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2015年3月31日(火)
“カジノ法案”の行方 ギャンブル依存症対策

ゲスト

岩屋毅
国際観光産業振興議員連盟幹事長 自由民主党衆議院議員
木曽崇
国際カジノ研究所所長
田中紀子
ギャンブル依存症問題を考える会代表

IR推進法案再提出へ… カジノ導入の影響と対策
秋元キャスター
「IR(統合型リゾート)推進法案の基本理念ですが、特定複合観光施設区域の整備の推進は地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする、というものですけれど、そのIR推進法案を受けまして、地方自治体では、大阪府と大阪市、それから、長崎県佐世保市、北海道では釧路市、苫小牧、小樽、留寿都村などが名乗りをあげています。千葉では民間団体が幕張、成田に誘致しようと名乗りをあげています。岩屋さん、なぜこれまで日本にはカジノがなかったのでしょうか?」
岩屋議員
「いわゆるゲーミングの中で言うと、これまで日本が法律で認めてきた、競馬とか、競輪とか、競艇とかいう、公営ギャンブルとはちょっとタイプが違うわけですね。と言うのは、カジノというゲーミングは施行者がお客さんと直接向き合うゲームの当事者になるというような仕組みなので、これは公的主体に担わせるというのは、適切ではないと我々は判断をしているわけです。また、これまでもそういう判断をしてきたと思いますので、従って、これを今回、厳格な審査の下でライセンスを与える民間企業に担わせようという構想になったわけです。だから、これまでは日本は刑法で全部、賭博は、宝くじも含めて禁止していたんだけれども、特別立法で穴を開けて、刑法の違法性の阻却をして、公的主体のみに、その賭博を認めてきたわけです。この仕組みにはちょっとカジノというゲーミングは当てはまらないのではないかと。それがこれまで日本でカジノというものが認められなかった理由だったと思います」
反町キャスター
「もしかしたら、ブラックジャックだったら、カードを配る人が公務員であたるみたいな、こんな認識ですか。そんなことはないですよね?」
岩屋議員
「いや、公的主体に担わせるというとそういうことになるわけです。そうすると、瞬間的には施行をする側もリスクを負うわけですね。ただ、対数の法則と言いますか、数限りなく繰り返していくと、確率値の中に納まっていきますし、ハウスフィーみたいなものももちろん、とっていますから、それは損はしないようにはできているんですけれど、瞬間的にはゲームの当事者ですから、リスクを背負わざるを得ないと。そういうタイプのゲーミングだと。だから、なかなか公的主体に担わせるというような立法ができなかったということだと思います」
反町キャスター
「木曽さん、どうですか?公営か民営かという話」
木曽氏
「私は、ちょっと違うスタンスで、研究者として言うんですけれど、実は現在の公営賭博の中にも、赤字になっているような競技場があるのは、皆さんご存知の通りですよね」
反町キャスター
「地方競馬みたいな?」
木曽氏
「ええ。たくさん潰れたりするわけです。それを現在民間にリスクを負担させることによって、同時にそれを営業させる、リスクを享受させることプラス、その営業上の利益の一部をいただく、運営受託という形で契約を結び、リスクヘッジをするということは現在の公営賭博の世界でやっているわけです。なので、先ほどの岩屋先生が言っていたような、単純に賭博の結果、赤字が出るかもしれないというのは、実は現在の公営競技の経営においても、赤が出る可能性がある。そして、それを民間がヘッジするということは、既にやっていて、そのスキームでも、私はワークすると思っています」
反町キャスター
「そうすると、岩屋さんの理屈上の、その結果としての公営はダメなので、民間でなくてはいけないんだという、カジノにおいてはね。必ずしもそうは思わない?逆にどっちがいいと思いますか?」
木曽氏
「私は、実は現行の法制を考え、前提に考えるのだったら、1番スムーズにいくのは、現在の公設民営ですね。公が主体になりながら、民に運営受託、もしくは開発を受託させるというような形の方がスムーズだと思っています」

