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2015年2月17日(火)
探る“現場の景気観” 中小企業の誇りと苦悩

ゲスト

山際大志郎
経済産業副大臣 自由民主党衆議院議員
呉本啓郎
明晃化成工業社長

アベノミクスの効果は 東大阪・中小企業の現状
秋元キャスター
「東大阪市、その周りには、たとえば、加工技術を有する企業を中心に700社ですとか、機械、金属製造企業を中心に900社ですとか、機械部品製造技術の企業を中心に1200社など、これら様々なジャンルの多様な技術の企業を中心に3800社ほどあるということです。東大阪市は、日本屈指のモノづくりの町で、従業員30人未満の工場が全体の9割を占めています。昭和30年代から多種多様な製品がつくられていて、何でもつくれる東大阪、何でも揃う東大阪と。国内からだけでなく、海外からも高い評価を受けているということですが、呉本さん、東大阪でのモノづくり、企業の特徴というのはどのあたりにあるのですか?」
呉本氏
「東大阪は分業制がそれぞれの仕事によって分かれてしまして、私どもの子供の時はそれが普通だったので、そういうものなのだろうと思っていたんですけれども、仕事をするようになって、いろんな地方に行くと、東大阪は非常に細かく分業がなされているんです。たとえば、金型工場だったら、金型工場の中に、たとえば、ワイヤーカッターと言って、ワイヤーの大きな鉄の塊を切るような装置ですとか、あとフライスであったり、旋盤であったり、いろんなものが揃っているのが、現在たぶん日本でいえば、一般的なのかもしれないんですけれども、大阪の東南部あたりですと、金型屋さんはもともと昔は、フライスと旋盤ぐらいで、たとえば、ワイヤーカッターは、ワイヤーカッター屋さんに持って行ってワイヤーカットをしてもらって、フライスで削って、当時はまだ、現在は普及しましたけれど、NC(旋盤)というコンピューター制御のフライス、削るものです。そういうものが、昔はあまりなかったので、たとえば、曲面の加工ですと、NCフライス屋さんに、NC屋さんと言うんですけれど、NC屋さんに持って行って、削ってもらうというような形で、本当事細かに」
反町キャスター
「一工程ごとに工場がある?別々の店の」
呉本氏
「そうです。ですから、私どもが子供の頃、たとえば、穴を開けることばかりをしているおじいちゃんがいらっしゃった。画面に映っているのは、磨き屋さんですけれども、金型を磨いている専門のところです。これは溶接屋さんですけれども、ここは金型の溶接専門です。ですから、工場の中に溶接の設備があってというのではなく、溶接専門です」
反町キャスター
「なぜ、メガネを覗いて溶接しているのですか?」
呉本氏
「ここは非常に地元でも有名な、著名な、腕のいい溶接屋さんで、顕微鏡のようなものを見ながら、すごく細かい溶接をするんです。金型は溶接できないものという認識が一般的です。実は、東大阪とかでは、大阪の東南部の方では、私どもが子供の時には金型は普通に溶接していたものです。なぜかと言いますとか、熱をかけますので、歪んだり、反ったりするわけです。と言うことは、寸法が狂ったり、金型のかみ合わせが悪くなったり、全体が歪んでしまうと、金型として使えなくなってしまうので、金型に溶接の熱をかけるなんていうのは普通、一般的には考えられないみたいですね。ただ、こういった溶接屋さんとか、地元でも金型専門でやっている、こういう設備がなくても、腕のいい、金型を歪ませないように、上手に溶接をするおっちゃんがいまして、結局、ボール穴を開ける人もそうですが、たとえば、市販の刃物を買ってきて、そのまま使わずに、自分で刃物を加工して、こうやってみながら、ヤスリとかで削ったりしながら、つけたりして。穴を開けるにしても、熱を持ちますから、あとビビると言うんですけれども、震えるんですね。寸法が出ないとか。そういうのも全部わかったうえでビシッと寸法を出す人とか、そういう、結局、分業制でそればかりやっているので名人が育つんです」
反町キャスター
