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2015年4月24日(金)
最後の楽園…キューバ カストロ独裁政権の今

ゲスト

古屋圭司
自由民主党衆議院議員 日本キューバ友好議員連盟会長
後藤政子
神奈川大学名誉教授

半世紀ぶりの首脳会談 “社会主義”キューバの今
松村キャスター
「キューバという国はどのような国なのかおさらいをしておきましょう。1492年、コロンブスがキューバ島に到着してから、およそ400年に渡り、スペインが植民地支配をします。1898年のスペイン・アメリカ戦争で表向きは独立を果たしますが、その実はアメリカによる保護国でした。1959年、フィデル・カストロらによる社会主義革命が成功し、社会主義国家としての歩みを始め、現在に至ります。地理的にはアメリカのフロリダ半島からわずか150kmに位置します。共産党独裁による社会主義国家で、元首は先日、オバマ大統領とも会談した弟のラウル・カストロ国家評議会議長です。識字率や就学率等、教育水準が高く、無料で医療が受けられるため、医療関係者の数が多いという特徴もあります。主要産業は砂糖などの農業と観光業、ニッケルなどの工業ですが、特産品と言えば、世界最大の生産国である葉巻や、サトウキビでつくるラム酒。こちらは、ミントが入ったモヒートというカクテルです。また、コーヒー豆も有名だそうです。古屋さんは、4回ほどキューバを訪問されていますが、キューバという国はどのような国だという印象ですか?」
古屋議員
「どうして私がキューバに関心を持ったのか。私は保守派で、何で関心を持つのか。会長をやって、七不思議だと言われるのですが、それには明確な理由がありまして、東西冷戦が終焉したあと、純粋な社会主義国は2つになりました。北朝鮮とキューバ。北朝鮮はあの様ですけれども。キューバはアメリカのテレビが自由に見られます。それから、亡命も合法的に認めています。ソ連が崩壊して経済成長率、マイナス60%もあったんですね。にもかかわらず、暴動は起きない。フィデル・カストロがまだ国民から尊敬をされている。不思議な国ですよね。私はキューバに関心を持って、仲間と一緒にキューバに行きました。それが1991年。それ以来、人間、フィデル・カストロという、そういうカリスマ性の高いリーダーが数十年に渡ってずっと国家元首を続けてきているということに対して、非常に大きな関心を持って、それ以来、キューバとのかかわりが増えた。私はフィデル・カストロ自身とも5回会っていますから」
反町キャスター
「キューバの国柄はどうですか。行った感じから言うと」
古屋議員
「明るいですよ、国民性は。と言うのは、経済成長率マイナス60%の1991年、行った時に。国民の仕事というのは、ハンガリーのボロボロのバスに並んで配給所で配給を貰ってくるのが1日の仕事ですから。それでも、彼らは堂々と胸を張って歩いています」
松村キャスター
「後藤さんは、キューバを一言で言うとどんな国だと思いますか?」
後藤名誉教授
「砂糖の国で、貧しい国で、しかも、ソ連が崩壊して、おっしゃったように、本当に何もない状況だったわけですけれども、その中で誰1人として餓死者を出さなくて、経済が回復したわけですよね。もし経済を自由化すれば、アメリカとうまくいくのですが、それだったら、国民の犠牲のうえで経済を回復することになると言って、それはできないということで、孤立を覚悟でやってしまったという、本当に不思議な国」
反町キャスター
「国民の犠牲のうえで経済回復というのはどういうことですか?」
後藤名誉教授
「つまり、自由化したら貧しい人達が出てくる」
反町キャスター
「貧富の差が出てくることを懸念した?」
後藤名誉教授
「食べられない人が、餓死する人が出てきますよね。その頃、ラテンアメリカでは新自由化というのが進んで、貧困問題が起きていたので、そんなことになったら何のために革命で、命を賭して、50年間、アメリカの干渉に耐えてがんばってきたのかということになるわけです」
反町キャスター
「貧富の差ができるぐらいだったら、皆、ある程度、等しく貧しい方を選ぶという考え方ですね?」
後藤名誉教授
「初めはありましたね。現在は変わっていますけれども」
反町キャスター
「変わっているというのは?」