日本における経済効果は
秋元キャスター
「木曽さんは日本にIRができたら、どれぐらいの経済効果があると見込まれますか?」
木曽氏
「いろんなところがいろんな調査をしていて、実は結構幅があるのですが、弊社でやっているという前提で申し上げると、だいたいいわゆるカジノの売上げ、ギャンブルの売上げ、これだけでだいたい国内3か所を前提にして推計すると、国内消費、海外から来るお客さんの消費含めて、1兆円ぐらいプラス、それにあわせ、それに纏わる観光消費が一緒に発生すると。これが、必ずしもIRの中だけではなく、その外。たとえば、交通機関を使ったり、もしくは外でモノを買ったり、飯を食べたりという話です。それも含めると、観光消費がだいたい、それにほぼイコールで1兆円。2兆円というのが、私の見立てです」
反町キャスター
「2兆円はすごく大きな金額ですよね。正直言うと、モノを輸出して2兆円はすごく大変なことで、その意味で言うと、箱を設けて、そこでいろんなことを楽しむことができますということでの2兆円というのは、国によってうまくいっていないところもあるではないですか。本当に2兆円というのはカウントできるものなのかどうかは?」
木曽氏
「一応、国内のアンケート、もしくは海外の統計を組みあわせて、モデルのようなものをつくって推計をしている状況です。特に、申し上げるならば、実は我々日本も存在している極東アジア圏は、まだあまりカジノが普及していない地域です。たとえば、シンガポール、もしくはマカオ。こういった国々というのは、実はアジア圏の中でも東南アジアに所属するんです。一方で、台湾以北で、カジノをまともに持っている国というのは現在韓国しかありません。韓国も大部分が外国人専用で、すごく小さな施設で、1つだけ国民が認められる、いわゆる統合型リゾートというものが存在している。実はこの地域は需要はあるんだけれども、供給がなされていない地域です。なので、実はこの地域の中で、誰が1番になるかというのを、現在ちょうど争っている状況でしょうか」
反町キャスター
「統合型リゾート、IRは、シンガポールの例で言うと、こういうことになっています。カジノ、ホテル、ショッピングモール、博物館、シアター。アジア最大の国際会議場。ビジネスも宿泊も買い物もギャンブルも全部できますよ。ショービジネスもやっていますよと。年間3850億円ということですけれども、このシンガポールの成功を、そのまま日本に持ってくる。要するに、共通の基盤というのは日本にもあると感じますか?」
木曽氏
「共通というよりは、日本の優位性というのは、国内の需要がシンガポールよりも格段に大きいこと。もう1つは、先ほど申し上げたように周辺に競合国が少ない、極東アジア圏は。シンガポールの場合は、隣のマレーシアにも大きなカジノがあったりしますので、お互いに食いあっているんですが、日本の市場状況ではシンガポールよりもむしろ好意的に見て構わないと思います」
秋元キャスター
「どの国の人がメインに来ることになりそうですか?」
木曽氏
「メインになるのは、極東アジア圏、メインは韓国と中国の北東部ですね。このあたりからが中心になるのではなかろうかなと思っています」

東京五輪2020年を目指す
秋元キャスター
「このIRをつくる時期ですけれども、現在、IR議連では2020年の東京オリンピック、パラリンピックを目指しているということですが、間にあいそうですか?」
木曽氏
「また、私の実務家目線で言うと、結構厳しいのかなというのが正直な感想です。まだ、現在法案も提出されていない、推進法案というのは、これから先、1年後に実施法をつくりますというためだけのスケジュールを決める法案です。なので、これが通ったからといって、まだ合法化ではないんです。このあともう1本の法案を待たなければいけない。そこから地域を選んで、どこでやるかを選び、事業者を選び、実際の建設が始まった時に、オリンピックまでに間にあうかというと、おそらく難しいというのが正直なところです」
反町キャスター
「岩屋さんは、オリンピックまでに間にあわせるつもりでいますか?」
岩屋議員
