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2015年2月12日(木)
大学入試改革のすべて 文科大臣・前東大総長

ゲスト

下村博文
文部科学大相 教育再生担当相 自由民主党衆議院議員
小宮山宏
前東京大学総長 三菱総合研究所理事

戦後以来の大改革の要 教育再生と人材育成
秋元キャスター
「なぜ現在、教育改革が必要なのかということを聞いていきたいと思います。子供達の学力に関して、こういうデータがあるんですね。OECDの行った基礎学力の国際比較調査ですけれど、日本の小中学校終了時にあたる15歳。15歳の調査によりますと読解力、科学の理解力はOECD加盟国の中でも日本が1位となっています。数学の理解度も第2位となっていて、健闘しているわけです。一方、高校・大学の年齢に当たる調査で、16歳から24歳の調査でも読解力は1位。数学的な思考力も3位ということですが、下村さん、こうして見ますと、基礎学力、特に問題がないというか、心配される状況ではないような気がするのですが、それでも改革が必要だということですか?」
下村文科大臣
「日本の大学入学試験は世界の中で、特殊で、それぞれの大学が入学試験を、ペーパーテストでするというのは、実は日本ぐらいしかないですよ。日本は、暗記、記憶中心の入学試験ですね。それまで知識量が、限られた時間の中で、どの程度、答えを出せるかどうかということですが、そういう能力では通用しないというのを持ってきたんですけれど。子供達のこれからの未来ですけれども、これはオックスフォード大学の先生が、オズボーンさんという方が今後10年から20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い。それから、デビットソンさんがこれは今年、小学校に入った1年生の子供達の65%は、大学卒業後に現在は存在していない職業に就くと。これは実は日本でも同じことが言える。これまでの10年、20年の過去の時代の早さ以上に、これからの10年、20年はもっと加速度的に進むことになって、半分以上は現在の職業はなくなっている。それから、自動化されているから、そもそも65%が現在は存在していない職業に就くというのは、私は楽観的だと思っていて、つまり、自動化で、新しい職業は65%も生まれなくて、もしかしたら半分しか生まれないかもしれないということは、労働時間を短縮するとか、事実的にそういう時代ですよね、実際のところは。ワークライフバランスで正社員ばかりでなくなるとか、そういうような時代、そもそも仕事に就けないかもしれないという時に問われるのは、これまでのような暗記、記憶中心の教育によって子供達が大人になった時に、もう通用しないと、そういう教育では。ですから、通用するような人材育成をしなくてはいけないと。日本の1番通用する人材育成の根本のところは大学の入学試験を変えるかどうかです。大学入学試験を変えることによって高校以下の教育も変えることは必然的にそうなってくるし、もちろん、大学の入口だけでなくて、出口も変えることが必要です。ですから、今回、高大接続というのは入学試験だけではなく、高校以下の教育も、それから、出口を含めた大学の教育も、一体的に変えることによって、10年、20年後、どんな社会状況になったとしても子供達が逞しく生きていけるような教育力を身につけるようなことを現在から準備しておかなかったなら、実際に現在よりも厳しい状況が間違いなくきますから、それに対応することを着手することが必要だということですね」
秋元キャスター
「これからの教育で必要なのが、基礎プラスアルファだと私は理解したのですが、そのプラスアルファというのは具体的にどういう力のことなのでしょう?」
下村文科大臣
「これまでの学力というのは狭義の学力の知識、技能ですね。どれぐらい知識があるのかどうか。暗記、記憶ですね。それが大学入学試験で問われた。それだけでは足らない。思考力、判断力、表現力。それから、主体性、多様性、協働性。これが真の学ぶ力だと。これだけではわからないと思うので、基礎、基本、読み、書き、そろばん、知識、技能。それは必要ですね。それは否定しない。だから、ゆとり教育に変えるというわけではないです。だから、大学入学試験のレベルを下げるという話ではないです。それはそれで必要だと。しかし、プラスアルファで21世紀に必要なのは思考力、判断力、表現力、主体性、多様性、協働性をわかりやすく申し上げると、いろんな課題が出てきた時に自ら主体的に解決していこうという能力ですね。