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2015年5月28日(木)
日本企業と『稼ぐ力』 改革は福音か悪夢か

ゲスト

柴山昌彦
自由民主党衆議院議員 元総務副大臣
野村修也
中央大学法科大学院教授 弁護士
イェスパー・コール
JPモルガン証券株式調査部長

コーポレートガバナンス改革 何が問題?日本の企業経営
秋元キャスター
「コーポレートガバナンス、企業統治とはそもそもどういうものなのかという基本的な考え方を見ていきたいと思います。安倍政権は成長戦略で、コーポレートガバナンスとは、会社が株主をはじめ、顧客、従業員、地域社会等の立場を踏まえたうえで、透明、公正かつ迅速、果断な意思決定を行うための仕組みと説明していますが」
柴山議員
「これまでの伝統的な日本企業が、オーナー社長のもとで、大会社も含めて、社員上がりの取締役のイエスマン達に、カリスマ力を傘に言うことを聞かせて、異論を唱えさせないという風土があり、それが海外投資家から、どこか閉じられた身内の文化を醸成するマイナス面と映っていたのは事実だと思います」
野村教授
「日本というのはどちらかと言いますと、そういった統治機構で日本の経営をうまくやってきたわけではなくて、従業員と経営者が一体化するという形の中で、日本的文化の中で、皆でがんばって、そういった経営を続けてきたというのがあるんです。その中でこれまで重要なコーポレートガバナンスの課題となっていたのは、企業の不祥事が起こった時にその不祥事を防止するためのいわば守りのガバナンスです。要するに、不祥事を起こさせないようにするために、経営者を監視していけばいいのかということばかりをずっとやってきたんです。これは長年、たとえば、ロッキード事件とか、佐川急便事件を含めまして、これまでずっと日本の企業が不祥事を起こす度に改革をしてきて、そこで、いわば監視を強めてきたわけです。しかし、そのことによって日本の稼ぐ力をちゃんと果たしてきたかということの課題に対しては十分な答えが出されていなかったわけです。1番の落とし穴は、皆のためにやっていますと言いながら、誰のためにもやっていなかったという、そういう面があったんですね。それを皆のために、本当に価値を見いだしていく。本当に皆のベクトルをあわせて、それを長期的に収益にしていくために投資家との間でのコミュニケーションをとりながら、これが間違いのない戦略だということを示していくことを今度は強く求められていますから、経営者は厳しくなると思います。ただ、株主の短期利益を追求するようなコーポレートガバナンスではないので、そういう意味で、そこは間違っていけないということですね」
イェスパー・コール氏
「私はすごくウェルカムですけれど、根本的には日本型資本主義であって、昔は明治維新からの財閥のことじゃないですか。戦後は系列になって、系列の経営でちょっとバブルになって、バブルが崩壊してから、ある意味では危機管理ばかりをやっていて。今回、初めて危機管理を超えて、前向きに、プログレッシブ、新たな制度をつくりましょうと(いう)ガバナンス・コードであって、経営に対してすごく大事なことであると。これはなぜかと言うと、どうしても日本の上場企業は昔、ある系列で、下請けで動いて、だから、内部の管理で良かったよということですけれども、世界経済は現在、21世紀に入って随分変わりました。だから、たとえば、自動車の部品メーカーはトヨタの系列だけでやると(いうことは)あり得ないです。そんなに成長にならないです。ドイツのフォクスワーゲンとも商売したい、あるいは韓国のヒュンダイとも商売したい。だから、経営のレベルで、取締役会に外から1人か2人は入った方がいいのではないですかということだと思います」

始動!企業の“稼ぐ力”改革 コーポレートガバナンス
秋元キャスター
「安倍政権のコーポレートガバナンス改革が具体的にまとめられた、1つの表われが6月から東京証券取引所で適用されるコーポレートガバナンス・コードです。株式市場に明示すべき企業の情報や経営組織のあり方をとりまとめた内容になっていて、その概要は法的な拘束力や罰則規定はなく、実施するか、もしくは実施しない理由を説明する行動規範で、コンプライ・オア・エクスプレインとなっています。企業活動の5つの基本原則として、株主の権利確保、顧客、従業など利害関係のあるステークホルダーとの協働。適切な情報開示と透明性の確保。取締役会の責務、株主との対話。それぞれのあり方を示しているんですけれども、株主配当など、数値目標の具体的な規則は一切書かれていないということです」