「2020年というのはいろんな意味で、我が国のターゲットイヤーになっていると思います。2020年のオリンピック、パラリンピックの時は当然、観光客も瞬間最大風速が吹くと思うんです。だけど、問題はそのあと。ですから、恒常的に日本に来ていただくためには、せっかく2020年、世界中からたくさんの人が来る時に、新たな観光のツールというか、資源というものができているということが望ましいと我々は思っています。ただ、スケジュール的には木曽さんがおっしゃるように、どんどんタイトになっているのですが、是非そこを最後まで目指していきたいと思っています」
秋元キャスター
「これは間にあわせた方が経済効果は高いのでしょうか?」
木曽氏
「これは岩屋先生がおっしゃったことが完全に真実で、実は1番経済振興が必要なのはオリンピック後の話です。オリンピックまでというのは、国内様々なインフラ開発の投資というのは、実は全部そこを目指してやっているわけです。一方で、そのために、かなりいろんなものが前倒しになっているわけで、2020年以降の、様々なインフラ投資というのは枯渇してくる。確実に枯渇します。プラスオリンピックで投じられた、いわゆる大きな投資をした施設ですね。これをまわさなければ、投資の回収ができません。とするなら、そこに何かしらの経済振興策、特に、観光に関連するものをぶつけていかないと、その先が厳しくなるだろうと思っています」

カジノ施設… 民設民営の是非
秋元キャスター
「カジノ導入によりどのような影響があるのかというのを見ていきたいと思うんですけれど、まず現行の刑法を見ていきたいと思います。刑法185条ですけれども、賭博をした者は50万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供するモノを賭けたにとどまる時はこの限りではない。刑法186条、常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処すると、このように、賭博を行うこと、開くことは禁じられています。競馬や競輪などはあくまで公営なので、社会への害悪が管理されているので、合法というふうにされているんですけれども、今回は民間が運営ということですが、岩屋さん、その整合性というのはどのようになるのでしょうか?」
岩屋議員
「刑法は現在もお話があったように賭博を開くこと、することも禁止しているし、実は、富くじ、宝くじの類も全部禁止しているんです。それを、特別立法を行って、その違法性を阻却しながら、我が国は、競輪も競馬も競艇も宝くじも、つい最近はTOTOというのも認めてきているわけです。なぜその刑法に穴を開けることができたかというと、まさに、公益に資するという仕組みであれば、特別に違法性を阻却しましょうということで、ギャンブル法制ができているので、今回我々が考えているのも、まさに、民設民営ではあるんだけれども、厳格な審査の下に、ライセンスを得たところがそれを運営し、そこから上がる収益が公益のために還元されるという仕組みであれば、これは違法性の阻却はできると考えて、その立法を目指しているわけです」
反町キャスター
「公益性とおっしゃいますと、たとえば、競馬とかだと、馬券の収益のうち、まず固定で10%国庫納付金があって、その他、諸々いくと2割とかが国庫に入っていくようになりますね。今回のカジノを民営でもしいくとすれば、民営のカジノにおける収益のうちの何割ぐらいを国庫に納付させるのですか?」
岩屋議員
「税率をどう設定するかということの話なので、これから、この法律が通れば、政府に推進本部をつくって民間事業者の投資を呼び込まなくてはいけないので、果たして、どのぐらいの税率が適正かということは、よくよく検討をしたうえで決めていかなければいけないと思うのですが、だから、お話があったように競馬は畜産振興です。競艇は当然船舶振興です。それから、競輪は自転車振興です。機械振興というのか、そういう公益のために収益を使うということで認められてきたわけですからカジノの収益もIRをつくった地域だけではなくて、全国に遍く、公益に資するための仕組みを、我々はきちんと政府においてつくってもらわなければいけないと思っています」
秋元キャスター
「木曽さんはかつてパチンコ業界に勤めていたということですが、いわゆるギャンブル業界という、民設民営カジノが認められることについてはどのように見ているのでしょう?」
