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2015年2月27日(金)
言葉のセクハラで降格 職場ハラスメントの罪

ゲスト

宮川典子
自由民主党衆議院議員
山田秀雄
日本弁護士連合会副会長
秋葉ふきこ
産業カウンセラー
田中剛
フジテレビ社会部デスク(前半)

言葉のセクハラ 最高裁 処分妥当の意義は
遠藤キャスター
「まずは今回の最高裁で争われた事件の経緯についてなのですが、田中デスク、お願いします」
田中氏
「舞台は大阪の水族館の運営会社ですけれども、20代と30代の女性が、上司から言葉によるセクハラが継続的に行われてきたと会社に申し出ました。会社が調査をして、上司の40代のチーム・マネージャーは30日の出勤停止処分のうえ、マネージャーを解任されて係長に降格となりました。同じく40代の課長代理には10日間の出勤停止処分のうえ、同じく係長に降格という処分がくだされました。問題となった上司2人の発言ですけれど、読んでいきますと、『俺の性欲は年々増すねん。なんでやろうな?』と。『彼氏おらへんのか?もっと人生楽しまなあかんで』と。『男に甘えたりする?せえへんやろ、女の子は男に甘える方がいいで』『こんな年までこんなところで働いて、結婚もせんと親泣くで』『もうオバサンやで、もうお局さんやで、皆に怖がられているで』。さらに『時給安いやろ。お金たらへんのちゃうか?夜の仕事したらええんちゃう(夜の仕事してるんやろ)。夜の仕事を紹介したろか?』というような発言があったと。この処分を受けた上司2人は処分を不服として提訴しました。ポイントは身体的な接触がなくてもセクハラを認定するのか否か。懲戒処分が妥当か否かと。その2つ。一審の大阪地裁から最高裁までの三審全て、上司の発言はセクハラにあたると認定しました。しかし、出勤停止や降格という重い処分が妥当かどうかについては、地裁は妥当と判断。高裁はそれを覆し、処分は重すぎ、無効と判断しました。昨日、最高裁は一審と同じく、処分は妥当だと判断したわけです。1つは、言葉のセクハラを長期間行ったことについて、1年以上に渡って、セクハラ行為を繰り返したのは不適切であると認定をしています。もう1つは、2人は管理職だったことが重要視されたと。2人は事前に会社から警告を受けなかったと主張しているんですけれども、管理職なら、会社の方針や取り組みは当然、認識すべきだったと最高裁はしています。さらに、二審は、女性側が明確な抗議をしなかったということで、認定しているけれども、最高裁は被害者が内心で嫌な気持ちを抱きながらも、人間関係の悪化を懸念して申告できないということはよくあることだと、抗議されなければいいというわけではない、ダメだということで、会社の処分は妥当という判断をしています」
遠藤キャスター
「今回の経緯と判決のポイント、どう見ていますか?」
山田氏
「結論として、この最高裁の判決は非常に妥当だと、合理的なものだと思います。皆さん、言葉のセクハラということが非常に珍しいというか、それを認めた判決のように思われていらっしゃる方もいるかもしれないのですが、実はセクハラというのは別に身体的接触だけではなくて、言葉によるセクハラも、これまでも裁判で争われたケースはあるんです。今回のケースで、最高裁までいっているように、画期的だったのは会社が一定の処分をしたことについて、それを重いとして、不服を争った社員の主張に対して、決して重くはないんだということを、きちんとした理由を持って、最高裁が判断を示したというところは非常にユニークで、かつセクハラについて、非常に深い理解を示した判決だと考えます」
宮川議員
「男性2人は同じ職場で働き続けるわけで、結局、裁判でこの結果が出たからといって終わりではないので。このあと、水族館を運営する運営会社がどんな対応をしていくのかということを、もっとこれから先の問題として注目すべきではないかと思います」
反町キャスター
「降格ぐらいだったら甘いのではないかぐらいの気持ちもありますか?」
秋葉氏
「いや、ただ、降格より重いのは懲戒解雇ですよね。だから、そこまでいくのはどうかなという感じはあります」
反町キャスター
