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2015年2月26日(木)
“新ODA大綱”決定 国益重視果実とリスク

ゲスト

中根一幸
外務大臣政務官 自由民主党衆議院議員
福山哲郎
民主党幹事長代理 元外務副大臣 参議院議員
西田一平太
東京財団研究員政策プロデューサー

“ODA大国・日本”の課題 どう見る?これまでの国際協力
遠藤キャスター
「ODAとは、発展途上国の経済や社会の発展のために公的資金を用いて行う技術的・金銭的な援助のことで、所得水準が現在で、1万2745ドル。日本円でおよそ150万円以下の国や地域を対象としています。日本のODAは1954年にアジア太平洋地域の発展途上国を支援する国際機関、コロンボ・プランに加盟したことから始まり、当時のビルマ、現在のミャンマーに対し、戦後賠償と並行する形での経済支援が行われました。1989年にはODAの実績で、当時1位だったアメリカを抜いて、初めて日本が世界1位となります。1992年には、海外援助の基本方針となるODA大綱を策定。国際社会の繁栄を確保という理念のもと、軍事目的や国際紛争の助長につながるものには支援をしないなど、ODAの基本原則が盛り込まれました。2003年には、ODA大綱の改定が行われ、国際貢献を通じて日本の繁栄を確保するという理念を盛り込んだものになります。今月、ODA大綱から開発協力大綱と名称を変えて、新たな大綱が閣議決定されたという流れですが、ODAの実績で、日本は世界の中でどういう位置にいるのかと言いますと1989年に初めて日本がアメリカを抜いて1位となります。その後アメリカと1位争いをして1993年から2000年までは日本が世界1位の座をキープしていたのですが、2001年にアメリカに抜かれ、以降は存在感が低下をして、最新のデータとなる2013年現在、アメリカ、イギリス、ドイツに次いで日本は4位という状況です」
反町キャスター
「福山さんはいかがですか、日本のODA。現在は野党だけれど、かつて外務省にいたりもしたので、いろんなところを見ているということで聞きますが、日本のODAのこれまでの経緯、成果をどう見ていますか?」
福山議員
「1990年代の前半に、一時期ODAに対する批判がいろんなメディアを通じて出されたことがあって、そこでいろんな見直しを含めてやってきていて、私は日本のODAというのは国際社会に非常に貢献したと思います。特に、保健衛生、民生部門、それから、農業支援、インフラの整備、貧困の撲滅。特に、MDGZ、ミレニアム開発目標と言って、世界中がいろんな指標を持って、保健分野、医療分野、災害分野、いろんな分野について、指標をつくって、いわゆるナショナルミニマムという、最低限の生活を確保しようというのが世界で目標になって、これは2015年、今年がいったん区切りの年ですが、そのことに対して、日本の、それぞれの地域での貢献というのが評価をされていますし、日本はこれまであまり剥き出しの国益を押しつけてODAをやってこなかった分だけ、他国のODAとも若干の違いを持って受け入れられた部分もありました。円借款も中長期に渡って、お金を貸すんですけれども、低利で。これも当初は批判があったのですが、結果としては中長期のインフラの整備に非常に有効だと言って、国際社会の中では、これは見直しの機運があるので、私は、総じてODAは軍事的な貢献ができない、限られている日本としては非常に外交的な手段として有効に活用できたと思います」
西田氏
「外交のセオリーとしては、日本は、福山さんがおっしゃられた通り、自衛隊の活用というのが極めて制限されている、制限されているわけです。その中で、他のツールをどう活かしていくかということ、非常に重要なわけです。一方でODAというのはそもそも相手国の民生支援、経済の成長とか、あるいは社会福祉の向上を狙ったものであるため、前面に国益を出すことは難しかったということはあります。加えて言いますと、ODAには戦後賠償の意味合いが非常に濃かったわけです。と言うことからも、日本が対外的な政治関係に介入するということには極めて慎重であった。そういう背景があります。