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2015年6月15日(月)
温室効果ガス26%削減 政府目標と各国の思惑

ゲスト

井上信治
自由民主党環境・温暖化対策調査会副会長 衆議院議員
澤昭裕
21世紀政策研究所研究主幹
小宮山宏
科学技術振興機構低炭素社会戦略センター長

温室効果ガス26%削減 削減目標は妥当か
秋元キャスター
「安倍総理が8日のG7サミットで、世界に向けて『2030年度までに温室効果ガスを2013年度と比べ26%削減する目標をまとめた』と説明しました。でも、この数値ですけれども、今月2日、地球温暖化対策推進本部で示された目標を政府が了承したことを受けて発表をしたものということになりますけれども、まず澤さんに聞きたいのですが、26%の目標値は妥当なものなのか。なぜ2013年度比なのか」
澤氏
「この基準年度というのはもともと、EUが1999年度比ということで、京都議定書以来、ずっとそれで来たわけですけれど、EUに非常に有利な基準年と言われていて。それ以降、EUではドーッと下がってきているのを織り込んで1990年を基準比にすれば、自分のところは格好いいけれども、アメリカや日本は少ないように見えるという戦略的な意図があったわけです。それに対してアメリカは気づいていたので、2005年を基準年にした。日本もいろいろ揺れ動いたんですけれども、結局、国民に対して見せる時に現在、最新の状況からどれぐらい減らせればいいのかがわかりやすいように、かつ2011年の震災のあと、新しいエネルギー構造に変わってしまった。この時点を基準にして下げようという方に傾いたということですね。ただ、前に言っていた2005年の比率も一緒に言おうと。そういう決まり方にはなりましたけれども、2013年の方が皆、わかりやすいと思います」
反町キャスター
「26%という数字はどうなのですか?」
澤氏
「26%は、サミットが行われることにあわせて、1番の戦略的ポイントは、途上国に、12月に必ず削減に協力をさせるということが先進国の共通目標なわけですね」
反町キャスター
「12月というのは、パリで行わるCOP21?」
澤氏
「COP21。その前に行われる先進国の1番大きな会議がサミットなわけですから、そこで先進国の足並みの乱れがあると、途上国にうまく突かれてしまうわけです。従って、日本も他の先進国が言っている程度の、同じ程度の削減目標をコミットすることによって、先進国間の亀裂というのが表面化しないように協調して、途上国にあたっていこうという、そういう戦略だったのだと思います」
反町キャスター
「井上さん、この数値の設定の仕方をどんな感じで見ていますか?」
井上議員
「政府の目標ですから、当然のことながら現実的に実現可能な目標でないと画に描いた餅になってしまう。他方で、国際的なプレゼンスを高めるためにも野心的な目標を定めなければいけない。いわば、相反する要請があって、その中で、ギリギリの欧米にも遜色のない良い数字だと思います」