後藤名誉教授
「初めは貧富の差をなくして皆平等に暮らしたらいいなと思うと、それが行き詰まってしまいまして、一般の人の考え方と違うのですが、一般には1990年代にソ連が崩壊して、自由化が始まったと言われているのですが、その前の1980年代、そこでもう、それはダメだということになって、ですから、30年、40年ぐらいずっと改革を進めているんですよ」
反町キャスター
「具体的にはどういう改革ですか。例えば、国営企業の民営化を進めているんですか。
後藤名誉教授
「社会主義の最たる国、2つあげたんですけれども、現在、社会民主主義国家です。国営企業は、全部は民営化をしませんで、国営企業の中に市場原理をとり入れると。国営企業でも経済効率が上がるのを見せようとか、そういうのがあるんですね」
反町キャスター
「それは、中国で破綻をしているではないですか?」
後藤名誉教授
「はい。だから、それが現在、あそこは面白く、政府の指導者とインテリ、学者が一緒になって議論をワイワイやって、いろんな方向が出てきて、どこに治まるかなというのが、現在の状況ですね」
反町キャスター
「その状況でいうと、社会主義から社会民主主義、ないしは資本主義の一部導入という、その過渡期にある?」
後藤名誉教授
「過渡期ですね。だいたい方針が決まっているんですけれども、これで、どれだけ成果が上がるかですね。制裁が影響…」
反町キャスター
「アメリカの」
後藤名誉教授
「制裁ではなくて封鎖ですね。何もできない。それが解除されれば、現在やっているシステムが動くだろうと、こういうこと言っています」
反町キャスター
「経済封鎖の解除を前提にこれまで準備を進めてきたみたいなイメージもありますか?」
後藤名誉教授
「いや、逆ですね。これは解除されなくても、自分達でやっていかなくてはいけないということで始まっています」
古屋議員
「経済封鎖を前提で、彼はやっていましたから、これまでも。ですから、私も何度もキューバに行って、向こうの政府要人と1番、議員連盟の役割は日本とキューバで貿易債務があるんです、向こうは。それをリスケするという作業です」
反町キャスター
「繰り延べですか?」
古屋議員
「そう。繰り延べをして、何割かは債権放棄して。ただ、ある意味でバーゲンはしましたよ。こんなことがありまして、2000年だったかな、行った時に、向こうの中央銀行の総裁ユベロンさんだけれども、3日間ぐらいやっていても、全然埒が明かないですよ。本当に腹が立ちましたけれども」
反町キャスター
「要するに、ない袖は振れないと」
古屋議員
「そうです。彼は最後、日本に戻る前の日に、その日の昼に、フィデル・カストロ氏が一緒に食事をしようと誘ってきたんですね。それで革命宮殿という質素なところですけれども、そこに行ったら、ちょうどフィデル・カストロ氏が軍服を着て立っているんですね。私と当時、三塚博先生が会長だったものですから、三塚先生と私がちょっとと呼ばれるのですよ。ポケットからおもむろにフィデル・カストロ氏が紙を出して、自筆で書いた条件が示されたんです。何パーセントと書いてあるんです。日本にとってはかなり厳しいですよ。だけど、私はその場で思った。一国の元首が自分で、手書きで書いてどうだと。こういって認めないわけにいかないでしょうと」
反町キャスター
「随分優しいではないですか。ほだされている感じがありますよ」
古屋議員
「いや、いや、私は、あの国が、人間性は信頼しているんですよ。いろいろ屁理屈はこねるけれども。1回約束したことは絶対破らないというのが、私の、かつての短期債務の時にリスケをした時に、本当に全部返してくれましたから。今回もそうだろうと言って、三塚さんと行って、これで決めましょうかといって手を打った。そうしたら、その後、ピシッと期日には耳を揃えて債権放棄してあげたんですよ。大バーゲンですけれども、それでもちゃんと返してくれた。それはアメリカが封鎖しているから、我々は貧乏だと。それは是非わかってほしいということを、率直に言いますよね、協議の時に」

フィデル・カストロとは
村松キャスター