「材料から、加工から、製品までというのに、全部通しで、一気通貫でやるところというのは少ないということですよね。皆、材料をまず一次仕入れでどこかに入ったら、カッター屋さんがいてみたいな。次のところは旋盤屋さんのところに行って、そのあと削ってというところで、研磨を変えてみたいな、組み合わせてみたいな。製品ができる過程において店から店へどんどん原材料が形を変えながら動いているわけではないですか。そういうことでよろしいのですか?」
呉本氏
「昔はそうです、特に金型は高度な技術だと思うんですけれども、金型の場合は、金型屋さん、金型師の方というのがプロデューサーです。彼が金型をつくるのでも、どういった金型の構造にしようかというのは金型師によって全部違うんです。大方は似ていても、こういうつくり方をした方がとる分が少なくなるとか、どれぐらいつくるのか、何万枚ぐらいです。安くつくろうかということで、安い金型のつくり方をすることもあれば、何百万枚もつくるんです。こういった材質で、こういう金型をつくろうかということを、金型屋さんが決めて、それに対して金型の設計をして、それに必要な加工を、金型屋さんに言って、いろんなところに出して、集積して、最後に組み上げて、金型にしてあげる。ただ、最近はそれぞれの工場でできることが増えてきたんです。と言いますのは、NC技術、要は、コンピューター化が発達しましたので、現在も図面などは企業からデータでくるんです。そのデータをそのまま機械に入れると、機械がある程度、勝手にやってくれるようになったので、ですから、加工時間もはやくなるので、金型の値段自体も下がりますし、仕事の絶対量というのも減りますし、先ほど出てきた彫刻とかでもそうですけれど、現在NCで彫刻もだいたいデータで彫れるので。ただ、あの職人さんでないと彫れない彫刻というのがあるんです。たとえば、文字が細かい、小さい。NCでやるとぼやけて見えない。先ほどの彫刻の職人さんでも、刃物を自分で全部削って、機械を改造して高速回転にして、細かい文字でもきちんと出すような、そういう腕を持っているんですけれど、ただ、そういった仕事でも現在8割、9割はNC、コンピューターでできたら、金型屋さん(ではなく)、自分のところでやるでしょう。でも、1割でもこういう職人さんしかできない仕事というのがあるんですけれど、仕事の絶対量は減るではないですか。だから、そういう仕事は必ずあるんだけれども、絶対量として減っているから、職人さんの仕事は減っていると」
山際議員
「社会全体の流れの縮図だと思って聞いていました。これは実は我が党の中で、政府ではなく、党の中で30年先の日本の社会、世界はどうなっているかということを議論している場があって、あらかたロボット化で、現在技術者がやっている、技術者しかできないようなことがロボットに、とって変わられる世の中になるという、あまり考えたくないかもしれないけれども、おそらく現実になるであろう。そういう議論をしているんです。ご説明いただいたのはまさに、そのことが1つ、1つ進行していて、まだ過渡期ですから、職人さんではないとできないことがあるけれど、しかし、あと10年先、20年先にはそれも全部、機械がやるということになっていくのだろうなと。即ちそれぐらい産業の構造転換を現在のうちから考えて、職人さん達に新しい仕事として何をやっていただくのかということを真面目に考えていかないといけないのかなと、そう感じます」

アベノミクスの効果
秋元キャスター
「東大阪の中小企業の、若手経営者の方達に集まっていただいて、現状についてお話を聞きました。『大手メーカーが海外に行って開発もついて行ったので、発注は減る一方』『まだ個人客の財布が固い』とか、『中古機械の販売では、設備を変える客が増加しているので、海外輸出販売好調で、アベノミクスの渦中にある』と。その他、『アベノミクスのおかげで円安になり、恩恵は多少受けている』だとか、『日本製にこだわらなくなってきているので、海外で最終製品にして仕入れてくるケースが多い』という声も他にありました。大手メーカーが開発拠点を海外に移しているとか、メイドインジャパンにはこだわらない現状ですとか、さらに中古機械の売買が、海外が主戦場になっているという、海外にお金が流れてしまっている現状を指摘する声も多く聞かれたわけですけれども」