柴山議員
「1番これまで問題視されてきたところで言うと適切な情報開示や透明性の確保というところが、ともすると経営者の方々は、これまでうまくいってきたのだから、これまで身内でうまくいってきた慣行があるということで、対外的に顧客を含めて、あるいは株主に対してしっかりとした情報開示、あるいは説明をしてこなかったという部分があります。また、株主の権利確保についても、個人の株主に比べて自分の株をたくさん持っている銀行とか、あるいは安定株主。こういったところに、ともすると目が向きがちであって、本当であれば、それぞれ平等な権利を持っているはずの株主に対して、経営のマインドというのが若干ずれることが出てきたと。そういうことだと思います」
反町キャスター
「あらためて日本の東京証券取引所がこういうコードをつくりましたと、国際市場に対して訴えると、あたかも日本の企業、これまでやっていなかったような印象を与えたりはしませんか?」
イェスパー・コール氏
「だって、非常に不透明です。これまで、何も変わってこなかった。だって、オリンパス事件とか、いろいろとあったではないですか。だから、事件はどんな国でも起こっているんですけれど、ドイツのシーメンス事件とか、いろいろあったんですけれども。日本でも、内部社会ではどうやって解決しているのかということです。だから、1番、外国人投資家の目から見てコンプライアンス・オア・エクスプレイン、これはどういうことであるかというと、違和感がなくなりました。日本型資本主義だから、外国人は理解できないとか、そういう話はなくなるわけです。その面から見ていて、お金の世界はグローバルです。どこにでも投資ができるわけです。これは外国人の投資家だけではなくて、日本の投資家もどこにでも投資できるわけですけれど。だから、現在、透明性がありまして、いろいろステークホルダーの責任があって、だから、その面から見て、すごく大事なことだと思います」
野村教授
「だから、特別なことをやっているように見えますけれど、実はコーポレートガバナンス・コードというものを持っていない国というのは、先進国ではアメリカと日本だけです。それはどこの国にも皆あるんです、現在。これは全てルールでやるのではなく、上場規則等を通じて、対応をしながら、改革を自分で検証していくというプロセスを企業の方に促すというやり方はOECDも推奨をしていますし、それから、イギリスを中心したものが成功したんです。イギリスはこれを導入したことによって、稼ぐ力が増えて、株価も上がったんです。その成功体験を見て、よその国々が皆、これを導入してきたわけです。その流れの中で日本という国はこれを導入することというのをやることによって、世界の多くの国が皆、日本も同じような形のことをやるんだなという、アナウンスメント効果は当然にあるわけです。突然やっているというよりも、むしろ世界の常識を日本でも取り入れたという、そういう話です」
反町キャスター
「現在、日本とアメリカだけがやっていないということは、アメリカはコードではなくて、法律、ルールでやっているという話でしたよね。と言うことは、日本だけがコードもルールもなかったという、そういう意味でいいのですか?」
野村教授
「いや、ルールは会社法がずっとあります。ルールというのは違反してしまいますと、たとえば、取締役会の決議の効力がなくなってしまうなど制裁が非常に強すぎるわけです。ですから、逆に言うと、そこに規定できることというのは本当に基本的なことになってしまうわけです。ところが、コードの場合には万が一、自分がこれを満たさない場合には、説明をすればいいという話になっているわけですから、自分の会社にとっては、それは不要だということを説得できるかどうかという、説明ができるのであれば守らなくてもいいわけです。ベストプラクティスなわけです。ですから、いろいろなことが盛り込めるわけです。こういうことをやって、成功をした会社がありますよと。世界では、こういうふうにやっていますよと。こういうのをやってみたらどうですか、というのが基準として示されていて、それを自分の中で取り入れるかどうかを真剣に考えると。その時に、そうは言っても、会社というのは、最後は投資家である株主のものですから、最後はスチュワードシップ・コードで、機関投資家の人達に、説明が本当に納得できるかどうかを検証してもらうという感じになっていて、株主が納得できるようなものをちゃんとつくりあげていく。そのためのツールということになっていて、これ自体は、そういう意味では、世界の中で便利なツールとして皆が理解しているという話ですね」

