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2015年2月2日(月)
“イスラム国”の企図 狙われた日本の今後は

ゲスト

世耕弘成
内閣官房副長官 自由民主党参議院議員
福山哲郎
民主党幹事長代理 参議院議員(後半)
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

“イスラム国”人質事件検証 後藤さん殺害映像公開
秋元キャスター
「昨日、後藤さんとみられる男性が殺害された映像が公開されましたが、これまで人質解放に向けた対応に携わってきた立場としてどのように見ていましたか?」
世耕議員
「政府は人命第一ということで、ともかく不眠不休で全力を挙げて、あらゆるルート、あらゆる手段を尽くしてやってきました。安倍総理自身が地球儀を俯瞰する外交をやっていて、いろんな首脳と信頼関係が非常に強かったものですから、関係国がいつになく、非常に親密に協力をしてくれたのも事実です。ただ、結果は、湯川さんと後藤さんがむごたらしい形で殺害されたという、本当に無念で痛恨の極み。心からお悔やみを申し上げたいと思います。こういう残忍な、非道なテロは、我々は絶対許さない。これは断固、抗議をしていきたいと思います。こういう事件があっても、我々はテロに屈しない。テロに屈しないということをしっかりしていくことで中東諸国に対する医療など人道支援というのを、これからも拡充していきたいと思います」

2億ドル支援表明の影響は…
秋元キャスター
「今回の事件の経緯をあらためて振り返っていきたいと思うのですが、20日に“イスラム国”を名乗るグループが72時間以内に身代金2億ドルを支払わなければ、湯川遥菜氏、後藤健二氏を殺害すると予告する動画をインターネット上に公開しました。24日、湯川氏を殺害したとする写真を持つ後藤さんと見られる画像が公開され、犯行グループ側はヨルダンに収監されているリシャウィ死刑囚の釈放を要求してきました。27日、“イスラム国”に拘束されているヨルダン人のパイロットの写真を持つ後藤さんの画像が公開され、24時間以内の死刑囚の釈放を要求しました。さらに、29日は日没までにトルコ国境で死刑囚と後藤氏を交換する準備をできなければ、パイロットを殺害するという内容の、後藤さんとみられる男性の音声を公開しました。そして、昨日、後藤健二さんとみられる男性を殺害したとする映像が公開されると。こういう流れになったわけですけれど、世耕さんは、安倍総理の中東訪問にも同行されていましたが、安倍総理が2億ドル支援を表明した3日後に“イスラム国”側から最初の映像が公開されましたけれど、それについてはどのように考えていますか?」
世耕議員
「それは“イスラム国”にとって都合の良いタイミングだったと思います。一部にはエジプトで、あのスピーチの中で2億円の人道支援の表明をしたこと、それがISILへの刺激だったと、良くなかったという意見がありますけれども、我々の中東への人道支援は、昨日、今日始めた話ではないです。これはずっと続けている話です。それの延長線上で、今回2億ドルという話です。それが良くなかった。それを変えろというのはそのこと自体がテロへの屈服だと思います。まさに、そういう意見は、私はISILの意見を代弁しているに等しいと思っています。あのスピーチは、全体をよく見ていただきたい。ホームページにも載せています。よく見ていただきたいのですが、特に今年は、日本の戦後70年の非常に重要な年です。その年の冒頭の総理の外遊に、敢えて中東を選んで、日本の戦後70年間いろんな戦争を経験したことを踏まえて、平和国家として歩んで、経済的にも発展した。そのことを今なお紛争に苦しむ中東地域でしっかり伝え、こういう日本の経験とか、知恵とか、能力を是非活かしてほしいということを伝えるというのは、非常に重要だったと。それと、もう1つは現在かなり急進的に民主化を求める動きもあるわけですよ」
反町キャスター
「それはアラブの春以降の話ですか?」
世耕議員