反町キャスター
「基本的に安倍さんは、アベノミクスとトリクルダウンは違うと国会でも発言しているんですけれど、ただ、システム的にはまず大企業を元気にし、その元気さが全体に滲み通るのを狙っているということは、そうだという人が世の中に多いのですが、ここまでの中でアベノミクスによって大企業がある意味、円安効果もあって元気なところが非常に増えているという状況で、その大企業の元気さが、東大阪には滲みているのか、いないのか。そこはどうですか?」
呉本氏
「そこはアベノミクスというのがよくニュース等々で取り上げられていて、言葉は浸透していますね。ですから、挨拶代りに『アベノミクスきている?』『いやいや、全然』というような、そういった挨拶代わりのようなところがあって、私自身はアベノミクスがダメとか、全然思っていないです。アベノミクスはダメと思っていなくて、アベノミクスはいいと思っているんです。ただ、たとえば、シャンパンタワーがあります。シャンパンタワーに上からシャンパンを注ぎます。その時にシャンパンが、上がもうじゃぶじゃぶと漏れ出して、やっと下まで届く。でも、それも均等に届けばいいんですけど、シャンパンタワーのグラスも大きさがバラバラです。ですから、シャンパンタワーに注ぐと、均等に行き渡らずに、あるところはボトボト漏れたり、あるところは海外に行っていたり、あるところは全然届いていなかったりというような現状が、現在のアベノミクスなのかなと、私は感じていて、ですから、アベノミクスが悪いというわけではなく、現在のシャンパンの注ぐのを、第1、第2、下になればなるほど、カテゴリーが細かくなってくるので、第1、第2ぐらいまではそれでいいかもしれない。けれども、第2の後半から、第3の矢には、途中でシャンパンを注ぐような、狙っていくような。たとえば、キヤノンさんも、6割海外、4割国内を、国内回帰にして、6割国内にします。4割海外にしますということを、この間、発表されていましたけれど、でも、4割は海外に行きますよね。ですから、その原理でいうと、大手から海外に漏れるのもたくさんあると思うんです。それでじゃぶじゃぶ漏らしてももったいないので、だったら、もうちょっと真ん中を狙って注ぎませんかと。そういう考えですけれども」
山際議員
「これもビックトレンドです。確認しなければいけないかという気がします。と言うのは、日本は、超高齢化、超人口減少社会に入っているわけです、そのステージに。もちろん、そのスピードを緩めようと目標に掲げていますが、しかし、現実として人口が減る、消費する人々の数が減るわけです。それから、日本のマーケットだけを見ていたら、当然、経済が縮小せざるを得ないわけです。その中で日本の経済を成長路線に、安定的に乗せ込んでいこうというのが、アベノミクスですから、当然、日本国内だけのことを見ていたのでは成し遂げられないわけです。それから、海外の市場をいかに、日本経済に取り込むか。これを皆でやらなければいけないんだと思えば、進んでいくしかないです。それをいちはやく進めるところと、なかなか進めないところというのは当然、斑模様になっているのは事実で、それをシャンパングラスが大きい、小さいと表現をされたのだと思うんです。だから、大変きめの細かいことをやっておかなければいけないのは事実。1つ1つの政策にダウンさせていこうということですが、全体のトレンドを皆で共有しておかないと、これは間違えると思います。ですから、私達は、全体の流れの中で、とにかく前に進もうと思ってやっています。やってきたところを、地域、中小企業、小規模事業者がなかなか最初のスタートに乗り切れていないというところがあるので、だからこそ地方創生大臣という新しい大臣をつくって、まだ追いついてこられないところに対して、より分厚く政策を投下しようと、こういうことをやっているわけです」
反町キャスター