「フィデル・カストロ氏は革命前夜、こんな言葉を残しています。人民の97%が革命を信じなくても、私は戦い続ける。革命を信じるのが私1人になっても戦い続ける。なぜなら革命家とは、例え1人になっても理想のために戦い続ける人間だからだという発言です。これがどんなタイミングだったか。革命前後の歴史を見ていきましょう。1953年にアメリカ寄りの軍事独裁を敷くバティスタ政権への攻撃を開始。1度は失敗し、投獄されます。先ほどの言葉はこの裁判中の答弁でした。そのあと、フィデル・カストロ氏は恩赦を受けて、メキシコに亡命し、革命の同志となるアルゼンチン人医師のチェ・ゲバラと出会います。1956年にヨットでキューバに上陸しゲリラ戦を開始。3年後にキューバ革命を成功させます。1961年にはアメリカと国交を断絶し社会主義革命を宣言します。さらに、1962年、米ソが核戦争寸前にまで至るキューバ危機を迎えるんです。さて、このキューバ革命を主導したフィデル・カストロ氏はどんな人物だと言えますか?」
後藤名誉教授
「たぶん独裁者という言葉がこれまで出てくるんですけれども、キューバの人は疑問視をたぶん投げかけると思うんですね」
反町キャスター
「独裁ではない?」
後藤名誉教授
「独裁ではないと私は思っています。キューバの人も思っていると思うんですけれども、思想的には、これは私の言葉ですけれども、いわゆる西欧近代思想の1番良い部分で育ってきて、それを実現したい。啓蒙思想家です。あるいは19世紀のいろいろな民主主義思想あると思うんですけれど、その中で育ってきて、という人ですので、古屋先生が、フィデル氏が紙を出してとおっしゃったのですが、たぶん1人では決めていないんですよ。その前にいろんな人と議論をしていて、その上で、ここまで譲歩をして良いというところが出てきて、彼がサッと出すという感じで。現在、面白いのは、共産党の一党支配がありますよね。方針が決まる時に、普通でしたら、共産党の内部で決めてしまうんですけれど、まず案が出ると草の根で討論をするんですね。町内会とか、いろんな、たとえば、女性団体の支部であるとか、職場。そこで討論をして、それを地域でまとめて州議会に出して、共産党に戻すという形ですから、キューバとして全国民討議と呼んでいるんですけれど、そういう国ですよ」
反町キャスター
「その意味でいうと、一党独裁…」
後藤名誉教授
「と言うんですけれども」
反町キャスター
「と言いながらも違うことを言っている?」
後藤名誉教授
「違うんです。共産党というとサッと一定のイメージを持つと思うんですけれど、共産党の中には宗教を信じている人もいっぱいいるんです。マルクス・レーニン主義の国で、宗教信者が入っている。そうすると、現在のこういう社会をつくるのに賛成する人は共産党に入ってくださいという概念で革命が始まった時からずっと宗教の信者ももちろん、ソ連とも関係が強まった時には、ソ連の
「宗教はアヘンである」
というのが入ってきますから、小さくなって暮らしていたんですけれども、もうすぐに80年ですから、革命から20年、それはおかしいのではないかという声があがって、フィデル氏も宗教が本当に社会の発展に役立っているということを言って、変わっていると」
反町キャスター
「そこまで変わっているというか柔軟性を持っているのだったら、たとえば、多党制に対して踏み込んでもよかったのではないですか?」
後藤名誉教授
「現在、議論が出ていますね。ただ、ラウル氏も言っているんですけれど、現在はできないと」
反町キャスター
「そのこだわりは何ですか?」
後藤名誉教授
「制裁で、本当に大変なことになっていますので」
反町キャスター
「制裁と多党制は関係ないでしょう?」
後藤名誉教授
「あるんですよ、それが。ですから、ヘルムズ・バートン法という制裁法がありますね。ご存知だと思うのですが、その前が1992年のトリチェリ法で、あれはベルリンの壁崩壊のあとに出てきているわけですから、ソ連が崩壊し、キューバは経済の深刻化が起きました。その時に出てきたわけですから、目的がキューバがテロ国家だから倒すというよりも、ベルリンの壁の崩壊で、自由選挙と経済の規制緩和、自由化。それこそが民主主義だという形になっていったわけですね」
反町キャスター
「一般的に、それは世界における共通の認識としてあります。つまり、その点においては、共産党の一党独裁というものが何よりも大切であると。それは当たり前のこととして、それを前提にして、国会の運営を未だになされていると。僕はある意味、否定的な言い方をしますけれど、それを崩してまで何かをしようというところまでは踏み切れていない。ここは確かことですか」
