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2015年6月3日(水)
韓国『軟化』の兆し? 要人交流活発化の裏側

ゲスト

黒田勝弘
産経新聞ソウル駐在客員論説委員
金慶珠
東海大学教養学部国際学科准教授
三浦瑠麗
国際政治学者

要人交流活発化の背景
秋元キャスター
「最近の主な日韓関係の動き、一連の会談、朴槿恵大統領の対日姿勢の変化と捉えていいのですか?」
黒田氏
「その通りだと思いますね。朴槿恵大統領というよりは韓国政府と言っていいんですけれども、最後の決断は朴槿恵さんですから。朴さんが安倍さんと会うという決断をまだしていないようですから。ただ、韓国政府自体とすれば明らかに改善の方向に踏み出したと言ってもいいと思います。いろいろな要因がありまして、1つは、安倍さんが習近平さんと会って、日中関係の改善が1つありますね。それと、安倍さんがアメリカに行って、日米関係の同盟強化でしょう。アメリカも日本寄りだと。中国も日本との関係改善に歩み出したということでしょう。韓国にすれば、ある種の孤立感ですからね。自分達が取り残されているのではないかという不安感がありますからね。何とかしないといけないという動きが最近の日本に対する歩み寄りの動きだと思います。明らかに改善の方向に向かっていると言っていいと思いますね」

ツートラック戦略
反町キャスター
「ツートラックとよく言われます。外交安全保障・経済と、歴史問題は別枠だと」
黒田氏
「メディアもそれをはっきり提案してきたし。要するに、歴史にこだわって他のことが進まないと、自分達も損だという判断ですよね。国益実現のためには日本との関係は改善強化が必要だとはっきり歩み出したんですね」
金准教授
「黒田さんがおっしゃったことは、韓国でも、日本のメディアでも一般的に言われていることです。しかし、今回のこれらの動き、明らかに行動のうえでは一定の変化が読みとれるのですが、それが根本的な方向転換につながるのかということにおいては、韓国政府自体、若干様子見の状態ではないかと思います。今回、森元総理にお会いした時の発言の内容を見てもあまり変化がない。そこで出てきたのがツートラック戦略。つまり、歴史認識については通常これまで通り日本に対して一定の圧力を加えると。しかしながら、対話できる部分は対話と。ですから、このツートラック戦略というのは、何も新しい戦略とか、新しい考え方ではなくて、よくある対話と圧力、飴と鞭というようなどの国もよく使う曖昧な表現でもあるわけです。朴槿恵さんからすると、率直に言ってここまで具体的成果がないままに、方向転換をしたくなかったという節はあったかと思います。しかし、こうならざるを得なかった1つの背景には、アメリカからの一定の要求と、国内においても経済、社会、文化的に、日本に囚われ過ぎて韓国外交の行動の幅を自ら狭めているという批判の突き上げ。この両方があって、現在のところとりあえずツートラックというものを出してきているというように見た方がいいのではないでしょうか。ポイントはいつからツートラックという言葉を使い始めたのかですが、実は識者やメディアの中ではツートラック戦略を使うべきだという話が前からあったのですが、ちょうど4月の終わりにアメリカで外務次官級会談というものが行われました。その会談が行われたあとに韓国側の外務次官が、我々はこれからツートラック戦略を使うのだということを初めて記者団の前で政府関係者が公の前で明らかにしたということですから、これらの動きはそれ以降、1つの動きとして大臣級会談があちらこちらで行われているという状況を生んでいると思います」
三浦氏
「それが効果があるかということが先にあるべきです。ツートラック戦略というのはいわゆる対話と圧力ですね。対話というのは伝統的に韓国から北朝鮮に対して、米国から北朝鮮に対して行われていたもので、日本からも北朝鮮に対話と圧力をしてきたわけです。まるで敵国に対する言い方ですよね。それは明確な戦略であってこそ、意味がありますが、ここにも疑いがあって、つまり、韓国は歴史問題が解決しない限り、大統領級の首脳会談をやらないというようにしたとすれば、それはすごく大きな、逆に対立に向けた一歩ですよ。リンクさせてしまったとすると前進しないということを明言化してしまったわけです。そうではなくて、逆に曖昧なままでツートラックを使うと言っているのだけれど、何となく対話と圧力みたいな世論に対して、自分達は日本に対して強く出ているんだよとアピールしながら行っている程度のことであれば、それほど危険なことではないし、逆に言えば、それほど大きな進展はないということですね」
黒田氏
「まるで敵対国に対する戦略という感じがします、僕も。だから、韓国が日本を敵のように考えている印象があって。たとえば、この前、安倍さんがアメリカに行った時に、日本に韓国が敵対的な行動をしました。演説をやらせない。国賓としての訪問がけしからんから始まって、演説させない。それから、演説の中に謝罪を入れなければダメとか。日本の対米外交を邪魔したんですよね。必ずしも分離しないわけであって、朴大統領は慰安婦問題にこだわっているので、これは一種の歴史問題ですから。それは日本側が譲歩しない限り会談をしないと、まだ言っているわけですから、必ずしも分離はしていないと。曖昧は曖昧ですね。ただ、経済とか、防衛とか、あるいは文化交流とか、そういう実益のために関係改善が必要だと。その説明が、弁明のためにツートラックという格好いい言葉を使ったというその程度ではないですか」