木曽氏
「パチンコ業界ですね。現在、既にパチンコの換金の法制化を目指している議員連盟が別に立ち上がっていて、ある意味、このIR推進法案の検討と並行に、そういう法案が出てきている状況で、難しいのは、いわゆるカジノ業界、これからできる未来のカジノ業界だけでの、いわゆる部分最適化というのは必ずしも全体の整合性がとれないというのがたぶん1番難しいところで、先ほど、公益性ということを岩屋先生が非常に強調されて、その通りです。ただし、現在の公営賭博が合法とされている論理の中には、公益性だけではなくて、公たる主体が、公たる管理をもって、その収益は公たるものに使うのだという、いくつかの要件が複合的にあって、合法とされているんです。だけど、実際はないです。では、公益性だけ認められれば、民間賭博が認められるのかという論理になると、他業界も同じ論理を追求し始めているのが、先ほど申し上げた通りで、パチンコ業界であれば、換金がなぜ法制化できないのかというのは当然、言いかねないし」
反町キャスター
「パチンコ業界は、それに対して、たとえば、売上げの何%かを国庫に納付する、いわゆる税金とは別にです。そういう公益の責任を負う用意はあるのですか?」
木曽氏
「一定のこと、そういうことを主張している人もいます。一定の比率を納める」
反町キャスター
「対価なくして権利だけを求めるのは、それはむちゃですよ」
木曽氏
「それはむちゃですね」
反町キャスター
「認めてくれって、これまでずっとそういう意味で言うと、直接の換金というものがあるような、ないような曖昧なところでパチンコ業界は生きてきたわけですから、それをいわば表業界にするのであれば、それに対する対価を払うという議論は成立しますよね?」
木曽氏
「おっしゃる通りです」
反町キャスター
「それは、業界の人達はちゃんとわかっている?」
木曽氏
「そうですね」
反町キャスター
「それを支えようとしている政治家がいる?」
木曽氏
「そういう議連が立ち上がっているのは事実です」
反町キャスター
「それは、IR議連と重なる部分が多いのですか?」
木曽氏
「いや、まったく別ものです。議員さんの中では、当然、両方に入っている方もいます」
反町キャスター
「一方、競馬とか、そういうところにしてみたら、公設民営の競馬とか、自転車とかあるではないですか。そういう人から見てみれば、民営のカジノというものが、これだけ脚光を浴びて、あたかも日本経済の救世主の如く扱われることに対しては、競馬とか、競輪とか、既にある公営ギャンブルの人達はどういう思いで見ているのですか?」
木曽氏
「同じような議論がどうしても起こるんです。先ほど申し上げた通り、実は既に、民がその運営、投資にかかわるスキームにはなってきているわけです。なぜこうなったかと言うと、もともとは、かなり昔ですけれども、民営化を検討した時代があったんです。彼らとしても既存の公営競技場というのは赤字になっているものがあるわけです。現在、自治体が赤字を全部負わなければならないスキームになっているので、できることならば、切り離して民間に全部預けたいという人もたくさんいるわけです、実は。だとするならば、同じようになります。公益性さえ担保できるのであれば、民がギャンブルをしてもいいのであれば、ひょっとすると現在の公営競技場だって、民営であっても構わないですよねという話。重要なのは、法と制度というのは必ず横につながっている、連動しているんです。部分最適化を求めたとしてもなかなか整合性がとれないところがあって、そこのところをきちんと論議をしたうえでスキームをつくっていかないと、あとがひっちゃかめっちゃかになるかなと思っています」
岩屋議員
「民間業者に賭博をやらせるために、徹底的に極めて厳格な基準の適格性審査というものを施さなければいけないわけです。それをクリアしたところに限ってライセンスを付与するという仕組みにするわけですから、だから、民間事業者が、たとえば、現在、パチンコをやっている方々が民間事業者として正規の賭博ができることになるのかどうか。もう少し、民間事業者にやらせるとするならば、同様に極めて厳格な世界の水準の中でも最高レベルの適格性審査というものをクリアしていかなければいけない。そういう仕組みにしなければ、整合性はとれないということだと私は思いますよ。だから、我々が認めていこうとしているものが、すぐさま他の事業に影響を及ぼして、波及していくということはあり得ないことだと思っています」

