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2015年5月26日(火)
イスラム金融の現状は どう売り込む再生医療

ゲスト

岸信夫
前外務副大臣 自由民主党衆議院議員
原丈人
アライアンス・フォーラム財団代表理事
渡辺喜宏
国際通貨研究所顧問 事業創造大学院大学教授(前半)
波多野琢磨
海外交通・都市開発事業支援機構社長(後半)

“イスラム経済人会議”開催 注目されるイスラム金融
秋元キャスター
「イスラム経済人会議は、イスラム圏最大の経済協力会議で、イスラム国家のみならず、非イスラム国家とのビジネス的なつながりを目指す会合となっています。今回の会議は日本で初めて開催されていまして、31か国からおよそ280人が参加しました。その議論のテーマとなったのは、再生医療、それから、ハラールビジネス。都市インフラ整備、イスラム金融というものでした。今回、日本で行われたアライアンス・フォーラム、イスラム経済人会議。こちらは原さんが代表理事を務めるアライアンス・フォーラム財団が開いたということですけれども、今回、日本で開いた理由は?」
原氏
「ちょうどアフリカにも、アジアにも、ラテンアメリカにも、このイスラムの国があるんです。その数が57か国。国連加盟国が193か国ですから4分の1強。こういった国々が日本にとって非常に重要になる。特に、今世紀の人口ですけれど、70億人が100億人になるであろうというふうに、2100年には予想されていますけれども。中国やインドの人口増は止まり、やがては減っていくということは、日本の方々も認識をしていますけれども、純増で増えるのはアフリカです。アフリカの54か国のうち半分ぐらいの国々、二十数か国はイスラム教の国です。ですから、こういうアフリカのイスラム圏、中近東のイスラム圏、中央アジアのイスラム圏、アジアのイスラム圏。南アメリカにもあるんです。ガイアナ、スリナムとか。そういうイスラム圏の国々と日本との関係をこれから強化していくというのは、人口イコール。これは人口が増えると、家も要ります。携帯電話もたくさん使う。自動車だって要ると。人口に応じて広がっていく経済を実態経済と呼びます。お金だけでぐるぐるまわすのが、これが金融経済。実態経済というものを考えた場合にイスラム圏をかなり重要視して、これから日本はどういうふうにして、日本のビジネス界、また、日本人との関係性をつくっていくかと考えたので、今回、アライアンス・フォーラムでAFTP、イスラム経済人会議を主催しました」
渡辺氏
「イスラム金融は、植民地時代を飛ばして、戦後、復活したビジネスなんです。1960年代、1970年代から、ようやく始まったビジネスで、比較的若い世界です。従って、日本の金融機関も海外で、もちろん、普通の金融はやっているわけですけれど、イスラム金融という形で関与しているのは、全体のイスラム金融に関わっている金融機関の中で、日本の金融機関の地位はというと、ちょっと言い方が悪いかもしれませんが小学生ぐらいかなと」
反町キャスター
「それは練度という意味ですか?規模という意味ですか?」
渡辺氏
「規模も、それからいろんな意味で習熟度も含めてです。それが海外での話です。国内での話で言うと、既にシャリアインデックスというのがありますので」
反町キャスター
「それは何ですか?」
渡辺氏
「シャリアに適格の株式を…」
反町キャスター
「シャリアというのはイスラム法のことですか?」
渡辺氏
「イスラム法ですね。イスラム教の協議に則った企業を集めたファンドというのがあるんです」
反町キャスター
「イスラム金融は別にイスラム銀行という1つの大きな銀行があるわけではないですよね?」
渡辺氏
「いろんな銀行が関与しています」
反町キャスター
「どういうものですか。そもそも小さな中小の金融機関の集合体みたいなイメージですか?」
渡辺氏
「大手の、グローバル活躍している金融機関は、必ずイスラム金融部門は持っています。それから、イスラム金融の専門銀行もあります。先ほどの話で、200兆円ぐらいとおっしゃいましたけど、今日のナジブ・ラザク首相の話は、2兆ドルですと言っていました。2兆ドルというと240兆円ぐらいです、現時点の話です。それを10年後に900兆円にするというのが、イスラム開発銀行の展望」
反町キャスター
「イスラム開発銀行というのは、それは個別の企業名ですか?」
渡辺氏
「個別の企業名ですけれども」
反町キャスター
