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2015年1月19日(月)
日本経済への神風か? 原油価格急落検証

ゲスト

西村康稔
内閣府副大臣 自由民主党衆議院議員
藤和彦
世界平和研究所主任研究員
田中浩一郎
日本エネルギー経済研究所中東研究センター長

原油価格 7か月で6割近く下落
秋元キャスター
「世界の原油市場の価格形成に大きな影響を及ぼすと言われています、アメリカ先物市場WTI。原油価格の推移を見ていきたいのですが、ここ数年、1バレル80ドルから110ドルの間を推移していたんですけれども、昨年の夏以降、どんどん安くなりまして、今年に入って40ドル台まで下落しています。7か月で6割近くの下落ということになるんですけれども、西村さん、短期間に大幅に原油価格が下落している。このことについてはどのように受け止めていますか?」
西村議員
「日本にとってはほぼ100%輸入していますから、これは本当に神風的な、日本経済にとっては大きなプラスなわけですね。特に、行き過ぎた円高が是正されて、円安になりましたので。それも海外から買うお金はいろんなもののお金が高くつくわけですので、これで貿易収支も含めて非常に悪化してきた。しかも、原発が止まってエネルギーを増やしていかなければいけない分も、相当程度海外に払ってきた分が安くなりますので、すぐには日本経済にとってはすごくプラス。50%下がったら7兆円分ぐらい海外に払う分が少なくなると。つまり、7兆円渡していた分を渡さなくていいわけですから、国内の投資にも使えるわけですので、全ては日本経済に大きなプラスというのが大きな評価です。ただ、これだけ急激に下がっていますから、いわゆる産油国からすると、財政状況、あるいはそれぞれの国の事情で、新興国、産油国を中心に市場が悪くなる可能性がありますので、よく注視していかなければならないということだと思います」
反町キャスター
「ドーンと110ドルから48ドル。こんな急激な下落というのは、過去にはあったのですか?こんなケースは」
藤氏
「過去2回あります。最初は、1番大きいのは2008年のリーマンショックを跨いで、2008年の7月の147ドルから2009年3月までに33ドル。これが1番のケースでして、ただ、この記録はなかなか抜けないだろうと思いますから、2番目も最近、日本で言われるようになりましたが、逆オイルショック。1985年の末から1986年にかけ価格が3分の1強まで下がっていますので。現在のところ、市場3位の下がり幅ですので、私は個人的にはこの値段が下がっていくと思っていますので」
反町キャスター
「まだ下がる?」
藤氏
「はい」