カジノと公営競技の共存は
秋元キャスター
「現在、日本にある公営競技、遊技ですけれど、中央競馬は農水省です。地方競馬も農水省になります。競輪は経産省。それから、競艇は国交省。パチンコ・パチスロは警察庁になります。宝くじは総務省。カジノは内閣府というふうになりますか?」
岩屋議員
「そうなると思いますね。関係する省庁もすごく多いですから」

利権の温床と天下り
反町キャスター
「それぞれが皆、役所で紐付きになっているのが、ちょっと気になるんですけれども、その役所と紐付きになっているということは、つまり、はっきり言って、それぞれの役所で、農水省もそれなりのところまでいった人が、JRAでポジションが用意されているような話を僕も聞きます。実際になっているのだと。そういう状況というものが、新たに3つできて、年間1兆円も儲けるような、観光資源も含めたら2兆円の売上げがあるようなところというのは、今度は新たな官僚の天下り先。ないしは政治家の1つの財布になるのかどうか。そのへんのところというのは厳格な審査の対象になるのですか?」
岩屋議員
「非常に良いご指摘だと思うんです。我々も、そういう問題意識を強く持っていまして、これまでは監督官庁が監督しているだけだったわけです。そういう監督の仕方ではとてもではないが、我が国でカジノを認めるわけにはいかないと、我々は思っているわけで、従って、内閣府の外局に極めて強い権限を持ったカジノ管理委員会というものをつくって、そこが事業主体はもちろん、出入りする業者、機械を入れる業界、ディーラー、従業員、全てを審査し、すべからく免許を得なければ関わることができないという仕組みにすべきだということを考えたわけです。しかも、内閣府の外局につくるわけですから、特定省庁のぶら下がりの、間違っても利権になるようなことは、絶対にしてはいけないという決心で、今回この構想をつくっているわけです」
反町キャスター
「外局でつくるといっても、たとえば、僕が外国資本や技術を持って、カジノを経営するとします。それでカジノ経営委員会というのが内閣府の外局にできます。それでどういうふうにしようと、たとえば、毎年、免許の更新だとか、何だとかを考えたならば、それは定年を迎えた人をカジノ委員会の人から、間に、民間、1つか2つ噛ませてもらう、天下りで受け入れてお願いしますよというのが普通のビジネスだと思うんです。そこはどう感じますか?」
木曽氏
「内閣府の外局というとちょうど似たようなスキームにあるのが、国家公安委員会の下にあるパチンコ産業です。そこでそういったスキームがなくなっているかというと、どうだろうというのは、私にはちょっとわからないというのが正直なところです。どこにつくるかということが重要だとは私は思いません。むしろ厳格な審査をきちんとしていくこと。公正な選定をすること。そちらの方が重要であって、スキームそのもので不正が防げるとか、癒着がなくなるとか、たぶんそういう種類のものではないのかなと私は思っています」

ギャンブル依存症の実態
秋元キャスター
「厚生労働省の研究班は、昨年8月に日本でギャンブル依存症の疑いがある人がおよそ536万人いることを発表しました。どういう状況でギャンブル依存症になってしまうのでしょうか?」
田中氏
「私も自分自身でやめられなくなるなんてこれっぽっちも思ってなくて、始めた時は本当にレジャー感覚で当時付きあっていた彼に連れられて、ということから始まったんですけれども」
反町キャスター
「何から始めたのですか?」
田中氏
「競艇です」
反町キャスター
「デートで競艇に行こうよと」
田中氏
「そこから競艇とカジノにハマっていったのですが、私の現在の主人となったんですけれども、私も主人もサラリーマンとしては普通に勤務もできますし、学校もきちんと卒業することもできたし、自分自身、そんなにギャンブルを、身を滅ぼすほどやってはいけないということは当然頭の中で理解していたので、まさかやめられなくなるなんて思ってもいませんでした。ギャンブル依存症にどこのタイミングで罹患したかはわからないのですが、本当に1日中ギャンブルのことしか考えられなくなっていって、どんどんお金もなくなっていって、借金だらけになっていってとなった時に、今度はどのお金を持ってこようとか、あのお金がまだ少しあるから今日何とか行けるかなとか、そういうことしか考えられなくなっていって、自分の力ではやめられなくなっていきました」
