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2015年2月3日(火)
ピケティ本なぜ売れる 「格差」関心拡大社会

ゲスト

田村憲久
前厚生労働大臣 自由民主党政調会長代理 衆議院議員
長妻昭
元厚生労働大臣 民主党代表代行 衆議院議員

トマ・ピケティ氏会見 日本の経済をどう見るか
反町キャスター
「ピケティさんが土曜日に会見をやったんですけれど、民主党の言っていることに近いなと思って聞いていたら、実は前日の金曜日の夜に大使館に行って、長妻さん、岡田さんはピケティさんに会っていましたよね。直接、話した感じはどうですか。だいぶ民主党のエキスが染み込んで土曜日の会見に来たという感じもするのですが?」
長妻議員
「初めて会った印象は、質問攻めに逆にされたんですよ。私と岡田代表が日本は格差どうなっているのか。いろいろ答えた後あとに、お話を聞いて、印象に残ったのは、経済成長を日本がするためには格差を小さくしなければいけないでしょうかと聞いた時に、それはそうだと。特に、若い人の能力を発揮させるためにも、若い人に手当てをする必要があると、そうでない人から。ですから、そういう発想は成長をもちろん、ピケティ氏は否定しているわけではなくて、ちゃんと持続的に成長するためには、格差を是正し、能力がきちんと発揮できる環境をつくらないともったいないよと。1人の人が百歩進んで、その他が進めない社会というのはもったいないですよね。私は、百歩進む人がいてもいいけど、他の人も一歩づつ前に進める社会の方が社会も安定化するし、それは成長の基盤をきちんとつくることにつながると。人への投資というのはコストではないですね、その部分は。必ずリターンがあるのですから。そういう考え方をもっと持っておく。自民党と対立するわけではなくて、我々の言うことをもっと取り入れてもらえればいいんです」

前・元厚労相が徹底討論 格差拡大にどう対応するのか
田村議員
「現在も分配をやっているわけですよ、当然。人への投資もやっているんです。それをもっとやろうと思えば、配る原資がなければ、配れないではないですか。消費税を上げたって、それはもう民主党政権の時に、既に何に使っていくかとつくりましたよね。それを我々が皆さんと話しあって、あの法律を通す時にだいたいその方向でいこうということでやっているわけですね。ですから、原資として、さらに、消費税をとるかという話ではないと思うんです。それを、どこからとってくるんだ。高齢者から医療費を削減して、そこから持ってくるのか。これも民主党もよろしいとは思われない。だから、結局、全体のパイを広げないと分配できないと。これは同時にやらなければいけないんです。だけど、やるためには、パイが増えて、配るものが増えてこないとより多くは配れないと」
反町キャスター
「たとえば、自民党がやっている国土強靭化における予算づけや、法人税の減税とか、そんなことをやるのであったら、現在の格差是正に数兆円、数億円の金をまわすべきだと」
長妻議員
「数兆円とは言いませんけれども、それぐらいですね、田村さんがおっしゃるように防災とか、災害とか、そこまで削れと言っていません。それは事故が起きますから。ただ、景気対策ということで公共事業というのはもう古いのではないですかと」
田村議員
「だから、この間はやっていないではないですか、補正予算。民主党の時代も、たとえば、法人税減税をやられていたんでしょう、政権時代に。だから、そこは違ってはいないです。それから、就学支援だって22億円は言いましたけれど、来年度38億円ですから。もちろん、国費が2分の1になりました。ただ地方交付税措置をやりました。結局、出ているんですよ、38億円。倍近くに上がっている。もっと言うと、貧困対策、今度賛成いただいた生活困窮者自立支援法。あれに則って400億円からの予算の枠を、国費ですよ、総務ベースで総事業費600億円だと思いますが」
反町キャスター
