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2015年2月10日(火)
戦後政治の“目撃者” アカデメイア「最終報告」

ゲスト

牛尾治朗
ウシオ電機会長 日本アカデメイア共同塾頭
茂木友三郎
キッコーマン名誉会長 日本アカデメイア共同塾頭
佐々木毅
元東京大学総長 日本アカデメイア共同塾頭

財界人×学識者が提言 “余剰幻想に終止符を”
秋元キャスター
「牛尾さん、茂木さん、佐々木さんが共同塾頭の日本アカデメイアですが、経済界、労働界、学識経験者、官僚の有志で組織され、2012年4月に発足しました。2030年頃の日本と世界を想定した、中長期の国家ビジョンづくりを目標に研究し、先週、最終報告書につながりました。今日発売の文芸春秋にも日本アカデメイアの最終報告書、我々が次世代に残すべき日本の姿が掲載されています。この報告書と論文のポイントですけれども、『余剰幻想に終止符を打つ』ということなのですが」
反町キャスター
「何だろう。成功体験に縛られて現在の日本が脱皮できないでいる状況を指摘されているのかなという印象も受けるんですけれども、茂木さんの立場から見て、この余剰幻想なるものが、日本の経済の手かせ、足かせになっているのですか?」
茂木氏
「昔、私どもの若い頃、日本に高度経済成長というのがあったということで、1960年から1970年代ですよね。それで、そういう時代は非常に現在考えても、いい時代だったんですよね。企業は非常に張り切っていて、どんどん革新をやる。革新をやるといろんなものが、新しいものが出てくる。それによって企業の付加価値が高まる。それが経済成長に結びつくという、非常に好循環ですよね。そういう時代がかつてあったので、殊にそういう時代を体験した人達は、何となくああいう時代がくるとは思わないけれども、日本は何とかなるのではないかと、もう少しね」
反町キャスター
「思っているんだけれども…」
茂木氏
「ダメね。それがあるので何かいろいろ問題があるんですよね、現実には。人口減少も既に始まっていますし。それから、財政が大赤字ですよね。なおかつ社会保障制度なんていうのは危なっかしい状態にあるというね。こういう状態で何とかしなければいけないんだけれども、何かが逃げちゃうんですね。何となく政府も国民も。何となく、それを解決しようという、スタートを本格的にやらないという状態でこれまで来ちゃっているわけですよ。ここでやらなければ大変なことになるというのは、我々が提言を出しているんだけれども。そういう状態が、いわゆる余剰幻想によって、問題を先送りされちゃっているということを、我々は心配をしていると」
秋元キャスター
「過去にも、高度経済成長に陰りが見えた頃の、新しい日本を見据えるための政治的な動きがありまして、それが、大平元総理が設置した大平研究会ですけれど、大平研究会、田園都市構想とか、総合安全保障、対外経済政策、環太平洋連帯研究等9つのグループに分かれていて、中堅官僚、学識経験者、文化人などが参加しまして高度経済成長以後の日本について、議論をしたということですけれども、牛尾さんはこの大平研究会にかかわっていたということですけれども」
牛尾氏
「政権ができた時にこういう意識が大平さんにはあったと思うのですが、要するに、経済以外の要素をどう考えていくかという時に、大正年代の優秀な大来佐武朗さんとか、山本七平さんとか、これも大正の人ですね。要するに、環太平洋連帯構想とか、田園都市国家構想。田園都市国家構想なんかは、自然、田園、社会というものを初めて並べたんですね。それから、環太平洋連帯構想というのは、それはAPECがあるわけですから。要するに、ASEANからはみ出た日本をどうするかということで、環太平洋で、これはもうTPPがその構想と同じですから、それをこの時分から提案をしたという、その提案者が、大来佐武朗さんであり、佐藤三郎さんですよ」
反町キャスター
「田園都市構想、環太平洋連帯研究、諸々、そういったものというのは、その次の政権以降の政権には、具体的にどういうふうに引き継がれていったのですか?」
