プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2015年2月19日(木)
来年度予算案徹底検証 空前96兆円歳出の行方

ゲスト

後藤茂之
自由民主党日本経済再生本部幹事長 衆議院議員
大串博志
民主党役員室長代理 元財務大臣政務官 衆議院議員
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員

96.3兆円予算案を検証 増えた税収の使い道は
秋元キャスター
「予算の総額が96.3兆円と前年度から4500億円以上の増加としました。歳入を見ていきますと、税収が前年から4.8兆円の増加。この増えた収入の分で新たな国債の発行を抑えた形になっていますが、それでも36.8兆円の国債発行で歳入を賄なっている状態です。一方、歳出ですけれども、国と地方の政策経費が72.8兆円と。過去に発行してきた国債の利払い費や満期を迎えた国債の元本支払いをする償還費用など、この国債費も23.4兆円にのぼっています。さて、後藤さん、総額としては膨れ上がりながら、財政にも目配りしたという様子も見えるのですが、その経緯、支払具合、どのように見ていますか?」
後藤議員
「今回の予算は、経済再生と財政再建の両方に目配りをしている予算だと思います。重点分野、たとえば、子育てだとか、あるいは中小零細事業者への対策とか、そういうことをしっかりやりながら、一方で、社会保障の自然増については、たとえば、生活保護の加算の見直しをするとか、それなりの効率化、合理化をしっかりとはかっていく。しかし、96兆3000億円の税収に対して税収が54兆5000億円ということですから、そういう意味では、まだまだ財政の姿からいうと十分に財政が再建されている姿でないという問題点はあると思います」
大串議員
「規模は毎年、社会保障費の増加。今年はそんなに多くなかったですけれども、国債費の増加。これもありますので毎年毎年大きくなってくるという、これは必然の流れになってきている。それをどうコントロールしていくのか。その中で、どうメリハリを利かせるのかというのが鍵だと思いますが、今回の予算は補正予算と同時に組んでいると。補正予算の中で通常の本予算の中でやるべきようなお金もそこに入れて、他の本予算の中で、特に、今年は2015年度のプライマリーバランスの半減目標を達成しなければならない年だったので、それを達成できるようにつくり込んだ。そのために先ほど申し上げたように、補正予算にも取り込む分、前倒しで取り込んで、本当に補正予算として使えるのかと疑念になるような予算も取り込んで。かつ税外収入等々、一緒懸命に積み込んで、2015年度のプライマリーバランス半減目標を何とか達成したように見せたという形の予算ではないかと」

安倍政権の重点政策は
秋元キャスター
「主要経費別に増減を見ていきたいと思いますが、年金、医療、介護、子育て支援など、社会保障関連は前年から増えまして31.5兆円。この細かい内訳ですとか、使い道は後ほどじっくり検証したいと思います。その他、増額されている経費としましては、公共事業が26億円増。それから、防衛関係が953億円増と。中小企業対策が3億円増となっています。一方で、削減された経費もあるんですけれども、文教・科学振興が717億円減。エネルギー対策が675億円減。この下の欄にあります地方交付税交付金などが6067億円減となっています。さて、後藤さん、これらの予算配分のメリハリ、増減の意味合い。どう見ていますか?」
後藤議員
「目立つのが、社会保障1兆円伸びて3.3%と。増減率からいうと伸び率が高いと。これは社会保障の充実のために政策を発動しているということもありますし、また、制度が変わらなくても、自然増で8300億円ほど、要求時に伸びているということもあって、相当に高い伸び率になっているところだと思います」
反町キャスター
「防衛予算が4.9兆円、953億円増の4.9兆円ですけれど、防衛省の予算が伸びていることになっているのですが、安全保障の予算の全体を見ると、他のところに比べるとちょっと伸び率が大きいと思う部分が、社会保障を覗けば。ここの部分どのように理解していいのですか?」
