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2015年3月10日(火)
福島原発事故から4年 エネルギー政策の行方

ゲスト

山本一太
自由民主党資源・エネルギー戦略調査会顧問 前科学技術政策担当相 参議院議員
橘川武郎
一橋大学大学院商学研究科教授
澤昭裕
21世紀政策研究所研究主幹

電源構成比とコスト
秋元キャスター
「現在の日本のエネルギーミックス、電源構成比をまず見ておきたいと思うのですが、2013年度について見てみますと火力が88.3%、9割近くを占めています。原子力が1.0%となっているんですが、2013年9月に福井県の大飯原発が停止したため、現在動いている原発はありません。結果、燃料費は3年連続で過去最高を更新していて、2013年度はおよそ7.7兆円となっています。この状況をどのように見ていますか?」
橘川教授
「よく原発が止まっても大丈夫ではないかと言われる方がいらっしゃいますが、自給に関しては現場もがんばっていて、何とかそうなっているんですけれど、少なくとも、コストの面ではとっくに終わっていると言っていいと思います。つまり、2010年と2013年を比べると、4兆円近く燃料費が増えていることは、1年365日しかないわけですから、毎日100億円。それから、日本の人口1億2000万人ですから、1人当たり赤ちゃんまで含めて3万円以上、アラブの王様達にお金を追加で払っているわけです。消費税が5%から8%に上がった時の増収分が、だいたい7兆円から8兆円と言われていますけれど、その半分が毎年消えていってしまっているわけで、少なくともコストの面に関して言うと、大丈夫どころか、大変な問題が進行中だというのが、まず基本的な認識になると思います」
反町キャスター
「大震災以降、電気料金は何割ぐらい上がっているのですか?」
澤氏
「家庭ではだいたい東電管内で3割ぐらい上がっているので、六千幾らだったやつが8000円ぐらいになっている」
反町キャスター
「工業用も同じぐらい上がっているものですか?」
澤氏
「工業用は、実際に中小企業の清水紙工さんという政府の委員も務めている印刷業の方ですけれども、36人の従業員で資本金3800万の中小工場なのですが、そこで2011年と2014年、ほぼ同じ電力消費量で、絶対額で724万円増額しているんですね。ですから、年収三百数十万円の人の2人分の人件費が追加的にかかってしまっているということで、何とかこの会社はやられていますけれども、中小企業にとっては、相当大きな電気料金のアップだと思います」
山本議員
「日本を取り巻くエネルギー環境の厳しさというものを、もっと政府としても、しっかりと国民に説明していくべきだと思うんです。もともと資源小国の日本ですから、化石燃料への海外依存度って高かかったんですけれども、確か、第1次石油ショックの時、76%ぐらいだったと思うんです。2010年はたぶん6割ぐらいまで、62%まで下がって…」
反町キャスター
「石油依存度が?」
山本議員
「化石燃料依存度が。現在88%です。日本のエネルギー自給率が、これも2人の前では釈迦に説法ですけれども、6%ですよね。震災前19.9%だったんですけれど、現在OECDの34か国か、33か国かな、とにかくビリから2番目です。天然ガスだって、確か、中東に3割ぐらい依存しているということで、実は国際情勢によっては、あっという間にエネルギー危機を迎えてしまう構造になっているということは今回のエネルギーミックスを考える、原発の依存度を考えるうえでは非常に大事な視点だと思います」
秋元キャスター
「エネルギー環境が厳しい中で、原発再稼働が簡単にいかないという現状があるということは、再生可能エネルギーに期待が集まるわけですけれど、その再生可能エネルギーの種類は太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど5種類あるんですけれども、澤さん、これらの再生可能エネルギー、これは電源としてどこまで期待できるのでしょうか?」
澤氏
