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2015年3月16日(月)
中国全人代のシナリオ 経済成長率7%の衝撃

ゲスト

小野寺五典
元防衛大臣 自由民主党政務調査会長代理 衆議院議員
興梠一郎
神田外語大学教授
小原凡司
東京財団政策プロデューサー

中国全人代閉幕 今回注目すべきポイントは
秋元キャスター
「昨日まで開かれていました全国人民代表大会でポイントとなった政策課題からまず見ていきたいと思うのですが、GDPについては2015年のGDP、国内総生産の成長率目標は3年ぶりに引き下げ、7%前後としました。環境問題については深刻な状況が続く大気汚染の改善への決意を示しました。腐敗撲滅については汚職を厳しく追及する反腐敗路線を継続するとしています。法治については、法に基づく国家統治を強化するとしているんですけれども、まずこの4つのポイントの中で、特にどこの部分に注目すべきなのか、興梠さん、いかがでしょうか?」
興梠教授
「1本の線でつながるんですね。開発独裁。国家資本主義。かつてソ連の勢いがあった時に、アメリカを抜くのではないかという時代を、皆忘れているんですね。しかし、構造的に、いわゆる国有企業という、実は太子党と言われるプリンス達が支配する国家資本が民間資本を圧迫しているわけですよ。今回の李克強さんのインタビューの中でも、許認可制をなくしていくと。実際は、あらゆる通信とか、金融とか、衛星ビジネスとか、あらゆるところにその子弟達が、プリンス達がいるわけです、金融も含めて。そういった構造には全然メスが入っていないですし、要するに、共産党の一党支配体制というものは実は経済の一党支配体制でもあるんです。だから、2つの民主化というのをやらないと、中国は、先進国になれないと。つまり、経済の民主化というのが政治の民主化と一体化しているんです。しかし、経済、政治の民主化という言葉は1つも出てこない。政治改革をやると、途端に、いわゆる既得権益の手段となった一党支配体制が崩れるわけですから、そこは避けて話をするものだから、経済の根本的な独占体制というのは変わらないです。今回は、まったくそれを変えようという意志もない。ニューノーマルはこんなものだよと。これは、全部、従って、開発独裁体制の問題ですよね」
反町キャスター
「開発独裁体制の問題を言いながらも、解決に向けた方針では、政治の民主化を打ち出せないままにおいては、何ら解決には近づかない?」
興梠教授
「近づかない。たとえば、環境問題をとってみましても、ドキュメンタリーが流れました、インターネットで。すごいクリック回数、再生されているとなったのですが、PM2.5の批判です。記者会見の時に、李克強さんが、それを外国の記者に聞かれたんです。彼は避けたんです。石油企業2つ、名指しで…」
反町キャスター
「それはアナウンサーの人がつくったんですよね」
興梠教授
「元ね。石油企業2つ名指しで言ったんですね、外国の記者が。でも、李克強さんは、環境問題という一般のテーマにすり替えた。つまり、石油閥、いわゆる江沢民、曽慶紅、周永康という、この人達の連なる利権団体ですね。そこを名指していいはずです。でも、できなかった。そのドキュメンタリーのことも、彼は避けました。それはネット上で見られなくなった。それにはすごい力のせめぎ合いがあって、必ずしも主導権を握っているわけではないということです。今回、全体的にそういうのが見えたわけです」
小原氏