日本のエネルギーミックス案 26%削減は可能?
秋元キャスター
「2030年のエネルギーミックス、電源構成比ですけれども、石油が3%程度。石炭が26%程度。LNGが27%程度。原子力が20~22%程度。再生可能エネルギーが22%から24%程度となっているんですけれども、この数値目標で先ほどの、2013年度比26%削減という数字が可能だと」
井上議員
「それは可能だと思います。ただ、むしろその前提であるエネルギーミックスを2030年度、この姿にもっていくことができるのかというのは、課題がたくさんあると思っていまして、それは省エネもそうですし再エネ、原子力をこれだけきちんと確保できるかどうかということ。それから、もう1つは、これはあくまで2030年度の、政府が考える、あるべき姿というだけであって、それを事業者や国民に強制できるわけではないですから。いわば政策誘導をどうやってしていくのかと。当然ながら2030年度、あと15年があるわけですから、その間に何が起きるかわからない。それは悪いことだけではなくて、たとえば、飛躍的に技術革新が起きるかもしれない。だから、そういう様々な要素を、まさに、ミックスさせて、現在考えられるベストなシナリオをつくったと、こういう理解ですね」
秋元キャスター
「澤さん、どう見ますか?この電源構成。可能ですか?目標達成は」
澤氏
「今日はCO2の話からエネルギーミックスの話にきているわけですが、エネルギー政策はCO2だけではないわけです。政策目標として、CO2も1つですが、経済性の問題と安定供給、安全保障の問題があるわけです。今回のエネルギーミックスを考えた時の政策目標がこの3つ。自給率。原子力を準国産エネルギーとして見た場合ですけれど、これは原子力が現在止まっているわけで、現在わずか6%のやつを25%ぐらいまで回復させると。電力料金が現在上がっているので、これ以上は上げない。むしろ現状より引き下げる目標を持とうと。さらに、先ほどの温室効果ガスとして欧米に遜色ない目標。この3つを3つながらに達成をするためには、相当選択幅の狭いミックスしかないわけですね。従って、井上先生がおっしゃったように、そこの数字はあるべき姿として、まさに、こうでないと、この目標はできないぞと。だから、これが崩れれば目標も諦めざるを得ないという、ギリギリのバランスの中でつくったものなので、できるかどうかという意味でギリギリできるかもしれない。いろんな対策をすることによってできるかもしれない数値、ミックスだということだと思います」

再生可能エネルギー増加は可能か
秋元キャスター
「地球温暖化を防ぐための温室効果ガス削減で重要な鍵を握るのが再生可能エネルギーですけれども、日本政府はこの再生可能エネルギーを2030年度の電源構成で、22%から24%にするという目標を掲げています。その再生可能エネルギーの内訳を見ていきますと、再生可能エネルギー22%から24%のうち水力が8.8%から9.2%程度。太陽光が7%程度。風力が1.7%程度。バイオマスが3.7%から4.6%程度で、地熱が1.0%から1.1%程度となっていますけれど、小宮山さん、この構成比についてはどう見ていますか?」
小宮山氏
「これは水力が現在でもある値ですよ。それにくっつけているのか、構成比であり、絶対量を表しているわけ。僕はもっと太陽光は倍ぐらい入るし、小水力というのは本当に安いですよ。補助金なんていらないというのができだしている。地熱というのは、現在、世界3位の地熱大国ですから、そういうのをやれば、2030年といったら、先ほどの比率で言うと、40%近くまでいくことは十分可能で…」
反町キャスター
「22%から24%ではなくて、40%?」
小宮山氏
「そうですね。これより増えますよ、現実に。然るべき制度的な仕組み。それほど大きな経済的な負担ではなしに、然るべき枠組みをやっていけば、もっと増えますよ」
反町キャスター
「まだ小水力を、水田の流れる小川でのマイクロ水力とか、いろいろと知恵はあるにしても、そのコミュニティの一部では賄えるかもしれないけれども、その何パーセントまでもいくような数字に」
小宮山氏
「いく」
反町キャスター
「いきます?」
小宮山氏
「小水力が始まりますと、コストの話をすると、kW、あまり数字をいうと…、kWで150万円から300万円ぐらいの話をしている費用。それより前から50万円ぐらいになるだろうと。そうすると、補助金をもらわなくてやれるはずだという話をずっと前からしていますよ。それに対して60万円でつくるというベンチャーが出てきているんですよ」
反町キャスター
「ここはいろいろな人の意見を聞いてみたい」
小宮山氏
「ポテンシャルは持っているんだよ。ポテンシャルはわかっていて、いわゆる100万kWぐらいの発電所でもって6基分ぐらいあります。そのうちのどれぐらいが現実できますかということですよ。半分ぐらいまでは、僕はいけると思いますよ」
反町キャスター
「結果、日本の再生可能エネルギーと日本の発電の目標は22%から24%だけれども、40%までは賄える?」
小宮山氏
「2030年にね。僕は、2050年には再生可能エネルギーが日本の主力になると思っているもの」

