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2015年1月28日(水)
“イスラム国”交渉の行方 駐日仏大使のメッセージ

ゲスト

小野寺五典
元防衛相 自由民主党衆議院議員
大野元裕
参議院外交防衛委員会理事 民主党参議院議員(前半)
佐々木良昭
東京財団上席研究員
ディエリー・ダナ
駐日フランス大使(後半)


前編

日本人拘束事件新画像公表 “イスラム国”の狙いは?
秋元キャスター
「昨夜“イスラム国”を名乗る組織が新たに公開した画像とメッセージから、その狙い、交渉の行方を探っていきたいと思います。今回のメッセージでは、日本語訳がありますけれども、『あと24時間しか残されていない。どうか我々を死なせないでほしい』と期限を設定してきているんです。小野寺さんは今回の画像とメッセージをどう受け止めていますか?」
小野寺議員
「私は、“イスラム国”の非常にしたたかなメッセージだと思います。今回こうした、後藤さんの解放ということを条件とするメッセージを見ると、おそらくヨルダンの中では自国民のパイロットを釈放しろという強い圧力が出ます。ですから、そういう意味では報道がありましたように、ヨルダンの情報関係の閣僚が話をしたパイロットとの交換だという話。おそらくこのメッセージが流れて、ヨルダンの国内で政府に対して、日本人の前にまずヨルダンのパイロットだろうという圧力が大変に強くなって、抗しきれずに出したメッセージではないかと。実はここがすごくポイントでして、こういう状況になると、日本とヨルダンの関係を考えると、たとえば、ヨルダンのパイロットが助けられて、後藤さんがまだ解放されないということになったら、多くの日本人はヨルダンに対して大変な失望を覚えます。逆にもしヨルダンのパイロットが殺害をされてしまい、後藤さんが解放されたら、多くのヨルダンの方は日本に対してどういう思いを持つか。あるいはヨルダンの政府に対してどういう思いを持つか。いずれにしても日本とヨルダンを分断するためには、今回のビデオというのは、後藤さんの解放をお願いしている中で、持っている写真はパイロットであるという極めて日本とヨルダンを分断する、あるいはヨルダン政府に圧力をかけるやりかたとしては巧妙なやり方だなと思いました」
大野議員
「私は基本的に小野寺さんのおっしゃることには賛成です。他方ヨルダン側のパイプをこれで1つに集約せざるを得なくなった。いくつあったとしてもですね。つまり、日本が前に出ることができなくなったことも意味していると思います。と言うのは、実は、ヨルダンの国内で、このパイロットに対する圧力と同時に、2005年の時のテロというのはすごく大きなダメージを与えているんです。現在もヨルダンのホテルに行くと、まだ痕跡がありますけれども、バリケードがそれ以来ずっと築かれて、アンマンの市民は外出さえ控えていた。こういう恐怖の象徴を話すわけですね。超法規的措置ができるのはヨルダンしかない。ヨルダン側にボールがあると向こうから指定してきたということは日本が仮に前に出て、後藤さんとサジダ死刑囚の釈放を前提に、仮にですけれど、交渉したとすると、ヨルダン側は硬化をして、その瞬間に全てが終わってしまうということになるので、ヨルダン政府と交渉ができても、自分達で仮にルートを持っていたとしても、ヨルダン政府に頼らざるを得なかった。つまり、彼らにとっても“イスラム国”側ではなく、日本側にとってもヨルダンが鍵になるのだということを実は表しているので、そこから、ヨルダンと日本との関係とか、まさにそういったところにつながってくるのだと思います」
反町キャスター
「結局、このメッセージによって、日本の政府は手足を縛られたのではないかという意味ですね?ヨルダンに任せざるを得なくった状況になっているのではないかと、この分析はいかがですか?」
小野寺議員
「大変正しい分析だと思います。実際釈放する権限は、ヨルダン政府が持っていることになりますし、日本は様々な、いろんな国に支援をお願いしていました。トルコもそうですし、欧米も、いろんな国もお願いしていますが、結果として、キーとなるのはヨルダンということになります。もう1つ、このことを深く考えなければいけないと思うのは、今回ヨルダンに相当、ある意味、日本がいろんな形で借りをつくるということになります。そういう意味では、日本政府としてこのことについて非常に多くの重荷を背負う、そういうことを交渉する人間として、踏まえながら、それでもお願いをしていくということになります」