牛尾氏
「大平さんが生きている間に、3冊できただけで、6冊は亡くなられたからできて、それは公邸に単に積まれていただけで、それを3年後、中曽根さんが総理をやる時にこの順番で全部読んだと。大変すばらしいと。これを是非実行したいから、このチームの人は協力してくれないかという申し出があったわけです」
反町キャスター
「中曽根さんが総理になったあとにやったことというと、臨調ですとか、土光さんのとか、諸々大きな三公社のところを民営化など進めたではないですか。それは、この大平研究会の延長線上にあったものなのですか?」
牛尾氏
「全部、延長線上にありますね」
反町キャスター
「それは結果的に日本をどういう方向に持っていこうとしていたと見たらいいんですか?」
牛尾氏
「結局、グローバルに生きる。それから、要するに、先端技術。グローバルなマーケット、そういうもので日本が生きていく。それから、大平さんは保守本流の人ですから、軽武装、経済重点政策ということを徹底すると。しかし、経済を重視するのも文化や地方や歴史を無視してはあり得ないという発想なので、しかも、進めるためにこれから生まれてくる新中間層をどう扱っていくかという政治的な課題も、彼は持っていたんですね」
佐々木氏
「大平研究会の皆さん方が全てを見通しておられたのかどうかは、僕はよく存じませんけれども、結構1980年代は激しい動きが次々と起こってきて、1989年に、冷戦の壁が崩れますからね。ですから、1980年代というのは、これ自体が、我々にとってみると、予想以上のスピードとスケールでもって歴史が動いたと思っています」
反町キャスター
「20年ぐらいですか、経ちましたけれども、この20年間はどういう時代だったと感じていますか?」
牛尾氏
「1990年の東西冷戦の終結は、大きな国は、全部、重要な改革に取り組んだわけですよ。ドイツは、待望の東西ドイツの統一と完全に新しいEUをマーケットにした経済政策に入ると。フランスは、EUを57国に広めることを考えると。アメリカは、世界の中堅国家として、基軸通貨から平和から、全部、自分達のものだと決定をする。それに対して、日本はJapan as No.1と褒められ、ちょっとした微修正で乗り切れると思ったことが最大の失敗だったわけですよ。だから、何とかなるはずだった。経済が成長さえすれば何とかするので、そういう意味では、経済成長は一生懸命にやって、グローバル化、IT化も進んだのだけれど、結局、新しい競争には国の改革なしにはそれだけの力が出なかったですね」
佐々木氏
「たとえば、他の国であれば、このぐらいの段階で、こういう問題については、非常に整理ができると。たとえば、社会保障制度についてどうしたらいいのかということについて、1つの意見はまとまらないんだけれども、問題の整理はできるという段階があるとすれば、日本は整理ができないままでずっときてしまった感じが、非常に強いですね。ですから、たとえば、負担の問題と給付の問題をどう整理しますかというのは、基本的なテーマの1つだろうと思いますが、ところが、日本の世論を見ますと、世論調査の仕方が悪いのかもしれませんけれども、負担は少なく、給付は多くという人達が真ん中に大きな山をつくっていますから。ですから、それだったら、要するに、良かった時代のイメージを引きずっちゃっているわけです。たとえば、一例を言いますとね。それがどちらかに崩れるというのが他の国で(あると)、給付も充実してくれたけれど、負担もどうするかは知らんけれども、どうにかしなければと。片方は、負担は嫌だと。その代わり給付も切ってくれというような、たとえば、一例ですけれども、そういうのが他の国を私達が見ている限り否応なしに、結局進めざるを得なかったというがありますけれど、日本の世論の研究者によると、真ん中の負担は少なく、給付は多くという山は結構安定していて、それ自体が政治の在り方ともおそらくつながっている可能性があるのではないかというようなことが、頭の片隅にありました」

社会保障制度の持続性と雇用