「そのへんの相場感は、日本の中でこれから企業によってもまちまちだし、決まっていない。相場感という言葉が正しいのかはわかりませんけれども」
秋葉氏
「おっしゃる通りです。なので、企業としても処分を出す時にどうしましょうかというのは、一応、懲戒の処分規定には書いてありますが、でも、すごく慎重にならざるを得ないですね。なので、今回の裁判で、これが妥当なんだよと出たのは、企業の背中を押す1つの材料にはなるかなという感じはします」
遠藤キャスター
「今回の判決を受けて原告側がコメントを昨日発表しました。『事実認定に一部不満がある。発言していないことを発言したと決めつけられていて納得できない』と」
反町キャスター
「原告というのは、セクハラの言葉をぶつけたとされる男性職員の人達のことですね」
遠藤キャスター
「そうです。秋葉さんはこの発言をどう思いますか?」
秋葉氏
「事実認定に一部不満があるというのは、その発言をしたかどうかというところがまだ納得できていないよねということですね。その前に、裁判で争われる前に、会社として懲戒処分を出す以前の問題、調査をしていると思うんですね。その段階でも納得が得られていないのかという。その段階でちょっと丁寧なものがあってもよかったのではないかという印象があります」
反町キャスター
「それは、女性がセクハラを会社に訴え出て、会社が内部調査をした時、今回、原告となった2人の男性がたぶん調書というか、上申書みたいなものを出しているわけですよね。そこのところで認めたものが、そのまま上にあがっちゃっているとなると、その時点で、反省文を書かされたわけではないですか。反省文もそのまま証拠採用されるかどうかもちょっとまた違うのかと。これは甘いです。僕も言っていることは甘いのですが、これで済むのだったら、お詫びしようというのと」
山田氏
「これぐらいの事件になると、会社の中でまず調査をして、そこで言い分の食い違いがあれば、それはどうなのかということを会社で判断をします。もちろん、そこで、さらに裁判となると、そういったいろんな証拠が書証として出ていく中で、裁判所がどの証拠は採用する。どの証拠のどの部分については認定するということをするんです。それについて、原告の方達はもしかすると、この裁判所の認定の仕方が自分の受け止めている事実の認識と違うんだということについて不満があると。そう受け止めた方がいいのではないでしょうか」
反町キャスター
「過去のセクハラによる懲戒解雇を無効とされた判例も1つあるのですが、宴会の席で部下の女性に膝の上に座るように強要した役員が懲戒解雇になりました。懲戒解雇になった役員は処分が重すぎるとして提訴をしました。それに対する東京地裁判決、2009年4月に、会社は指導や処分をせず、労働者の極刑である懲戒解雇を選択するのは重すぎるとして、これは会社の解雇権の権利濫用として処分は無効であるという、この判断。これは懲戒解雇するのは解雇権の濫用であるとして無効である。先ほどの話だと、停職プラス降格というのは、これは妥当であるという、最高裁の判断。相場感みたいなものが出てきているのですか?」
山田氏
「結局、裁判というのは、個別的な事件についての個別的な判断です。その個別的な判断は総合的な事情を全部見ますから、この部分だけ取り上げると。宴会の席で部下の女性を膝の上に乗せたと。そこだけに、非常にスポットが当たっていますけれど、今回の最高裁の判決も1年有余に渡って、かなり何回もやっているとか、管理職であるとか、セクハラ研修をやっていたと。そういういろんな事情が加わるんです。このケースはどういった、そういう背景、事情があるのかがわかりませんが、裁判の判断としては、これで懲戒解雇までは無理だという、この事件についての判断です。しかも、これは地裁の判決ですから、最高裁まで争われていないので、そうやって考えると、この事案同士を簡単に比較することは難しいですね」
反町キャスター
「そうすると、判例があって、だいたいこのぐらいのことをやっていると、このぐらいの相場という話というのはまだまだセクハラに関して出すのは、ケース、サンプルが少ない?」
山田氏