24時間の交渉期限迫る
秋元キャスター
「ヨルダンの情報相が無事にパイロットが解放されたなら、リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると発表したという話も入ってきましたけれど、まずヨルダン政府の本音を小野寺さんはどのように見ていますか?」
小野寺議員
「日本人の後藤さんが交換の条件だということで、“イスラム国”が言ってきていたことに関して、おそらくヨルダンの国内では拘束されているパイロットが優先だろうと。そういうかなり強い圧力が出てきて、ヨルダン政府も抗しきれなかったのかなと思います。これがもし仮に通常ヨルダンのパイロットと拘束されているリシャウィ死刑囚だけであれば、おそらく両方とも拘束をしておけば身体は傷つけられないということで、このまま膠着状態にいくと思います」
反町キャスター
「睨みあいになる?」
小野寺議員
「はい。ところが、これが睨みあいにならない形で動かすために、たとえば、“イスラム国”がまず解放の条件として後藤さんとリシャウィ死刑囚を出したと。逆に、このカードの切り方、むしろヨルダン政府が無視できないよう、そんなやり方として動かしてきたと。そういう極めて狡猾な条件の出し方をしてきたんだと思います」
反町キャスター
「大野さん、この事態において何が彼らの本音で、どんな解決の方向に持っていこうとしているのか。どう見ていますか?」
大野議員
「日本人である後藤さんを優先させ、今後の日本との関係も気になる。一方で、パイロットの問題もある。国内世論も気になる。それに加えて、仮に、直接“イスラム国”と交渉をした場合に、“イスラム国”は国として領土を持っている(わけでなく)、国と国という扱いをしたくないわけですよね。テロリストに当然、屈しないという態度になりますから、そこでもしそういった取引に応じれば、まだまだ捕囚もいますから、ヨルダン国内には。こういったものでも足元を見られる可能性があると。最後にリシャウィ死刑囚をもし解放したならば、仮にその後、直接、彼女が関わろうが関わるまいがテロの脅威に直面するのは遠く離れていた日本ではなく、ヨルダンの可能性の方が高いものですから、こういった、全てを満足させる必要があるので、従って、パイロットをまずは優先する必要があって。ところが、彼らはサジダ死刑囚と後藤さんと言っていますから、これもたぶん絡めてくる可能性もおおいにあるし、いくつかの鍵も出始めているのではないかと思います」
反町キャスター
「情報省の大臣は、パイロットが解放されたら女性死刑囚を解放すると。これは条件を提示しているように見えてやらないとも聞こえるし、結局メッセージとしては、前向きと見たらいいのか、それとも現状、あくまでも向こうが動かなければ、俺は動かないと、まずそちらが先に動けよと言っているのか。どういうシグナルとして受け止めたらいいのですか?」
大野議員
「おそらくまず24時間というタイムリミットがある。これが着々と近づきつつあって、そのような中で彼らが行動を起こした。少なくとも外に表明をすることによって、“イスラム国”がPRをうまく使っていると。我々は約束を守って動いているというメッセージはまず国内的な意味でも、国際的な意味でも、“イスラム国”に対しての全てに発信できるという伝え方ではないかと思います。その時に、後藤さんの話というのはもしかすると水面下で動いているのかもしれませんけれども、ヨルダンの国内的には、たとえば、後藤さんがと入ってくると、国際的な報道機関も含め、おそらくパイロットよりも日本人の人質の方がウワッと出ますから、印象として国内的にもたないということもあるかもしれません」
佐々木氏