森元首相ら朴大統領と会談
秋元キャスター
「首脳会談実現については具体的な言及は避けたと。朴大統領の本音としては首脳会談をまだやりたくないと?」
金准教授
「戦後談話、慰安婦問題を含めて従来の姿勢と変化のない発言であったように思います。当面としては70年談話、安倍さんの談話を見て、その後を判断するとも言えるような発言で、これに対して中国と同じスタンスであると言えると思います。首脳会談の条件にしているというよりは重視しているというメッセージは引き続き出しているということですね」
黒田氏
「日韓首脳会談の実現について、韓国サイドでは、日韓関係改善に努力したいと伝わっているのですが、僕は、比較的大統領は良く言ったと思いますよ。戦後70年談話について、慰安婦問題については従来通りの立場です。ツートラックにおける日韓関係改善の歩みを踏まえた発言だと思いますね。つまり、私も努力していますよと。だから、安倍さんも努力してよという含みがあるのでしょうね」
反町キャスター
「私は努力しているという言い方になった?」
黒田氏
「そうですね、僕はそういう印象を持ちましたね」
金准教授
「私は、そういう意味でツートラック戦略も1つの戦略としてあり得るのですが、次のステップとして安倍談話が出た次に、特に慰安婦問題を政治から完全に切り離すと。日韓共同で何らかの研究会なり、和解に向けた何らかの会合を設ける形で合意して、政治から切り離すことでもう1回、政治は政治でキチッと向きあえる、環境づくりを何としても今年中にやっていただきたいという思いはあります」
反町キャスター
「政治から慰安婦問題を切り離すことが韓国側でできるのですか?」
金准教授
「韓国側では何らかの形で代案が具体的に示されれば、それがすぐ現在の安倍政権のもとでの謝罪とか、解決とか、そういうことではなくても今後に向けた1つの対話をスタートさせたとするだけでも象徴的な意味は大きいと思います」
反町キャスター
「それで世論はもつのですか?」
金准教授
「十分もつと思いますね。韓国は首脳会談に反対しているとか、首脳に会えば負けだとか、そういう見方をしているわけではないですので、いずれにせよ現在、通常の状況でないということ、はやく打開したいという想い、これは韓国側にもあるということは事実ですね」