後藤議員
「防衛関係費は、大きく2つの部分に分けられると思いますが、1つは、中期防対策経費ということで、この中期防の関係で383億円になっています。これがプラス0.8です。これは、中期防で2026年から2030年まで平均伸び率0.8で伸ばすということで計画通り、一応計上しているということなので、全体が引き締まっている中で、相対的に高くなっている。それから、もう1つは、過去、米軍再編関係費、これが578億円増えていまして、これについては、いわゆる沖縄の負担軽減と米軍再編ということの事業の進捗にあわせて、歳出を計上しているので、そちらの方も570億円ということで大きくなっていると思います」
反町キャスター
「今回の96.3兆円というこの規模をどう見ていますか?これはやむを得ないと見ていますか?」
森信教授
「27年度予算は、社会保障などはしっかり切り込んでいるという感じは、印象は受けました。ただ、敢えて批判させていただきますと、先ほどから話が出ているのですが、補正予算、ここで今年度の剰余金を使いきっている。一部、国債の償還に充てるものがありますが、要するに、予定外の税収が入ってきたら、借金を抱えているわけですから、当然その借金の返済にまわすと。つまり、国債の今年の、本年度の発行額を抑えるとか、そういったふうにまず使うのが普通の家計の感覚だと思うんです」
反町キャスター
「3.1兆円でしたっけ、補正って?」
森信教授
「はい、そうです」
反町キャスター
「たとえば、それを、もし補正に使わなければ、国債発行額を3兆円減らせたかもしれない。そういう話ですね」
森信教授
「そうです。つまり、当初予算は毎年、立派なんです。だけど、そのあとだんだん景気対策だと言って、補正予算が規模で決まるわけです。3兆円だ、5兆円だという。そこで、本当に論理のない世界になっていくんです。これが繰り返されてきて、現在の財政の状況になっているという面があるんです。そこをしっかり議論していくべきだと思うんです」

地方創生か バラマキ財政か
秋元キャスター
「実は今回、これらの項目、それぞれに様々な政策経費として、数多く盛り込まれている来年度予算の目玉と言われるものがあるんですけれども、それが先ほどから話に出てきていますけど、地方創生関連の政策。総額で7225億円の予算が計上されています。政策の柱が4つあります。雇用の創出と拡大。新規就農やモノづくり産業の支援など。地域への人の流れを増やすと、農産漁村の活性化、地方の私立大支援などとなっています。それから、若い世代の結婚、子育て支援。幼保施設の利用者負担軽減ですとか、雇用対策などです。それから、地域インフラの整備。国交省による地域公共交通の維持、整備事業。環境省は、廃棄物処理施設の整備などですけど、これら10の省庁にまたがって、様々な政策が並ぶんですけれども」
反町キャスター
「総額が7225億円、地方創生関連予算と我々は思っているのですけれど、先ほど、後藤さんの話では、いや、そうではなくて、他のものを全部含めて3兆円規模という話になっていますね。残りの部分、2.3兆円。それはどこにあるのですか。予算以外のところからきているのか?」
後藤議員
「いや、そうではなくて、0.7兆円が、7225億円が、これが国の現在、ここにあげられているような関連予算です。その他に、地方創生の取り組みを応援するための、地財の歳出に1兆円分事業費。これは一般財政を中心にきちんと計上してあります」
反町キャスター
「96.3兆円の中に入っているのですか?」
後藤議員
「入っています。それから、1.3兆円が、たとえば、人口減少対策だとか、地域のつくりを行うための医療介護だとか。こういうものはもちろん、社会保障関係費の中にも入っているのですが、しかし、それは地域の医療介護を包括ケアシステムでつくること自体は地方創生の1つの重要なパーツですから、我々は地方創生関連予算といった場合は、単に7225億円だけではなくて、そういうものを含めて、地域が自分達の地域コミュニティを支え、どういう地方をつくっていくのかということの取り組みとして、地方創生関連を3兆円と俗に言っているわけです」