「それ1行で、それだけのお金をやるのとは違いますよね?」
渡辺氏
「いや、いや、全体の金融、イスラム金融市場全体の総資産額を900兆円にまでもっていくと。これは日本の銀行の貸出よりも大きな金額になっていきますね」

再生医療ビジネス…注目の背景
秋元キャスター
「今日のアライアンス・フォーラム、イスラム経済人会議では、最初のセッションで再生医療について議論をされました。原さん、イスラム圏では、再生医療の何がそんなに魅力だったのですか?彼らにとっては」
原氏
「他のものだったら、アメリカやヨーロッパから取り入れることができる話です。再生医療、特に、山中先生のiPS細胞。これは日本が生んだ発明です。こういう基礎研究だけではなしに、iPSを使った臨床応用分野も、たとえば、心臓の分野、今日は、澤(芳樹)大阪大学医学部長にお話をいただきましたけれども、澤先生は世界のリーダーです。また、脊椎の分野は慶応大学医学部長の岡野(栄之)先生が世界のリーダーです。この2つだけをとったとしても、他にも血液の分野の中内先生とか、肝臓の分野は、横浜市立大学の先生ですとか、いろいろな先生達が、9つの応用分野の5つぐらいは、言い忘れていたけど、神戸の理化学研究所の高橋政代先生もそうです。こういう世界のトップが、日本人で集中しているという、これは珍しい先端技術分野です。情報通信、他のエネルギーであるとか、そんなにたくさんトップが日本人にいるのかというと、いないです。ですから、こういった日本が誇るべき最先端技術。これは、日本に来ないと学べないと彼らも思っていますので、日本との関係性では再生医療を学びたいと」
反町キャスター
「たとえば、再生医療という、ある意味、非常に特殊な医療技術を導入するにあたって、イスラム教の教えから見た時に、ここはダメだよとかという、そういう宗教上の壁とかはあるのですか?」
原氏
「それは、たとえば、豚…」
反町キャスター
「豚の肝臓を使ったのとかあるではないですか。あれはアウトだ」
原氏
「どれが豚かなんてわからないではないですか。だから、たとえば、血清をつくる時の、動物由来の血清は使わずに、血清をつくるとか、そういう技術が日本の会社の中にあるんです」
反町キャスター
「それは、ハラール、つまり、イスラム教の協議に則った、動物のと殺の仕方とかなども含めて、食べ物に対するルールだと、僕は思っているんですけれども、食べ物に対するルールというのが医学の世界にもある?」
原氏
「そうです。食べ物のみならず、薬とか、化粧品とか、全部にありますよね」
反町キャスター
「このへんの話になってくると、京都大学なんかも、特に、そうですが、アメリカとか、いろんなところから、はっきり言っちゃうと、高額のギャラで引き抜きがあって、どうやって人材を国内にとどめておくかというのが1つのテーマで、人材流出に対するブロックをどうするかという話になっています。その意味でいうと今回のイスラム経済人会議においての、再生医療についてというのは、高額のギャラを払って、専門家を、たとえば、カタールに呼び込んで、そこであなたの望むラボをつくるから、そこでやってくれと。こういうオファーがあるという、こういう理解でよろしいのですか?」
原氏
「そういうオファーはもちろん、ありますけれど、私の方はそうはしないでもらいたいと。イスラム圏が再生医療分野に関して関心のある、医師や看護師を、日本に送ってほしいと。そうすれば、我々の方でトレーニングをしますと」
反町キャスター
「それで、先ほど、日本語の勉強が必要だという話だった?」
原氏
「それで日本語もたくさん…重要なところは全部、日本語で教えると言っておいて、母国に帰っていただく、日本語がいわゆる標準的に必要な言葉になりますから、そういうふうにして人材の流出と知的所有権の流出は食い止めていくと。1番大事なところは、日本に置いておくという形で進めていこうと思っています」
反町キャスター
「研究しているところの皆さんというのは、費用の話、資金が足りないという話をよく言っています。そういう最先端の研究所に対し、日本の政府も十分に出しているのが、さらに、必要であるという時に、イスラム圏の人達から出資を募るという、そういう道はどうなのですか?」
原氏
「それはもちろん、可能性は高い。たとえば、澤先生は中近東の王族のメンバーに対して、それぞれの国の病気に罹った人、心臓病の人を実際に手術しています。ですから、カタールのモゾヒ等々、澤先生の技術に対しては非常に関心が高いと。こういう治療費はかなり高額でもいいです。たとえば、心臓移植が、アメリカですけれども、平均5000万円かかります。澤先生の技術というのは、本当にそれの10分の1以下だと思いますけれども、本当に安い価格で、ですから、こういった技術を…」
