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2015年2月13日(金)
日本にCIAは必要か 内調元分析官の経験則

ゲスト

平沢勝栄
自由民主党衆議院議員 インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム座長代理
森本敏
元防衛大臣 拓殖大学特任教授
吉村郁也
元内閣情報調査室特任情報分析官

交渉せず、特定できず 日本の情報収集に問題は
遠藤キャスター
「今回の日本人人質事件における政府の対応について聞いていきます。情報収集の状況については公になっていない点が多く、検証委員会で政府対応の検証が進められている状況です。そのような中で、国会答弁の中で、既に政府が認めている事実もいくつかありますのでまとめてみました。まず安倍総理は4日の日に『残念ながら2人の映像が公開された1月20日以前の段階においては拘束したのがISIL、イスラム国という特定もできなかった』と答弁しています。菅官房長官は3日、イスラム国との交渉、接触については、相手が『テロ集団ですから、接触できるような、そういう状況ではなかった』と発言しています。平沢さん、安倍政権では今回この事件への対応、特に情報収集の面では問題があったという認識でよろしいでしょうか?」
平沢議員
「まだそういうことは具体的には言えないと思います。まずイスラム国と現在言われていますけれども、私達は、イスラム国とは言わないで、ISILと言っている。これは国ではありませんから。それで基本的なことを申し上げなければならないのはこれまでイスラム過激派、アルカイダとか、いろんな過激派がいましたけれども、あるいは世界中にテロリスト組織がありましたけれども、これまでのテロ組織にはなかった、超ウルトラ過激派だということ、今度のISILというのは。ですから、いわば前代未聞と言うか、想定外の、とんでもない、一言で言えば、オウムが大きくなったような、そんな巨大な組織が出てきたと。ですから、これをこれまでの私達の常識で、何で交渉をしなかったのかとか、どうなのかということは、私はいろんな角度から検討をしなければならないので、現在のように私達が十分な情報を持っていない段階で、政府のことをあれこれ言うのはどうかなと思います」
遠藤キャスター
「森本さん、まだ公にできない点は、多々あると思うんですけれども、この発言を見ていると、犯行グループの特定、犯行グループとの接触、両方できなかったという発言をしていますけれども、それというのはインテリジェンスが失敗してしまったということですか?」
森本氏
「インテリジェンスそのものが成功するとか、しないとかということではないんです。もともとインテリジェンスはどういうことかというと、この場合、たとえば、国が最終的な意思決定をする、政策決定をする時に、政策決定者に最も重要な、いわゆる情報が適時、適量にできるだけはやく、しかも正確なものが、しかも、多量に届けられ、その政策判断に最も有効な、必要なインテリジェンスが整えられているということが情報活動の本質ですよね。だから、どういう事態に遭遇していて、その時に、たとえば、この場合だったら、総理が最終決断をその都度、その都度しなければならない時に、それに必要なものが確実に揃っているかどうかということが大事なことです。それをただ集めればいいというわけではなく、1つ1つが正しくないといけないので。しかも、迅速にしないといけないということだけれども、迅速にすると粗雑なものが入るわけです。つまり、3つ、要素を申し上げたけれども、3つの要素には矛盾があって、はやく集まったものは間違っているものも入っているということなので。だから、国としてその時、その時に、適時、適切に、意思決定をするのに必要なものがどれだけ整っていたのかということをあとに振り返って、システムとして良かったのかどうか。平沢先生がおっしゃったように、まだ最終的に判断するのははやいかと思います。だいたいこの問題は、現在から10年、20年とかかると思います。イスラム国というものを、この世の中から根絶するのにも。だから、確かに不幸な事件が起きたけれども、終わったと思ったら大間違いで、まったく何も終わっていないということなので」
