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2015年1月29日(木)
「現地日没までに…」 人質事件で新声明公表

ゲスト

佐藤正久
自由民主党国防部会長 参議院議員
佐々木良昭
東京財団上席研究員
田中浩一郎
日本エネルギー経済研究所中東研究センター長常務理事

現地の最新状況は 期限迫る日本人拘束事件
秋元キャスター
「慌しい展開を見せました過激派組織“イスラム国”による日本人拘束事件ですけれど、主な経緯をあらためて見ていきたいと思います。“イスラム国”は後藤健二さん、湯川遥菜さんの並んだ映像と共に2億ドルを要求していて、その後、殺害された湯川さんらしき写真と共にリシャウィ死刑囚との交換を要求してきています。日本時間の27日夜11時頃、リシャウィ死刑囚の釈放を要求してきていて、これは24時間以内と期限を設定してきました。これを実行しなければ後藤氏とパイロットを殺害するとしています。その翌日28日、日本時間夜8時頃、ヨルダン政府側がパイロットを解放すれば、リシャウィ死刑囚を釈放する準備があると発表しました。29日、日本時間の今日朝8時頃、また、“イスラム国”側がリシャウィ死刑囚と後藤氏のトルコ国境での交換を要求してきました。これは期限が29日の日没までとされています。これを実行しなければ、パイロットを直ちに殺害すると要求してきているわけですけれども」
反町キャスター
「ここまでの動き、どう見ていますか?」
佐藤議員
「ISILの2回目からのメッセージから見ると、対象国は、日本からヨルダンになっちゃっている。しかも、女性死刑囚に焦点をあてて、そこから一貫してぶれていないんですよ。と言うことは、彼らの目的は、存在感をアピールするために身代金とか、あるいは人質を使ったということは、完全には否定できませんが、一方で、本当に女性死刑囚を何としても取り返したいという気持ちがかなり強く表れてきていて、次第に、その中身も具体的になってきたという感じはします。ただ、それでもまだ結構荒いですよね。それを本当にやるなら、表で交渉をしないですよ。本当に人質交換をやろうと思ったら、通常は表でやらないでしょう」
反町キャスター
「こんな形でメッセージは出さない?」
佐藤議員
「普通は。しかも、ヨルダン政府の方が答えてもうメッセージを出してしまいしたけれども、あれは普通はやりませんから」
反町キャスター
「昨日、24時間前ぐらいに出したやつですね」
佐藤議員
「普通交渉は水面下でやるものですから。しかも、こういう形でのメッセージ。だんだん具体的になってきたとは言え、まだ荒いので、どこまでこれが本気かというのは若干、疑問もありますが」
反町キャスター
「これが本気でない部分があるかもしれない?」
佐藤議員
「はい」
反町キャスター
「つまり、本当の話ができていないから、こういうメッセージを出す?」
佐藤議員
「いや、不思議なのは、どんどん画像が荒くなってきたではないですか。これまで1回もパイロット、モアズ・カサスベさんの動画とか、生きている証拠はないですよ。ないですよね?私がヨルダン政府であれば、生きている証拠がなければ、なかなか交渉には応じづらいですよね。自分だけ、女性死刑囚を解放して、向こうが帰ってこなかったら大変ですし、ましてや殺されたら大変なことになってしまいますから。そういう面では、まだまだ交渉という面では荒い部分がありますから。これが本当に人質交換ということをISILが狙っているのであれば、引き続き、この交渉の余地は出てくるのかもしれませんが、それはまだわかりません」
反町キャスター
「トルコ国境で交換する用意がなければ、交換ができていなくても日没までに交換がしきれなくても、完了しなくても、そこに向かって運んでいるよ。ないしは、そこに向かって、現在これから行くんだよという事実確認だけで、正直言ってしまうと、ここの部分もヨルダン人パイロットに対する殺害というのが、ないのかあるのか。用意という言葉をどう見るか。これはいかがですか?」