「いや、1つの類推する重要な判断基準にはなるけれど、まったくイコールの事案ではないので、同じ行為を、たとえば、今回の最高裁判決で言った言葉を1回言いました。すぐそれで降格になりますかと言ったら、それはそんなことはないですと。これは全体としてどれぐらいの期間であったか、どういう立場の人でいたのかと。そういうことも全部、勘案しながら、会社の中でどういう規定に基づいて処分をしたかという、非常に総合的な判断です。だから、指針にはなるけれども、まったく同じ言葉を言った瞬間に、同じ判断がされると思わない方がいいです」

コミュニケーションとの境界線は
遠藤キャスター
「言葉による嫌がらせについて、地裁から最高裁まで全てセクハラに当たると認定されたわけですけれども、懲戒処分の妥当性が、どういった発言が、行為が、具体的に認定されたのか」
田中氏
「二審判決によれば、もちろん、二審も認定していますので。夜の仕事とかせえへん(しない)の?など、しばしば派遣社員を見下した発言についても該当。オバサン、お局さんなど侮辱する発言についても該当。男に甘えたりするなどの発言も該当。自分の性生活話も、当然ですけれども、該当と。一方で、強引な昼食への誘いについては該当せず。日常的に休憩室などで下ネタ発言をした場合も該当せずとなっています」
遠藤キャスター
「日常的に休憩室などで下ネタ発言することは該当しない?」
山田氏
「それはいろいろな捉え方ができると思うんですけど、たった1回、たとえば、日常的にというところ問題ですけれども、仲間内だけで、他の方達に聞こえないように性的な発言をしたということで、そこは別のプライベートな空間だという判断をしたのかもしれませんが、もし日常的に会社の休憩室で、そういう性的なジョークとか、下ネタ発言ばかりしていれば、これはセクシャルハラスメントになる可能性が大いにあります」
遠藤キャスター
「これはセクハラ認定されているけれど、会社の下した処分に対しては該当しないということですよね?」
山田氏
「そうです。だから、裁判所の判断としては該当するもの、しないものを、こういうふうに一応、棲み分けをしているのですが、それは、先ほどもおっしゃられたように、総合的な判断なので、たとえば、強引な昼食への誘いというのがあって、これによってPTSDになったとか、本当に、毎日また誘われるのかと思うと嫌な気持ちになる女性っているんですよ。毎日毎日、食事に誘われると。それはセクシャルハラスメントになりますよ。訴えて、損害賠償請求の可能性はありますよ。だから、こういう昼食への誘いは該当しないから、いくらやっても大丈夫ですと考えるのは非常に危険です」
反町キャスター
「皆でご飯を食べに行く時に、その人だけ誘わない形でやっていくと、その人が疎外感を感じて、そういう意味でハラスメントされているという可能性はないのですか?」
山田氏
「ですから、ネグレクトと言って、会社の中で、ある人だけを完全に、いわゆる、外してと言いますか、ネグレクトということがかなり故意に、しかも、長期に行われたら、それがハラスメントになる可能性はありますね。ですから、職場でその人の職場環境を極めて悪化させるような行為があれば、ネーミングが、セクハラなのか、モラハラなのか、マタニティハラスメントなのか、いろんな言い方ありますけれども、これはハラスメントになり得る可能性があると思います」
反町キャスター
「具体的な話をすると変な話になってしまうのですけれども、いきなり声をかけるのではなくて、1、2回声をかけて、私はいいですという人。そのまま放置する時は人間関係でありますよね?」
山田氏
「あります」
反町キャスター
「でも、その時、3回目に声をかけられなくなった時は、私はネグレクトだと…」
山田氏
「いやいや、それは1、2回やっているから」
反町キャスター
「1、2回やっておけば、それは証拠になる?」
山田氏
「やっておけばというか、全体として非常に難しいケースをおっしゃっているのですが、1、2回誘って、3回目に誘わなかったからネグレクトというのは絶対ないです。もっと長期的に見て、全体としてその人がどういう状態になったのかということまで判断するということです」
反町キャスター
