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2015年4月2日(木)
駐日ドイツ大使に聞く 戦後処理と対中ロ距離

ゲスト

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン
駐日ドイツ連邦共和国大使
川崎二郎
日独友好議員連盟会長 自由民主党衆議院議員

戦後70年の歩み これからの日独関係は
反町キャスター
「ドイツのメルケル首相が来日したのは7年ぶりということで、しばらく来られなかったという気持ちもある一方、久しぶりに来たということは何かが変わったから、日本のここが気になるから、日本に来るのかという、その部分もあるかと思うのですが、7年ぶりのメルケル首相の日本への来日。これは日本に対する、どういう関心、どこにポイントがあって、日本に来ることになったと見たらいいのですか?」
ヴェアテルン大使
「私が思いますに今回の訪日には2つの大きな目的がありました。1つはG7サミットの準備です。今年6月にドイツで開催されますので、そのための準備としてドイツが議長国を務めている今年。そして来年は日本が議長国を務めますので、その継続性のためにも、協力関係を強化するということが、G7の枠内でも非常に重要なことでした。もう1つ、2国間に特化した目的がありまして、日独間には共通の課題がたくさんあります。その中では、対ロシアについても、ウクライナ危機も含めて協力が必要ですし、それから、少子高齢化という問題、さらに国際テロに対してどう向きあうのか。このように数多くのテーマが両国の間に共通のものとしてあります。確かに7年間、日本に来ていなかったのですが、だからと言って、両国の間に対話がなかったというわけではもちろんなく、安倍首相は今回の(メルケル首相の)訪日に際して、『今回で9回目になりますね、お目にかかるのは』という話で始まりましたよね」

敗戦国から先進国への歩み
秋元キャスター
「日独両国にとって、今年は、戦後70年という節目の年でもあるんです。あらためてドイツの戦後の歩みを簡単に振り返っていきたいと思うんですけれども、まず1945年に終戦を迎えます。10年後、1955年にはNATO、北大西洋条約機構に、西ドイツが加盟します。1973年には西ドイツ、東ドイツ、それぞれが国連に加盟しています。1975年、先進国首脳会議が発足し、西ドイツ、日本の両国がアメリカ、イギリス、フランスとともにG5を構成します。1989年、ベルリンの壁崩壊。その翌年、現在から25年前の1990年に、東西ドイツが統一されています。1993年には、前身組織を受け継ぐ形で、欧州連合、EUが設立されまして、2000年代に入って、共通通貨ユーロの本格的な導入という流れになっていきます」
反町キャスター
「いろんな国が周りにいるわけで、たとえば、イギリスにしても、フランスにしても、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、ポーランド、オーストリアなんか併合した相手としていろいろとあると。それぞれの国に対して、同じ姿勢で臨まれたのか、その国その国に対して個別の責任の取り方、謝罪の仕方、違ったのか。どういう形で和解の道をつくっていったのか。そこはどう見たらいいのですか?」
ヴェアテルン大使
「核、中心となるものがあると思います。それは独仏関係です。フランスのシューマン外相、ドゴール、それから、ドイツのアデナウアー首相が力をあわせることができたということ。フランスとドイツが欧州統合の核になることができたということです。他の国々は、それをフォローしたという形です。西側の隣国は冷戦の時代であったわけでありまして、様々な懸念を持っていたわけですけれども、ブラント首相の東方政策が効果を上げました。壁があったにも関わらず努力をして、東欧諸国の理解を得ました。1番重要な点は、現在でも変わっていないことですが、独仏関係であります」
反町キャスター