反町キャスター
「結果的に、今回、日本人2人の命がおそらく亡くなっています。それを考えると、要するに、今回のオペレーションというか、国、政府が何をやるかとしたら、国民の生命を守るためだということが大前提だとした場合にですよ、少なくとも、今回のオペレーションにおいては失敗と言わざるを得ないのではないかと思うんですけれども」
吉村氏
「今回、日本の機関であれ、他の国の機関であれ、平沢先生もおっしゃいましたけれども、とんでもない組織、おおよそ交渉の相手にはならないかもしれない。そもそも交渉する意思もなかったのかもしれない。そういう中で公助の限界というものも、私は、現実的として見なければいけない。だから、日本の国民ですから、政府として救出作戦をとる。全力を尽くして日本のインテリジェンスコミュニティ(政府内の複数の機関が収集した情報を一元化する体制)、こういったところがフル稼働して必死にやったと思うんです。ところが、お二人が亡くなったということは残念な結果ではあるけれど、それぞれの情報機関、インテリジェンスコミュニティの作戦だとか、行動が失敗だと言われると、それはそこまでは言えないのではないか。やるべきことはやっていたのではないかと」

諜報・防諜・宣伝・謀略 インテリジェンスとは何か
遠藤キャスター
「情報活動はおおまかに4つに分類されます。インテリジェンス、日本語で諜報ですね。カウンターインテリジェンス、防諜。プロパガンダ、宣伝。スペシャルオペレーションズ、謀略です。これは実際どういったものなのか。説明していただけますか」
吉村氏
「簡単に言いますと、インテリジェンスも先ほどから出ていますけれども、国が国家の安全保障でありますとか、危機管理でありますとか、そういったことに基づいた、特に非公開情報の収集といったものをやっていく。それからカウンターインテリジェンス、カウンターインスピナージュと言ってもいいかもしれませんけれども、要するに、防諜というのは、たとえば、日本の軍事機密であるとか、そういう機密情報、国益に関わる情報を盗まれたような、スパイの取り締まり。そういったものをカウンターインテリジェンス。それから、プロパガンダというのはアクティブメジャーズと言ってもいいかもしれませんが、世論操作。宣伝ですね。今度のイスラム国、ISILの昨日の機関紙の発表、こういったものもある種の宣伝活動と言えますね。心理戦ですから、いかに相手に恐怖心を与えて、自分の意図に沿う形で相手の組織を思いのままにしようかと。そういうことのうえで、いろいろな宣伝戦を仕かけてくる。相手を追い詰めていくといった宣伝戦です」
反町キャスター
「これは見えるようにやるんですね?」
吉村氏
「見えるようにやる。だから、交渉でも揺さぶりをかけるというのは、まさに、その通りです。それから、スペシャルオペレーションズというのは、謀略というのは秘密工作だとか、いろいろ言われますけれども、相手国を転覆する反体制組織に資金援助をし、もしくは反政府活動に支援をするとか、そういうことを謀略的にやる工作活動。そういうものを一般的にスペシャルオペレーション、謀略と。そういった形で表現していると思います」
反町キャスター
「ISILのケースに関して、この4つの仕事というか、業務分担から言うと、日本はどこに注力をしなくてはいけなかったのか。何が足りなかったのかというのは、今回の事件から特に感じる部分はどこですか?」
森本氏
「それは圧倒的にインテリジェンスです。今回のオペレーション、在外における邦人の安全保護というのは外務大臣の責任で、役所的に言うと、私もいたのですが、領事局が126万人の海外にいる外国人と、1000万人以上を超える外国に行く日本人の安全に責任を持っているわけです。その責任下において、今回のオペレーションが行われていたわけですが、これは事件が起きて、急に集めるというのはもちろん、できますけれど、1番重要なのは日頃からの人脈、日頃からの出先の大使館員の日常の人的交流の努力。もっと重要なことは先進国、この周りでいうと、たとえば、トルコとか、サウジアラビアとか、そういう非常に重要な情報を持っている国と、たとえば、外務省の本省がきちんと、日頃から情報収集をやって、お互いにあちらがほしいものも、こちらが提供し、とるだけではダメですから。