秋元キャスター
「先週出された最終報告書の中には、将来的には1人の高齢者を1人が支える計算になるといったことが言われて久しい。これは当初の漠然とした将来シナリオとは明らかにかけ離れた現実である。日本に関する限り、当初のデザインを大幅に見直さなければ、制度全体の持続性が覚束ないことは明らかだと書かれているんですけれども」
佐々木氏
「まずもともと、これは20世紀につくられた制度ですから、当時つくった時代は、年金で生活する人達がもちろん、これによって誕生するわけですけれども、全人口の中でそんなに多くの人達の割合を高齢者が占めるなんていうことは、おそらく当初から考えてなかった制度だと思います。誠にめでたいことに、どんどん平均年齢が伸びまして、それである時期までは、団塊世代の問題だという見方もされてきましたけど、どうもそうではなく、長く生きるようになったということ自体が非常に革命的な変化を起こしているのではないかということでありますので、そうしますと、それを支える若い人達と、年配者との比率が、20世紀に想像していたのとは、明らかにかけ離れた比率になってしまって、高齢者の、要するに、ウェイトが非常に大きくなってしまったというのが、我々の基本的な認識ですね。でも、少子化が進まない国は、そこはなだらかに経過していくのですが、日本を含めて、東アジアの国々は一気に高齢化が進んできて、日本が先頭を走っているという状態ですよね。その意味では、制度そのものが、100年前にデザインした時と、現実が随分かけ離れてしまったということを、まずどうきっちり認識するかというところから、これまた世代間の関わりをどうするかという問題も、そこから始まるわけでありまして、その認識がまずポイントの1つかなと思います」
反町キャスター
「いわゆる、負担と受給の話かなと思うんですけれど、現在、たとえば、社会保障の件について、どこに視点を置いてこの問題を捉えていかなければいけないと感じていますか?」
茂木氏
「社会保障の問題は、全体的にかつての土光臨調みたいな、あのくらいの組織、しっかりとした組織をつくって、総合的に検討していく必要があると思いますね。そうでないと、この問題は解決できないと思いますね。それで、私どももいろいろなところで議論をしていることは、タックスイーターを、要するに、税金を食う人、これをタックスぺイヤーに変えないといけないと。(タックスペイヤーは)タックスを払う人。と言うことで、具体的にはもっと元気な高齢者には働いてもらおうと」
反町キャスター
「年金を貰わずに働くということですか?」
茂木氏
「75歳まで、あるいは70歳、75歳まで働いてもらって、そうすることによって、これまで、税金をもらっていた人が今度は税金を払う立場になるということを考えていかなければならないだろうということですね。それでそういう高齢者に働いてもらうということは元気になるということを意味するわけですよね。要するに、じっと家の中で静かにしているよりも外で働く方が、いろんな意味で、元気になるという可能性があるわけですね。そうすると、そういう人達が病気にならないということですね。介護の対象にもならないということになると、医療の面でも、医療費の節約にもなるし、介護の費用の節約にもなるということで、高齢者はもっと働いてはどうかということですね。そのためには、現在、定年という概念で、60歳とか、60いくつで、会社を辞めているわけですけれども、これはもちろん、会社を辞めても、今度新たな高齢者のための労働市場を創って、そこで高齢者向けの仕事をつくるということを考えてもいいのではないかと」
牛尾氏
「アメリカでは、年齢、エイジに関してはもっと自由にすると。エイジフリーというのは定年の逆です。だから、年齢で差別をして辞めさせるというのは悪です。エイジフリーと。それと同じように男女は平等で、ジェンダーについては完全に平等にする。3つ目は、レイズ、人種差別をしない。この3つを、現在、民主党は肯定をして、推進をしていると。日本の場合は終身雇用、年功序列による賃金で、定年で辞めるという、戦後から1980年ぐらいまでは何とか保てたのが、これが基本にあるから、75歳で働くと言ったら、びっくりするわけですよ。当たり前だと、元気ならば、働くのは」