「そうです。それは、日本はそういった動きとは一線を画して、中東の中庸の精神に敬意を払いながら、過激主義とか、急進主義ではなくて、漸進主義、徐々に変えていくということをきっちりと支持しますということも言ったうえで、その支持の証として、これまでやってきた人道援助の延長上、特に、ISILと対峙している諸国に対し、特に難民で苦しんでいるわけですから、そこに2億ドルの非軍事分野の人道支援をするということを明確に言った。これは、私は現場にいましたけれども、現地の人から拍手喝采でした。総理のスピーチの合間にも何度も何度も拍手が起こって、この2億ドルの支援表明の時でも、大きな反応が起こって、現地の人も評価してくれたと思っています。昨日も駐日パレスチナ代表の方がインタビューに答えておっしゃっていましたけれども、今回の映像の内容は、ISILを刺激した、挑発したとはまったく思わないとおっしゃっていますし、演説で述べた、特に、中庸の美徳というのは、アラブ諸国に対して非常に適切な良い表現だったと言っていただいています。このパレスチナの代表は、事件がたまたま間違った対応で起っただけであって、安倍総理の訪問自体は非常に適切な時期だったという評価。これが一般の中東諸国の受け止めだと思っています」
反町キャスター
「世耕さんは、総理のカイロのスピーチの話をされたので、紹介させていただくと、カイロでの政策スピーチ。世耕さんが先ほど言われた、ISILと闘うという、これは官邸のホームページからとったのですが、闘うという言い方ですけれど、世耕さんは現在対峙すると言いました。闘うと対峙する、ニュアンスとしては対峙するの方が戦闘性や暴力性が多少低くてマイルドな表現だとは思うんですけれども、この言葉、たとえば、人道支援をやりますという部分だけでとめておくか、ないしはISILと闘う周辺各国というところまで、言うか、言わないかは、カイロで総理が話をする時点で、既に官邸、政府は、後藤さん、湯川さんの拘束事案を当然知っていて、現地対策本部も非公表ながらつくっていた。そういう状況下において、敢えて拘束主体であるISILに対して闘うということまで踏み込んだこと。これはここにおいて、たぶん官邸の中で、このスピーチをとりまとめるにおいて、今回、中東によって積極的平和主義というか、これは違いますね、この部分は、人道支援に対するこれまでの姿勢をより踏み込む形で、ここまで言うのか、ないしは人質を抱えているISILを敢えて名指しで刺激することがどうなのかという、議論があったのかどうか。この時ここまで踏み込むということに至った経緯。どうしてここまで踏み込むに至ったか。そこの部分を教えていただけませんか?」
世耕議員
「我々はテロに配慮して、総理のメッセージを変えるなんてことはやりません。我々はあくまでも日本として訴えるべきメッセージをしっかり訴える。これは我々の基本方針です。ここで闘うという言葉ですけれど、これは日本語で考えていただければ、たとえば、病気と闘うとか、あるいは困難な問題と闘うと。こういうニュアンスの闘う。現に、これはもちろん、英語で、ホームページで海外向けに公表しているわけですが、その時も通訳がいるわけですが、その時の言葉、contendという言葉。これはいわゆる戦争するとか、喧嘩するとかという意味ではなくて、対峙するとか、困難な問題にちゃんと立ち向かっていくというニュアンスの言葉。私達の言葉として、これを使わせてもらっています。演説全体を読んでいただければ、そういう意味のことを安倍総理は言っているわけです」
反町キャスター
「そこの部分においてISILと闘うというところまで踏み込むということは2人の人質事案と、日本、安倍政権のこれからやろうとしている世界規模における安全保障戦略。この比較をどこかでしたと思うんですけれど、2人の人質事案を頭におきながらも、2人を押さえられているからと言って、表現を丸めることはできないというところには、ここはどういう議論があったのですか?」
世耕議員
「これは、ですから、そういう議論というよりも当たり前のことです。これはエジプトでやったスピーチですから、周辺各国にということを言っていますが、繰り返し、安倍総理は以前から現在も、今日もテロと闘う国際社会と連携するということを、常に言っているわけですから、テロリストを意識して変えるということはあり得ません」
秋元キャスター
「20日に最初の動画が公開されまして、ヨルダンに現地対策本部を置き、中山外務副大臣を派遣しましたけれど、ヨルダンを選択したというのはどういうことからですか?」
世耕議員