「IS側が言ってきたのは、後藤とリシャウィの交換だよと。ヨルダン政府は、いや、パイロットとリシャウィだと。だから、言ってみれば、非常にいい加減な言い方をすると、半分、両方ともカードを出しているんですよ。つまり、俺らは釈放すると、後藤を。片方は、俺はリシャウィを釈放するよと。ただ交換する相手が違うよと。と言うことは、そこで50%摺りあわせができたと。要するに、残りの後藤か、パイロットかと、当然ヨルダン政府としては、パイロットと言わざるを得ない。毎日、何百人も内務省に対してデモをかけているし、後藤のお母さんじゃないけれども、パイロットの親父が泣き面で頼んでいるわけですよ。家の息子を助けてくれと。だから、当然だと思う。そうすると、いわゆるまだ接点があってない。誰を最優先するのか、実際に行動するのかというのは、これはワーシダとアラビア語で言うんでけど、要するに、仲介者ですよ。そこでドレイミがヨルダン政府はこう言っているけれども、本音はこうだと。今度ISはこう言っているけど、本音はこうだという仲介役、パイプ役をやるだろうということ。双方が交換の相手をいうことは、実は双方が時間稼ぎができる状況をつくったと」
反町キャスター
「となるとですよ、現在、名前が挙がった3人ではないですか。ただ、もともと“イスラム国”のメッセージにあったのは、リシャウィ死刑囚と後藤さんですよね。現在ヨルダンが言っているのは、パイロットとリシャウィ死刑囚の1対1ですよね。これをまとめちゃう、無理やりやっちゃうと、後藤、パイロットという2人とリシャウィ死刑囚。2対1の交換というのは、これは足してそのままシンプルに成り立つものですか」
佐々木氏
「そうですね。お土産を持たせたらいい。何かのお土産を持たせたると。そのへんの、つまり、どちらを先に返すのか、本当に返してくれるのかと、双方が考えているわけですよ。ただ、その仲介役をやるのはドレイミと言われる、いわば第三者。悪い言い方をすると、第三者をおくことによってまだ時間を稼ぐ、交渉ができる。要するに、ドレイミという部族を、ヨルダンが賢く挟んだということは、ドレイミのところにお互いが本音のことを言う。だから、ヨルダン経由で日本政府が然るべきお土産を、ドレイミを通してIS側に伝える。もしくはIS内にバックを、ドル札を持って行くわけにはいかないわけだから、そういう形の裏取引ルートの部分が多少出てくるのではないのかなと、僕は思いますね」
反町キャスター
「時間がかかりますよね?そうすると24時間とか、72時間とか」
佐々木氏
「時間はない、既にゲームは新しい段階に入りましたよ」
小野寺議員
「その通りだと思います。実は、人質交渉で1番大事なのは時間をとること、時間をかけることです。どうやって時間の引き延ばしができるかということですが、そういった意味では、先ほどヨルダンの情報担当の大臣がメッセージを出しました。返してもいいよと。あくまでもヨルダンのパイロットですが、少なくともこのボールがいったことによって、ヨルダンのパイロットの殺害もなければ、その次の後藤さんについても、おそらく、これはすぐに何か行動が起こることではない。これでお話にありましたけれども、次のフェーズに移って、今度は本当の交渉をどうするかという、そのステージに移ったと普通は見るべきだと思います。その中で、私ども日本政府としてしっかり対応をするためには、現在の交渉の窓口はヨルダン政府ですから、そこにいろんな形でのお願いをしていくということになりますし、当然、日本政府としてヨルダンに、これだけいろんな形で協力もしてもらっていますから、それは今後とも良い関係をつくっていく。そういう方向を向くので、是非今回のことについては日本人も同じ形で解放のために努力をしてほしい。これをヨルダン政府に働きかけることになると思います」
反町キャスター
「一方で、ヨルダン政府にしても50人が死んだテロ事件の首謀者であるリシャウィ容疑者を、日本からのお金で解放したのかとなると、ここは成立しないですよ。パイロットがついてくるとは言いながらも、国内世論も考えると日本がヨルダンに対して友好関係を今後も維持する前提で何らかのものを裏に表にいろいろ示すにしても、あまり露骨に見える感じではできないのではないですか?」
小野寺議員
「ですから、現在、日本政府はヨルダン政府に様々なルートで協力をお願いしているということしか今後も言うことはありませんし、それがたぶん正しい表面的な言い方だと思います。今回、ヨルダンのパイロットのことがありますので、ヨルダン政府としての主眼は、自国のパイロットの解放。それに付随して後藤さんはジャーナリストですから戦闘員ではありませんので、それも一緒にという形でくれば、ヨルダン政府のメンツは立つと思います。それだけメンツを立てても、努力をしてくれたヨルダン政府に日本は今後良い関係をつくっていきたいと。それもお互いに阿吽の関係で交渉がうまくいくことを努力していると思います」

期限迫る…交渉の行方は?