反町キャスター
「2人を前にするとそうですけれども、だけど、たとえば、年金を貰えるとかですね」
牛尾氏
「年金を貰えるって、現在は貰えているけれど、この財政では10年後は出せないですよ」
反町キャスター
「ただ高齢者の皆さんの働きぶりとか見ていると、たとえば、タクシーに乗ると、ドライバーの皆さんは、あまり稼ぐと年金が減額されちゃうから、年金が減額されない範囲で稼ぐとか、そういう働き方です」
牛尾氏
「年金が絶対に、永久に、だんだん増えていくものだと思っているからですよ。少子高齢化ですよ。その年金を払うための金は、タックスぺイヤー。現在、出たタックスぺイヤーも60歳ぐらいまでですよね。これに助成が入ることによって、同じ頭数ではなく、倍以上の女性が働いて、倍の賃金が上がれば、賃金の合計が4倍になるわけですよ。そうすると、すごく所得(税)が増えるわけですね。それから、最近の日本に来ている留学生がどんどん日本人になりますから。移民は何かと難しく考えないで、日本人になって、ずっとここに住みたいという人はいっぱいいるんですよ、現在。そういう人をどんどん迎え入れてやっていくと。そうやってこの幅を広げていく時です。この国は終身雇用が絶対。それは正規社員の特権だと。55歳から60歳で、65歳まで仕事をしているんです。勝手に決めて、片方で高齢者が増えちゃうでしょう。今度は前よりも同じ人がタックスぺイヤーの数だけ確保すると、年が上になるのはしょうがないではないですか、年齢で限るとね。働ける人は全部働いてもらう。70代の人は、所得税を半分にしたっていいですよ。80代の人は所得税を4分の1にしてもいいです。皆が働いて、タックスイーターの数を減らせばいいんです」
秋元キャスター
「そうすると、定年制は止めた方がいいですか?」
牛尾氏
「定年制なんて、先進国である国はないではないですか。根本的に制度を変えていかないと生き残れない時代だと」
反町キャスター
「国民的な意識も含めて、そこの部分のツケをある世代以降の人達が、一気に払わされることになってもこれはやむを得ない。そのぐらいの開き直りと言うか、覚悟が必要だという意味?」
牛尾氏
「それは破れかぶれの議論で、こういう余剰幻想というのは、経済が成長して、日本が世界中で勝っていれば、競争に勝っていれば、そういうことは何とかなって年金も貰える。定年の延長にしても、大丈夫だと思いたいわけですよ。思いたいけれど、現状は、それは余剰幻想ですね。現実を見つめると結局、少子高齢化、人口減少は避けがたい現実ですよ。すると、高齢者は税で生活して、将来のタックスぺイヤーである(若者は)、少子化現象で、これはどんどん働いてもらうと。人口減少をした場合、収入は減るばかりではないですか。すると、減った場合に、世界に向かって減ったぞと戦争するわけにいかないから、日本国内の中で貰うものを少なくして、多くの人が働くしかしょうがないではないですか。そういうことを思いたくないんですよ。何とかなるという余剰幻聴に与するわけです」
反町キャスター
「それはこれまで僕らは見ずに、目を背けてきたのか、言われなければわからないではないですか?」
牛尾氏
「正規社員でも非正規社員に目を背けてきたんです。わかっていても、目をつぶってきたわけですよ。皆、目をつぶっていても何とかなってきたわけですよ。それが余剰幻想です。何とかならないです。はっきり何とかならないということを皆が知るべきです」
反町キャスター
「たとえば、厚労省は、年金はきちんと払い込んでおけば貰えるというふうに、マクロスライドがあるので物価上昇率は低めの伸び率になるのですが、そういう言葉を聞くと、年金はとりあえず貰えるのかなと、普通に払い込んでいる人間は思いますよ。現在の牛尾さんの話を聞いていると、その前提からして疑って自らの足で立とうとする話にも聞こえます」
牛尾氏