「たとえば、ここのところの、今日の頭のニュースにもありましたけど、国内消費は本当に伸びていない。国内消費が伸びていない中で、国内消費が伸びていないことを理由に、苦しんでいる企業、現在の時点で、ジャッジを下していいものかどうか。それとも、たとえば、今後の円安の流れとか、今後、円高に振れ戻すかどうかとか、そのへんも踏まえた時に、現在の状況だけで○×をつけられるのかどうか。ここもまた難しいと思うんですけれども、いかがですか?」
山際議員
「もちろん、これは○×はつけられないと思います。つけられませんが、それこそ国内の需要が細っていくのは、見ればわかるわけです。現在は大丈夫かもしれません。しかし、5年後はどうですか、10年後はどうですかと、わかっている部分に関しては現在のうちから準備しなければ間に合わないです。ですから、これはきめ細かく見ていく必要がありますが、現在の段階で、丁か半かみたいな話にはなりません。だけれども、その大きな流れの中で判断していくということは当然、きめ細かい政策を打っていく時には必要な観点だと思います」

生き残り戦術と国への要望
秋元キャスター
「東大阪の若手経営者の皆さんに中小企業が今後、生き残るために何が必要なのか。聞いてきました。国内でお金をまわすために、海外に製品を発注し、それを国内に入れる時はハードルをあげるといった意見もあったんですけれど、そのような対策というのは実際に可能なのでしょうか?」
山際議員
「基本的な考え方としては、海外でビジネスをやろうが、日本国内でビジネスをやろうが、同じ条件で、ビジネスができるようにしていくということこそが、私達日本経済が生き残っていく肝であると。こういう基本的な考えを私達は持っているわけです。ですから、自由貿易交渉もやりますし、租税条約等々の締結もしますし、あるいはルールです。基準等々のルールも、なるだけ国際基準とあわせていくように、できれば、日本の基準を国際基準にできるようにというようなことをやるわけです。その観点からしますと、日本企業だけ特別扱いに当てはまるルールというものは、短期的に救うために必要なものはやります。中長期的に10年、20年と考えた時に、そこの部分だけ守っていて、競争力を磨けるかどうかと言ったら磨けません。これは歴史が証明しています。ですから、そこはできるだけ、同じ条件にしていくということの方が、長い目で見れば、得だと。私は思います」
反町キャスター
「呉本さん、いかがですか?確かにこのハードルを上げるというのは、関税でやるにしても、非関税障壁にしても、数量制限にしても、なかなか難しいと思うんですけれども」
呉本氏
「円安にして、輸出が増えてというのも、長いスパンで見たら、そこは解決するという作戦ももちろん、わかります。ただ、急な振れというのは非常に困るなと。副大臣がおっしゃっていることは正論だと思います。正論だと思うんですけれども、ただ、中小企業においては来月、再来月の資金繰りをどうしようという会社がたくさんあるわけではないですか。これで貿易収支が黒字になるのだからというまでのスパンで、その間、バタバタ潰れる会社がいっぱい出てくると思うんです」
反町キャスター
「赤字のところほど融資してほしいというのは、赤字の会社にしか出さない助成金というのは、現実的に、それが本当に中小企業の保護、育成、成長になるのかどうか。そこはどう感じていますか?」
呉本氏
「たとえば、原価100円の仕事を、90円で受けるような人というのは、たくさんいるんです。それはお金をまわして、借金を払わなければならないからです。結局、ここ何か月、下手したら数年も90円とか、95円でやっているんですという方がいらっしゃる。それは持ち出しをして、資産を減らしながらも無理やりやって、ゼロよりかはましなので、それで結局、設備の借金を払ったりとかということで、廃業をしたくても借金があるから廃業できないとか。そんな方もたくさんいらっしゃるわけです。実際よく耳にする話です。机上の経済学では考えられないような現状というのが起こっている中で、そこに対し、たとえば、現在だったら、家は残りますよ。