反町キャスター
「先ほどの心臓に対してシートを貼るというような手術で10分の1以下というのは、500万円ぐらいでできてしまうのですか?」
原氏
「そのぐらい。だから、もっと下がってもいいです」
反町キャスター
「保険なしですよね?もちろん、海外の人だから。自由診療ですよね?」
原氏
「保険を適用できるようには、もちろん、日本ではなると思いますけれど、これは日本国民だけです。日本の中で外国人を使って金儲けしているという、世論が起きないようにしなければいけないけれども、でも、日本に来ないと診療できないのですから。これはアメリカに行っても、ヨーロッパに行っても助からない人達は、日本に来ますね」
反町キャスター
「成長戦略の一環としての医療ツーリズムというものがありましたが、その大きな柱になり得る話だと思ってよろしいですか?」
原氏
「普通の医療ツーリズムは、いわゆる普通の病気です。こういうものを治すには、日本は土地の値段も高いし、人件費も高いですから、きれいなリゾートのあるマレーシアですとか、タイですとかには、たぶん勝てないでしょう。だから、世界中どこに行っても、治すことができないような病気を、日本では治せるというふうにするのが、日本型の技術、科学を使った医療ツーリズムになると思います」
反町キャスター
「それだったら、500万円では安過ぎませんか?」
原氏
「そうですね」
反町キャスター
「現在の話、最先端の再生医療を使っての再生医療ツーリズムと言っていいのかな、ツーリズムが、1つの成長戦略の柱になるのではないかという話をどう感じていますか?」
岸議員
「もちろん、そうだと思います。先ほども、いろいろなお話の中で出ていましたけれども、果たして日本にそのセンターを置くことができるかどうか。当然ながら、これはビジネスと絡んできます。よその国も当然、関心を示してくることがあるかもしれない。でも、おっしゃったように日本でイニシアティブをとることで、人の流れも、日本がハブになってくるし、医学の発展も、当然ながら、期待はできるわけですし、そういう意味においては、非常に力を入れていくべき分野だと思っています」
反町キャスター
「たとえば、これを進めていった場合、金持ちだけを相手にして日本は自国の医療技術を提供して、利益をとろうとしているのだと、たとえば、クウェートならクウェートの一般の人までも日本に来て手術を受けるのかというと、たぶんそうじゃないと思います。王族、ないしは極めて裕福な方々だけが日本に来て、高額の治療費を払って元気になって帰っていかれる。それを日本の生業の柱とすることへの道徳的是非論みたいな。そうではなくて、成長戦略の一環だよと割り切れる部分なのか。そこの部分に多少のしがらみというか、想いも残しながら、迷いながらいく。そのへんを我々はどう思ったら、いいのですか?」
岸議員
「最先端の医療はお金がかかりますよね。実際、研究開発から考えれば、莫大なお金がかかる。ですから、治療をするのにも結局、それに対する対価を払ってもらわないと成り立たないという面はあります。ただ、これはある意味、トップのレベルです。この技術をさらに発展させることで技術を下に降ろしていけるわけですね。コンベンショナルな部分に。そうすることで、全体の医療技術も底上げできることにつながっていくのではないでしょうか。それは、日本の国民の医療に対する意識を改善していくことにもなるし、さらに言えば、そのことが海外からの魅力にもつながってくる可能性というのが出てくると思います」

イスラム金融の基礎を知る
秋元キャスター
「イスラム金融はシャリアというイスラム法に則った金融で、禁止事項があるんです。金銭の使用に対する利子の禁止。不確実性や曖昧な要素が認められる経済活動の禁止。このような項目があるのですが、渡辺さん、イスラム金融でなぜ利子が禁止されているのでしょうか?」
渡辺氏