「私も個々の項目については、いろいろとお話が出ていると思うのですが、興梠さんと同じように、それは1つでつながっていることが大切だと思います。ただ、私の見方が少し違うのは、中国の共産党指導部の目標というのは、あくまで共産党の長期一党統治体制の維持であるということです。そのためには国内の安定もはからなければならない。ですから、今回はある程度の決意を持って、GDPは抑えても、構造改革はするんだということを言っていると私は思います。それと、腐敗撲滅はもちろん、これも十分ではないですが、ここで考えなければいけないのは、革命ではないです。革命というのは、完全なる富の再分配を起こすものですけれども、改革である以上は既得権益に一定程度の留保をするわけです。中国は、これは法治に関わる問題ですが、それは鄧小平の時代から進めてきた制度化に関わる問題。この制度化ももちろん、西側の言う民主化を進めるものではない。共産党の統治を制度的に行うもの。これをやろうと。人によるものではないといったことを進めてきたわけですが、これを江沢民が大きく後退させた。これは胡錦濤氏のいる時代も直すことができなかった。それを現在やろうとしている。これは人民解放軍のたたき直しについても、実は胡錦濤氏と同じスローガンを使ったりしているんですね。普通、中国の新しい指導者は新しいスローガンを使いがちなのですが、自らの独自性を出したいものですから。ただし、今回は同じスローガンを使ったことは、お前達、これまでやってこなかっただろうと軍に対して言っている。ただ、先ほど申し上げたように、全てを破壊できないです。だから、象徴的な人間を叩いて、あとは手打ちをする。これは非常に中国的なやり方だと思いますけれども、これは石油閥、先ほど、お話がありましたが、周永康氏を叩いた。でも、他の石油閥を指導的に叩くと、石油が動かなくなってしまう。これはできないわけで。これが中国の行おうとしている改革なのであって、他の幹部達には習近平主席に対する忠誠を誓わせる。これによって権力を集中する。これによって中国の言う改革を進めるということになるんだろうと思います」

腐敗撲滅キャンペーン
反町キャスター
「腐敗撲滅の話というのは、普通、僕ら日本の感覚で言うと、腐敗撲滅というと、法律があって、それに基づいて、検察やら何やらが動いて、ある意味、透明性と公平性です。話を聞いていると、中国における腐敗撲滅には透明性、公平性はない?」
小原氏
「もちろん、目的はあります」
反町キャスター
「目的はある。それはわかります。言われたみたいに、習政権に対して忠誠を誓う人間を増やすための腐敗撲滅という理解でよろしいのですか?要するに、同じボーダー上を引いていて、これに引っかかる人間は一網打尽、ないしはもっとハードルを高くして、それよりも引っかかる人間は一網打尽みたいな、そういう公平性はないのですか?」
小原氏
「公平性があるように見せようとはしています。しかし、それでも、現在叩いてはいけない人間というのはいるわけですし、現在叩かなければいけないという人間もいる。それは恣意的に決められていると思います」

GDP7%前後が意味するものは
秋元キャスター
「ここからは中国の経済について聞いていきたいと思うのですが、全人代で発表された今年のGDP、成長率目標値が7%という数字。これから検証していきたいと思います。その前に、ここ10年ほどの実質GDPの推移を見ていきたいと思うのですが、最も高い数字14.2%を示した2007年ですけれど、これは北京オリンピックの前の年でした。それ以降は下降傾向となっています。まずこういう状況の中での、今年の目標を7%としたこと。興梠さんはどう分析されますか?」
興梠教授
「データを見ると、2008年にガクッと下がって、2009年、2010年と上がっていますね。この頃、中国1人勝ちと言われていたんです。リーマンショックを乗り切ったと。この時に実はツケができてしまった。多大な債務を抱えることになっちゃったんです。いわゆる景気刺激策というのをやりました。地方が勝手にいろんな投資会社をつくって、どんどん金を借りこみ、高速鉄道だ、人の住んでいないマンションだ、空港だ、たくさんつくったわけです。それが、景気が減速している中で、資金が回収できなくなっている。そうすると、今度、銀行の不良債権というのがある程度たまってきているわけです。地方政府も債務がたまって、銀行もそういう状況で、今回の記者会見でも李克強さんが、金融リスクのことを聞かれたんです、記者に。確か新華社の記者だと思う。否定はしなかった。でも、コントロールはできますと、否定はしなかったんです。つまり、金融と財政も出動して、景気を下支えしなければいけなくなってきているんですよ。