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2015年2月24日(火)
若年性認知症とは何か 家族会顧問が語る現実

ゲスト

橋本岳
厚生労働政務官 自由民主党衆議院議員
新田國夫
全国在宅療養支援診療所連絡会会長
千場功
若年認知症家族会・彩星の会顧問

“仕事を辞めざるを得ない” 若年性認知症を考える
秋元キャスター
「認知症と一口に言いましても、いろいろな種類があるんですけれども、まずそちらから見ていきたいと思います。まずよく耳にするのが、アルツハイマー型認知症かと思うんですけれど、その他にも脳血管性認知症ですとか、前頭側頭型認知症、いわゆるピック病と言われるものですが、レビー小体型認知症。様々種類があるんですけれど、まず新田さん、それぞれどういった違いがあるのか教えていただけますか?」
新田氏
「簡単に説明をすると、アルツハイマーと前頭側頭とレビー小体型というのは、神経細胞の変性等によって起こって、いわゆる神経細胞のどこが侵されるかによって症状が違うのが出てくるんだろうと思います。若年性の場合は、一般的にはアルツハイマーが現在、1番多くて、脳血管性、レビー、前頭側頭型という高齢者の場合はそうですが、若年性の場合は、脳血管性が1番多くて、アルツハイマーが2番目で、そこでだいたい90%を占めると。前頭側頭型がもう少しあるという、そんなような数字でよろしいでしょうと。症状がそれぞれ違うのですが、脳血管性というのは結局若年でも脳出血とか、脳梗塞とか、大きなものを発症します。現在の医学では急性の症状、意識障害とか、麻痺とか、等々が残っても命は残るわけです。残った時に、その方達が、いわば失語症とか、判断障害とか、遂行能力とか、いわば高次機能障害といわれるもの、それを含め、トータルで認知症障害が出てくると。だから、急性期を過ぎて、命は助かったと思うけれども、次にそこで悩むと」
反町キャスター
「徐々に出てくるものですか?」
新田氏
「おそらく出ているのですが、その中で、急性期症状で、まず命を助けることで精一杯なので、そこではあまりまだ問題視されていなかったと。実際に、そこがこの方が若年で発症した場合に、実際社会で生活しようとすると、その症状が出てしまう。それで見つかるということが1つあります。アルツハイマーは、ご存知のことです。βタンパクが神経細胞の周囲に止まって、それで徐々にそこが侵されて、合流して、他のタンパクと。神経がダメになって出てくるという状況です。全体に出る。特に記憶障害等に表われます。さらに言うと、若年性の場合は、記憶障害等よりももう少し気力の問題とか、作業能率の低下とか、そういうことで、たとえば、鬱的なものですとか、そういうので出てくることも多いと見ています。若年性の場合は。もう1つの前頭側頭型ですが、ピック病と従来言われていたものですが、これは脳の前の方に、そこの細胞が侵されるわけですから、脳の前頭部というのは、いわば後ろの脳で情報を入ったものを、前で処理するからということです。すると、たとえば、前で、どう処理をするかというと、たとえば、そこで理性的に抑制をしたり、押しとどめたり、あるいは皆さんと協調をしたり、仲良くしたり、そんなようないろんなことをやっているわけです。そこが触れることによって、そのまま衝動的な行為になるとか、と言うことが、前頭側頭型の特長になるわけです。もう1つ、レビー小体はまた特長がありまして、パーキンソンの類似疾患でパーキンソン症状が出るタイプと、実は出ないタイプと2つありまして、国際のレビー小体の学会があって、現在レビー小体は診断が明確になってきていて、一方で、たとえば、レム睡眠障害は、寝ている時に大きな声を突然出すとか、寝言ではなく、そういうことが起こるのも1つのタイプとして、現在診断基準に入ってきたと」
秋元キャスター