秋元キャスター
「周りには止める人はいなかったのですか?身近には」
田中氏
「周りは皆、ギャンブル好きだったので、一緒になってはまっていったというのもありますし、パートナーが一緒にギャンブルしていたので、止められなかったですね」
秋元キャスター
「その状況は楽しくないですよね?」
田中氏
「そうですね、苦しいんですけれども、この刺激から逃れられない。もう1つはすごく借金が大きくなってしまったので、借金を返すまで止められないという強迫観念がありました」
反町キャスター
「ギャンブルで返そうと思っている?」
田中氏
「そうです。そこがギャンブル依存症の人間と普通の健康な人との(違いの)1つのポイントにもなっている。ギャンブルの負けをギャンブルで取り戻そうと思うんですね」
反町キャスター
「金額を聞いていいですか?借金はいくらになったのですか?」
田中氏
「借金だけでしたら、夫と私、1000万円ずつぐらいあったと思いましたけれど、借金以外、給料を全部突っ込んでしまったりしていますし、2人あわせたら5000万ぐらい使ったと思います」
反町キャスター
「返しきったのですか?」
田中氏
「実は返しきったのは昨年なのですが、20年前に発症して、全ての借金を終えたのは昨年、きれいにしたという状況ですね」
秋元キャスター
「どうやって、その依存症の状況から抜け出せたのですか?」
田中氏
「まずお医者さんにギャンブル依存症ですと診断を受けて、それが11年前だったんです。そういう病気があったんだということがわかって、ギャンブル依存症とか、その家族の人達が集まる自助グループというのがあり、そこに集まって、グループセラピーという形で同じ問題を持った人達が集まって気持ちを分かちあうというようなことをやっているんですけれども、そういったことから本人と家族のプログラムにつながって回復していきました」
岩屋議員
「田中さんのお話を聞いていてつくづく思うんですけれども、我が国は法律でいくつかの公営ギャンブルを認めてきたと。現在、場外券売場も含めると247カ所の公営ギャンブル場を認めてきているわけですね。パチンコ店が1万2000軒ある。宝くじ売場は1万5000軒ある。それぞれ病的依存というものは、たとえ、クジであっても発生している人はいると思いますが、そういうものをきちんと調査し、あるいは抑止する、防止する、治療を含めた対策をとるということをやってこなかった。これは非常に国の不作為として、責められるべきことだと思っていまして、我々はIRを生み出すことをきっかけに是非、予算の体制もギャンブル依存症の抑止のための教育、それから防止のための対策、残念ながら、そうなってしまった人の調査、治療、こういうものを一貫してできるような機関を立ち上げるべきだと思っています」
田中氏
「私達もこれまで黙っていたわけではなく、これまでにもギャンブル依存症対策をお願いしますというのをお願いしてきました。でも、無視されて、社会のエアポケットに落ち込んだようになっているわけですね。ある意味、IRのおかげで初めて依存症ということが顕在化してきたわけで、これまでは、なった人が悪い、臭いものには蓋という状況だったものが、初めて議論のテーブルに乗ったわけですから、カジノを抜きにして、対策を進めていただけるということは現実的に難しいのではないかということは長い間の経験で思っています」

ギャンブル依存症の対策
秋元キャスター
「IR議連ではギャンブル依存症対策についてどういう見解なのですか?」
岩屋議員