これは、中国にかつてなかった。つまり、財政出動によって、また投資をして、インフラ投資をして、どんどん盛り上げていくということでしょう。これをもう1回やると、もう1回ツケがたまるわけです。地方政府はそれを待っているわけです。またゴーサインが出るのを。やりたいんです。現在グッと抑えられていますからね。そうすると、せっかく引き締めをやって、綱紀粛正をやって、贅沢はするなとか、不動産に頼った経済はダメだとか言っていたのが、実は昨年の年末ぐらいから、ちょっと潮目が変わってきているんです。利下げもやったし、不動産もちょっと刺激しろみたいな、結局はニューモデルというか、構造改革のモデルがつくり切れていないんです。結局、もう1回、同じことをやらないと、中国経済が活性化しないという結論が出ているような感じがします」
反町キャスター
「李克強さんが会見でこんなことを言っているんです。『7%程度の経済成長率の目標は、引き下げられたように見えるが、実際この目標の実現は容易なものではない』と。自ら引き下げた目標自体も厳しいと言っている。どのように受け止めたらいいのですか?」
興梠教授
「李克強さんは帳簿をいくつか持っている。彼は前からGDPは信じない。こう言っているわけです、内輪では。李克強さんの指標というのがあるんです。要するに融資額、あと電力消費量、貨物の輸送量。彼はこの3つのインデックスしか見ていない。GDPというのは、地方の政府が業績稼ぎのために、中央政界に進出するために、勝手に水増しするわけです、統計部門で。特に全人代の前なんかそうです。きれいに数字があっちゃうのはおかしいでしょう、そもそも日本ではあり得ないから。首相が何パーセントにしろと言ったら、そうなっちゃうのは。つまり、市場経済ではないです。官僚がつくったデータに基づいた経済なので、要するに、数字が官僚を出世させ、その出世した官僚がまた数字をつくるという言葉がある。薄煕来さんなんかも重慶に行った途端に太子党仲間からお金を借りこんで、すごいインフラ投資をやって十数パーセントの成長率にしちゃったんです。そうすると、また北京の政界に戻れるじゃないですか。従ってこの人が1番よくわかっているから。地方政府がそうやって水増ししたものを上に送ってくると、ズレちゃうわけです。そうやって、彼自身が7という数字を信じていないかもしれないです」
反町キャスター
「小野寺さん、この7%というのは、現在の興梠さんのお話を聞いていると取り上げなくてもいいような気がだんだんとしちゃうんですけれど、どう見ていますか?」
小野寺議員
「もともといったいどの数字を信じたらいいかわからないのが中国ではないですか?たとえば、世銀を含めていろんな分析をしているところに中国のGDPはいったい本当はいくらなんだと聞いても実は明確なことがわからない。やはり情報が少なすぎる。いつもどうも中国政府が出すGDPにぴったりと予測数値があう。非常に不思議だと。現在、お話を聞いてなるほどと思ったのは、これはそれぞれ出世をするために、いろんな数字をあげてくる。それを合算すると、最後はちゃんときれいな形になるということだと思うんです。大切なのは7%という数字は、実は中国の1%GDPが上がると、100万人の雇用が生まれる。新卒者が700万人、800万人いるとすれば、この程度は最低なければ、失業者が新卒でもどんどん出てきてしまう。本当はもっと出ているのかもしれませんが、それを明確に外に伝えてしまう。逆に、中国国民の中にも知れ渡ってしまうと。ですから、これ以上下げるということは、逆に言えば、もう必要が大変溢れて、本当は経済が相当悪いぞということを、外に示してしまう。だけど、あまり高くもできない。そういう中で苦肉の7%という数字を今回出したのではないかと思います」

アジアインフラ投資銀行の狙い
秋元キャスター
「中国が、アジア諸国、BRICSを相手にした、アジアインフラ投資銀行、AIIB設立の動きが始まっているんです。そこにG7の1つであります、イギリスが参加を表明したことによりまして、既にあるアメリカ、日本が主導するアジア開発銀行、ADBやIMFなどに影響が出ると見られているんですけれども、興梠さん、この設立にあたっての中国の狙いというのはどこにあるのでしょうか?」