ここは、欧米と大きく違うところです。しかしながら、国益という観点で考えると、戦後賠償から始まり、そのあと輸出振興のツールとして使われ、かつ、たとえば、中国との和解に使われ、資源獲得のツールとしても使われてきた。かつ現在もアフガニスタンに対して、たとえば、警察官の給与の半分を日本が負担をしていると。非常に大きな貢献をしているわけですが、それは何をしているかというと、対米協力の一面も当然あるわけです。それは現在に限ったものではなく、冷戦時においても、たとえば、ベトナム戦争のあった周辺国に対する支援であるとか、エジプトであるとか、トルコといった地政学的に重要な国々への支援も行ってきた。そう考えると、国益の求めるものが変わって、変遷してきているものの、日本のODAというのは、極めて有効にそれを押さえてきたのではないかと考えることもできるかと思います」
反町キャスター
「今の指摘いかがですか、中根さん。いわゆる非軍事的なものが強いんだけれども、発展途上国や貧しい国に対する民生支援やら何やら、そういうことによって、結果的に日本の産業の受け口になるような国をつくっているし、国益にもかなってきたという指摘は」
中根議員
「おっしゃる通りだと思います。途上国に対して開発協力をすることによって、その途上国だけが良くなるのではなく、世界が安定になって平和になる。繁栄する。強いてはその基盤ができ、日本が発展する。日本の国益につながっていくという流れになっているかと思います」

新ODA大綱 日本の国際協力戦略は
遠藤キャスター
「今回の大綱では、積極的平和主義の立場から、国際社会の平和・安定・繁栄の確保に一層、積極的に貢献すること。世界の課題解決に取り組み、国益を確保することを目的に掲げています。主なポイントとして、ODA卒業国への協力。非軍事目的での他国軍などへの協力。国際機関やPKOなどとの連携。民間、自治体との連携などが盛り込まれています。今回1つポイントになるのは、国益を確保という文言がはっきりと明確に、このように入っているということです」
反町キャスター
「2003年の大綱では、日本の繁栄を確保という表現だったんです。それが今回、国益の確保と、要するに、国益という言葉をバチンと正面に出すことにどういう狙いがあるのか。ここはどうですか?」
中根議員
「狙いというか、明確化したということです。当然日本の国民の税金を使っているわけですから、福山先生がお話したように、それは短絡的にある企業が受注するとか、日本だけが国益を求めればいいというような、そういう話ではなくて、世界の地域、途上国が良くなることによって、世界も良くなり、その中で日本ももちろん、恩恵と言いますか、プラスがあるんだよというところだと思います」
西田氏
「今回の大綱の位置づけ、政府文書としての位置づけを確認したいと思うのですが、この大綱が改定される前、2013年12月に国家安全保障戦略という文書ができました。もう1つ、安部政権のもと日本再興戦略。これは経済成長を促していこうという戦略ですけれども、この2つの大きい上位政策ができている。その両方においてODAは日本の平和を安定させ、繁栄を確保するためのツールとして位置づけられているわけですね。そこから、国益の問題になるんですけれども、日本国家安全保障戦略の中では、3つの国益がきちんと明記をされているわけです。その1つが主権と独立の確保。もう1つが経済成長。見通しのつく国際環境の整備。もう1つが普遍的価値観の確保。これは我々の享受している自由、民主主義、法の統治。こういったコモンゴールを守っていこうと。この3つのゴールが、国家安全保障の中では国益と定義されているんです。私のような研究者としては、これが新大綱の中での国益を意味するのではないかと思っています」
反町キャスター
「そうすると、それ以前の2003年大綱までの国益と何が違うのかというと、理念の部分が新しいという、こんな感じでよろしいですか?自由と民主主義を守るということが国益であり、そのためにODAを活用するという。3つ目の柱というのは、目新しい印象を、僕は現在の話から受けるんですけれども、いかがですか?」
西田氏