後藤名誉教授
「そうですね。それはありまして、制裁法に戻りますけれども、制裁法は、二段立てになっていまして、1つは、経済を悪くして倒していく。もう1つは、国内の民主化を進めるために国内の民主化勢力を支援するということがきちんと書いてあるわけです。毎年予算も組まれていまして、それをどこで配分するかというと利益代表部です、ハバナにある。だから、そこが国内支援組織の拠点になっているわけです。そうすると、そこの意向で、いろんな運動が起きてくる。そこから資金を得た人が活動をするということですから、本当にキューバにとってはジレンマですよね」

カストロのキューバ
反町キャスター
「古屋さんは、前議長に会った時に現状と、ないしは共産党を守るのか。それとも多党制に踏み込むのか。何かジレンマ、苦しみみたいな感じはありますか?」
古屋議員
「フィデル・カストロ氏自身はないですね。と言うのは、彼の立脚の原点は、バティスタ政権を倒すと。実際に彼は上流階級だったんですよ。バティスタ政権で恩恵に預かっていた人間ですから。その人間が、要するに、ああいう革命を起こしたということですから、彼の立脚の原点は、そこだから、だから、先ほど、1人になっても革命をすると言っているのは、そこなので」
反町キャスター
「創業者、これがフィデル氏ですよ。うまくやって、身内に2代目を継がせるんだけれど、3代目からは、官僚ないしは別の組織の、革命を知らない人達が入ってくると。これはどこの国でも、北朝鮮でも中国でも皆、そういう状況が社会主義国家で起きているではないですか。フィデル・カストロ氏が現在、思っていることというのは」
古屋議員
「北朝鮮は3代続けて世襲ですからね、正しく言いましょう」
反町キャスター
「その意味で言うと、フィデル・カストロ氏は、キューバの将来を見据えた時に、どこまで社会主義にこだわるのかどうかと感じる部分はありますか?」
古屋議員
「実は1月に、私は引退したフィデル・カストロ氏の自宅に行ったんですね。まだまだ本当に知的好奇心が衰えていないですね。だから、それは、たとえば、再生可能エネルギーとか、こういうものにすごく関心があって。日本は3.11があって、原発事故でどうなるんだということだから、私は、日本は世界と現在、しのぎを削って、核融合研究をしているのを知っているかとか、ウラン燃料を使わない究極のクリーンエネルギーだというと、体を乗り出して聞いているんですよ。たぶん、あれから1年近く経ちますから、たぶん核融合の研究については相当な専門家になっているのではないですか。それぐらい、現在でも知的好奇心があります。だから、原点は社会主義ですよ。しかし、そういう中から新しいものを、しっかり採用していこうという発想は、すごくあると思いますよ。だから、そういう意味では、保守主義だと思うんです、彼は。だって、保守主義の原点というのはこれまで培ってきた素晴らしいものを大切にする。大切にするためなら、大胆な改革も問わないというのが保守主義ですから。だから、統治機構が全然違う、両極端ですけれど、そういう考えはフィデル・カストロ氏の中にあるのかなということを、私は会う度に思います」
反町キャスター
「ただですよ、たとえば、東ヨーロッパの、ソ連の衛星国家が崩壊していった時、ルーマニアでも、ブルガリアでも結構です。あの時は、たとえば、それぞれの国の中には、社会主義が経済的に行き詰まったうえで、西側からの情報がどんどん入ってきて、この社会体制はおかしいぞと皆が思って、それぞれの国の中でクーデターが起きてきたと。こういう経緯がある中で、キューバの人達は、自分の国の経済体制、国家体制が非効率であると。ないしは多党制がないのはおかしいんだという感覚は、彼らは持ち寄るだけの情報は手に入るのですか?」
古屋議員
「それはアメリカの放送は自由に見ていますから。大リーグ、野球は皆、見ていますから。海岸に行きますと、アーネスト・ヘミングウェーが『老人と海』を書いた傍に家が建っていまして、パラボラ並んで、アメリカの放送を見ていますね」
反町キャスター
「そうすると、キューバ、私が聞きたいのは、キューバの人達が、たとえば、自分の国の問題点は理解しているのですか」