佐藤議員
「普通、現場感覚があればわかりますけれども、人質交換は、そんな簡単ではないんです。ましてやマスコミの方、皆が見ている前で交換なんかをやったら、誰が敵かわかってしまうでしょう。しかも、そのあとは無人機などでずっと見ている可能性がありますから、追っかけられたらミサイルが飛んできますから。実際に、人質交換で合意してからも、時間がかかりますから。実際日没までに相対して、はい、どうぞ。ありがとうと。それは普通あり得ませんから。そういう面では用意という部分はまだ何かの動きがあって、そこから、また、実際の引渡しといっても非常に難しい。気がついたら、居たというぐらいが普通ですからね」
佐々木氏
「それに対して、一言言わせてもらいたい、アラビア語の原文で。アラビア語ではジャーヒズになっています」
反町キャスター
「用意という言葉が」
佐々木氏
「ジャーヒズというのはどういうことかと、READY、英語で言うと。あなた方は、交換する準備が完全にできていたら、我々はあれだけれども、できていなかったら我々は殺すよという」
反町キャスター
「移送をしなくて、これから移送するという姿勢でもいいわけですか?」
佐々木氏
「そうじゃない、逆だよ。逆」
反町キャスター
「国境に着いていないとダメですか?」
佐々木氏
「そう」
佐藤議員
「そう。少なくとも、どこかあのへんにね。先ほど言ったように、パイロットが生きている確証がないのになかなかすぐ動くのは難しいかもしれませんし、そこはこれから、そういう交渉を、仲介者を通じてやっているんでしょうけれど。まだわかりません。ただ、時間的にはそんなにないというのは確かだと思います」

最新の現地情報を分析
秋元キャスター
「今日のこれまでの動き、どう見ますか?」
田中氏
「これまでのISIL、“イスラム国”が行ってきた人質を盾にして、いろいろ脅迫してきたパターンからすると、だいぶ変わってきたものが出てきていると思うんですね。これまではほとんど有無を言わさず、この条件に従わなければ、ということで対応してきたのが、今回、交渉の目的を変えて、それから対象を変えて、ヨルダンもその土俵に上げて、いつの間にか主役はヨルダンになっていたというようなことで、随分、変遷を経てきたなと。さらに、72時間、24時間とか、期限を伸ばし伸ばしにして、これまではそういう猶予が一切ないところで、常に物事が動いてきていることからすると、随分変わったなという感じがするんです。これが何で生じているのかということを、いろいろ考えてみたのですが、リシャウィ死刑囚を何とか奪還したいという思いが、それなりに強いと思うんですね。それともう1つは、ヨルダン人パイロットの方ですけれども、彼は“イスラム国”に対して、戦闘行為というか、空爆を行ったので、もちろん、“イスラム国”側からすると処刑したい、しようと考えて当然だと思うのですが、一方で、現在のヨルダン国内で起きている動きを見ていても、当然、自国民の軍人であるということで大きな同情というか、彼を救出しろという社会的な圧力も高まっているわけです、政府に対して。ここで彼をバサッといとも簡単に処刑してしまうと、少なくともヨルダン社会全体、あるいはかなりの部分が、“イスラム国”に対する敵対心を増すことになって、“イスラム国”が現在あれだけの領域を持ってはいますけれども、まだもう少し、いろいろなところに触手を延ばしていって、レバノンもそうですし、ヨルダンも狙っているところの1つだと考えれば、当然、そこに浸透をするために、地元の勢力、特に部族関係の、住民のシンパを集める、協力を仰ぐのは不可欠だと思って、それを自らの手で潰してしまう。今後の彼らの発展を考えた時に、その可能性の芽を自らの手で潰してしまう可能性もあるので、いろいろ言葉のうえでは、パイロットの身に危害が、命に危害が及ぶということに関しては、脅してはいるけれども、そこには、本当は触れたくないのではないかというところが見えてくるわけですね。だからこそ交渉期限が延びていると私は考えるんですよ」