「これは歴史に戻って考えないといけないんですが、コーランにダメだと書いてあるんです。それは非常に端的なことです。と言うのは、戦後、イスラム金融が復活して、イスラムの始めに戻ろうということでコーラン、あるいはモハメッドの言葉、行為。そこに戻るのですが、コーランに書かれた言葉は、神から預かった言葉と考えていますので、これを変えることはできない。だけど、イスラム教に限らずの話ではなくて、旧約聖書、新約聖書を読んでおかれると、同じように禁止項目だったんですね。お金がお金を生むというのは、富が集中していくし、社会的な不公平が起きる。これは利潤がちゃんとあればいいんですけれども、それがないところでお金がお金を生むというのは、これはいけないと。そういう考え方がベースにあった。これはお金がお金を生むためには時間が必要ですね。一定の時間であれば、一定の金利で、普通の金利であれば、何%をとると。これはそのお金、時間を、人間が勝手に使っていると。時間というのは、神のみしか預かれない世界である。神の領域に人間が入っている、これはいけないということを言っているイスラム法学者もいます。」
秋元キャスター
「そうすると、イスラム金融というのはどうやって利潤というか、利益を得るのですか?」
渡辺氏
「ですから、モノを生産して、たとえば、農業は非常に単純ですけれども、お米の種を100粒貰って、私がそれを植えます。そうすると、27倍ぐらいになりますね。その増えたうちの一部分を返す。これは付加価値が出たわけですから、1年間の労働によって、これは一種の配当ですね。お米の種もみを提供してくれた、お金を提供してくれた人に対し、一定のリターンをお返しするというのが、これはまったくイスラムの教義に反しない。こういう考え方ですね」
秋元キャスター
「手数料はとったりするのですか?」
渡辺氏
「手数料も可能です。ですから、短期金融取引については、コストプラス一定の手数料。これが非常に明確に相手方もわかる形で、曖昧な形ではなくて、明確に出てきていれば、それはそれでもいいと。ですから、コストプラスアルファという考え方。利潤と利子の違いが何かというと、利潤というのは、リスクをとっているんですね。貸し手の方はリスクをとって、失敗をした場合には、それは貸し手の責任になる。利子というのは、貸した以上、利子は必ず返してもらいますと。預金は預かったら預金について約束をした金利の預金は、銀行自体がおかしくなろうがちゃんとお支払をしますと。こういう考え方はイスラムの考え方ではないと言われていますね」
秋元キャスター
「そうすると、利子は禁止で、不確実性や曖昧な要素が認められる経済活動というのは、これは?」
渡辺氏
「イスラムのいろんな原理というのは倫理性を大事にするということ。それから、実物に即してファイナンスをするというのが非常に大きなポイントですね」
秋元キャスター
「サブプライムローンみたいなものも含まれる?」
渡辺氏
「そうです。もうちょっとわかりやすく単純に言ってしまうと、投機、あるいは賭博。こういったものはダメですということです。ですから、イスラム金融に関する部分は、倫理性に反するものはダメですと。もう1つは、非常に透明性を重視するんですね、イスラム金融では。コストがどれぐらいかかっているかで、だから、これぐらいの利潤をいただきます、手数料をいただきますと。この透明性というのは、宗教に根差していて、皆さん、1人1人に天使がついているんですね。天使が一生の行為を全部記録する。復活の日に、あなたが復活できるか、できないかという天使の記録。そういう意味で、神の前には透明であると。通常のビジネス活動も完全に透明でなければならない。こういうベースがありますね」
反町キャスター
「ただ、アメリカにも、投資銀行というのがあります。イスラム金融は、投資銀行には資金を提供していないのですか?」
渡辺氏
「金利をとっている金融機関に対する資産を一定以上持ってはいけないというのがあります」
反町キャスター
「それは、つまり、投資をしているという話に聞こえます」
渡辺氏
「そうです。投資をしています」
反町キャスター
「投資をしているんですよね。たとえば、アメリカの投資銀行、有名なところで言ったら、モルガンでも何でもいいですよ。そこにお金を、たとえば、20億なら、20億入れて、そこから先は使い道まで管理、監督するのですか?イスラム金融は。それは、たとえば、サブプライムローンにいっているリスクというのは懸念されないのですか?」
渡辺氏
「ですから、投資した先の収入のうち、金利収入が何%以上はダメですと。そういうようなスクリーニングというプロセスがあります」
反町キャスター
「何%から何%までは、認めるということですよね?」
渡辺氏