「先日、来日していた、フランスのファビウス外務大臣にインタビューする機会がありました。ファビウスさんにも同じような質問をしたところ、アデナウアー、ドゴールの名前を出して、それで独仏の間における、もう戦争は2度と嫌だという、両方の指導者の気持ちと国民の気持ちと、歴史を絶対に忘れないことだと。この3つのことをファビウスさんはおっしゃられて、フランスに戻られたんですけれども、そこは、両方の国において、自然とそういうものというのは合意ができていたものなのですか?」
ヴェアテルン大使
「そうです。こう言えるかもしれませんが、アデナウアーとドゴールは背景になる社会全体の和解に対する熱望というものがなければ、単独では、それを実現することができなかったと思います。ボトムアップ、下からの力だと思います。特に、独仏の若者達の力です。私の世代のドイツ人はフランスで数週間、皆ホームステイをしています。その経験がないドイツ人を探しても見つからないぐらいです。フランスの子供達とホームステイで時間をともにした。そういう自然な、個人的なレベルの体験というものがもちろん、言語がフランス語、ドイツ語、全然違うわけですけれども、若い頃から、子供の頃から友情を結んだ、友好を結んだ。そういうボトムアップの力が、トップにももちろん、支えられたわけですけれど、効果を上げたということだと思います」
秋元キャスター
「ここまでの大使の話はいかがですか?」
川崎議員
「ちょっと違うなと聞いていたのはまず小泉さんの談話と村山さんの談話ですけれど、明確に国の誤りと書いてある。国策の誤り。ドイツのトーンも多少違う。ナチスの誤り。ここが多少違うかなと」
反町キャスター
「国の誤りとナチスの誤りという使い分けがあると?」
川崎議員
「はい。我々は国として迷惑をかけた国にできるだけのことをしていくという。特に、ヨーロッパと違ったのは、経済的には、我が国より弱い国の方が多かったものですから、我が国は戦後アジアの発展のために、経済的な支援をしていこうと。ドイツの場合は、東西の壁がありましたから、NATOという1つの枠組みと、それから経済的枠組みと、2つが重なっているんです。我々の場合は、そういう意味では、対中国もあり、安全保障の枠組みではないです。あくまで経済の枠組みを中心にしながら、日本が戦前に行った過ち、これをできるだけ払拭していかなければならないと。そのためには経済支援をしていこうと。ですから、そうやって数字を見ていると最初、インドネシアが大きいんですよ。それから、韓国。一時期、おわかりの通り中国。現在はミャンマーが1番多いと。ですから、そういう意味では、我が国の経済をもって、きちんとした対応をして、お詫びを申し上げ、経済でアジアの国が豊かになるように努力をする。今日のアジアの発展を見るとまあまあ政策論としてうまくいってきたのだろうと。ただ、先ほどから、政治体制が少し違った。中国とは違ったものですから、うちの親父も、日中に随分苦労したんですね。ずっと苦労しながらやってきて、どうにかうまくなってきたなと。しかし、うまくなってきて日本が支援する時代は割合、今度は対等になってきた。いや、先ほどの話があるように経済国としては日本より上になったんです。米中が世界全体を見ながらやっていく時代になってきたと。そこに大きな変化があるのではなかろうか。だから、フランス、ドイツのようにそろそろ我々も大人の付きあいだなと」
反町キャスター
「先ほど言われた、エリーゼ協定に基づく、フランスとドイツのように、学生の交換協定みたいな話というのは、これは日本と中国の国交正常化は1972年でした。ですから、そんな簡単にできる状況、政治的にそれが許される状況ではなかったというのはわかったうえで、あえて聞くと、ドイツとフランスというのが戦後間もなくから、その意味で言うと、不戦の方向に向けて、そういう積み上げをやっていた。日本は他の国とは言いながらも、ドイツは少なくとも、話を聞いていると、まずはフランスとの関係を良くすることで他の国もあとからついてくる形で良くなっていったという、その和解、融和のやり方がまずフランスだと。じゃあ、日本の選択肢としては、政治状況下においては、まず中国としっかり仲良くすれば、他の周辺の国はついてくるだろうという形で、中国との和解を進められなかったというところが、現在の…」
川崎議員