「その認知症ですけれど、加齢とともに発症するリスクが高くなる疾患ですけど、若年性認知症については65歳未満で発症した場合、若年性認知症と言いまして、推定発症年齢の平均は51.3歳。2009年の厚生労働省の推計では、全国で3万7800人がいるというふうにされていて、統計では女性患者よりも男性患者が多いということですが、干場さんは、奥様が58歳の時になられて、看取るまで、およそ10年間介護されてきたということですけれども、奥様の様子がおかしいなと気づいたのはいつ頃なのですか?」
千場氏
「女房がちょうど58歳の11月に、私の仕事の関係で、お客さんから、ちょっとおかしいという、言葉が乱暴になっていたんです」
反町キャスター
「お仕事はどういう?」
千場氏
「呉服の卸売業を」
反町キャスター
「お客様との会話とかが大切な商売ですね」
千場氏
「そういう中で電話の応対がちょっと乱暴だと言われて、新しい社員を入れたのかという問い合わせがあって、その時はお電話をいただいた方に女房に会っていただいたら、何でもないよと言われたんです。そのあと、また1か月後に今度は仕入れ先の方から、この頃夫婦喧嘩しているのではないかと。なぜかというと、女房が、奥さんの言葉が乱暴になっていると。それを聞いて翌年1月6日、病院が始まる時に初めて診察に行きました。その時、女房は、自分は4年前ぐらいから少し言葉が喋りにくかったということで、それから診断がつくまで3年かかったんですね。3年目にようやくピック病という診断が出て、その時、3年間、なかなか介護の仕方もどう対応していいかもわからない。ただ、言葉が出ないことに対してイライラしながら訓練をしていたということで、この3年後、ちょうど11月に診断が出てからは、家族も、我々もちょっと変われることができました。その3年間は1番厳しかった」
反町キャスター
「最初に1997年1月に病院に行かれたわけですね。言葉もうまく出ないだろうということで、その時の診断は何だったのですか?」
千場氏
「いえ、診断も、ただ、診断名がつかずにリハビリをしていたというだけです」
反町キャスター
「何だからわからないけれど、言葉がうまく出ないようだから、喋れるように言語のリハビリだけやろうと。そういう判断だったわけですね」
千場氏
「はい」
反町キャスター
「ピック病は先ほどの認知症の症例で言うと、前頭側頭型という、その診断がされた契機があったのですか?」
千場氏
「いや、全然。そこはその時が初めて」
反町キャスター
「いきなり、診断の結果が出たのですか?」
千場氏
「そうです」
反町キャスター
「現在の話、1番最初の病院に行かれたのが、1997年の1月。その時には何の病気かわからない、言語障害であるということで、リハビリに入って、それが3年間続いたと。ここの部分の診断というのはやむを得ないと見る部分もあるのか。ないしは、この時、ピック病とはやめに判断をされていれば、何か手の打ちようがあったのかどうか。これはどのように見たらいいですか?」
新田氏
「とても難しいんですけれども、時代背景として、1997年の時に診断ができたかどうかは…。どこに行っても。これがまず難しい話です。おそらく現在のペット検査とか、等々も含めてです。それはありましたか?」
千場氏
「ないです」
新田氏
「現在は、症状で、これは非流暢性、先ほどの失語症、意味性失語症とか。だいたい聞いていてわかるのですが、当時その概念があったか。私はなかったような気がするんですけれど」
反町キャスター
「そうすると、単に言葉の、言語中枢のリハビリをした方がいいねと。それで終わってしまう?」
新田氏
「そうですね。その通りですね」

経済不安にどう対応
秋元キャスター
「先週の金曜日に行われました若年性認知症施策を推進するための意見交換会では、患者本人や家族から、このような声がありました。『仕事を辞めたことで経済的な不安が大きい。住宅ローンをどうしていくか』『仕事はもっとしたかったが、治らない病気だし、辞めるしかなかった』『認知症になっても働き続けるシステムをつくってほしい』『介護をしている配偶者が仕事をしながら、年金や介護保険などの手続きをするのは大変』だと。こういった声が聞かれたんですけれども、干場さん、まずこの住宅ローンについて、これは認知症発症しても住宅ローンは払い続けなければならないという厳しい現状ですね」