秋元キャスター
「リシャウィ死刑囚へのこだわりというのはなぜだと思いますか?」
田中氏
「1つは、女性の自爆テロの犯行というのは当時では珍しくて、彼女はその草分け的存在なわけですね。実際には彼女の場合は未遂になっちゃうのですが。だからこそ生き残っているわけで。そういう点ではある部分アイコンになっている。だから、目立つ存在というか、ある種のシンボルになったんです。それと、彼女の出身はイラクのアンバール県ですね。イラクとシリア、それから、ヨルダンにも接している地域であるんですけれど、かなり大きな県で、スンナ派の、昔で言えば反米勢力。それを土壌にイラクのアルカイダなどが勢力を伸ばしたところですけれども、この地域の部族の出身であること。さらに、有力部族の有力者のいとこですね。父方のいとこというところまで突き止められたんですが、何かしらかの関係がISISの幹部との間にあって、この場合は肯定的な関係、対立的な否定関係も含めてですが、何らかの関係がそこにあるが故にリシャウィ死刑囚を奪還することがISISにとって、“イスラム国”にとってみれば、自分達のイラクにおける拠点の安定につながるという側面も持っているのではないかと、私は、仮説ですけれども、考えています」
反町キャスター
「佐々木さん、いかがですか。現状をどのように見ていますか?」
佐々木氏
「何でトルコに変わったのか。もちろん、それは距離的に近いから遠いからというのがあるけれど、何でトルコに、これまで想像もしなかったトルコという役者が出たのか。私は、初めからトルコだと思っていたんだけれども。それを考えると、実は、ISはトルコというもう1人のゲームの参加者を求めたんだろうと。つまり、ヨルダンと日本とISだけではなくて、トルコというのを入れた。しかも、これはほぼ確実だと思うんだけども、ISに対してトルコは極めて友好的というか、協力的な立場をとってきた国ですよね」
反町キャスター
「ISに対してトルコは友好的?」
佐々木氏
「協力的。なぜかというとISの戦闘員は皆トルコ経由で入ってきているんですよ。ISの戦闘員に武器が渡っているのはトルコ経由です。もしもトルコがまったくISを敵対視していれば、そんなことはあり得ないんです。だから、ヨルダンと日本が組んでISと交渉すると2対1だと。ケンカしたら負けると。だけど、これでトルコが入ってくれたら、トルコの方は我々の立場をわかってくれるということはあるでしょうね」
反町キャスター
「そうすると、この4つの国があるんですけれども、トルコが入ることによって、これが2対2の…」
佐々木氏
「非常に単純な言い方をすればね。トルコは、つまりは“イスラム国”が安心して日本とヨルダンとの交渉を、仲介を委ねることができる相手です」
反町キャスター
「その中で現在、解放の場所としてシリア、トルコ国境のアクチャカレで、皆張っているわけですけれども、そのへんで解放されるのではないかという現状の見立てはどうですか?」
佐々木氏
「私は確実だと思います」
反町キャスター
「場所は、アクチャカレのあたり。先ほど、モスルの北の方が近いのではないかという話もありましたけれども」
佐々木氏
「私が感じるのは俄然、テペです。カーズィとか、戦闘、戦争という意味です。いわゆる戦争の記念のために、地名にカーズィがついているんですよ。従って、それは、彼らにとって選択する場所としては極めていい場所です」
反町キャスター
「“イスラム国”にとってはという意味ですか?」
佐々木氏
「“イスラム国”にとっても、トルコにとっても」
反町キャスター
「リシャウィ死刑囚の引渡しの場所ですね。後藤さんもガズィアンテプまで来る?」
佐々木氏
「来るでしょう」
反町キャスター
「IS側は、シリア、トルコ国境を超えて、ガズィアンテプまで運んでくるということですか?」
佐々木氏