「生活困窮者支援法というのは、いわゆる生活保護にドスンと行く前に、もう少し、たとえば、いろんな形でインセンティブをかけて、働く機会を皆さんに提供をして、当面の住居を提供して、そこでとりあえず生活保護にいく前に、もう少しその前でがんばれる機会をある程度、そこに行く前の人にチャンスを与える。そういう法律ですよね?」
田村議員
「だから、そこにこれまでは生活保護のお子さんが集中的に就学支援みたいな話だったのが、範囲を広げて、そういうところまで就学支援を広げていこうということ。実は子供世帯の貧困率と言いますか、貧困ラインというのは、生活保護過程のお子さんは、全部とは言いませんが、ほとんどかなりの部分は、貧困ラインより上ですよね、率は」

アベノミクスと格差拡大
反町キャスター
「安倍政権になってからアベノミクスにおいて格差が広がったかどうか。ここはどうですか?」
長妻議員
「広がる傾向が強まったと思うのは、たとえば、事実として実質賃金が7か月連続マイナスになっているんですね。事実として2人以上の世帯を調べると、一昨年、初めて貯金ゼロの世帯が3割を超えるというようなことも起こったと。GDPの6割を占める家計消費がなかなか戻ってこないというようなことも含めて、格差が縮まる方向ではない。輸入物価も円安で上がって、なかなかトリクルダウン、つまり、輸出企業や裕福な人からも富が滴り落ちてこないということもあるので、問題と認識しているような、していないような。しているのであれば政策を格差の是正のところにもうちょっと力を入れるというふうにしていただきたいので、我々はそれを申し上げている」
田村議員
「それは、経済政策と格差の是正というのは、密接に絡んでいるようで、また、別のところもありまして、アベノミクスが格差を広げたのか。実質賃金のお話がでましたが、これは消費税が上がった部分の物価上昇が効いているんですよ。これを抜きますと、総雇用者所得は、実はプラスになっています」
反町キャスター
「それは1人1人の賃金ではなくて、総雇用者所得で見てみると増えているという、これ別の物差しですよね」
田村議員
「そうです。増えてきています。それはなぜかというと働く場が増えていますから。これまで所得がなかった、つまり、働けなかった人達が働き出して、家計に所得が入ってきたんですよね。そう考えれば、全体としては購買力は増えているはずなんですよ。正規は減っている。非正規ばかり増えているのではないかと言われている。これはアベノミクスがそうなったのではなくて、非正規が増えたのはアベノミクス、いい意味で。なぜかと言うと、定年退職になった方にそれまで仕事がなかったのが、景気がいいから非正規で働きだされるわけですよ。ですから、ここは伸びているんですね。それと、もう1点、なぜ正規が減るか。これは200万人生まれていた団塊世代のあとの方々が定年退職に毎年なっているわけですよ。200万人正規が、全員とは言いませんけれど、塊が正規から非正規に移っていく、一方で、正規に入ってくる世代ですよね、高校を卒業される、大学を卒業される。120万人ですから。簡単に言うと、そんなに簡単に言えませんが、80万人ぐらいのハンデがあるわけですよね、当たり前、そういう人口構成だから正社員が減っていくんです。正規の方が昨年の9月から月単位で見てみますと、昨年の実績よりも正社員の方が増えだしたんです。これがどういうことかというと、現在分析させていますけれども、不本意正規で、若い方々が失われた20年の間、正規で働けなかった。そういう方々が現在、大変な勢いで正規に変わってきている。こういうことだと思います。まさに、いろいろな企業がそれまで非正規中心で、いろいろと働く人につらいと言われてきた企業が、正規で採り出してきています。そういう意味からすると、ここが正規になっていくことによって、当然、待遇が良くなりますから。ここが若い方々が多いので、まさに、子育て世代ですよね。そういう意味からすると、格差と言われてきている1番のところというのが、所得が上がってくる。最低賃金だって2年連続で16円、17円。こういうような上げ方をした。ですから、アベノミクスで格差が広がったといいますが、一時的に物価が上がって、賃金はあとからついてきますから、それで1年かかりました。でも、実際問題、今年の4月は、連合のいろんな調査や経団連の調査を見ていても、2%ぐらいは賃金上がっているわけですよ。と言うことは、いよいよその成果が出た時に消費税でガタンと物価が上がっちゃったものだから、実質的に下がっちゃったと。これが現在の消費が落ち込んでいる原因だと思いますね」