千場氏
「そうですね、現在の保険の中では払わなければならないんですけれど、私ども家族会ではとりあえず住宅ローンは、もしあったら、まず払うのをやめるということを言います。なぜかというと、この病気は治らない病気ですね。その中で、普通でいくと高度障害に当てはまるのではないかと。そうすれば、団体生命に入っていれば、それで支払うべきものだと思うんですけれども、現在の保険会社の規約に、厚労省が認定されない1番の原因は、身体の障害に対するものを基本にして規約をつくっているものですから、精神から来るものはなかなかそういうものに当てはまらないということを言われまして、私どもも本当に、これは1番大変だなと。住宅ローン、家もなくなって、病気のご主人、奥さんを抱えていくということには大変さを感じたので、現在、私どもは払わないというのを前提にして、ある家族の場合ですと、奥様が昼働いて、夜も働いてローンを返していたんですけれども、それをちょっとやめてもらって。3か月とめてくれた。そうしたら、銀行からの問い合わせに対し、そこで支払の猶予と同時に、現在の最近のケースですと、利子だけを払わせてくれと。これは、いつかは高度障害に認定されるので、その時までお願いしますということを言っているんですけれども」
反町キャスター
「高度障害に認定されると、たとえば、住宅ローンとかの減免措置とかがある?」
千場氏
「団体生命で出る」
反町キャスター
「つまり、それは若年性認知症と診断されたけれども、見た目は変わらない、多少の言葉とか、記憶の障害があっても普通に生活ができるのだから、数年経って実際に見てもわかるような大きな障害が出るまで、待ってくださいという、非常にせつない話だと、僕は思っているんですけれども」
橋本議員
「すごくせつない話です。数年経ったらそうなりますからと、それを言わないといけないという」
反町キャスター
「ここは政府として何のやりようもないものですか?保険会社に交渉をするという話ではないですよね。だけど、わかりますよね?」
橋本氏
「意味するところはわかります」
反町キャスター
「これはどうにもならないものですか?」
橋本議員
「難しいところですね。病気だと捉えると、逆に、皆治ると期待をしてしまう。だけど、この病気というのは、実は治ることは、すごく難しいのでできない。ある意味で、障害だと思ってしまうと。ある意味で、割り切ることになるんだと思うんですけれども、ただ、だんだんに進行していく障害なわけで、そうなるんだということを受け入れるのは、家族とか、周りの人、本人はもちろんですが、すごく難しいんだと思うんですよね。たとえば、交通事故に遭った、障害が残ってしまったというと、もちろん、それを受け止める人も大変だと思いますけれど、ある種の切実な現実として、その場でそうなっているわけです。下半身不随だとか、何とかで。だから、どこかで受け入れができれば、それで何ができるのかなという形に気持ちを転換する方向でできるし、あるいは必要だから、障害のサービスを受けるだとか、障害手帳をとるとか、そう前向きになっていけるところがあるんだと思うんです。この病気の難しいところというのは、病気のような面もあるし、障害のような面もあるので、もしかしたら間という位置をつけてもいいのかもしれないところがあるんだろうなと思うんです。現実どうすると言われても、ちょっと困るところがあるし、また連携をきちんとして、双方からサポートしていこうねということしか言いようがないですけれども、そのへんの認識を、私達はきちんとしておくというのが大事だと思います」
反町キャスター
「干場さん、働き手がこうなってしまった場合、その診断をされた直後というのは、本人は、僕は認知症として認定されたから職場にはいられないと。だからと言って、すぐに保険がおりるわけではないと。数年後、僕自身が、たとえば、高度障害と認定される時に保険が出たら、家のローンは全部払いきることができるかもしれないと思っても、その時に、たぶん本人にその感覚が認識できない状況になっているわけですね。これはどういう状況だと思っていいのですか?」
