重点分野の1つにあげられているのが、社会保障ですけれども、先週、経済財政諮問会議で示された骨子案の基本方針がこちらです。インセンティブ改革による生活習慣病の予防・介護予防。公的サービスの産業化の促進。医療・介護提供体制の適正化。後発(ジェネリック)医薬品の使用促進を含む医薬品に係る改革。負担能力に応じた公平な負担。このようになっているんですけれども、伊藤さん、経済財政諮問会議の民間議員をされていますが、特に、強調すべき、注目すべきポイントはどこになりますか?」
伊藤教授
「全部大事です。その背後に、1つの重要な考え方があって、よく社会保障費や医療費の抑制というと、何かのコストカットと言うんですか、たとえば、いろんなコストを下げるとか、そういうイメージで捉えることがあるんですけれども、そこに書いてあること皆、そうですけれど、どこまで現在の医療の質を下げないで、あるいは可能であれば、もちろん、これからも技術も上げていく中で、公的負担を減らしていくかと。財政負担を減らすかということがポイントです。もちろん、重症化しなければ医療費が下がりますし、あるいは民間にもできることでやれるものがあれば、何も全部財政でやらなくてもいいんだろうと。特に、予防とか、療養とか、そういうところが多いと思うんです。あるいは現在、見てみると地域によって、かなりこちらの地域に比べると、ちょっと課題があるのではないだろうかという形、要するに、医療供給体制みたいなものを変えていくと。これはもちろん、議論があることはわかっているんですけれども、薬について、欧州を見ても、アメリカもそうですけれど、ジェネリックで医療費を抑えているわけで、日本もそういうことをちょっと踏み込んでできないかと。最後の部分は、これは社会保障だけでなく、財政皆にかかわるわけですけれども、負担できる方に、申し訳ないけれども、少し負担をしていただくと」
反町キャスター
「たとえば、財政負担のどういう問題点が浮かび上がってくると、伊藤さんは感じているのですか?」
伊藤教授
「透析のケースですね。これは特定の事例なので、非常にわかりやすいケースですから申し上げたいと思うんですけれど、この方は糖尿病が悪化して、あるところから透析に移行されちゃうわけですけれども、その結果として累積医療費が4600万円かかっているんですね。これは、あるお医者さんがおっしゃっていましたけれども、崖から落ちてから対応をすると、本人も大変だし、コストもかかると。だけど、崖から落ちないように、いろんなことをやってやるということが重要だろうと。この場合で言うと、従って、可能であれば、透析まで至らないように、はやい段階で、そういう方にいろいろな注意を喚起しないといけないですね。食事だとか、運動をやっていただくと。最悪の場合でも透析に移行するまでの期間を1年でも2年でも先に延ばすことができれば、いいということですね」
反町キャスター
「61歳に透析開始となっているということは、この時点から、透析が始まった。人工透析が始まったんですね?」
伊藤教授
「はい。こういう現場にいる方は、よく聞く話ですけれども、本人のいろんな状況を見ると、本当に驚くべき悪い状況にもかかわらず対応していないというケースが結構あるんですよ。ですから、こういうものが実際にいろんな検査データだとか、いろんなことから、ある程度、事前に地域としてわかるわけですけれど。その時に、どういう形でやるかと。難しいのは病気になってからいった場合、病院側がもちろん対応するわけですけれど、この前のところで止めるということは、地域全体がかかわるわけです。家族がどれだけ協力するか。本人がどれだけ意識を持つのか。あるいは地域で、そういう、いわば健康の啓発活動をやるかということになるものですから、そういう意味で、単なる病院だけの活動ではなくて、もうちょっと全体の活動にしなければいけないですから。1つデータをお見せしたいんですけれども、これは、経済産業省の方で委託して、どこかの研究所からつくったデータらしいのですが、要するに、糖尿病以外に、高血圧疾患だとか、関節、ロコモティブ予防とか、誤嚥性の肺炎とか、胃ろうとかそういうものですね。