興梠教授
「これは中国がお得意のやり方で、毛沢東時代から、要するに、かまどを別に設ける。アメリカがこちらにかまどを持っているんだったら、その中ではやりません。私は勝手にかまどをこちらにつくりますからと。毛沢東の有名な言葉がある。これを見た時にそれが甦ったんですけれど。要するに、1つの軸をつくりたいんです、世界に。毛沢東は第一世界、第二世界、第三世界と分けて、アメリカに対抗するためには、第二、第三と組むと。その時はよく使われるのはイギリスとフランスです」
反町キャスター
「中国から見ると、イギリス、フランスは第一世界ではない?」
興梠教授
「アメリカと矛盾がある。EUができたのも、アメリカに覇権を奪われたというヨーロッパの忸怩たる思いがあったわけです。それで、フランスとドイツが組んだということですね。そうすると、ここに裂け目があるんです。アメリカとヨーロッパで必ず利益は、必ずしも一致していないと。中でもイギリスとフランスというのはアメリカに対して覇権を奪われたという、特にイギリスです。そういった気持ちがあったので中国は一緒にやりませんかということを、よくやるんです。ですから、これは単なる経済的な、中国主導の世界秩序をつくりたいというのが一方であるんですけれども、その駒としての、アメリカと矛盾がある国々、とりわけヨーロッパの国々を先に引き込んで、そこで今度はアメリカと中国、アメリカとイギリスの矛盾が高まります。アメリカ嫌がっているではないですか。あわよくば日本とか、韓国も入れたいんだろうけれども、アメリカが釘をさしていますね。しかし、結論から言うと、日本が入らず、アメリカが入らず、この金融機関がどれだけの規模を持つのだろうかと。そういう結論もあると思うんですけれど、とにかくそれはこういった旧来型の、毛沢東時代からずっとある戦略の1つ」
小原氏
「中国の研究者の話を聞くと、とにかくこれまでの国際金融機関というのは非効率的で不公平だと。融資をする時には緊縮財政等を強要される。しかも、これは一律に強要されるのではなく、国によって違うといったようなことも言いますけれども。ですから、こういうものを立ち上げたけれど、実際には、まだ準備ができていないと、皆口を揃えていいます。まず運用資金がない。このお金をどうするのかというのが中国国内でまだ問題になっていると聞きますし、さらに、ノウハウがない。この運用ノウハウはできれば、日本から教えてもらいたいというのは彼らの本音だと思います。ですから、そういったところにイギリスが入ってくるということは、中国にとっては非常にありがたいことだろうと思います」
秋元キャスター
「不公平とか、先ほどありましたけれども、結局、今度は中国にとっての都合の良いルールで運用されるようになるのではないのですか?」
小原氏
「中国が進める以上は自分の言いなりに進めるとは思いますが、ただ、緊縮財政を押しつけられることに対する反発はEUの中でも起こっています。ギリシャがそうですが、このギリシャと中国は非常に仲が良い。2月には、中国で海賊対処活動を行った船がヨーロッパ4か国をまわったあとにギリシャに入ったんです。ピレウス港というところですが、ここの使用権を中国は買っています。投資をしています。揚陸艦を持っていたのですが、ちょうど新年と重なったこともあって、ギリシャのチプラス首相が、中国の揚陸艦の上に行って、中国語で新年の挨拶を行った。さらに、ギリシャ、ピレウス港は中国のヨーロッパへの入口になるというようなことまで言っている。さらに、EUとの協議の中で、中国からの支援を牽制に使ったりしているようだと。さらに、ヨーロッパの中でも、鉄道建設も中国と協力をするということを言っていますから、そうすると、ただ、口だけではなくて、実際に緊縮財政を押しつけられたという国々にとっては、こうした中国の支援というのは魅力的に映るという側面もあると思います」
小野寺議員
