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2015年4月16日(木)
中小企業『涙』の理由 賃金上昇かコスト増か

ゲスト

長妻昭
元労働大臣 民主党代表代行 衆議院議員(前半)
柿沢未途
維新の党政務調査会長 衆議院議員(前半)
甘利明
経済再生担当大臣 自由民主党衆議院議員(後半)

中小企業の実情と今後
秋元キャスター
「基本給のベースアップや定期昇給、ボーナス、一時金など何らかの形で賃上げをした中小企業の割合ですが、2014年度の実績では、何らかの形で賃上げをしたという企業が58.2%。2015年度の見通しについては、3月中旬の調査時点で、賃上げをするといった企業が43.8%。未定が36.7%。見送ると答えたのが19.5%ということですが、長妻さん、中小企業の賃上げ状況から見てアベノミクスの効果をどのように評価されますか?」
長妻議員
「これは大企業もそうですが、中小企業も一部賃上げしていると。これは良いことです。ただ、よくよくその数字を吟味すると、輸入物価を中心に物価は上がっているんです。賃金がちょっと上がっても、実質賃金という物価を差し引いて言うと20か月マイナスになっていると。これが最大の問題の1つで、GDP、国内総生産の6割を占めているのが個人消費です。実質賃金が20か月マイナスになっちゃっているから、なかなか消費が伸びずに中小企業を含めて大変だと。このメカニズムを脱却するということが大きい課題だと思います」
柿沢議員
「大企業は業績を上げているかもしれませんが、実は、この間、労働分配率は下がり続けていて、つまり、要は、儲かった中でお給料にまわしている割合です。それが、どんどん60%台から53%に、2009年から2013年、2014年まで落ちてきているわけです。つまり、企業は儲かっているかもしれないけれども、それだけ労働者にまわっていないと。こういう状況になっているこの現状を是正しなければいけないと思います。もう1つは、格差の問題です。株価も上がって、大企業が良くなって、お金持ちはどんどんお金持ちになっているけれども、そこから取り残されている大多数の庶民がいる。その人達に対して何をしているかと。私は実質、何もしていないと思います(安倍政権が)。この大多数の庶民、国民に対してどういうふうに財布を潤わせて、消費をしようと。将来に対する安心をもたらせて、そうやって積極的な経済行動をとれるような、そうした支援をしていけるかということが、置き去りにされた、経済政策の大変大事な課題だと思います」
反町キャスター
「批判だけではなくて、対案も聞きたいです。たとえば、アベノミクス。ここまでの金融緩和の結果、株価2万円にまでいきました。輸出関連、大企業というのは、市場空前とは言いませんが、大きな利益を上げている。賃金も、先ほどありましたように、自動車関連は九千何ぼというところで、大きな賃上げも。結果がちゃんと出ている。これが日本全体に、特に、中小企業の方に広がっていくのかどうか、そのへんは、お二人とも、現状は広がっていない、見通しも厳しいという話だと思うんですけれども、じゃあ、どうしたらいいのかと。そこはどうですか?」
柿沢議員
「政府が、政策的にやれることは1つだけあるんです。それは何か。最低賃金を上げることです。これは法律的に決められて、政府の、あるいは自治体等々の判断で上げることができるわけです。実は世界的に見ると、日本の最低賃金というのは低い水準になっていて、世界的なランキングを見ると、たとえば、平均賃金に対する最低賃金の割合で言うと、ニュージーランドが第1位で50%。フランスが第2位で49.8%。日本は33.3%の21位です。この最低賃金を上げるという政策は、アメリカのオバマ政権が7ドル台から10ドル台に上げると言って、共和党は反対しているんですけれど、ポール・クルーグマンというノーベル賞を受賞した世界的な経済学者は、これをやると大変大きな効果があるということを言っている。実際に最低賃金を上げた州は、雇用が普通、最低賃金を上げれば、それだけ雇用を減らさなければいけないと経営者は判断するだろうと思われていたんですけれども、最低賃金を上げたところほど、雇用の伸びが高いという結果が出ているんです。ですから、最低賃金を上げることによって、むしろ安心感によって消費が拡大して、雇用も増えるという好循環が、まさに、生まれてくるのです。これは民間企業に言わなくても、政府が自分達で決められるんです」
長妻議員