でも、このまま2年も、3年も続けていって、結局、財産全部なくなっちゃったという方もいらっしゃる。そこをうまく、たとえば、廃業支援をしてあげないか。たとえば、年金という言葉が正しいのかどうかはわからないですよ。でも、たとえば、年金が出るのは65歳であれば、たとえば、60歳で廃業した方は、それに準ずるものが何かないのかなとか。何かそういった形の廃業支援とか、年がいって、後継者もいないしという方もいらっしゃるでしょうから、というのが1つ。これは、たとえば、近畿の経産局とか、財務局とかが、3月で実行すると言っていますが、たとえば、2次創業の支援をします。要は、業態転換ですね。現在のままやっていても、競争力がなかったら、いつかはポシャルわけですから。たとえば、業態転換しよう、廃業しようというところはしんどいところではないですか。そのしんどいところがそれをするのに、たとえば、現在の補助金とか、助成金というのは赤字の会社には出ない。実際に、金融機関は赤字の会社には貸さないとか。担保のないところには貸さない。そこは金融庁指導で、事業の内容を見て、たとえば、業態転換の内容を見てとか、そこで貸してあげなさいよというようなご指導はされているみたいですけれども、ただ、金融機関にしても金融機関にリスクがありますから、指導があったところで担保がなかったら貸さないですね。そういう現状の中で、なかなか動くに動けないというところが現状あるのかなと」
山際議員
「現在、赤字だからと言って、それでお金を貸さないということはありません。しかし、先ほど申し上げているように、事業として見た時に、その事業が採算のとれる、将来に渡って採算がとれるものであるのかどうかというのは、きちんと見ていかなくてはいけないです。仮に、採算のとれるものだったら、現在足元が赤字だとしても、きちんとお金がそこに入れば、採算がとれるようになりますが、それが構造上採算がとれない業種になっているという話の時に、そこにお金を入れても、それは不良債権になるだけです。ですから、そういう意味においても、目利き機能というものが必要になってくる。でも、残念ながらその目利き機能というものが働からずにこの20年間、後ろ向きになった20年と言われてきました。ですから、これから金融機関はその事業が本当に将来性のあるものかどうかという目利きを利かせて、融資をするかどうかを判断してくださいということを、昨年の4月から、そう転換はしましたけれども、金融機関とて、そうするように、そちらの方に意識は転換していても、本当に目利きを利かせられるかというと、そこまではまだ利かせられないという過渡期にあることだと思うんです。しかし、赤字だからと言って金融機関がすぐに引くということはないような方向で、現在進めていますし、少なくとも政府系金融機関と日頃からお付きあいいただいているところは、苦しい時には、セーフティネットとして貸し付けてもらえる。もちろん、メニューとしてセーフティネット貸付を政府の側でも用意をしていますから、それを利用していただきたいと思います」

中小企業VS経産副大臣 守れるか?職人の技術
秋元キャスター
「町工場の廃業ということで、職人技が消えていく、こういうことに対しての懸念というのはありますか?」
呉本氏
「ありますね。先ほどの彫刻屋さんはたぶんあの地域であの方だけなんでね、昔は数件あったんですけど。現在60歳ですよね。辞められたあと、副大臣おっしゃったようにいつかは機械でできる様になるかもしれないですけれど、暫くの間、空洞化になりますよね。だって、できる人がいないですもん。昔、海外からお客さんが来て、よく頼まれて工場案内をしたんです、たとえば、中国の方がいらした。昔、町工場に、昔と言っても随分昔、15年ぐらい前は町工場に連れて行くと怒られたんです。当時発展途上の国の方がいらっしゃって、発展途上の国だからと言って、こんな工場を見せて、自分の国に帰ったらもっと大きな工場やってんねんと。なめたら嫌やでと。もっと大きな会社、国でやってんねんでというような形の怒られ方をしたので、たとえば、大きな工場に頼んで、大きな工場でも、当時のラインですよ。