「私も実際に経験したんですが、中国からお金を借りるとあとでどんなものをとられるかわからないという国がいくつもあって、たとえば、日本の海賊対処の基地にジプチがありますが、ジプチの港というのは、実はこの間、視察して驚いたのは、既に港自体のある部分を株式会社化して、それを中国の主導でやったのですが、その株式会社化をした中で、株の相当数は、実は中国が様々な融資をする中で取得していったということは、港自体を中国がある面では支配することができてくる。そうすると、日本が長年、そこで培ったジプチの港を日本が十分に使えなくなるかもしれない。実はこういうことだって、想定外ではないです。今回インフラ中心の銀行ができることで、これが融資をしていって、たとえば、中国では、よくシルクロードの計画があると言いますけれども、ヨーロッパ、アジアへの様々な、ちょうどインフラ整備をしたり、港の整備をしたり、そういうところにAIIBがお金を貸す中で当然、大変強い発言権を持ちます。中には焦げつくかもしれない。その時に、そこの使用権を一定の形でとる。そうすれば、しっかり自分のところの楔が1つ1つできていくと。私は今回、なぜ日本が強い警戒感を持っているかというと、通常、私どもが普段付きあっていますアジア開発銀行とか、あるいはIMFとか、一定のルールがあるわけです。透明性があるわけです。ところが、透明性がなくて、お金をじゃんじゃん貸して、インフラをつくっていいよ。焦げついたら、その時はあとで相談しましょうと。これでどんどん自国の権益をとっていくような、その先兵がそれだとすれば、私は国際的なルールに従って、これはあってはならないと、そういうことかなと懸念を持つ方も多い。ですから、是非ちゃんとしたルールの中でどういうあり方かというのを明確にしてくださいねと。これは、私達は中国側にもAIIBについても言う必要があるのではないかと思います」

中国の不動産バブルのいま
秋元キャスター
「中国の住宅販売価格、不動産開発投資の伸びですが昨年に入ってから下降の一途をたどっているわけですが、このデータから何が読みとれますか?」
興梠教授
「だいたいGDPに占める不動産の割合というのは、2割ぐらいという数字が前からあるんです。不動産開発投資のうち、7割ぐらいが住宅関連の不動産です。昨年、下降していった時期というのはリコノミクスというのがあって、あの頃シャドーバンキングというのがすごく話題になって、私はもうミルクあげませんよ、つまり、お金はあげませんよと、勝手に潰れなさいと強気に一時出たんです。それでこれでは大変だと世界中がなった。ところが、結局は支えた。その時点ではリコノミクスというのは、もう終わっていまして、不動産がどんどん落ちていくというのは、中国経済の成長エンジンが失速するということですよ。だから、昨年の年末ぐらいから、これはテコ入れしなければいけないという発言も出始めている。不動産が下がっていくことによって、実は地方政府の財政が厳しくなる。地方政府というのは土地を売り買いして、財政収入にしているんです。土地は国家のものですから、つまり、官僚機構というのか、地方政府がそれを売ることによって収入になるわけです。国民は所有権を持っていませんからね。だから、1番の地上げやデベロッパーは地方の政府ですよ。彼らがバブルを維持したい。価格が高ければ高いほど、これを資金にしてまたお金を借り込める。1番大きな問題は、たとえば、人民解放軍、徐才厚もそうですし、もうすぐ捕まっているのではないかなと思われる郭伯雄、もう1人の軍のNo.2ですね。これも実は一族が不動産に手を染めているのではないかと言われている」
反町キャスター
「李克強さんの『不動産市場の成長を保つ』はなかなか言っている通りにはできない?」
興梠教授
「李克強さんの1つの政策というのは、いわゆる日本で言えば公団住宅みたいな、安く変えたり安く借りられたりするものを本当はつくりたいわけですよ。ところが、これは経済適用住宅と言うんですけれど、いわゆる低所得者層を迎えるような住宅。地方がそういうのを結局つくりたがらないです。要するに、儲らない、安く売っても。だから、彼がそういう政策を出しても、なかなか地方の政府が乗ってこないですね。だから、理想としてはいいんですけれども、結局はまたお金を借り込んで、そのお金をどこに投資していくかというのは、本当に起業化して会社のようになってしまった地方政府、これがどう出るかということ。そこまでコントロールできるかと言うと、おそらく難しい。またゴーサインが出たぞということで一挙にワーッと不動産が…」