原油価格急落の背景 米国産シェールオイルの影響
秋元キャスター
「なぜここまで下がったのかということなのですが、主な要因として、アメリカ産のシェールオイルの台頭。それから、OPECの原油価格下落容認。さらには、世界的な原油需要の低迷とあるのですが、最初のアメリカ産シェールオイルの台頭ですが、その生産量を見てみますと2008年から伸び始めまして、2014年にはおよそ350万バレルに達していて、2007年のおよそ10倍になっているんですね。最近急激に生産量が伸びているという、これはどういう理由があるのでしょうか?」
藤氏
「一言で言えば、原油価格が上昇したからだと思います。先ほど、2009年3月に33ドルになったのですが、2011年ぐらいからWTIの値段も100ドルを超えました。以来、3年近く原油価格が100ドルを超えていたのですが、このレベルといいますのは、インフレを調整しましても80年代の原油高に比べて非常に高い状況におかれていましたので、世界で非常に値段が上がったということがシェールオイルが生産できた最大のインセンティブだと、私は見ています」
反町キャスター
「シェールガス、シェールオイルというのは、いわゆる採掘の方法が、非常に技術的に難しくて、コストが高いと言われているではないですか。その採算分岐点というのはどのぐらいなのですか?」
藤氏
「2011年、2012年の頃は、シェールオイルでいきますと、だいたい80ドルぐらいだと言われたのですが、ただ、その時は原油価格が100ドルを超えていましたので、十分利益が出るということで。ただ、私がまだ分析しきれていないのですが、昨年の半ばから、原油価格が下がり止まりをしまして、アメリカの方から、どんどん生産コストが下がってきているよと」
反町キャスター
「シェールの?」
藤和氏
「はい。現在40ドルでも大丈夫だということをいう声まで出ていまして、そんな勢いで、本当に生産コストが下がるのかなということについては、個人的にはやや疑問符をつけざるを得ない状況です」
反町キャスター
「そのシェールも言われたように大量生産が可能になっている。コストがどんどん下がってくるシェールオイル。アメリカ産のシェールオイル、いくら掘っても、最大の石油輸入国でもありますよね」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「でも、アメリカはシェールオイル、シェールガスというものを、いわゆる輸出の戦略物資として、世界に供給するところまで、まだいっていないのですか?」
藤氏
「私は、無理だと思います」
反町キャスター
「そうだとすると、とりあえず国内需要は賄なうためのシェールオイル、シェールガスというのを出していくとして、そのアメリカのシェールオイルは自国で採掘をして国内需要がある程度満たされるようになって、世界の石油市場にどう影響を与えるか。ここはどうですか?」
藤氏
「これについてはアメリカに加えて、カナダ、それから、南アメリカ、ブラジル、ベネズエラ。実はちょっと前までは、原油の貿易というのは大陸間の貿易が多かったですから、シェール革命が起きてから南北アメリカで原油の流れが増えてきているという状況になっていまして、確かにアメリカ自身が石油を自給するには、まだほど遠いというか、時間がかかりますが、南北アメリカだけ見た場合にはかなりアメリカが需給できるというのが視野に入ってきました」
反町キャスター
「つまり、中東への依存度が下がっているという意味でいいのですか?」
藤氏
「実際、数字を申し上げますと、サウジアラビアの原油の輸入量は、消費の中で5%を切っています」
反町キャスター
「アメリカの?」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「つまり、アメリカは現在明らかにシェールオイルに力を入れている。言われたように南北アメリカの、この場合で言うと、ベネズエラとか、ブラジルで、海底油田で採った油を北米に持ってきているということですよね」
藤氏
「はい」
反町キャスター
「結果、要するに、南北アメリカにおける石油の需給が強まってきて、結果としてアメリカの中東依存度がどんどん下がっているという理解でよろしいのですか?」
藤氏
「私は、そのように見ています」

OPECの原油価格下落容認
秋元キャスター
「続いて2つ目、OPECの原油価格下落容認とあるんですけれど、これは具体的にどういうことなのでしょうか?」
田中氏
「昨年の夏頃から原油が価格として下がりかけているにも関わらず、OPECの中でも減産することによって、世界の緩んだ需給関係を少し引き締めようという動きといいますか、要望は一部の国から出ていたんですけれども、結局、最大の産油国であるサウジアラビアが、それにうんと言わなかったということで、コンセンサスができず、そのまま依然としてまだOPECの同じ水準での生産が続いている。ある種、それが市場に対して、さらに価格的に下落するということをサウジアラビアが容認しているんだということで、受け止められまして、先ほどの下降曲線に拍車がかかったということですね」
反町キャスター
「OPECの狙いは何ですか。と言うよりもOPECの狙いとサウジ1国の思惑が同じものなのですか?それとも違う?」
田中氏
「サウジのOPECの中における発言権、それから、実際の生産量。これは圧倒的に大きいので、サウジの意向というものはそれなりに反映されますし、何せOPECは満場一致で、コンセンサスがないと動けないとなっていますから」
反町キャスター
「満場一致ですか?」
田中氏
「どこかが反対してしまうと、動かない、機能しなくなってしまうんです。それがあるので、現在決められていること、あるいは行われていることを変えるには、サウジも一緒に抱き込まないと、他の国々が言っているような、ベネズエラとか、イランとか、割とコストとして高い原油をつくっていると言われている国々はより高い油価を志向するんですよね。この点では、現状の方向性はサウジと必ずしもあってはいない。むしろ180度違います。しかし、これを止める力は彼らの手にはないです」
反町キャスター
「止める力はない?だって民主的に決まるのではなく、全会一致でなくちゃいけないということだと、変更するためには全会一致でなくてはいけないということは、現状のままでいくという、こういう理解でよろしいのですか?」
田中氏
「はい。そうですね」
反町キャスター
「そうすると、3000万だったら3000万で決まっていて、変えるためには全会一致で、サウジ1国が反対しているとなると、そのままでいくしかないというシステムですか」
田中氏
「それは、だから、あとは交渉、たとえば、3000万だと言っていて、実際には、生産を各国が調整をして、下げていくというやり方はあるんですけれども、現在のところ行われていないようですね」