「いろんなことを総合的に、しかも、そんなに時間がない中で、これは総理を中心に協議をして判断をしました。1番大きかったのはシリアの大使館を閉めているんですね、危険ですから。その閉めた機能は全部ヨルダン大使館へ移していたということ、これが1つ大きかったです。もう1つは、あまり詳しくは申し上げられませんが、その直前にヨルダンの国王と首脳会談をやっています。あるいはヨルダンの国王はそれより前に日本に来て日本と首脳会談もやっています。そういうコミュニケーションの中で別にこういう事態というわけではありません。中東で何か困ったこと、あるいは日本人を助けなければいけないようなことがあった時は協力するよという申し出もいただいていたということで、ヨルダンの大使館に対策本部を置かせていただきました。あの時、私もブリーフィングで記者に説明をしたのですが、ヨルダン、アンマンに固定するわけではありませんと。状況の変化に応じて、もう少し別の方へ置いた方がいいという判断があれば、常に動かしますということも申し上げていました。しかし、結果としてヨルダンのアンマンに対策本部を置いたというのは、私は適切な判断だったと。ただ、一方で、トルコとか、他の国を軽視していたわけではありません。特に、トルコはISILに関して情報を持っています。トルコのエルドアン大統領というのは、本当に安倍総理と親密な関係です。おそらく世界各国の首脳の中で首脳会談をやった数でいくと指折りの中に入る人であります。このエルドアン大統領も親密に協力をしてくれましたし、トルコ大使館には有能な外交官がいますので、当然そのルートでトルコからもいろんな情報提供をはじめとする協力を得たということは、明確に申し上げておきたいと思います」

中東諸国との連携は
反町キャスター
「過去のISILによる人質事案で、解放された人というのは、トルコ国境に出るケースが多いですよね。その意味において、まさに現在、ISILとトルコ政府の関係。この番組でもトルコ政府がある意味、対クルドという意味からもISILを側面支援しているという話もやっているのですが、解放するのはトルコに多い。しかも、トルコと“イスラム国”の関係を見た時に、本部はトルコではないかと。この部分というのは比較的、スムーズにトルコではなくてヨルダンで決まったのですか?」
世耕議員
「いや、そこは議論した結果であります。当然ヨルダンの情報とか、ヨルダンのルートだけに頼っていたわけではなくて、当然トルコからの情報も、外務省、官邸に集約をさせて、あるいは他の国からもいろんな情報がありましたから、そういうのは全部集約をされて、最終的には総理、官房長官が判断をしながら、アクションをとっていた。あるいは日本独自のルート。当然、宮家さんも元はそうだったわけですが、アラビストと言われる中東の専門家というのはたくさんいます。日本もここまでイラクに自衛隊を派遣して、いろんな経験を積んでいる中で、たとえば、部族長とか、宗教指導者と個人的に話ができる外交官もいますから、そういうルートも使って、いろんなルートを使いながら、そこから上がってくる情報で何に1番価値があるか、何に乗ればいいのかということを、その都度、判断をしながらやっていたというのが我々の対応でありました」
反町キャスター
「交渉ルート。各国の協力を得て、“イスラム国”と日本政府がどういう話をしたかというところについても聞きたいのですが、磯崎さんに間接的な情報交換をしていたという話を聞いています、番組の中で。と言うことは、直接的なパイプがなかったんだろうという前提になるんですけど、話し合いのルートはどういう状況だったのですか?」
世耕議員
「これは明確に申し上げますが、直接のルートははっきり言ってありません」
反町キャスター
「それは探したけれど、できなかったのか?敢えて探さなかったのか?」
世耕議員
「もともとありません。ISILとは直接の交渉パイプというのは持っていません。だからこそ、これは安倍総理がまず事件が起こった時に、もともとパレスチナへ行く予定で、やめるかという話もあったけれども、まずはパレスチナへ行って、アッバス大統領と会談です。ここでも情報を得ています。そのうえで帰ってきて、ヨルダン、トルコ、エジプトという非常にISILと対峙をして濃密な情報を持っているであろうという国の首脳に、それぞれ電話をかけて、協力を要請する。それだけではなくて、先ほども申し上げたように外務省の中東専門家達を総動員して、それぞれの持っているパイプでコンタクトをして、情報を得ていくということをやっていました。もちろん、その中には、交渉的なものも含まれているわけです。そこは少し機微に触れるところになりますから申し上げられませんけれど、今回はとにかく日本が中東に置いているリソースは全て使ったと思います。全力を尽くしてやったと思って…」
反町キャスター
「要するに、直接、話し合いのチャンネルというのは最後までできなかったということでいいのですか?」
世耕議員
「直接、話はしていません」
反町キャスター