米韓関係と日韓関係
秋元キャスター
「現在の米韓関係をどのように見ていますか?」
三浦氏
「アメリカにとって1番気になっているのは、日韓がうまくいかないことだけではなくて、中国との関係ですよ。アメリカが長期的な軍事的なプレゼンスを仮に減らした時に、この国の秩序というのは中華秩序に近いものになってしまうという不安を長期的に考えている人はワシントンにもいるし、それは有識者の中にもいるわけですよ。だから、現在の問題とか、国民感情とかを全部ごっちゃにした話が進むとわけがわからなくなってしまいますが、私が戻らなくてはいけないと思うのは、韓国は何にでも説明があるんですよ。私達はこういう認識だからと、それはいいけれども、ちゃんとしたゴール地点を自分で自律的に描いているのかということですよ。そこに不安があります」
反町キャスター
「何が、不安があるのですか?」
三浦氏
「国家としてのビジョンを持つことというよりも、中国とアメリカとはある程度、バランスをとりつつ、アメリカとの米韓同盟を維持するのはいいですよ。ただ、北朝鮮に対して彼らがあまりに大きな脅威過ぎて、2010年にも軍事的な対立が戦争になりそうな気配もありました。李明博氏を止めたのはアメリカでしたというような経緯があるわけですよ。そこに目をつぶって生きている感じがするんです。だからこそ、マイナーな観点だと言うと失礼ですが、日韓関係の中の歴史問題、歴史認識という、過去の問題に対する認識の、それもすごく差があるわけではない問題を取りあげて、こういう緊張にもってきているということも含めて、大局感がないなと思いますね、それは突き放した見方ですね」
黒田氏
「アメリカサイドにはそういう見方があると思いますが、擁護するわけではないですが、韓国側もずるく立ちまわるんです、それは。それで生き延びてきたわけですから。だから、米韓同盟は絶対だけれど、今回も強化するという話をしますが。そうかと言って中国に睨まれたら大変だとか、当然あるので、そちらには配慮しますね、当然。だから、大局感はないように見えるけれど、彼らの歴史的経験からしてそれなりの術は知っているはずだと。情緒的な言い方ですが。だから、現在、朴槿恵大統領になって対中接近ですよね、これはこれまでの政権にはなかったことで、朴さんの新しい姿としてそれなりに評価もあるわけで、そういうパフォーマンスをしますね。だけど、基本は米韓同盟だと朴さんは語っているわけで…」
金准教授
「現在、アメリカが大局感という言葉を使っているのはあくまでも日米韓の話です。それから、韓国を米韓同盟の基軸とするのは非常に長い間での1つの伝統であって、何も歴史認識問題に振りまわされると言っているのは、残念ながら、日本の一部の論調に過ぎないと。現在、韓国が1番懸念しているのは何か。特に日米関係が急接近するということで焦りを感じている部分があるとすれば、結局は日米同盟の枠組みの中で、この前、ツープラスツー会議もありましたが、集団的自衛権の行使の範囲が非常に大きくなると。周辺事態法でカバーされていた朝鮮半島に対してもより自由な参加が可能になる。そうなると、韓国の場合はまさにその部分です。具体的には受け入れる、受け入れないで議論になっているのですが、要は、米韓同盟の上に日米同盟が出てくると」
反町キャスター
「誰も思っていないよ」
金准教授
「つまり、対等であるはずの同盟関係が、事実上戦略的重要性から対等でなくなる、このことを1番懸念している、日米同盟と米韓同盟です。この前の(シンガポールでの)防衛大臣の会合でも、基本的に話しあわれたのは、韓国の受け入れの許可、これはなしに入ってくることはないということをお互いが原則としてそこで初めて合意したわけです。そのように日米同盟の枠内でのいろいろなオペレーションをやるのは韓国にとっても、これは別に悪い話ではないですね。安全保障を考えればメリットにもなる部分もある。しかしながら、それが韓国の頭ごなし的に朝鮮半島周辺で行われるようでは、それは困るという、その部分に対する懸念です」
反町キャスター
「そのケースは、半島有事ですよ、北朝鮮が攻め込んできた時に邦人やアメリカ人が脱出する船を日本の護衛艦が警護する」
金准教授
「警護するということだけではなくて、現在そこらへんに関する話についてはいろいろな噂が飛んでいて、たとえば、朝鮮半島の領土内にいる日本人を救出するために日本の船がやってくるとか。たとえば、北朝鮮に対する先制攻撃という話も以前出ましたが、韓国の憲法上、北朝鮮も韓国の領土なので、そこも我々の許可なしに勝手に北朝鮮に対する一定の攻撃をされては困るという話も出ている」
反町キャスター
「北朝鮮から誘導弾が発射された時は、韓国は、我が国領土から日本に向けて誘導弾が発射されたという理屈で見る?」
金准教授
「理屈はそうですね。だから、要は、きちんとお互い了解をとってもらわないと困ると。勝手に日米の合意ということで結局、隣国ですから、この地域まで韓国にまで勝手な影響を及ぼすのは困るという見解は非常に自然で理解できますね。ただ、韓国国内ではそれが変に強調され過ぎてしまって、日本の集団的自衛権の行使は危ないというような論調になりますけれども、これは私も、基本的に多くの有識者も同意することですが、日本の集団的自衛権の行使というのはどの国にも認められている固有の権利であるということばかりではなく、これがうまく機能するのであれば、朝鮮半島の安全保障にも非常に役立つ1つのツールにはなり得ると思います」