OPEC・サウジアラビアの思惑
秋元キャスター
「サウジアラビアの目的というか、思惑はどこにあるのでしょうか?」
田中氏
「たぶん1つではないのですが、ただ、全体で見ますと、仮にこれが戦略とすると、非常によく練られた戦略だと思います。彼らの言葉では、たとえば、シェールオイルがこれだけ台頭してきて、シェールを狙っているという言葉もサウジの石油会社の方からも出てきていますし、それから、OPECと、全体としてのシェアを維持して、世界市場の中における価格形成力をOPECに取り戻すという戦略もあります。この点でも、非OPECと言われている、特に、シェールがこれだけ伸びたことによって非OPEC産油国側の生産が伸びましたから、その部分でのバランスを取り戻すためにも、シェールを叩いていくということもあります。それから、個別に見れば、たとえば、ロシアを叩くとか、経済的に叩くためにも役に立つ」
反町キャスター
「サウジはロシアを叩きたいのですか?」
田中氏
「アメリカ側から見て、西側から見て、クリミア、ウクライナ問題に端を発した現在の対ロシア制裁の枠組みで見ますと、ロシアがいかに一時産品、特に原油や、ガスに依存しているかということを見れば、逆オイルショックの形で価格を下げるというのは極めて効果的なわけですね」
反町キャスター
「アメリカがそれをやるのはわかるんですよ。サウジアラビアもロシアを叩きたいのですか?」
田中氏
「いや、サウジアラビアがそれを行うことに関して、アメリカ側から批判されるいわれは何1つないわけですね。その目的にかなうわけですから。同様に核問題を抱えているイランに関しても、より多くの圧力を、現在まだ交渉が続いていますから、その交渉に際してイランにより譲歩をさせるために、経済的な圧力をかけると。経済制裁だけではなく、収入の面で、これ以上収入が伸びないようにすること。両方あるし、兵糧攻めを厳しくする。それを行う点で、たとえば、欧米もイランにはやく条件を飲ませたいと思っているので、ここでも理にかなう。あと、サウジアラビアはイランとの間でペルシャ湾を挟んで冷戦状態にありますので、直接、イランを困らせたいという思惑もあると思います。最近はイスラム国、ISIS。彼らも非合法なオイルを輸出しているんです、ないしは密輸していると言われていますが、彼らの収入源も結局100ドルのオイルが50ドルに下がり、40ドルに下がれば、実際にはダンピングしていると思われますので、さらに低い価格で売るしかなくなる。それだけ身入りも減っていくわけです。ですので、どれをとってもサウジアラビアとしてそれぞれ説明がつきます。消費国であるヨーロッパ、それから、アジアである日本、中国も含めて、さらにはアメリカ本土。そこからそしりを受けるところはない、かなりよく練られていると思いますね」
反町キャスター
「でも、結果的に、サウジアラビアはOPEC他の加盟国の恨みはかっているわけですよね」
田中氏
「そうですね」
反町キャスター
「それは、要するに、他の中小産油国の恨みをかってでも大所のお得意様との関係をよくしたいという理解でよろしいですか?」
田中氏
「大所との関係が最終目的であるかわかりませんけれども、少なくともOPECの市場占有率は現在35%ぐらいしかないです、生産量でいうと。そうすると価格形成、ないしは支配力という点で見た場合に35%では動かせない。ないしは価格が下がり過ぎた時に、逆転させることは、難しくなってくる。あるいは上がり過ぎた時に、あまり上がり過ぎると原油離れが起きる。それから、強いていえば、OPECなど産油国にとっても長期的な損害になるけれど、そうならないように抑えたいと思っても、35%ではなかなか厳しくなってくるわけです。なので、少なくともこれを逆転させるとか、拮抗させるところまでシェールを叩いていくことは、現在のうちにやっておかないといけないという課題だったと思います。先ほど価格に関しても、拮抗点、価格高弾性がどのぐらいシェールの開発に関してあるのかということは…」
反町キャスター
「高弾性とは何ですか?」
田中氏
「価格に対してどれぐらい弾性的に対応できるか。忍耐力のようなもの。これをどうやって測るかという問題があったんです。技術的には、たとえば、60ドル、70ドル、80ドルと言われていましたけれど、実際には紙のうえでの話で、これまでずっと上昇基調、特に2009年以降では、再び上昇基調を続けていた、むしろ高止まりしていたが故に、本当に60ドルなのか、70ドルなのか、50ドルなのか、40ドルなのか、誰もわからないですね。ところが現在、試してみることによって、長期的な戦略として、あるいは少なくとも中期的に再びシェールをある程度抑えなければならない局面の時にどこまで自分達が下げれば、こういう局面を変えることができるのか。あるいは逆のゲームチェンジャーとして自分達が、この石を投じることができるのかということをはかる機会です。だから、非常によく練られた戦略だと思います」