「そういう政治体制ではないと思う。先ほども言ったように、インドネシア、韓国。これは両国に、我々は植民地支配をして迷惑をかけたわけですから。そこをきちんとしていこうというところから始まった」
反町キャスター
「そうすると、中国は積み残したということが当時、やむを得なかったわけですね」
川崎議員
「当時、台湾の存在がありましたから、ここは。世界全体では台湾の存在が、国連の常任理事国でもあったわけだから。それがあったわけですから。そこは、ステップバイステップ。政治家が皆、努力してやってきて、かつ中国が方向性を定めている時に、日本の経済的支援というのはかなり効果があったことは事実だろうと。だけど、それを我々は誇ってはいけない。彼らの努力でやっていくわけだから。しかし、我々も、それなりの努力をしてきたけれども、日本人自身は、心の中に持っていいと思うんですよ。これだけアジアが経済で世界の中の中心になってきているわけでしょう。だから、何にしても、皆、アジアというものをどう捉えるかという時代になってきている。しかし、その時代を迎えたのは、日本の努力も評価をしていただいていいのだろうと思っています、私は」

アジアの日本と欧州のドイツ
反町キャスター
「謝罪の仕方を大使に聞きたいんですけれども、ドイツの戦争責任に対する謝罪の仕方というのは、いわゆるナチス、ヒトラーの時代というもの、全て否定して、国として、あの時代は全てが間違いだったという、こういうクリアカットな否定の仕方をされているのですか?」
ヴェアテルン大使
「そうです。だいたいおっしゃる通りです。ナチス体制というのは、本当に残虐な犯罪を行い、それについてはそもそも議論の余地がないということです。まともに考える人間であれば、誰でも戦争が終わった時点で少なくともその時点で過ちだと認めます。戦後もナチスの残党はいましたし、現在ではネオナチというものもありますが、本当に、それは国民のほんの僅かな部分に過ぎず、誰も真剣にその議論に参加する、あるいはナチスに加担するような意見を持っていません」
反町キャスター
「全てを否定するというのはなかなか難しいことで、その時代において、こういうところは評価できるものはあるというような、そういうナチスを賛美する意味ではないですよ。でも、あの時代にも我々にも誇るべきものがあったという議論は、ドイツの中にはまったくないのですか?」
ヴェアテルン大使
「中には、それでも、ヒトラーがつくってくれたおかげでアウトバーンがあるのではないか。だから、素晴らしい交通網がドイツにあるのではないかという意見はあります。でも、それは別にヒトラーが発明したものではないので、バカげています。そういう全体の犯罪にして考えれば、本当に僅かな部分なので、そういう議論はまともにはありませんでした。それから、もう1つ補足したのですが、私は戦後世代です。私の子供達も同じなのですが、我々は、個人的にその罪を背負うとか、1935年から1945年の間に起きたことに対して、個人的に私達が責任を感じるというわけではないのですが、同じようなことを繰り返さないための責任は感じるんです。同じことを繰り返さないためには、その当時の記憶をきちんと持ち続けていかなくてはいけないと考えるわけです。ですから、私は、学校でもナチス時代のことについてたくさん授業で教わりました。私も子供達と一緒に強制収容所を訪問したり、あるいはベルリンのホロコースト記念碑を訪れたり。こうしたことは私だけではなく、多くのドイツ人にとっての責任です。その責任とは記憶を持ち続けるという責任です。忘れないこと。繰り返さないことの責任です」
反町キャスター
「川崎さん、日本と違いますよね。日本はその意味で言うと、たとえば、軍部、敢えて言ってしまえば、天皇制を含めて全てが悪だというロジックで、我々は戦後責任についての議論はしていないような印象を僕は持っています。いかがですか?」
川崎議員