こういうものに対して、重症化予防とか、そういうことをやることによって具体的にどの程度成果があるかと地域でいろいろあるものですから、たぶん1番うまくいっている地域のケースが、他にもいったらというケースでやっているだと思うんですけれど、要するに、財政負担が1兆2000億円減って、それだけ高い医療費を払わなくていいわけですね。もっと重要なことはそのためによって民間のマーケットが4兆円増えるわけです。たとえば、運動するとか、あるいは予防医療をやるとか。だから、そういう意味では、実は予防とか、こういうものは単に、財政を減らすだけではなくて、その産業としても非常に重要な意味を持ってきている」

重症化予防と産業促進
反町キャスター
「重症化する前にこういったことが民間で行われるようになれば、予防医療も含めて未病の対応ができて、財政負担もなくなるし、クオリティオブライフも向上するだろうと。個人の生活が豊かになるだろうと。こういう話ですけれど、ここのところ、ビジネスとしては成立するのか、どうかということも含めて、産業化して市場原理を導入していこうというのをどう感じていますか?」
鴨下議員
「予防をあらかじめ、たとえば、診療報酬で見るということはできないわけだから、だから、そういう意味で言うと、予防というようなことを、民間の様々なサービスと結びつけて、結果的に病気になる人が少なくなるということにつながっていけば、先ほどからお話のあるように、本人にとってみれば生活の質があがる、あるいは健康寿命が延びる。結果、それと同時にそういう周辺の健康ビジネスと言いますか、もちろん、そういう運動だとか、ジムだとか、そういうものがありますし、それから、口腔ケアは、ほとんど介護の中に入っている話だけれども、だけど、そういうのをより健康な人が、日常の生活習慣として身に着けていくという、こういったことまで、たとえば、美容だとか、何かと同時にやってもらえるような産業が起これば、それは、私はトータルで医療費を削減することになると思います」

医療・介護提供体制の適正化
秋元キャスター
「医療・介護提供体制の適正化について聞いていきたいと思うのですが、伊藤さん、この現状はどうなっているのですか?適性化ということは適性ではない?現状は」
伊藤教授
「いろんな論点があると思うんですけれども、たとえば、ここにある資料です。これはよくいろんな方がお使いになるんですけれども、たとえば、都道府県別で見ると、一般的な傾向として、この病床数が多い、ベッドですね、多いところがどうしても、1人当たりの医療費とか、あるいは病院の入院している平均年数とか、日数が増える傾向があるんですよ。そういう意味では、この病床数をどうするかというのは非常に重要な話」
反町キャスター
「ベッドの数が多いところが患者が多いということなのですか?ベッドが多いと患者が増えるのですか?」
伊藤教授
「それはベッドが多かったら、それの採算があわないと潰れますからね」
反町キャスター
「要するに、患者数が多いからベッドが多いというのだったら、わかりますよね。違うのですか?」
伊藤教授
「これはもちろん、因果関係はわかりませんから結果論として言われるんですけれど、決してベッドが少ないとか、山形県、あるいは長野県の方々が不健康であるわけではないんですね。それは特に長野は非常に評価が高いわけですから、そういう意味では、別にどの県とどの都道府県を比較するというものではないですけれどね。こういうところから、手がかりにしてやる」
鴨下議員
「このグラフは、ベッドの数、入院している患者さんの数ですから、だから、ベッドが多ければ、平均在院日数が少し伸びてしまうということはあるかもわかりません。ただ、この山形県が足りているから、少ない例で、それで高知県が余っているけれども、そういうところも余分に使っている。単純に、そういう比較はできませんけれども、現在、一般的に言えば、平均の在院日数、入院している期間で該当医療費というのが決まりますので。だから、そういう意味で言うと、1番適性なのはどこなのかということと、それから、年齢構成も変わりますし、それから、高齢の人達が増えますから、本当に急性期だとか、ちょうど高度急性期のところの機能を持った病院がたくさんあればいいかというと、そうではなくて、むしろ慢性期だとか、回復期だとか、そういうようなところの病院の方が、ニーズとしてあう地域もありますので、だから、それなりにある程度コントロールして…」