千場氏
「そこはおそらく告知の問題も含めて全体で考えないと。告知する段階では、1番理解しているわけですね。最初に告知するかどうかというのは、理解するから告知をして、こういう生活をしてもらいましょうと。そのために告知するわけですね。そのあとに高度障害、確実に起こりますから、その時の判断をと告知される、まだ自分が理解している間に判断をするという、これは大きな違いがある。だから、全体像として、認知症の中で、先生が言われたように、新しい生活障害パターンだと思うんです。これまでは身体と精神と知的障害というものがあったわけですが、それで障害者自立支援法という中で、何とかできてきた。でも、特に、認知症の場合で若年性は新しい障害のパターンなので、これはしっかり、国が新オレンジプランも含めてやっていくという、今の話を含め、やるという話になると思うんです。まだまだ認知症の世界は新しい、この10年の世界ですので、非常に最近出てきた話ですね」

世間の理解度は
秋元キャスター
「この若年性認知症と判断された、本人や家庭の様子についてですが、こちらは意見交換会でこのような意見が出ました。『診断ではとてもショックを受け、自宅に引きこもって近所の人に知られたくなかった』『急に気分が落ち込み、改善しない状況が続き鬱と診断されたが、あとに認知症とわかった』『あなた風邪ひいていますよというような軽い感じでアルツハイマーだと診断された』『リハビリなど今後の生活をどうしたらいいのかわからなかった』『診断後、俺の老後はどうしてくれるんだ、と主人に怒鳴られて頭が真っ白になった』と。こういった意見がありました。認知症と診断されたことによって、本人、それから、家族が混乱する様子というのが伝わってきますけれど、新田さん、この認知症に対する世間、周りの見方をどのように見ていますか?」
新田氏
「まだ認知症というレッテル貼り、スティグマというのがありまして、認知症になると、その人達は何をするかわからない人達だとか、突然、自分の庭に入ってくるとか、というのは、私は自分の庭に、グループホームをつくった時に近所の方からそう言われたんですね。そんなものなのだなと、認知症の理解というのは。というような感じで、認知症というのは自分の身内でない限りでは他人事で、そういう変な人だというのがおおよその理解ですね。誰もが認知症になるので、自分もなる(可能性がある)のだと。自分で守らなければならないんだと言うんですけれども、実はそうではないというのが1つだろうと。先ほどのもう1つのデータで、早期診断で医師が確かに診断技術が発展しますので、どんどん早期診断するんですね。先ほど、アルツハイマーだと20年前にもう認知症になるアレができるわけですね。溜まってくるわけです。その段階でおそらく、どんどん診断技術が発達すると、そのあたりから、ある時に診断できるようになると思います」
反町キャスター
「まったく症状が出ていない時に?」
新田氏
「出ていない時に」
反町キャスター
「つまり、20年後、あなたは(認知症に)なりますよというと、でも、その時、薬はないわけですよね?」
新田氏
「ないですね。そこが問題です」
反町キャスター
「それは良いこと?」
新田氏
「そこが問題で、我々、医療者は、たとえば、ガンの早期診断、早期というのは、ガンは早期に治療できるから、治るから早期に診断をするわけです。だから、医療がやる。医療というのを早期にするというのはそういうことですよね。でも、残念だけれど、そこに欠け落ちているのが認知症で、早期に診断をするのは何が必要なのかという。そうすると、科学を止めることはできないので、診断したあとに、その人に適切に付き添える人。それを絶えず行う。ずっとその人に問題が起こってくるから、家族も含め、そういうものがない限り、俗に言う切れ目のない対策がない限りは、私はなかなか自分では告知するのは難しいです。よほど家族が理解した時に初めて、私は最後まで歩んでいきましょう、というような言い方をする地域の先生達になってほしいなと思っています」