「当然ですよ、それは。民主主義と市場経済が両立して、市場経済のところを伸ばして、マイナスをピケティ氏みたいに、格差が広がるところを最小限にして、民主主義で自由な、そういうものに聞こえてくるためには、国民1人1人がインディペンデント、自立しないといけないですね。自ら立つ。同時にもう1つ、自ら律すると自律というもの、自分の考えでモノを判断する。人の考えではなくて。自分の考えで判断する人は中間層ですけれど、先ほどの話で言えば自明の理ではないですか。自分が貰えないはずじゃないですか。厚生省さんが何と言おうと」
反町キャスター
「そうすると、全てを疑って…」
牛尾氏
「いや、事実を見なさい。現実は隠せないですよ。できないことを言っているんですから」
反町キャスター
「そういう形でそれぞれの個人が現状を理解した時に、社会不安が当然、起きる可能性はありますね。要するに、これまで自分が安心だと思っていたものが、これが一転して、崩れていく状態になると。いわゆる、これまで言われていた社会的弱者が、それが中間層のどのくらいまでの人かはわかりませんが、人口の中のかなりの多くの人達が不安を抱える。いわゆる不安層、貧困層というところに、いきなりガタンとそこが膨らむと。それが社会不安となるような、そんなイメージすら僕は受けちゃうのですけれども」
牛尾氏
「それは事実だからしょうがないではないですか」
秋元キャスター
「それは、若い世代はどう受け止めたらいいのですか?」
牛尾氏
「若い世代はそれを知っているから、年金でも払わないんですよ。自分のところにこないから。だから、若い人は国がそういうことを改革するのは大賛成だと思うんですよ。あなたみたいに、成功して、収入を持っている人は別だけれど、学生さんとか、これからのある人は、こういう人がいれば、がんばろうではないかと思うと思いますよ。それと、改革の痛みを公平に平等に分かつ必要があると思います」
佐々木氏
「そうそう」
反町キャスター
「そもそも痛みが生じるであろうことを、たとえば、政治が痛みを伴うぞと、はっきり言っていないから」
茂木氏
「言っていないんですよ」
佐々木氏
「言っていないので、こういういい話があるということばかりやってきたわけですよ」
牛尾氏
「そういう人が当選するんだよね」
佐々木氏
「余剰幻想に寄生した政治というスタイルだったと思います。ですから、どうも本当かなと皆が疑い出すと、あるいは信用が違うではないかと。本当のところはという話になってくるという、これは非常に民主政治のセルフガバメント、自治にとっては深刻な問題だろうと思いますね。それがだんだんリミットにきているんではないかというのが、我々がこういうことを言い出した、1つのきっかけだったと思います」
秋元キャスター
「改革をするとしたら、誰が改革をするのですか。政治ですか。それは。
牛尾氏
「それは、これだけの制度を変えるわけですから、それは実行するのは政治ですよ。そういうことができるような人を選ぶ政治制度を考えなければいけないと。しかし、現在も、世の中、うまくいきますよと。改革しなくても何とかなりますよと、当面の5年間を保つような人が、政治家になりやすい環境があるから、これをどうやって変えるかと。マスコミの責任も大きいですよね」
茂木氏
「現在、政治が安定しているでしょう。安倍政権、現在安定していますね。この間、選挙をやって、これから3年間安定しています。与党で300(議席)以上持っていますね。ですから、これは良い機会ですよ。改革を断行するのに政治が不安定ではできませんからね。ですから、政治が安定しているところにやらなければダメです。ですから、そういう意味で現在やるべきですね。現在始めるべきだと思いますよ」
反町キャスター
「現在の安倍政権だったら、痛みを国民に説得できる?」
茂木氏
「説得できる。ふらふらな政権はできませんよね。ねじれ現象だったら、とてもできないね。現在、私は日本に与えられたラストチャンスだと思います。ラストチャンス。ここで安倍政権にしっかりやってもらうと。これはチャンスですよ。と言うのは、我々も強い気持ちですよね」

世代間格差…どう是正?