ずらっとラインでモノができあがっているところ見せたら、おーっと言って帰ったんです。それがたぶん7、8年前ぐらいからですか。そういうところへ連れて行っても彼らが喜ばなくなった。こんなんはいいねん、僕らもお金を出したら買えるからと。確かにそうですね、私はCDケースですとか、オプトエレクトロニクス分野ですけれど、海外いろんな工場見ますよね、だいたいインフラは、日本製が1番多く、あとはあってもイタリア製、ドイツ製、台湾製とかで、ほとんどが日本製です。インフラは日本製、アウトプットは中国だったり、ベトナムだったり、インドだったり。現在、日本が輸出で、自動車然りですけれど、生きていけるのは、私はメカトロニクスだと思っているんですよ。そのメカトロニクスというのは、現在日本にいる本当の最先端、たとえば、一部の医療分野とか、産業全体の、GDPでいう本当の何パーセントですかというぐらいの本当に一部のハイテク、最先端ではなく、それ以外は海外と戦っているようなもので、日本が現在戦えているところの大きなところは、メカトロニクス。先ほどの話に戻しますけど、じゃあ海外の方が来て、こんな工場、お金を払ったら俺らもできんねん、そんなんよりも職人の仕事を見せてくれと。7、8年前ぐらいから言うようになって、その時、心底怖いって思ったんです。と言うのは、本当に現在メカトロで生きていけているこの国が、メカトロ産業に関してです、メカトロで生きていけるのは高度経済成長の、私らでいう父は昭和19年生まれですけれども、そのぐらいの世代の方々が高度経済成長の中で培ってきた日本の智恵、技術が現在生きていると思うんです。たとえば、自動機械があります。その自動機械のラインを、同じ1億円出して入れました。日本に入れたラインは年に1回ぐらいしか止まらない。でも、たとえば、他の国に持って行くと、たとえば、中国なら中国へ持って行くと、実際中国人の方おっしゃっていましたけれども、週に1回とか、1か月に1回とか止まるんだという話ですよね。同じ1億、2億を出して買っているラインなのに、まったく一緒ですよ。何が違うんだと言ったら、突き詰めるとベルトのたわみがこれぐらいとか、ビスが1ミリ長い、短いとか。結局、高度経済成長の時に蓄えたノウハウの蓄積の集合体ではないですか。それによってうまく動く、動かない、自動車なんてまさに日本製の自動車が壊れにくいというのはそうだと思うし、産業機械もそうだと思うんですよ。怖いのは、私はそういったモノづくりの根幹は職人技術だと思っていますので、大企業でも大企業の中にたくさんの技術者がいらっしゃって、そういった職人技術が、智恵を生み、それぐらいたわませへんかったらトラブルになるとか、というような本当にそういうところの集大成だと思うので、そこがスコンと抜けてしまうと、今後そのトレンドの中で戦うのが、日本につらい時代が、たとえば、ロボット化でも必ず来ると思うんですね」
山際議員
「時間軸の問題だと思います。NCがここまで発展して、モノづくりの9割がNCに取って代わられたということが、物語っているかと思うんですね。現在は、暗黙値、いわゆる『勘』と言われる部分、これは機会ではトレースできないと現在は言われています。しかし、10年後、本当にそうですかと言われると、たぶんそうではないんですよ。20年後は人間よりも人工知能の方が賢くて、自分達でプログラミングもして、人間が考えるよりももっといい製品をつくる時代がやってくるんですね。時間軸の問題です。時間軸の問題と認識したうえで戦略を立てておかないと。日本のモノづくり産業は世界のトップレベルで残せると思うんです。それはそういう気質を日本人が持っているからですよ。そこにはいけるんですけど、現在のままではないですよね。日々進化をしてきて現在の技術があるわけですから、環境がすごく変わるということを踏まえたうえで、その環境を超えたモノづくりの何かをつくりだすという過渡期に現在、私達はいるんだと思います」
反町キャスター
「だいたい何年ぐらいを睨んだ時間軸で産業転換が行われていくと見ているのですか?」
山際議員