反町キャスター
「昨日、政府が発表したベッドの数の削減目標みたいな話です。2013年は現状135万床あるんだけれど、これを2025年、12年後までには20万から16万ぐらい減らして、115万床から119万床までにしたいという、政府のトータルを減らしましょうというこの方針をどう見ていますか?」
鴨下議員
「これは相当、いろいろと考えないといけなくて、実際にはニーズがあるのに、ただ、ベッド数だけを減らしていくというわけにはいきません。だから、場合によると、回復期、慢性期がありますが、そこから先、在宅に行く前に軽度の医療が必要だけれども、施設の中で治療ができるという、こういったところも、もしかすると必要になって、そういうところをつくっていけば、20万床ぐらいのシフトはできるかもわからないけれども、ただ、いきなり2025年には20万床下げましょうという、こういう話ではない。それに代わる何らかの施設を用意しながら、もちろん、在宅で良いサービスが受けられるようにという、こういうようなことで希望をすればそういうような方向でサービスが受けられる。そういう患者さん本位の仕組みで、ベッド数が減っていくだったら、それはそれでいいと思います」
反町キャスター
「ただ20万床減らしますという決め方は、ちょっと荒っぽいねと、そういう意味?」
鴨下議員
「それは、もしかするとニーズがあってベッドなしみたいな話になりかねないので、慎重にやらないといけない」

ジェネリック医薬品の普及促進
秋元キャスター
「ここからは後発医薬品について考えていきたいと思います。後発医薬品、いわゆるジェネリック。ジェネリック医薬品は新薬、先発医薬品の特許が切れるなどしたあとに新薬と同一の成分を使い製造した医薬品ということです。開発費を抑制できるため、保険適用の際、新薬の6割程度の価格に設定されているということです。鴨下さん、後発医薬品と言うとまだ不安が残るという方も多いと思うんですけれども」
鴨下議員
「30年、20年ぐらい前には、たとえば、同じ薬を飲んでも、溶け方が違うとか、血中濃度の上がり方が違うとか、そういうことがあったんですけど、現在はジェネリックと言っても、皆、大きなメーカーですから、薬の品質そのものは、私はほとんど先発品と変わらないと思います。そういうようなことを、これから、先発品の特許が切れて使えるようになったら、より安い値段でジェネリックが存在するべきだと。こういうふうに思います」
反町キャスター
「6割程度の価格というのはどうなのですか?」
鴨下議員
「個人的には6割は高いなと思いますよ。だって、特許の知的財産そのものがすごく先発メーカーにとっては、いわば命がけで特許をとったわけですからね。リスクをかけてね」
反町キャスター
「お金をかけて、時間をかけて」
鴨下議員
「その特許が切れた途端に、ジェネリックは、特許をある意味で、買わないで済むので、つくるわけですから、先発品の6割というのは高いなと思います。これは個人的な考えだけれども」
伊藤教授
「ジェネリックとは何だろうかと言う時に、そもそもパテントとは何だろうかということを考える必要があると思うんですね。パテントというのは、とにかく独占権を認めますということですね。独占権を認め、高い価格で出しても構いませんと。なぜなら、開発にコストがかかったからだと。ただ、それを永遠に認めると言ったら、せっかく安く薬が皆で使えて、ジェネリックでいけるところがなくなるから、特許はある一定期間を過ぎたら、特許は切れますよということであるわけですから、本来であれば、その特許が切れた段階では、開発した企業には申し訳ないんですけれど、それができるだけ原価に近い価格で、国民に行き渡るということがあるべき姿だろうと思うんですよ。その形態としてはジェネリックだと思うんですね」