反町キャスター
「大串さん、今の話を聞いていると、同じ1兆円でもこちらからは社会保障予算だよ、こちらからは地方創生予算だよと、いろんな見方があることを、多面的に、あるいは二重評価かもしれない。ここはどう評価されますか?」
大串議員
「予算がどれだけわかりやすいのかという観点からすると、要するに、全ての予算は最終的に地方で使われるわけですから、地方で使われるという括りの中で使われてみると3兆円だったというだけの話であって、地方創生にこんなに増えたのと思われると誤解になると。つまり、7000億円は、先ほど申し上げたように、6000億円は通常の予算。1兆円は地方財政対策のところで、特別な事業として積んだので1兆円とおっしゃいましたけれども、地方交付税交付金は見ていただいたように、15兆5000(億円)ですけれども、マイナス6000億です。社会保障の1.36と言われたのも、もともと消費税財源として社会保障に上増しされる分、予定されていた分を地方で使われるからということで、あわせて勘定をしましょうというだけの話なので、石破さんが言った、異次元だと、何か新しいのだと、増えたんだというのとはほど遠いと私は思います」
反町キャスター
「森信さん、これはどう見たらいいですか?要するに、今回の予算を決めるにあたって、ある官僚の方は、ここにいらっしゃる方は皆さん、官僚の出身ですが、聞くと、地方創生とつければ通るんだよという人もいました。そういう意味でいうと、今の話を聞いていると、つければ通るというのが集積すると7225億円なのかなという印象を持ってしまうんですが」
森信教授
「これは民主党時代の事業仕分けの時もそうでした。結局、事業仕分けで対象になると、そこは削られるのですが、また別の形で同じようなものが戻ってくるわけです。だけど、歳出削減というのは、よっぽどしっかりした基準で見ていかないと、お金に色はないですから、別の項目でクルッとまわって出ているということがあるんです。そうすると、総額で抑えるとか、これから議論となりますが、プライマリーバランスを黒字化するとか、そういったマクロの指標で見ていかないと、個々の政策経費で歳出削減だと言っても判別がつかないです」
反町キャスター
「そうすると、今回、地方創生に力を入れた予算だと政府は言います。森信さんから見て、地方創生に力を入れた予算に見えますか?」
森信教授
「これは補正予算で3000億円ぐらい、一応、地方創生に使っています。4200億円あわせると、1兆円を超えるんです、先ほどの7000億円とあわせて。つまり、私からすれば、これは後藤さんから怒られるかもしれないけど、地方創生、新しいものをつくるんだけれども、1兆円規模。規模ありきです。相場ありき。1兆円ぐらいは予算を積まないといけないよねというところがまずあって。そのために先ほどからいろいろな工夫をしていくわけですね。ですから、そういう意味では、1兆円も、それは出すわけですから、当然、効果はあるとは思いますけれど、予算の本来のあり方からすれば、これは本当によく国民にも見えないし、そこは大きな問題だと思います」
反町キャスター
「もう1点。今回、地方創生と言って地方創生担当大臣もつくったけど、地方創生省という役所はありません。石破さんは、それに関連する予算は全部、僕が目を通していくんだ。国交省から上がってきた予算も、厚労省から上がってきた予算も、全部見るんだと言っていますけれど。結果的にこうやって見ると、たとえば、農村振興は農水省だし、交通機関整備は国交省だし、子育て支援は厚労省だったりするわけではないですか。いろいろな省に結局、理念はあっても、ばら撒いていることによって、本来1つの、もし地方創生省という省があれば、その省の予算としてギュッと集約できる部分が、バラバラにやることで、その分の事務経費とか、省間の縦割りの弊害があるとするなら、そういった部分に食われているところがあるのかどうか」
森信教授