これは国際社会でもどんな組織の中でも、いろいろな課題がどんどんきた時に主体的に解決していこうと。要するに、上司、いや、社長のイエスマンのような社員だけの組織だったら、たぶん潰れると思うんです。2つ目の能力としては、クリエイティブな能力。創造性、企画性ですね。指示されたことだけを唯々諾々とやるのではなくて、もっとこういう工夫をしたらいいのではないかと。こんなことをやったらいいのではないかというクリエイティブ、創造、企画的な能力。3つ目は、どんなにコンピューターやロボットが発達しても到達できないであろう人間的な感性、つまり、優しさとか、思いやりとか、いたわり、これは福祉の世界だけではなく、人間というのは社会性(があり)、皆で一緒に力を合わせながら仕事も何もやっていくわけですから、そういう人に対する優しさ、思いやり、感性がなかったら、たぶんうまくいかないと思うんですね。たとえば、追加の3つを、大学入学試験で問うているかというと、問うていない。それは知識だけですよね。そういうものを問おうとすると入学試験を変えなければいけないということで、それはペーパーだけの話ではなく、ですから、ペーパーで測れない人間の優しさとか、いたわり、それは高校時代にどんなことをやってきたのかというのを面接とか、小論文とか、それから、学生、受験生なりに議論をさせて、その中でどんな能力を持っているのか。それはアドミッションポリシーですけれど、そういう多様ないろんなことをすることによって入学試験で学生を採るような形にするということに変えていく必要があるのではないかと考えています」
反町キャスター
「小宮山さん、3つの下村さんの指摘を感じますか?」
小宮山氏
「僕が1つ追加するとすれば、この状況というのは、日本全体の状況だよね、社会全体。たとえば、思考力があって、主体的にモノを考えるような人間というのは社会ではどちらかというと、空気が読めないとか、潰してきているんですよ」
反町キャスター
「日本社会が?」
小宮山氏
「そうそう。だから、明治以来の改革だとおっしゃると、まさにその通りで、もしかするとアジアに共通する上意下達というものからきている、江戸以来かもしれないんだよね。そういうものからきている社会の成り立ち。そこはこれまで結構うまくいってきたわけですよ。それも、坂の上の雲の時代とおっしゃった、というようなことで、それをどう変えるかという問題で、下手をすると、大学から変えてもそういう子が育つと社会で潰されるとか、あいつは生意気だというような可能性というのは十分ある。僕は、経験があるんだよ。うちの研究室は何をやっても自由だと。自由な議論ですよ。それでやってきたわけですよ。それでその学生達がいろんなところに行くわけですね。九州大学、東北大学に行った学生がいるわけですけれども、彼らが自由に発言する。それで評判を聞くと、ある先生から、現在でも覚えていますよ。彼はいいんだけれども、セミナーで、教授が手を挙げる前に発言をするんですよというわけ。これ、わかる? 何がいけないのだか」
反町キャスター
「順番だと。年長の順であると」
小宮山氏
「そう。これが社会にあるわけですよ。それを反映している現在の大学であり、組織だから、ともかく大学の入試改革と一緒に、企業改革もやってもらわないといけないだろうと思いますね。そういう意味で、明治以来なのか、江戸以来なのか、大きな改革になると思いますね」

高大接続改革と人材育成
秋元キャスター
「高等学校改革、これは学習指導要領の見直しということです。新たなテストの導入。新たなテストの導入なんですけれど、これによる大学入試の改革。さらには大学教育の改革、これは3つの方針を各校が策定となっているんですけれど、下村さん、今回、接続改革という名称で、一体として改革を打ち出された。これにはそもそもどういう狙いがあるのでしょうか?」
下村文科大臣