情報というのはギブアンドテイクですから。ただ、中東の情報を欲しい時に中東の情報を出す必要はないです。あちらが欲しいものをやればいいです。日本は独特のものを持っているわけ。財政とか、金融とか、経済的な情報だとか、資源だとか、エネルギーとか、あるいはアジア太平洋の情報も持っているわけですから。特段に、この地域、北東アジアの情報は他の国に比べれば圧倒的に持っていますから。そういう相手が欲しいものを提供し、こちらが欲しいものを手に入れるという、きちんとしたインテリジェンスの接触というか、努力をしていく。その上に立って、何か事態が起きた時にどれだけ国と国の関係の、緊密な関係の中で相手が真にこちらに必要なものを提供してくれるかどうかということですよね。それが、だから、平時からの積み重ねですよ」
遠藤キャスター
「情報活動は、主にこの4つに分類されるという話をしていきましたが、こういった情報を得る手段としてどういったものがあげられるのか。主に4つです。まず、合法的に入手できる公開情報を得るOSINT(オシント)。人を介して得た情報をHUMINT(ヒューミント)。偵察衛星の画像情報を得るIMINT(イミント)、傍受など通信を介して得るSIGINT(シギント)というものがあるんですけれど、吉村さん、実際に日本ではどのような手段がとられているのでしょうか?」
吉村氏
「一番上のオシントからいきますと、オープンソースというのは公開情報。基本的にはこれがベースになってくるんです。ほとんどネット社会ですからそういったところでも検索できます。それから、現地の駐在員。確かな場合はそれぞれの高官。こういったところが日常的に、そういった公開情報的なものを整理して、アップデートしていくと。それで大方の流れみたいなもの、背景は見えてきます。さらに、その中に非公開な情報、機微な情報、ここだけの話だけどねということが、相手組織、嫌な情報を、そういう協力関係、場合によっては報酬によって情報を入手していく。そういった情報をヒューミント。人を介して得ていく情報。それから、イミント、シギントというのは自らの目と耳を持てとか、いろいろ言いますけれども。それぞれの情報機関が衛星、偵察用衛星で画像を分析して、たとえば、北朝鮮の核施設がどこにあるのかとか、どういう動きをしているのか。それから、どういう車が入っていったのかとか、そういったところから読み解いていく。そういった方法がイミント。シギントというのはそれぞれのテロリストなり、外国の諜報機関員が連絡をとる際、それは当然暗号がかかったりするわけです。発信地をとられないように。そういったものを傍受しながら分析をして、相手の組織活動を明らかにしていく。ぞれぞれの主な情報機関の分類をすると、こういった手段があるということでしょうかね、簡単に言いますと」
森本氏
「イミントというのは、ここに書いてある通りですが、私はここの部分は、日本は未発達。アメリカのような解析度の非常に高い衛星が手に入っているというわけでないので、これはこれから技術開発をして、予算もつけ、相当これから能力を高めないといけないと思うんですよ。ただ、シギントは結構、合法的に日本は手に入れています。周辺で起こっていることはほとんど傍受しています」
反町キャスター
「それは中国軍の通信を傍受している?」
森本氏
「何も中国軍とは言っていません。周辺、東アジアの中で起っているものの情報は航空機も艦艇もいますから、ほとんど手に入る」
反町キャスター
「そうすると、この4つでいくとイミント以外というのは、日本はそれなりの水準に達しているという理解でよろしいですか?」
森本氏
「その水準というのが、繰り返しになるけれども、インテリジェンスというのは、とにかく集めればいいのではなくて、政策決定に必要なものが適時に集まればいいんです。無駄なものはいらないです。ただし、必要なものはお金をかけないといけないです。費用対効果を考えないといけないです。何でも世界中の全てのことを知りたいなら、それなりのお金がかかるけれども、集めればいいです。でも、何のために集めるのですか。決定もしないのに集めるというのは、これはコレクション収集の趣味の問題です。そうではないですよ。だから、いかに政策に必要な、適時に、適切な情報が効果的に入るかということです」
反町キャスター