「秋葉さん、たとえば、中小企業の社長とか、この番組を見ていたら、すごく悩むと思うんです。社員旅行はダメなのかと。皆で飯を食いに行こうと、しつこく誘ったら、それもアウトかと。そのへんはどう見ていますか?」
秋葉氏
「中小企業さんで、それをどう処分しているのかは、また別の話で、私がお付き合いしている企業さんは、セクハラと認定することと、それを処分の対象とすることは別に考えるんです。だから、被害を訴えてくる人がいます。確かにそこに性的言動があって、被害を受けた方が被害者だと言ってくるのだから、不快なのは当然ですけれど、不快だと言ったら、それはセクハラだというんです。ただ、それで懲戒解雇処分にするかといったら、それは別の話です。だから、懲戒処分は重いんです。なので、ちょっと上司から注意してもらおうというのもあるし、あるいは本人が、私がアドバイスすることによって被害者が自分で解決していくこともあるんです。あなた、自分から、ちょっとやめてくださいと言ってみる?こういう言葉だったら言えるかしらと言って解決していくこともあるんです。だから、会社の中で、もしかしたら、セクハラと言われることが、いっぱい起きて、でも、当事者同士で、何するのよ、ごめんねと。そこで解決することもいっぱいある。だから、セクハラと言われたら、すごいことだと思うのではなくて、セクハラにもいろんな程度があって、会社として介入するのは当事者同士で解決するのが難しいから介入するのであり、会社として処分の対象にするのは、そのまま放置しておけば、そこで就業環境が悪化する。あるいは働いている人が、被害者が辞めざるを得ないような状況になっちゃう。あるいはうつ病を発症してしまうとか、そんな危険性が感じられる時なんです」

人間関係はどう影響?
遠藤キャスター
「実は、原告の男性2人以外にも、女性の上司にあたる50代の男性が、同じような発言を女性達にしていたと言われているのですが、田中さん、この50代の男性の行為について、裁判ではどのような判断が下されたのでしょうか?」
田中氏
「この50代の男性と、30代の女性との間には親子のような信頼関係があったと。この男性ほどの人間関係のない、原告側の40代の男性2人とは異なるとしています。対象者との人間関係、信頼関係もセクハラの認定に関係すると判断しています」
遠藤キャスター
「と言うことは、山田さん、女性側がどう感じるかが…」
山田氏
「入口はそうなんです。誰が言ったかによって、受け止め方というのは違うし、先ほど、例に出されていた、素敵な男性から同じことを言われたら嫌と感じない。これは、本当に必ず聞かれる質問なので、木村拓哉さんみたいな人が言ったら、別にOKだけれども、そうじゃない、あなたが言ったらセクハラと。不平等ではないか。確かに不平等です。不平等なものです。たとえば、夜に自分の部屋に誰を入れるかといったら、選ぶじゃないですか。住居侵入の問題というのは、相手が誰かによって家に入れるかどうかを判断するでしょう。その時に、Aさんだったら入れるけれど、Bさんは入りたいけれども、あなたは入らないでくださいということがあるわけで、個別的なものです。ただ、そうは言っても、それを、たとえば、犯罪かどうか、あるいは損害賠償の対象になるかどうかと判断する時に、何でもかんでも処罰するわけにいかないから、受け止めかたの入口が、その女性の受け止め方です。だから、判断する時には平均的な社会通念に基づいて、普通の女性だったらどれぐらいのことを感じるのだろうかということを裁判所は考えているらしいんです。君子危うきに近寄らずとか、李下に冠を正さずとか、危険そうな行為はしないということが重要なことです」
反町キャスター
「こういうことをやったらセクハラにあたるので、当社としては厳重に対処すると、ルール化するのはナンセンス?」
山田氏
「ナンセンスではありません」
反町キャスター
「だって、受け手によって、違ってくるのでは?木村拓哉が言うのか、僕が言うのかで変わってくるのであれば…」
山田氏
「それは木村拓哉さんを基準にしてはいけないです」
反町キャスター
「なるほど」
山田氏