「まず高等学校の新テストというのは、現在、大学入学試験の半分の学生は推薦、AO入試で入っているんですね。推薦、AO入試というのは、学力を問わないですよ。だから、現在の大学の半分ぐらいの大学は、高校以下の補習授業をしているんですよ。大学に入ってから。こんなのおかしいでしょう。大学生が何で高校以下の補習をしなくてはいけないのかと。ですから、AO入試、推薦入試については、基礎、基本は必要ですね。だから、高校時代の成績がどれぐらいだったかという、学力の中身はちゃんと問うというのが高等学校新テストです。ですから、AO入試みたいに学力不問みたいなことはしない。それから、大学入学希望者新テストというのは現在のセンター試験です。現在のセンター試験というのは、暗記、記憶中心の、先ほどから言っている試験ですね。1番、私が問題だと思っているのは、たとえば、英語だと思っているんですよ。英語の入学試験というのは、読むというのが200点です。それから、聴くというのが50点で、それで250点。ところが、日本人は中学、高校6年間勉強して、何で英語が喋れないのとよく言われますよね。その語学的能力がないのではないかみたいに、海外からバカにされるけれども、しかし、そもそもそういう勉強していないです。語学というのは読む、書く、話す、聴くで、4つの分野で1つです。ところが、話すとか、それから、書くというのはセンター試験では問わないから。だから、問わないから勉強しなくていいわけです。読むというのは200点で、聴くというのは50点だから、本来の語学の勉強ではないです。受験勉強です、それは。今度は、たとえば、英検とか、TOEICとか、TOEFLとか、民間の試験で平準化しますけれども、一定の得点以上をとっていれば、うちの大学はもう大学試験は、英語はしなくていいと。民間の何点以上でやるというような形を含め、そういう暗記、記憶中心のような1点刻みではない試験に変えていくのが今度の大学入学希望者新テスト。ですから、センター試験を大幅に変えるということですよね。中身を含めてですね。それから、大学ごとの新個別選抜というのは、ペーパーテスト的な部分もそこで終わりで、それ以外の2次試験以降というのは、各大学が小論文とか、面接とか、それから、高校時代のボランティア活動とか、あるいは生徒会活動、リーダー的な仕事を含め、どんなことをやってきたかということをトータル的に判断する。実は、これはアメリカでも、ヨーロッパでも、他の国が皆やっていることですけれども、トータル的なところで判断する。それがこれまでと違う大学入学試験の改革として現在提案をされている内容です」
反町キャスター
「高校の教え方から大学の教え方。間に挟まれる試験を3つにし、それの内容も全てトータルパッケージとして組み込んでいる。もちろん、高大接続というのはそういう意味でしょうけれども、個別にやらずに一度にやろうというのは、どういう狙いが?1つでは手に負えない。そういうことですか?」
下村文科大臣
「いや、高等学校新テストは、基礎、基本だから、結構、暗記、記憶的な部分もあります。しかし、大学入学希望者テストというのは、これまでの暗記、記憶ではなくて、思考力とか、創造力とか、先ほど、クリエイティブな能力と申し上げましたけど、そういう能力を測ると。そうすると、これまでの学校、高校以下の授業の教科書で、先生が一方的に黒板に書いて暗記するようなものでは通用しないです。そうすると、高校以下の授業の仕方も変えないといけない。たとえば、一方的に先生が黒板に書いたのをノートに写して暗記するという授業ではなくて、アクティブラーニングと言って、子供達同志で議論をさせながら、あるいは自ら手を挙げ、コミュニケーション能力、主張をする。ここの時間をやる時に、どういう学習指導要領にするかとかというようなことを含めて、教科的なことを含めて。たとえば、歴史も、まだ『いい国つくろう鎌倉幕府』的な暗記で、暗記をして(いる)。そうではなくて、なぜ武士社会が鎌倉時代に勃興したのかとか、その時の貴族社会から、なぜ、たとえば、武士社会があったのかというのを小論文で書かせるとかというのは、思考力とかが必要だから。ただ、暗記すればいいというわけではないですよね。そうすると、歴史の教科書も、そういう歴史的なものの事実を、事実として暗記、記憶させるような教科書ではなく、それを歴史の部分をとって、現在の時代に反映させた時にどう読みとるかという、そういう能力が問われるから」
反町キャスター
「そうすると、学習指導要領とは言いませんけれども、学校、高校なら高校において、こういうカリキュラムでこう教えなさいという、学習指導要領があるわけではないですか?」
下村文科大臣
「だから、学習指導要領を変えるんです」
反町キャスター
「全部変えるんですか?」
下村文科大臣
「変えていくんです」
秋元キャスター
「学習指導要領の見直しという、テストに向けてのある意味準備という…」
下村文科大臣