「認めます。たとえば、イスラムの世界ではアルコールがダメです。アルコールがダメだと。航空会社にファイナンスをしますと、飛行機がどうかというと、航空会社は通常お酒を出してきますよね。しかし、それは、だから、本来はいけないのですが、お酒を出したことによって得た収益をイスラムの基金に寄付をする。そうすると、罪がピュアリファイされる。純化されます。そういう一種の純化というプロセスもあるんです」
反町キャスター
「それは、つまり、免罪符みたいなものですね?」
渡辺氏
「そうです」
反町キャスター
「それを購入することによって、それで罪が贖われるみたいな?」
渡辺氏
「具体的にお酒のビジネスで得たものはお返しします」
反町キャスター
「建て前の部分と本音の部分にすごく大きいな落差を感じます。そこに大きな、様々な障害があって、そこのところ、その障害、1つ1つクリアをしながら、それでもイスラム金融からお金を借りるという手間と、それと現在、世界的な金あまりの中で、アメリカは出口戦略で閉めているけれど、金あまりの中でどこに投資をするということで、お金があまっている中で、ちょっと面倒くさいから、日本から借りてしまった方がはやいという、イスラム金融の世界的な貸出機関としての競争力はどうなのですか?」
渡辺氏
「全体の市場に占めるイスラム金融の割合というのはまだ少ないです。たとえば、マレーシアでは、イスラム金融を全体の金融の3割ぐらいにもっていきたいということを、10年ぐらい前にマレーシアの中央銀行の総裁がおっしゃって、これまで10%ぐらいだったのが30%前後になっていると思います」
反町キャスター
「それは国内のシェアですね?」
渡辺氏
「そうですね。マレーシアの国内のシェアですね。それもイスラムの国のシェアですから、全体の中では、伝統的な金利をベースにした、目安にした、金融世界が圧倒的に主流ですが、しかし、ムスリムの人達にとっては、建て前と本音とおっしゃいましたが、神が語った言葉がコーランに、従って自分の生活をきれいなピュアなものにしていきたい。そういう気持ちが必ずあるので、その建て前が非常に大事」
反町キャスター
「原さん、いかがですか。なかなか手間がかかるなと思いながら、僕は聞いていたんですけれども」
原氏
「でも、現実にはアメリカやイギリスのファイナンスの仕方が世界でデファクトになっていると。ですから、それを無視できないと。だから、先ほど、渡辺さんも言われたように、西洋的なものをイスラムの建て前に変えるというようなことをしながら、やっていこうという中間の分野。投機的なもののように、また、アルコール、豚肉、ポルノとか、絶対にやってはいけないという分野と。だから、黒とグレーと白があるなと思いながら、私は見ています」

イスラム圏へのインフラ輸出
秋元キャスター
「波多野さんが代表取締役社長を務めております、海外交通・都市開発事業支援機構は、安倍政権の成長戦略の一環として、昨年12月に政府と民間企業によって設立されました。海外のインフラ市場への日本企業の参入促進や、政府とともに当事国との交渉を行い、また、日本企業の投資リスクを改善するなど、日本の技術と経験を相手国に伝え、インフラ事業を自ら運営ができる人材の育成をするなど、インフラに伴うサポートを行っているということですが、イスラム圏へのインフラ輸出の現状は?」
波多野氏
「たとえば、ドーハ。これは10年前のドーハと、現在のドーハを比べますと、現在のドーハは、ニューヨークのマンハッタンのようになった。昔はほとんど2、3個だけ。現在、大きな、中東でとても立派な空港の1つを大成建設が建てられた。それから、地下鉄でも、今度、入札に日本が参加して、これが進行していると。インフラづくりが現在動き出していると。それから、UAE、ドバイの場合は、皆さんご存知のように、摩天楼のような世界最大のビルができて、アブダビは島なのですが、緑で埋まって、これによって平均温度が3度下がったと言われているのですが、いわばここが本当に中東なのだろうかと言われるように、ある意味で、都市、それから、インフラが整備されています」
反町キャスター
「今日の会議で4つのテーマの1つに都市インフラがありました。都市インフラというと僕ら想像するのは、要するに、電気、ガス、水道、ないしは交通機関、そういう話かなと思っていたんですけれど、現在の波多野さんの話を聞いていると、まず上物を建てることから全部始まるような印象があったのですけれども、イスラムの人達の、日本に対する興味というか、関心というのは、僕が申し上げたように、いわゆる都市インフラなのか、ないしは上物、ないしは港湾を建てるとか、そういうものなのか。どういうところに関心が向いているのですか?」
原氏