「日本の能力としてはどうなのですか?森本さんから見て、オシントはどこでも手に入る、合法的に入手できる情報を、きちんと整理して、組み合わせて、政府が求めている方向性の助けになる情報、こういうものだよとまとめて報告する能力というのは、日本は高いのですか?」
森本氏
「先ほど4つの情報分野の説明があった。あれは情報活動をトータルで見た場合ですけれども、情報活動の機能を分けて分析すると情報収集というのがあるんです。その評価、分析。それを報告し、通報したり、交換の条件に使ったりするという3つの大きな機能があって、情報収集が情報活動の8割を決めてしまうんです。日本が得意なのは評価、分析です。あらゆる情報を、トータルで評価して、1つのものに仕上げて、そのプロダクトをもって情報交換に使う」
反町キャスター
「もうちょっと具体的に、どういうことがうまいのですか?」
森本氏
「たとえば、我々はなかなかわからないんだけれど、ISILというのが、どういう目的を持ち、どういう狙いがあって、どういう資金を動かし、どういう組織になっていて、リーダーが誰で、どういう宗教的な背景を持っていて、どこにネットワークがあるのか、どれぐらいの人が海外から入ってきて、将来、何をしようとしているのかということを、トータルで分析するのに必要な情報を集め、1つのプロダクトにするわけ。そのプロダクトをつくる能力というのが日本はすごく優れている」
反町キャスター
「あとは素材を揃えることができれば問題ない?」
森本氏
「どこか素材が抜けるんですね。まだわからない部分があるから。その素材の抜けている部分をどうやって集めるかというのが情報収集の活動です」

米CIA・英SIS 海外インテリジェンス機関とは
遠藤キャスター
「それぞれ諸外国は独立した組織があるんですね。アメリカは中央情報局、CIA。イギリスは、MI6という通称の方が有名ですけれども、秘密情報部、SIS。その他、ドイツ、フランスなど多くの国で独立した情報機関を持っているんですけれども」
反町キャスター
「それぞれ代表的な組織のことを聞くと、たとえば、CIAだったらCIAで、イギリスはMI6だったらMI6で、そこの組織が人を採用して、中でトレーニングしていくものなのですか?」
森本氏
「難しいんですけれども、通常は、情報機関の人事交換はほとんどないです」
反町キャスター
「全部、プロパーですか?」
森本氏
「ええ」
反町キャスター
「新卒採用なのですか?」
森本氏
「新卒ではないですね。たとえば、軍人が任命されたり、リクルートされたり、まったくある分野のプロフェッショナルな人がそこに採用されるんですけれども、日本の情報機関は行政官僚がなるので、その任務の影において、そこにいるということですね。たとえば、外務省で情報統括官組織の中でいるというのは一生、そこで過ごすのではないんです」
反町キャスター
「異動もある?」
森本氏
「当然です。防衛省もそうです。その任においてその任に就く間、行政職に採用された行政官僚がインテリジェンスの仕事をして、その他のところに動く。CIAはCIAとして採用された人が、生涯CIAとして育って、リタイヤをして、CIAの外部機関の会社、コンサルタントに採用されるということですね。圧倒的に人事感が違うわけですね」
反町キャスター
「違いますよね。組織に対する、国に対するロイヤリティとか、保秘の気持ちであるとか」
平沢議員
「これは1番大きな違いは、私が見ていますと、要するに、そこで働く人間に対して、徹底したスキルクリアランスが行われているんです。何年かに1回行われている。たとえば、そこに勤めている人間に、別の組織が尾行はする、郵便物は開ける、それから、通信は聞く、貯金を調べる、なぜかというと、ハニートラップとか、何かに引っかかっていないかどうか。定期的にやるんです。徹底的なスキルクリアランスをかけているんです」
反町キャスター
「非常に生き苦しい職場ではないですか?」
森本氏
「そういう意味では、すごくプライドを持って」
平沢議員
「プライドを持っているんです。むしろ当然だと思っています」
森本氏
「それから、最も重要なことは、プライドの中で、はっきり言うと、研ぎ澄まされた神経の中で、自分の生涯を送る感じ」
反町キャスター
「給料もいい?」
森本氏
「人によります」
平沢議員