「それはそうでしょうね。天皇責任論というのを、我々は議論をしてきませんでした。国体として、陛下があの時に戦争をやめる。その中で、その声を聞いて戦後の歩みを始めた。だから、そういう意味では、日本の国の歩み方とドイツは違う。しかし、我々、国として、もうすぐ70年談話が出るでしょう。10年ごとに、我々がやってきた過ち、これを明確に言いながら、2度と、これは起こさないということを明確に言いながら来ているわけですから。これは積み重ねでしょうね。若い人達にも、それを理解してもらうような、もう少し、我々の努力が必要かもしれない。しかし、一方で、先ほど言ったように中国と日本が現在、政治的に一部問題があるけれど、国民レベルでの付きあいが、これだけ、経済は往復25兆円です。これほどの大きな関係は、米中に次いで大きい関係を持っている。そこを我々はしっかり、皆にうまく伝えながらやっていかなければならない。だから、箇所箇所で、皆知っているわけですよ。私の地域でも中国の方は働いているし、留学生で来られているし。それをけしからんという日本人がいますか。正直言って暖かく迎えていると思うんです。それは一部の人はいますよ、しかし、多くの中国人が一生懸命に日本で働いてくれている。留学に来ているのを暖かく迎えているのではないでしょうか。そこは、是非ご理解をいただきたいと思う」

中国台頭とアジアの今後
秋元キャスター
「直近のGDPランキングでは、米中に次いで日本が第3位。ドイツが第4位です。経済大国という意味で、貿易を見てみますと、ドイツが輸入している主な品目は、電子機器、原油、天然ガスなどです。その相手先の上位5か国は、オランダ、中国、フランス、アメリカ、イタリアと。日本は、1位のオランダとは10兆円の差がありますけれども、16位です。一方、ドイツからの輸出については、品目は、自動車、機械、化学薬品と、日本のものとちょっと重なる部分があるのかなという感じがします。相手先ですけれども、フランス、アメリカ、イギリス、中国、オランダ。日本は17位と。どちらも中国の存在がすごく目立ちます。日本とは少し縁遠いのかなという印象も感じられるわけですけれども」
反町キャスター
「ドイツと中国の関係についてフランクフルター・アルゲマイネという新聞においては、戦略的なパートナーではあるけれども、協調的な友人関係ではないという、こういう書き方を昨年の新聞で出しています。日本は安倍総理が戦略的互恵関係という、なかなか言い方が難しい言い方をしているんですけれども、経済的な結びつきがあるけれど、政治的な部分。価値観が多少違うというのは、はっきり認めていこうと。こういう主旨になると私は思っているんですけれど、そのドイツの中国に対する見方。これはいわば日本の中国に対する見方と同じような部分。経済的な部分で結びつきはあるけれども、価値観においては、違うものはあるんだよねという、お互いに認め合ったうえでのビジネス上の結びつきはお互いに得になる部分は発展をしていこうという理解だと思ってよろしいでしょうか。それとも、もっと別のものですか?」
ヴェアテルン大使
「友好関係と経済関係は別ものという側面もあるかもしれません。中国は、ドイツにとって重要な市場であります。中国は、欧州にとっても重要な市場であります。価値観の共有はまた別である可能性があります。ドイツが日本を見ると共通点が非常にたくさんあります。戦争から教訓を学んだ、現在平和国家であるということ。国際協力を強力に進める国であるという点も共通しています。日本とドイツの協力は非常に、従ってやりやすい。しかも、幅を広げやすい。中国と比べても幅が広げやすいということが言えると思います。矛盾点、違う点も確かにあります。中国とも協力をしたい。価値観を共用するパートナーとして我々は日本を見ています。その関係をさらに強化したい。多くの分野において協力を深めていきたい。中国はそれほど容易にはこのようなことは進まないと考えています」
反町キャスター
「たとえば、ドイツの中国に対する輸出の中には武器、兵器が含まれています。ご承知の通り、日本と中国というのは外交的な緊張関係を持っていまして、毎年10%防衛費が増している。10年間で防衛費が5倍になっている。この隣の国の13億人の人口を抱えている国に我々はすごく軍事的なプレッシャーも感じているわけです。その国に対して武器を売却している。ということに関して、同じ価値観を持っていながら、武器を売却する。これを我々はどのように理解をしたらいいか。説明していただけませんか?」