電力使用量の推移
秋元キャスター
「政府は2030年の電源構成で、総発電力は2013年で9397億kWhだったのが、2030年の総発電量は1兆650億kWh程度となっていて、増えているわけですけれども、井上さん、この電力使用量。どういう試算で出ているものなのでしょうか?」
井上議員
「これは経済成長というのが大きいと思っていまして、あと15年ありますから、その間にどこまで経済成長できるか。これはもちろん、なるべく経済成長していこうと。GDPで言えば、名目3%以上は成長させていくということになれば、当然のことながら、それに伴って総発電量も増えていくと。そのうえでどこまで省エネができるかと。それは省エネを最大限やって数字がこの数字です。だから、そういう意味では、現状より少し総発電量が増えている程度ですから、非常に現実的な数字だと思います」
反町キャスター
「年3%の(経済)成長が前提なのですか?」
井上議員
「それは政府で言っているGDPの名目。実質2%以上成長していくのを、アベノミクスはやっているわけですから」
反町キャスター
「それを前提とした時に、1兆650億kWhぐらいは消費するだろうと。こういう話になっている?」
井上議員
「そこから最大限省エネをやるんです。省エネをやらなければもっと増えます。成長しているから。ですから、これぐらいの数字なると」
小宮山氏
「これまで高度成長と言う時には、いわゆる重化学工業で成長してきたんですよ、1970年までは、そうなんですよ。その時は、経済成長というのは鉄の生産量、化学の生産量が増えることだった。それはもう飽和しているんです。完全に飽和していますよ。ビルだって、赤坂プリンスホテルを建てているけれど、あれは壊したでしょう。前のやつを。そういう形になって、飽和しているんです。どこが伸びます?経済で伸びると言った時に。よく考えてみればいいんだよ。それは、グーグルが、アメリカで10兆円ぐらい出ていたり、アマゾンが出たり、要するに、エネルギーを消費しないところが伸びるんですよ。それが今回の図で、日本のエネルギー消費というのは、経済がマイナスになったことは、実はそんなにない。それで最初に減り出すのは石炭とか、そういうものが減り出すんです。その次に減り出すのは石油ですよ。自動車が、10年前ぐらいから、1.5%ずつ、毎年減っているといったでしょう。電気が最後です。と言うのは、最終的なエネルギーの使用形態というのはどんどん電気になっていくというのが歴史的な流れですよ。だから、電気が減るというのはいつ減るかがよくわからなかった」
反町キャスター
「そうすると、減って、下降局面に入っていると」
小宮山氏
「そうです。現在1兆650億kWhという。これより上にいく。落ちたのに。落ちたのがまた上がると言っているんでしょう。そんなことであれば現在、井上さん、名目成長率3%と言ったでしょう。名目が成長したって別に増えないよね。だから、あとは実質ですよ」
井上議員
「実質2%というのは政府の目標です」
小宮山氏
「2%成長というのもすごいけれど、先進国でそんな成長をずっと続けるなんて、あまり考えられませんよ。だけども、成長をするところというのはサービス産業ですよ」
井上議員
「GDPで、残念ながら成長してこなかったわけですよ、ここ十数年。それで、そこのところが発電量も停滞している。それから、原発事故のあと、省エネ意識がすごく高まって、その効果もあると思います。その前のところを見れば順調に伸びているというのは事実ですから、そういう意味で、先生のおっしゃる議論は省エネとちょっと裏腹の話で…」
小宮山氏
「いや、いや、省エネを進めるの」
井上議員
「どっちが先かの話です」
小宮山氏
「明確なんだって」
井上議員
「それをミックスすると、少し増えていますよ。9397億kWhから1兆650億kWhまで。だから、これぐらいの予測というのは非常にリーズナブルだと思いますけどね」
反町キャスター
「小宮山さん、そうすると、その話でいくとこれから先、たとえば、先ほど、表にあったように1兆650億kWhという2030年の消費予測というのは過剰予測である?」
小宮山氏
「そうです。と言うか、1970年のあと、いわゆる重化学工業による生産の伸びがだいたい止まって、そのあと、どんどんサービスへ、サービスへとなっているわけですよ。その時代に入ってからのエネルギーの需要予測というのは常に過剰」
反町キャスター
「そうすると、総発電力のうち、需要予測がたぶん政府の見通しよりも低く済むということは、先ほどのエネルギーミックスの話に戻るんですけれども。ここで何が言えるのですか?」
小宮山氏