世界的な需要低迷
秋元キャスター
「さて、原油価格下落の原因の3つ目、世界的な原油需要の低迷ということですが、経済の成長を示しますGDPを見てみますと、中国、インドは一時期に比べて成長が鈍っています。ブラジル、EUは2013年、少し成長率が回復しているものの低成長率ということですが、藤さん、中国、EUの景気減速。これが原油の需要減につながって、価格下落の大きな原因の1つになっているということなのでしょうか?」
藤氏
「一般にそう言われていますが、私はちょっと違う見方をしていまして、今回の原油価格の下落は、需要面の影響がまだほとんど出ていないと見ています。実は1989年の逆オイルショックの時は、原油価格は10%落ちていましたし、1998年の時も5%落ちていました。リーマンショックの時はすごい勢いで需要が落ちました。ただ、現在、世界の現状は伸びがどんどん鈍化していると言いながらも、まだ横這い状態には少しずつ動いていますから」
反町キャスター
「減ってはいない?」
藤氏
「はい。だから、これから本当に需要面の影響も出てくるかもしれないということで、先ほど私はさらに原油価格が下がるのではないかという見立てをしているということです」
反町キャスター
「挙げた3つ原因の中で、3つ目が大した理由じゃないとしたなら、他に何か下落の原因というのはあると見ていますか?」
藤氏
「私が、最近見てつくづく思いますのは、金融要因ではないかと思っています」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
藤氏
「アメリカのシェール企業がかなり高コストでシェールを生産していましたので、お金を借りる際、金融機関の方から将来、1年後、2年後に必ず高い値段で売れるかどうかという担保がほしいということで、原油先物市場で、相当高い値段で1年先、2年先の原油価格を売っていました。一方で、原油価格は高止まっていたものですから、需要サイドはほとんど買いはなかった。ということで、原油市場の2年、3年先がすごく値段が下がってしまいまして、それによって実は原油の価格形成のメカニズムが相当歪んできてしまっているのではないかと。実際に2013年8月に、アメリカのシェール企業がヘッジを集中したせいで、100ドルから80ドルに一気に下がりました。そのあと戻ったのですが、今回6月の原油価格下落局面でまたシェール企業が一斉にヘッジを始めましたので、それによって、私は雪だるま式に原油価格が下がってしまったのだろうと。そうでないとこの3つの要因だけでは、短期間で50%下がるという説明がつかないのではないかと思い始めています」
反町キャスター
「そうすると、諸々の要因で、現在の原油、今日は47ドルです。これが、要するに、さらに安値が続くのか、期間はどのぐらい続くのか。プライスレンジと期間をどう見ているのですか?」
藤氏
「ズバリ申し上げますと、これからの原油価格は20年かけて、20ドルから50ドルのレンジで、私は推移するのではないかと。20ドルから50ドルで推移すると見ています」

