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2015年1月15日(木)
急増する振り込め詐欺 誰もがだまされる理由

ゲスト

伊藤隆行
警察庁特殊詐欺対策室長
西田公昭
立正大学心理学部教授

被害額過去最悪500億円 急増する振り込め詐欺
秋元キャスター
「増え続ける振り込め詐欺の現状から聞いていきたいと思うのですが、振り込め詐欺、金融品等取引名目詐欺、ギャンブル必勝情報提供目的詐欺、異性との交際あっせん名目詐欺など、これらを総称して特殊詐欺と呼ばれています。その被害額は年々増加していて、昨年1月から11月までで既に過去最悪の498億円に達しました。1年を通して500億円を突破するのは確実と見られているんですね。この特殊詐欺の被害のうち、およそ330億円を占めているのが振り込め詐欺です。その振り込め詐欺にも種類がいくつかありまして代表的なのはオレオレ詐欺、それから、架空請求詐欺、さらには融資保証金詐欺、還付金等詐欺という詐欺があるんですけれど、いわゆるオレオレ詐欺が一番多くて157億円。次に実際に利用していない有料サイトなどの料金を請求する架空請求詐欺ですね。伊藤さんからしたいんですけれど、この4つの詐欺の特長を教えていただけますか?」
伊藤氏
「いろんな騙す時の手口があって、手口の分類として、この呼び名をつけているんですけれど、いずれも騙す時は電話を使うと。対面をしないで電話を使って騙すというところが共通していまして、そういう手口を総称して特殊詐欺と呼んでいるわけですね。オレオレ詐欺というのはこの手の詐欺がはしりだった時に、よく報道をされたりしたので、皆さんご存知だと思いますけれども、息子さんであるとか、お孫さんを騙って火急にお金が必要であるということで、お金を振り込ませるという手口がオレオレ詐欺です」

巧妙化するオレオレ詐欺 なぜだまされてしまう?
秋元キャスター
「オレオレ詐欺の代表的なパターンですね。ある日、突然自分の息子と名乗る男からこのような電話がかかってきます。電車に会社のお金が入ったカバンを置き忘れた、もしくは既婚の女性を妊娠させた。中絶費用が要るとか、会社のお金を使いこんでしまったと。監査でばれるとクビになってしまう。また、友人の借金の保証人になって、借金を被ることになったと様々なバリエーション、シナリオがあるということですけれども、続々と視聴者からメールも届いています。『なぜ我が子の声がわからないのか。話し方の特徴や言葉は端々でわかりそうな感じもしますが、振り込め詐欺の話を聞く度にそう思います』と。まさに、どうして、電話でかかってくるということですけれど、自分の息子の声がわからないものなのでしょうか?」
西田教授
「わかると思っていることが錯覚です。実際のところ電話がかかってくる詐欺ばっかりでないですよね。実際には息子さんからかかってくることがありますので、それで、いわば自分が確かめられていると、ちゃんと聞き分けられていると思っているんだと思うんです。実際になり済まして電話がかかってきた時に確かめられるのかというような実験をしますと、かなりの人が間違えるんです。それは私が確認をしていますので、錯覚だろうとまず考えていいだろうと思っていますね」
秋元キャスター
「声の音とか、ちょっと違うのですか?」
西田教授
「まずそんなに我々の耳の認識能力は高いわけではないんですよ。確かに、端々の言いまわしだとか、声が高い低いぐらいのことはチェックできるんですけれども、肉声ではなく電話だから、また、さらに難しくなっているんですけれども、いろんな条件が重なっています。その中でそもそも息子の声というものを記憶として鮮明に、まるで画像のように我々がレコーダーのように覚えているわけではなく、基本的にはたぶん息子だろうという仮説を持って聞いてしまうと、それにあわせたというか、当てはまる情報ばかりに目を向けてしまって、当てはまっていない情報を無視するというのが一般の認識過程です。ですから、いくつか当てはまると息子だと思い込んでしまうのが普通ですね」
反町キャスター
「ただ、そのいくつかのプロセスを、ステップを踏んでいく中で、ふと我に返って、これ本物かなと踏み留まるということはないのですか?」
西田教授
「ふと我に返るというためには、かなりのブレイクというか、余裕が必要ですが、こういう電話は10分おきぐらいにかかってくるんです。そんな余裕ないですよね」
反町キャスター
「それはそうですよね、次から次へと電話をかけるのでしょうから」
西田教授
「カバンを置き忘れましたという話。あら、大変ということになるわけですが、次の電話はもうかかってこないかしらぐらいに思っているわけで、そんな余裕ないです、実際のところ。そもそも緊急事態ですので気持ちとしてははやく解決したいという気持ちばかりが先に立ってしまいますので、おや待てよと思えればいいのですが、思えない場合が普通だと思います。特別ではないです」