「世界、マスコミに影響を与えるならトルコでしょう。当然ながら、トルコは移送に関しては、IS側に対して我々が完全にガードしてあなた方の安全は保障しますよと。ただし、約束を守ってくれというのがトルコ政府ですよ」
反町キャスター
「今日、地元の木曜日の日没までといっているんですけれども、現地の、今日の日没までに交換は終えることになるのですか?」
佐々木氏
「それは運んできてあるよなと。セレモニーはそれからだよと」
反町キャスター
「そうすると、実際の交換というのは、いつ頃行われるかどうか」
佐々木氏
「実際の取引は、取引といったら語弊があるけれども、現地の6時、7時、8時というのは、あちらではまだ夕飯前の時間だからね」
反町キャスター
「夜ですか?」
佐々木氏
「夜。だって、日没と書いてあるもん」
秋元キャスター
「日没の期限の時間から、1、2時間ほどで」
佐々木氏
「1、2時間か、3時間ね。それでそれが始まると。それはもっと時間を切って、日本の時間で何時だというと、午前の2時か3時ですよ。11時30分ではない」
反町キャスター
「それは当然、真っ暗ですよね。現地も夜ですよね」
佐々木氏
「うん」
反町キャスター
「非常に場所としての想定みたいなものをしにくいんですけれど、こういう時、佐々木さんがご存知かどうかは別にしても、非常に明るい場所に双方寄ってきて、交換するみたいな、どういう感じですか?」
佐々木氏
「大きなホテルもあるでしょう。これはビッグセレモニーです。IS側にとっても」
反町キャスター
「見えるようにやる?」
佐々木氏
「IS側にとっても、トルコ政府にとってもここへ来てやっているんだと言えるでしょう。ヨルダンも、俺らだって大いに貢献したんだと。皆スーパースターになりたいんですよ。だから、スーパースターになりたいためには、それに相応しい会場が必要だということです」

日本とヨルダンの連携は
秋元キャスター
「人質解放に向けて大きな鍵となりましたヨルダンですけれども、佐藤さんはヨルダンの動きをどのように見ていますか?」
佐藤議員
「今回、先ほども言いましたけれども、極めて異例なのはヨルダン政府の大臣が、ISISに対して、交渉相手と公の場で認めてしまった。パイロットを返してくれるのであれば、死刑囚を釈放しますよと。これは正式な交渉相手として公の場で認めて、しかも、条件まで言ってしまった。これは普通、交渉というのはパイロットと死刑囚の交換の交渉を、これまでずっとやってきたわけです。しかも、それは表ではなくて、非常に秘密裏にやっていたものを表で言わないといけないということは、これはISISにとっては手柄ですよね。要は、それだけヨルダン政府が国民からの突き上げで言わざるを得なってしまったと。この前と今回の声明、メッセージを持ってヨルダンの国民達、特にパイロットの家族、あるいは部族の方が政府を突き上げると、運動がものすごく盛り上がってくると。非常にヨルダン政府にとってはもともとは想定していない、たぶん流れだったと思いますよね」

“イスラム国”の狙いは
反町キャスター
「“イスラム国”は当初、日本人2人の名前を出し、2億ドルと言い、それがだんだん変わってきて、湯川さんが殺害されたあとの情報のあとに、パイロットの写真を持って表れたりして、そのあとヨルダンカードが浮上してきたではないですか。そのへんの変化の中で“イスラム国”はヨルダンの何を狙ったのか。言われているような、ヨルダンの国内が捕虜交換を巡って国内がガタガタするほどのヨルダンの政情不安を狙って仕かけたのか。そのへんはどう見ていますか?」
佐藤議員