世界文化遺産の登録問題
秋元キャスター
「ユネスコの諮問機関であるイコモスが、日本がユネスコに対して明治日本の産業革命遺産(23施設)について登録勧告したことに、このうち7施設に反対しています。中国も反対しています」
黒田氏
「おそらく日本の方では、また韓国が日本にいちゃもんをつけているということでしょう、当然。国民世論とすれば。だから、僕もちょっと静かにしてほしいと思いますが、韓国の皆さんに。だけど、これは最終的には落としどころがあると思います。要するに、韓国側の主張はアリですから、ある時期、つまり、施設のある時期、戦時中、韓国人との関係でそういうことがあったと、ひと言、記載してくれということではないですか。そうなる可能性があるので妥協は可能ですが、ただ、僕はこれを見ながら思ったのは、たとえば、長崎造船所が入っていますけれども、要するに、戦艦武蔵をつくったところですが、アメリカは何も言わないね。それから、八幡製鉄所はもちろん、最近というか、戦後の話だけれども、八幡製鉄はある意味では、現在も韓国の世界的な浦項(ほこう)製鉄をつくってあげたんですよ。八幡は。そうしたら、八幡製鉄も一緒に書けばいいのではないのというような話になりますからね。それは現実の話だけれど、僕は先ほど話したように、これは日本の近代遺産ということで、要するに、韓国が関わった時期とは関係ないわけですから、基本的にそこで、僕は拒否してほしいのですが、これは。もしそういう韓国絡みの記載をする場合は、戦時中の一時期、その後の一時期、朝鮮半島からの労働者を受け入れ、こういうことがあったと、それを書けば済むと思うんですけれど」
金准教授
「私も基本的に黒田さんと同じで、落としどころのある話だと。しかし、問題はなぜこういったものがこれだけ表面化してしまって、政府間の葛藤の要素となっているか。たとえば、どの文化遺産も国によって見方が違うというのは自然なことで、たとえば、原爆ドームに対してもアメリカが反対意見を表明した、しかしながら何らかの折りあいがついたわけですね。お互いの話しあいやパイプがうまく機能していれば、こういった問題は表面化する以前に何らかの折りあいがあり得たかもしれない。しかしながらそれがないが故に、イコモスの勧告が出た段階で、韓国国内では一気に韓国のメディアを中心に政府はいったい何をやっていたんだというような突き上げがくるわけです」
反町キャスター
「まず韓国政府が突き上げられた?」
金准教授
「そう。それが1つありますね。それから、韓国側の論理というのはまったく理屈にあわないのかと言うとそうではなく、韓国で問題視しているのは、1つは明治の産業革命遺産というのは、日本の歴史にとって非常に意義深いというのはその通りだけれども、その年代が何故1910年というこの人為的な区切りをしなければいけないのかということと、それから、端島の炭鉱施設ですよね。これについても端島自体の最盛期は、その後の1940年代です。そこで朝鮮の人がよく働いた。八幡製鉄所に関してはおっしゃる通り浦項製鉄をつくる時に日本側の技術が導入されたわけですが、そもそもは日清戦争での清からの賠償金で建てられた。歴史を振り返ればだから、八幡製作所を見ても、それが日清戦争、朝鮮半島を植民地にする1つのプロセス。日清戦争は朝鮮半島を巡る戦争ですから、そういったところが別にあるから文句をつけるのではなく、何らかの申請の記載理由に、そういった歴史の全体像が読み込めるような工夫をしてほしいということです」
三浦氏
「歴史遺産に関しては、私も言いたいことがあるんですよ。つまり、歴史遺産というのは町おこしなわけ、日本で言うと。町おこしで観光客を呼びたいんです。それで、確かにいろんな多様な認識が地方の全部にあるかと言うと、そうではないですよ。ただ、多面的な教育が必要とか、学芸員ががんばるべきというのはいいですよ。でも、私の強調点はそこにはなくて、それはやったらいいけれども、最初にある種の町おこしのことしか考えていなかった日本国民を、こう日本国民と政府を分けるような、中国のような戦略的なやり方をせずに、全部マルッと敵にまわすというと語弊があるけれど、ちょっと攻撃的だと思わせてしまったということは戦術的にはミスですよ、韓国もね。確かに、黒田さんがおっしゃるように、メディアが言っているから、大統領としてもしょうがないところはあったかもしれないけれど、日中関係と日韓関係がなぜ違うかというと、中国の方がより強かったからですよ。中国は共産党のセオリーとして人民と政府を分けて、日本人は軍国主義の犠牲者として日本人は悪くないとしたから、逆に言うと、中国人民の素朴なレベルでは、日本人民も被害者だと思っている人もいる。その素朴な感情を持っていて、確かに多面的な歴史理解ではないかもしれないけれどという人達に対してどういう印象を与えたのかということをまず深く考えていただきたいと思いますね」