反町キャスター
「また不動産バブルが起きるのですか?」
興梠教授
「それは難しいのではないですか、現在からの状況から言って」
小野寺議員
「日本もそうですけれど、結局不動産を使う、そこのマンションに人が住む、それはたぶん人口が増えているところ、あるいは労働生産人口が増えていって、ちょうど働き手で買える層がたくさん保有したいと言う時に、ちょうどあうんだと思うのですが、中国は現在労働生産人口が減り始めている国になります。少子化もたぶん相当なスピードで進むんだと思います。一人っ子政策もある年齢までは大きく影響してくると思います。そうすると、これから中国の何が実態の経済を支えていくかということがよく見えない。たとえば従前はいろんな国から投資が入ったと思うのですが、既に日本自体も、中国で製造して、それを他の国に輸出するというのはビジネルモデルとしてはあわない。中国の中で消費するものは生産して、中国国内の工場でつくるのならいいけれども、そこから外に輸出するという、もともと中国が発展したビジネスモデルはもうもたない。そうすると、中国自身の需要がこれからどんどん減っていくとすれば、私はこのバブルの問題、不動産の問題は重荷になっていくのだと思います。心配なのは、そうは言っても、日本の大切なビジネスパートナーですから、いきなり中国が失速することになると、経済的に日本にも影響があります。それから、もう1つ政治的に見ると中国の経済が厳しくなって、政権に厳しい目がいくと、なぜこれだけ経済が厳しく、うまくいっていない中国なのに政治体制は変わらないんだと。その時に、政治体制は、ほら見てみろ70年前に、あの国と戦って勝ったのは俺達ではないか。だから、あの国との脅威というのは現在でもあるから、皆我慢してくれ…そういうふうに政策が変わらないかなという心配を私どもは常に見ています」

中国全人代閉幕 歴史認識問題と日中関係
秋元キャスター
「李克強さんは『(一国の指導者は)先人がつくった成果を引き継ぐだけでなく、先人の罪でもたらされた歴史認識も背負うべきだ』『(戦後70年の)今年は試練であると同時にチャンスでもある』と話しています。これは、安倍談話への牽制ということですよね?」
小原氏
「間違いなくそうだと思いますね。中国にとっては日本との関係を悪化させたくないというのが基本にあるんですね。一方で、中国から見ればですけれども、日本の政治指導者の歴史認識が現在の日中関係改善を妨げている。当面の間、日中関係の改善がないだろうという認識のもとに昨年11月の日中首脳会談を受け入れた。危ないからこそ、最悪の衝突だけは避けたい。ですから、首脳会談で具体的に話が出たのが海上連絡メカニズムですね。これは日本側からもちろん、出されたわけですが、それについてしっかり答えた。その他は関係改善のための基礎的な部分であって具体的な話はない。そういったところと、中国は社会が混乱するのが1番怖いですね。ですから、公安は人数を増やしていますし、現在市民の動きをつぶさに観察しようとしています。これは社会に反政府のベクトルが生まれないように。この反日というのは、これが1番生まれやすい、火がつきやすいので、しかも、これまでは反日だと取り締まれなかったわけですが、それもこれも同じように何人か捕まえて見せると。そうすると、大学生とか、良い仕事に就いている人はこれに参加しなくなってくる。逮捕されると自分の経歴に傷がついて仕事も失う可能性がある、良い仕事に就けなくなるということなのですが、そうではない人が実はたくさんいるわけで、こういう人達が社会の不安定化を起こすのをすごく怖がっている。ですから、この言葉一つは日本に、何とか過去の歴史認識をそのまま引き継いでくださいというお願いに近いものではないかと思いますね。