長妻議員
「消費税(増税)の前から、それは下がっているのですが、ただ、雇用の話は、だいたいそういうことだと思うのですが、ただ、フェアに言うと、たとえば、民主党政権は3年3か月でしたけれど、民主党政権も初めから終わりまでを見ると、失業率が下がり放しで、有効求人倍率はずっと上がり放しで、そのトレンドが現在続いているということなので、我々の時も雇用は改善しているということもあるし、たとえば、もっとフェアに言えば、経済成長、実質GDPの成長については、民主党政権3年3か月で5.5%成長しているんですよね。現在の安倍内閣でいうと1.4%なので、期間は、安倍内閣はまだ3年3か月経っていませんけれども、ちゃんと実質GDPは上げているので、おっしゃることはそうだけれども、我々の時もそのトレンドは続いているので、格差のところと切り分けて議論をしたい」
田村議員
「ちょっと待って、実質ではダメなんですよ。名目が上がらないと。だって、社会保障も何もかも名目の世界で動いていますから。標準報酬月額はこの十数年ほとんど変わっていないんですよ。だから、料率が上がっていったわけです。保険料率が上がって、給料が増えないのに保険料が増えますから、可処分所得が減っちゃうから、また、デフレで物価が下がると。これがダメなので、実質経済成長ではなくて、名目。実質はプラス。名目もプラス。こういう世界に持っていかないといけない」

子供の貧困対策
秋元キャスター
「相対的貧困率、つまり、国民の可処分所得を高い順に並べて、中央の人の額の半分未満の人が、全人口に占める割合というものですけれども、1985年の12.0%から増え続けていまして、2012年は16.1%と過去最悪を記録しているんですね。中でも、17歳以下の子供の貧困率の推移を見ていきますと、1985年10.9%だったものが、2012年には16.3%。相対的貧困率以上に増えているわけですね。子供の貧困率が上がっているという点をどう捉えていますか?」
長妻議員
「そうですね、深刻ですね。先進国30か国の中で4番目に悪くなっているわけですね、日本が。6人に1人の子供が貧困にあるということですね、このデータで言うと。専門家によると、そういう状態の6人に1人が、学ぶ、遊ぶ、医療を受けるなど、子供にとって当たり前の生活が難しい状態になると。人口で言うと17歳以下で300万人あまりがそういう状態にあるということで、就学援助、給食代が払えないなどで、現在全国の公立小中学生の155万人が受けているのですが、これは15年前の2倍です。いろんなNPOの活動を見ていると、たとえば、子供の1日の食費が300円、3食で300円で暮らしているお子さんもいっぱいいらっしゃるので、我々は政府にそういう方が何人いらっしゃるのか、ちょっと実際、調査をきちんとしてくれというような要請をしています。もっと深刻なのは1人親家庭の貧困率が先進国で最悪になっているんですね。非常に困窮されているわけです」
反町キャスター
「それは、シングルマザー、シングルファーザーに対する手当が日本は薄い?」
長妻議員
「圧倒的に薄いし、もう1つ特筆すべきは、所得再分配のあとにむしろ格差が拡大しているんですね。シングルマザー、つまり、税金をとって、社会保険料をとって、再分配しますよね。社会保障を差し上げるとか、いろいろな恩恵を低所得の方へ。それが非常に少ないので、シングルマザー、シングルファーザーのご家庭というのは、再分配の政策、税金をとって、社会保険料をとったあとの方が、格差が拡大をするという…」
反町キャスター
「母子家庭手当とか、そういうのがありますよね」
長妻議員