「全部ですけれどもね。個別選抜の上の、小論文とか、面接とかありますから。おとなしい子がこれまでの教育で育っているわけですよ。先生の言うことを素直に聞く。ところが、それだけでは通用しないので、空気を読まないで勝手に手を挙げて先生の前で喋る。それはちょっと問題だけれども、しかし、ちゃんと喋れる。発言できると。自分の主張も言えると。あるいは何か1つの事象を論理的に、あるいは判断力を持って、表現することができるということが、全部、大学入試試験で問われるから、それは全ての高校以下の教育、中学、小学校まで影響しますけれども、学習指導要領を変えていかないと大学入試試験だけ変えても、高校以下の教育を変えなかったら、ただ、絵に描いた餅になってしまいますから、全部変えていくということですね」
反町キャスター
「生徒は、その流れになったら、乗っていくとは言いませんが、そんな勢いにしても、それを教える教員の側というのは、現在の教師の皆さんに、それができるのかできないのか。この議論は失礼にあたるのか、どうなのですか?」
下村文科大臣
「教師研修がポイントだと思います。板書なくすだけですよ。それはそれで必要な部分もある。でも、それだけではなくて、そういうアクティブラーニング。生徒同志で議論をさせるというのは先生がそういう指導をこれまでしていないから。どう子供達に教えたらいいかわからないですよね。ですから、先生の研修も同時にしていきながら、21世紀に必要な能力を育むために、教師として、自分の授業の中でどうアプローチをしていったらいいかという教師研修も一緒にやらないと本物にならないですね」
反町キャスター
「新卒だけではなくて、既に現役でやっている先生に対する研修という、そういう意味ですよね?」
下村文科大臣
「ええ。これは現在の小学校6年生から大学入学試験をしますから、実際、6年後ですね。ですから、6年後には、そういう学習指導要領も変えますから、6年かけて先生方も、そういう新たな教育システムに対応できるような研修を受けて授業に臨むようなことを、同時にしていく必要があります」
秋元キャスター
「一方で、大学教育改革、3つの方針を各校が策定とあるんですけれども、これはどういうことなのでしょうか?」
下村文科大臣
「この3つというのは、1つは、アドミッションポリシーで、自分の大学がどんな学生を入学させるかということを明確にすると。これは先生にとってちょっと耳の痛い話かもしれませんけれど、利根川進さんというノーベル医学賞を受賞された(方が)、1年前、大臣室に来られて、大学入学試験改革すると言ったら是非自分の意見を聞いてくれと。実は、また来週来られるんですけれども、利根川進さんが言っていることは、象徴的ですが、日本で1番難しい大学、学部は東大の医学部だと。これは日本で1番難しいと。100年経っているけれども、東大の医学部からはノーベル賞受賞者はゼロだと。自分の関係している大学の1つのシカゴ大学。ここはそんなに難しくない、東大に入るより易しいと言われていると。ところが、学部出身者だけで65人のノーベル賞受賞者がいると。これは何なのかと。アドミッションポリシーが違うと。東大だけではないですけれども、日本の大学は18歳の暗記、記憶を問う。アメリカの大学、シカゴ大学は入ったあと、どれぐらい伸びるのかと、伸びしろを見ろと。つまり、その学生が大学にとってはプラスの人材だと。なおかつ大学卒業して社会でどれぐらい活躍できる人なのかという、伸びしろ。ですから、暗記、記憶がどれぐらいあったと言うよりはどんな志を持ち、どんな思いで勉強をしようとしているのか。また、そういうトータル能力があるのか。それが違うのだと。だから、易しいと思われるかもしれないけれど、結果的には、卒業生にそれだけ素晴らしい卒業生が出ていると。それがアドミッションポリシーです。日本の大学も個々にそういうものを、まずは明確にしていく必要がある。それから、カリキュラムは明確にする。先生によって各教科が決まる、大学は4年間で、トータル的にどう育て上げてやっていくか。トータルのカリキュラムを大学の中で決めていくと。あとは学位です。これぐらいのレベルだったら卒業させようかと。出口論ですけれども、そういう3つの方針を明確に決めて、うちの大学は、たとえば、官僚養成だから、官僚でも暗記、記憶だけも通用しませんけれどもね、これからは。先ほど言った、違う能力が3つ必要ですけれども。うちの学部はノーベル賞受賞者を、たとえば、出すような、そういうトップの研究者を育てるためだとかですね。東大の医学部についてこの間、東大の医学部の教授と話をしたんですよ、そういう話を。そうしたら、彼は灘高校出身だったんですね。日本の高校で、東大医学部に1番入学者を多く出している、合格者を出しているのが灘高校ですが、同級生が確かに20人いるけれども、本当に医者になりたいと思って、東大の医学部に入ったのはあまり知らないと。なぜ入るのかと言ったら、1番難しいから。1番難しいからチャレンジすると。アドミッションポリシーが違うんですよ。だから、伸びないです」