今後の見通しは
反町キャスター
「何を根拠に20年ぐらい、20ドルから50ドルだと」
藤氏
「2004年からの10年間、原油価格が高止まりした最大の原因は、中国の経済の急成長です。それによって市場のセンチメントが供給不足でないかということで、上がってきたのですが、中国経済が鈍化していきますと、需要要因がなくなってくるということになりますと、原油はどんどん下がっていって現在40ドル、50ドル台ですが、そうなりますと、この40ドル、50ドルというのはいわゆるシェール企業の、平均の生産コストのたぶん下限ぐらいではないかと。一方で、20ドルというのは、シェール企業の限界生産コスト。トータルとしては利益が出ないのですが、1本の井戸を掘れば、変動費ぐらいはお金が出てきますよという値段がだいたい20ドルと言われていますので、たぶん、そういう形で推移していくのではないかと」
反町キャスター
「田中さんはどうですか。価格変動幅と期間。どのように見ていますか?」
田中氏
「藤さんの説明、理論もよくわかるのですが、私は構造的にシェールが価格高弾性で40ドルを下まわった時に、それなりのダメージが生じ、その結果、非OPECのタマが減ると。生産のタマも減るということで、需給自体のバランスから再び油価が少し持ち直す、上がるというか、少し持ち直す局面に入っていくのだろうと思っています。ただ、そこに至るまで2年ぐらいはかかるだろうと思っています。それ以降ジリジリとまた世界経済などの需要が回復して、需要が伸びて、拡大することにおいて、それに追いつくようなことでの価格上昇を伴うものだと思っています。たとえば、既にインドがこれだけ価格が下がったことによって、これまで苦しい状態だったのが非常に好転しているわけですよね。当然エネルギー需要も伸びていきます。ですから、同じことが中国で起きないということもないと思いますので、原油安は日本経済にとっての神風でもあるでしょうけれども、成長が鈍化してきた他の経済にとっても、同様の効果をもたらすものだと思いますので、そういう点で少しある程度、安定的なレンジで、たとえば、40挟んでから50、60ぐらいのところで暫くいって、またジリジリと上がってくるのかなというのが私の感覚ですね」

日本経済への影響は?
秋元キャスター
「原発稼働停止を補うため火力発電が増え、その燃料費増加が貿易赤字の大きな要因になっていますが、今回の原油価格の下落はどのように影響すると思いますか?」
西村議員
「50%下落が続けば、年間で7兆円程度のプラスに寄与しますので、貿易赤字もその後縮小しますし、一定の経常収支も維持できるのではないかと我々は見ています。ただ、変動はしますから、それに備えていろんなことをもちろん、対策をやっていかないといけない。それからCO2の排出量はグラフで見ると化石燃料が増えていますので、石炭、LNG、石油が8割を占めると思いますし、相当CO2の排出量が増えていますから、ここは気候変動も国際的にようやく中国もアメリカも世界で協調して減らしていこうという方向になりつつありますので、我々としてもこの状態を続けるわけにいかないので、再生可能エネルギーをやりつつ原子力も再稼働を進めていきたいと思っています」