「ドイツは最低賃金を上げて、高付加価値の中小企業の再編も進むんですね。それで労働生産性も上がると、あるいは教育ですね。我々は格差を是正し、人への投資を増やせと言っているんです。これはジリ貧の政策ではなく、安倍総理が聞く耳を持たないのですが、たとえば、社会人入学で言うとヨーロッパ諸国は20%です。職場にいる社会人が大学に行って、スキルを磨く。つまり、高付加価値の労働者をいっぱい生み出しているわけです。日本は社会人入学が2%しかいないです。ですから、もうちょっと雇用する人達に、職業訓練を含め、手厚くする。単純労働の日本の労働者と非正規を増やすのは、東南アジアの単純労働者と人件費が全然違いますから、同じ労働で勝負はできないわけです。日本しかできない高付加価値の労働者をたくさん産み出していくということが現在の日本では非常に重要です」
反町キャスター
「最低賃金を上げて、なおかつ長妻さんが言われたみたいに労働生産性を上げるとなると中小企業間の淘汰が進みませんか?要するに、最低賃金の上昇、時給千円なら千円を払いきれない企業は淘汰されていく。淘汰という言葉が悪ければ、合従連衡が進む。そこの部分というのは当然ありますよね?」
柿沢議員
「維新の党というのは、実は英語名がJapan Innovation Partyと言うんですけれども…」
反町キャスター
「維新は進める側ですものね」
柿沢議員
「Innovationイコール新陳代謝です。つまり、既存の企業が、何か、非常に経営不振な状態のまま生きながらえるということではなくて、むしろ、新陳代謝を促していくと。日本は開業率も廃業率も低い、5%前後と。欧米に比べると半分ぐらい。現在、10%を目指そうということでやっていますけれども、一定程度の新陳代謝を促すことは必要で、そういう意味では、私は、民主党さんと…」
反町キャスター
「ちょっと違うと思います」
柿沢議員
「雇用の流動化ということも含めて、そういう環境を整備していく。終身雇用で、年功序列で上がっていくということではなく、転職、労働移動というのを前提とした社会の制度を整えるということも同時に必要だと思います」
長妻議員
「新しく会社を起こす起業家の割合というのは、日本は人口の4%ぐらいです。アメリカ13%ぐらい、あるいは開業率というのがあるんです。新しく企業をつくる。これは、日本は4.5%で、イギリスやアメリカ、フランスの半分です」
柿沢議員
「起業に対するハードルが高い、なぜか。失敗した時のリスクだと思うんです。日本は独特な、いわゆる第三者保証、個人保証というのがあって、そういう慣行において、仮に起業に失敗して、倒産、破綻をした場合、個人が全部、身ぐるみを剥がされるようになっている状況があるわけです。今度、民法の大改正をやると言って、この個人保証を外しますというんですけれども、よく見ると、個人保証を公証人役場で何か証明書をとってくれば認めるというような内容になって、経営者自身が保証人になったら、これは認めるとか、こういう、はっきり言えば、やっただけ、やったふりみたいなことになっちゃっているんです。本当に起業のリスクをとって、それだけのベンチャー精神を持っている人が日本中、全員誰でもそうなわけではないですから、3回、4回もチャレンジしてがんばっていく。それだけの意欲のある人には再チャレンジが本当にできるような制度にしなければいけない」

価格転嫁と“下請けイジメ”
秋元キャスター
「買い叩き、支払いの引き伸ばし、不当な返品などを禁じた下請法に触れる恐れあり、とした指導を受けた企業の件数ですけれども、その推移を見てみますと、年々増加傾向にあります。直近のデータが公表されている2014年度を見てみましても消費税増税があった昨年4月からの半年間で、過去の上半期の件数を上まわっているのが現状です。いわゆる下請けイジメが根深く続いているのがわかるわけですが…」
長妻議員
「これは優越的地位の濫用ということで、独禁法で法律違反と、過度なものはなっているので、これはちゃんと取り締まるということが必要で、下請代金法という法律があります。我々も民主党政権の時に随分下請けイジメ防止法ということで取り組んだのですが、これはいろいろGメンみたいなものをつくって苦情を受けつけ、法律に照らして、適切かどうかをちゃんと見ていくということが重要だと思います」
反町キャスター
「中小企業の体質強化、生産性向上が大切というのと、下請けイジメの摘発は、二律背反になりませんか?要するに、3%消費税が上がったから、3%原価率を上げろと言われても、うちは企業努力で5%を下げたというところが、たとえば、それでもうちは、そういうことをやろうとすると、いじめかどうかというところで誤解される。ないしは他の努力をしていない企業と同じ競争をしなくてはいけない。ここの部分はどうしたらいいのですか?」