「向こうの目的はまだはっきりしませんが、よく言われるのが、人質をとった場合の目的というのはまず身代金か、あるいは人質交換か、あるいは自分の存在感のアピールか、あるいは相手の国の政府と国民を分断すると。今回は3番目に近いところがありますけれど、身代金を最初とろうと思って、失敗したから、人質にいったという可能性は、今回は低いと思います。であれば、最初から人質という感じかもしれません。でも、3番目の自分の存在感をアピールする。相手の国を混乱させるということが目的であれば、それはそれなりに効果はあったと言えますよね。それをどこまで、これからさらに引っ張るのか。本当に人質交換の方にシフトしていくのかわかりませんけれども、これまではISISにとっては非常にうまくヨルダン政府をかき混ぜたということは言えるのでしょうね」
反町キャスター
「田中さん、ヨルダン政府は巻き込まれたというような言い方が正しいのですか?」
田中氏
「巻き込まれた部分はもちろん、否定できないんですけれど、パイロットの身柄に関してはもともと当事者でありました。それがうまくいかない、あるいは進展しない中で、日本人の人質と安倍総理の中東歴訪というタイミングをうまく使って、1つは、最初に華々しく打ち上げ花火としての2億ドルということと、言葉尻を捉えるような形でやったわけですね。それで注目を集めたあと、もちろん、お金をとれれば良し。だけど、そんなばかげたお金がとれるとは考えていないので、見せしめとして1人犠牲を出すと。それによって、彼らの真剣度をこちらに伝えて、本筋の方に戻ってきたというが私の見方です。そこではヨルダンはれっきとした当事国です。巻き込まれたというより。ただ彼らにしてみれば、日本人の命のことも考えなければいけなくなったという点においては、ちょっと巻き込まれた。これまではバイ、つまり、1対1で秘密裏に自分のパイロットとリシャウィ死刑囚をどうするかということをやっていたわけだけれども、これが公になって、日本人の命を助けるために、ヨルダン人パイロットをひょっとしたら犠牲にしなければいけないような環境が生まれるかもしれないという。それは日本との関係を考えると、おいそれとは足蹴にすることもできないし、そうかと言って、ヨルダンの社会の中、それから、ヨルダン軍の士気を考えても、ヨルダン人パイロットももちろん、見殺しにできない。だからこそ、第1の目的、ないし優先度はヨルダン人のパイロットの交換、ないしは解放にあるんだということを度々言っているのはそのためですよね。それをはっきりとわかっているヨルダン政府と国王からすれば、下手な手を打つと、国際社会の中での批判にもつながるし、同時に日本との関係においてもギクシャクしかねないし、何よりも怖いのは、国内で不満が政府に向かうこと。もともと現在の国王に対しての信頼感が高くないので、不満が高まると、それこそ4年が経ちましたけれども、2011年の春の、いわゆる、アラブの春というような運動が生まれて、そのような社会不安をうまく煽って、内乱を仕掛け、内戦に持っていったら、イラク、シリアと同様に“イスラム国”の勝利ですよね」
佐々木氏
「何で今回こういうようなゲームになったかというと、ゲームと言ったら悪い言い方だけれども、“イスラム国”はもともとは、ISISとか、ISILと言われていた。それが、ISになって、イスラムステートになって、であるが故に、カリフがいるんだという言い方をしたわけです。そうしてくると、今回の取引というか、問題では日本国家が、ヨルダン国家がいわゆるISと対等の国家的な立場でネゴをやっているわけでしょう。加えてトルコという中東の大国が出てきていると。つまり、ISは国家としてのイメージを大きく具体化したわけです。そういう国家間の取引の中ではズルはできませんよ。そのズルをやらない保証をヨルダンに対して、あるいは日本に対して、ISにさせないのはトルコですよ」
反町キャスター
「なかなか既にシンパがいるヨルダンで今回捕虜の交換においてうまく国民の期待に応えられないようなハンドリングをすると、さらにシンパが増えて政情不安になる?」
佐々木氏
「可能性はあるでしょうね」
田中氏
「最悪のケースはヨルダン人のサジダ・リシャウィ死刑囚は釈放しました。その代わりに何が起きたかというと、パイロットはもう死んでいましたとか、殺されてしまいました。間にあいませんでした」