「それは、たとえば、後藤さんの奥様のところには脅迫、身代金の要求のメールが来ていたではないですか。あれは、たとえば、少なくとも、見たり、聞いたりしている中ではISILと直接、話ができるかもしれない。チャンネルも非常に少ない1つだと思うんですけれども、そういうものを逆に手繰ったりしないものなのですか?」
世耕議員
「少なくとも、我々が全て集まった情報を、奥さんのメールということもあるでしょうが、そういう情報を全部集めて、どれがどのルートで、1番有効でどのルートからメッセージを打ち込むのが良いのかということを判断しながら行動をしていました」

要求の変化&政府の対応
秋元キャスター
「24日には湯川さんを殺害したとされる写真を持つ後藤さんとみられる写真が公開されて、“イスラム国”側からの要求は、身代金から死刑囚の釈放に変わりました。27日には“イスラム国”に拘束されているヨルダン人パイロットの写真を手にする後藤さんとみられる写真が公開されて、残された時間は24時間とあらためて期限を設けた死刑囚釈放の要求がありまして、28日にはヨルダンのメディア担当大臣はパイロットが釈放されれば、死刑囚を釈放するという意向を表明しているんですけれど、世耕さん、“イスラム国”の要求が身代金から死刑囚釈放に代わっていった。このことを政府としてどう受け止めましたか?」
世耕議員
「我々は身代金交渉というのは一切やらないという方針、身代金を払うことは絶対しないという基本方針の下に臨んでいましたので、そこは明確に申し上げておきたいと思います。途中からは、パイロットと死刑囚の交換ということを、彼らが、後藤さんのメッセージを通じて言ってきたわけですけれども、死刑囚の釈放ということになりますと、これはヨルダンの主権の問題になります。内政の問題になります。それを我々から、ああしろ、こうしろ、ということは、いくら友好国であれ、言えないということであります。ですから、我々は、ヨルダンに対しては最初からそうですが、協力はお願いしていましたが、この死刑囚についてどうこうしてくれというのは、我々の方から申し上げていません。我々はそれしかしていなかったのかというと、そうではなくて別のルートでもいろいろと情報を収集し、コンタクトを試みていたということであります」
反町キャスター
「ここでは言えないというのはわかるんですけれども、でも、日本政府側としては、頼みたいけど、頼めないと、そういうところだろうなと思うんですよ。その部分というのはまさに気持ちがわかりあえるのかどうか、わかりあえたうえで、当然アブドラ国王が日本の気持ちがわかったうえで、でも、内政問題として釈放できないという、その部分。これは日本としてはいわば任せるしかなかった。こういうことでいいですか?」
世耕議員
「基本的には、パイロットと死刑囚ということに関しては、これは基本的には何も言えない。我々がどうしてくれとは言えない。ただ、あまり詳しく言えなくて申し訳ありませんが、昨日ヨルダン国王と安倍総理が電話会談をしていますが、その中で、安倍総理から、日本のことに関して非常にご配慮いただいたことは感謝するというメッセージは伝えています」
反町キャスター
「宮家さん、この『ご配慮』。何をもって『ご配慮』。たとえば、僕らにしてみたら1番の『ご配慮』は、もしかしたら死刑囚の釈放、解放ですよね。でも、それはできなかった。でも、いろいろと配慮をしただろうと、総理は国王に謝辞を述べている。いろんな情報問題を含めて、交渉をやってくれたと、いろいろとあるんでしょうけれども、そのへんは日本が今回どれだけヨルダンにどこまで頼んでいたのか。頼める限界はどこにあったのか。日本とヨルダンの関係はどういうものだったか。どう見たらいいのですか?」
宮家氏
「随分詰めますね。ご配慮は、ご配慮ですから。これはあまり詰め切れないこともあることは私の経験から言ってもあるので、もちろん、もっと言えれば1番いいのかもしれませんけれども、私はこの交渉の機微に関わる部分については、現在も言うべきではないと思っているんです。私がもし知っていれば、言っていません。なぜか。第2、第3の事件が起きるかもしれないではないですか。その時にもし前例のあるやり方が外に出れば、その手は使えないんです。私は、それはまだはやい。もう少し様子を見てから考えることだと私は思います」

首相が掲げる積極的平和主義
反町キャスター