「身分保証と使命感ですね」
反町キャスター
「息苦しいセキュリティチェックの代償として、身分保証と責任とプライドを手に入れることができる。そういうプロフェッショナルは日本にいないわけですよね。これまでの話を聞いていると」
森本氏
「いないというのはちょっとオーバーですけれどね。たとえば、警察の方でも、情報の職に就かれて、最後にそれなりにお仕事をなさる人はいますけれども、でも、それでも警察官僚として採用された人が、その職にあって、それで一生全部終わっちゃう人は割合少ない」
吉村氏
「ずっと通してやれる専門家、エキスパート、ゼネラリストではなくて、エキスパートが育つ環境というのが現在の日本の情報コミュニティでは官僚ですが、異動があるわけですね。その道一筋、中東20年とか、30年とかという人は育ちにくい環境があった。そこを対外情報機関に学んで、独立した専従する組織、職員、こういったものを持つべきではないかと」
森本氏
「こういう組織をつくると、日本人の人事管理上すごく難しい問題が出てくると思う。たとえば、そこで採用しますね。ある対外情報庁をつくって。そこで一生終わるにしても、採用された人が班長なり、課長なり、部長になりというのは、どんどん絞られて、結局何人かに1人しか上にならないですね。ある人が課長になったとします。それで生涯、定年までずっとそこには上がらないわけです。他に行くところもない。だから、そういうことにしないようにして、いろんな配置に就けるようにして、情報をやっているわけです。しかし、ここには1つの問題があって、まさにロイヤリティという問題ですけれど、私が仮に、私は防衛省にもいて、情報をやって、外務省で、ワシントンで情報収集をやって、帰ってきて、国際情報局にいて、そういう仕事をすると、インテリジェンスというのは、最終的に政策を決める人にできるだけ客観的な分析評価を上げるという使命を持っているわけです。でも、自分はそのあとどうなるのか。それから、自分が次にやる目的は何か。この情報を上げたら、どういう決断が起こるかというのがわかるんです。それは良くないでしょう。たとえば、わかりやすく言ってしまうとインドネシアという国があって、たとえば、なかなか国内状態が難しい。このままいくとインドネシアの国際社会における地位が下がっていって、経済も悪くなるという時にそういうものを上げるということは、たとえば、インドネシアへ日本の経済協力を減らしたり、増やしたりする要素をつくっちゃうわけですよ。行政官僚だから、次にインドネシアに行きたいと思っていたら、そんなことしないでしょう」
吉村氏
「だから、政策機能と情報機能を分離させなければいけないというのはそういうところから出てくるわけですよ」
森本氏
「行政官僚がインテリジェンスの仕事をするというのはダメとは言いませんが、おのずから限界があるということです」
反町キャスター
「だったら、専門家をちゃんと養って育てた方がいい?」
森本氏
「だったら、どうやって人事管理をするか、です」

日本のインテリジェンス 情報収集最前線の現場は
遠藤キャスター
「防衛駐在官はどういった役割を担っているのですか?」
森本氏
「これは世界中に39の公館に54人出ているのですが、大使の指揮下にあって、自衛官が在外公館の海員の併任発令を受けて海外に駐留する、平均3年ぐらい。だから、相手は、情報収集するのは国防省が主です。警察の方が行かれたら、相手の内務省であり、警察機関が原則です。日頃から相手の国防省の中に入って相手といろんな交流をしながら、防衛や軍事に関する情報収集をするのが主たる任務ですが、総理がおっしゃっている意図というのは、本当のところ私もよくわからないんですけれど、ただ、1つは中東湾岸で非常に重要な位置を占めるヨルダンには防衛駐在官がいない」
反町キャスター
「なぜですか?」
森本氏
「なぜかと言うと、どこの国でもいるということではなくて、その時々のプライオリティがあって、プライオリティに基づいて予算をつけて、駐在官を送っていくということをやっていくと。たとえば、トルコだとか、サウジだとか、クウェートだとか、いろいろなところにいるのですが、たまたまですけれども、ヨルダンに防衛駐在官がいないということは、なかなかヨルダン軍に直接接触するということが難しいということだったので、そういうことも念頭にこういうご発言になっているのだろうと思いますが、在外公館と言って、前のところについているわけですから、防衛駐在官だけではなく、大使館員で情報収集をする人間を増やすということも同時にやらないといけないという主旨で、こういうご発言になっているのだろうと思います」