ですから、ここで背負うべきだと言っているのは歴史認識であって責任を負えとは言っていない。歴史認識だけとにかく引き継いでくれと。そうすることによって、日中の関係を改善する可能性を指しているのだろうと。実は中国国内で反発するグループというのがもちろん、ありまして、昨年12月、海軍の艦艇が尖閣諸島に若干近づいたんですね、これは日本でも報道されましたけれども、中国海軍は南京大虐殺記念日に呼応して、何か行動をしようと考えたと言うのですが、これは中国から叱られたらしいですね、余計なことをするなと。そのぐらい中国は日本との関係には敏感になっていると思いますね」
興梠教授
「私は、李克強さんの会見をライブで見ていたんですけれども、日本の指導者という言葉を使ったんですよ。日本の指導者、ほぼ名指しに近いですね。ですから、これは談話を意識しているなと。日本側に談話をちゃんとやりなさいよと釘を刺した。しかし、もう1つ気になったんですけれども、セットになっていまして、戦後の秩序、戦後の世界秩序を維持してきたのは自分達だという主張をしたんですよ。つまり、戦争に負けた方は、あんたでしょうと。こちらが勝って、この秩序の中にいるんだよと。あなたは、それを壊そうとしているでしょう、という言い方をしたんですよ。それがすごく気になったんですよ。なぜかと言うとこれをきっかけに中国とアメリカの関係、同じ戦勝国、先ほども言いましたが、中華人民共和国が戦勝国かどうかは問題がありますけれども、アメリカに今度行きますよね、習近平さんが。そうするとこれを良いきっかけにして、同じ戦勝国で同じ秩序をつくってきたんです…本当は違いますね。中国とアメリカは対立する秩序、しかし、そこはもういい。従って、このきっかけを使って日本をマージナル化する。つまり、日本は秩序の破壊者だというイメージをつくりたいのかもしれない」
小原氏
「協調というのは2013年6月まで。それ以降は中国側もアメリカがのらないのはわかっていますから、対立的共存を目指している」
小野寺議員
「実は政府で不思議に思うのは、歴代総理もそうですし、私どもも、海外に行った時に常に言っているのは、歴代内閣に指揮をずっと引き継ぐと言っているんですよ。ですから、日本から何か変えるということを言ったことはないんです。ところが、相手は常にそうやって歴史認識の話を出し、戦後秩序の話を出します。日本は一切そのことを、逆に言及したこともないし、変えるなんてことはまったく言っていないわけですよ。ですから、勝手にレッテルを貼って、先ほど興梠先生がおっしゃったようにどうも日本は戦後の秩序を破壊しようとしている人だ。戦勝国の私達はそんなことはあっちゃいけないですよね、だから、日本は変ですよねということを、わざわざイギリスやフランスやロシアや、中国がそういうことを言いあって、その中でずっと中国に何となく引き寄せられているのはロシア。ですから、ロシアは5月9日に70周年の記念もやりますが、その時には習近平さんが行くことになっている。中国は9月3日にやりますが、その時にはプーチンさんが行くことになっている。国際社会では『どうなの、この国』と思われている、力による現状変更をやっているのではないのと皆が思っている2つの国は、この部分だけは強調して日本を浮き上がらすことができるという形になりますので、これにはのらないことだと思います」

日本の歴史認識問題 “安倍談話”どうあるべきか
秋元キャスター
「この夏に出される安倍談話はどういうものになるべきなのか?」
小野寺議員
「基本的に政府が出すことであると思います。総理がよく練られて出されると思うのですが、安全保障を担当していた経験から言うと、たとえば、アメリカ、国際の世論というのはとても大事です。尖閣を巡ってもし何か問題が起きた時に、どちらの国が悪いのか。どちらの国が実は合理的なことをやっているのかということが大切になります。たとえば、アメリカでも確かに安全保障の第5条適用でありますが、アメリカの世論で、これは日本に非があるねとなった時に、本当にアメリカがしっかり日本と共に日本の領土を守ってくれるか。これはアメリカの世論がとても大事になります。