「自由と民主主義、あるいは人権という問題は、現在の社会において、極めて重要なイシューです。一方で、これを前面に出して、他国に援助するということは、下手をすると内政干渉にもなるかもしれない。政治色が出ますし、欧米においては、たとえば、ヨーロッパは国内の人権状況の改善において、こうしなさい。ああしなさいというようなこととか、民主化の促進度合いについて、きちんとモニタリングしているわけです。そのうえで支援をする。日本がどこまでやるかはわかりませが、今回の大綱で、たとえば、女性の権利といったものがきちんと明記されていることは、欧州の各国からは高く評価をされているところです」
反町キャスター
「ODAに対する批判がいっぱい噴出しました。何のためにやっているんだ。何のため日本は1兆円もばら撒いているんだという大批判が巻き起こったことの反省から、その国と日本の関係も良くしなくてはいけないし、この国の民生にも貢献をしなくてはいけない。一方で、わが国にも利益がなくてはいけないという、いわゆる利害関係におけるメリットも強調しなくてはいけないし、もう1つは、安部政権だから、安部政権がやろうとしている、地球儀俯瞰外交とか、理念外交、価値観外交にフィットした要件を入れなくてはいけないということで、理念という言葉とか、そういうものが入ってきたのではないかと。実利と理念と両方の柱を盛り込んだ結果が、こういうことになっているのではないかと見えるんですけれども、西田さん、どのように感じますか?」
西田氏
「ここに国益と書かれたからと言って、それを前面に、剥き出し外交をやるかといったら、おそらく、そういうことはないんだと思うんです。これまでの日本のスタイルとは違う。一方、現場の方々、JICA(独立行政法人国際協力機構)、現場でプロジェクトをまわしている方々が戸惑いを覚えているのは事実だと思います。これは、JICAの中にも、いくつかあると思うんですけれども、国益重視の人もいます。しかしながら、現場の人達はすごく忙しいんです。その中で案件を形成してプロジェクトを調整し、動かして、評価をされてというのをずっとやっているんですけれど、さらに国益、トップダウンで、また何か落ちてくるのかというような人達です」
反町キャスター
「この国の政治情勢が日本と価値観を同じにしないから、この国へのODAを増やせとか、減らせとか、この流れからいくと、あって然るべき、国からの指示になりますね」
西田氏
「一方で、そういった下りてきたものが、実際に現地の人のために役に立つのかどうかということも当然考えなければならないわけです。ここをどう調整をしていくか。今回、要請型から提案型に変えていく。これは民主党政権の時から提案型でいきましょうという形で少しずつやってきているんですけれども、どこまで提案型をやっていくことができるのか」
反町キャスター
「提案型というのは、日本からの提案型ですか?」
西田氏
「おっしゃる通りです。と言うのが今後のプロセスを見てみないとわからないと思います。もう1つあるのは国益か国際益。どちらかをとるという中で、現場をやっていると、目の前で貧困を目の当たりにするわけです。人の生き死にを目の当たりにするわけです。そうすると、国益は国益だけれども、この人達のために、何か役に立つことをしなくてはいけないと思うのは当然ですね。そういった人達にとって、国益重視というものがどう響いてくるのか。国としてはきちんとした説明と理解を、自分達の組織の中でも、やっていく必要があるんだと思います」
反町キャスター
「今度の新大綱の流れからいったら、ミャンマーの軍事政権が出てきた時に、アメリカ、ヨーロッパがODAを引き上げた時に日本もその流れから言うのであれば、一斉に引き上げるような流れも、今回の新大綱で見えるんですけれど、そこの感覚はどう持っていますか?」
中根議員
「いや、これまでと、継続をして、先ほどもお話をしたように、あくまで明確化したということです。ですから、それ以上もそれ以下もなくて」
反町キャスター
「何も変わらない?」
中根議員
「いや、具体的に…そうです。ただ、積極的な平和主義というのがありましたから、これまでやってきたこと。これをベースにしたことを積極的にもっとやっていこうと。世界のために。それが強いては、日本の国益に」