「総理がよく使われる積極的平和主義という言葉ですけれども、これは参議院予算委員会における総理の発言から言うと『国際社会の平和と安定を確保するために、我が国は地域と国際社会の平和と安定に、これまで以上に積極的に貢献していく』という、これが安倍総理の定義されるところの積極的平和主義ですけれど、今回のテロ事案を見てみた時に積極的平和主義を進めていく、その先には今後、日本国民が国内においても、海外においても、今回のようなテロの対象になるリスクを高めることになるのかどうかという疑問が出ています。ここはどう感じますか?」
世耕議員
「まず積極的平和主義は総理が今日、答弁した通りですが、中身が何かというとですね。自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重。こういう価値観をしっかりと守っていく、広げていく。そのために日本は待っているだけではなくて、日本が憲法上、法律上できる、国際的な役割を積極的に果たしていきますというのが積極的平和主義だということです。そのうえで今回のISILというのは自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重、全部これに反することをやっている組織なわけですね。当然、これとは国際社会と連携をして闘っていかなければいけないということになると思います。今回の事案で、問われている1番の本質は国際社会と協調して、積極的平和主義という観点からの自由、民主主義といった価値観を守るために、共に連携をして闘っていくのか。あるいはテロが起こったから、危ないからということで方針を転換して低姿勢になるのかを問われていると思うんですね。後者を選択したら、まさにテロリストの、テロ組織ISILの思うツボだと思いますので、我々は従来から安倍政権として言っている積極的平和主義というのは堅持して、しっかりと推進していきたいと思います」
反町キャスター
「この積極的平和主義をとることが大きな意味でも日本国民の安全につながるという理解で、僕はいるんですけれども」
世耕議員
「まったくその通りだと思います」
反町キャスター
「ただ、大きな意味における日本国民の安全を進めるものが、結果的に、一部の日本国民のリスクを高めることになるかもしれないという、その比較をするということはある。そういう議論はあるのですか?」
世耕議員
「その議論はあると思います。現在、別に中東だけがテロの脅威にさらされているわけではありません。ご存知のようにパリでああいう事件がありました。カナダでは国会議事堂が襲撃されるという事件もありました。現在世界中どこにでもテロのリスクはあるんです。今回も本質的な問題はテロのリスクをどうやって下げるかということです。テロを恐れるあまり、その脅しに影響されて、安倍総理の発言が変わる。安倍政権の政策が変更される。そういう態度をとったら、ISILに対して、あるいはテロリストに対しては、テロは効果があるんだと思わせてしまうわけです。逆にそういうことになると、よし、日本人を巻き込んでテロを起こせばどんどん政策を変えていく可能性があるなということになって、逆に、日本がテロのターゲットになる可能性が高まると思います。だから、私はこの時期だからこそ毅然として穏健のイスラム、中東諸国としっかり連携をして、日本の果たすべき役割をしっかり果たしていくんだということを言い続ける姿勢を変えないということが、逆に、日本人の安全につながっていく王道だと思います」

今後の国際連携&テロ対策は
反町キャスター
「集団的自衛権の法整備、通常国会4月、5月ぐらいから本格的化すると見ているんですけれども、今回の事件、事案が議論に何らかの影響をもたらすのではないかということについてはどう感じていますか?」
世耕議員
「それは関係ありません。と言うのは、現在、安保法制を検討して進めている中でありまして、昨年7月1日に閣議決定が行われた、その中で法制化を行っていますので、それは基本的に関係ありません。ただ、この中に日本人が危機にさらされた時、その領域国がちゃんと存在をして、その国が受け入れを同意している場合には、自衛隊がその能力を活かして邦人の救出にあたるということができるというのが、閣議決定で示されている方向性ですから、この事案とは関係なく、この方針に沿って自衛隊による邦人救出ということが検討されていくことになる。そのための必要な法整備が検討されていくことになると思います」

日本のテロ対策 どうなる?邦人救出
反町キャスター
「邦人救出。今後、通常国会で集団的自衛権の行使のための法整備に入っていないと思うのですが」
世耕議員