反町キャスター
「金の話はあまり言うべきではないのかもしれないけれども、たとえば、過去において我々の番組で放送する限りにおいても、アメリカ、イギリスは身代金を表立って支払わないということで、これは論外にするとしても、他のケースというのは身代金をだいたい1人1億円から1億2000万円のところである意味プライスレンジとして、出てきていると聞いています。ただ、話を聞いていると、たとえば、2億ドルという、240億円というのは別にしても、後藤さんの解放、並びにヨルダン人パイロットの事件の解決に向けては、普通に1対1で“イスラム国”とこの国においては1億円、2億円で済んでいたものが、その10倍、20倍、ゼロが2つぐらい増えるかもしれませんよね。何十億円、何百億円というロットで、国としてのオペレーションをやってもらわないと全てが解決しないような経済的なスケールに膨らんでいるように見えるんですけれども、これは間違いですか?」
小野寺議員
「あくまでも日本政府として身代金のことについて当初何も言っていませんし、今回、向こうからそういう要求がきていませんから、そのことを考える必要はないんだと思います。ただ、現在ヨルダンが交渉の窓口で全面的に交渉をしてくれている。これが仮にうまくいくということになれば、日本はヨルダンに対していろんな形で感謝が必要になります。それは今後も日本とヨルダンの関係が強くなるということ。これは良いことですから、そのために日本はできることをしていくということだと思います」
反町キャスター
「表立った交渉をしている。テロに屈して金を支払うのはダメだとしても、結果的にこういう交渉のやり方をやっていると、最終的に“イスラム国”にまわるお金は大きくなるのではないかという気持ちすらするのですが」
佐々木氏
「それはならない。ネゴというのは普通こんなにびゃあびゃあ喋りながらやるものではないです。秘密裡にやるわけですよ。ネゴの基本的な原則は何かというと100万円というのをどうやって70万円にして、50万円に落とすかという値切り交渉です。だから、当然ながらIS側も値切りが入ってくる。最初の付け値が、たとえば、俺らは240億円だと言っていたけれど、24億円になる、スタートは。そこから、たとえば、10億円にするのか、5億円にするのかということは奴らの頭の中にもありますよ。当然それはヨルダンの政府も、それは頭に入っているし、ドレイミにも入っているわけ」
反町キャスター
「ドレイミは仲介者。この人達は善意の第三者と見てはいけない?」
佐々木氏
「いや、皆、商売ですよ、あなた。それがアラブの世界ですよ。それぞれが、アラブの商人の感覚でどのへんからスタートを切って、どのへんで決着をつけるかということは、皆、決断していますよ。だから、日本人が逆にあまり出しゃばって、前面で交渉に立ったら、高い買い物になっちゃう、逆に」
秋元キャスター
「今回のこの人質事件は、“イスラム国”側からしてどの程度までシナリオが見えて入っていったのか。どこまでがシナリオ通りなのでしょうか?」
佐々木氏
「だいたい、シナリオ通りなんじゃない?」
秋元キャスター
「ヨルダンが関わってくることも、最初から計算されていた?」
佐々木氏
「いずれにせよ、ヨルダンを絡める必要があるのは、俺らの手元にパイロットという人質もいるし、ただ、飛んで火に入る夏の虫で、そのパイロットの値段がガーンと上がったわけです。日本の後藤が捕まったということで。財布は日本ということになったんですよ。彼らは拍手していますよ。現在」
反町キャスター
「大野さん、この分析はいかがですか?」
大野議員
「仮にですよ、最初は72時間。日本円にして240億円。これは普通72時間で240億円はとても応じられる話ではないと。しかも、“イスラム国”になって、ISILになってから初めて期限を区切ったわけですね。そういったこれまでと違うパターンで、しかも、妥結が不可能なようなことを条件として出してきた。この裏に隠れていたのは、もし死刑囚の解放であり、あるいはヨルダンから別なものを引き出そうということが、仮に頭の中にあったとすれば、非常に最初から精緻な組み方をしていたし、そのために、2人の人質をとって1人を見せしめにする。これはある意味で、奴らにとって定石なのかもしれませんが、しかしながら、我々を絡めることによって、ヨルダン人だけでは誰も注目をしない。日本人が絡んだからこそ、安全保障理事会で批判の声明が出たりして、どんどん物ごとが大きくなっていった。大きくなるというのは、圧力になるだけではなくて、彼らにとっても思うツボですよね。それを逆に、うまく逆手にとって利用していったというのは、彼らのやり方なのかもしれません」