日韓両国の国民感情
秋元キャスター
「日韓共同世論調査の調査結果ですが、『相手国への印象が良くない』と答えた日本人は52.4%ですが、韓国人は72.5%。しかし、『日韓関係は重要か』という問いについては、重要と答えた日本人が65.3%なのに対して、韓国人は87.4%と高く、『相手の国に行きたいか』との質問については、行きたいと答えた日本人は40.7%、韓国人は59.2%が行きたいと答えています」
金准教授
「それはある意味、一貫しています。日本に対して、印象が良くないというのは過去ずっと7割台ですね。一方で、日本に行きたいという人が多いように、たとえば、日本人の長所を知っていますか、日本という国の長所を知っていますか、と問うと、だいたい9割ぐらいが知っていると。非常に技術立国で、人々が親切であると。つまり、ある意味、韓国の世論というのは、非常に先ほど黒田さんがツートラックとおっしゃったけども、戦略的にツートラックというよりは、感情としては素朴に、自己矛盾を抱えながらも歴史やその部分では決して好きな国ではないけれども、しかし、いろんな文化とか、社会とか、見習うべき点もいっぱいあるし、関係が大事だよねというのが1つの特徴ですよね。一方で、日本側の場合は、そういった棲み分けというか、ツートラックではなくて、ある意味、ワントラックですね。ですから、韓国に対して親近感が高い時期というのは非常に強い親近感を示してくださるけれども、いったん関係が政治的に冷え込むと、数字も一気に下がると。また、関係改善と共に数字も上がるという、非常にジェットコースター的であるというので、私は、これを韓国側の敢えて世論を、たとえば、昼は反日、夜は親日と見るのではなくて、ある意味、日本の皆様、たとえば、焼き肉が大好きだし、韓国行くと面白いけれども、韓国の歴史認識はけしからんとおっしゃるのは、私は自然なことだと思うんですよね。一歩一歩お互いを知っていくということをしないと、これはなかなか本当に埋まることはないのではないか。実は、特に日本側の場合は、何だかんだ言っても実は韓国、あるいは中国も含めてですけれども、アジアの国々に対して本当に一般の皆さんが興味を持って、あるいは親しみを持って接触できるようになったのも、ほんの15年ぐらいの話ではないかと思うんですね。それから、その間、政治的にいろいろあったけれども、交流はどんどん深まってきているし、この流れは今後も続く。そうすれば、お互いの印象というのもより良くなっていく方向にいく。この流れは止められないと思います」
黒田氏
「嫌いだけれど、学ぶべき対象であると。昔と現在も変わらないですね。韓国における日本の存在感と、日本における韓国の存在感が違うわけではないですか。韓国では日本の存在感は大きい。だから、こういう結果になるわけですよ。日本の方は韓国の存在は小さい。だから、ちょっとした出来事とか、メディアの報道とか、割とアップダウンがあると思いますよ。昔に比べれば日本でも韓国の存在感が大きくなったから、反韓も嫌韓も起きているわけですけれども、日本の方がもう少し韓国をまともに見るという、それが韓国よりも日本の方が不足しているし、もう少しやってほしいと思いますね」