反町キャスター
「いや、それが、たとえば、ミャンマー軍事政権で、日本と同じ価値観を共有しない政権が握っていても、それをやるのかどうかです。新大綱からしたら、それは少なくとも検討の対象になっていますよね。そこはどういうことになるのですか?」
中根議員
「これまでと同じような形だと思います」

ODA卒業国 支援の意義
遠藤キャスター
「新大綱でいったい何がどう変わるのか。もしくは何も変わっていないのかという点を詳しく見ていきたいと思うんですけれども、新たに、主なポイントとして、この新大綱にはODA卒業国への協力というのがあるのですが」
反町キャスター
「このODA卒業国というのは、先ほどの定義でいうと年収150万円以上になった国々、平均所得が。そういう国々という定義でだいたいよろしいのですか?」
中根議員
「そうです。ちなみに、たとえば、カリブの小さい島々もだいたい1万5000ドルぐらい国民所得がある国です。主に観光です。一部資源もあるんですけれど、ただ、そういった国々も、GDPの3倍ぐらいの被害がきてしまうわけです。日本でも考えられないような脆弱性があるということです」
反町キャスター
「一方、中国の話をやらざるを得ないのですが、中国に対する日本のODAの実績。2012年のデータですけれども、贈与が168・6億円。そのうち無償資金協力が11.9億円。技術協力は環境問題とか、PM2.5とか、そういうことも含めてだと思うのですが、156.7億円であると。一方、それに加えて、政府貸付実行額、これは円借款だと思うんですけれども、これが465億円。あわせて633.6億円というのが、2012年の段階で、いまだにと言わせていただきますけれども、中国に対して行われている」
福山議員
「貸付実行額は、西田先生、借款の残ですよね?」
西田氏
「だと思います」
福山議員
「だから、昔に契約をした、何年ごとでやっている、中国に対する、何の部分、案件かわかりませんが、つまり、20年とか、15年のレベルで貸しているお金の、たぶん、残高だと思うので、新規にお金を出しているわけではないので、今年の予算から、ボーンとお金が何百億円出ているという話ではないと、私は理解していますが、それで西田先生、間違いないですよね?」
西田氏
「同じ理解です」
反町キャスター
「600億円はどんな金額かと思うと、尖閣まわっている巡視船1隻買えるか、買えないかぐらいのお金ですよね。海保の年間予算は3000億円ぐらいですから。尖閣で、日本の巡視船と向こうの海警がガチンと対峙する中で、船が買えるか、買えないかというお金を向こうに渡しているということに関して、釈然としないものが僕にはあります。外務省の中においてはこういうのは続きだからしょうがないということで、とりあえずという感じになるのですか?」
中根議員
「いや、そんなことはないんです。いろいろ議論はあります。当然、自民党や民主党さん、いろんなところから、いろんなご意見があがっていますから、それについて、しっかり議論させていただいているところであります。これはしょうがないと終わらせるということは決してないです」
西田氏
「たぶん、もう貸し付けてしまったものはしょうがないと。あまり対象にしない方がいいと思うんです。これは時間の問題ですから。問題は残りの技術協力と無償資金の170億円。これを日本は継続的にやっていくべきかどうかという話です。先ほどのODA卒業国の話で、おそらく狙いとして関係をつなぎとめておきたかったというのが絶対にあるわけです。ODAをあげて感謝されてという関係がなくなっちゃうのは、二国間関係においては極めて問題です。かつODAを卒業する国というのはこれから経済成長が見込まれる国です。と言うことは、それはマーケットなわけですね。かつお金がある程度揃ってきて、自分達のインフラを整備してくる国です。なので、インフラ輸出をそこにやっていきたいという考えもあると思います。あと、先ほど、福山先生がおっしゃられた票ですね。カリブ海だけでも25ぐらいの国があると理解しています。それらの票を束ねるだけでも重要だろう。それを考えたうえで今度は中国に戻っていきます。先ほどのミャンマーと同じです。価値観が違うから切っていいかと。そういうわけではないです。ミャンマーでは日本がつながっているからこそ、生きた外国パイプもあったはずです。かつ中国においても、これだけ尖閣を巡って、日中両方の、非常に高いレベルで、ギクシャクしている中で、きちんと関係をつないでいくというのは政治的に相当重要なはずです」