秋元キャスター
「日本アカデメイアの最終報告書では、2030年の構想 、21世紀型社会の構想とは『次の世代に投資する社会』へと転換することとあるのですが、具体的にはどのような投資が必要ですか?」
佐々木氏
「現在の状態というのは、裏を返せば、次の世代に投資していない社会というニュアンスが、逆に言えばそこから出てくるわけで、先ほど来の議論の話ですけれども、日本のデモクラシーというのは若い人の数が比較的少ないうえに、政治参加は非常に水準が低いというようなこともいろいろあって、民主制自体がシルバーの方へ傾いていると、俗に一般に言われているんですけれども、その問題が結局、世代間の問題の仕方を非常に何と言うか、上の世代が多いということは影響力が強いということは余剰幻想が結構長く続くと言うか、世代が上ですから。若い人には余剰幻想はないわけですよ。世代間の関係をどう関係づけるかということ自体が政治の中からあまり声が出てこない。非常に卑俗な言い方をしますと、ヤング世代を代表する政党が1つあれば、たとえば、ワーワー言ってくだされば、なるほどそういうことかと。もちろん、現在も子育てとか、既にいろんな形で芽は出ていますけれども、ただ、非常にその意味で言うと、シルバーの方に政治全体の重点が傾いているということは確かですから、格差云々と言う以前みたいな…政治の重心の置き場所をどうするかというのと表裏一体で、この問題の世代間の問題を整理し直すということだろうと思います。ですから、それを格差が広がると表現するから、僕は問題だと思うけれどもね」
反町キャスター
「パイを広げる政策と、再分配を重視する政策、どちらに軍配があると思いますか?」
牛尾氏
「日本のように、世界全体から見ると、まだまだ遅れている部分はありますから、分配3、パイを大きくする7ぐらいの比率でしょうね」
反町キャスター
「余剰幻想ではないのですか?」
牛尾氏
「日本経済というのは、日本ぐらい土日も仕事が好きで、自分だけで財産を独り占めにしないで、皆で分かつことが楽しいという、実に珍しい先進国の民族ですね。そういう集団的な民族で、しかも、努力すれば非常に強い力を持つ国というのは、僕は両立すると思うんです」

日本経済の展望
反町キャスター
「日本の美徳がそうそう維持できないのではないか、そのへんはどう感じますか?」
茂木氏
「アメリカは経営者がうんと高い報酬をとっていますけれども、そちらの方に対する反省の方が出てきているのではないですか。ですから、むしろ日本的な考え方の方が、日本は若干何と言うのですか、そういう意味のインセンティブが低いと思いますよ。もう少しとっても良いと思うけどね。しかし、アメリカはとり過ぎですよ。ですから、それはどちらかと言うと日本的な考え方に集約していくのではないかと思いますよ、健全な市場主義を育てるためには努力した者が報われないといけないわけ。努力した者が報われないような社会は成り立たないと思いますよ。先ほど牛尾さんがおっしゃった成長7、分配3、私も大賛成ですね。日本はまだ成長の余力があると思うんです。先ほどはどちらかと言うと財政再建の方に焦点があったので、ああいう話に進んだわけです。私は安倍さんのこれからの課題は、1つは、第3の矢である経済成長戦略を伸ばす。これは余地があるんです。ただ、改革をやらないとダメですね。構造改革をやれば、経済成長の余地があると思うんです。ただ経済成長だけをやったのではダメなので、財政再建を忘れちゃダメよと、この両方をやらないと具合が悪くなるということだと思うんですけれども、経済成長の余地は日本にはあるということであって、そういう前提に立てば、牛尾さんが言われた7対3というのは賛成ですね」

戦後70年と憲法改正
秋元キャスター
「戦後70年、現在の日本はどのような国際発信をしていくべきだと思いますか?」
茂木氏
「70年でステートメントを出すという話ですが、その中で、これまで日本は終戦後ずっと平和国家できていますよね。ですから、今後も平和国家でいくということをはっきりと表明すべきだと思います。ただ同時に、これまであまりグローバルガバナンスの中で日本は役割を果たしていなかったんですけれど、これからはグローバルガバナンスの中で一定の役割を果たすことが必要だろうと思いますし、果たさざるを得ないと言った方がいいかもしれないですね。そういう状況ですから、平和国家でいくと。しかし、同時に、グローバルガバナンスの中で一定の役割は果たしますよということを表明する必要があるだろうと思います。もう1つは先の大戦へ対する反省、これは素直な反省を表明する必要があると思いますね。変に自己弁護することなく素直に反省することが必要だと思います。ただ、戦後70年の日本は平和国家としてやってきたことに対する誇りは同時に表明していいのではないかと思いますね。これは非常に重要な発信でありますので、これは偏らないようにいろんな人の意見を聞いて出された方がいいのではないかと思います」