「太陽光と風力という2つと、それ以外の3つは性格が若干違うんです。太陽光と風力は、まさにお天気任せなので不安定電源というか、変動する電源。他の水力、地熱、バイオマスは、定常的にベースロードになり得る電源ということで、同じ再生可能エネルギーでも少し扱いを本来変えなければいけないのではないか。現在、話題になっているのはどうしても太陽光と風力です。その中で、太陽光はパネルを空いている土地に貼れば、それで終わりなので非常に工期が短い。リードタイムが短いわけですから、非常に開発しやすいというか、設置しやすいということもあって拡大した。ドイツとかスペインに行った時に、実は風力の方を最大の本命視しているんです、向こうは。風向きが非常に安定的で良い風が吹くので、定常的に出るということと、長い年月をかけて風力は技術開発をやってきたという歴史があるので、太陽光みたいに、一挙にコントロールができないぐらい広がってしまったものとは違って、風力を大切に育てていこうという、イメージがあるわけです。日本は、風力は風が吹くかという問題と、北海道とか、九州とか、需要地から非常に離れている場所にあることで送電線を引かなければいけないという問題があるし、漁業権というのが日本には結構特殊にあって、それを調整していかなければいけないと。一方、太陽光の方はむしろ耕作放棄地が現在増えていますから、ああいうところに貼ってほしいとか、売れなかった工業団地に貼ってほしいとか、そういう土地は、割と見出しやすかったので、今回太陽光が増えてしまったわけです。ですから、ドイツやスペインで本当に失敗した太陽光を日本は大きく取り入れてしまったので、現在とても困っているという状況にあるという認識でいた方が良いと思います」

再生可能エネルギーの現状
秋元キャスター
「再生可能エネルギーを広く普及させるために原発事故後に採用されたのが固定価格買取制度です。固定価格買取制度では再生可能エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が決められた価格で買い取ることが義務づけられています。電力会社が調達したこの電気は送電網を通して、私達が普段使う電気として供給されています。このため電気料金の一部として使用電力に比例した賦課金を電気利用者である私達が電力会社に払っています。この再生可能エネルギーの買い取り価格というのは、国によって決められています。2012年の4月に始まった時は1kW40円だった太陽光なんですけれども、年々下がりまして、今年度は32円と。来年度は、4月から6月が29円。7月以降は27円となっています」
反町キャスター
「投資する側からしてみれば、これはおいしい値段だった?」
橘川教授
「そうですね。だいたい家庭用電気料金が、1kWあたり23円とか、24円して、たぶん産業用だとその半分ぐらいではないかと言われているわけですけれども、それと比べて40円というのは、とてつもなく高い数字なわけで、当時の制度が認められれば20年間に渡って、それが貰える制度ですから、殺到したということ。だから、勢いをつけるという意味では、意味があったと思いますけれども、この制度だけで再生をやっていこうという考え方自体は間違っていると思います」
澤氏
「スペインは最初、市場価格の8倍ぐらいで値段をつけちゃったわけです。ダーッと入ってきたわけです。ドイツも、スペインも、価格を最初どれぐらいに設定すれば、どれぐらい入ってくるかというのが、予想ができなかったので、日本は間違うなよと、我々は既に間違っているのに、アドバイスをくれたりしたんですけれども、日本もスペインとか、ドイツが既に、間違いをおかしている段階で、フィードインタリフを入れたので、その時、もっとあちらの経験を調べておくべきだったと思います」
橘川教授
「この間、行ってきたニュージーランドも再生可能エネルギー電源が75%ですが、一切(太陽光は)やっていないんです。水力が50%で、地熱が15%、それから、風力が5%という、こういう構成ですけれども、決定的に日本と違うのは、面積が7割ですけど、人口が30分の1ですから」