反町キャスター
「でも、キャッシュデリバリーする必要ありますか?お金、現金を提供する必要ありますか?技術がほしければ、技術は本来だったら、二国間の関係においては、提供するのは非常にもやもやするのもあるんだけれども、困っているのであれば、技術は提供しましょう。でも、対価を払ってくださいと。それが普通なのではないですか?そういう常識、僕は常識と言いましたけれども、そういう考え方が通用しないのが日中関係だと思った方がいいのですか?」
西田氏
「そういう考え方あっていいと思うんです。一方で、この170億円を投資だと考えることができれば、また違うのかもしれない。中国はいまだに大きな市場です。ここに対し、たとえば、環境関係の産業。あるいは今後、大量廃棄社会になっていきます、大量消費で。そうすると、我々は静脈産業と呼んでいる廃棄の方です。こちらの体制をきちんと整備していかなければいけない。これは、環境省は非常に関心のあるエリアで、やろうとしていることだと思いますけれども、そこに日本の技術を使っていく。次世代の中国の環境技術は日本のものを、パテントを使って、日本の技術を使っていく。そういう可能性だってあるわけです。かつ先ほどの環境技術の協力だけではなくて、人材育成という側面があります。これは中国がきちんと、我々、外国人、外国の企業にとって魅力的な市場であるために法制度を直していかなければいけない。あるいはきちんとした日本の企業で働けるような人材も育成していかなければいけないだろうという観点からすると、いくばくかのお金をそういった投資としてまわしていくという考えはあると思います」
福山議員
「中国に対するODAに関して言えば、確実に止める方向で外務省は考えているはずなので、現在残っているのはそれなりの合理的な理由があると思っています。今日、別に外務省を庇う立場ではありませんが、それは合理的な理由があると思いま す」

新大綱で何がどう変わる? 日本の国際協力の今後
遠藤キャスター
「他国軍への強力について新たな大綱では認めているということですが」
中根議員
「たとえば、大きな災害、自然災害とか、日本でもそうですけれども、世界でも起きています。その時に軍というものは軍事的なものでなくて、援助活動や民政の部分とか、また医療の部分とか、非常に活躍されているところもあるわけですね。そういったところをしっかりと、そういうところでしたら一概に排除するものではないよということです。これまでもこういうことは軍に対して一切やってこなかったかというと、そうではなくて、たとえば、一例を上げるとセネガルの軍事病院というのがあります。そこに実際はもちろん、軍事病院ですから軍人さんが全部やっているんですけれど、実際通っているというか、治療を受けているのはセネガルの国民ですね。いわゆる総合病院なわけです。そういった中で、しっかり内容を調べて、軍事的な目的ではないということで、セネガルの病院の病棟を、産婦人科だったと思いますが、しっかりと改修したということも過去にはあるわけですね」
福山議員
「個別具体的に検討すると書いているんですけれども、中根政務官が言われたのですが、これまでだいたい、4例ぐらいしかないです。4例あって、4例のうちセネガルの病院が1番大きく言われているんですけれども、たとえば、軍人さんをODA予算で日本に連れてきて、逆に治安の教育プログラムみたいなのを受けさせて、本国へ戻して…」
反町キャスター
「対象国はどこですか?」
福山議員
「ミャンマーということもやっているんですね。それは逆に言うと、向こうの治安対策なので向こうは軍か警察か非常に微妙なので、こういったことは逆に言うと警察機能を高めるため人材育成のためにやると。これは相当慎重にやって4例ぐらいある。4例ぐらいあるけれども、あくまで例外なので大綱には書いていないし、国民にしっかり説明できる、理解していただけるものでやってきているわけです。しかし、これを書いたことによって、何が歯止めなのかどうかが実はこれだけだとわからない」