秋元キャスター
「この声の中にもありますけれど、風邪をひいていますよという感じで、軽く言われたと。今後どうしたいいのかわからなかったという声がありますね。今後どうしたらいいのか。この部分は1番不安な部分で、1番サポートが必要ですよね」
新田氏
「医療というのは、点の世界にあることが多いんです。病院であろうが。ポッと来て診断をする。あなたはアルツハイマーですよと診断して、はい、というので帰りますね。誰がそのあとをフォローするのか。地域システムだと思うんです。そこの話が必要です」
反町キャスター
「橋本さん、厚労省というか、政府としてはあらゆる点において、早期診断というのは良いことだという話を先ほどから受けているのですが、現在の話に関して言えば、早期診断、早期告知は必ずしも良いとは思えないような、僕は印象を受けているんですけれども、そこはどう感じていますか?」
橋本議員
「周りの受け止めがきちんとできて、先ほど話があったように、1番つらいのは、僕は、ご本人がご主人に怒られたという話で、自分は患者になったのに、おまけにご主人に怒られて、こんなにつらいことはないのであって、周りがちゃんと受け止められる環境があれば、告知をされることで本人もつらい思いになる。ショックを受けるかもしれない。感情的になるのかもしれないということ。周りの受け止められる環境が整って初めて告知というのはしやすいというか、できて、前向きに、この状況を受け止めてどうしようかという話がしやすくなるのだと思うので、ちょっと運営の話になりましたけれども、地域だとか、周りにサポートする仕組みを含め、どうつくるのかという告知をして…」
反町キャスター
「告知というのは、ガンの告知も最終的に治癒する確立が数パーセントしかなくても、告知ということは、がんばろうね、闘おうよと。そういう告知ですよね。この話を聞いていると、告知の先には勝利がないわけですよ。その場合の告知というのは本当に意味があるのかと、本人に対してですよ。周りがいくら受け止めても、周りに告知するのはいいけれども、本人に言うというのは…干場さんに聞いた方がいいかもしれない。これどうなのですか?」
千場氏
「今の話の中でも何が足りないのか。受け皿ですよ。私達家族で困るのは、会社に勤めて、まだ在籍している段階で、次のところの行き場がないですね。だから、私は、よく例え話で、ゆりかごから墓場までではないけれども、要は、発症から終の看取りまで、そういう受け皿がしっかりできれば、家族は安心をして、引きこもったりしないでできるわけです。それを国がいっぺんにやろうとすると、なかなか難しいので、どこかの地域で、そのモデルをつくってほしいというのが、我々の本当に切なる願いです」

若年性認知症を考える
秋元キャスター
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が発表されました。7つの柱を掲げているのですが、この中で1番重視しているものは、どの部分でしょうか?」
橋本議員
「どれか1つにと言われるのはとても辛くて、先ほどから議論が出ているように、結局本人が病気を直せばいいという話ではないですね。もっと社会的というか、家族の関係、地域の関係、それから受け皿があるかどうかなどに広く関わってきます。だから、最も根本になるものをどれか1つ挙げろと言われれば、普及・啓発で、まずは社会の中でそういう方が実際におられて対策が要るんだとか、あるいはそれを誰かがやるのではなく地域ということになれば、隣に住んでいる人がなるかもしれない。自分の家族がなるかもしれないと自分ごととして捉え、実際そういう状況にある方を支えていってあげなければなという思いに、皆さんがなっていくことが実はすごく大事で、それがあれば、ある意味で、いろいろな医療介護の提供みたいなものをしなければいけないねという話になるとか、支えている家族の方もちゃんと気をつけていかないといけないね、サポートしてあげないといけないよねとか、そういう話につながってくると思います」
新田氏