反町キャスター
「何か巻き込まれていくプロセスで、警察の立場からしても踏み止まるチャンスというのはないものなのですか?」
伊藤氏
「実はいっぱいあります。今話した中で、1件あたりの被害額が大きくなっているという話をしましたけれども、こういったお金を調達するので、よっぽどのお金持ちの方でなければ、金融機関に行かないと、自分の預金を下ろさないと、お金を調達できない。現在金融機関でもかなり対策化が進んでいまして、多額のお金を下ろすと必ず声がかかります。振り込め詐欺ではないですか、あるいは何にお使いになるのですかという話があります。その時に少し余裕のある方だと、そうじゃないかしらと思うところもあって働くのですが、今の話にもありましたように、なかなか声をかけてもらっても、自分は騙されていないと。自分の預金だから、何で下ろせないのだと、逆に金融機関の方に食ってかかってしまうということがありました。1回とまって、警察官が臨場をして、それで説得をしても、いや、息子が大変だから、余計なこと言わないでくれと言って、息子さんに直接、確認をするまで警察官の言うことも信用していただけないとか、息子さんが来られてもなかなか信用しないと。警察の前だから恥ずかしくて、そういうことを言っているんだろうということがあるので、プロセス自体は、金融機関をはじめとしていろいろありますし、また、つくっていかないといけないと思っていますけれども、いったん騙されると、先生のお話にもありましたようになかなか目を覚まさせるというのが難しいなという」
反町キャスター
「視聴者からのメールです。『犯人グループはどうやってターゲットを選んでいるのでしょうか。父は75歳です。何を注意したらいいですか』とのことですが、何を材料にターゲットを、被害者を狙っているのですか?」
伊藤氏
「犯人グループを検挙した時に必ず出てくるのが、いわゆる名簿というものです。被害者の方の名前が記され、電話番号が記されたもので、いわゆる名簿屋といった存在がありまして、そこから購入する、あるいは犯人グループ間で使いまわしをしていたということで調達している例がほとんどです。名簿屋から名簿を購入する時に犯人グループ側が、たとえば、65歳以上であるとか、あるいは押収されたやつを見てみると宝石購入者であるとか、高額商品を契約した人とか、先ほど有料サイトの話をしましたけれども、有料携帯サイトの利用者とか、そういった情報で対象者を検索するように名簿屋に頼んで出てきた名簿で詐欺を働くというような形でやっていますので、その人の個人情報にマッチした騙し方をしてきますので大変難しいと思います。お尋ねの中で、何を注意したらいいかと。なかなか騙されないようにするというのは難しいところがありますね。手が込んでいますから。1番良いのは留守番電話の設定をしていただいて、ちょっとご面倒でも1回留守電にして、かけ直すということを徹底していただくと、かなり不便ではありますけれど、留守番電話に吹き込んでまでということは、詐欺グループはしませんので」
反町キャスター
「留守番電話には吹き込まないのですか?」
伊藤氏
「はい。吹き込みはしません。しませんので、そこは確認をすることはできます」

架空請求詐欺急増の背景 だましの手口と防衛策
秋元キャスター
「ここまではオレオレ詐欺について話を聞いてきたんですけれど、振り込め詐欺が減らないもう1つの大きな原因として、最近、急増中の詐欺の存在というのがあるんですね。それが架空請求詐欺。どういう手口が多いのかと言いますと、たとえば、利用していない有料サイトの料金を請求された、株や社債への投資などを持ちかけられたとか、また、以前の投資被害を取り戻せると持ちかけられた。さらには名義貸しに応じたあと、違法でトラブルが発生したと弁護士費用などを請求されたということですけれども、こうした架空請求詐欺が急増している背景には何があるのでしょうか?」
伊藤氏
「オレオレ詐欺1本だった時から比べて、こういった手口が出てきた。いろんな手口に多様化していったということが、まず1番にあげられると思うんです。1つは、オレオレ詐欺だとどうしても息子や孫を騙りますので、方言の問題がありますね。東京地方の方でしたら標準語でだいたい騙せるわけですけれども、関西弁であるとか、東北弁であるとか、そういった方言を操れる、いわゆる『かけ子』というのはなかなかいないわけですね。しかし、こういった架空請求詐欺を仕立てれば、そういった方言がある地域の人達でも、警察官だとか、有料サイトの請求する人達は、標準語でもまったく構わないわけですから、そういったところも、地方への拡散と同時にこういった手口も拡散していったということも、1つあるのかなと思うんです」
反町キャスター