反町キャスター
「もしかしたら個別具体的に検討するというところが歯止めだと言おうと思えば言えるみたいな…」
福山議員
「そうそう、何ともよう言わんのですけれど、ただ、逆に言うと、軍に対する支援が継続的に行われることによって、こちらは最初の目的は民政目的だけれども、それがいつの間にか途上国の国内の話ですから、何か他のところに、軍事的にそれが使われてしまわないかというようなことはしっかりとモニタリングしなければいけないんですけど、そういったことに対する担保も今回の大綱には書いてない。だから、逆に言うといろんなところで、ある意味で言うと不安の声が上がっていることは事実です。つまり、ODAが先ほどの国益とはまた違う意味で変質をするのではないかという、不安の声が上がっていることを私は否定できません」
遠藤キャスター
「今回の大綱では、国際協力の目的とするのは、国益の確保という言葉が入って、明確化されたということなのですが、実際の運用にあたっては誰が国益を判断して、指揮するのでしょうか?」
中根議員
「開発協力適正会議でしっかりと議論していただいて、調査の実施をしまして、決定に移るという、この流れがあります。もちろん、これは国民の税金ですし、しっかりこの流れはどうやって決まったのかを、たとえば、開発協力適正会議について、内容を、誰が何を言って、どうなったかということを含めて、外務省や、JICAなどのホームページで広報しているということです」
反町キャスター
「このODA決定までの流れですけれども、この流れに関しては問題ないですか?」
西田氏
「これは現状の一般的な流れです。これから課題になってくるかもしれないのは、どうやって戦略的な意図をこの中に入れ込んでいくかというところですよね。我々は要請主義で、これは要請主義の流れですよね。相手国の要請があって初めて…これまでも要請がある前に、こんなことができます、こんなことやったらいいのではないですかといった非正規の打診というのは当然やってきていると思うんですけれども、それをどこまで政治的な意図を含めたものを提案していくのかというのは今後気になるところです」
遠藤キャスター
「案件は誰が決定するのですか?」
中根議員
「これは最終的には国会に、案件が出てきます、予算も含めて。そうしますと、審議して、その審議が通った時は現在で言うと岸田外務大臣が総合的にやるか、やらないか、どれだけやるかというようなことについて決定をさせていただく」
福山議員
「余計なことですけれども、案件の決定は政府内の案件の決定というお話だと思うので、それは最終的には政府で決着するのは閣議です。閣議まで上がります」
反町キャスター
「たたき台は外務省でつくるわけですよね?」
福山議員
「外務省でつくります。それで先ほどの民間投資の話は政務官がいらっしゃるので恐縮なんですけれども、2009年以降、実は民間投資が増えています。実は我々の政権からです、一気に増え出したんです。これはODAに関して財政が厳しい中で、昔のように1兆円の大盤振る舞いはできないという状況の中で民間投資を呼び込もうと。先ほど、反町さんの言われたことはその通りで、じゃあODAを出すんだけど、民間が行けるような案件ならば民間は最初から行くんです。しかし、そこの最初の初期インフラがないと民間は次に行けませんとか、たとえば、電力とか。たとえば、鉄道の最初の調査については民間が調査から入っていたらリスクがありすぎます。そういったことについてはまずODAで出しますと。しかし、そのあとの、たとえば、鉄道とか、何かをするのは、それは民間がいったん出してください。そうしたら逆に言うと、民間資金とか、その乗客収入とかでちゃんと利益がまわるのだったら、それは民間が出してくれればいいけれども、そこの初期投資まで含めて民間が出せば、それは民間が出ませんよということになった時にある種、一段二段という形でその国に対する、インフラの整備をしっかりとやっていくというタッグを、民間とODAが組む位置づけだと思っていただければわかりやすいかと思います」