“持ち合い株”の実情と今後
秋元キャスター
「いわゆる政策保有株式として、上場株式を保有する場合は政策保有の方針を開示すべきである。毎年、取締役会で中長期的な経済合理性、将来の見通しを検証し、具体的な説明を行うべきであるということですけれども、柴山さん、政策保有株式というのは具体的にどういうものを指すのでしょうか」
柴山議員
「先ほど、私が申し上げたような、持ち合い株式ですとか、あるいは系列ですとか、そういう通常の利益を目的として持っている株式というよりは、それ以外の目的を持った形で保有している株式。何のためにそういう株式がそういう人達に、あるいは会社によって保有されているのかということについて、これまでは安定株主の確保ですとか、系列の維持ですとか、それこそ金融機関に対する配慮ですとか、そういうことで、それをきちんと、メリットを抽象的な域を超えた形で説明をすることは求められていなかったし、また、株主総会でも必ずしも十分に説明をされてきていなかったんですけれども、ここで、ハードではなくて、ソフトルールということで、その合理性をきちんと開示をする。これまで実は1%以上のルールで、政策保有株式については開示をしろというルールはあったんです。ただ、それはあくまでも開示だけだったので、なぜそれが合理的かということの説明をきちんとしなければいけないということが画期的なわけです」
反町キャスター
「株の持ち合いがダメだと言っているのではなくて、やるんだったら、ちゃんと説明をしないさいよと言っている。こういう理解でいいのですか?」
野村教授
「そうです。先ほど、ただ、相互に持ち合うことの弊害というのがありまして、これは議決権の歪曲化と言っているんですけれど、議決権そのものがまったく機能しなくなってしまう。つまり、株主総会が空洞化しちゃうわけです。ですから、どうせあの人達は反対しないから賛成票として最初から数えているわけです。そうすると、自分のいくら都合の悪いことでも必ず守ってもらえるという形になりますから、経営に対する緊張感がなくなるわけです。そこを解消していくことによって厳しい目線を持っている人達、投資家と対話しようという話です」
反町キャスター
「僕が子供の頃、社会の勉強で、それは株の持ち合いと言ったかどうかは覚えていないけれども、日本型経営としては、安定株主が経営の安定につながるのだと。良いことだと教わった気がするんですけれども、それは全部ダメですか?」
野村教授
「昔から、我が国の場合はそれが弊害を生んできたという面も指摘されてきたわけです」
反町キャスター
「両方あるということですか?」
野村教授
「そうです。それでもちろん、両面あるんです。安定株主にすることで経営が良くなるという面もありますけれど、それが経営を歪ませる、つまり、緊張感を失わせるという面はあったということです。そこを解消させてこようとしたということは事実です。たとえば、ブーン・ピケンズという人が、日本の小糸製作所を買収に来ました。ブーン・ピケンズというのは名うての企業買収家であって、この人に狙われたら乗っ取れない会社はないと言われるぐらいの人だった。ところが、日本の上場企業とは言っても、そんなに大きくない会社のところに来たのに、株主総会で誰1人、その提案に対して賛成する人はいなかったと。いったい何だこの会社は、と言った時に、日本というのは皆、安定株主で、相互持ち合いをしていて、入り込む余地がないと。これを当時、アメリカはケイレツと呼んで、それはおかしいではないかと言って、かなり指摘をしたという問題があるんです。これは結局、経営改革を求める株主の声を皆でブロックしているという話ですから。これでいいのかという問題はあるということです」
柴山議員
「結局、買収され経営陣が変わることによって、その企業がもっと素晴らしい企業になるのだったら、実は買収というのは全て悪いことばかりではないわけです」
反町キャスター
「それは良いこともありますよ。その代わり大量に解雇をされるリスクは当然あるわけではないですか」
柴山議員
「もちろん、そうです。だから、買収をしようとしてきた投資家と、それから、現経営陣、株主がどちらの方がもちろん、自分達の利益もそうですけれども、この会社にとって素晴らしい経営ビジョンを持っているのかということをきちんとフェアな形で議論をするという、そういうような場を設けることが必要であって、やや敵対的買収だから、全てブロックをしますよということが、私は良いことだとは思えないわけです」

“社外取締役” 保護の狙いは?