長妻議員
「逆ですね。つまり、本当に高付加価値でコストを下げている企業というのは、むしろ引く手数多なので、選ぶわけです。つまり、どの企業に納入しようかと。あるいはハイテクの部品をつくっている、都内にもたくさんありますけれども、世界のシェアを、小さい企業なのにかなりのシェアを占めている部品メーカー。殿様商売とまでは言わないけれども、買ってくれるところがいっぱいあるので、選んで納入をするという。つまり、下請けでありながら、非常に付加価値体質の企業は、力は企業の規模によらず、この会社にしか部品がつくれないということで大きくなっていく。これも理想論かもしれませんが、そういう企業もあるのも事実ですので、そういう労働生産性をきちんと上げていく努力というのは、どの企業もしていって、支える政策というのが必要になってくると思います」
反町キャスター
「これは下請けイジメではない、これは下請けイジメだという見極め、それは公取がやると言っても、公取が全部そこを見極められるのかどうかという。それが結果的によく言われるゾンビ企業を生きながらえさせることになるのかどうか。リスクとをどのように感じますか?」
柿沢議員
「特に、アメリカで行われていることですが、これは違反行為に対して、違反だと認定された場合のペナルティを重くしていくことだと思います。仮に下請け企業に対して、どう考えても優越的地位の濫用としか言えないような行為を繰り返し、常習的に行なっているような企業があれば、もしかしてその企業が本当に存続が危ぶまれるぐらいの大きなペナルティが課せられるというようなことが起きれば、そういうことをやっていたらば、一罰百戒で、そんなことになったら困るということで、そうした慣行がなくなっていくという抑止効果が出てくるのではないかと思います。全ての企業の取引状況を、全部精査して、公取の係員を置いておくということはできない。検査官を送り込むということはできないと思いますので、ペナルティを重くするということによって、市場がきちんとワークするにするということが大事だと、私は思います」
長妻議員
「たぶんこのテレビを観ている中小企業の方々、下請けの方々、政治家は本当にわかっているのかと言われるかもしれない。つまり、そういうことを、たとえば、少しでも下請け代金検査官というのがいるんですね、政府の中にも。そういうところに、それを言ったならば、それは将来的に取引停止になって、もっと酷い目に遭う。だから、そこからの相談を待つというよりは、大企業中心に、恒常的にそういうルール、現在も下請け取引ガイドラインというのがあるんですけれども、それは全ての下請けに対してちゃんとやってくれというのを、口を酸っぱく、指導をしていくと。相談してくださいと言っても、相談がなかなかできないと思うんです。そこらへんのことを今度、消費税を10%に上げると、今度は消費税の転嫁問題が出てきますので、そこは我々も、ただ、法律に逸脱しないように、優越的地域の濫用という、原則以上に踏み込んで、民間企業に対してお国が何か言うというのは厳に慎むという前提でやっていくということだと思います」
反町キャスター
「中小企業対策は、民主と維新は微妙に、言葉が悪いですけれども、温かみというか、言い換えれば、緩さが違いますね。整理統合を進めるのが第一だというのと、やらなくてはいけないのだけれども、痛みも伴わなければいけないという部分で、僕は微妙に違いがあると思うんですけれども」
柿沢議員
「それは温かい、冷たいで表現されたら、大変、心外な話です」
反町キャスター
「合理化でも結構です。スピード感でもいい」
柿沢議員
「いずれにしても新陳代謝です。それは、温かい冷たいだと表現されたら…」
反町キャスター
「温かい冷たいは必ずしもいい言葉では使っていないです。たとえば、今回、統一地方選挙でそれぞれの党がすごくがんばられて、現在ここで議論になっているような、中小企業にきちんとアベノミクスの恩恵が染み通っていないのではないかということを、労働者の7割以上の人達、皆感じているわけです。それは、どうして選挙結果にきちんと出てこなかったのかという、ちょっと生臭い、政局的な話になるんですけれども、長妻さん、たとえば、統一地方選挙で戦われていて、なぜこのアベノミクスの歪みというものがきちんと選挙結果に出てこなかったのか。出てきたとすれば、どこに出てきたのか。それは政党としての民主党の現在、どういうテーマがそこに出てきたのかというのを最後に教えてくれますか?」
長妻議員