「いい話です。だから、パーセントだけを言っている話というのは、実を言うとあまり実質的ではなく、総需要というのが減っていくんだということ。その中に対してどのぐらい入れているのか。たとえば、再生可能エネルギーをつくったのに、その電気は使わないというのはあまり賢くないですよね。そうしたら、これが現在二十何パーセント。比率はいろいろあるけれど、残りの化石資源を減らせばいいではないですか。そうすれば、1番簡単に原子力をどうするかというのはあるんだけれど、残りの化石資源は減らせばいいではないですか。そうすれば、1番簡単に26(%)なんて言っていないで」
反町キャスター
「石炭やLNGの割合を減らし、再生可能エネルギーに初期投資だけしておけば、22%から24%ではなくて、30%、40%になるのではないかという話になります?」
小宮山氏
「その通りです」
反町キャスター
「澤さん、見通しはいかがですか?」
澤氏
「ドイツを見れば、全然それができていないわけで、風力や太陽光が入ったことによってバックアップ電源の褐炭火力が増えているわけです。むしろCO2が増えているわけです」
反町キャスター
「なぜ再生可能エネルギーを充実すると、逆にバックアップ電源が必要になるのですか?」
澤氏
「そこの中に、先ほど、地熱とか、バイオマスとか、むしろ増やそうというのは、原子力に代替していくとすれば、原子力のようなコツコツと打つような、イチロータイプのようなやつに代えていかないといけないですけれども、太陽光とか、風力というのは、自然任せなので、ある意味では、ホームランバッターなわけです。だから、それを入れたところでイチローの代わりにはならないので、発電できないところを火力で埋めなければいけないです。ですから、そういう意味では、ドイツで、僕らも見てきましたけれども、褐炭火力を結局は維持せざるを得なくなって、むしろその量が増えているわけで、今後、原子力をやめていく中で石炭火力の投資計画ばかりがあるわけです。ですから、そういう中でCO2を減らすというのは、再生可能エネルギーが特効薬にならないということがよくわかるわけです。ですから、先ほど、おっしゃったように再エネを増やしたからと言って、火力が減るわけではないということです」
反町キャスター
「再生可能エネルギーのコストアップの原因と言われているのが、固定価格買取制度です。FITと言いますね。最初40円で始まった、消費税含めて42円から始まった。この問題というのをどんなふうに感じていますか?」
小宮山氏
「FITは非常に良いこと。基本的に良い。それは基本的には正しい運用をしないと。あの頃、資源エネルギー庁はデータを見たらわかりますけれども、太陽電池の価格が40円から60円と言われていたんだよ。1kWh。FITの買取価格。それより少し安くなっているかもしれないからというので、40円の買取価格にしましたよね。あの時、私達は26円と言っていたんですよ」
反町キャスター
「15円以上の利ザヤがとれた?」
小宮山氏
「そうですよ。ところが、再生可能エネルギーは高い。良いけど高いからダメだと。20年前なら、その議論でいいの。だけども、大量生産する技術が進むということもあるんだけれども、それが急激に下がるんですよ。それが26円。実は現在、ここにくる時に最新のデータを調べました。16円ですよ、現在。もうkWhで。太陽光は」
反町キャスター
「そうすると、そのぐらいどんどん値段が下がっていくから、将来的に太陽光のいわゆる再生可能エネルギーの、電力コストに対する負担はたいしたことはなくなる?」
小宮山氏
「そうですよ。それは最初に、40円というのが高過ぎたと思います。だって、26円、27円の40円だから、REITなんかよりはるかに良いリターンですから。皆、アレしたわけですよ。だけど、どんどん下がっているから、1年据え置くというのも間違いだよ。少なくとも半年で。だって、我々が2年ぐらい前に計算した時に、二十数円だったやつが現在、昨日の段階で16円になっているんですから。これはいろいろ、高い、高いと、皆、言うんだよ。何か知らないけれど。高い、高いと言いたいの。ところが、パワコンというのは半導体製品ですよ。そんなもの大量生産すれば安くなるに決まっているわけ」
反町キャスター
「井上さん、小宮山さんが言われていた再生可能エネルギーは、決して将来悪くならないんだよと。FIT。固定価格買取制度、もっとグッと絞っていくことでよくなるだろうという意見はいかがですか?」
井上議員
「私も細かい数字はわかりませんけど、技術革新、あるいは大量生産によって、コストが下がるということは、それは歓迎すべきことだと思うんですね。現在、FITで国民負担がすごくあるわけですから。それを減らしていくということ。澤さんがおっしゃったバックアップの問題。それから、自然再生可能エネルギーもあまりにも増え過ぎると、そのこと自体、今度、環境破壊につながったり、景観が悪くなったりということになると本末転倒みたいな話にもなります。ですから、そういうことを、あらゆる要素を考えないと、単純に科学の力で、これだけ計算でこうなるというのは無責任かなと思いますね」
小宮山氏
「違う、違う」