「当然オレオレ詐欺に比べると、架空請求詐欺の場合には、出演者が増えますよね。出演者が増えると言うことはより役割分担とか、シナリオとかもしっかりとできてないといけないと思うのですが、それは高度化している。設定とか、言いまわしが高度化しているということでよろしいのですか?」
伊藤氏
「間違いなく言えると思います」
反町キャスター
「それは発展している?褒めているわけではないですが、明らかに技術的に向上していっているのがあると見ていいのですか?」
伊藤氏
「その通りですね。非常に巧妙になっていると思います」
反町キャスター
「そうすることによって、先ほど言われたみたいな方言とか、地方性というものを超えて、どこででもできるようになったという強みにもなっているのですか?」
伊藤氏
「そうですね」
反町キャスター
「架空請求詐欺によって、被害者はもしかして高齢者から青年層、若年層にまで広がりつつあるという傾向があるのですか?」
伊藤氏
「架空請求詐欺について言えば、確かに若くない人達の被害もあるんですけれど、最近の全体的な傾向としては依然として高齢者、高齢女性が多いと」
反町キャスター
「架空請求詐欺でも高齢者が?」
伊藤氏
「多いですね。最近は多くなっています」
反町キャスター
「結局オレオレであろうと、架空請求であろうと、騙されやすい人は、高齢の女性が騙されやすいのだという、このターゲット層は変わらない?」
西田教授
「それは違いますね。高齢の女性が騙されやすいのでなく、それは高齢の女性にあわせた電話をかけているんですよ。自宅で電話をとる確率が高い人はと、そういうのを想定して犯人はやっているのですから。そもそも家にいない人に電話をかけてもしようがないではないですか。ですから、そういう人が狙われているということですよ」
反町キャスター
「狙われている?」
秋元キャスター
「ターゲットをそこに向けているから、結果としてということですか?」
西田教授
「多くなっているんです。実際に心理学的な知識で申し上げると、別に知能の差がありませんし、人間って。高齢になったところで。よく言われるのは、偏見ですね。高齢になるとどうのこうのと、確かに認知症という病気の問題があります。それでも実は、被害に遭われている方は認知症ではないですよ。特別に知的に問題がある人ではないわけです。ただ、高齢の女性が、それは知的に問題を抱えているなんて明らかに偏見でして、実はスピードとか、いわゆる判断力のスピード、そういったものは確かに若い人より遅いかもしれませんよ。逆にいろんなストレスに耐えながら正しい判断ができるとも言えるんです。ですから、我々の認識でちょっと高齢になると、どうも判断がおかしくなるのではないかというのは間違いなく勘違いです」
反町キャスター
「でもですよ。高齢になるほど思い込みが強くなるという、傾向はありますか?」
西田教授
「なるほど、1つだけ、それはまだ証明されていない仮説としてあり得るのが、思い込みというよりも、我々も習性として、習慣で生きていこうとするんです。はっきり言えば、考えたくないんです。できるだけ自分の資源を使わずに楽していきたいという。それは運動能力と同じように、頭も同じようで楽に深く考えずに行動をしたいと、判断をしたいと思っているんです。それは人間が長生きする術と思ってください。それを考えると、たとえば、電話の向こうの相手が本物かどうかを、本人なのかどうかを確かめようとすることも努力が要りますから」
反町キャスター
「面倒くさくなる?」
西田教授
「はい。面倒くさいことをしなくても騙されない、相手が騙そうとしない限りは大丈夫なわけですから。そういう慣習、習慣的な行動で楽していきたいという心理は、高齢者ほど働くと思います」

狙われる高齢女性 ターゲットにされる理由
秋元キャスター
「高齢者が詐欺のターゲットになっている背景には、年齢が高くなればなるほど、貯蓄額が多くなるという現状があるんですね。年齢が高いほど、貯蓄額がこのように増加していまして、60歳以上の世帯主の平均貯蓄額は2300万円を超えています。伊藤さん、高齢者が自分が振り込め詐欺のターゲットになっていることをもっと知る必要があるということですか?」
伊藤氏
「そうですね。自由にできるお金が多いのがお年寄りだという現状があると思うんですね。そこを犯人グループ側も狙っていると。いくら要求してもお金がない人というのはなかなかたぶんターゲットにしづらいものですから、知ってか知らずか、そういったところを狙っている。従って高齢になった時にターゲットになりやすいのは騙されやすいということではなくて、ターゲットになりやすいということで、よくよく認識いただくというのが大事だなと思います」
反町キャスター
「たとえば、被害に遭われた方と接触をする中で、自分達がこの通りだと言うんだけれども、2000万円から3000万円の現金預金を持っていて、非常にそういう詐欺集団の対象になりやすいという自覚を持っている人はあまりいないということになりますか?」
伊藤氏