「巨大な建築物をつくってもらうのなら中国に頼むでしょう。そうではなくて日本は、スマートシティ、ヒューマンシティとインテリジェンスが入っているソリューション。こうしたものを日本に求めていると思います」
反町キャスター
「その意味で、イスラム圏から日本のインフラはどういうところに期待があり、どこに関心が集まっていると。どのような印象を感じていますか?」
波多野氏
「今日の議論では、主にヒューマンスマートシティ。要するに、人々が安心し、安全に、快適に、そういう人間を基礎とした…」
反町キャスター
「もしかしたら現在の日本でもまだできていない話ではないですか?」
波多野氏
「それを目指そうと」
反町キャスター
「同時にやっているのですか?日本でもできていないようなものを先に中東でやろうということなのですか?それは無理があるのではないのですか?」
波多野氏
「日本の都市計画、東京では通勤に1時間以上もかけて、街の真ん中にも緑が、皇居があって、交通渋滞は昔、大変だったですよね、これがなくなった。それから、ポリューションも北京と比べたら一目瞭然。これは日本には、昔から山手線という環状線があって、私鉄というのがターミナルまで入って、都心には地下鉄というネットワークがあって、この交通機関、公共交通機関。これをベースに、都市が発展し、かつ都市の機能が新宿、渋谷と、こういう具合に分散をした。これが1番、環境を維持し、サステナブルです。それから、人々の移動手段、非常に短時間。公共交通機関というのは、たとえば、貧しい人でも乗れるような料金設定にしているということは、スラム化がなくなるんです。その意味では、東京というのは、私は、1つの日本の誇るべき、都市開発のモデル。そういうコメントをした参加者の方もおられました」
反町キャスター
「それは日本人ですか、イスラムの人ですか。外国の人ですか?」
波多野氏
「はい」
反町キャスター
「普通の鉄道にしても結構、言われたスマートシティとか、そういうのも結構ですけれど、日本にそういう技術があることは、それはおぼろに理解はするのですが、日本だけ、いわゆる単独指名、単独入札でこられるわけがないではないですか。日本はそういうプロジェクトに対し、応札した、中国、ヨーロッパ、アメリカの企業に対して、日本の競争力というのはどうなのですか?」
波多野氏
「日本の競争力は残念ながら、まだまだこれから。だから、私どものような、いわば海外のインフラに民間企業が一緒に出て行きましょうと、こういう機関を設立したわけです。それは、日本の公共事業というのは、潤沢なお金があって、インフラのクオリティというのはすごいですね。でも、これはこれから、将来を見たら、インフラに携わる企業の人達の立派な技術とか、経験を活かすというのはどんどんアジアを中心とした海外へ出ていこうと。そうしますと、単に輸出だけでなく、ご存知のように事業形態。民間が参加した事業として、コンセッションをとって、そこで事業をしていくというPPPと。これがどんどん広がって、拡大を…」
反町キャスター
「PPPとは何ですか?」
波多野
「プライベート・パブリック・パートナーシップ。政府と民間企業が一緒になって、インフラづくりをし、それから、運営をしましょうと。運営は民間のやり方で。こういうやり方がどんどん拡大していまして、それは輸出という形ではできないわけです。運営をする主体。たとえば、JR、それから、私鉄、地下鉄、大変な経験がありますから、そういう方々が、そういう企業が海外へ出て行って、事業権をとって、自ら運営をして、そこへ日本の素晴らしい技術を活かし、インフラづくりをして、大事なのは、インフラとはその国の大事な資産ですから、それを運営、経営できる人材育成をしましょうと。これが非常に我々のやり方として、日本らしい、日本の特色を活かしたやり方で、日本のインフラを広げていきましょうと。これが1つの大きな安倍政権の戦略であります」

マレーシア新幹線構想の現状
秋元キャスター
「イスラム金融の取引が盛んなマレーシアの首都クアラルンプールと、シンガポール間、350kmを1時間半で結ぶ高速鉄道計画があるそうですけど、この新幹線の売り込み状況は、どうなっているのでしょうか?」
波多野氏