鴨下議員
「ただ、私は、先発メーカーの片を持つわけではありませんけれども、最初に上梓した、最初に市場に出した時の値段と、特許が切れるまで段階的に薬価を下げていくというのが一般的ですね。だから、特許が続く限りはある程度、薬価を維持してあげないと、次の新薬の開発意欲が削がれてしまうんです。その代わり、先生がおっしゃるように、特許が切れたら、ジェネリックとほぼ同等の薬価に下げますと。そうでないと新薬がある程度高止まりしていてジェネリックはすごく安いと。結果的に、いわゆる長期収載品よりもジェネリックを使うということになって、結果、新しい新薬をつくるメーカーにとってみると、あまり尺にあわなくなってしまう」
伊藤教授
「そのバランスでしょうね」
堤氏
「アメリカだと、新薬、特許が切れてから、ジェネリックとの価格比がすごくあるので、安くなるんですね。ところが、日本は、先ほど、鴨下先生がおっしゃった、ジェネリックの(価格が新薬の)6割で、初めからすごく社会的に高いので価格比があまり小さいと、結局ここに市場原理が働かずに、薬価全体が下がっていくという機能が日本はあまり働いていないように思うんです」
反町キャスター
「それはもっと安くなれば、なるほどということで、ドンと市場効果が働くのだろうと。こういう話ですか?」
堤氏
「他の国ではそうなっているのと、それから、特許が切れたあとに、第2次新薬がありますよね。少し付加価値を加えた新薬。それもかなり価格設定が高いので、鴨下先生がおっしゃったように、日本は薬価が毎年下がっていくのに、医療費の中の薬剤費というのが非常に高い。上がっていっていますよね。薬価設定のプロセスの見直しというのは、医療費抑制政策の中には入らないのでしょうか?」
鴨下議員
「そこは誠に鋭いご指摘でして、たとえば、新しい薬が、特許が切れる頃になると、また別の効能、効果で新薬というふうな形で登場をするということがあるんですよね」
反町キャスター
「別の効能とはどういうことですか?」
鴨下議員
「たとえば、胃潰瘍の薬が、胃炎への作用もあることによって、また新薬として、新しい薬価がつくということがあって。ただ、私は、新薬メーカーの生き残り策として、これまでそれを認めてきたんですけれども、むしろもっとオーソドックスに、たとえば、新薬で上梓してから特許が切れるまでは価格を維持してあげる。その代わりジェネリックが出た時には、そのジェネリック並みに下げる。新しい新薬を、画期的な新薬を開発して、市場に出すための資金にしてもらって、おっしゃったように、ちょっとモデルチェンジをして、マイナーチェンジして、また新しい薬価をつけるというのは、そろそろいろいろと考えないといけない」
伊藤教授
「非常に大きな産業の中で、非常にいろんなことを配慮しなかったから、結果的に不思議なことが起こっているんですよ。私もびっくりしたのは、2年に1回薬価を改定するわけですけれども、要するに、マーケットの価格を見ながら調整をするんですけれど、たとえば、今年、薬価を決めますよね。普通の常識だと、そこから非常にはやい段階で、それを判断して取引するはずですけれど、たとえば、大手のドラッグストアというところは価格に関係なく薬を注文するわけ。1年ぐらい経ってみて価格を決めましょうと。決めて、1年前に戻るわけですよ。ですから、昔そういうのに近いのが、たとえば、大手のスーパーが野菜を買った時に、その値段というのが最後にマーケットで決まった価格に戻してやるというようなことが、1日ベースであったんですけれども、薬の世界ではそういうことが行われている。理由はわかるんですよ、薬が切れたら、いけませんから。ただ、考えてみると、仕組みを複雑にすればするほど、結果的にその中で起こっていることは、よくわからないことが起こっている。薬というのは国民の財産です。それから、先ほどおっしゃったように、新しい薬を開発することも非常に重要ですから、そこはそこで正面からしっかりと、どういうふうに全体の仕組みを良くしたら、一方で良い薬が出てきて、他方でもパテントが切れたものについては、国民が非常に安い価格で利用できる。そこは現在議論するべき時期にきていると思います」