ヴェアテルン大使
「ドイツは中国に武器を輸出していません。EUの禁輸が有効であります。中国は憤慨しているわけでありますが。戦略的なパートナーと言いながら、軍事面では協力できないのはどういうことかと、中国側が言っているわけであります。軍事面での中国との協力はありません。中国への武器輸出はありません」
反町キャスター
「それは、軍艦に使われるディーゼルエンジンであるとか、砲身とか、そういう部分的なパーツを輸出していても、それは兵器ではないという説明は、僕らは非常に難しく感じるんですけれども、いかがですか?」
ヴェアテルン大使
「もちろん、おっしゃっているのは境界線、デュアルユースグッズというものであります。つまり、民生にも使えるし軍事用にも使うことができるという境界線上のことをおっしゃっている。それはおっしゃる通り。しかし、禁輸措置は狭い意味での、本来の意味での武器にしか適用されないわけです。我々は全力を挙げて、このような資産が中国にあって、あるいはそれ以外の国々において、民生用ではなく、軍事用に使用されることを防ぐために、全力を挙げたいと思います」
反町キャスター
「川崎さん、今の話。ドイツの中国に対する輸出の問題。貿易の関係、どのように見ていますか?」
川崎議員
「政治家というのは、たとえば、安全保障で筋を通す。一方で、経済的利益も求める。これはなかなかバランスをとらないと、それは安倍さんだってそうだけれども、当然この2つをうまくやることはメルケルさんの大きな課題でしょう。しかし、ギリギリの時にどういう判断をするのかということを、お互いが腹を決めた話しあいをしなければならない。その意味ではウクライナ問題のギリギリ。その前に、総理はソチオリンピック。その時は、ヨーロッパの方は行かれなかった。何かあったのでしょう。ロシアとはかなり険悪な雰囲気になっていた。その中で呼ばれて行った。しかし、いろいろな点があったのでしょうけれども、ギリギリの判断。これは欧米との信頼というものをきちんと、私どもは貫いたと思っているし、今回のメルケルさんが来られたことは、1つはサミット。国連を重視する人もいるけれども、絶対的に言うと、先進7か国の協調というものが、最も大事な仲になっている。まして国連の中で、まだ日本やドイツがリーダーシップを発揮できるような状況にないものだから、別の枠組みの中できちんとやりましょうと。そういう信頼関係に安倍さんはしっかり応えたと思っているんです。その代わり、大変ですよね、本当はロシアからガスをもらうと日本の状況が少し変わるかもしれない。一方、アジアの韓国、中国はそのことについては黙っておられる。そこは、私は日本に対するヨーロッパの評価、ドイツの評価。ギリギリの時の決断というのがきちんとした対応ができたのではなかろうかなと私は思っています」
反町キャスター
「アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題、この状況をどう見ていますか?」
川崎議員
「私は、韓国とのスワップ切っちゃったでしょう。切っちゃった時に、韓国がそのまま金融の社会の中では中国ゾーンに入っちゃったんだな。それは日本として失敗だと思いますよ、はっきり申し上げて。そうした一貫の流れの中で今回の動きになったと。しかし、透明性の担保というのは大きな課題だから、アメリカと日本はもうちょっと自信を持ってゆっくり見ていたらいいのではないかな。ドイツは当然透明性を強く主張されるだろうし、イギリスだって、フランスだって、それは中国がやること全部やるという形にはならんと思います、はっきり言って。ましてもうすぐサミットの中で当然、今言われたように、お互いの首脳国が話しあう、そこはお互いがどこかで歯止めを持ちながら、どこかで共通意識を持ちながら、話しあっていけばいいのではないですか」
反町キャスター
「具体的に言うと、ドイツがAIIBに参加を決めた背景としては、中国を中心としたアジアのマーケットにおける旨味を狙ったという見方ももちろん、ありますし、たとえば、もう1つ中国が勝手なことをやらないように監視のつもりで入ったのではないかという見方をする人もいます」