反町キャスター
「400万人ぐらいですよね」
橘川教授
「それですと参考にならないと言いたいのですが、実は参考になるのが3つか、4つぐらいありまして、1つは、先ほどからちょっと話題になっていた地熱です。地熱は、日本とニュージーランド共通して使えるので、地熱はちょっといくのではないかというのが1点と、それから、この再生エネルギーの話で、1番大きな問題は送電線です。それで、よく日本だと人口密度が低いところは送電線が弱いですと言うのですが、人口30分の1で、面積7割ということは、ニュージーランドはめちゃくちゃ人口密度が低いわけです。それなのに、南の島の水力と北の人口地帯との間にきっちりと送電線をつくっているという、ここは教訓にするべきだと思うんです。あと太陽光と風力が質の悪い、出力変動が激しいので、調整が必要だという時に、普通、我々は火力で調整しようと考えるんですけれども、水力で調整しているんです、再生可能エネルギーの中で。これも1つの考え方で、日本で水力の電源地帯に太陽光や風力を入れたら、少し地産地消的に送電網を変えたりすると、送電線自体が必要なくなる仕組みをつくれたりするということなので」
反町キャスター
「地域の中で、再生可能エネルギーで調整しあうということですね?」
橘川教授
「と言うことも可能になるわけでして、勉強すべきことはたくさんあり、一言で言いますと、再生可能エネルギーをガンガン入れろ派ですけれども、入れろという立場からすると、このフィットに頼っている限り再生はダメです。下駄を履かせてもらったエネルギーに未来はないです、僕から言わせると。2030年のことを議論して、思いっきり再生可能エネルギーを最大限入れるというのであれば、フィットなしでなるだけ市場ベースに近い形で、どうやって再生可能エネルギーを入れていくのかという知恵を考えるということが1番大事だと思います」
秋元キャスター
「ドイツのメルケル首相が都内の講演で『私の考えを変えたのは、福島の原発事故だった。日本という高度な技術水準を持つ国でもリスクがあり、事故は起きるのだということを如実に示した。だからこそ、私は当時政権にいた多くの同僚とともに脱原発の決定をくだした』と言っています。澤さんは先月、ドイツを訪れたということですが、ドイツでの再生可能エネルギー、固定価格買取制度をどのように見ましたか?」
澤氏
「日本ではドイツがまさに脱原発の決定をくだしたから再生可能エネルギーをどんどん増やしたんだという人がすごく多い、どう思いますかと聞いたら、バカにするなと。原発と関係なく俺達はずっと20年も30年も前に、再生可能エネルギーに向かってやっているんだと。だから、化石燃料の代替、あるいはCO2の問題を解決するために、自分達で再生エネルギーを戦略的に選んだのであって、福島の事故は確かに一種の推進力になったかもしれないけれども、それによって変わったとか、そんなことはまったくないとどの国も言っていたんです」
反町キャスター
「でも、このメルケルさんの発言はあまりにも政治的な…」
澤氏
「問題は、メルケルさんは、脱原発の決定をくだしただけで、原発を動かしているわけですから。ドイツはまだ9基も現在動かしています。日本は既に脱原発でやっているわけですから」
橘川教授
「現在15%です。原子力依存度、ドイツは」
澤氏
「だから、どうして、そういうことを言われなければいけないのかわからないですけど、それは置いておいて、再生可能エネルギーの問題は発電量が少ないことに問題があるのではなくて、需要よりも多く発電してしまうことを制御できないことが問題です。つまり、余剰電力が出てしまうと。普通は、知らないと電気はいっぱいつくれるならつくった方がいいじゃないと思いがちですけれど、送電線にそういう余計な電力が流れると、それは焼き切れてしまうわけで、ショートしてしまうわけです。そういう意味では、需要に応じたように発電を調整しなければならないわけです。先ほどの風力とか、太陽光はお天気次第でどんどん増えてしまうので、ドイツの1番の悩みは余剰電力をどこに使うかだったんです。