反町キャスター
「生きているという証明が何もないと?」
田中氏
「帰ってこなかった。遺体がどうであれ。現在テーブルの上に出ている交換条件として、後藤さんは運良く助かりました、交換されました。この状態は、ヨルダン政府にとっては最悪のパターンですね」
反町キャスター
「先ほどのガズィアンテプの交換となった時に、そこにパイロットはいると思っていいですか?」
佐々木氏
「可能性としては、私はあると思いますよ」
反町キャスター
「パイロットがいない場合、ヨルダン政府は、リシャウィ死刑囚を提供する、その時のヨルダン政府のメリットは何ですか?」
佐々木氏
「それは、たとえば、ヨルダン政府はあくまでも2人連れてきて返してくれると思っているし、だから、我々はリシャウィ死刑囚を渡すんだと思っているわけですね。それでそこに何人も役者がいる。つまり、保証人が並んでいるわけですよ。そこだと思う。それが信頼ですよね。パイロットは少なくとも飛行機を撃ち落とされた、事故で落ちたといろいろと言われているんだけれども、その時は歩いて出てきているんですよ。両方から捕まえられてね。だから、彼が元気であることは間違いないわけですよ。殺されていない限りは。私は殺していないと思う」
反町キャスター
「そうすると、今回は1対2の交換が成立する可能性もある?」
佐々木氏
「大だろうと。だから、昨日、お土産必要だねといったのは、そのへんのことですよ」
反町キャスター
「見た目は1対2だけれども、プラスアルファは何だろうと。こういう話になるということですか?」
佐々木氏
「そうです。それは表には出せないです」

“イスラム国”日本人拘束事件
秋元キャスター
「トルコが果たせる役割をどのように見ていますか?」
佐藤議員
「トルコは今回キーマンの1つの国であることは間違いないです。私もシリアの方にPKOの隊長で行った時もトルコを大国として皆見ているんですよ。彼らのイメージにはオスマントルコというイメージがどこかにあるんですよ。だから、非常にあのぐらいの国でも軍隊の数も陸軍の数もすごいですから。だから、いずれは…という思いがあって、あのへんでは大国としての動きをやりたいという気持ちがどこかにあってトルコサミットというのがあるぐらいですから。非常にトルコの関係は多いですよ、そのぐらいもともとそういうのがあるという中で、クルド人問題も身内に抱え、また今回のいわゆる“イスラム国”とISILについては一部、反クルドという意味では非常に手を組めるところもあったし、アサド(大統領)の件でも、いろんな件で組めるところもあったし」
反町キャスター
「クルド人はトルコからみると迷惑な存在なのですか?」
佐藤議員
「一部ね。反政府勢力。実際にコバニという町をクルド人の部隊が9割以上を制圧したという時に、ISILが敗走する時にトルコが車の提供とか、支援したという情報もあるくらいですから」
田中氏
「彼らとしてはいわゆる利敵行為とかですね。NATOでいるのに、NATOらしく振る舞っていないと言われる。そのようにレッテルを貼られることを極めて嫌っていて…」
反町キャスター
「嫌っていても、やっていることは利敵行為ではないのですか?」
田中氏
「そこですよね。だから、彼らとしては、たとえば、シリア、イラクの“イスラム国”に対してはきちんと彼らなりのことはやっている、国連安保理で定めた決議案に対してもちゃんとやっていますというのが彼らの反論ですね。私もちょっと議論したことがあるんですけれども、バーンと返ってきますね」
反町キャスター
「それは、自分達は公明正大で、後ろめたいことをやっていないとそういうふうに言うのですか?」
田中氏
「そうですね」
反町キャスター
「でも、世間的にはそれは通用しない理屈なのではないですか?」
田中氏