「50年はないですね。30年も私はないと思います。5年、10年でいろんなことが起きてくると思います」

中小企業 今後の展望
秋元キャスター
「安倍政権が描く経済成長の中で、中小企業というのは今後どうなっていくことが望ましいのでしょうか?」
山際議員
「これはありきたりな言い方かもしれませんけれど、最初に申し上げたように、日本国内の市場は小さくなっていくことはわかっていますから、私達は、日本の市場だけではなくて、海外の市場も日本の市場と同じように見ていかなくてはいけない。そういう時代に入っている。だから、中小企業も、我々は下請け、孫請けの企業だから、親企業のことだけ見てればいいのではなくて、世界に目を向けるということが絶対に必要になってくると思います。それをいちはやくやった企業が、最終的には生き残っていくんだろうと思います」
反町キャスター
「企業数は、日本は多いのですか?それは減らすというか、統合再編、いわゆる業界再編の可能性についてはどういうふうに見ていますか?」
山際議員
「十分あると思いますね。先ほどもお話があったように重なった事業をやっているところ、3つ、4つの会社が集まって、M&Aというか、集合というのかわかりませんけれども、それで力をつけていくというような事例があっていいと思います。ですから、それは必要であれば会社の数は増えるでしょうし、あるいは増やさないけれども、事業を拡大して大きな会社になっていくということですから、そこの部分を無理に政策として増やすとか、減らすということは考えていないわけです。ただ、イノベーションを起こしていかなければいけませんから、構造変換をしなければいけない中で、これからの産業に移っていくために開廃業率を10%ぐらいにセットしようという、我々はKPIと言っていますが…」
反町キャスター
「それは何ですか?」
山際議員
「開業する率、新しく事業を起こす率を10%。やめる率を10%、現在4%か、5%ぐらいしかないですね」
反町キャスター
「それは何年以内の話なのですか?」
山際議員
「5年以内に」
反町キャスター
「5年以内に100社のうち10社が廃業して、10社が転業しているようなことを狙っている?」
山際議員
「そうです。それを5年以内に現在4%しかないようなものを10%にまで高めようと。すなわち新陳代謝を高めると言っていますけれども、儲かるところにシフトしていくということを促しましょうということではあるわけですね。その中で企業の数が多くなったり、少なくなったりは当然あると思いますね」
反町キャスター
「東大阪では現実的な話ですか?実際に起こっている?」
呉本氏
「近い将来を見るとモノづくりがしんどくなるのは間違いなくなると思うんです。会社数も間違いなく減っているでしょうから、それを考えるともしかしたらもっと高くなるかもしれない、私の個人的な意見ですが、実際にバブルの時に一万四千数百社、現在モノづくりは3800社となっていましたけれども、東大阪で。資料によって違うのですが、バブルの時と比べたら半分を大きく下まわっている会社数になっています。もともとモノづくりは多いです。これから大臣がおっしゃっているように、グローバル化の中で、海外と戦うわけですから、人件費とか、いろいろなことを考えた時に、モノづくりはしんどくなってくると思います。ですから、もっと減るかもしれないです」
反町キャスター
「やめていく会社はどうやって決まっていくのですか?」
呉本氏
「自然淘汰でしょう。結局仕事がなくなって、NCの話を見てていても。10分の1になると、100人いた職人が、90人要らなくなったら、個人商店であっても、有限、株式であっても、会社としたら、10分の1になるわけですよね。仕事の絶対量から考えると。ということを考えると、自然淘汰でしょうね」
反町キャスター
「先ほどの話ではないですが、原価割れでも受けるところ、がんばり続けるところは出てくるわけですよね」
呉本氏
「90円で受けて、80円に努力することができればいいかもしれないですけれども、現在、申し上げたのはそういう意味ではなく、お金をまわすために、リース代を払うとか、借金を払うというようなことで、そういうことを経常的に何か月もやっている方も実際にいらっしゃるという話であって…」