ところが、ニュージーランドとは違って、自動車工場がいっぱいある南側に送電線を引く時にすごく反対があって、その送電線の計画が、計画している1割ちょっとしか、まだできていないんです。なので、余剰電力が発生した時に、自分の国内で使えなくて外に捨てていたんです。それがポーランドとか、チェコとか、デンマーク、スウェーデンを通じて、ノルウェーとか、ノルウェーは先ほどの水力がいっぱいあるところ。そこを蓄電池として使おうとしていたんです、ドイツが。ベルギーの方にも流し、いろいろ。要するに、周りの方にすごく迷惑がかかっていて、抗議までされているわけです、ドイツは。余剰電力をそんなに捨てないでくれと」
反町キャスター
「ダンピングみたいに思われたわけですね」
澤氏
「はい」
秋元キャスター
「電気はどうやって捨てるのですか?」
澤氏
「捨てるというのは流れてしまうわけです、勝手に。なので、それを向こうで逆に、火力を絞って、ドイツから流れてくるやつをしわとりしなければいけないのは、他の国がやっていたわけです」
秋元キャスター
「周りの国が調整しなければいけないということですね」
澤氏
「そうです。日本で言うと、日本の中のある県が再生可能エネルギーばかりをやり出したと。周りの県でしわをとらなければいけなくなったと。だから、ヨーロッパ全体と日本全体が比較されるべきであり、ドイツと日本と比べるというのはすごく変です。日本は島国なので、他と送電網もつながっていないし、ドイツと電力システムの条件が違う。そこをポイントとして考えないといけないです」
反町キャスター
「ドイツは、太陽光とか、風力とか、大量に再生可能エネルギーに力を入れた結果、電力料金がすごく高くなって、住民が怒っているという、これは沈静化しているのですか?」
澤氏
「いや、いや、実際に向こうの一般消費者の家庭にもインタビューしましたけれど、だんだんと堪えられないぐらいになっているということで、消費者連盟に、日本の消費者団体みたいなところですけれども、そこもこれ以上の負担は堪えられないということで、政府にフィードインタリフの見直しを迫ったわけです」
反町キャスター
「ちなみに、ドイツの家庭用の電力料金は?日本の場合には大震災以降30%アップという話があったんですけれど、再生可能エネルギーを入れ込むことによって、電気料金がどのぐらい上がっているかというのはあるのですか?」
澤氏
「他の国に比べると圧倒的にだと思います」
橘川教授
「日本の1.5倍ぐらい、家庭用の電気料金の」
澤氏
「先ほどの産業用の方は、日本と同じぐらいに抑えていますので、その分、家庭にしわ寄せされている」
反町キャスター
「それに対して、固定価格買取制度自体はドイツの中では見直しがこれから行われるのですか?」
澤氏
「もうやめたんです。やめて、フィードインプレミアムという形で、これまで市場価格、電力の取引価格がありますね、市場で。それと関係なく三十何円とか、四十何円と決めていったので、市場価格がどうなっても、太陽光の部分は40円で売れたんですけれど、これから市場価格が下がれば、それにプラス5円とかで売ることしかできなくしたんです。ですから、そういう意味で、四十何円というのは、市場の価格のブレに応じて浮き沈みするようになったと。従って、太陽光発電事業者もどのタイミングで発電したらいいかどうかのタイミングを、少し抑えていいかということが判断できるようにしようと。最終的には、市場統合していくということを随分言っているんです。それは先ほどの家庭の人達がこれだけの家庭料金のアップにはもう我慢できないと。しかし、再生エネルギーはやるべきだと思うわけです。だから、それを考えるとこれまでのように気合でやっていくとか、思想でやっていくのではなくて、コスト重視だということを、ずっと言い出し始めているんです、皆。ヨーロッパ全体が再生可能エネルギーの、これまでの補助の制度を、段階的に縮小し、はやく市場統合させていこうという方向で動き出しているわけです。ですから、日本は逆にまだよちよち歩きだという議論の方が多かったので、まずは応援しましょうとやっていたのですが、ここまで太陽光が広がってしまえば、これから電気料金のアップは間違いないものですから、どうやって今度は市場に統合させていくかのスケジュールを考えていく。それがこれからの日本の課題だと」