「その質問も受けたことがありますが、アメリカの新聞社の女性記者とその話をしたら、それは違うと。どちらに対してもそういう行為をしてはいけないと。相手が木村拓哉さんであろうが、そうではない人だろうが、絶対してはいけないというのが、ハラスメントにおける絶対のルールだと。会社としてはリスキーな行為を一応列挙します。列挙しますけれども、それについては会社のセクシャルポリシーがあるわけです。言われてもそのままやり過ごしてしまう人もいれば、全てのことが訴えの対象になるわけではない。あくまでも基準として、こういうものが危険ですよとお品書きとしては出すけれど、それにあたったからすぐ処分になるということはないです」
宮川議員
「お話を聞いていて、本当に難しいなと思います。我々の仕事も日頃からさらされていると言えば、そうで、はやく結婚した方がいいのではないかというのは日に何回聞く言葉か。私の中ではそれはセクハラ発言ではなくて、親身に考えてくれているなと。私自身も35歳で独身ではいけないなと思えば、そうなんですよ、どうしましょうかという相談に逆になるんですね。ですから、この線引きは大変難しいと思います。ただ、職務上必要な発言かどうかというのは大変重要なポイントだと思います。職務上とプライベートはまったく別である、そこに完全に線を引いてしまうので、プライベートでどういう状況かまったくわからなければ、全然意図しない発言でも、その人にとってはセクハラ発言になるとか、傷つける発言になり得るということになりますから、ここに壁をつくることが本当にいいのかと私自身感じることはありますね。でも、主観というのが大きく左右するということですから、ルールを全部、ガチガチに決めてしまうことがいいとも思えませんし、厚生労働省が出したアンケートですが、第三者が見てハラスメントが起きやすい企業にみられる傾向は、52%が上司、部下とのコミュニケーション不足だと言っています。22%が正規雇用、非正規雇用、パート、いろいろな働き方の形態がある企業には起きやすいという話があります。ですから、そういう自分達の会社の実態にあわせてルールづくりするのが重要だろうと思いますし、その中で自ずとそこにいる社員の中で線引きができてくるのかなと私自身は感じます」

“セクハラ”“マタハラ” 職場での実態と対応策
遠藤キャスター
「相談件数の推移を見てみますと、セクハラは減少傾向で、マタハラは横ばいという現状ですが、この傾向をどう見ますか?」
秋葉氏
「私も相談を受けていまして確かにセクハラは減ってきたという印象がありますね。こういうことは言っちゃいけないんだよというのが結構周知、啓発ができてきたかなという印象は確かにあります。マタハラに関して見ると、女性職員の方、女性社員の方がそれなりに戦力になっているので、そこで産休、育休でお休みになるというのが大変だという現実があると思うんですね。ただ、大企業については、そこらへんうまく人事制度の中で吸収しつつあるんですね。ただ、中小企業がまだ追いついてない。マタハラの話は、私が耳にするのは圧倒的に中小企業の方が多いですね。要は、人員をどうするのか、人員配置をどうするかというのが気になるのはよくわかるのですが、それはどうやって聞いたらいいのでしょうと言うから、そりゃ聞いちゃいけませんよと、私は申し上げるのですが、聞き方を教えてくださいと、人事の方も真面目に聞いてこられる方もいらっしゃいます」
遠藤キャスター
「聞き方としてはどういうふうに?」
秋葉氏
「聞かないです、そういうこと聞いちゃいけませんと私は言います」
藤キャスター
「第二子の予定とか、そういったことも…」
秋葉氏
「聞いちゃいけませんと、私は申し上げています。ですから、大企業だと、上司に、妊娠しましたと言うと、あっ、そう、おめでとう、いつから休むの、で終わるんです。でも、中小企業だとそこで彼女の休んでいる間の穴埋めをどうしようとか、いろんなこと考える。とそこで何かハラスメントになっちゃうことを言っちゃったりとか、しちゃうというのがまだ現状としてある」
山田氏