反町キャスター
「広報戦略的な見方もある点についてはどう見ていますか?」
小野寺議員
「広報が非常に巧みだと思います。大野先生もよくご存知だと思いますが、今回“イスラム国”が定期的に発行している雑誌があるのですが、極めて、写真を含め、これは欧米のかなり有名な雑誌と肩を並べるような、そういう構成に、あるいは良い写真を使っています。中にはかなり見づらい写真もありますが、広報には非常に長けている。自分達がいかに表で、正面切って、軍としての行動をとっているかのような、恣意的な映像を世界に流しているではないですか。ただ、現実的には様々な無人機の攻撃もありますから、普通は地下に潜っている状況ですが、対外的には日々活動をして、運動しているような形を見せている。そういう広報戦略が大変巧みな人達の集まりだと思います」
佐々木氏
「先ほど大野さんが言ったように、どんどん日本を絡めることによって、ISの存在がでかくなったでしょう。ドレイミというのがあるからといってジハードという名目で、アラブに限らず、イスラムの金持ち連中がとんでもない寄付金をするんですよ、“イスラム国”に対して。前はアルカイダに対してやっていたんだけど、派手な動きをするのはISだと。それは贔屓の役者をあっちに変えるというんで、現在流れているわけ。ISの方はどんどん有名になってきたと。すごくがんばっているから、もう1回寄付をやろう。要するに、寄付を集めるうえでも非常に大きなメリットがあるんです」
反町キャスター
「それは今回の事件を通して、身代金としていくらとるとか、とらないとかは別にして…」
佐々木氏
「それはそれ。それとは別に寄付がすごく集まる。日本人と違って億ドル単位の寄付をする奴がごろごろいるわけ」
反町キャスター
「億ドルと言ったら100億円ですよ」
佐々木氏
「そうですよ」


後編

駐日フランス大使に聞く “イスラム国”日本人拘束事件
秋元キャスター
「今月7日にイスラム過激派によるテロがフランスでも起きています。今回の日本人人質事件について、“イスラム国”の狙いをどう見ていますか?」
ダナ大使
「フランスの名において、フランス国民の代表として連帯感をお示ししたいと思います。フランスでは今回このようなことが起きたことを、湯川さんが殺害されたことに対して哀悼の意を表したいと思います。後藤さんが無事に解放されますように私どもも期待しています。フランスの大統領も外務大臣も日本側の皆様方に連帯感を示していますし、何かできるのかということについては、皆様方に協力していきたいと思っています。今回こういうことが起きたことは私どもの気持ちを揺さぶろうとしていたのではないかと思います。今回は日本がターゲットになったわけですし、約10日前にはフランスでした。前にはイギリスやアメリカが標的になったわけですが、そこには共通点があります。全ての国が民主主義であったということが1つの共通点であったと。ですから、おそらく民主主義というものに揺さぶりをかけようという気持ちがあったのでないでしょうか。それに対しまして、フランスは1月の11日に400万人の人々が外に出て、また40の国の国家元首が参加することによって、私どもはともに連帯感を示し、行進したわけです。これは決してフランスに対しての連帯感を皆様が示したわけではなく、共通の価値観を共有しているということ。また、自由を大切にしているということを示したかったのではないかと思います。テロはそういったものに対しての1つの攻撃であったのですが、それが結局は何の効果もなかったということを示しています」
秋元キャスター
「フランスもイスラム過激派にジャーナリストが拘束された経験があるわけですが、フランス政府として身代金交渉などはどういう立場をとってきたのですか?」
ダナ大使