橘川教授
「フィットの枠組みは行き詰っていると。それは確かです。ただ、間違ってはいけないのは、フィットは行き詰ったからといって再生がダメになるというわけではないんです。もともと、再生エネルギーは最大限に入れるという安倍総理の言葉を実行するためには、最大限に入れるものに下駄を履かせているようなエネルギーではダメわけで、市場ベースで入らなければいけないわけです。そうすると、1番の問題点は、送電線の問題。3つあると思うんですけれども、1つ目は、送電線が足らないというのですが、カウントをしていないのがあるんです。それは原子力発電所が、もし40年で廃炉になっていきますと、2030年まで、現在48基のうち30基が廃炉になっていくわけです。一部はもちろん、火力に送電線を使いますけれども、そこで余ってくる送電線をどうするんだという、この議論をあまりやっていないと思うんですね。2つ目は、そもそも送電線を使わなくていいような仕組み、地産地消に近いようなスマートコミュニティでもいいですし、ドイツでもう1つやられているのは、風力でつくって余った電気で、水の電気分解をやって、水素つくって、ガスのパイプラインに入れて天然ガスを混ぜて使っちゃうという、タワートゥガスというやり方です。かなりヨーロッパでは注目を集めています。日本は、ガスのパイプラインが弱いから無理だと言うのですが、考えてみますと、もし原子力がそれだけ減ってきますと、他のベースロード電源を立てなければいけないわけで、その中には液化天然ガスの火力というのは、かなり重要になりまして、ざっくり言うと十数基立つと思うんですけれども、それが全国に立ちますとパイプラインにできるんです、経済ベースで。そうすると、そのパワートゥガスという考え方も使えるので、そもそも送電線を使わないというのが2番目にあって、3つ目は電力会社の頭の中を変えることです。それから、システム改革があって、これまでのように原子力が強いとか、石炭が強いというので、競争力をとっているのではなくて、ネットワークの力で、うちのネットワークを使えば、供給の側に太陽光や風力等やんちゃな電源があっても、需要側に停電なしで届けますという会社が格好良くなって、株価が上がって、資金調達ができる。そこで稼いでいくというパターンにしないと、本当の再生の世の中がこないので、現在言ったように、廃炉で余ってくる送電線を使うということと、送電線を使わなくても良い仕組みを考える、送電線をつくるということを真面目に考えると。これぐらいのことをやって、やっとのことで再生を最大限入れるという世界がやって来ると思います」

どう考える?原発再稼働
秋元キャスター
「原発の再稼動に関してはどのように考えていますか?」
橘川教授
「政府が何を考えているかわからないんですよ。読み方によっては規制委員会に任せちゃっているという感じです。2012年から、総選挙があって、1度、参議院選挙があって他の知事選もありましたけど、いつも自民党は原子力のことを、中長期のことを言わないですよね。同じ与党を組んでいる公明党はやがて原発はなくすと言っていますから、国民からするとわかりにくいんですよね。何かたぶんそれをハッキリ言わない方が選挙に勝ちやすくなるというような、政治的思惑があるのではないか。今度のミックスの数字も現在、審議会が動いていますけれども、4月12日の統一地方選挙までに、数字も出てこないのではないかと私は思っているんですけれども、それが1番気になりますね。ちょっと責任の所在がはっきりしないと。規制委員会ができた時に、これは三条委員会でできているので、エネルギー政策と原子力規制政策は別のもので独立しているというわけですから、こちらがどう動こうとエネルギー政策はあるべき姿を言わなければいけないんですよ。25%必要だと思ったら25%だと言わなければいけないし、15%だったら15%、ゼロだったらゼロと言わなければいけない。これもちゃんと言わないで、4年経ってもまだミックスの数字が決まっていないということ自体が1番問題だと思います」