「このプロジェクトはシンガポールとマレーシアのトップ外交で決まったプロジェクトでして、これを先ほど、申し上げましたPPP、政府と民間で一緒にやっていこうと。こういうやり方で、おそらく近い将来、この事業権の入札が行われるのだと思います。ただ、我々は、日本政府は入札の時を単に待っているだけではなくて、日本の優れた技術はこうですと、こういう具合に我々は付加価値をつけますと。人材を育成しますと。日本の優れたシステムというのはこうですと。これを周知徹底する。マーケティングですね。これは、政府が主導して、安倍総理以下、何度も、幹部、大臣も行かれて、そういう話をトップでするだけではなくて、セミナーを開いて、マレーシアでも、シンガポールでも。こういう、いわば入札前のマーケティングの努力をしているところであります」
反町キャスター
「競合他社というか、他国はどこですか?」
波多野氏
「中国が大変な関心を持っているというのは明らかであります」
反町キャスター
「中国と日本を比較した場合、入札してみないとわからないですけれど、中国は日本のどのぐらいの価格で入札してくると見ているのですか?」
波多野氏
「わからないですけど。私は前にエンジニアリング会社の役員をしていましたけれども、だいたい中国が入札してくると半分とか、それ以下。ただ、それはアフリカで、私が行って、アンゴラですけれど、大臣達に会ってアンゴラは経済制裁を受けていましたから、援助をしてくれるのは中国だけでした。それは感謝をしています。道路もつくってくれる。でも、これを中国がやると、ドライバーから賄い婦らを全部連れてきて、雇用をまったく生まない。人材(育成)はまったくしない。全部つくって、ところが、ある時点から非常に劣化をしていくと、これはしょうがないですね。他の国がないから」
反町キャスター
「それは安かろう、悪かろうですね?」
波多野氏
「はい。特にインフラというのは、20年、30年先までもって、こういう大事なものですから、それに対して日本が大変期待をされて…。だけではなく、韓国とか、ヨーロッパ、そういうのがインフラの非常に長期な…。単に、車を売るとか、機械を売るとか、プラントを売るだけではなくて、長期に、その人達に大事な基本的なサービスを提供する姿勢が必要ですね」
反町キャスター
「波多野さん、マレーシアにどうやって日本の新幹線を売り込むのか。まずイスラムという言葉に引っかけて、何か秘策はあるのですか?」
波多野氏
「マレーシアは、イスラム圏では先進国ですから大変な金融があります。私も行って、トップに会ってお話をしたのですが、これは皆さんの大事なインフラですよと。皆さんのファイナンスも活用して一緒につくりませんかと。ファイナンスしませんかと。これには反応をしていますね」
反町キャスター
「たとえば、イスラム債の引き受け手が今日、議論になっている。それをイスラム金融に引き受けさせる。そういう手もあるのですか?話がうますぎる」
原氏
「マレーシアの場合、それはできると思いますよ。先ほど、日本に資金を投資する気があるのかという質問でしたけれど、昨年の11月ぐらいの段階では、金利が低過ぎるとか、日本は本当に成長をするのかといった疑問を、我々は彼らから投げかけられましたけれども、その中で、1つあった議論は、イスラム圏の国々のみならず、先ほどのアンゴラを含む、アフリカとか、ラテンアメリカに対して、日本が行っているプロジェクトにPPPの形で、イスラムの資金を持っている国が相乗りするということに対し、非常に強い関心を持っています。なぜ単独でイスラムが出ないのかというと、日本のこれまで培ってきた、世界の各国に対する信用です。日本のODA(政府開発援助)というのは紐つきではなくて、その国のためにつくられたインフラ。そういったものを途上国は皆、よくわかっていますから。日本が戦後、何十年もかかって培ってきた信用。ここにイスラムの人達は、相乗りしたいという気持ちを持っています」
反町キャスター
「岸さん、いかがですか?マレーシアの例がわかりやすい例だと思うんですけれど、こういう国に対しての日本のインフラ輸出。相手がイスラム圏の国であるという時に、何か政府のあと押しの方法、具体的にはどういう形が見えてくるものですか?」
岸議員