温室効果ガス26%削減 原発の寄与度は
秋元キャスター
「政府が発表した電源構成比では、原発が20%から22%となっていますが」
井上議員
「まずはエネルギーミックス全体から考えて、政府の考え方というのは省エネを徹底的にやる。それから、再生可能エネルギーを最大限導入すると。また、発電効率を高めると。できるだけのことをやったうえで、しかし、足りない部分は原発を動かして、原子力で電力を確保しようということで、マクロから言えばそういう考え方で20%から22%という数字を出しています。あくまでそういう考えでやっているものですから、個別にどの原発を動かすとか、再稼働どうするかとか、ということとはちょっと議論は切り離されているんですね。それは安全性を最大限確保したうえで、原子力規制庁が許可をして、事業者が稼働するかどうか判断する。そういうことになっていますから、それを縛るものではないです。ただ、その数字から言うと、原発は40年規制というのを導入して、原則は40年だと。それ以上のものは20年まで延長可能と。その考え方でいきますと、40年までのものを稼働すると。再稼働して、そうするとおそらく15%ぐらいは確保できるんですね。2030年度の時に。その足りない部分は、1つは効率を上げていくということですね。稼働率を上げていくということですね。原発どれだけ動かすかという…」
反町キャスター
「できるのですか?ちゃんとした検査期間をとったうえで稼働しているかと思ったのですが、その検査の時間を短くするのですか?」
井上議員
「検査もそうですし、いわば1年間で何日動かせるかというところを、そこは性能を高めていけば、稼働率を上げることができるということ。それから、もう1つは、先ほど言った40年後の延長の話ですね。それも延長することができれば、15%からの上積みを確保できるというような考え方です」
秋元キャスター
「2030年に動かすことができる原発は19基となっています。これでは足りないのでは?」
井上議員
「これは先ほど、申し上げた、2030年度に40年を経過していない原発がこれだけあると。しかし、この19基をきっちり安全を確保して、規制委員会で認めてもらって、事業者がやる気にならなければ動かないという意味では、非常にハードルは高いと思っています。しかし、エネルギーミックスは、マクロからして、20%から22%というのを確保するためにはどうしても必要だということにはなりますね」
反町キャスター
「原発をどうすればいいのか?」
井上議員
「耐用年数の延長、稼働率の向上を考えていまして、リプレイス(廃炉して新たに建設)、新規建設は、原発事故のあとの国民感情、あるいは政策としても、こういったことはなかなかとりにくいと考えています」
反町キャスター
「基本的に現在ある原発の中で賄っていく。こういう話になるわけですよね?」
井上議員
「そうですね。一応、耐用年数の延長、稼働率の向上の2つでも、数字的には可能だということになります」