反町キャスター
「日本医師会の話ですが、(後発医薬品に)7割ぐらいが品質に不安を持っていると。先発品を使っても医療費削減につながる可能性があり得るということですが」
鴨下議員
「一般的に使っている人達、それこそ前から使っている先生ほどジェネリックと先発品の製品の信頼度みたいなのに対し疑問を持っている人達がたくさんおいでになるという、ここに書いてあることだと思います。それから、先発品を使っても先発品で長期収載品で比較的価格の安いものを買えば、そうすればもちろん、医療費は安くなります。製薬団体連合会と日本製薬工業協会と日本ジェネリック製薬協会は、それぞれ利害が違うわけで、だから、何を書いたかちっともわからないです。だから、ジェネリックの皆さんはジェネリックを増やしたいし、メーカー全体としてはメーカー全体を守らなければいけないけれども、先発メーカーの人達はジェネリックにあまりシェアを奪われるのも嫌だしという、こういうようなところで妥協の産物で最後は政治に任せますからよろしくという、こう書いてあるということですけれども、よくよくそれぞれのメーカー、あるいは各利害が対立するような人達から話を聞くと、先発は先発としての論理があるし、ジェネリックにはジェネリックの論理がありますから。そういうのを皆でわかって、ステイクホルダーの多いところは、この利害調整をきちんとして、あまり混乱しないように。しかし、急速に80%にしていくことを、どうやってやるのだろうかというのがありまして、お医者さんには処方する権利が、処方権がありますから、患者さんには安い薬を買う権利もあるし、そういうような中で、価格で誘導するのか、政策で誘導するのか、規制で誘導するのか。そのへんの整理がつかないまま、さあ、ジェネリックは80%にしましょうということだけで足りるのかという話はこれからたぶん諮問会議はそうおっしゃっているけれども、今度は政策として実現していく段階では相当、詳細に吟味していかないと…」

経済力と負担の適正化
秋元キャスター
「経済力に応じた負担を求める背景については」
伊藤教授
「これは経済財政諮問会議で初めて言ったわけではなく、これまで政府のいろいろな社会保障改革の中でずっと言われてきたことだし、もっと言えば、他の分野、教育とか、いろんな分野でも、厳しいからこそ負担ができる方にはできるだけそれなりのことはお願いできないだろうかということはあると思うんです。医療の場合でも特に高齢者の方が医療負担は多いんですけれど、中にはそれなりの資産を持っている方もいらっしゃる、あるいは所得のある方があるわけですから、そういう方々にももうちょっと負担を求める仕組みにすることによって全体の質を下げないようにするのは大事だと思います。もっと申し上げれば、そういう仕組みにすることによって、皆がこの社会保障を支えているんだという気持ちを強く持てるようになるということが必要だろうと思います。具体的にどうやってやるのかということについては、マイナンバーとか、いろんな問題もありますし、これから政策担当の方は政治も含めて考えていただきたい」
鴨下議員
「皆保険を守らないといけませんから、現役世代の負担能力というのも、私はほぼ限界だと思いますよ。たとえば、中小企業のサラリーマンの協会健保というのは保険料率10%。これぐらいが(限界)。皆それを払ったあとに子育てもし、住宅ローンも払うというようなことですから、全体で支え手が少なくなってくる段階では、先生がおっしゃるようにある程度負担能力のある人、これは別に若い人、それから、高齢の人ということではなくて、負担能力のある人には応分の負担をしていただくというのは、仕方がないかなと思います。ただ、ある経済団体の方が言っているように、後期高齢者を一律2割負担というのは、これは良くないと思います。原則1割だけれども、特にフローとか、ストックのある人には、場合によるとより負担をしていただくという形で例外的にそういう人達を増やしていくというのは仕方のないことだなと思いますね」