「イスラム圏のみならず、どこででもそうですけれど、日本に求めるものは品質ですね。クオリティだと思います。これは世界どこに行っても、戦えるものがあると思います。たとえば、新幹線ですね。新幹線はただ単に車両を速く走らせる技術だけではなく、それを正確に運営をするわけです。ダイヤがきちんと決まっていて、駅にいればその時間に必ず到着をする。ですから、利用者にとっては、海外に行ったら、よくありますけれど、いくら待っても電車が来ないとか、ありますよね。そういうことは一切ない。すなわち、そこでまったく無駄がないわけですね。そういった面でメリットを享受することができる。あるいは、先ほど、駅周辺の開発のこともありましたけれども、たとえば、ティカッドの会議をした時の、原さんのセッションだったと思いますけれども、アフリカの国々、非常に鉄道のシステムに関心を持っている。確か渋谷駅の開発の問題だったと思いますけれども、これは鉄道というものがあるわけです。渋谷の場合は、JRがあり、あるいは東横線が入ってきて、地下鉄もある。そうしたところの鉄道部分を改善することで、街全体がどんどん変わってくる。街が変わってくる。人の流れが変わって、お金を落とすようになる。まさに、そこを中心にどんどん広がってくるわけです。ですから、鉄道はあくまでも1 つのツールであって、きっかけであって、その後の波及効果がすごく大きいわけです。そういうものを、日本の優れた技術を持っていけば、それができてくると。そのことを彼らにも感じてもらわないといけないですね。それをすることで、確かにその部分だけでは高いかもしれない。ただ、結果的に、彼らがエンジョイできるメリットは非常に大きいんですね。一方、すぐできる、安くできるかもしれないけれど、片端から壊れていく。それでは現在、言ったような波及効果というのを、まったく期待できないわけです。そうしたものが日本の強みだと思いますし、そこにイスラムで言えば、ファイナンスをつけていくことで、日本自身でやることができる。当然、モノとお金とこれがビジネスの両輪になって、進めていくことができるわけですから、これは日本にとっても大きなチャンスだし、それは向こうにとってもある意味、win-winの関係でつくり出すことができるのではないかなと思っています」

岸信夫 前外務副大臣の提言:『信頼の醸成』
岸議員
「信頼の醸成。これは、イスラム圏であれ、どこであれ、言えることだと思うんですけれども、私も議員になる前はずっと商社でやっていました。いろんな国との仕事もしてくる中で、特に商習慣が違うような国と仕事をする時、なかなか表向きだけの、たとえば、値段だけで勝負できるのか。そうは言っても、相手はなかなか信用してくれないわけです。そこをうまくやっていくためにはまず相手との信頼関係をつくっていくことだと思います。そういう意味では、日本とイスラムの国々と(の間に)は長い信頼関係が既にあると思うんですね。さらに、それを醸成していく。それはイスラム金融に日本が入っていくことで、さらに彼らは、日本が彼らの国々を見てくれているという気持ちになってくると思うんですね。そうしたことから、ビジネスを進める土壌と言いますか、そういうものがさらに広がっていくと思っています」

原丈人 アライアンス・フォーラム財団代表理事:『多様性の尊重』
原氏
「私は多様性の尊重。ちょうど2000年まではグローバルな時代だったんです。これをアメリカが一極支配をする。その前はアメリカとソ連。さらに、その前、植民地時代はフランスやイギリス、スペイン、ポルトガルと、こういう国々が、圧倒的に強い軍事力と、圧倒的に差のある経済力を見せつけて、途上国に、お前達の文化は劣っていると。俺達が優れているんだと。だから、従えと。英語を使え、フランス語を使えと、やってきたわけです。しかし、アメリカ合衆国にしても力を維持できるだけのことはなくなってきました。そこで多様性の時代。本来、世界の193の国。そこにはいろんな部族が、または民族が住んでいると。それぞれによって、文化、伝統、歴史、言語というものを持ってきたわけでありますけれども、今世紀の100年、これは多様性を取り戻す時代としてどんどん動いていくでしょう。イスラム圏の中でも現在シリア、イラクで問題になっているIS。これなどもサイクス・ピコ条約でもって、オスマントルコの領土を、イギリスとフランスで、どういうふうに分けようかと。その結果、人口にして2500万人ぐらいいるクルド族が、一部はトルコに、一部はイランに、一部はイラクに、一部はシリアと分けられて、それぞれ、イランだったらペルシャ族と戦うと。トルコだったらトルコ族と戦うと。分割をして統一をすると。民族同士を戦わせて少人数で統一するというのは、これは分割統治という植民地のやり方でありました。こういったものがどんどん劣化してきて、民族自立という流れに今世紀はなってきています。一方、大国の重石がとれてきたと。重石になるだけの力がなくなってきたと。こういったところで、日本がしっかりとそれぞれの国々の民族の自主性を尊重していくのが、これから重要だと思います」