「私も地方に参りましたけれども、格差という話をすると、都市と地域の格差、あるいは貧富の格差。これは大変深刻だ、広がっていると。かなりの方が思っておられて、それに対して我々はお話をするのですが、特に、中小企業については、おっしゃるのは夢がほしいということです。アベノミクスはわからないけれど、将来、来るかもしれないという期待がある部分がある。我々が申し上げているのは、日本はもっと良くなる。人への投資をして、高付加価値の労働者をきちんとつくって、労働生産性が高まるようにしないといけないんだと。望めば、誰でも大学に行けるような世の中をつくっていくことが日本経済の基盤をつくる。だから、かなり中長期の話です。ですから、現在の株価が上がっているという現実を見て、そういうところがあるので、我々は中長期。政府は目先の株価をどうこうするという役割ではないと思うんです。私は、株価が上がることは悪いことではないと思いますけれども、中長期に、人間の基盤をかためることをしなければいけないと。こういうことを地道に訴えていく必要があると。大阪はかなり維新の会が強かったのですが、それ以外の地域では善戦したところもありますし、我々はきちんと反省すべきところは反省をして、地道にちゃんと訴えていくということです」
柿沢議員
「政治は庶民のためのものだという原点に立ち返って、それに、庶民というか、本当に国民の皆さんに届くメッセージを、きちんと発信できたかどうかだと思うんです。我々はそういう意味で、運動論から言っても風頼みで、本当にフェイストゥフェイスで、有権者の皆さんと対話をするという、そういう根っこを張った、土地に根づいた活動が、新興政党ですから、まだ十分できていないところがあると思います。実は、そういう庶民、一般国民に1番近いところ、地場で活動している政党はどういうところかというと、たとえば、自民党だったりするわけです。そういう意味で、我々は地力がまだ足りないということを感じています。ただ、政策は私達から積極的に発信できるものですから、もっと、私は最初から最後まで申し上げている通り、庶民の皆さん、本当に国民の皆さんに届く、富裕の人がどんどん富裕になるだけではなくて底上げがはかれるような、最低賃金の話のような政策を打ち出していくことが、我々に支持が集まる方策ではないかと思います」

甘利経済再生担当相に問う 価格転嫁の適正化
秋元キャスター
「政労使会議で合意された取り組みとして、中小・小規模事業者の価格転嫁を適正化、小売業・飲食業などのサービス業の生産性を向上とありますが、まず価格転嫁の適正化については」
甘利経済再生担当大臣
「中小企業者、下請企業者に調査をしまして価格転嫁を元請企業に受け入れてもらいましたかという調査をしましたが、包括的に理解してもらったということと、一部だけを理解してもらったと、これをあわせても7割になります。今度は元請の方からあなたの会社では下請け代金の、適正化について取り組んでいますかと言ったら、これは自分では取り組んでいるという人が多くて、もうちょっと多いんですけど、下請けの方から聞いても一部も含めて7割です。先般、第2弾というのを政労使でやったんです。第1弾はとにかく賃上げ、すぐにでも踏み切ってねと、第2弾は、第1弾の時も言ったんですけれど、第2弾はそれをさらにフォローアップして、次は中小企業の賃上げが必要だと。賃上げするには原資が必要ですから、原資は元請けが下請け代金の適正化に取り組んでもらわないと、賃上げしようにも原資がありませんということですから、そこで下請け代金の改善に取り組んでくださいということを重ねて申し入れました。経団連会長はその合意項目を文書にして、関係企業に全部通達をしました。これから地方の経済団体、中部経済連合会とか、九州経済連合会がありますが、そこと経団連が打ち合わせをして、地域経済連合会でも同様の対応をしてほしいと要請していくということになっています」
反町キャスター
「日本の大企業、中小企業の関係においてはそういった市場メカニズムがきちんと働かないのか?どう見たらいいのですか?」
甘利経済再生担当大臣