牛尾氏
「日本はこれからも軽武装、経済重視という従来の法則を続けるべきだと思う。しかし、安倍総理もよくおっしゃるように、国際社会には徹底的に、そういう路線の中で貢献するんだと。国際社会に貢献する時に軽武装ではなく貢献するのではないかと疑念を持たれることは非常に危険だから、だから、ここで再度、軽武装、経済重視というものを尊重して、世界中が特にアジアは少子高齢化、人口減少という、日本に10年ぐらい遅れて大変厳しい。日本は資本主義国家として30年、40年前に進んでいますから、もっと苦しい状況。我々の経営のパターンをどう知恵として教えて、どういう援助を我々ができるか、どういう協力ができるかということは大変大きな役割だと思います。その中の1つが教育だと思います。日本の学校教育が良いとは言い難いので社会全体の地方における家庭教育とか、社会教育とかは非常に安定しているわけです。日本ぐらい協力しあうところはない。現在でも日本海側は、半分ぐらいはお爺さんお婆さんが孫の面倒を見て、子供さん夫婦は、皆働きにいく。そういうパターンで成功し、半分ぐらいはそうではなく、東京に出てきたりする、それは自由ですから自由にしたらいいです。結局、そういう日本がこなしてきた家族制度も含めて、日本の社会教育、家庭教育を含めた教育の成功というのはあると思うんです。皆の喜び、皆の成功、皆の苦しみを分かちあうというのは、綺麗ごとに見えますけれど、日本人はそういう人が90%以上いるんですよ。そういうことを日本の社会教育を通じて、アジアに広めることは非常に大事だと思いますね」

牛尾治朗 日本アカデメイア共同塾頭の提言:『軽武装、経済重視を続ける』
牛尾氏
「これから14年、15年というのは非常に世界的に経済が厳しいと思うんですね。かつてはBRICSという成長グループがあって、これが50%を占めて、先進国を抜かすというのはそんな簡単ではなくて、先進国も需要不足。中心になったBRICSもインフレとか、需要不足で続かないかもしれない、通貨外交も混乱してですね。それに続く20ぐらいの国も非常に簡単ではなくなった。そういう困難な時に、世界の人口が35億人から75億人になって、やがて90億人になろうとする。これは同じように費用がいるわけです。そういう時に、経済が苦しい時こそ、日本が経済重視でどのように世界に協力することができるかということが非常に大事で、日本のできることは、軍事力を持たない、平和で生きていく決意をしたら、経済援助によって、経済の在り方を示すことによって、経済経営を通じて世界に貢献するのが1番良いだろうと私は思います」

茂木友三郎 日本アカデメイア共同塾頭の提言:『勤勉』
茂木氏
「日本は第二次世界大戦で敗戦国になって、その後、驚異的な経済成長をして、世界第2の経済大国になったということでありますが、そのプロセスの中で、勤勉であるということが非常に大きな要素であったと思うんですね。見えるものと、見えないものと、よく言われますけれども、見えない力として日本人の勤勉性というのは非常に大きな要素だったということだと思います。その勤勉性が失われた20年、25年と言われた経済テーマの中で若干失われつつあるような気もするわけでありますけれども、しかし、依然としてまだ残っていると思いますので、これから日本経済を再活性化するために日本を再び経済成長に乗せるために、また先ほどから議論が出ていますが、日本は現在、大変な財政赤字ですが、財政再建を見事に達成するためにも勤勉性というものを是非発揮しなくてはいけないと思っていまして、これからの若い世代にも、是非勤勉性を受け継いでいただきたいと強く願っています」

佐々木毅 日本アカデメイア共同塾頭の提言:『品位と尊厳をもって生き抜く社会』
佐々木氏
「先ほど来、お話させていただいている中で、結局人間は何だかんだと言っても生きていくと思います。しかし、問題は現在、非常に将来は大丈夫かという警戒警報が発せられています。ですから、これを乗り切るということによって惨めなことにならないような、反町さんからいろいろ質問が出されていましたけれど、どうなっちゃうんですかという。そこが非常に大きな分かれ道になるので、是非こだわって、これまでよりもいろんな意味で、これもなくなった、あれもなくなったということが出てくるかもしれませんが、しかし、先ほど来も皆さんからお話があったように、やはりやるべきことをきっちりやる。そして我慢をするところは我慢をしながらでもやっていく、やり抜いていくということをして、課題先進国日本というものが他の国から評価されるというところまでいけば、私は国際的に見ても、非常に大きな存在感を得ることができるのではないかと。そういう意味では、内政と外のイメージというのはかなり表裏一体という形になっているという点も見極めながら努力を重ねていくべきだろうと、そんな気持ちで書きました」