後藤名誉教授
「しています。2つ理由があって、1つは、東欧の変動を見ているんです。現在の体制がおかしいということがインテリの中から出てくるし、それを指導部が抑えていくというのが1つあるんですね。もう1つは、この社会はおかしいという声が、社会の中から上がってきてしまったんですね、革命20年で。確かに、医療も素晴らしい、教育も素晴らしいけれども、何で物質的に豊かではないの。これはアメリカの制裁だけではなくて、自分達の経済システムにあるのではないかと。これが出てきてしまうんです。それを、ですから、国が、フィデル氏が、共産党で、全面的に点検を始めましょうということで、全国的に調査を始めて、そこから政策転換が始まっていく」
反町キャスター
「普通、社会主義でも、共産党でも一党独裁をやっていると、そういう批判が出てくると、弾圧するのか、意見を吸い上げるのか、二択ですよ。弾圧すると反発が出る。吸い上げると何が起きるかといったら、これまで自分達がやってきた統治機構に対して軋みが生じる。そこはどうキューバはしのいでいるのですか?」
後藤名誉教授
「ですから、上がってきたものを、皆討議をして、しかも、指導部も同意して、これはどうかと出してくる」
反町キャスター
「一党独裁の批判にはつながらない?そこが不思議でしょうがない」
後藤名誉教授
「頭では9割理解している。現在一党制をとっておかないとできないようなことがあると思うんです。ただ、二千十数年代は、これは多党制に持ってくのが筋ですよという声があがってきて、それはラウル氏も言っています。ただ、現在なぜそれができないのかという形」
反町キャスター
「多党制に対して言及する、その意欲はある?」
後藤名誉教授
「ありますが、現在はできないという。それをちゃんと説明して、先ほど、スペインの植民地で、アメリカの占領時代を経て、独立したとありましたよね。その時に、占領時代に、何をしたかということを、アメリカの体制が入るように、全部キューバ人を排除して、やっていったと。そうすると、それが現在、制裁法がある限りできないということを言っています。あの時、最初に就任した大統領がアメリカ国籍のキューバ人です。そういう時でしたから。ちゃんと独立軍がいて、人達は排除され、解体され、進んできたというのがありますから、現在そのまま多党制にしたら、アメリカが制裁法でお金をばら撒いている人達が力を持っちゃうのではないのか、それが安定するまではできない。そういう考え方を言っています」

なぜ制裁緩和に動いたのか
松村キャスター
「オバマ政権になって以来、送金制限の緩和など政策を転換しました。これはなぜ逆転していったのでしょうか?」
後藤名誉教授
「私達が見るところ、全然制裁が緩和されていません。オバマさんが当選した時に、キューバで大変期待が高まったんですけれども、ただ、あまり喜べない。と言うのは、フィデル・カストロ氏が、大変いい人である、誠実、でもアメリカの限界があるのでどうなるかをよく見なければ、ということを言うわけです。オバマさんの意思とは別にアメリカの制約がある。その後、2009年に緩和されたと言うのですが、2004年ブッシュ政権で、子供の方ですが、送金の規制をかなり強化しちゃったんです。それを2009年に戻しただけで、ちゃんと制裁法は毎年続けるよということをやっていますし、特に、最近は厳しくなっていました。特に金融面、銀行に対する規制があって、それはなぜかというと、他の国がどんどん出始めたんですね、キューバに。銀行口座がないといけませんし、それに閉鎖を迫ってしまうのでそれが厳しく…」
反町キャスター
「徐々に緩めているのではないのかという見方とは既に違う?」
後藤名誉教授
「そうです。ですから、私は青天の霹靂でしたし、キューバの人も一般の人はびっくりしていました」
反町キャスター
「何をびっくりしたのですか?」
後藤名誉教授
「何で急に関係改善という(のか)…」
反町キャスター
「キューバの人達も緩和の風が吹いてきたとはまったく思わなかった?」
後藤名誉教授
「まったく思っていなかったですね」
反町キャスター
「今回の国交正常化交渉というのは、キューバにとっては、本当に驚きだった?」
後藤名誉教授
「本当に驚きで、12月17日ですよね。そのようなものですから、17Dというのが現在の9.11みたいな感じで…」