「デフレが15年以上続いていますから、とにかくやみくもに納入価格を毎年毎年切り下げていくと。それは元請けにしてみれば本当はやりたくないけれど、生き残るためだという話です。デフレを脱却するためにまず元請けが儲かる体質になってもらわなければ困ると。その環境整備は政府がしたわけです。事実、史上最大、儲かっているわけです。儲かったお金の使い方を忘れちゃっているんです。だから、どんどん内部留保が積み上がるばっかり。これはちゃんと経済原則に従ってまわしていくことが好循環でやがて企業業績にさらに跳ね返ってくるんですよと、忘れちゃいましたかと。だいたい経営している人が、守りの経営しかしらない人がトップになっていますから。もうベアなんて忘れちゃったということですから、連合だってベアを忘れちゃって、ベアを要求したら、雇用が大事でしょうと。もうその段階は過ぎていますと。ベアを要求しなさいよと。政府が組合にベアを要求しようというのも変ですけれども、皆もう経済の本来の姿を忘れちゃっているんですよ。だから、思い起こさせなければいけないと。中小企業というのは何が大事かというと、中小企業とサービス産業にとって大事なのはアベノミクスの地方展開、津々浦々のキーワードをサービス産業と中小企業が握っているんです。雇用の7割は中小企業です。産業の7割はサービス産業です。ですから、この2つの生産性が向上し、賃金も引き上げるということにならないと、いくら安倍政権が旗を振っても全国津々浦々にはならないです」

中小企業の生産性向上策
秋元キャスター
「小売、卸売業などの中小事業者の状況をどのように見ていますか?」
甘利経済再生担当相
「まずIT化投資が遅れているんです。製造業に比べてIT化投資が圧倒的に遅れている。それから、人材育成が遅れているのもあります。たとえば、製造業で言うと、特別な1つのことだけに特化している技術者から、周辺のことまでできる多能工型というのがあるんですね。たとえば、旅館業を見ましても、受付をやる人、それから、仲居さん、運ぶ人、清掃する人、時間帯がバラバラですから、まずお昼前ぐらいには受付でお客様をお迎えすると。その人はもうそれ以外は仕事がなくなっちゃうわけです。仲居さんは食事の時間前後しか忙しくない。そうすると、他は仕事がない。そうすると、受付もできれば、経理もできれば、お膳運ぶのもできますと圧倒的に人が少なくて済む。これはいわゆる製造業の多能工の発想をサービス業に持ち込むだけで生産性が一挙に上がる」
反町キャスター
「生産性を上げると人が余りますよね。そこの部分をどう見ればいいのですか?」
甘利経済再生担当相
「現在、日本の最大の課題は人口減少です。働き手が減るんです。働き手が減るものだから、出生率が改善するまで何とかつないでいかなければいけないということで、現在力を入れているのは女性の経済社会参加率を圧倒的に引き上げるということと、年配者の経済社会参加を、定年を引き上げることも含めて、やっていくんです。現在、企業はだんだん人手が足りなくなってきています。これからますますオリンピックに向けて経済にテコ入れをしていく事態になっていくともっと人手が足りなくなってきています。だから、ここでやるべきは、たとえば、設備投資で言えば、増産投資ではないんですよ。省力化投資、省エネ投資、生産性向上投資です。人が足りませんから、争奪戦になってきますから。これからライフサイエンスの分野、健康増進事業等々ですね、新産業をこれからどんどんつくっていくんです。そこも人手が足りません。それから、社会保障分野でも医療人材、周辺人材、介護人材、どこもかしこも人が足りなくなってきています。そういう中でできるだけ人の数を少なく同じ生産ができる、同じ付加価値をとれるということに動いていかないと絶対数で足りないですから、現在は日本にとってみれば、極めて良いチャンスです。省力化投資をしているというのは、人が足りない中にありますから、人が余っている中で省力投資というのはなかなか難しいですけれど、人が足りない。そういう中でどうやって人材を集めていくのかと向きあわなければならないですから。10人でできたところを8人でできるようにするというのは、企業の生き残り作戦としてどうしてもとらなければいけない、そういう事案にあるんですね」
反町キャスター
「賃上げまでに大きな谷があることが伝わっていないのではないのかについては」
甘利経済再生担当相
「元請け企業の利益が過去最高になったと思いますが、それを還元して、経済の好循環という手当てで賃上げが進んでいくんです。賃金が上がれば消費が増える、もっと企業業績が上がる、賃金が増える。こちらの好循環です。もう1つの方は、大中小を問わずに競争力を上げていかなくてはいけないです。最終的に勝てませんから。当面の好循環でお互いが潤っていくというのがありますけれど。もう1つは、高付加価値型にしていく、生産性を上げていかないと競争に勝てなくなりますから。これは両方で、片方は景気循環、経済の好循環をまわしていくということ。もう1つは、生産性を上げて、より高付加価値な企業に、同じ業種でもなっていくという、両方をまわしていかなくてはいけないということだと思います」

中小企業 活性化のカギは?