秋元キャスター
「堤さん、いかがですか?」
堤氏
「鴨下先生がおっしゃったように、高齢者だけにこれをやらせるのは良くないと思いますし、アメリカでは、窓口負担を上げることによって、病院に行かなくなるんですね、皆。そうすると、重症化しますから、重症化してから病院に行くと結局、医療費を押し上げる。結局まわりまわってその人達が最後は生活保護になってしまって、国が面倒を見るとか、極論ですけれども、そういうことも視野に入れて、資産とか、所得をどこまでで線引きするのかという、これは慎重にしないと本末転倒になるのではないかと思います」
反町キャスター
「いくら以上の資産を持っている人という、線引きですよね?」
堤氏
「そうです。ただし、資産があっても所得がなければ行けなくなりますから」
反町キャスター
「え!?」
堤氏
「資産があっても所得がない人。所得がないのに、窓口負担を上げるのかとなったら、これはちょっと問題になる」
反町キャスター
「問題になるのですか?貯金をいっぱい持っている人はしょうがないのかと」
伊藤教授
「何の資産かによると思います。不動産については、同時にリバースモゲージみたいな形で、資産を所得に、使いやすくする。改革は同時にやらなければいけないと思います。金融資産は問題ないと思います」

鴨下一郎 自由民主党社会保障制度に関する特命委員会委員長代理の提言:『インセンティブ改革』
鴨下議員
「今回諮問会議で1つの改革の柱にしていただいたのですが、インセンティブというのは、たとえば、努力したら、それなりに何らかのインセンティブがあるという、こういうようなことをあらゆることに使っていこうと。たとえば、保険の診療報酬なんかでも、急性期から慢性期に移行した時には収益率が変わらないようにするとか、それから、もちろん、個人も一生懸命ラジオ体操をやって、体を鍛えて、食べ物も気をつけたなら、その分だけ年末にちょっと報奨金がいくとか、そういうようなことで個人の努力だとか、自治体の努力だとか、様々な保険者の努力が報われるような、そういうインセンティブを使って、改革していく。これまで行政の手法は、法律で国民の権利義務を縛ったり、規制をかけたりと、こういうようなことをやったので、結果的に政治的なリスクが多くなって、途中で頓挫したりすることが多かったのですが、今回は諮問会議でインセンティブ改革という言葉が入ったのは画期的だと思っています」

伊藤元重 東京大学大学院経済学研究科教授の提言:『国民全員参加』
伊藤教授
「結局、特に医療というのは与えられるものではなく、皆で守って、つくっていくものですよ。ですから、キーパーソンが何人かいて、たとえば、もちろん、1人、1人の国民が、先ほどのインセンティブ改革もそうですけれども、いろんな努力をするだけではなくて、たとえば、職場でどうやって健康増進をはかるかとか、あるいはこれから自治体、特に都道府県市町村が、地域の健康を守るために何をしたらいいのかという取り組みは必要だと思いますし、さらに、保険者ですね。全体の仕組みをやって、いろんなところで国民が全員で参加するような形にしていくことによって、皆が納得して質を落とさないで財政負担を減らすことができるのではないかと思います」

ジャーナリスト 堤未果氏の提言:『ソーシャルキャピタル 社会的連帯資本』
堤氏
「社会的連帯資本という言葉ですけれども、日本は、医療費を先進国に比べて低く抑えて、なおかつ医療の質が高いということで非常に世界各国から評価されていますから、これは社会保障としての医療という核、国民皆保険、ここは崩さずに、そのうえで医療費抑制というのは手段ですから、何を目指して抑制していくのか。抑制策で黒字化することだけが目標ということにならないように、あくまでも日本が持ってきた、維持してきた宝、価値ある部分はしっかり守って、そのうえで考えていく。減らすべきところは減らして、守るところは守っていく。これは慎重に議論していくということだと思います」