反町キャスター
「オバマ政権発足以降というのは、緩和に全然なっていなかったのですか?」
古屋議員
「私は、向こうの政府要人と頻繁に行ったり、来たりした時に話をしているのですが、必ずアメリカの経済封鎖が厳しいということを、常にそれが枕詞のように入って、かなり現実的に言いますので、だから、後藤さんがおっしゃったように、人の往来とか、そういうことは多少あるかもしれないけれど、根本的な経済封鎖は解かれていないですよ。だから、日本にも支援を求めてきているというのはありますね」

なぜこのタイミングなのか
反町キャスター
「そうすると、今回のアメリカとキューバの接近というのは本当に突然のものだとしたら、どういう動機で、どちらから動きだしたのか?」
古屋議員
「これは昨年の7月だったかな。全米の商工会議所の幹部が、キューバを訪問しているんですね。私もすごく意外だったんですよ。アレッと思って。それで関係者にもいろいろお話を聞いていると、どうもオバマ政権は、国交正常化に向けて動き出す可能性があるということを指摘する人もいましたね。国交正常化とは確かに首脳が会って、50年ぶりに会ってエポックメイキングですが、まだこれは本当に0が1になったぐらいのことで、大使館を開けましょうと。将来は国交正常化に向けてやると。国交正常化への1番のキューバ側の要求は経済封鎖の解除です。だけど、それはアメリカにとっては1番レベルの高い部分ですね」
反町キャスター
「アメリカの方が前のめりだったのですか?」
古屋議員
「うん。キューバはアメリカの経済制裁があるのは当たり前というようなものがあったような気がしますね。アメリカの大統領は2期で終わりですので。政権が最後になると、敵対している国と新たな関係を築いて何か実績をあげたいということを、やったという実績は過去あるんですね」
反町キャスター
「その意味で言うと、オバマさんはキューバでポイントを稼ごうとしている?」
古屋議員
「その可能性は否定できないと思います」

オバマ大統領の思惑
反町キャスター
「米国はキューバと新しい関係の構築を目指すと言っています。オバマさんが思うようにスムーズに向かうのかどうかについては?」
後藤名誉教授
「とにかく現在、ラテンアメリカとの関係を、再構築しないとアメリカはやっていけないということを言っているんですよ。(ラテンアメリカとの)関係構築の鍵がキューバとの改善ですが、現在ラテンアメリカは保守政権含めてですが、非常にアメリカ離れを起こしているんですね。自分達アメリカ抜きの地域共同体をつくって、その中でも経済的、社会的協力関係を始めているんです。ですから、大変厳しい状況。もう1つは、グローバル化時代ですから、保守政権にかかわる、あるいは安倍政権にもかかわらず全部西を見ているんです。西というのは中国ですよ。中国の進出が大変活発で、皆そちらに向かっているものですから、昔のアメリカとの一辺倒の経済関係ではなくなっていますから、そこで自分達で経済圏が構成できるわけですよね。それをオバマさんは中東でも、アジアでも後退していますから、とにかく足元で固めなくてはいけないということで政策を展開しなければいけないということで出ているわけ」
古屋議員
「私が先ほど申し上げたことと、後藤さんが言っていることは、中身は基本的に共通ですよ。オバマさんがそういう転換をして、なぜかと。ラテンアメリカの構図が変わってきているということです。だから、そのためにもオバマ政権の最後で実績をつくるためにそうせざるを得ないという判断をした可能性が高いと」
反町キャスター
「中国の影を感じますか?」
古屋議員
「感じます。たとえば、中国語版のテレビ放送をスペイン語に翻訳をしたり、ホテル行ったら、まずテレビつけるではないですか?」
反町キャスター
「ソ連によるキューバ危機がありました。今度は中国が切っ先になるという可能性はありますか?」
古屋議員
「キューバ人の国民性、彼らのプライドからして、中国の外交というのは悪い言い方をすれば、札束で顔をひっぱたくみたいなところが。これが1番キューバ人のプライドを傷つけるんですね。それなら、貧乏でいた方がいいという精神文化が残っています。そう簡単には中国はキューバに入っていけないのではないのかなという感じがします」
後藤名誉教授