「それはずっと長年の課題で、復興の時もそうでした。結局、縦割りで、全部復興予算もつきますから、これをどうやって本当に、おっしゃるように無駄な行政経費を省いて、統一的にやっていくかと。永遠の課題ですよね。地方の方に、塊で渡して地方でやってくださいというのが本来のあり方かもしれませんが、しかし、地方にこんな言い方は悪いですが、そんな地方に知恵があるわけでもないです。だけど、霞が関に知恵がある。するとどうしても、地方に全部お金だけを渡してしまうと、非常に無駄も多くなる。たとえば、かつて竹下さんの時に1億円を配りました。金のこけしを買った。だから、地方にすれば、本当、住民にあったもので使われるということでもないわけなんですよね。でも、そこは工夫をしていかざるを得ないと思います」

年金・医療・介護・子育て 社会保障費の充実と削減
秋元キャスター
「社会保障関連の予算は、前年度から1兆30億円増えまして、31.5兆円規模となっています。その内訳を見ていきたいと思うのですが、予算の割合としては、年金が11兆円、医療9兆円。3分の2近くをこの2つが占めていることになっています。ただ、前年度からの増額の幅、赤い字で見ていきますと、子育て支援ですとか、雇用対策などに使われる社会福祉費の方が年金よりも増えているんです、額として。結果、全ての項目で予算としては増えているという状態ですけれども」
後藤議員
「消費税は、税率を18か月延ばすということになりましたけれども、基本的には社会保障と税の一体改革の社会保障メニューはやっていくということが基本です。ですから、財源が1兆8000億円あったのですが、それが1兆3500億円に減ってしまいました。しかし、その中で子育て、子供対策等は当初予定していた5000億円をほぼやっています。それから、医療保険制度のところもだいたい予定通りやっていまして、そういう意味では、社会保障と税の一体改革をできる限り進めていくという予算になっていると思います」
大串議員
「これだけ格差が広がった印象が世の中にある。つまり、非常に厳しい状況にある方が非常に厳しい状況。この社会保障はこれを直すために非常に大切です。その社会保障が格差を直すために、うまく働いた社会保障の予算になっているかというと、現在、社会保障と税の一体改革の中の消費税財源を使って、増やすのは増やしたとはおっしゃいましたけれども、一方で、たとえば、介護、医療に関する新しい法律が昨年通って、後藤先輩はその時の厚労委員長さんでいらっしゃいますけれども、たとえば、介護に関して、要支援1、2の部分を国がやらないと、地方事業にするというような、介護切りと言われていることが行われる、あるいは介護に関する報酬改定、マイナス改定です。これは、介護の担い手がもう、新しい介護の場所をつくっていくのをやめようと。たたもうという話も聞きます。今後介護難民が増えるのではないかというような不安もある」
反町キャスター
「要支援1、2、要介護1、2、3、4、5といく中で、要支援1、2の軽度の要介護の人達に対しては、ヘルパーさんの家への派遣とか何とかというのは、今度は、自治体の負担にまるまるなっていくのですか?」
後藤議員
「違います。財政負担は一緒です」
反町キャスター
「何が変わるのですか?」
大串議員
「これまでは介護保険の中で1つ1つのメニューとして介護保険料を払った人の権利として、このような状況になった時にはこのサービスを受けられますと国がきちんと責任を持ってサービスを提供するようになっていたんです。それをお金は渡しますけども、あとは地方でやってくださいと。そういうことなので、地方によって財政力の厳しいところもありますから、厳しいところは従前に、これまで国がやったのと同じように提供できなくなるところもあるでしょうということで、町長さんなんかは心配しているんです」
反町キャスター
「それは国の財政負担を減らすことになるのですか?」
後藤議員
「国の財政負担は減らさないです」
反町キャスター
「変わらないですよね?」
後藤議員