「我々は、外国人旅客以外のものを、要は日本人ですよね。日本にずっと住んでいる外国人も日本人扱いにするということになると思いますが、その方々に対しては一定の入場の管理政策を儲けるべきだという考え方を当初からまとめていますし、今回、基本法の推進法の中にもそういう主旨の新たな項目を折り込んだものを国会に提出するようにしています。具体的にはいろんな方法があると思うんです。カジノとゲーム遊技場だけは入口で完璧にIDチェックするようになりますし、青少年が入る余地はありません。それから、シンガポールは1回8000円ぐらいの入場料をシンガポール人からとっているわけですが、入場料をとるというのも1つの方法だと思う。あるいは信用貸しの禁止、カジノに関する広告の禁止、それと、自己申告による排除プログラム。家族の申告による排除プログラム。規制当局の強制排除プログラムみたいなものをいろいろと組みあわせて考えていけば、十分に抑止効果をあげられると思っています」
反町キャスター
「観光を含めて2兆円、カジノだけで1兆円という利益が、国民が使うお金であったら、国内でまわしているだけではないですか。海外から来た人がそこでお金を使うことによって、日本の収支にも貢献する。依存症による国内の人の痛みを軽減するためには、外国人だけに(利用を)絞るという判断はないのですか?」
岩屋議員
「外国人だけというのは、たとえば、韓国がそうですが、ホテルのワンフロアにあるという規模のものにならざるを得ないように様々なエンタテインメントというものが統合された施設にはなり得ないというのが1つあります。日本人の入場を規制しようと、立法しようとすると、一種の内国人差別になって、憲法上の問題が生じる、立法上の問題もあるということですね。せっかくですから日本人ももちろん、行くことができる。当然、世界中からたくさんの人が来ていただくのが望ましいと思っているんですけれども」
秋元キャスター
「どういう対策が望まれますか?」
田中氏
「海外で行われている対策で1番力を入れているのは、予防ですね。ギャンブル依存症というのは発症してしまうと、回復に非常に長い時間と努力、その間に失うものも大きいですから、予防教育と制限ということには力を入れていただきたいと思うんです。カジノをきちんと取り締まるということはあるのですが、パチンコは年齢確認もしなくて、競馬も高校生のデートコースなんかになっている、地方競馬は。そういうことが私どものアンケートにも出ていて、実はギャンブル依存症163人にアンケート調査をしたところ、初めてギャンブルをしたのが12歳未満という方が7名、12歳~14歳という方が9名、15歳~17歳が49名。18歳以下で既に163人中65名の方がギャンブルをやった経験があるんですね。18歳~20歳までの間に73名、ほとんどの人達が20歳未満の時にギャンブルを経験している。ですから、カジノだけを一生懸命取り締まったとしても現状のギャンブル依存症対策には何の効果もないかなと思っていて、IRと同時に、既存ギャンブルに対しても見直していただきたいと思っています。年齢制限に対してもパチンコは18歳未満は禁止ですけれども、18歳以上でしたらOKということで、高校3年生だったらOKです。競馬も20歳以上でしたら大学生でもOKということになっているのですが、若い年齢でギャンブル依存症を発症してしまうと、高校中退、大学中退といったように、失うものも大きいですね、その後の人生に。リカバーしていくのにも大変な力が必要なので、学生は既存のギャンブルからもきちんと排除する。年齢制限を確認する。たとえば、たばこのタスポのような制度を各ギャンブル場にも導入するというようなことを早急にしていただきたい。それと、お金の問題ですよね。治療にはお金がかかります。現在治療費ということで民間の治療施設とか、回復施設といったものに入寮するしかないのですが、そうすると、16万円から高いところになると、月に20万円、50万円といった費用がかかるんですね。それで回復していくのに1年、2年という時間がかかるので、家族は1200万円の尻拭いをする、平均ですね。そのうえ、治療費ということになりますと、本当にご自分達の老後の資金もなくなるというように、泣きついてこられる方達がたくさんいる。そういった資金援助がないということで、ギャンブル依存症対策をして、これまでのギャンブルも含めて依存症対策費を拠出していただきたいと思っているんです。ギャンブル依存症というのは、WHOでも認められた病気ではあるけど、それを税金から出してくださいということになりますと、国民のコンセンサスが得られないのではないかなと思っているんです。娯楽によってなる病気ですので、ギャンブルの運営側、既存のギャンブルを含めた運営側から対策費を拠出していただくのが世界的な流れから見ても、皆さんの合意を得られる方法かと思っています」