世界経済への影響は?
秋元キャスター
「原油価格の急落は世界経済全体にとってプラスなのでしょうか?それともマイナスなのでしょうか?」
藤氏
「短期的にはプラスだと思うのですが、中期的にどうなるのかを心配していまして、よく産油国の問題が出て、ロシアとか、ベネズエラとか、イランの話が出てくるのですが、私は今回の原油安局面で1番ダメージを被ったのは産油国に復活したアメリカではないかと思っています。と言うのは、アメリカのシェールオイルは先ほど言いましたように普通の産油国に加え、金融の力を使って、生産量を増やしたと見れば、ハイブリッド産油国と言ってもいいのではないかと私は思っています。実際1番ダメージを被るのはボリュームもそうですが、その間に成長したところが1番割をくうと考えた場合にはアメリカが1番心配です」
反町キャスター
「EUの場合はプラスになりますよね?」
藤氏
「EUの場合、ご専門の方もあると思いますが、私はユーロ危機がまだ去っていないと思いますから、それによってデフレになった場合、むしろデフレの悪影響の方が大きいのではないかと個人的に見ています。私はドイツの動きは前から気にしていまして、46年ぶりに赤字予算を組まなかったと(ドイツは)喜んでいるのですが、本来ならヨーロッパの中で1人勝ちのドイツが財政出動をして、需要を喚起しないことにはユーロ全体も盛り上がらない。日本の場合は、非常に厳しい局面ですけれど、政府が財政政策も含めて相当、景気刺激策をやっていますが、ヨーロッパはドイツがまったくそれをしないと。そこに大きな違いがあるのではと思って懸念をしています」
西村議員
「ヨーロッパは現在、藤さんがおっしゃいましたけれども、まさに我々の3本の矢を見習えと言う人がいるぐらい金融緩和をこれからやろうとしていますし、それから、2番目の財政出動は、デフレで需要が少なかったですから、そこは政府がお金を出すことによって、呼び水的に需要を喚起していこう、需要を増やしていこうとやっています。(日本は)成長戦略で3本目の矢の改革を進めていっていると。ところが、ヨーロッパの場合はなかなか1本目の矢が出ないけれども、1本目の矢もどの国債をどのぐらい買うかというとなかなかまとまらなくて、それぞれの国債の格付けが違うものですから難しいんだと思うのですが、それから2本目の矢の財政出動もドイツが非常に慎重であるということ。3本目の矢の改革もフランスやイタリアとか、我々がやろうとしている労働改革、あるいは様々な規制改革。これがなかなか進まないのではないかという声が聞かれていますので、そういう意味では日本の状況とヨーロッパの状況は違いますので、一概には言えませんけれど、コストが下がるという意味ではプラス効果はあると思います」

ロシア経済への影響は?
秋元キャスター
「ロシアは今回の原油安によってどのような影響を受けると思いますか?」
田中氏
「ルーブルの下落に見られるように、大きなショックになっているのは否定できないと思います。油価が高止まりしていた時でもルーブルの価値は維持されていたにせよ、国内経済的にはそれほど良い状態ではなかったと言われていますので、現在これだけ油価が下がり、ガス価格も影響を受けるでしょうし、さらにあわせてウクライナ問題での制裁も広がっていくということで、経済全体の舵取りは極めて難しいところにあるのだろうと。私はロシアが専門ではありませんけれど、少なくともそういうデータだけを見て、かなりこれは否定できない状態にあると思います」
反町キャスター
「ルーブル安をどう見ていますか?」
藤氏
「私は1998年のようなロシア発の金融危機がくることはまずないと思っています。実際に外貨準備が1998年の時は200億ドルもなかったのが、現在4000億ドルあります」
反町キャスター
「暫く続いた原油高の時に貯金をしていたということですか?」
藤氏
「はい。実際その通り1998年に政府が赤字でデフレを起こしましたが、今回は政府にお金があって、民間企業にお金がないということなのですが、ただ値段が下がったとは言え、石油とか、天然ガスを輸出しているロシア企業はドル立てで進めていますからドルは間違いなく入ってきます。ですから、ドルが足りなくなってデフォルトを起こすということはまずあり得ないということだと思っています。ただ、いずれにしても長期に続けばプーチン政権の人気も下がってくるということで望ましいことではないと思いますが、私は日本で特に原油安イコールロシアがピンチという論調はやや的外れではないかと個人的に思っています」