「認知症の容態に応じた、適時適切な医療介護等の中に1つは、1番目に本人主体の医療介護の徹底というのが実はあるんですね。それはなぜかと言うと、本人主体の医療介護の徹底だけれど、そこの方策がまずないですね。なぜないのかだけれども、ここに入れただけで僕はプラスだと思う。これだけ誰もが認知症になる時代に、家族の支援はもちろん、この中に入っていますが、本人が本当に認知症になって最後まで自分らしく生きるとはどういうことだと徹底して考えるということですよね。そこが1つ重要な視点です」

認知症の現状と今後の政策 本人主体の医療・介護
反町キャスター
「本人主体とは具体的にどういうイメージですか?」
新田氏
「単純に言うと、どうしても家族主体になってしまうんですね。たとえば、若年性の方でも、高齢者もそうですけれど、デイサービスに行きましょうかと。デイサービスに行くのは誰のために行くんだという話ですね。本人が本当にそこに行って、活性化して、良くなるために行くのか。家族がそこから離れられる、家族のケアのために行くのかとか。もっと重度化すると、たとえば、排泄と食事と移動の問題になってくるんですね。排泄で私達はおそらくそうですけれども、オムツ交換をモノのようにパッパッとやられると1番傷つくのではないですか。そこのところが、本当に本人を排泄で、どうしても失禁とか、そういうことになるんだけれども、そこのところは本当に本人の意識を考えながら、そっとやってあげて、その人に対して尊厳を傷つけないということだと思うんですね」
反町キャスター
「在宅がキーワードだと思うのですが」
橋本議員
「逆を言いますと、在宅でなかったらどうするのか。施設への入所という話になるのか。それが認知症をもっておられるけれども、それなりに行動力のあるご本人さんのためになるのはどちらですかということ。もちろん、周りの家族のところにいくことはあると思いますけど、本人中心ですよ。その時、たとえば、見ず知らずのよくわからないところに連れて行かれて、その部屋で、これからあなたは暮らしなさいと言われて、良く知らない人にお世話をしてもらって、それこそ下の世話までしてもらわないといけないと。知らない人にやってもらうという時と、在宅でヘルパーさんとかが来るかもしれないけど、家族がいる中で過ごされるのと、どちらが本人は落ち着くのでしょうか、安心ができるのでしょうか、自分らしく生きられるのでしょうかということの選択だと思います」
千場氏
「現在の在宅の中で地域の連携がなければもう絶対成り立たないですよ。高齢者が何百人に増える時に、限界がありますよね。その時に我々も地域でやっている…在宅業、じゃあどうやったらできるのか。そこで事例を積み重ねていき、医療と、受け入れる事業所、困った時は施設に入れてもらうよという関係を、きっちりとモデル事業をつくっていく必要性がある。それがなければ、在宅になって家族に全部負担がきたらとんでもない話で、おっしゃったように、これから夫婦家庭が多くなればなるほど、それもそうですけれども、地域を巻き込んで行く大切さというのはすごくこれから大きくなると思います」
反町キャスター
「お互いにケアしましょうという文化の醸成の可能性があるのですか?」
橋本議員
「それが、認知症サポーターをつくろうという取り組みの意味なのであって、今度の新オレンジプランで800万人まで育成しようと。現在は600万人弱ぐらい。そんなにむちゃな数字ではありません。人口の中で1%まではいかないけれど、零点何パーセントの方は認知症というものについて多少なりとも理解をし、という人がいるようになると。あるいはもっと増えればいいと思っていますが、地域の人は、近所の人に限る必要はないと思います。仕事で歩いている人でも誰でもいいです。たまたま近くにいた人が、この人、もしかしたら迷子になっているのではないかなと、そういうことに気がついてあげられるかどうか、あるいはお店のレジを打っている人が、この人、ちょっとそうかもしれないと気がついてあげられるかということだと思うし、それは決して難しいことではないのではないかと思います」

支え合う仕組みどうつくる?