反町キャスター
「現在の日本がやろうとしているのはアメリカに対するチャレンジなのですか?要するに、頭脳流出を止めて、日本の大学で研究して、そこできちんとノーベル賞を出す。もう1つ、別の言い方をすると、アメリカやイギリスから学生が来て、日本の大学で研究をして、ノーベル賞をとるような、そんな大それたとは言いませんけれども、そこまで視野に入れての話ですか?」
下村文学大臣
「ノーベル賞というのは、1つの、ある意味で狭い範囲内の話です。もっとトータル的に、ノーベル賞だけが人生ではありませんから、ごく限られた話です。これまで以上にグローバル社会は進みますね。ですから、残念ながら、英語は世界共通語だから、喋れないと、国際社会でどこに行っても通用しないから。これは喋るように、子供達に、我々もそうですけれど、勉強せざるを得ないという部分があります。そういう意味で、世界がフラット化するから良いところに人も金も全部集まってくるんですね。だから、日本が放っておいたら、このまま優秀な人がどんどんいなくなってしまうような社会は、衰退するしかないです。だから、日本人だけでなく、外国の人もこれから会社を起こすにしても、勉強するにしても、研究するにしても、日本に行ったらチャンス、可能性があるというような場をつくっておかなかったら日本社会は衰退しますよ。ですから、いかに外国人を呼ぶかというよりは、日本人をいかに流出させないかということも含めて、特に大学や大学院というのは関係ないですから」
小宮山氏
「本当、そうですよ。だから、ノーベル賞を、アメリカに行って勉強した連中がとっているということはあってもいい。グローバルな時代だから、アメリカの世界的に特殊なインフラを、教育システムを、グローバルなインフラとして日本も利用するというところがあってもいいと思う。そのために、どんどんアメリカに出して、留学生も受け入れてという、これも日本の大学を良くしないとね。最後はそこですよ。だから、若い人はどうか知らないけれど、日本の大学を世界で戦える大学に育てていく。これはマストですよ」

どうなる? 新たな大学入試
秋元キャスター
「何が1番現在のセンター試験で問題だと考えますか?」
下村文科大臣
「設定された正答を1点刻みに問うと、たとえば、今年、東京大学の受験生が1万2000人ぐらいいたんです。採ったのが約3000人ぐらいですかね。これはまさに1点刻みで、暗記記憶を中心としたマークシートですね。記述式ではなくて、1番正解だと思うところを鉛筆で潰してくというやつです。ですから、記憶力、暗記力のある子は優位です。それだけの能力が先ほど言ったように本当にこれからの時代に必要なのかというともちろん、否定しないし、それはそれで必要ですから、でも、それだけでは通用しませんねということですね。そのために、さらに面接とか、小論文とかをやるわけですけれども、それは面接や集団討論や小論文、それから高校時代のいろんなデータ資料の成績ですね、各種大会のスポーツだけではなくて…」
反町キャスター
「どういうことですか?」
下村文科大臣
「スポーツだけではなくて、高校生のオリンピックみたいなのがあって、金銀銅、世界が参加する、ありますね。ああいうような、そういうものを、それでさらに選ぶのですが、しかし、大学入学者テストについても暗記記憶だけでなく、そこに指向性とか、創造性とか、そういう能力を問うような入学試験の仕方に変える。現在のセンター試験の内容を変えていくと。それも含めて、問うていく必要があるのではないのか。それが1つは記述式の導入もそうです。それから、知識、技能は必要だけれども、プラス思考力とか、判断力とか、表現力がどれぐらいあるかということで、1点刻みではなくて、段階的に何点以上だったら、そこは合格にすると。たとえば、東大で、1万2000人が受験すると。合格者は3000人。そこで3000人を決めるのではなくて、たとえば、4000人とか、5000人を採っておいて、その中からさらに大学の個別の入試で、4000人、5000人を3000人に絞るとか、最初の入学希望者だけで全部決めないと。そういうやり方ですから、その手間暇がかかるんですよ。だから、大学が基本的にやりたがらないですよ」