日本の産業・経済に与える影響
秋元キャスター
「今回の削減目標、企業にはどういう影響を与えると考えますか?」
井上議員
「当然大きな影響を与えると思っていまして、直接的にはコストが高くなってということはありますけれど、ただ、ある程度、中長期的に考えれば、たとえば、省エネの技術革新が起きて、あるいは省エネになれば、電力コストも下がるわけですから、そういう意味では、それこそ先生がおっしゃった、足元の話ともう少し先の話を考えて、足元を少し我慢してでも、たとえば、コストを惜しまずにかけて、それで先の26%を目指していくということは、是非やってもらいたいと思いますね」
澤氏
「根本論ですけれども、京都議定書時代のマイナス6とか、マイナス8とか、EUの。そういう数字が持っていた法的拘束力と言うんですけれど、条約上必ずそれを達成しないとペナルティとして排出権を買ってきて埋めろというような枠組みはもうとらないということを、ほとんどの国がそう思っているわけですね。ですから、26%という数値が非常に強制力を持って働いてるかのようにおっしゃっていましたけれど、ある種の目安ですね。これまでも経団連は、たとえば、自主行動計画をやるとか、家庭でも国民運動で省エネをやるとか、やってきましたけれども、最終的に京都議定書の中で、それがもしダメだったら、全部何かで埋めなければいけないというぐらい厳しかったわけです。ですから、企業に対する影響も非常に大きかったわけですが、今度COP21で枠組みが締結されても、その拘束力の持ち方次第で、それほど強制力を持つような国内対策もやることにはならないと思っているわけ。逆に言えば、自主的にやって、がんばるところに促進的な、たとえば、補助金とか、そういう支援措置であと押しをしていくという政策措置の方が新しい枠組みに親和性が高いと思うんです。ですから、そういう意味で、先ほど、企業に厳しい厳しくないということで言えば、政府の強制的な介入によって、たとえば、エネルギーの消費量を割り当てられるとか、そういうことは心配しなくていいというようになっていると思うんです。ただ、コンプライアンスというのか、最近のCSRというか、企業としてどれだけ環境に貢献しているかというのが企業のブランドそのものを決めていくことになるので、そういうインセンティブはあるはずなので、そこをあと押ししてあげるために、コストが若干高いのであれば、補助をする、支援をするという方向で国内対策を考えていけばいいと思います」