川崎議員
「両方ですよ。だって、先ほど、言ったでしょう、政治は常に政治家は両面抱えながらやるわけですよ。国民に経済がドンと落ちるけれど、俺の主義主張だけ通させてくれでは、それは通らないですよ」
反町キャスター
「日本もその意味で言うと、中国が新しくお金を出して50%出資で何かをつくるのであれば、それに対する旨味というのは当然そこには想定されるものですから、入ったうえで監視するという選択肢もあっていいのではないかという話になりますか?」
川崎議員
「それは、数か月前にその議論をして結論を出したのでしょうから、バタバタしないことだよ、ここでは。日米でキチッと話しあいしながら、日米の思っていることをドイツやイギリスにしっかり伝えながらやっていったらいいじゃない、これから。透明性が担保されるならば、協力していけばいいのだろうし、透明性が担保されないまま入っていたら、今度は批判の方がきつくなりますよ」
反町キャスター
「ドイツがこのAIIBに参加するというのは両方、旨味と監視をしなくてはいけないという義務感、両方で入っているということでよろしいのですか?」
ヴェアテルン大使
「そうです。おっしゃっていることはあながち外れではないと思います。外交官として私が重要視しているのはあらゆるパートナーとなるべく密な会話を積み重ねるということ。様々なフォーラムとか、プラットフォームを用いてとにかく会話をするということです。中国との対話は本当に重要です。ドイツと中国、ヨーロッパと中国、もちろん、日本と中国での対話も同じように重要です。アジアインフラ投資銀行も1つのフォーラムとしての可能性を持っています。もちろん、私は、外交官ですから、中国を監視したいとは申し上げませんけれども、この銀行の一部となることによって決定に影響権を持つ、あるいは規定に何らかの影響力を持つ。そこに日本が参加していなかったら、日本の分も含めて何かしらの影響力を持つということが考えられます」

安保理改革と日独連携
秋元キャスター
「安倍首相は『国連創設70周年を迎えるこの歴史的好機に安全保障理事会を21世紀にふさわしい姿に改革するため、日本とドイツがG4(日本、ドイツ、インド、ブラジル)として協力し、改革の前進を確認したことは大きな成果であったと思います』と発言していますが」
ヴェアテルン大使
「安倍総理のこの分析は、我々はまったく同感です。国連は戦後創立されたわけであります。その時の状況は、現在の状況とはまったく違います。創立70年が経って、安保理は国連の中で1番重要な機関なわけでありますけれど、その構成がまったく現実を反映していない状況です。たとえば、アフリカは1つも入っていない。南米も1つも入っていない。それのみではなく、5つの常任理事国は戦勝国ばかりであります。現在の現実にまったく即していないという分析であります。従って、独日あわせて安保理の改革を推し進めるべきであると考えます。ただ、その際、常任理事国になりたいということではない。ドイツもしくは日本が、より大きな国際的な責任を担う用意があるというメッセージです。その責任を果たすために常任理事国になることが適切ではないかというアプローチです」

日独の連携と今後の課題
秋元キャスター
「ユーロ圏諸国の政府債務残高(対GDP比)は厳しくなっています」
反町キャスター
「ドイツの財政規律に対する飛びぬけた厳しさ、その理由は何かあるのですか?」
ヴェアテルン大使
「私達は最後の状況というのが全てを覆い尽くすような状況になってはいけないと確信しているからです。日本と同じようにドイツも少子高齢化という問題を抱えています。若い人の数がどんどん減っていく。つまり、大きな借金を後の世代に背負わせることになる。次の世代、次の次の世代、どんどん数は減っていく。次の世代に負担を強いるということは避けたいと思うわけです。それは経済の空気にも当然反映されます。将来に対する見通しですとか、展望にはっきりと表れるわけです。ドイツでは財政の健全化とあわせて構造改革を進めることで、健全化したわけですけれども、おそらくそれがドイツの成功の秘訣だったというわけです」

アジアの日本と欧州のドイツ あるべき連携の姿は?