「児童扶養手当が圧倒的に弱いと言われているので、私は児童扶養手当を現在、お子さん1人でも2人でもほとんど変わらない金額。別に倍にならないわけですね、全然。ですから、そういうところに手当てをすることで、能力のあるお子さんがちゃんと教育を受けられるようにすると。かつ低所得の方々の限界消費性向と言って、お金が入ってくると、ほとんど消費にまわるんですね。お金持ちと違って。ですから、そういう意味では、消費も喚起する。日本の、短期的にいうと個人消費が戻らないということが、非常に大きな問題なので」
田村議員
「相対的貧困率は確かに上がっているんですね、これはお子さんもそうですし、全ての世代も、対象もそうですね。ところが、ジニ係数の方を見ますと、再分配後のジニ係数は実は改善してきているんですよ。ジニ係数というのは、要するに、本来はそれぞれの家庭において所得がこれぐらいあってというのがあるんですね。40ぐらいがいいのですが、これがうまく配られないことによって、カーブをつくるというか、要するに、1になる。これは非常に悪い状況で低くなればなるほど格差が少なくなるという係数です。ジニ係数で見ると、再分配したあとは改善してきているんですね」
反町キャスター
「でも、先ほど、長妻さんは再分配したあと、さらに悪くなっていると」
長妻議員
「相対的貧困率、1人親の家庭に限定すると、ジニ係数と相対的貧困率、主には2つあるんですね、格差を示す資料は。ジニ係数はどちらかというと裕福な人が再分配して、ある程度、中間層に下がっていく時に、かなり効いてくる指標なので、私は相対的貧困率ということで、本当にお困りの方がどのくらい増えているのかという指標を重視する方がいいのではないかと思いますね」
田村議員
「ただ、日本はもとから高いんですよ。バブルの後半でも13%以上あるんですよ。と言うことは、どういうことかというと、ヨーロッパ、イギリスやフランス、ドイツあたりが7%、8%ですよね。もとから相対的貧困率という指標を出すと、高い傾向にあるので、よくその中身は分析する必要があると思います。今回、子供の貧困ということで、指標を二十いくつかつくって、それをずっと調査しながら、改善に向かって努力していくという形でありますので、その中に相対的貧困率、子供の貧困率は入っていますから、私の方もちょっとここに対象になる家庭の実情がどんな状況なのかと、事細かく調査をすべきだと」
長妻議員
「問題なのはこういう方々がお気の毒だから、何か手当をするということではなくて、そういう発想も必要ですけれども、それだけではなく、こういう方々のお子さん達が貧困のために意欲と能力があってもちゃんとした教育を受けられないと。これは社会全体の損失であるし、社会も安定化するためにそういう能力がある方が教育を受けられるような環境をつくる方が、社会全体にとってもプラスだし、経済成長にとってもプラスだし、ある意味では、民主主義の基盤もつくることになるので、だから、日本全体、社会にとってもプラスだからやらなければいけない。ただ、これはおっしゃるように財源もありませんから野放図に全部やる、効果を見て、これは長期的に必ずプラスになる。アメリカは進んでいて、たとえば、就学前の貧困家庭のお子さんに、これだけのお金をかけて教育すると、あとでこれだけのリターンがあると。たとえば、ちゃんと大学を出て収入で税金をいっぱい収めるとかです。あるいは生活保護にならないとか、そういうデータをかなり蓄積しているので、そういう冷静な分析をしたうえで、人への投資として、そういうことにも目配りをしないといけない。我々も反省したのですが単年度主義ですよ、日本の予算編成は。そうすると、何でも切ればいいと、少なくすれば勝ちみたいな部分があるので、そうではなくて、ここは一定のお金はあるけれど、最終的にはこういう効果があるという発想を、持つ必要があると思うんですね」
田村議員
「日本の若年者ですね、若年労働者。これはそれこそ24歳までとか、35歳までだとか、こういうところを見ても失業率は非常に低いんですよね。だって、24歳までは5.5%ですよ、現在。アメリカは景気が良くて全体で5.5%ですから。日本は全体で3.4%、失業率が。ヨーロッパは全体で10%、若者は20%ですから。と言うことは、日本の方は働いてはいるんですよ。一人親家庭だって、女性を見ると、8割から働いておられる。これは世界で見ても失業率は低い。問題は戻るんですけれども、非正規の、非常に不安定な働き方、待遇の悪い働き方を良くしていく」