秋元キャスター
「新田さんの新田クリニックのある国立では市を挙げて認知症在宅療養に取り組んでいます。具体的にどういうことをされているのですか?」
新田氏
「国立で在宅療養推進協議会というのは東京都モデルで立ち上がりまして、そこで市民も含めて、我々の町は何をすべきなのかということで、八十数名が集まってフリートーキングをやったんですね。認知症の問題が1番大きいだろうということで、認知症に対して私達の町は何が足りていて、何が足りないのかという話をさらにフリートーキングしてもらいました。そうすると、10ぐらいの課題が出てきました。最初の10ぐらいのグループで、さらに10ぐらいの課題が出て、自分達は何がやりたいのか、10のところに入っていただいて、それぞれの課題、たとえば、私は認知症になっても認知症と言いたい町とか。あるいはデイサービス以外でいつでも寄れるところとかですね。いろんなものがあるわけですね、就労の問題ももちろん、あります。そんなところで認知症の町づくりをしましょうかというのを市と一緒にやっている」
反町キャスター
「具体的には?」
新田氏
「健康な時に認知症になってもいい(ように)仲間をつくる、準備段階。さらに市民勉強会。認知症の日というのを国立でつくりました。3回終わりました」
反町キャスター
「3年やっている?」
新田氏
「3年。これからもやっていきます。そこは認知症の人にも、小学生にも合唱していただきますので、その小学生のお母様も、市民の方が集まりやすいようにして、認知症の啓発をやっています。認知症の早期発見・早期診断は必要だろうと。ただ、その人達を早期に見つけても行く場所がないですね。認知症カフェという、皆が集まるような場所をつくりたいんですよ。そこでボランティアの方達も含めて、いろんなものをつくるとか、認知症とは何かを語りあう。そういう場所があるだろうなと思っています」
反町キャスター
「徘徊探知機とは何ですか?」
新田氏
「たとえば、その人が履かれる靴のところに持っていく。あるいは徘徊する人がわかっていまして、その方に携帯を持たせるとどこにいるかわかる」
反町キャスター
「全体で何人の市民で何人の中期ぐらいまでの認知症の方を支えられるのかという、そのピラミッド構造はあるのですか?」
新田氏
「国立の小さな町ですが、認知症の方が何人住んでいるかという地図をつくっています。その地図をもとに、じゃあ、その町で誰がそこに必要なのかと。現在は介護保険サービスだけですが、とても足りなくなります」
反町キャスター
「橋本さんは、このモデルどう見ますか?」
橋本議員
「とても良いモデルだと思います。もちろん、モデルですから、これから改良、改善をされると感じていらっしゃる部分もあると思いますし、我々としてはどうやって、全国のそれぞれの自治体に同じようにしてもらうかと。自治体に限りません、地域にしてもらうのかということはまだまだこれからなので、課題は多いと思っています」
新田氏
「私から見るとまだまだザルですね。もっともっと必要ですね」
反町キャスター
「それは人が必要なんですか?」
新田氏
「人も含めてですね。普通の市民で結構です、専門家ではなくても。たとえば、退職した人達とか、皆さんを巻き込むというか…人が必要です」
反町キャスター
「仕事としてやるのではなくて、町の人達が気をつけて、皆をお互いに見ている、ケアする、柔らかな連合体みたいなイメージ?」
新田氏
「できれば、そこにワンコインのような就労があってもいいと思います」

橋本岳 厚生労働政務官の提言:『自分ごととして向き合う』
橋本議員
「率直に言って他人事ではない、誰か特殊な人がなっているという話ではなく、将来で言うと5人に1人がという世界の話ですから、自分、もしくは自分の家族が、近所の人がということを考えなければいけない時代だと思っています。そういう意味で、自分ごととして向き合う。オレンジプランの中でも政策づくりに当事者、あるいは家族の人にちゃんと入ってもらうという話を書いています。そのぐらい皆で政策というのを進めて行くんだという視点がすごく必要だと思うし、その原点は自分ごと、他人事ではないよなと思うということをどれだけの人に普及させるかということだと思います」

新田國夫 全国在宅療養支援診療所連絡会会長の提言:『認知症を受容し、認知症の方の生活モデルへ変換』
新田氏
「認知症を当たり前に受容し、認知症の方の生活モデルへ変換ということで、どうしても認知症は病気なので医療モデルになりがち。認知症の方の生活モデルということを大切にして私達はやっていきたいなと思っています。認知症は生活障害なので、生活障害に対して私達は医療も含め、どう向きあうかということだと思います」

千場功 若年認知症家族会・彩星の会顧問の提言:『認知症の人が廻りにいたら、その方を中心に新しいコミュニティを』
干場氏
「これはこれから若年も含めて認知症の方が増えてくる。地域の力を借りていかないと、現在、施設もそうだと思いますが、オレンジリング(認知症サポーターの目印)を持っている方達が、それに参加していくことによって、知識を得て、周りが育っていくのかなと思っています」