平沢議員
「ヨルダンの防衛駐在官の問題だけではなくて、日本が世界に置いている大使館の数自体が中国に比べるとグッと少ないです。外交官の数も少ないし、それから、在外公館で働いている人数も中国に比べるとグッと少ないです。ですから、そもそも防衛駐在官も増やさなければならないですけど、在外で働く大使館の人達、公館も増やさなければならない、人数ももっともっと強化しなくてはならないと私は思いますよ。在外公館に行っている人達も情報収集の重要な一翼を担っていることは間違いないんですけれど、その人達が、来たお客様のアテンドとかで使われて、まともな情報収集ができないということがあるわけで、もっともっと増やし、情報収集とか、本来の任務に専念させるという環境をつくってやることが大事だと思いますよ」
遠藤キャスター
「防衛駐在官は、外交官であり、自衛官でもあるということですか?」
森本氏
「自衛官としての階級を持ちながら、大使の指揮監督下にある館員。もちろん、外交官パスポートを持っている、身分が保証されているのですが、他の国では防衛駐在官が他の館員とステータスが違うのは、歴史的な意味がある。大使を守る。たとえば、アメリカ大使館であれば、防衛駐在官が常に大使の横にいる。制服でくると。警備は海兵隊。だから、防衛駐在官は、その国の大使を守るシンボリックな存在であると同時に、実務上は相手の軍人を、つまり、国防省を相手にして仕事をしている」
平沢議員
「防衛駐在官が行きますと、向こうの軍とのコンタクト、情報交換がスムーズに行くわけです。警察が行けば、向こうの内務省、警察機関とスムーズにいく。諸外国はどこでもインテリジェンスがあるわけで、日本はインテリジェンスの代表という形では行っていないわけで、警察とか、防衛の代表は行っていますが、先進国でインテリジェンスの代表がないのは日本だけですし、ですから、インテリジェンスの代表が行けば、向こうのインテリジェンスと常時コンタクトして、いろいろな人間関係もできるし、情報交換もできる」
森本氏
「防衛駐在官3人、アメリカだったり、中国だったり、韓国だったり、陸海空、それぞれいますけれども、彼らだけに依存しても全ての軍事情報が手に入らないですよね。1番重要なことは相手の軍事関係の情報機関は膨大な組織ですが、本省に情報関係者がいて、相手の軍事情報の組織といろんな情報交換をする努力をして、初めてトータルな情報が入るんです。たとえば、どういうことかと言うと、アルジェリアの人質事件の本当の情報を持っているのはたぶん当時イギリスだったり、フランスだったりしたんです。アルジェリアの国防省というのは、どんなに防衛駐在官がいて、アルジェリアの国防省に入ったところで、与えてくれる情報というのは限られている。そうしたら、どうしたらいいかと言うと、日本の本省の然るべき機関が常にフランスやイギリスの軍事情報機関と常に交流をしていて初めて情報が手に入る。その時はイギリスの大使館員を使って、イギリスの情報から手に入れる。それでトータルなことがわかる。そういうものです」
反町キャスター
「出向している防衛駐在官なり、警察の方が外務省の傘下に入るということについては、組織上非常に動きづらいという部分があると聞いたことがあるのですが、そんなことはないですか?」
森本氏
「そんなことはないですよ。どこの国だってそうやっています」
反町キャスター
「独立性を持っていた方が動きやすいということはないですか?」
森本氏
「それはそんなことはないと思いますが、独立性を持とうとしているのは、たとえば、イギリスのMI6のように館員は大使館の中にいるんだけれど、大使の指揮を受けていない。独自にその国の情報を手に入れるために活動し、電報はまったく別に入っていく」
反町キャスター
「そこまでやる必要はない?」
森本氏
「それはこれから議論して…」
反町キャスター
「現状において、たとえば、駐在官に独立性を持たせる必要性があるかどうか、ここはあまり関係ない?」