「もともとセクハラの出発点というのは職場環境を悪化させないというのが出発点で、現在のところ圧倒的に被害にあっているのは女性が多いわけです。マタハラにしても、モラハラにしても、ジェンダーハラスメントについてもそうですが、それはやっぱりむしろそういったセクシャルハラスメントによって被害が受けている職場は生産性も低くなるというデータがアメリカではあったんです。たとえば、セクハラが頻発している工場では、月曜日に女性が出社することについてブルーマンデイのように何となく出社恐怖症になるというデータもあったりして、生産性に影響するんです。反町さんがおっしゃったように、あまりそのシュリンクさせ過ぎるというか、過剰反応でこれを言ったらダメだと。女性の洋服を褒めたらセクハラになるのかもしれない、これは言わない方がいい。ちゃんづけで呼んだらアウトかもしれない、というようなことがどんどん過剰になっていると、職場に潤いがなくなってくるというのか、コミュニケーションがとりにくくなってきて、上司が部下に対しておはようございますとさよならしか言わないというようなジョークのような話がアメリカなんかであるんですけれども、これは決して健全ではないですよね。ですから、どこに線引きをして望ましい職場環境をつくっていくかというのが重要だと思います」

職場のハラスメント “パワハラ”の実態と対応策
遠藤キャスター
「パワハラに関しては右肩上がりで、増加していますが、この傾向は?」
秋葉氏
「私も相談を受けている中でだいたいパワハラが9割ぐらいですね。そのぐらいパワハラは占める割合が高くなっていまして、どうしてパワハラが増えているのかというよりも、皆がこのことは我慢しなくていいんだということに気づいてきたのかなという気がするんですね。ですから、ちょっとこの間、面白いケースがあったんですけれど、ある会社で若い方から実はうちの会社でパワハラがあって、その人が被害にあっているわけではないんですけれど、こういう被害者がいますと。私はその被害にあっている方からお話を聞かせてくださいと、聞くことができるかしらと、被害にあっている方がすごく上の方だったんですよ。役職も上の方で、50代の方で、いや、実はあなたのことを心配してこういう相談がきたんですけれど、どうですかと言ったら、厳しいことは言われますが、それも仕事のうちだと思いますと上の方はおっしゃるんですね。だから、それはまだまだ我慢することだと思っている世代の方もいらっしゃるし、でも、一方で若い方達はこれを我慢しなくていいんだと理解してきたのかなというのを感じています」
反町キャスター
「社会的な法整備みたいなものが背景にありますか?」
秋葉氏
「それも当然、ありますし、マスコミがパワハラということを皆に知らせたということもあります。厚労相が一応の定義みたいなのをつくったという背景もありますし、そういう中で企業としてもパワハラも対策していかなくちゃいけないよ、私が研修でお邪魔する時はパワハラのこともやってくださいと言われるので、周知啓発もするようになった。いろんなことが複合的に絡んできたという感じはしますね」
遠藤キャスター
「パワハラについての司法の判断というのは?」
山田氏
「労災絡みで割と自殺にまで発展するようなケースで裁判が増えてきましたが、司法に行く前にそれこそ現在、会社のケースで、要するに相談件数はすごく増えているのですが、セクハラと比べてパワハラというのは業務に非常に密接に関連して、指導という部分との線引きが非常に難しい、セクハラより難しいところがある。確かに、本当にこれはパワハラらしいなと思うものと、本当にこれはパワハラなのだろうかということが現場で1つずつのケースを見ていくと、判断に苦しむものや、酷い言い方をすると言ったもん勝ちみたいなケースも中にはないわけではないと。私はパワハラ受けています、診断書は比較的簡単に出ますから、それでパワハラと認定する、では、その加害者と言われる男性に聞くとすごく熱血の上司で、何とかお前を一人前にしてやるということでやったところ、1週間にいっぺんお酒を飲みに連れて行って、お前を人間にしてやると指導されたことが、自分は何か苦しくて苦しくてパワハラを受けましたというようなことが出てくると、これは本当にパワハラなのだろうかと思うようなケースもあれば、本当に殴る、蹴るみたいなことで、一流企業でもそういうことがある。酷いなというケースもある。いろいろなので、パワハラの相談件数の増加で棲み分けをキチッとしていかなければいけないということを考えますね」