秋元キャスター
「企業経営の舵取り役、取締役会のあり方にも、改革を求める動きが見られます。ポイントは、社外取締役の活用ですけれど、改正会社法で社外と認められないのは、その会社と子会社の業務執行経験者。加えて、親会社や兄弟会社の業務執行役、経営者の近親者は独立性が乏しいというため、対象とはならないということですね。登用していない場合、株主総会での説明義務があります。これらの動きと呼応しまして、東証のコーポレートガバナンス・コードでは独立社外取締役を2人以上置くことが推奨されています。どういう組織形態で、この社外取締役を活用するのかと言いますと、主に2つのタイプになるわけですけれども、社外取締役は、現在ほとんどの上場企業は監査役会制度です。現状では、監査役会の過半数を社外からの登用にすることということを法的に義務づけられていて、取締役会の業務遂行を一歩引いた形で監査する立場にあります。それが今後は、会社の経営現場に直接かかわる形で取締役会にも社外のメンバーを入れましょうと推奨されているわけです。新設された監査役と委員会設置会社というもので、これまで監査役が果たしてきた監視機能も含めて、取締役会の中に委員会を設置するスタイルです。ここに議決権を持った社外取締役が過半数は必要ということでこちらも法的に義務づけています。どちらの組織形態にしても経営執行部に社外のメンバーが関与する形を目指しているわけですけれども」
反町キャスター
「外の血を入れることの最大のメリット、狙いは何ですか?」
野村教授
「もともと経営のアドバイスを受けるべきではないかという話はあったんです。しかし、これですとアドバイスを受けたい人が導入をすればいいのであって、法律とか、コードが関知すべき事柄ではないということになるわけです。それで次に出てきましたのは、不祥事が起こった時に社外取締役であれば、しがらみがないので、不祥事にブレーキを踏みやすいのではないか。あるいは自分が独立した他の職業を持っていれば、仮に経営者と敵対することになっても、それは自分の方針に従って、ブレーキを踏むのではないか。こういう期待値があったわけです。これが伝統的な社外取締役の議論だったんです。そうなりますと、むしろ親会社から来る人というのが1番厳しく見る人なので、親会社こそが、社外取締役ではないかという議論をやってきたわけです、長年。ところが、先ほど、申し上げたように、社外取締役にはもう1つの目的がありまして、それは業務の中の利益相反というのが行われている時に、それを監視しているという仕事があるんです」
反町キャスター
「利益相反は先ほど、言われたみたいな、長年契約が続いている会社を、なぜ切らないのかという、敢えて物事をひっくり返す人?」
野村教授
「そうです。そういった事柄に関して言うと、1番の利益相反者というのは、親会社です。子会社にとって1番利益を貢いでいるのは親会社ですから、そういう意味では、親会社の人が監視役としては不適切だというのが世界の考え方だったわけですね。日本の社外取締役の要件は、これまでは親会社の人は社外者としては適任だと。なぜなら不祥事を迷惑と考えるのは親会社ですから、親会社が必ずブレーキを踏むでしょうということで、いいと言ってきたわけですけれども、利益相反という点で見ると、親会社から来た人は最も不適切ではないかということで、今回、社外取締役の要件の中から親会社を外したわけです」
反町キャスター
「これはやってみなくてはわからないので、何とも言えないところですけれども、そこまで劇的に企業風土というのは変わると思っていますか?」
野村教授
「いや、だから、もう変えなければいけないです、日本は。とにかく、私達は現在こんなことを悠長に議論をしている時代ではないです。はっきり言うと、日本の企業は収益率がすごく低いわけです。現在ようやくこの間3分の1の会社のROE(株主資本利益率)が10%を超えたとニュースになっていますけれども、伝統的には、ROEという指標で見てみると、ヨーロッパとか、アメリカとかは15%、20%ぐらいのところにあるわけです」
反町キャスター
「ROEというのは資本に対する利益の割合ですよね?」
野村教授