反町キャスター
「そのポイントは先ほど言った母子家庭のお母さん。非正規で働かざるを得ない、子供に、子育てにかける時間などもあって、非正規で働かざるを得ないという前提に立った時に、そこに対する手当というのはどうなっているのですか?」
田村議員
「たとえば、現在いろんな資格をとる、看護師になろうと、自分でがんばろうと思いますと、10万円生活費を、毎月2年間支援です。資格をとってもらって、看護師になっていただくというような、看護師だけではないですけれど、そういうようなメニューがあるんです。だけど、なかなかそれが伝わっていかなくて、もうちょっとこういう良い制度があるので、こういうものでより高い能力をつけていただいて、そのうえで取得を増やしてくださいと。こういうようなお願いもしています」
長妻議員
「ただし、本質的な問題はまさにおっしゃったように、日本は確かに失業率が低い。ただ、若い人は非正規雇用が4割近くまでいて、労働生産性が低いから賃金も非常に安いんですよね。結婚率も正社員の半分になっているということが、最大の問題です。私はこれを解決する特効薬が1つあると。これはヨーロッパでは当たり前のEU指令で出ている均等待遇原則を法律で入れる」
反町キャスター
「同一賃金、同一労働ということですか?」
長妻議員
「同じ働き方であれば同じ賃金や待遇にすると。これを徹底すれば、たとえば、社長から見ると、これは厳しいかもしれないけれど、中小企業は大変ですけれど、最初は景気緩和策を入れるものの、社長から見ると正社員と非正規雇用に同じ働き方で同じ給料を払うわけだから、非正規よりちょっとちゃんとした働き方にして、会社のロイヤリティも高まるから。どうせ賃金が同じだったら、同じでいいのではないかと。こういう発想になって、それで多様な働き方を認めるというのは、私は1つ、いいと思うのですが、日本はその原則がなくて、安く使える働き方をどんどん広めて、国際産業競争力が高まると思いきや、労働生産性が1人頭の付加価値をつける額が20位以下まで下がっちゃっている。元も子ともない状態になっている。ドイツを研究した方がいいと思うのは、来年、ドイツはうらやましいことに国の借金ゼロになるんですよ、これは、労働生産性が上がったことも1つの理由になって、日本よりはるかに厳しい労働法制ですね」
反町キャスター
「それは移民は関係ないんですか?」
長妻議員
「移民も、トルコ人のがあるかもしれませんけれども」
反町キャスター
「日本も同じ政策にしたらという議論にもなって、そのうえ低賃金労働を移民に委ねて、いわゆる高付加価値の労働を日本人がやるという話になる?」
長妻議員
「ドイツは均等待遇原則が入っていますから、移民を賃金安く使って、経済成長という発想ではないと思いますね。1日10時間以上労働できないとか、インターバル規制11時間。会社退社してから出社するまでに11時間空けなければいけないとか、最低賃金も高いですね。つまり、高付加価値でないと生き残れないような法制にして、非常に付加価値が高くなっている。こういうのを研究する必要があると思うんです」
田村議員
「均等待遇というのは確かにに理想です。ただ、職務、この違いがあります。働き方の仕組みも違います」
反町キャスター
「職責も違いますよね」
田村議員