「7月1日の閣議決定の中には入っているわけです。自衛隊が助けに行くというのは決して軍事行動ではありませんから、あくまでも警察行動の一貫。だから、どこかの国と戦争をしに行くわけではありません。もちろん、日本はそもそも憲法でできないわけですけれど、あくまでも武力行使ではなくて、これはあくまでも警察権の行使として日本人を助けに行くという行為であります。そういう意味において、7月1日の閣議決定の中でも領域国が同意をしてくれて、どうぞ日本、助けに来てくださいと言われた時には、行けるということであります。その範囲のことを申し上げています」
反町キャスター
「警察権の行使を自衛隊によって行う?」
世耕議員
「それはあり得ます」
反町キャスター
「日本が海外に展開して人質を救出、武力を持って救出する能力を持つことについては、日本の持つべきものとしては、どう感じますか?」
宮家氏
「日本で持つべきかどうかの前に、普通の国なら持っているんですよ。なぜなら、普通の国ではミリタリーのミッションというのは基本的に、これやっちゃいかんといくつか限定はあるけれど、基本的にはやっていいんです。どのように使っていいかは決められるようになっているんですね。日本はそういう法律ではありませんから。これはやっていいよ(ではなく)、全部やっちゃいけないんだけれど、これはいい、これはいいという、こういうやり方でしょう。ですから、つくり方が違うから議論して比較してもあまり意味がないと思うんです。法律を変えれば話はまた別ですけれど。現在の時点では、副長官がおっしゃったように警察の仕事をやっているわけですから。その枠の中でやるということをちゃんと頭に置いて議論しないと、安全保障は大きな話です。法人保護の話をあまりごっちゃにすると、時間の無駄だと私は思います」
反町キャスター
「今回の事案が起きたことによって、日本という国はテロのターゲットになるリスクは高くなったと思ってよろしいですか?それとももともと高かった、ないしは我々が気づいていなかっただけなのか?」
世耕議員
「これはどう評価するかによりますが、常に緊張感を持っていかなければいけない。我々はこれまで気を緩めていたわけではありません。ですから、シリアに対しても退避勧告をはやい段階から出していたわけですから、その緊張を持続しながら、さらに、対策を充実させていくということだと思います」
宮家氏
「私は、これから急に危険なんだということを申し上げているわけではありません。私が言いたいのは、まさに緊張感を持たないと(いけないと)おっしゃった通り、いつ何が起きてもおかしくない。ずっとそうです。現在、起きているのはテロのグローバル化。インターネットによって、中東の一部の憎しみ、怒りというものが同時に、しかも、リアルタイムで全ての可能性のあるテロリスト達に、世界中のですよ、共有され、増幅されているわけですね。ですから、これまでのような形で確かに治安当局はしっかりしていますから、日本を現在のところ守ってきていますよね。しかし、今後も同じようだと考えてはいけない。考えられないことを考える時がきていると私は思います。急に危険なことになると私は申し上げるつもりはありませんが、この機会に考えるべきだと思っているんです」
反町キャスター
「これから国会論戦が進んでいく中で、当然、野党の側からは安倍政権の方向性が、テロの対象国としての危険性を高めているという議論が出てくると聞いているんですけれども、それについてはどう反論されますか?」
世耕議員
「それがまさに今回の事案で本質的に問いかけてきている問題だと思います。安倍政権は積極的平和主義、あるいは国際社会と協調してテロとしっかり対峙をしていく、戦っていく。そのために、日本のできる役割を特に人道支援等を中心にやっていくというのが安倍政権の方針です。これを堅持していくのか、あるいはテロリスト、今回国内世論が二分というのも彼らの狙いの1つだと思いますが、それに乗って政策を変更していってしまうのか、テロが危険だからということで、日本が低姿勢になって国際社会から離れていくのか、そのことが問われていると思います。我々は、政策をこのことで変えてはいけない。毅然として、従来の延長での政策をしっかりと続けていく。テロに屈しないという姿勢を示すことが非常に重要だと思います」

民主・福山幹事長代理に聞く 日本人人質事件の政府対応
秋元キャスター
「後藤さんが殺害された映像が公開されましたが」
福山議員
「朝5時過ぎですか、一報を受けまして、あーと思いまして、言葉が出ませんでした。本当に辛いですね」
反町キャスター
「政府の対応をどのように見ていますか?」
福山議員