森本氏
「それはそんなことはない」
反町キャスター
「在外公館の強化ということについてですけれど、アルジェリア(人質事件)の時にもこの話を聞いたことがあるんですけれど、あの事件以降、たとえば、アフリカなり、他の国にいる在外公館の大使に外務省本省から指令が下りて、現地に展開している日本企業の駐在員やら、そういう人達と密接に連絡をとりなさいと、危険情報や、様々な微細な情報を現地に展開している邦人から吸い上げるように努力をしなさいという話を聞いたのですが、結果、それが機能していないという話をある商社の方から聞いたことがあるのですが…」
森本氏
「それはアルジェリアの事件ではなくて、これを1番大きくやったのは湾岸戦争の時です。湾岸戦争の時は、私は領事移住政策課長というのをやっていたんですけれども、この反省は、一部に批判があって、イラクがクウェートに侵攻することを民間の企業は知っていたにもかかわらず、政府は知らなかった。だから、官民の情報交換をもっと緊密にした方が良いという反省が出て、それから、官民の情報会議というのを地域、地域でやるようになって、それがややおざなりになったり、間隔が開いたり、機微にわたる情報を出さなかったりして、そういうことをご不満に思っている方がいるかもしれないんですけど、少なくとも20年以上も前の湾岸戦争以降、このシステムはちゃんと動いているんです」
反町キャスター
「システムがあっても、たとえば、民間企業にしてみたなら、それこそ政府ではやらないような金の使い方、はっきり言ってワイロまで使って政府に食い込んで、ここで政変があるのかどうかという情報をとって、それをビジネスチャンスにつなぐのがビジネスですよ。その情報を大使の人達が皆を集めて出せよと言っても、出すわけないよと。これはどうですか?」
森本氏
「そんなことは政府だって同じことですよ。国税を使って、大使館がその国から機微な情報をもらって、それを民間の企業に提供する」
反町キャスター
「在外公館の方はあるかもしれないけれども、それを出せというのは、無理があるのではないか。この民間企業の感覚は違っていますか?」
森本氏
「それは双方でしょう。邦人の安全を維持し、国の利益と国益を守るという限りにおいて、お互いに協力できるところをギリギリのところで協力していく、と言うことは、そのこと自体が海外に出る日本人の安全を守ることにつながるわけですから。それは双方の努力が必要だということになると思います」

インテリジェンスの現状と課題 独立した情報機関は必要なのか?
遠藤キャスター
「自由民主党のインテリジェンス秘密保全等検討プロジェクトチームでは、政府の対外情報収集機能の強化に向けた議論が始まりました。座長代理の平沢さん、どのような話し合いがされたのですか?」
平沢議員
「まずは秘密保護法がスタートしましたので、秘密保護法について国会でどういう形で運用していくかという話が主で、インテリジェンスの機関をつくろうということは前からずっと現在の衆議院議長をされていた町村先生がやって、2回に渡って報告書を出されまして、それで日本も独立した対外情報機関の創設が必要だということを、その中で書かれたわけですけれど、これについてもう1回しっかり勉強しようということで、これからそういった情報機関の関係者、海外の。そういった方々を呼んでお話を伺おうということにしているわけで、まだちょっと提言するまでに時間がかかると思いますけれども、方向としては、私個人としては対外情報機関というのはぜひつくるべきだと」
森本氏
「日本というのは戦後、外に対し、海外に対してやる活動というのが極めて制約を受けていたわけですね。でも、徐々に、たとえば、経済協力をやって、湾岸戦争のあとはPKOが出て、PKOの質、量がどんどん広がって、自衛隊がイラクに出て行って、海外活動が広がって、海外における邦人の数が増えて、活動も増えて、邦人の安全を守るとか、日本の対外的活動をもっとエンカレッジするようなインテリジェンスが必要になるというか、日本の国の発展と対外的な活動が増えることに従って、情報があとを追っかけてきたんですけれども、追っかけてきた追っかけ度が低いですね。本当に日本の必要を満たしていないですね。だから、もう少し日本はずっと戦後、現実を追っかけて組織をつくってきたんだけれど、依然として統一された情報機関がないこと。それから、対外情報機関がないこと。仮に、それがあっても日本の国内で、日本の情報機関がまだ縦割りになっていた。縦割り度という性格が非常に強いので、どうすれば日本の情報が国として1つのものになるのか、なり得るのか。誰がそれを精査できるのか。NSCというものをもう少し活用したらいいと思うんです」