反町キャスター
「ドイツも企業のほとんどは中小企業ですか。働いている人の7割、8割が中小企業とか、そういう形の国なのですか?」
ヴェアテルン大使
「おっしゃる通りです。ドイツも同じです。ただ、違う点も1つあります。ドイツの中小企業はグローバル化に参加しています。そのステップをもう踏み出しています。グローバル化、国際化を世界の多くの市場において、既に進めています。日本の中小企業を見ていますと、1つの大企業のために活動している。国際経験もまだないというところもたくさんあると思います。そういう意味で、なおさら独日中小企業協力というものが重要であると思いますね。ドイツの中小企業は国際経験、グローバル化経験を持っています。そういうノウハウを提携などに持ち込むことができるわけであります。日本はそういうノウハウを活用することができると思いますし、独日の経験をインドネシア、中国においてすら、協力することが有望だと思います」
反町キャスター
「日独の中小企業の違いを感じる部分はありますか?」
川崎議員
「これは昨年、我々国会議員の若手が3つぐらいに分かれて行ったかな。日本とドイツの差は中小企業の力の格差。要するに、利益率が違う。結局付加価値の高いものをドイツの中小企業はつくっていると。日本は大企業の下請けでつくっていて、利益率が極めて低い。もっと言えば、大企業に動かされて、採算性の悪い部分をやらされていると。ドイツは先ほどのように採算性の高い部分をやっている。何だろうかということになると、これはこれから石破さんの地域興しで議論するんだけれど、まず州が中心になるでしょう。そこに工科大学がある。そこへ商工会議所が人材育成から何から全部関わりあいながら、グループでやっている。日本は国立大学でしょう、地方にある大学は。なかなか我が地域の中小企業と一緒になってやっていこうと、そういう感じにはなっていない。もっと言うと、文科省の傘下にあるものだから地域との一体感がまったくないです。そこはドイツと比べ大きく遅れたところで、人材育成の面も含めましてドイツをもう1度見習わなければならないなというのが、モノづくりにおいては我々自民党の代議士に共通した概念です。付加価値の高いものを中小企業につくらせなければいけない。間違いなく負けています」

ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン 駐日ドイツ連邦共和国大使の提言:『世界は日本を、そしてドイツと日本の連携を必要としている』
ヴェアテルン大使
「今日の議論でもわかったように、日本は政治的にも、経済的にも大変重要なファクターであり、今日は文化の話は出ませんでしたが、文化的にも世界において重要なファクターなのです。ですから、私は、日本はもっと声をあげ、積極的に国際政治の中に進んでいくべきだと思います。独日の連携は、お互いにサポートしあう、支援しあうという意味で非常に重要です」

川崎二郎 日独友好議員連盟会長の提言:『信頼』
川崎議員
「私がドイツに行ったのは現在から49年前。18歳の時でしたね。以来、ドイツとの友好関係。親父から二代やっているんですけれど、ドイツと日本の信頼、話していてお互いに騙すことはないねと。お互いにストレートにものを言えるという信頼。と言うのは、これからは米中の時代になるのでしょう。米ソの対立時代から米中。これは対立したり、手を握ったりしながらやっていく中で、アジアの意見をまとめられる日本とヨーロッパの意見をまとめられるドイツ。これをバランス感覚持ってやっていかなければいけないのだろうと思う。そのためには日本が1番大事なのはアジアの信頼だね。ドイツの方は、そこは一歩リードしている。多少、先ほどの話ギリシヤ問題でぎくしゃくしている面もあるけれども、信頼が高い。日本もはやく、アジアの中の信頼を高めて、米中に対して、日本とドイツがしっかり信頼関係の絆の中でモノが言える社会にしていったら、世界は前に向いて良い方向へ進めるのだと思います」