「違います。たとえば、ヨーロッパはジョブ型と呼ばれる働き方で、それぞれ職制、セクションで決まっていますよね。日本はメンバーシップ型という働き方で、たとえば、転勤を言われれば転勤しなければいけないのだとか、残業を強いられれば、残業をやらなければいけないというのがあるわけです。そこが違うのに、現在やっていることが一緒だから同じ賃金という話になると、今度はこちら側がおかしい話になっちゃいますよね。そういう働き方に変えていかないとなかなか均衡、均等待遇というのが難しい。均衡待遇はできても、均等待遇というのは難しいです。何をもって均等とするかという、もともと違うのですから。そういうところ、これから日本もジョブ型を増やしていこう、こういう考え方はあります。それをやろうとすると、いいですよ、無理やりあわせてもいいんですけれども、無理やりあわせたりすると、総人件費は決まっていますから、世の中で、こちらをグッと上げれば、世間相場は下がっちゃいますよ、企業を運営しようと思えば。だから、そういう問題があるので、そう簡単にはすぐできない。働き方は変わって、同じ物差しで見られるようになれば、それは同じような働き方にたぶんなると思いますから、待遇も同じようになると思います」

高齢者の貧困対策
田村議員
「これから国民年金はマクロ経済スライドという年金を均衡させるために給付を抑えていくという、物価所得が上がった、賃金が上がったのより年金を抑えていくという、これが今年から発動するんですけれども、これをかけていくものですから、特に国民年金の方にこれが厳しくかかるんです、期間が。ですから、目減りしまして、たぶん将来的には現在の賃金水準で言うと、5万円ぐらいになっちゃう。さあどうするんだと」
反町キャスター
「いつ5万円になっちゃうんですか?」
田村議員
「2030年代の後半だと思います。2040年前だと思います」
反町キャスター
「名目ですよね」
田村議員
「名目は上がります。現在の賃金水準で言うと5万円ぐらいになってしまうという話です。それで1つは、生涯現役社会というのをつくろう。平均寿命がどんどん伸びていきますからね。現在の若い方は現在もらっている方々よりも平均寿命が伸びますから。伸びれば当然同じ年金水準をもらうとお金かかっちゃいますから、薄くなっちゃうという部分もあると思うのですが、それを防ぐために生涯現役社会でお元気ならば、平均寿命も伸びるんですから健康寿命も伸びるだろう。その下で働ける社会をつくろうと。70歳まで仮にもらう年金をあとに選択をすれば4割以上年金が増えるんですよ。5万円だった年金が4割増えますから、いくらになるという話なわけですよね。そういうような方法もありますので、いろんなことを考え、使いながら。もちろん、65歳でほしいという方がいたら、これは貰っていただいて結構ですけれども、いろんな老後の生活設計を考えていかなければなりません。そのためには高齢者の就労支援というものを、ハローワークでもそういう窓口をつくってやっていますし、大きいハローワークでは高齢者の職業人生の再設計みたいなことだとか、就労支援チームもつくったりだとか、シニアワークプログラムというのをつくって、こういうものを動かしたりといったことをやっていますので、とにかく高齢者の方々の素晴らしい能力を活かして、地域で活躍していただく。そういうことで所得も一定に」
長妻議員
「60歳以上を見ると、生活保護を受けられる方の半分以上が60歳以上でどんどん増えているんですね。これは日本に特異な現象でヨーロッパの国々等では、生活保護に相当する制度は若い方が多いですね。つまり、老後は年金で基本的に暮せるということがあるので、ですから、日本はなかなか年金が脆弱なため生活保護にならざるを得ない方がこれから増えていくという大きな問題がある。その時に、年金をどうするかというのが最大の問題ですね。田村さんがおっしゃったようにマクロ経済スライドがかかって、問題なのはマクロ経済スライドが基礎年金部分にもかかって最大で3割ぐらい基礎年金が目減りしてしまう。先ほどおっしゃったように、1か月5万円前後とか、それで年金と言えるのかと。ただ、この問題を論じる時に我々もきちんと申し上げないといけないのは、年金を、たとえば、基礎年金にマクロ経済スライドをかけない場合、たとえば、これだけ財源が必要だ。つまり、国民の皆さんの負担をお願いしなければいけないので、それをお願いしたうえで、国民の皆さんに選択をしていただく。負担をしていただいて、年金をこうするのがいいのか、あるいは現在のままでいいのか」

持続可能な年金制度とは
反町キャスター
「民主党は今回の選挙で、そんなアジェンダを提示しましたか?」