反町キャスター
「それの手足という意味ですね?」
森本氏
「対外情報庁を誰の組織の下に置くかという問題でもあるんですけど、国の体制がやっとこの安倍政権によってでき上がったところで、まだまだ現在からやるべきことは多いと思います」
吉村氏
「現実に日本は島国で資源の大半は海外から、その中でも中東から多く依拠している国情から見て、アルジェリア人質事件に見られるようにあれだけのリスクがあります。どんなにディフェンスをしていてもやられる。でも、出ていかなければいけない。それを守るためには長い耳を持たなければならない。それを強化するために、現在の既存の体制でいいのか。私は遅きに失していると思います。早急に議論を進め、先進諸国並みの体制をと思っています」

平沢勝栄 自由民主党衆議院議員の提言:『情報機関の創設』
平沢議員
「日本は世界の稀なる対外情報機関のない国です。私は、1977年に日本赤軍がダッカ事件という(日航機の)ハイジャック事件を起こしまして、日本政府は6人の獄中の犯人を釈放して、600万ドルのお土産を与えて、世界中から非難されたわけです。あの時、そのあとに警察に対策チームができて、私もその一員として、世界のインテリジェンスをまわったんですけれど、その時に言われたのは、あなた警察でしょう、インテリジェンスではないでしょうと。自分達の国の警察を考えちゃうわけですよね。日本はこういうのをやっているんだと言っても、自分達の国の警察をまず考えちゃうから、入り込むのに時間がかかった。2番目に言われたのは、情報機関というのは、最初森本先生が言われたようにギブアンドテイクですね。ギブ、情報がなくて、御用聞きみたいに何かありませんかと言われたって向こうは命がけでとった情報は出してくれない。3番目に言われたのは、与えた場合にちゃんと守ってくれるのですかと。要するに、情報の保護と言いますか、秘密を守ってくれるのですかと。これはまだ当時、国家公務員法があったけれども、日本で絶対漏れないという保証はないです。ですから、そういった面でなかなか情報をくれないです。ですから、こういうきちんとしたものをつくって、ちゃんとした情報機関をつくって日本はともかく軍事力ではなくて、たとえば、チャーチルが情報機関をつくれば、3個師団に相等すると言った。あるいは京都大学の中西先生は情報機関をつくれば、防衛費はかなり少なくて済むと。そのぐらい大きな意味がありますから、私はもっと真剣に取り組むべきだと思います」

森本敏 元防衛大臣の提言:『情報に関係する』
森本氏
「今回のテロを見ると、テロという被害を受けて、1番真剣に情報を収集しているのは先進国ですよね、この場合。たとえば、中東の特定の国でも必ずしもないんですよね。アメリカが持っている情報を、イギリス、フランスが持っている情報と常にその情報機関と情報交換を緊密にして、トータルな情報が集まっていて、その起きた事態に対して即時速報の体制をとるということなので、そういう日頃からの緊密な積み重ねの国際協力というものが、結局インテリジェンスの質と量を高めるということになるのではないかと私は思っているわけです」

吉村郁哉 元内閣情報調査室特任情報分析官の提言:『気概 オールジャパンの取組』
吉村氏
「今回、悲惨な事件を経験した。災害もそうですけれども、こういうテロ事件は場合によっては10年に1回とか、何年に1回。なかなか日本人にとっては他人事ですね。でも、こういった時に、しっかりテロ組織の脅迫に怯むことなく強い心を持って、オールジャパンの取り組みというのは、官民一体、現在のインテリジェンスコミュニティ、そういったところは総力を上げて、来年サミットもある、オリンピックもある。こういった時に次の行動があり得ると思うんですよ。それに向かう強い気概を持って、そういった組織をしっかり議論をして創設すべきではないか。待ったなしではないか。テロ事件は待ってくれないと思います」