山際議員
「そこの部分は、経産省として見ていかなければいけないのであって、下請けガイドラインなどをつくっています。適正な下請けの価格で部品を買うというようなことをしなくてはいけないとガイドラインには書いてあります。ですから、適正ではないわけですね。これまでそこに目を光らせてこなかったではないかと言われたら、それまでかもしれないですが、かなりGメンみたいなものも入れてやっていますから、そういうことのないようにするというのは、もしもそういう事例があったら、それは報告してもらって、改善していくということをしなくてはいけないでしょうね」
呉本氏
「それは下請けいじめてと言われて、やっているのではなくて、自由競争の中で、生きるためにやっていることもありますから、ですから、赤字だけれども、受けてきて、やっている。わかっていてやっているわけですから、今言っている下請けいじめ議論とはちょっと違う」
山際議員
「ダンピングですよね」
反町キャスター
「悪循環を生むのではないですか。転業支援とか、廃業支援ということに関しては、呉本さんの話を聞いていると、言われたように機能しているのではないような、そこの部分は改善する余地はあるのですか?」
山際議員
「あると思います。事業引き継ぎ支援センターそのものの存在が、まだ多くの中小・小規模事業者に知られていないというのが現実ですよ。当然こういうところに多くの情報が集まり、多くのノウハウが集まれば、集まれば集まるほど洗練されたサービスになっていくのは当たり前のことですね。まずは広く知っていただいて、利用していただくということから始めるしかないと思っています。これもケースバイケースですから。皆、唯一無二の会社を経営されているわけですから、そのケースが他に当てはまるかどうかというのはノウハウの世界で、そう簡単な話ではないというのはわかっている。これを皆、やらないと先に進めないから。そういものをつくってあるだけに、利用していただきたいということですね」

山際大志郎 経済産業副大臣の提言:『ピンチはチャンス』
山際議員
「これは、ありふれた言葉かもしれませんけれど、大変なピンチです。間違いなく大変なピンチです。しかし、ピンチは同時にチャンスでもあるんですね。ここで智恵を出したものが勝つ。その気概を持って進むしかないと。その気概を持って進んだ先には必ず道が開けると思います」

呉本啓郎 明晃化成工業社長の提言:『きめ細やかで しなやかで 強い第三の矢』
呉本氏
「私は先ほど申し上げましたように、アベノミクスはいいと思ってるんですよ。安倍首相ぐらい腹くくって、ビジョンを持ってやってくださっているのには非常に力強く感じているし、ここでやりきってくれなかったら無理かもぐらいに思うくらい、そこには期待もしている。でも、1本目、2本目は別にケインズ的でもいいんですよ。ただ、3本目に関して言えば、3つのキーワードあると思っていまして、1つは現場。現場というのは単純にモノづくりの現場を言っているのではなく、モノづくりだけではなく、それぞれの現状に即した対応。先ほどの机上の経済学の理論ではありえないような、100円のモノを90円で受けるような現状があるとか、そんなのはいろんなところにありますから、現状に即した対応というのを、シャンパンを下から注ぐような、そういうきめ細やかさがいる。だから、現場が大事。2つめに知る、思う。知ること、思うことというのは、そういうところがあることを知るためには、いっぱいヒアリングの機会をつくってもらったり、いっぱい、たとえば、昔の経済戦略会議のようなことを、たとえば、中小企業版で、近畿でやったりとか、そういったヒアリングの場をつくってもらって、できないのではなくて、これをやるんだと思ってもらうこと。だから、知ること、思うこと。既存の概念では解決ができないことがいっぱいあると思うんです。それと最後はそれをやると決めたら、英知と勇気と情熱でやりきってもらうしかないと思っています」