その時に、たとえば、現在、変なレッテルを貼られて、日本は何かおかしい国だよね、戦後の秩序を変えようとしているよねなんて思われたら、大変なマイナスになります。日本の安全保障のためにも、領土領海領空をちゃんと守るためにも、この問題については、歴代の総理がずっとお話をされているように、歴代の内閣のことをキチッと受け止めて、ポイントは平和国家70年。日本は70年間、実は国際社会の平和に貢献してきたんだと、日本のポジティブなところをいっぱい出すような、そういう談話にしてもらえればおそらく韓国や中国は違うイメージで言ってくると思うのですが、それを払拭するような明確なきちんとした平和国家70周年記念、こういうイメージを出していただきたいと思います」

小野寺五典 自由民主党衆議院議員の提言:『平和国家70周年』
小野寺議員
「日本は、これまで平和国家として70年の道を歩んできました。大切なのは中国を意識するとか、韓国を意識するとか、そういうことよりはむしろ日本はどういう国なのか、これからどういう方向に日本は向かうのかということを、国際社会全体にきちんとメッセージを出すということ。そうすれば、そういう日本なんだねと。そういう日本に対して、これまでいろんな面で歴史認識だとか、いろんな意見を言ってきましたが、そろそろ次のステージで、未来志向で話をすべきだねと、相手は変わってくると思います。私は、最近の中国の雰囲気を見て、日本経済が強くなり、日本が平和外交で積極的にやるんだということを対外的に発信すればするほど、だんだん日中の話しあいができる環境が近づいてくる。不思議なもので、あなたと仲良くしたいんだ、したいんだ、と言うよりも、国際社会にこういう形で貢献してきたし、これからもしていくと、立派な国、日本なんだと言った方が、むしろ向こうがじゃあ話しあいましょうかと。そうなると思いますので、ぜひこれからの総理のメッセージもそうなのですが、私達は70年間、平和国家として世界に貢献してきたんだと、ポジティブな話を進めていければと思います」

興梠一郎 神田外語大学教授の提言:『知彼知己』
興梠教授
「相手のことをよく知って自分のことを知るということに尽きると思うんですよね、日中関係というのは。つまり、中国の国内事情ですよね。政治の中でこういう状況になっているんだ、経済はこうなっているんだとか。だから、こういう言葉を発するんだと。表の言葉の意味だけではなくて、裏に実はこういう問題があるので強気に出る、弱気に出る。いろいろありますよね。中国の本音の部分というのか、それを知るということが大事で、そうすると、自ずとこちらはどうすれば良いかということがわかってくるので、あまり見かけの姿だけを見て中国がこうだ、ああだと言うのではなく、中国の内臓の部分というのですか、中がどうなっているのか、血液の中がどうなっているのか。GDPは実際どうなのか。それがわかってくると妙な焦りもないし、逆に言うと、こちら側が増長することもない。非常にしっかりと見ていけるので、それが日中関係で1番大事。感情に振りまわされない、見かけとかは常に感じますね」

小原凡司 東京財団政策プロデューサーの提言:『国内事情を見るミクロの目 対外活動を見るマクロの目』
小原氏
「中国にどう対応していくのか、という時には中国のことを正しく理解しないといけないということなんだろうと。その時中国の国内事情をしっかり見なければいけないのと、もう1つ重要なのは中国の対外活動を見る時に、日本から見ると、中国は目の前に立ちはだかって見えますけれど、実は中国が世界でどのような動きをしているのかというのをもう少し広い視野で見なければいけないだろうと。今回の全人代でも一帯一路というシルクロードのイニシアチブと現在言っていますけれども、そういったものを強調する、あるいは東南アジアでも、2つの道と言って、経済活動と紛争とを切り分けようとしている。その根本は何にあるのかというのはまた国内に戻ってくるわけですけれども、そういったことを理解しなければ怖さばかりが目立つ。あるいはすぐに倒れるのではないかというところばかりが目立つことになると思います」