反町キャスター
「試験ではない、アドミッションポリシーを変えることによる合格者の選抜の仕方というのは、大学側にとってはどういう狙いがあるのですか?」
小宮山氏
「歴史的にやられていますから、踏襲してきていますから、アメリカは、違うやり方でやっているわけです。大臣おっしゃったのは、かなりアメリカに近いようなやつでSATと言うんですよ。あれでまず学力と思考力も問うて、普通、アメリカの国語である英語と、数学とこの2つしかやらないんだよね。ところが、アメリカの高校までの教育はすごくレベルが低いから、ある意味で。数学に関してはアジアの子はほとんどできちゃうんだよ、日本の子供は、数学は数学の問題の英語がちゃんと読めれば、ほとんどが満点をとっちゃう。こちらは、英語で、花子さんはこう言いました。一郎君はこう言いました。それに対して先生はこう言いましたなんていう文章、ところが、すごく英語が難しいの。僕も見たことあるけれど、だいたい3つか、4つ単語がわからない。そういうのに関して、できるんでしょう、アメリカの高校生は国語だったら。論理的なA>B、B>Cとか、論理学があるではないですか。そんなことをやらせている感じです。だから、その程度のものでまずやって、そのあとは各大学が、おっしゃった小論文、面接、高校の先生の推薦状はすごく重要なんだよ、と言うようなことを総合的にやるわけ。だけど、一朝一夕にはいかないです。現在、アジアの先生の推薦状というのは、アメリカは信用しないからね」
反町キャスター
「必ず褒めるから?」
小宮山氏
「そうそう。アメリカはそこらへんで推薦状を書く時には本音で書きますからね。と言うこととか、もう1つの大きな違いというのは、確かハーバードでも入学許可者のうちの2割は他に逃げますよ。東大だって逃げるというと10人そこらしかいないのではないかな。ソウル大学はいないよね。ソウル大学の韓国における地位というのは日本よりもっと高いんだ。あそこも同じだよ、中国。清華大学から逃げる子はいませんね。だけど、アメリカというのは、ハーバード(大学)がいいかもしれないけれど、カリフォルニア工科大学だって、ジョージア工科大学だって、リベラルアーツをやるならイェールに行きたいよとか、そこらへんの多様性というのが、もともと社会に備わっているわけですよ。そこのところと違う場合に、日本にどんなものを…。僕は、今日大臣とお会いできるというのでgoogleを叩いて、調べたわけ、今度の新しいテストを。109万件、googleに出ている、インターネットの。それでその中には塾がどう対応するかというのがすごく多いですよ。だから、これが良いか、悪いかという議論より、どういうふうにしましょうかというのがすごく多いわけです。だから、この大改革が、そう簡単にいかないと思うのは、そういう社会の構造全体だから。アジアの科挙をやっていて、中央思考、上意下達思考です。縦のヒエラルキーがあるところと、横の新世界でもって、ああいうふうなところと。だから、やるななんて言っていませんよ。だけど、それをやるためには、たとえば、今回、試験を複数回と言っているでしょう。下手をすると、高校生活中、試験になってくるわけだよ。どうするのかわからないけれど、A、B、C、D、Eなんてやって、2年で受けてBとった子は上に行きたいですよね。そうするとやる。そうしたら試験ばかり、年柄年中、期末試験モードということになりかねないでしょうね。SATはどうしているのかというと、あそこも1年に6回、7回受けられるんです。だけども、大学は半年以内のやつが多いけれども、1年というところもある。半年以内に受けたやつしか評価しないですね。それまでの履歴を全部出させるの。そうするとE、D、C、B、Aと上がってきた人と、いきなりAだった人がいるかもしれないね。どちらがいいのかわからないよね。それを評価するのは努力してきたこちらがいいと考えるのか、いきなりAをとった方がいいと考えるのか、それは大学の自由なわけです。だから、日本でどういうプラットフォームを、共通のものをつくって、あとはどう大学に任せて、出てきた学生をどうやって社会が評価していくかという荘厳な改革ですね」

明治以来の大革命の要 教育再生と人材育成
反町キャスター
「産業界が求めている人間を現在つくってもしょうがない。将来20年後ぐらい、現在想定していないような人間をつくらなくてはいけない。そういう話なのかなと思っているのですが」
下村文科大臣