反町キャスター
「今後の見通しはどうですか?」
岩屋議員
「先ほど、言ったようなものも全部含めた機関をつくるべきだと我々は思っています。その運営費用というのは、IRから十分に捻出することが可能だと思っています、他のものに頼らなくてもですね」
反町キャスター
「パチンコ業界では依存症に対する基金を拠出する用意はあるのですか?」
木曽氏
「既に、一定の取り組みはスタートしていて、まさに、田中さんがおっしゃったことは非常に皮肉なのですが、IR推進法案の中で依存症のことがクローズアップされるに従って、パチンコ業界のみならず公営競技も含めて、彼らは彼らで、あれ、ヤバいな、というところが当然ながら出てくるわけです。彼ら自身の方からアクションは既に行われているのが事実です。もう1つは、五百数十万人という依存症のリスクのある人というのは、現在はこの世の中にないカジノではなくて、既存にあるものからなので、カジノをどれだけ規制しても意味がない、そこに対しては。とするならば、入場の管理云々という話がありましたが、これをカジノにやるのならば、同じように既存のものにも実はやらないと、少なくとも現在の約540万人へのヘルプにはなりません。まずこの前提からスタートしなければいけなくて、基本的に全部同じです。カジノだけの話をしてもしょうがない。原則的に横でつながっている話なので、原則論に立ち戻って、まず包括的にスキームをきちんと考えていきましょうよと。そこからスタートしないと、カジノだけの各論だけにしちゃうと、ちょっと間違った方向にいくのではないかと思っています」

岩屋毅 国際観光産業振興議員連盟幹事長の提言:『メリットの最大化とデメリットの最小化 Responsible Gaming』
岩屋議員
「カジノというものに、デメリットがないなどと言うのは、私は嘘だと思っています。メリットで言うと、観光振興、経済効果が上げられますが、デメリットの最たるものは、今日田中さんから同じものを承りましたが、一部に依存症というものを発生する可能性がある方々がどうしても出てくるという話です。メリットを最大化し、いかにしてデメリットをゼロにとは言わないけれど、最小化するか。どうやって全体をコントロールできるか、コントロールできる国が私は成熟した国だ思っていますので、常にそのことを念頭に置いて、国民の皆さんのご理解をいただけるように、我々は努力していきたいと思っています」

木曽崇 国際カジノ研究所所長の提言:『出来る事からコツコツと』
木曽氏
「岩屋先生の発言の中でも度々出てきているのですが、どうもこのIRの話をすると、これは本邦初だという話があちこちに出ます、民設民営の話もそう。ギャンブル依存症の話もそうです。ただ、ある意味すごくでかい理想を掲げているのは理解しています。カジノがまず先鞭を打ち、こじ開けて、というわけではなく、実はもっとコツコツできることがあって、依存症対策も現在からできることだし、もっと言うと現在の公営賭博の中に、パチンコ産業の中に問題があるのならば、そちらの論議をすることもできるし、整合性をとりながら全体論をきちんと語っていくということをしないと。一歩一歩ステップアップしていかないといけないと思っています」

田中紀子 ギャンブル依存症問題を考える会代表の提言:『ギャンブル依存症対策法案の成立』
田中氏
「現在、既にギャンブル依存症者がいるということに目を向けていただきたいということがあるのですが、先ほど木曽さんもおっしゃったように2020年を目指し、カジノができてから、対策についても始めますということではなく、たとえば、パチンコの18歳未満の入場制限をきちんとやるとか、競輪、競馬なども20歳までの人達を入れないようにキッチリやるというようなことは、岩屋先生達推進派の先生方の、たとえば、通達とか、そういったことでも開始可能なことだと思うんですね。現在ある536万人の人達がもっと減っていくように、私達の仲間は毎年必ず自殺したとか、事件で捕まってしまったという報告が届く。なので、早急にできることを始めていただきたいというのが切実な願いです」