「事件が発生して最初の映像が出てきた20日以降の対応については、あれ以上でもあれ以下でもなく懸命にできる限りの対応をされたと私は思います」
反町キャスター
「事前に公表前にやれることはあっただろうという前提で言うと、20日にカイロで話をされた時点で2億ドルという言葉尻をとって“イスラム国”から話がきました。そこの部分、話の内容としてどうだったのかという議論は、民主党の中にもあるのですが、福山さんはどう感じていますか?」
福山議員
「正直言ってわかりませんが、どの状態になってもどこかの時点で拘束されている限りは、後藤さんと湯川さん、湯川さんが生存されていたかわかりませんが、お二人のカードはどこかの時点で使うから拘束をしていたんだと思うんですね。ですから、それは2億ドルという言葉尻がどうのこうのという話ではなくて、1番効果的なタイミングを狙われていたと考えられるのが、私個人の考え方では合理的だと思っているんです。だから、20日以降の対応は情報がないのでわからないというのは、1つは良く言われていますが、なぜあの時期に、中東に2人が拘束されているのにもかかわらず、総理は行かれる決断をされたのか。それはちゃんと根拠があるはずです。その時にどういうメッセージを出して、どこの国をまわるのかというのはたぶんしっかりとした理由があるはずですので、そこはこれからしっかりと国民の皆さんにご説明をいただくことかと私は思います。ただ、あれが、たとえば、2億ドルではなくて、1億ドルだろうと…そこはあまり関係ないです。ですから、私は1億ドル云々と言うよりかはもう少し大きなスパンで見た時の20日以前の対応については、与野党が対立するとか、批判をするではなくて、どういう意思決定をされたのか、NSCもつくられて、NSCは各国の情報を担当者ときっちり議論ができて、その議論を前提に日本の外交政策をつくって、遂行していくという前提でつくられているわけですから。それがどういった形で、言えないことはあっても言えることの範囲でどういう形で活動されたのか。それはまさにテロが現在、“イスラム国”が日本をターゲットにするという…どのぐらい信憑性があるのかどうかはわかりませんが、そう言われた限りは先ほど、副長官も準備と緊張感を持たないといけないと。それは当然のことだと思います。その時に、一定の検証は必要だと思います。もっと言えば、湯川さんや後藤さんが行かれる時に、出したことに対しての、出すのがダメなことなのか、基本的には渡航自粛や退避勧告が出ているところには、できれば行ってほしくないですけれど、そのことも含めて、だって1人拘束されているのをわかっているのに行ったわけですから。そこも含めて、どういう意思決定があったのかというのは、総理がどうのこうのという話というか、我が国全体の今後の外交政策を考えるうえでは議論の余地があるのではないかと。ここに蓋をしてはダメだと思います」
反町キャスター
「それは強制力を持つ出国規制措置?」
福山議員
「そこまではなかなか難しいと思う」

邦人救出のあり方
福山議員
「基本的には自衛隊を出すということは、相手国の同意が要ります。“イスラム国”が主権国家ということかどうかということをまずしなければなりません」
反町キャスター
「シリア政府の了解を得られればいいのではないか、という総理の発言ですよね」
福山議員
「ただし、シリア政府に施政権があるとは思えないです。もう1点は、どこに拘束されているかわからないわけです。シリアとは限らないわけです。つまり、そういう状況で言うと、施政権がないシリア政府に許可をとっても意味がないということ。どこに拘束されているのかわからないのに、やみくもに自衛隊員の命をリスクにさらすわけにはいかないですね。なおかつ、たとえばで申し上げます。日本で何らかの形で、在京の外国人の方が拘束されました。たとえば、相手国から拘束されている国の軍隊が助けにきますと、もしそれが中国軍だとしたら、日本はいいと思いますか?」
反町キャスター
「大変なことになりますよね」
福山議員
「つまり、自衛隊は一応軍ですから。軍が相手国の領土内に入るということは大変なことですね。ですから、それはよっぽど、ある種の施政権のある主権国家であって、そことしっかりと連携をしたうえで出しますと。なおかつ自衛隊員の皆さんの、そういう訓練、能力、救出の手順、こういったものがなければ相手の能力も見ないといけないわけですから。つまり、単純に自衛隊を海外に出して救出に行くための法整備をするというのは、今回の例を当てはめると少し無理があるので、そこの一足飛びの議論は、私は慎重にかつ丁寧にやった方がいいと思っているんですね」