「中国との関係は、革命以来すごく希薄です。中ソ論争というのを私達も覚えていますが、初めて入ってきたのは2004年の胡錦濤さんの時。その時に、フィデル・カストロが、本当に孤立していましたから、やっと来てくれたと。それで急に伸びたと。ただ、現在平行線になっていますよね。(中国が)社会主義だから入ってくるという考え方は、現在やめた方がいいかなと思っています」

日本とキューバの関係
松村キャスター
「日本はキューバとどのような関係を築いてきたんですか?」
古屋議員
「これは歴史的に非常に友好的ですよね。昨年、伊達藩の支倉常長さんが亡くなって400年、実は400年記念の大イベントを1年間通じてキューバでやったんですね。そのフィナーレを飾るイベントが、私が団長で全日空機をチャーターして230人を、経済界の方も60人ぐらい、それ以外の観光客の方、それから音楽家を連れて行って、向こうのマルティ劇場という国立劇場で、日本の太鼓と向こうのマリンバとコラボしたり、日本で有名なギタリストと向こうのギタリストとやったりと、向こうは音楽が非常に優れていますから、そこに出席したラウル・カストロ氏とか、それから、カプリシャス議長は感動してスタンディングオベーションで体をくねらせながらやっていました。それぐらい友好関係があります。ただ、貿易額がこれだけ小さいのは2014年なので、2013年に実は再リスケが終わったところなんですね。だから、これから先は増えていくと思いますけれど、どうしても貿易保険がしっかりつかないとか、そういう問題があったものですから、だから、リスケが終わって、今度は中長期の債務を、解決していけば間違いなく貿易が伸びていきます。それに非常に経済界は関心を示して、今回も岸田外務大臣が初めてワシントンからパナマ経由でキューバに外務大臣として初めて…」
反町理
「外務大臣のキューバ訪問って初めてなのですか?」
古屋議員
「初めてです。その時も経済界の方が一緒に同行しまして、ビジネスチャンスを皆いろいろ窺っていますよね。だから、今後はアメリカの封鎖が少しずつでも解除されていくという環境になれば、アメリカが厳しいことやると、どうしても日本の経済界の方はアメリカの顔色を見ますから、おっかながってなかなか通していないんですよ。リスクがあること以外にもね。だから、これからは環境だいぶ変わってくるだろうと」
後藤名誉教授
「びっくりしたことあるのですが、革命直後に制裁した時、アメリカから日本政府に圧力かかっていたんですね。その時に外務省も、それから商社なども抵抗し続けているんですよ。すごい国だなと。1962年の時ですね。ずっと他の国がどんどん禁輸をしている時に、1980年代直前までですよね。交易していましたので、本当に良い関係で。それで現在も親日国と言いましたけれども、キューバの日本の評価は本当に高くて、それはモノづくりであるとか、技術力、あと気質ですね、労働に対する。何と表現していいのか真面目さとか、とっても評価しているんですね。あまり言われるので、私達の現実を見るとこそばゆくなるんですけれども、いや、まだまだと言うんですよ。ですから。本当良い関係を結べるといいなと思うのですが」
反町キャスター
「キューバ人はどうですか?」
後藤名誉教授
「一生懸命に身を粉にして、いい人はがんばっていますね」

古屋圭司 自由民主党衆議院議員の提言:『キューバは将来中南米のリーダーになりえる』
古屋議員
「これはアメリカとの国交正常化に向けての、外交関係充実に向けての行方がどうなるのかということも大きく影響を受けますが、その流れが順調にいけば、中南米のリーダーになる。それだけ知的レベルが極めて高い。真面目な国民性ですね」

後藤政子 神奈川大学名誉教授の提言:『どのような社会をつくるのか しっかり見つめていきたい』
後藤名誉教授
「キューバ革命から半世紀、本当にいろいろあって、とにかく国民生活を守るために必死でやってきたわけです、七転八倒してきて。新しい社会体制を生み出していて、ただ、グローバル化の時代というのは、本当に厳しいと思いますので、どうやって国民生活を守って、かつ経済発展をさせていくのか。私達も関心がありますので、理想化することなく、あるいはそんなこと現実主義ではないよと言うことなく、しっかりと見ていきたいと思っています」