澤氏
「おっしゃる通りで、原子力は良くも悪くも、これだけ長い間、日本の中で非常に重要度の高いエネルギー源として寛容してきたわけですよね。それを国家戦略にどう位置づけるのかということ、エネルギー安全保障との関係で位置づけておくべきだと。日本がどうしても構造的、運命的に資源のない国なので原子力もオプションとして持っておくべきだということをハッキリ認めないと次にいかないですよね、議論が。何となく腫れ物に触るような、そういう姿勢を示していると結局議論していく側も、最終的に、政治的にどう決めてくれるのか、自信なげに議論をしてしまうわけですね。しかし、そう言う意味では、日本も国家戦略、あるいは経済戦略の中で原子力技術や人材というのをどう位置づけるのかをハッキリ議論してほしい」
山本議員
「あれだけの大事故があったと。これは東北の大震災、特に、福島原発事故から4年目を迎えるわけですけれども、これは政治の大きな責任ですよね。なぜ安全神話に陥ってしまったのかも含めて、ここもしっかり検証しなくてはいけないし、あれだけの事故が起こったということに対する感情というのも政治としてキチッと見ていかなければいけなかったと。確かに、政治的な責任の所在が不明確だと先生から言われたんですけれども、私は政府の人間ではないから言いますけれども、これはもちろん、政権が判断するんだと思うんですよね。それは一応エネルギー基本計画の中で原子力規制委員会が専門的な知見に基づいて、世界で最も厳しいと思われる水準にしている、この新しい基準をクリアしたものは再稼働をすると方針で決めていますから、これはエネルギー政策ですから、当然政府の責任で決めるということだと思っています。ただし、よく出てくるエネルギーミックスを決めたら、たとえば、すぐ原発再稼働のあと、新設とか、リプレイスメントするのかと言うんですけれど、これもある程度ちゃんと時間をかけないと。現在、再稼働するかどうかという議論をしている時に、増設、リプレイスメントという話はちょっとはやいのではないかなと思います」

どうする?使用済み核燃料
秋元キャスター
「使用済み核燃料についてはどのように考えていますか?」
澤氏
「現在の総理の会見通り、どの政権になっても、あるいは原発の賛成派も反対派も、結局、使用済み燃料をどうにかしなければいけないということで、再処理をしてから処分するのと、そのまま直接処分するのとありますけれども、どちらにしても場所はどうしても見つけざるを得ないですよね。これまで先送り、まだ実際に埋めるまでには、冷やして固めて埋めるという作業の時間がかかったりするので、明日なければいけないというわけではないですけれども、だから、ずっと先延ばしされてきた面があって、このへんでそろそろいい契機なので、キチッと政府が前に出てきて、やらなきゃいけない問題であるということを出したのは正解だと思います。ただ、だからと言って、すぐに見つかるとは到底思えない。これから苦難の道があるとは思いますけれども、見つけていかざるを得ないので、国内で最終的に見つからない場合に、他の国にも現在、原発を建てている国がありますから、そういうものを国際管理していくような発想が出てくるかもしれません。とりあえず国内で適地を探していくべきだろうと思います」
橘川教授
「安倍総理の言葉で、国が前面に出て最終処分場を見つける…見つかりますか?という話です、単純に言いますと。そこがワンピース抜けているんですよね。いきなり探しに行っても見つからないと思うんですね。その前にやることがあって、中間貯蔵とか、暫定保管という言い方をされますけれども、現在、原子力発電所は運転が止まっていますが、エネルギー入れて、燃料プールで冷やしているわけですが、それとは別にエネルギーなしで空気の対流で冷える中間貯蔵がないと危ないですよね、全電源喪失した時に。これをつくっていくというのが必要だと思うんです、中間貯蔵です。現在は陸奥と、日本原電の東海第2原発にだけありますけども。