「そういう前提であることは理解していただかないと。しかし、将来、長い目で見た時に、たとえば、先ほど言ったように買い物に行くとか、お掃除をして差し上げるとか、そういう事業を単価の高いヘルパーさんが全部やる事業から、一部、総合支援事業に変えることによって、将来的にはどんどん上がっていってしまう。その制度を始めた時には保険料が2000円だったのが、現在5000円です。あと数年経ったら、5800円とか、8000円だとか、というふうな介護保険の保険料の伸びを抑えていって、介護の支出も長い目で見た時には、抑えられるような仕組みにしたいと思っていることについては事実ですが、少なくとも現在、足元の予算について減らすとか、そういうことではないです」
森信教授
「現在の、先生方の議論というのはきちんとやっていますと。決して削減していませんというような説明です」
反町キャスター
「と言うのが、自民党の説明です。民主党は危ないぞと?」
森信教授
「でも、もっとやれという話ですね、しっかりと。だけど、現在問題になっているのは財政再建ですね。社会保障の効率化です。そうすると現在の説明のメンタリティと逆な話が本当は必要です。もう1つ、切り込みが。これが選挙民の前ではなかなかできにくいというのは現状だと思うんです。そうすると、まずそこのメンタリティを変えないといけないのがあるのですが、私はもう政府のこまごました話だけではなくて、たとえば、今度、来年1月からマイナンバーが入りますね。そういった新しいツールを使って、たとえば、現在所得比例になっている、所得と言っても家族の合算した所得なんかわからないです。社会保障はだいたい所得に応じるわけです。だから、この番号を使って世帯の所得を把握するとか、もっと金融所得で、資産を持っている人に社会保障から遠慮をしてもらうとか、そういう大胆なことをやらないと、やっつけました。何とか減っていませんというようなことでずっとやっていると、いつまで経っても財政再建できない。社会保障の効率化というのは絵に描いた餅だと思うんですね」
秋元キャスター
「昨年より国債発行というのは控えめになったわけですよね、その点というのはどのように評価されていますか?」
森信教授
「これはそれなりには評価していますけれど、先ほど言った補正予算の問題があって、お金が余ってるんだったら、本当は国債発行を減らすことができたはずだということがあると思います。それでちょっと説明したいのですが、これは先進国の財政収支を経緯で並べた、2008年から並べたものです。2009年というのがいわゆるリーマンショック予算で、各国とも税収が落ちたりして、非常にボトムの時ですね、2009年が。2009年から2015年あるいは14年ぐらいまでどうなっているかというと、アメリカが1番すごいですが、これGDP比ですから、GDP比の財政バランスを半分ぐらいにしてるんですね。GDP比6%もアメリカは改善しているんですよ、リーマンショックのボトムから。それで他の国も見てください、全部ドイツはプラスになっているんです。要するに、どの国も全部そのボトムからは順調に回復の方向にあるのですが、日本はこの2010、2011、2012年は悪化していました。アベノミクスになって少しずつ回復してきているのですが、このペースを見ていきますと、大きくそれ以外の先進国からとり残されている状況にあるわけですよ。つまり、同じように大きなショックを受けた、財政が悪化した。しかし、それをそのあと各国いろいろ、主に歳出削減によってバランスを回復しているのですが、それが日本だけができていない、遅れているという姿がまずあるわけですよね。もう1つはよく言われていますように、安倍総理が2020年にプライマリーバランスを黒字化するということを国際公約されているわけですね。そのプライマリーバランスの話をしたいのですが、まず言葉がプライマリーとついているんですね。プライマリーとはどういうことかと言うと、プライマリースクールは小学校ですよね。つまり、幼稚園、小学校のレベルの財政再建目標ですよ。プライマリーというのは、初歩的なという意味でですよ。日本で基礎的な、と言っていますけれど。つまり、なぜ初歩的かと言いますと、先ほどのように日本はまだこんなに残っていて、これを一変に、各国、他の先進国みたいに財政収支を突然黒字化してくことができないんですよ。その一歩としてプライマリーバランスというものを、黒字化しようと言っているわけです。つまり、これから私が説明しますプライマリーバランスというのは本当に財政再建の第一歩、初歩的な基礎、基本。どういうものかと言いますと、わかりやすく言うと当年度の税収、入ってくる税収があって、その税収の範囲内に当年度の政策経費を抑えると」