長妻議員
「我々は政権の時にそれを提示したんですよ。そうしたら世間が民主党は消費税をさらに上げるのかという報道になって、なかなか議論が進まなかったのですが、それはあげるのではなく、選択していただくと。これだけの最低保障年金であれば、これだけの税負担だけど、それでよいのですか、よくないのですかというということを問いかけたつもりだったのですが、なかなかうまくいかなかったので、これは現在の政権も含めて、そういった問いかけをするべきであると」
反町キャスター
「民主党は月額6万円の国民年金、基礎年金について、マクロ経済スライドの対象にしないという法律を検討することになるのですか?」
長妻議員
「我々はまず年金の最終的には一元化と最低保障年金と言っていますが、段階的改革ということで、現在野党なので、最終系が現在なのですが、その前に会社で働いていれば、基本的には厚生年金に入っていただく。そういう方向にまずはもっていく努力をしていきたい」
反町キャスター
「国民年金をいわゆるマクロ経済スライドから外すという話というのは、もうちょっと先の話?」
長妻議員
「そうですね。それとプラス基礎年金が脆弱な方というのは、本当の自営業の方には未納がないんですよ。そうではなくて国民年金で、非正規雇用で国民年金になっている方の未納が多いので、たとえば、会社で勤めていれば原則厚生年金に入るということになれば、その方々は給料から天引きで引かれますから、その方々の未納問題はすぐ解決するんですね、その時点で。実はそこが非常に大きく、将来の無年金、低年金の方を防ぐ大きな役割があると。当然企業は負担が増えますから、そこは激変緩和策は考えなければいけないのですが、そこがまずは第1段階の改革です」
反町キャスター
「非正規も厚生年金に加入できるようにするという話?」
長妻議員
「そういうことです」
反町キャスター
「自民党は、法整備、どういう構えなのですか?」
田村議員
「ですから、先ほども申し上げましたように、まず自主的にというところから。現在は入れませんから。現在は自主的に入っていただけるようにする。そのうえで、経済の状況ですよね。中小企業も含めてちゃんと利益が出てくるような、そういう経済状況をつくらないとなかなか厳しいと思います。実際、コストをいろいろ考えてと言われましたが、かなりの財源を国が入れるとすれば、これはまたかかる話なので。しかも、一方で、プライマリーバランスを約束していますから。この制約がある限り、そう簡単ではないんですよ、国際公約ですからね。もしこれを破っちゃうと、それなりの理由がなければ破るわけにはいかない。マーケットにも影響するかもわからない」
反町キャスター
「どちらが先になるのですか?プライマリーバランスなのか?」
田村議員
「まずは景気をよくする。だから、景気をまず良くして。そのために、我々はアベノミクスをやっているんです。働く方の所得が増えること。保険料も増えます。当然、税金が増えるから、税でいろいろなこともやれます。財政だって、その分だけ良くなっていくわけですから、プライマリーバランスも好転化する」

医療保障制度と格差
秋元キャスター
「医療保険制度改革、4月以降負担増のメニューが並ぶわけですが」
長妻議員
「考え方として、これだけ財政も厳しい少子高齢化社会なので、年齢を問わず余裕がある方はそうでない方を支える。財政的にも、労力的にも、というのが原則として言える。ですから、メニューの中でそういう一定の余裕がある方が、そうでない方のためにご負担を増やしていただく。これは良いと思うんです。ただ、本当に一律に所得だけでパッパッと切っていいのか。その方の健康状態とか、1人暮らしなのか、どうなのか、持ち家なのかということもよく見ないといけないし、あと一部、今回資産も見ていますけれど、預貯金がどのぐらいあるのか。収入は少ないけれども、預貯金がすごくいっぱいある方はご負担いただかないといけないので、そういうところの工夫もする。1点だけ気になるのは、消費税を上げる時の約束として、総合合算制度というのを入れるということを言ったはずですね。