これをできれば日本の原子力発電所、実際、消費地につくるべきですけれど、筋論で言うと。時間がかかりますから、原子力発電所の中につくっていくというのが1番現実的で、これをやるとだいたい50年間ぐらい時間を稼げるんですね。その間に最終処分の捨て方の技術革新を一生懸命にやる。たとえば、もんじゅを、高速増殖炉と言ってエネルギーを増やすためにと言われていましたけれども、ゴミの量を減らす、危ない期間を短くするために技術を使えば、捨て方がずっと楽になりますから、そうすると捨て場所も見つかりやすくなるということで、ダイナミックにモノを考えないといけなくて、50年間時間を稼ぐために中間貯蔵をきっちりやるということが大事。これは当然のことながら発電所の中に置きますと危ないものを置くわけですから、消費地の人は、電気料金を通じてでしょうけれども、保管料を払わないといけないと思うんですけれども、そういう枠組みをつくることが現実にできることで、現実にできる一歩がないと、最終的なところを見つけるというところまで届かないですよ。その間の中間貯蔵なり、暫定保管ということが実はすごく大事だと思っています」
山本議員
「最終処分場の件ですけれども、2000年に最終処分の法律ができて、一応最終処分場を見つけるまでのプロセスは決まったわけですね。文献調査をやって、基礎調査をやって、外洋調査をやって、精密調査ですか。その時の法律を見ても、文献調査で2年、外洋調査で4年、精密調査で14年、20年とってあるんです。そこが決まったら、施設を建設して、それから入れていくということなので、もともとすごく時間がかかるんですよね。スウェーデン、フィンランドしか決まっていませんよね。最終処分場は世界で2か所しか決まっていない。でも、調べてみたらフィンランドもスウェーデンも1970年代、1980年代から探し始めているので、そういう意味で言うと、日本は2000年から始めたというのはちょっと遅かったかなと。でも、NUMOという組織もつくったりして、ここが最終処分について担当するということで公募をかけたんですけれども、覚えていらっしゃると思いますが、最初は手をいっぱい挙げてくれたんだけれども、文献調査で東陽町の選挙の話があって、それでダメになっちゃって、国が前面に立たないといけないかなと思っている時に3.11が…。橘川先生が言ったように簡単ではないと思いますけれど、科学的に有望地を出すというのはいいことだと思います。これはスウェーデンの成功例です。スウェーデンがMAP上でいろんなデータを示して、各自治体と共同で研究しましょうということを働きかけたので、結局処分地の選定がはやまったという、たぶんそういうベストプラクティスみたいなものを考えて、こういう方向にしたんだと思いますけれども、少なくとも他の国でも30年ぐらいかかっていますから、そこは先生のおっしゃる通り、少し長いスパンで考えないといけない。最終処分の方針というのは現在、新たな方針の見直しをやって、4月か5月ぐらいに閣議決定がされるんですけれども、その中でいくつか昔と違っているところがあって、1つはもっと国が前面に出て科学的有望地を出すということと、それから可逆性、回収可能性、つまり、将来世代がもっと違うやり方でやりたいと言った時に、できる余地を残しておくということです。だいたい技術の研究開発等みたいなものがあって、その中でこれまでなかった文言が1つあるのは、ずっと核燃サイクルはやるという方針でやってきたから、いわゆる再処理をして処分をするということをずっとやってきたんですけれど、直接処分の可能性も含めてという文言が入って来ているので、そこは柔軟にやっていこうという表れなのかなという気がします」

エネルギーミックスのあり方
秋元キャスター
「エネルギーミックスについてはどこまで議論されているのですか?」
橘川教授