「産業界が求めている人材というのは、10年、20年経った時に必要な人材も含めて求めていますから、一概に刹那的にそうでもないですよ。少なくとも現在の学校教育で出て行った人材と、社会で通用する人材はギャップあるでしょう。昔、余裕がある時は企業でもう1度人材育成したけど、今余裕がないから即戦力として社会に出てというか、企業に入った時に使いものになるような教育をちゃんとしてほしいねと、それはある意味当たり前の話。でも、それは企業が求めているというよりは本人だってそうでしょう。勉強していって社会に出た時に自分の能力が全然通用しないといったら、それは、不幸なのは企業側でなくて、本人だってそうですから。ですから、必ずしも、別にその企業の即戦力人材育成というのではないけれど、本人が社会に出た時に、どんな社会に出ても使いものになれるというか、生きていけるというか、そういう能力を教育の中できちんと身につけるようなことをしていかなかったら、それは何のための学校なのかと問われると思いますね」
反町キャスター
「社会が求めている人材をジャストミートにつくれるかどうか、不安感はないのですか?」
下村文科大臣
「少なくとも画一、均一教育は通用しません。ある中間層にとっては適切な教育かもしれないけれど、不登校もそうですが、いわゆる落ちこぼれた子供にとっては苦痛な時間ですよね。勉強ができる子供にとっても苦痛だと思います。ただ、いるだけで。ですから、その子その子に応じた教育、多様化教育ですね。これまでの画一、均一に平均的にやればいいというのではなくて、その子にあわせた、伸びる子はもっと伸ばすような、ある意味では英才教育をしてもいいと思うし、一方、ついていけない子供にはそれに対応した教育、個にあわせた、子供の発達はその時々の成長でスピード感が違いますから」
反町キャスター
「センター試験という物差しで見た、できた人が1番上で、これは東京大学かもしれません。センター試験の物差しで見た学力のない学校という、この三角形を壊すんだという気持ちが伝わってくるのですが」
下村文科大臣
「その通りです。別に東大だけがトップではなく、医学部だったら何とか大学がいいのではないかとかね。工学部だったら、こういう大学があると。公私問わず。そういう特徴のあるところをそれぞれの大学がつくっていかないと、これから日本の大学はトータル的に日本の高校生からも選択されない時代になってくるかもしれないですね」

下村博文 文部科学大臣の提言:『教育改革の根幹 大学入試』
下村文科大臣
「大学入試を変えることによって、高校以下も変わるんですね。ですから、高校以下の学校がどんな学校が名門かというのは、良い高校、良い大学、有名大学、東大何名、週刊誌でもそうですけどね。でも、それだけの物差しで通用しないという時代ですね。ある新聞社が大学名を伏せて、それで最後まで選抜をして、最終的にとったと。有名な新聞社。蓋開けたら東大生はゼロだったと。つまり、ブランドでとっているようだったら、その企業もないと。逆に言えば、そういう実力というか、新聞記者としてどんな能力が必要かということを考えたら、別に東大生が1番優秀だとは限らない、そういう話ですよね。ですから、これまでのピラミッド構造、受験の偏差値構造を変えないと日本の活力は生まれない。そうかと言って、これはゆとり教育ではないですよ。もっと多様な能力を鍛えるような教育をしていかなくちゃいけないというのも同様に言えると思います」

小宮山宏 前東京大学総長の提言:『議論の風土』
小宮山氏
「私は日本で欠けているものは、象徴的に言うと、議論の風土がないんだと思ってるんですよ。日本はほとんど議論はないです、はっきり言うと。議論というのはいろんな私見を出して、違うことを言うことですよ。だけど、日本で議論すると喧嘩になっちゃうんだよ。だけれども、向こうは違う。私は2泊3日でこの間、ローマクラブの会に出てきて、あの時も本当に文部科学省を恨みましたけれども、俺の英語は何でこんななんだと思ったけど、あそこでは最終的に、要するに、誰がインプットしたかと、今回の話題に対して。宏のサチュレーション、時代のキーワードはサチュレーションだというのは今回最大のインプットだということになったわけです。それは全然違うことをいろんな人が言っていて、誰が本当にこの問題に対し、それこそ課題解決のキーワードを出したか。それですよ。サチュレーションは飽和。だから、日本で現在、自主的に自分の頭でモノを考える、自主性のある多様性を問う、そういうものの結果というのは、僕は社会全体が議論の風土を認めていくことだと思います」