これは医療介護のみならず、保育とか、いろんな社会保障を負担した時に、自己負担がいっぱいになる。この自己負担が一定以上になると頭打ちでそれ以上増えませんと。これは非常に画期的な総合合算制度。マイナンバーを導入すると同時に入れるということだったのですが、現在それを政府に聞いても、制度設計しているような感じではないですね。これをまさか入れないということになると、消費税増税時の社会保障の充実で、国民の皆さんは何が充実だと思っておられると思うんですね。(消費税)8%にして、今度10%にする。これが1つの目玉だったので、これはぜひやっていただきたいと思うんですね」
反町キャスター
「総合合算制度というのは、どのような現状なのですか?」
田村議員
「現在それはマイナンバーの導入に向かって、いろんな検討をしています。4000億円だったと思いますけれども、財源は確保されている話なので、それは総合合算制度というのは1つ大きな政策として…」
反町キャスター
「マイナンバーが導入されるかどうかにかかっている?」
田村議員
「もちろん、マイナンバーがないとできませんから」
反町キャスター
「マイナンバーはどのように?」
田村議員
「進める」
反町キャスター
「整っている?」
田村議員
「総合合算制度という仕組みをつくらないといけませんから、これはそう簡単ではありませんので…」

格差拡大にどう対応するのか
反町キャスター
「富裕層からとった部分を低所得者にまわす部分については?」
田村議員
「私が国会議員をやるずっと前から社会保障分野の課題ですね。つまり、生活保護のすごいところというのは、資産要件を全部見るわけですよね。それでこの人は何もないから、生活保護で扶助しようという話になるわけで、すごく手間がかかるわけですね、当然のごとく。場合によっては、生活保護の場合はご親戚にお声をかけることもあるかもわからない。そういうことも含め、どこまでやるんだと。1人1人全員そんなことを全ての対象者にやっていたらコストだけでどのぐらいかかるかわからないという話になっちゃいますからね。だから、何か良い方法があればいいのですが、まだマイナンバーは資産にはつかないので、そういう意味からすると、完全に把握できるところまではいっていない」

田村憲久 前厚生労働大臣の提言:『成長と分配』
田村議員
「今日いろいろとお話しあいをさせていただきまして、社会に格差が広がりますと不安に陥れるわけでありますから、格差がなくなることによって実は貧困世帯だけではなくて、他の層の方も幸せになれるはずですね。ですから、一人親の家庭もそうですし、子供の貧困もそうですけれども、そういう問題を解決していくためにはいろんな施策を進めていかなければなりません。そのためには、成長というものがあって、国がしっかり成長していって、その原資をしっかり確保する。それをしっかりと分配する。現在も分配していますが、より手厚い政策を行うためにはより成長して、果実を我々は得なければならないということでありますので、成長と分配。これはどちらかというのではなくて、両方とも両輪として必要だという意味で今日はこうやってあげさせていただきました」

長妻昭 元厚生労働大臣の提言:『誰も置き去りにしない社会』
長妻議員
「もっとどぎつい言葉で言うと、人間を潰さない社会ということですね。格差が拡大し、私は一部のご家庭では本当に限界まで近づいてきていて、人の能力がどんどん潰れている。それによって仕事にも就けないし、教育も受けられない。3食飯を食うこともかなり厳しいと。そういうものを放っておいて、成長ができるのかと、持続的なものが。短期ではなく、人へのきちんとした投資をして、1人1人の能力が最大限発揮できるような環境をつくることが、お気の毒な方のためだけではなく、それは社会全体にとってプラスだと。田村さんが最後は同じようなことをおっしゃっていただいたんですけれども、そういうことが結局社会にとってプラスだと。我々は自民党と対立という(のではなく)、日本はもっと良くなるから、こういうことをやったらどうですかということを、本当に我々は確信を持って申し上げているわけです」