反町キャスター
「そうすると、プライマリーバランス達成になる?」
森信教授
「入をはかって出を制すと。バランスさせると。これがいわゆる赤字の方が、PBの政策経費が飛び出ているから、飛び出ているのはどういうことかというと、この部分が来年度のツケになってくる、赤字になってくるわけです。今年度へツケをまわしている。それはやめましょうというのがプライマリーバランスです。ところが、プライマリーバランスをバランスさせても、過去からの借金があるわけです。ストックベースになってないですが、各国からのストックがあると。そのストックに対して国債は償還していかないといけないし、また金利も払っていかないといけないと。だから、プライマリーバランスをバランスさせたとしても、(借金が)残っている限りは財政がどんどん悪化していく可能性があるんです。だから、プライマリーバランスの黒字化というのはまさに第一歩であって、その後、プライマリーバランスの黒字を使って、国債の残高に対する償還とか、利払いを少しずつ減らしていくということをやっていく、これで初めて財政再建です。財政収支がGDP比で減っていくということになるわけです。だから、我々2020年プライマリー黒字は大きな財政目標に思われますが、実はそれはまさに第一歩であって、その先にはもっと大きな、本当に大きな次の過去の積み上がってきた国債を全部返せと言うのではないですよ。GDP比でその残高をコントロールできる様なレベルに持っていきましょうと。これが本当の財政再建です」
後藤議員
「2020年度にプライマリーバランスを黒字化するというのは、何としてもやらなければいけないと思っているわけです。今後プライマリーバランスを黒字化するために、2020年の目標を堅持するために、夏までにその道筋、具体的な方策を含め、きちんと検討するということを政府も約束していますし、党の側でも財政改革の特命委員会をつくって、党側でもそれをやっているし、政府側もそれを具体化するための道筋をしっかりつくっていくと。その場合に、成長率がどのぐらいかということも財政の議論としては大事です。もう1つ言えば、歳出カットがどのくらいできるのか。歳入をどのくらい増やせるのか。その3つを組みあわせながら、2020年度のプライマリーバランス黒字化について断固堅持するというのが、消費税を延ばした時の総理の記者会見でマーケットや国際社会に対する国際公約でもあるし、そのことは堅持すると考えています」
反町キャスター
「この危機感は民主党も共有しているのですか?」
大串議員
「財政に関する危機感は共有しています。だけど、おっしゃった国際目標は、実は私が財務政務官の時に当時の菅財務大臣、春にG7中央銀行会議があった時に、日本は財政赤字ではなく、基礎的財政収支の目標を2015年にということで、ある意味受け止めてもらって、初歩的なスタートでしたけれど、始めたんですね。大切なのはコミットメント、つまり、ガッチリがんばるという国としての意志だと」

どう減らす?国の借金 経済再生と財政健全化
秋元キャスター
「政府の財政諮問会議が基礎的財政収支の改善の見通しについて新たに試算を発表したのですが」
森信教授
「9.4兆円(の赤字が)あるということで、誰が考えても、半分は歳出削減で、半分は税負担の増加でということで、ちょっとロス、直感的にそう思いますね。だけど、やり方としてはとにかく歳出削減をやっていくことだと思うのですが、私が言いたいのは、歳出削減と歳入増加、増税も含め、これは決して白か黒かということではないです。何か歳出削減は白で、増税は黒みたいなイメージがありますね。だけど、考えてみたら、たとえば、医療費の歳出削減でいうと自己負担を上げることですよ。自己負担が上がると歳出削減されますね。しかし、自己負担が上がるわけですから増税と一緒ですよね。あるいはもう1つ年金で言えば、年金の支給開始年齢を2歳ぐらい遅らせる。