「そうです。利益率です。その資本がどのぐらいの利益を生んでいるかという話です。同じお金を投じたのに、日本はだいたい6%前後でずっときていたわけですね。とすれば、投資家とすれば、同じお金を投ずるのに、こちらは10%ぐらいリターンを上げてくれるのだったら自分にも戻ってくるではないですか。こちらは6%ぐらいしか稼がないのだったら、こちらの会社よりもこっちの会社の方にお金を投じた方が良いということに当然なるわけです。そこのところを現在とにかく人口は減っていく、日本の社会の先行きに関して皆が不安を持っている。だったらがんばって稼がなければいけないですよ。稼ぐ時に日本の企業の改革なくしては稼げないです。そこのところを皆でがんばろうという話なので、もはやいろんなことを言っているような状況ではないです」
イェスパー・コール氏
「現在、3つの会社の(うち)1社は、10%を超えた。面白いことは、その他の残った2つ(の会社)ですけれども、これからはガバナンス・コードがあると世界水準になって、ROEをがんばりましょうということでやって、だからこそ、投資をしたいわけですよ。なぜかというと、これからどうするか、10%から5%を下まわるということにはしたくないではないですか。でも、現在は10%ではない、5、6%だけであると。現在ガバナンス・コードで雰囲気が変わりましたと、向かってもいいということになって、だから、投資をしたいんです」
反町キャスター
「利益率、収益能力が低い日本にガバナンス・コードが今度導入されるということを見ると、海外の投資家は、日本の株は現在が買いだと皆、思うわけですか?」
イェスパー・コール氏
「それは、1つの理由です。お金の世界は未来のことです。裏鏡ではないですよ。もちろん、日本の中に優秀な、国際競争力のある会社もあるんですけれども、でも、全体では、ごめんなさい。失われた20年間があったわけですけど、これからどうするかということであって、だから、アベノミクスのガバナンスが注目されて、雰囲気を、改革しましょうということ」

日本企業“攻めの経営”へ
反町キャスター
「利益を、事業に投資してもう1回、利益を生むサイクルを大切にしていくのか、それとも利益を株主に還元して株主からまた資本調達という形で企業に戻していくというサイクルが大切なのか?この両方のバランスは?」
柴山議員
「これはその会社の事業の性質ですとか、それまでの会社の経営スタイルとか、それこそ一概には言えないと思っています。大事なのは結局、昔話ではないですけれども、おじいさん、おばあさん、大判小判がザックザクでお金が貯まって、めでたしめでたしというところで、これまではそこで終わっていたんですね、日本というのは。得た利益を、一生懸命がんばって稼いだお金をさらに次の大きな利益にするためにどうやって活かしていくのかという、この部分。こういうところについてもなかなかうまく考えられなかった。また新しい事業展開ということについてもこれまではそこそこ稼いできたのだから、冒険をするということをしなかった。チャレンジスピリットの欠如ですよね」
反町キャスター
「日本企業は、これまでそれがなかったのですか?」
柴山議員
「まったくなかったということではないんですけれども、ともするとこれまでの経営の延長というところから、なかなか新しいアイデアに踏み切れなかった部分があると思います。だから、新しい事業を興してさらに稼ぐというところが課題な時は、こちらのループというものが非常に大きく求められてくると思います」
反町キャスター
「年功序列とか、終身雇用ということで、たとえば、どこかの会社に入りました。係長になって、課長になって、部長になって、それでいつかこの会社の社長になるんだという、そういう会社に対する安定と引き替えの忠誠心に基づいた出世で最終的にその会社のトップに立って、自分の自己実現をしたいというこの気持ちはダメなの?」
野村教授
「ダメとは言ってないです。それでいいですよ。いわば人材登用のメカニズムは、会社に対して非常に長期間に渡って、その会社に役に立つ能力を身につけて、それをどんどん発揮するから、企業価値が高まるんです。だから、そういう人材登用メカニズムで構わないんです。ただ、そこで目指して行く人が、経営者になった時に、その人達本当に能力があるんですよ、皆。人望もあるし一生懸命やっているわけです。そこのところを世界水準の経営に悟していけるような形で、皆がそこをサポートしていくということですよ。これがコーポレートガバナンスです。攻めのコーポレートガバナンス。そこのところを皆さんが何か勘違いして、日本のこれまでの仕組みが全部崩壊するのではないかとか、そういうのではないんですよ。日本の国の良いところを残しながら、その中でどこを改革すれば皆が幸せになるかということを考えればいいという話です」