秋元キャスター
「食料品関連、外食産業は消費者が持っている価格イメージもあるため、値上げに踏み切りにくいという面もあるみたいなのですが、このような中小事業者の声をどのように受け止めていますか?」
甘利経済再生担当相
「業態によって、価格転嫁しやすいところとしにくいところ、直接消費者と接触しているところはなかなか仕入れ(価格)が上がりましたから、商品価格を上げますよと、なかなかいかないと思うんですね。ただ、できるところから改善していくということがとても大事で、元請け、下請けをうまく指導できるところについてはやっていくと。しかも、これは公取と厳密に摺り合わせしていまして、独禁法違反は、皆一斉にやるわけですから、ならないように全部手立てはしました。ですから、元請けと下請けがしっかりと話しあって、価格転嫁を含めて適正価格に持っていくということの話しあいについて公取は何ら介入することはありません。それをやっていって地合いをつくっていくことが大事で、消費者、買う方の実質賃金を上げていくことが大事ですね。物価を上げても、それをオーバーライドする賃金であるということであれば、消費者と直接接している小売事業者が価格を上げやすい環境ができるということです。だから、今年、安倍内閣にとって極めて注目している点は、いつの時点で物価の上昇、消費税も含め、それを超えた賃上げが実現できるかということに非常に注目をしているところです。そこに関心を払いながら、各方面の背中を押していくところです」
反町キャスター
「生産性の低いところの業態が苦しいのは、生産性が低いからだよと、ズバッと言うのはなかなか言い難いところですか?生産性が低いところが苦しんでいるという言い方はあまりにも一面的な話になりますか?」
甘利経済再生担当相
「そうですね。そこまで言い放つことは酷だと思うんです。ただ、同じ豆腐やさんでも、混んでいるところ、儲かっているところがある。それはうちにしか出せないという強みを出しているんですね。ノウハウもあるし、差別化の努力はしている。全員が同じことをやっていて、全部がしっかりいい生活ができるように政府がしてくれと言われても、そういうことまではできませんと。輸入物価が上がった分だけ、上げるような環境は一生懸命つくりますと。賃上げもしていきます。ただ、努力している店と、していない店で同じような利益が上がるようにしてくれというのは、これは対応できないですから。儲かっている店には儲かっている店なりの何らかの努力があるわけですから。それは見習ってもらいたいとは思います。地方創生でも、新型交付金は一律ではないですよ。かなり政治家にとってみれば、デンジャラスな…」
反町キャスター
「かなり濃淡をつけるんですよね?」
甘利経済再生担当相
「つけます。これは足らないものを全部補填しますというものではないです。だから、いい知恵を出して、積極的に前向きに取り組んでいくところに対してだけ出る補助金ですから。これは汗をかいた、かかない。知恵を出した、出さないの濃淡に対してかなり明確にメリハリがつく交付金ですよ。損失補填のための補助金ではなくて、競争力を高めていくために武装する、そのための資金ですよという渡し方ですね」

甘利明 経済再生担当大臣の提言:『踏み出す勇気!』
甘利経済再生担当相
「これは、中小企業だけということではなくて、デフレマインドが浸透している日本全体に対して、言わなければならない言葉だと思うんです。企業経営者は守りの経営から打って出ると。新しいころにもリスクをとってチャレンジしていくと。踏み出せるかどうかが国際競争の中で生き残れるかどうかを決めると思います。中小企業も環境が変わらないから、何もできないと言うのではなくて、自ら踏み出す勇気を持つということが大事だと思います」