国交正常化50年の評価
反町キャスター
「日本のODA(政府開発援助)が評価されていないと言う人もいます」
黒田氏
「この50年間、日韓関係が韓国にとってプラスだったと。日本人もああ良かったと少しは感情も良くなると。悪いことばかりしていると報道と、その影響がありますからね。日本の存在が自分達にとってプラスだったということをもう少し理解してほしい」
反町キャスター
「それをソウルで言うと、どうなのですか?」
黒田氏
「わかっているよと言うんだけども。わかっている人はわかっているのだけれど、わからない人が多いですよね。僕は日本隠しという言葉を使うのですが、韓国では、日本の影響力、日本のおかげというのを隠しますね。それは表向きに言えないというのが依然としてあって、それを言うと、お前は親日派とか、日本の味方だということになってしまうのがあって、日本との関係はプラスだったし、これからもプラスだよということを、是非世論で言ってほしいですね」
金准教授
「世論というのも20年、30年前と比べれば、現在の韓国の人々の日本に対する親近感というものは目覚ましいものがあるんですね。日本という国は韓国の人にとって強く意識せざるを得ない国であった分、知識もあると。だから、自己矛盾的な相反する印象。一方で、日本は相対的に関心が薄い故に知識が足りない。だから、メディアの情報に頼るしかないというのが現状です」

三浦瑠麗 国際政治学者の提言:『リアリズムに基づく関係』
三浦氏
「期待値を低く持つという提言ですね。これまで日韓関係というのは相当縁が深くて、しかも、プロの外交官や権力者達が関係を仕切ってきたのだけれども、それが続かなくなってきているんです。と言うのは、アマチュアの見方ということが国民世論という形で影響を政権に与えるようになってきている。だからこそ多くを期待し過ぎると、政権がこけるということが起きるわけですので、こういった提言にしてみました」

金慶珠 東海大学教養学部国際学科准教授の提言:『新時代』
金准教授
「今年、日韓国交正常化50年、夫婦に例えれば金婚式ですよね。仲が良ければ、記念日だの、誕生日だの非常に大きな意味があって、お祝いとかするんですけれども、仲が悪いとそんなものどうでもいいと。現在まさにそういう雰囲気ですね。なぜそうなってしまうのかというと、三浦さんの話とも通じるのだけれども、過去とは違う新時代に突入したということをお互いがきちんと認識すべきだと思いますね。夫婦50年も連れ添えば、いろいろあるように、日韓関係もいろいろあって、良いことも、悪いこともあったと思うんですけれど、それでも今後どういった新時代を築いていけるか。現在がそのタイミングであることは間違いないと思います」

黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の提言:『韓国はスルメだ!』
黒田氏
「困りまして、こういうことになっちゃったんですけれど、韓国はスルメである。僕は韓国と付きあいが長いのでなかなか韓国から離れられない。つまり、韓国は刺激的で、特にジャーナリストにとっては飽きないということですから、噛めば噛むほど味が出るのですが、スルメというのはなかなか味切れしないですよね。しかも、日韓関係はすぐ嫌いだからとか、反韓、嫌韓だからとバイバイできない。お互いスルメと思って、味を求めて、良い味をお互い求めようではないか、価値を再発見しようではないかという意味でスルメにしました」