秋元キャスター
「2014年2月、投資家に基本的な行動規範を求めるスチュワードシップ・コードを金融庁が策定しましたが、大手の機関投資家もこれに賛同しているわけですが、企業の中長期的な成長を促すよう機関投資家に責任ある投資行動を求める。コーポレートガバナンス・コードは、株主から経営を付託された責任を負い、持続的な成長と企業価値の向上をはかると書かれています。これは短期的な利益だけを求める投資家をできるだけ抑制したいという狙いですか?」
柴山議員
「企業の中長期的な成長をあくまで機関投資家に促すことができるような投資行動。つまり、これこそ実際にお金を提供してくれる人に対してきちんと説明し、これはすぐに売っちゃうのではないですと。これからこういう形で議決権を行使しますから、それが会社にとって中長期的にプラスになるんですよということを、実際に機関投資家に説明できるようにしていくというのが、このスチュワードシップ・コードですね」
反町キャスター
「実際この人達がどのくらい敵対的というか、悪意というか、超短期での売り抜きを狙っているかどうかというのは、どうやって見分けるのですか?」
柴山議員
「それは、それぞれの機関投資家がいかにしっかりとしたビジョンを持って語れるかということですし、機関投資家の中にチェックする機関というものが必要。中長期的なこと。これは面白い話ですけれども、日本の企業は、中期計画をよく出すんですよ。でも、その中期計画を誰もチェックしないですよ。たとえば、現在、中期計画を出しても、日本の生保業界、あるいはGPIFとか、これをちゃんとチェックしないんです。1年前には、あのプロジェクトをやろうと。収益性(が高いもの)をやろうと、人材投資をやろうという発表があったのですが、どうなったのか。まだ全然やっていないのではないですか。そういうようなことの責任ではないですか」

柴山昌彦 自由民主党衆議院議員の提言:『経営者は“ビジョン”を語れ!!』
柴山議員
「新しいコーポレートガバナンス・コードのもとでは、経営者が株主に、あるいは対外的な説明責任を果たすことが不可欠になる、と先ほどから申し上げてきました。社外取締役の人材をどうやって確保するかとか、いろいろなことが言われていますけれども、これからビジョンを語れる経営者が増えてくれば、自然とそういった人材のプラスにもなってくると思います」

野村修也 中央大学法科大学院教授の提言:『緊張感を収益に!』
野村教授
「要するに、コーポレートガバナンス・コードというのは、経営者に緊張感をもたらす。どうやって収益につなげていくのかという戦略を練っていくことが必要ですが、その時に1番大事なのは従業員の人達が、自分達の毎日の働きが企業の収益につながっているんだという自信を持てるような、そういう戦略をきちんと立て、企業の収益を上げていくということが大事ですよね。そうした場合は、つくったモノが今度は消費者によって、きちんと消費される。さらには、それが地域社会にとっても、豊かな社会をつくっていく。たとえば、地球の持続可能性にもつながっていく。そういったことをきちんとベクトルをあわせて、これでうちの企業はやっていくんだということを決めて、それを、緊張感を持って実現させていけば、おそらく収益につながってくると。それが最終的には株主に還元されていくということになるんだということを提言したいと思います」

イェスパー・コール JPモルガン証券株式調査部長の提言:『ANIMAL SPIRIT』
イェスパー・コール氏
「すごいですね、ビジョンと自信と、ほぼ似ていると思うのですが、英語ですけれども現在、ANIMAL SPIRIT、どういうことかと言うと野心ですね。恥ずかしくないように勝ち組になってほしいんですよ。これは、日本は経営者達だけでなく、特に社員達は、熱心に働いているんですよ。クリエイティブなところがあって、私的財産が山ほどありまして、これはどうぞがんばって世界一になって、売上げをとりましょう。そういうことで、野心で日本YOU CAN DO です。日本は絶対に勝ちます」