西田氏
「たとえば、現在、日本政府がやろうとしているパッケージインフラの輸出に関しては官房に経済協力インフラ戦略会議という官房長官をトップにした会議体があります。国交省、外務省、経産省、その他の閣僚級の方々がメンバーになって、どうやって日本のインフラを海外に持っていけるのか、ビジネスとして。そのためにODAを呼び水として使えるかということを検討する場所です。安倍首相の外遊の前には必ず綿密なプランニングをして、どういうパッケージをトップ外交として持っていけるかという話はしています。そういう意味で、一部戦略性というのは既に行われているわけですね、大型案件については。一方で、そこまで大きくない案件についてはこの流れが必要だと思うんです。それを今後どう整理していくか。と言うのは、省庁間連携に加えて、現場の大使館の中での調整が非常に重要になってくるわけです。大使館の中には大きく政務班、経済班があります。実は多くの在外高官経験者の方々はこの連携にまだ問題があるのではないかとおっしゃる方がいます。当然その人の人となり、大使館の雰囲気、大使の意向が反映されるものなのですが、必ずしもODAの合意形成において政務班の方々が精力的に関わってくるわけではないらしいということを、一部の方から伺っています。ここできちんとシナジーをつくっていくことができれば、外交としての戦略性を入れ込むということが可能なのかな、これが1つのやり方ではあるのかなと」
反町キャスター
「縦割りが続いていることによって、バランスのとれたODAが行われていないという指摘についてはいかがですか?」
中根議員
「努力はしていますが、それはおっしゃる通りで、まだまだ反省し、改良していくところはあるのではないかなと思っています。縦割り行政は外交だけではないです。政治全てに言えること。縦割りのところの壁を越えるということは非常にこれから大事になってくると思います」

中根一幸 外務大臣政務官の提言:『三方良し』
中根議員
「当然、途上国にとって良しでなくてはいけないし、また国際社会にとっても良しでなくてはいけない。先ほど来言っているように日本の税金ですから、日本にとって良し。この三方良し。win‐win‐winという三方良しでなければいけないと思っています」

福山哲郎 民主党幹事長代理の提言:『透明性の確保 SDGSへの貢献』
福山議員
「先ほどの軍事提案も含めて、透明性の確保は絶対に必要と。それから、人間の安全保障も含めて、2015年からまたSDGSという持続可能な開発目標という、民政支援関係も含めて国連で議論されます。そこにしっかりと貢献できるODAであるべきだと思いますし、今回、実は新しいことをやりたいけれど、1個だけ心配に思っているのは質の高い成長に対してという言葉があるんです。実は質の高い成長とは何かよくわからないし、途上国は成長したけれども、置いてけぼりにされている格差の拡大みたいなことがどの国でもあるわけです。日本はそこにちゃんとスポットを当ててきました。そのことについてどういう対応に、今回の大綱の変化になるのかについては、若干懸念をしていますので、もともとやっていた人間の安全保障、貧困の撲滅、こういったことについてはしっかりとこれまでの射程を変えないでいただきたい。本当に強く思います」

西田一平太 東京財団研究員政策プロデュ―サーの提言:『人間の安全保障の実践を』
西田氏
「私は実際に現場にいたので特に感じるんですけれども、今日の政策議論だけではなくて、この援助の先にいるのは生身の人間です。その人達に対して私達は何ができるのか。そういうことを考えていかなければいけない。この人間の安全保障という概念そのものは20年かけて、それこそ日本政府ががんばって育ててきた概念です。この中に人間の尊厳について着目して、欠乏からの自由、恐怖からの自由、これを達成しようという崇高な理念が生まれていて、前の大綱では人間の安全保障という視点からと言うと、ちょっと中途半端な位置づけだったのが今回の大綱では指導理念になりました。これは非常に重要なことで、日本は今後も人間の安全保障を胸を張って現場でやっていってほしいと思っています」