「世間がまさにどちら側から見ているかということにもよるわけで、彼らは自分達でやらなければならない義務も果たして、それ以上にシリアやイラクの難民に対しても手厚くいろいろ施しを与えていて、そういうことで批判をされる言われはないと頑としていますね。ある意味、非常に力強い外交だと思いますけれども」
佐々木氏
「現在、破綻が始まってきていますよ、仰る通りでね。結局、軍隊、戦車団をシリアの国境にバーンと非常にはやい時期に貼りつけたんですよ、トルコは。だけど、一歩たりともシリアに踏み込んでいない」
反町キャスター
「それは“イスラム国”の進出を恐れて?」
佐々木氏
「そうではなくて、NATO、アメリカとの関係で、我々だって軍隊を動かす用意はありますよと。ただ、それを動かしていない要因は何かと言うと、そうは言うけれども、アメリカは陸軍を出したか?ヨーロッパから陸軍を出したか?あんたらが出すんだったらいいよと言っているわけですよ。もう1つは、先ほど、佐藤さんの話が出てきたんだけど、オスマン帝国というイメージはかつて大統領がそこを言及して叩かれた、批判された。だけど、最近ではエルドアン大統領自身がアクサライに1150室、地下室を入れると5000室の大統領豪邸を建てた。外国から賓客が来て、どうするのかと言ったら、階段を降りてきて、やあやあいらっしゃいと握手するんですよ。その降りてくる時に、笑っちゃうのがオスマン帝国の軍人の服装をした連中が左右に8人ずつ並んでいる。まさにオスマン帝国の皇帝のようなビヘイビアをするわけですよ。彼はスルターンだと既に言っているんです。権威主義というか、我々は元のオスマン帝国に帰るだけの経済的な発展を仕留めているんだと。つい最近、大統領、首相がかつてEUは我々のことを貧乏だから入れないと言ったと。最近はトルコが強大になり過ぎたから怖くて入れられないと言っているわけですよ。もう1つ言わなければならないのは、トルコが1番現在、恐れているのが、イラクの中のクルディスタン地域が自治区になっているわけです、分離した形で。クルディスタン及び海外にいく油というのは、イラク中央政府のOKをとらすに、クルディスタンが勝手に売っているような状態。買っているのはトルコだけれども。そういう流れの中で現在トルコが1番警戒しているのは、シリアのコバニを中心とした、シリアの中のクルドがシリア-クルディスタン、シリア・クルド自治区ができることを恐れているわけです。だから、我々は絶対に認めないと言っているんですね。そうすると、絶対に認めないという時に、そのカードは何かと言うともちろん、トルコの軍隊だけれども、もう1つのカードはISですよ」

今後の展開と日本の対応は?
秋元キャスター
「交渉期限、時間が迫ってきましたが、日本政府がとれる対応はどんなものがあるのでしょうか?」
佐藤議員
「日本政府は、現在どちらかと言うと主役ではなくて、ヨルダン政府の行動をしっかりと静かに見守るというのが基本で、全体的に、あらゆるチャンネルを使いながらいろいろと情報収集。特にトルコもそうでしょうし、当然ですけれども、メインのチャンネルはヨルダンということは変わりはないと思いますね」
佐々木氏
「現在のゲームの前に立ってプレーするのは、ヨルダンであり、トルコですよ。その時にヨルダンやトルコがある一定の妥協をし、あるいは強気で出る時に、その後ろ側から我々はこういうことだったらできるよと、ヨルダン、あるいはトルコに対して言える立場をキープすることでしょうね。それをしゃしゃり出てヨルダンにちょっと引っ込んでくれ、俺が交渉するということは絶対ない。その能力もないと思います」
反町キャスター
「今回の結果次第によって、今後、日本人が人質事件の対象になる可能性、リスクが高まったのではないか?」
佐藤議員