これは歳出削減ですよ。65歳を67歳にすると。だけど、これはそこの人にとってみれば、2年入ってくるものが入ってこない。これは税負担の増加ですよね。同じですよ。だから、この歳出削減と税負担の増加というか、増税は決して白か黒かではないですよ。だから、いろんなことを、まず歳出削減をやっていけば、これはもうこんなに歳出削減されるのであれば、自己負担もこんなに上がるのであれば、それはもう増税してもらった方がいいよという時代がくると思うんです、瞬間が。たとえば、保険適用で、これから抗癌剤だって、アルツハイマーだって、どんどん高い薬が出ていて、それが全部、保険適用できませんということになりますと、1000万人近い人がアルツハイマーという、私も可能性ありますが、そういう時代に、ある程度は日本の保険を効かせてほしいよねという国民の声が出ると思うんですね。だったらそれは負担を上げるしかないよねという声が出てくると思うんですよ、いつか。そこまでは歳出削減でがんばるべきだと思うんですよね。ただ、早急に歳出削減をやる。しかし、歳出削減は介護費用をちょっと上げただけでも、新聞も大騒ぎですよ。介護切りみたいな、先ほどの話ではないですが、だから、これは言うは易く、行うは難しという、各論でいけば…」
反町キャスター
「現在の日本の財政状況を見た時に、我々のメディアの報道含めて、日本国民の危機感が薄いと感じになっていますか?」
森信教授
「それに尽きると思うんです。ドイツは財政黒字にしているわけですよ。消費税を16%から19%にメルケルさんの時に上げているんですね。だから、ドイツは財政への危機感がありまして、バランスがいいのにもかかわらず、彼らは黒字になっていなければ気がすまない国民ですよ。これは背景にあるのは、戦後の大インフレがあって、そこからきていると思うんですね。日本はそこが抜け落ちている」
反町キャスター
「2人に一言だけ歳出削減とか、財政均衡に向けた気持ちを聞かせていただきたいのですが」
後藤議員
「2020年度のPB黒字化は何としてでもやらなければいけない。そういう案をこの夏までにきっちりとつくるというのが、政府の公約であり、自民党の公約ですから、しっかりやる」
大串議員
「正直に国民の皆さんに危機感を持っていただくのが大切なことだと思うので、先ほどの基礎的財政収支ですけれども、経済再生ケースで言っても2020年度は9.4兆円の赤字だと、こうなっています。民主党政権の時には経済成長再生ケースをとらない、より保守的な見積もりで、ベースラインケースで見ても2015年、2020年に達成できるようにしようとしたんですね。なぜならばこの経済再生ケースは名目の平均成長率3.6%を前提としていまして、本当はもっと厳しいと思うんです。そういう本当の姿を見たうえで、その前提でやってきたから、私達は社会保障と税の一体改革、消費税の問題を正直に国民の皆さんに言わなければならないという判断になったんですよ。国民の皆さんにきちんとした像をお伝えするのが大切なのだろうなと思います」

後藤茂之 自由民主党日本経済再生本部幹事長の提言:『国のかたち』
後藤議員
「予算というのはまさに国のかたちだと思います。予算が多いと嬉しいということはあるでしょうけれども、受益と負担というものに責任を持って、国のかたちを予算と財政で示していくということだと思います」

大串博志 民主党役員室長代理の提言:『格差↓』
大串議員
「基本的に財政というのは再配分機能ですから、税をいただいてそれをお届けするべきところにお届けする。それを野放図にならないで本当に必要な方々にお届けすることによって、格差も直しつつ、国の財政を立て直していく。その2つの目的をしっかり追っていかなければいけないと思います」

森信茂樹 中央大学法科大学院教授の提言:『まずは徹底した歳出削減を』
森信教授
「ちょっと具体的なことを言わせてもらうと、たとえば、マッサージは、保険適用を現在受けていますから、どんどん増えていますね。これで4000億円の保険の財源が使われているんですよ。こういうのはきちんとメスを入れて、本当に歳出削減をやるのであれば、きちんとやるべきだと思います」