米国発 金融危機の懸念
秋元キャスター
「原油価格の下落がアメリカ発の金融危機の引き金になると指摘されていますが」
藤氏
「私はちょうどリーマンショックが起きた頃に、経済産業省から内閣情報調査室に出向していまして、そこで経済面からの情報分析をやっていたのですが、サブプライムがなぜリーマンショック、世界金融危機になったのかという構図をつぶさに見てきました。その構造が現在、シェールオイル、ジャンク債(信用度の低い高利回り債権)、さらに先物取引と称するデリバティブというところで、すごくよく似ているというところが、気になっています。最初に実態経済ですが、サブプライムローン時を思いだしていただければ、本来なら住宅ローンが借りられないような貧しい人に住宅ローンを貸しつけて、住宅価格が上がるということで、キャピタルゲインでローンを返すということで、金融マネーゲームをやってきたんです。一方で、今回のシェール企業というのは、私は正直言って企業の力。先ほどの先物で1年、2年先に高い値段で原油を売って、そういう形でキャッシュフローを獲得して、油価がどんどん上がっていき、どんどん生産量が伸びてきたということで実態経済は全く同じです。2番目に金融の問題でリーマンショックというか、サブプライムには2つ問題がありまして、1つは証券化。個別の住宅ローンを全部証券化して全部ごっちゃ混ぜにして、うまく切り分けをし、これは非常に安全度が高いからと言って、債権はダメだからと言って債権を売りました。ですから、結果的にリーマンショックというか、サブプライムローンが焦げついた時に世界の債権投資家が自分の持っている債権に本当にサブプライムローンがあるかどうかわからないという状況になって、それでパニックが起きていったのですが、今回のシェール企業が出しているジャンク債。これも実はCBOと称して、サブプライムの時はCDO(Collateralized Debt Obligation)と言っているのですが、今回はCBO(Collateralized Bond Obligation)という形の証券化をしていますし、さらには、彼らは非常にハイリスク、ハイリターンのレバレッジドローンというのも相当借りていまして、これをまた証券化してCLO(Collateralized Loan Obligation )がだいたいCBO、CLO足して5500億ドルあると言われています。それでリーマンショックが何故起きたのか。最後は世界で現在でも想定元本残高が700兆ドルある、デリバティブが最後パニックを起こして、金融危機が起こってしまった。その当時のアメリカはいわゆるCDSと称してクレジット・デフォルト・スワップ。要は、倒産したら保証料を払っている人達に対して全額債務を負担してくださいということをやりまして、当時あまりにもCDSのマーケットが不透明だったものですから、リーマンショックで、リーマンブラザーズが6000億ドルの債務を残して破綻したのですが、その時リーマンの債権のCDS。誰がお金を払ってくれるんだと言った時に、たまたまAIJという損害保険会社が4400億ドルの仕入れ要素を持ったものですから、そこに全員が並びまして、お金を払ってくれと言ったものですから、これは世界の金融システムが壊れてしまうということで、アメリカ政府が実は資本投入をしたということです」
反町キャスター
「その状況とまったく同じものがアメリカで起こるということですか?」
藤氏
「最後のデリバティブは先物取引です。その先物取引の中で、シェール企業の中で恐るべきことが起きていまして、これだけ油価が下がっているのに1年前に90ドルで原油を売っている企業が現物を40ドルで買って、50ドルも実は利益を得ているんです。しかも、そのお金で1年後、2年後のヘッジをして生産を続けるということなのですが、先物取引と言うのはゼロサムゲームですから、シェール企業が儲かれば損をしている人がいる。これはどこかという名前は出てこないのですが、どこかの金融機関だと思います。原油関係のデリバティブは、一説によると、既に数兆ドルの想定元本残高があると言われています。ですから、いつ起こるかは複雑系ですからわかりませんし、もしかしたら私の懸念が杞憂に終わるかもしれませんが、破天荒なぐらいのデリバティブで、誰が誰にリスクをかけてヘッジをしているかわからない状況…」
反町キャスター
「杞憂に終わらせるためには原油価格が元に戻っていったらいいのですか?」
藤氏
「ええ。ただ、戻らないと思っています。さらに言えば、合成の誤謬が多く起きていまして、現在シェール企業が自らの生産を維持するために、また1年先、2年先ですごく高い値段で原油を売っています。それによって買う人がいないですから、また1年先、2年先の原油価格の先物が下がっています。ですから、ますます原油価格は下がっていくと。個別のシェール企業が自衛手段をとればとるほど、マクロでは原油価格が下がっていくという結果になっていますので、しかし、先ほど言いましたように需要面ではリスクファクターが全然出てきていませんから、残念ながら原油価格が上がるというところでのリスクを回避するという方法はやや難しいのではないかと思っています」