「日本政府の対応がどこまでブレずにできるかということですね。テロリストから見て、日本はノーリスクハイリターンと思われたら、アウトですよ。いろんな友好国がありますよね。友好国から日本は変わってしまったと思われたら困るんです。だから、これまで人道支援をずっとやってきました。ずっと続けるべきです。多くのイスラムの国は日本に友好的だし、親日ですよ。“イスラム国”が異質なだけですから。そこを間違ってはいけない。それをやることが結果的に日本人の安全確保につながります。ただ、基本は、現在シリアは全部退避勧告です。そういうところに本当は行っちゃいけないんです。日本人は行っちゃいけないというところにはいかないということを始めないと、なかなかいわゆる“イスラム国”のような人達には親日は通じませんから、こういう結果になることもある。今後もこれまで通りの路線というのはしっかり担保しながら国際連帯の中で日本の主張を続ける、テロリストがどうのこうのだから政策を変えるということは、テロリストに屈したことになりますから、これは絶対やってはいけないと思います」
佐々木氏
「いわゆる身代金を払えば、そのお金はISと関係のある組織にバラまかれる。そのバラまかれて日本が1番危険なところは、どこかと言ったらインドネシアのジャマー・イスラミアとか、フィリピンのモロ・イスラム解放戦線があるでしょう、そういうところにお金がいく。当然、彼らは俺らもやろうというふうになりますよね。マレーシアでもISに兵隊を送ると言うので女の人が捕まったけれど、マレーシアの中にもいるし、それからバングラディッシュにもいるし、ということを考えると、下手な対応の仕方をすると日本は自分らの安全を守るために、実は自分らの危険を敢えてつくってしまったということになるんですよね」
反町キャスター
「今回の事件を踏まえ、影響として積極的平和主義とか、テロとの戦い。それに対する踏み込みに多少ブレーキがかかる、バッグギアが入る可能性はありますか?」
佐藤議員
「それはないと思います。逆に、ここでブレーキがかかったとか、政策を変更したというのはテロリストに屈したというメッセージを与えてしまいますから。そうすると、もっと日本人が危険になる可能性も否定できません。日本はテロに屈する国だということもありますし、先ほども言いましたように人道復興支援は非常に評価が高いんです。向こうが求めている。これは引き続き継続すべきだし、今回いろんな人との対応を一通りとっていますね。安倍総理がずっと地球儀を俯瞰する外交を、いろんな首脳外交をやってきましたよね。このパイプがすごく効いていますから。このタイミングでパンパンパンと電話をして同意を取りつけるというのは、国際連帯でここまでできるのはこれまでの成果だと思いますよ。一方、万が一、日本人が人質になった場合とか、あるいはいろんな事件に巻き込まれて助けてくださいと言っている時に、自衛隊の派遣というのはまだまだ課題があって、実際に救出ということには武器上の制限があるんです。それを昨年7月の閣議決定で警察権の範囲内で受入国の同意があれば自衛隊が動けるということもできるだけ法整備をしましょうというのを決めましたので、その分については今回の臨時国会で何とかその法整備をやろうという動きがあります。さらにはいろんな情報収集の面でもこれだけ過激派が中東とかに広がっている以上は情報収集体制のさらなる強化が必要ということが言えると思いますね」
佐々木良昭
「安倍総理が何度も何度も繰り返して言っていけば、あるいは外務大臣なり、他の大臣が、繰り返して言っていけば、ああ日本は本当に変える気だな、となるけれども、安倍総理が1回喋ったからといって、そのまま、ああそうですかという環境にはないでしょうね。もう1つは、彼らは積極的な平和の外交というようような言葉の意味を正確に理解できない。彼の支柱にないからです。そういう考え方が彼らの中にはないから、日本はそうだからわかってと言ってもなかなかわかってもらえないでしょうね。だから、日本はずっとやってきたんだけれど、積極的なアピールをしていく。我々は、あなたのことを愛しているんだよ、ということを何度も言えば、相手はそうかな、と思うけれど、ブスッとしていたら高倉健と同じわけにはいかないです。日本も積極的な平和外交というものを何度も繰り返していかないとダメですよ」