2国間クレジット
澤氏
「今後、途上国も皆、自分達で削減をコミットしていくわけですね。そうすると、JCM(2国間クレジット)のインドネシアの例で言えば、(日本からの技術移転によって)インドネシアの減った分は、インドネシアも努力したわけですから、自分達もこの分を減らしたと主張したくなるわけですね。日本の貢献と、インドネシアの自分達の貢献とが、どういうふうにカウントされるのかということを、几帳面に詰めるEUみたいな人もいて、国際交渉は難しくなっている。ただ、大きな発想からすれば、世界からCO2がなくなればいいわけですから、インドネシアであろうが、日本であろうが、日本の技術でもってそれを削減したということが国際的に評価される仕組みを国際交渉の中で勝ちとっていただきたいなと思っています」

省エネ産業の可能性は
反町キャスター
「COPとか、技術の話にならないことをどう見ていますか?」
小宮山氏
「非常に大きく言えば、JCMの話は現在の議論で尽きていると思うので、これはとても重要なわけですよ。だけど、一般論として、省エネというエネルギー効率を上げていこうというような議論になったなら、得するんだよね、日本は。たとえば、自分のところが少しぐらい負担を負っても、世界がそちらに向かうのだから、皆がエネルギー効率を上げようよと、たとえば、石炭の火力発電所を、40%あたりを基準にしてそれより良ければ、褒めてあげましょう、悪ければペナルティよ、というようなことがもしできたとしたら、日本は多少26%が30%になったって全体としては得しますよ。だから、日本としては、それが下手をすると優位性を失っていくわけです。たとえば、現在、風力の発電なんてGEが圧倒的になってきているでしょう。今度、本当は実を言うと太陽電池は日本のソーラーフロンティアというところでつくっているものが、1番競争力があるんですよ。だから、現在、新しい工場が宮城県にできたりしているわけ。そういうのはまだあるわけ。だけど、パナが外でやっているの、テスラと組んで、どういうふうにするかは別だけれど、少しずつ日本が1番得意とするべき技術の分野に食い込まれてきていますよ。あまり防衛的にならずに、グローバルな問題なのだから、おっしゃる通り日本なんてこんなものだよ、全体がこれぐらいなのに対して、排出量は。だけれども、少し日本はそちらの方に譲っても、26%や25%で我慢したら得したみたいな議論ではなくて、もっと大きな方向で日本の技術が役立つことを考える方が、僕はいいと思うね」

井上信治 自由民主党環境・温暖化対策調査会副会長の提言:『理想と現実』
井上議員
「野心的な高いCO2削減目標を掲げて、それに向かって必死になって努力していくと。そういった理想の部分と、足元の日本経済や国民生活を見据えて、現実的な手を打っていくと。この両方のバランスがないとどうしても極論になってしまいがちだというふうに思っています。理想だけ掲げて、無責任な実現不可能なことを言ってもしょうがないし、そうかと言って、本当に目の前のことだけ考えていたら何時まで経っても進まないということですから、そういった視点を持って進めていくということが1番大事だと思っています」

小宮山宏 科学技術振興機構低炭素社会戦略センター長の提言:『自給国家』
小宮山氏
「理想ですよ。だけど、極めてこっちから見ると実現って読めるんだけれども、実現可能な理想ですよ。何年にかというと2050年ですよ。2030年はその通過点、自給というのは、日本は資源がない、だから、加工貿易という議論が昔から言われていますよね。それが通用したのはなぜかと言うと、人口にして10%の先進国が工業を独占していたからです。90%の国というのは、一次産品を売るしかなかったんです。それがもう逆転して90%は工業製品をつくれる時代に、これが21世紀の前半ですよ。このあとそうなるに決まっているわけ。そうすると、日本は安い資源を買って、というのは成り立たないです。だけど、その時にビジョンがなければ、別だけれども、極めて、今日あまり言えなかったけれども、何でもいいから私の本を1冊読んでくださいよ。大概書いてあるから。そこに自給、これは地下資源もそう、レアアースだとか、鉄だとか、そういうものもそう。これは都市鉱山という話なんだ。それから、エネルギーは今日ある程度申し上げた。2030年でもそうだし、2050年になったら本当に実現できる。ここらへんの理想に向かって実現可能で、逆に言うと、これができないとあまり先が見えないわけですよ。若い人には理想が必要でしょう。そこを、これは実現可能だから」

澤昭裕 21世紀政策研究所研究主幹の提言:『技術で国際貢献 ミックス達成で国内対策』
澤氏
「現在、最後に言っていた技術、国際貢献。エネルギーミックスを達成することで国内対策にしていくと。両方とも、言うは易く行うは難しで、特にエネルギーミックスの達成というのは先ほど、井上先生もおっしゃっていた通り、非常にギリギリの数値を組みあわせた形なので、いろんなことをやっていかないとたぶん達成できない。さらに、技術で国際貢献というのは、貢献策として認められるように、国際交渉でがんばらないといけないということで、現実とはいうものの、ハードルは結構高いと思っています」