「ミックスということは、分母を決めなければならないということですよね。2030年がターゲットですけれども、その時の需要量がどのぐらいになっているか。これを決めるうえで、2つ重要な問題があって経済成長をどのぐらいで読むか…、これはだいたい政府見通しにあわせて計算していまして、1%、2%弱ぐらいの数字でやりますと、電気の需用量がだいたい20%ぐらいは増えるのではないかと。一方で、省エネ、それに伴う節電ということでやりますので、かなり大きな数字を言っていまして、20%ぐらい節電をするということで、基本的に元に戻ってだいたい1兆kW/h、年間弱ぐらいのところを分母にしようというのが1つ出てきているわけです。その中で順番としては、再生から最大限入れると言っているので、再生がどのぐらい入るかなと計算しまして、先ほど言いましたが、だいたい21%、22%ぐらいの数字が出てきたところです。現在の議論では、そういうところで、ただ最終的には、国民の関心は原子力の依存度だと思いますので、そこにいくと思います」
山本議員
「現在の審議会でしっかり議論していただいて、安倍総理がしっかり決定するということで、とにかく閣議決定をしてもらいたいなと思っています。いずれにせよ、先ほど申し上げた通り、本当に明日、原発をゼロにできるのであれば、それに越したことはないですよね。つまり、安全神話というものはないわけだから。だけど、いろいろなことから考えて、これまでも議論が出ましたけれども、自給率、いわゆるエネルギー安全保障ですよね、経済性、それからCO2対策、これも大事ですよね。COP21を年末にやるわけで、ヨーロッパは相当大胆な目標を出していて、ある意味で言うと温暖化の世界でも主導権争いをやっているわけで、日本がどうやって、どういうメッセージを出せるか、ということも大事だと思うんですけれども、今日どうしても一言言いたかったのは、なぜ原発をなかなかゼロにできないのかという理由は、日本のエネルギー安全保障だけではなくて、グローバルな安全保障に関わっていると思っているんです。現在、原発のプラントをつくれるグループは世界で6つしかないですよ。それは主に日本、アメリカ、フランス、中国、韓国ですけれども、グループは6つですね。これは第1グループと第2グループがあるんですけれども、第1グループは実績もあって、かなり技術力もあると思うんですけれども、日本がいわゆる原発の世界から手を引くと、これから中国の原発とか、ロシアの原発が、おそらく市場を席巻していくわけですよね。申し訳ないですけれど、現時点で本当に中国の原発の技術は大丈夫なのかと非常に不安に思っています。ハムレ国防副長官の言葉で、日本は商業量の世界でいうと一大強国である。つまり、日本が抜けるということは、日本とアメリカ、フランスの3強体制が崩れると。日本が手を引いたら本当に原発がつくれるのは中国、インド、ロシア、ペルシャ湾諸国であると。彼が心配しているのは、どの国も核不拡散に熱心ではないと。こういう国がこの世界で影響力をもってくると、世界が不安定になると言っている。日本が何と言おうと、何をしようと、原発は増えていくんですよね。現在420基か430基近くあって、だいたいIAEAの予想を見ているんですけれども、年間5~20基増えるということは、最大800基近くなる。中国も20~70基になる。どんどん原発が増えていくという中で、日本が培ってきた技術、経験、人材というものを活かしていくというのが、実は国際的な安全エネルギー保証の面でもすごく大事だと思います」

山本一太 自由民主党資源・エネルギー戦略調査会顧問の提言:『バランス感覚』
山本議員
「いろんな要素を考えて、総合的に判断するということが何よりも大事だなと思いました」

橘川武郎 一橋大学大学院商学研究科教授の提言:『責任』
橘川教授
責任を持って決める。相手を批判する時代はもう終わったんですよね。批判するのはいいんですけれど、必ず具体的な対案、解決策を言う。それが大事だと思います」

澤昭裕 21世紀政策研究所研究主幹の提言:『思想よりコスト 調整より戦略』
澤氏
「この前ドイツ、スペインに行ってきた時に、向こうから言われたんですけど、思想よりコストで語れ、と。エネルギー政策、そしてミックスも、どういう数字が政治的にもつか、という調整ではなくて、確固たるやはり戦略が必要だというふうに思います」