「これに関しては、私どもは変わらない明確な立場をとってきたわけですが、まずは拘束された人達の命を何よりも尊重してきました。人命が何よりも大切であると思っていたからです。ですが、ケースバイケースであって、また地元でどういったところと一緒に交渉が可能なのかどうか。また、自分達が単独でやらなければいけないのか。その場合にも、国防省がいいのか、外務省が話をするべきなのか。その時のケースバイケースで行っています。しかしながら、はっきり申し上げておきたいことがありますが、身代金は1度も払ったことがありません。身代金を払うということは、1つにはそういった人々に対して身柄を拘束したということを受け入れてしまうということになります。それはしてはならないことですし、そういった人々に交渉金を与えるということはしてはいけない。まったく無意味なことだと思います。このことに関しては一切交渉はいたしません」

イスラム過激派に対する姿勢
反町キャスター
「身代金を払っていないならば、イギリスやアメリカのジャーナリストは殺されて、フランスのジャーナリストは生きて帰ってくる。この違いは何ですか?」
ダナ大使
「ここで悲惨なケースがあったことを敢えてあげる必要はないと思いますが、中東やアフリカで大変多くのフランス人が身柄を拘束されています。その中に解放された人もいます。しかし、残念ながら命を落とした人もたくさんいます。ですから、もしも、私どもがお金を払うことによって、その人達の命を助けることができたのであれば、これまでの残念なケースが発生しなかったと思うんです。いずれにしましても、身代金を払うといったことは決して適当なことではないと思います」
反町キャスター
「フランスは“イスラム国”に対する空爆に参加しています。参加することで“イスラム国”によるフランス国内のテロにつながるのではないかという懸念をどう考えていますか?」
ダナ大使
「テロリストがパリであのような行動を起こしたわけですけれども、ジャーナリストを殺しました。それも会議中の人達を殺しました。また、ユダヤ人、警察官も殺したわけですが、何をしようとしていたのかということを考えますと、フランス社会に揺さぶりをかけようとしたと思います。それは民主主義への揺さぶりでもあります。確かに、私どもは空爆を行っているわけですけれども、そのあとのテロ活動が何を意味したかというと、フランス社会に対しては何の揺さぶりにもならなかったわけです。今回のこのような悲惨な事件を通じて、400万人が抗議の行進を行ったわけです。それは政府を支持している人でなくても。そういう意味で、国としての連帯感が生まれたのは大きいと思います。テロを起こした人達にとっては、それはよい教訓であり、失敗したことを認識したと思います。フランス大統領も今回こういった経験をしましてフランスは空母も派遣しています。中東におけるフランス軍の存在をより強化していくことになったわけですから、そういう意味ではテロを起こした人達にとっては失敗だったと言えると思います」

過激派のこれからの動きは?
反町キャスター
「リビアのトリポリで“イスラム国”に忠誠を誓うリビアの過激派グループがホテルを襲撃しました。リビアでも起きている。“イスラム国”の活動が今後、世界的にどう広がっていくか、どう見ていますか?」
 ダナ大使は「どこにも狂信的な人達はいると思うんですね。世界中にいると思います。その中で1つ危険なことは、“イスラム国”が1つの歴史的な原因になっている、また政治的要因になっていると考えることはいけないと思うんです。大きな戦いに自分達が参加するということを考えてはいけないです。ただ単にお金に興味がある、いろいろな取引、自分達が権力を持つことに関心を持っている人達だと思った方がいいです。それを幻想的に、もっと大きな正義の御旗のようなものために闘おうと言っているのが危険ですね。リビアという不安定な場所でそういった行動を起こしたりするわけですが、必要なことは、私どもが力を持ってしっかりと立ち向かっていくということであり、また、民主主義国家がお互いに連帯感を高めることです。考えてみれば、これは蚊に刺されたようなものです。確かに蚊に刺されるということは痛みを伴う行為ではありますが、私どもはもっと自分達を高みに置くことによって、そういったことが行われることによって、政治が、自分達が大きく変わるものではないと、しっかりと見据えていかなければなりません」
反町キャスター
「ムスリムが大きくなってきて、民族的、宗教的な対立がヨーロッパで激化しているのではないか?」
ダナ大使