反町キャスター
「宮川さんは教師の経験もありますね。どういう先生だったのですか?」
宮川議員
「私は生徒には大変厳しかったのでデーモンと呼ばれていました。でも、それは大変必要な要素だと思いますので、その頃合いが必要だと思いますけれど、学校の現場だけではなくて、OJTでいわゆる能力をつけてなければならないと言われるような職種があると思うんです。いわゆる仕事をしながら訓練をしていくということが大変重要だと思いますけれど、少なくとも私が見てきた学校の世界というのは管理職の先生がいて、先輩の先生方がいて、我々の若い世代というのが公務文書とか、いろんな仕事をとにかくやるんですね。部活の顧問だとか、いろんなことをやるわけですけれども、そこには実は強制はなくて、無言ではやく仕事を覚えなさいと。その中で子供達の心の動き、行動を読み取れるような教師になりなさいと言われますが、ただ、私達にとって見ればすごく過重労働になるんですね。だけど、これはパワハラと言うかと言ったら、私達の職責と考えれば、それはパワハラではない。助けてくれる時には先輩方が助けてくれれば、これはパワハラと言えないのではないか。でも、心を病む、体を病むと、これはパワーハラスメントではないのかということを実は同僚同士でよく話したことがあります。ただ、私達の職責に照らしあわせて、これはパワハラではないと、私達はよく言っていましたけれど、境界線が難しいところだなと。無言のOJTほど、実は反論する場所がないので大変だろうなというのもちょっと感じますね」

宮川典子 自由民主党衆議院議員の提言:『TPOを即座に判断する訓練』
宮川議員
「TPOを判断する訓練ですね。このTPOというのは、たとえば、昨年都議会の野次問題がありましたけれども、あれも個別に話している話だったら、私の私見ですが、問題にならなかったのかもしれません。ただ、議場という議事録に残る場所であの発言をしたということが当該の女性議員さんを大変傷つけたということですから、どの場所で、何の発言をするかというのを即座に判断すること。これが大変重要だと思いますね。この訓練は企業に入ってからではなく、もともと小さい時から教育の場でこういう訓練をどうやってしていくのかというのが大きな課題だと思います。今度、道徳教育も教科化になりますけれども、そういう中で規範意識を教えるだけではなく、こういう場でこういうことを言っていいのかどうか、それはいじめの対策にもつながっていくわけですが、そういう判断ができる人材を育成していくことがとても重要だと、私自身は感じています」

山田秀雄 日本弁護士連合会副会長の提言:『トップの意識改革と企業風土の改善』
山田氏
「企業における、職場におけるハラスメントというのはセクハラであれパワハラであれ、まずトップがこれをなくそうということを本当に意識的に動かないと、人とお金が動かないです。漠然とお題目だけだとダメで、本気になるというのは人とお金をかけることで、その意識改革が第一で、同時に先ほど申し上げたようにルールづくりをすることよりは、全体としての企業風土とか、業界の特色、業界風土が良くなっていかないと絶対に変わらないですよ。ですから、それぞれの業界、それぞれの企業で、独特の企業風土があると思うのですが、トップの意識改革で徐々に時間をかけてやっていくと、セクハラが少しずつなくなってきたように変わっていくと思うんです。ですから、そういった意味でのトップの意識改革と企業風土の改善がポイントですね」

秋葉ふきこ 産業カウンセラーの提言:『ONとOFF』
秋葉氏
「セクハラをするな、パワハラをするなというのを別に24時間言っているわけではないですね。それは職場でするなと言っているんですね。なので、職場にいる時、仕事をする時はONにしてほしいんですね。ONというのは自分の言動と自分の感情に責任を持つことです。責任を持てないような言動、責任を持てないような感情の爆発のさせ方など、しないことです。OFFの時はお家に帰ったり、仲良しと飲みに行ったり、そんな時はどうぞリラックスしてください。そのスイッチをきちんと入れ替えていただきたいなと思います」