西村康稔 内閣府副大臣の提言:『資源のすくない日本 知恵を結集 したたかなエネルギー政策を!』
西村議員
「もともと日本は資源がありませんので、原油価格が下がったからと言って、安心することなく常にエネルギーをどうやって安定的に、しかも、安く供給できるのかということを常に考えて知恵を結集し、現在TOYOTAの新しい燃料電池車も発売されることになりました。常にイノベーションを起こして新しいエネルギーについてのこともやっていく。研究開発も進めていく。これが第一。先ほどロシアの話もありましたけれど、もちろん、国際的な協調も必要です。しかし、その中でしたたかに外交政策もやり、日本との関係の良い国からできるだけ安く安定的に供給できるような仕組み。アメリカもそうです。シェールガスも2017年から入ります。こういったことを積み重ねることによって、確実なエネルギー政策をつくっていくということに、ぜひ邁進をしていきたいと思っています」

藤和彦 世界平和研究所主任研究員の提言:『近接・豊富』
藤氏
「私は10年以上前から、ロシア、サハリンをはじめとした北東シベリア地域。特にサハリンからの天然ガスをパイプラインで日本に敷いていきたいと思っていまして、実際、昨年、一昨年と自民党の中でパイプラインの議員連盟の事務局として微力ながら支援してきましたが、先ほど原油価格が20ドルから50ドルでもし長期で続いた場合、サウジアラビアもアラブの春がくるということも、排除できないということを考えた場合に、世界のリスクが高くなるという前提であれば、エネルギー安定供給の要諦は近くで豊富にあって、しかも、多様化するということが重要だと思っています」

田中浩一郎 日本エネルギー経済研究所中東研究センター長の提言:『不惑』
田中氏
「原油安に一喜一憂せず惑わされることなく資源開発や権益獲得など。それから、国内においては省エネ、再エネと、いろんな制約もありますけれども、原発。それぞれのエネルギーミックスをうまくとっていくという長期的な対応を怠るべきでないと思います。過去1990年代も含めて原油価格が低落した時に、日本の日の丸原油というものの権益更新が実はいらないのではないか。そういう世論も出たぐらいですので、それが現在ちょうど、たとえば、アブダビの権益更新も2018年に迫っています。それから、陸上権益での参入も行おうとしていますので、こういった対応をとろうとしている時に、この原油安。一時的なものなのか、あるいは長期的かもしれませんけれども、そういったところに惑わされることなく長期的視点での開発、対応を常にとっておくべきだということで不惑」