「最初の犠牲になった方々、テロに関してですが、民主主義の人達以外では、イスラム教徒の人達ですね。自分達がイスラムであると言ってはいるものの、それらの人達をイスラムであると認める権威というものがないということだと思うんです。イスラムの人達がフランスにいたり、ドイツにいたりするわけですが、そういう人達というのは、テロを行っている人達と共通しているものがあると思ってはいけないのではないか。1月11日の行進の時もカトリックもいれば、ムスリムもいれば、ユダヤもいたわけです。フランスが大事にしているのは信仰の自由があるということ。それが非宗教国家であるということです。それぞれが1つの宗教を信じるのも、それを熱心に信仰するのも自由であるという、それが表現の自由であり、そういう意味で、今回確かにイスラムの人達はフランス国内において、通用している部分もあるかと思います。少なくとも行き過ぎてはいけない。自分達の中にも非常につらい部分もあると思いますね。フランスにもたくさんのイスラム関係の方、そういった団体というのが今回の行動に対してはっきりと抗議をしているわけです。そういうイスラムの人もフランス人であるということを忘れてはいけないわけですし、フランス人であるからこそ危険を感じてはいけない。また、しっかりそういう人達をフランス社会が受け入れるというのが模範的なフランスの社会のモデルであるということだと思っています」

危機管理のあり方
秋元キャスター
「日本の危機管理の必要性をどのように感じていますか?」
小野寺議員
「今回の様々な動きは、たとえば、フランスで起き、中東で起きているわけですが、日本としても今後このような危機に直面するという危機感を持つ必要があると思うんです。“イスラム国”を含めて、テロリストというのはなるべく物事を大きく世界に宣伝したい。宣伝する格好の場というのが、たとえば、来年日本で開かれますサミット。これは非常に標的としてはいいタイミングになります。2020年に東京オリンピックがありますが、オリンピックは世界の注目が集まる格好な事案でありますし、過去にもオリンピックを舞台にしたテロがありました。ミュンヘンでありました。そういうことを考えますと、日本にはテロの中で注目を浴びるような、様々なイベントが今後あるということですよね。国内の治安、警備、警護、情報収集が重要になります」
反町キャスター
「日本とフランスの間で今後、危機管理上テロに関して連携できることにはどんなことがあると思いますか?」
ダナ大使
「パートナーシップはまずは政治的なこともありますね。決して私どもがこういったものに対して脅威を感じないということだと思います。現在、日本は大きな試練を迎えているわけです。私どももそういう経験をしまして、民主主義は何よりも人命を大切にしていくものですから、人命が危ないということになりますともちろん、国民はそれに対して動揺するわけです。しかしながら、それに対して私どもは弱気になってはいけないと思うんです。しっかりと前を見据えて、その闘いを決して断念しないということが大事だと思います。たとえば、国防同士で、また情報部門というのがありますので、一切公にできないものもありますけれど、そういった部分での協力というのはこれからもしていくべきではないでしょうか。残念なことに、こういったテロ行為というのは1回起こるだけで私どもは大きく動揺してしまうわけですけれども、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本でもそうかもしれませんけれども、このまま放置しておいたなら、大きなテロ活動になる可能性があったものを私どもは十分に未然に防ぐことができたんだと思うんですね。ですから、そういったことを繰り返すことによって何とか達成できると思うのですが、それにはもちろん、政治的な協力が必要です。ホットな地域があるわけです。そういったところの火種を消していくことも大事だと思うんです。特にイラクの界隈で、“イスラム国”が誕生したとすれば、それはこのイラクが分裂する時に、たとえば、多くの民族の対立があったわけですけれども、その中で不満に思う人達が過激派になって、その状況の中で何か自分達にとってプラスになるものが見出されるのではないかということで、たぶんテロ活動等に出てしまったのではないかと思います。そういった意味では、地域の安定ということに私どもは力を尽くしていかなければならないと。その火種を消すことは十分にできるのではないでしょうか」
小野寺議員
「昨年1月に私が行きまして、日仏の2プラス2、防衛の会議を行いましたし、今年は日英の2プラス2を今月行いました。そういう意味で、情報共有、テロに対しての対応は、既に起きている国から日本は様々なことを得ているということであります」