「そうですね。持っていらっしゃる方もいるんでしょうけれども、現実これだけ騙されているわけですから」
西田教授
「詐欺被害に遭うこと自体、特殊なことだと思っているわけですね。要するに、何らかの個人的に問題があるのではないかと思うんです。だから、自分のようにしっかりしている人間は騙されたりしないという認識をすごく強く持っているんですよ」
反町キャスター
「そういう人が騙されると言う意味ですか?」
西田教授
「逆に、無防備になります」
反町キャスター
「伊藤さん、そのへんは、たとえば、高齢者に対しても、警察庁として何か注意喚起するとは思うんですけれども、注意喚起しても、たとえば、そういう人達というのは、私は大丈夫という人が多いのですか?それともふんふんと聞く人が多いのですか?」
伊藤氏
「千差万別ですけれど、聞いておられる、ふんふんと聞いていただいて、皆さん、心の中ではだいたい私は大丈夫だと思っている感じですね」
西田教授
「アンケート型の調査をするとほとんどが大丈夫だと言いますよ」
反町キャスター
「大丈夫だという。つまり、お年寄りは、要するに自分に自信を持っている?私は引っかからないと」
西田教授
「そうです」
反町キャスター
「そういう人達がとは言いませんが、そういう人達の中で被害者がどんどん出てくるということですね?」
西田教授
「はい」
反町キャスター
「ただ、2000万円、3000万円という金額はすごく大きいと思うのですが、これは、たとえば、老後の蓄えとか、場合によっては退職金、ないしは年金によって積立てられたものとか、そういうものがあるわけですよね。これを数百万円、ないしは数千万円以上のロットで盗まれるということは大変ショックですよね?」
西田教授
「大変なショックです。本当にもうたまらない状態になっています。つらいし、それから恥ずかしいと思っています。もうこんなことはやく忘れてしまいたいというのがあって、取り返したいと思っていてどうにもならないと思っている。そんな感じですよ」
秋元キャスター
「引っかかりやすい金額というのはあるのですか?」
伊藤氏
「現在400万円から500万円、1人当たりですね」
反町キャスター
「400万円とか、500万円とか、スコンと抜かれた人。たとえば、夫婦の場合に、抜かれた人というのは、自分の配偶者、お婆さんが抜かれたお爺さんに対して、私、詐欺にあっちゃったのとちゃんと言うものですか?」
西田教授
「言わない場合が多いですね。こっそり助けてあげるよとか言って話を受けて、自分で処理している場合が多いので、ばれたら、とんでもない。今度は自分が責められると思っている人が多くて、それで抱え込んでいるんですよ、1人で。だから、そういう意味では弱みにつけ込まれてしまいやすいですよね」
反町キャスター
「極端な話ですけれども、この被害が重なっていくことによって、たとえば、前途を悲観して自殺するようなケースというのもあるのですか?」
西田教授
「ありますね」
反町キャスター
「具体的にはどういうところで自殺にまで入ってしまうものなのですか?」
西田教授
「自殺というのは、自殺の心理はまた難しい問題があるのですが、もう消えてなくなりたいとか、要するに、こんな現実嫌だし、今後の未来はどうにもならないだろうとか、責められるとか、いろんな思いから、とにかく消えてなくなりたいという思いからスタートしていて、どんどん思いが募っている時、何かのきっかけがあるのでしょうね。誰かが死んだとか、あるいは電車が前に通っているとか、そういうやってしまえみたいなことがつい起こってしまうということだろうと思うんです」
反町キャスター
「伊藤さん、自殺者に関しては数字とか、統計とか、傾向とかありますか?」
伊藤氏
「自殺の統計は非常に難しいものですから、オレオレ詐欺が原因でという統計はないのですけれど、ただ、今話ありましたように、非常にショックを受けるという現実があるみたいです。騙され方が深ければ深いほど、それが冷めた時の落ち込み方というか、何てバカだったのだろうという思いが非常に強いものがあるようです。本当に消えてなくなりたいと思うぐらい、何てバカだったんだろうという自分を責める思いというのはあるようですね」
反町キャスター
「それは金額の大小とかと関係なく?」
西田教授
「ありますね。金額大きいと…」
反町キャスター
「たくさんやられると、それだけ深く傷つく?」
西田教授
「はい。こちら側が調査をして知りたいと思っても、とにかく隠しますね。恥ずかしいという思いが強いので」
反町キャスター
「周りの家族はそれを救ってやるということはできないものなのですか?慰めるというものでもないのですか、こういうものは」
西田教授
「なかなか。家族も騙されたあなたに責任がある、という言う方が多いんだと思うんです。だから、日頃注意していろと言ったでしょう、みたいな感じですね」
反町キャスター
「そういうものですか?」
伊藤氏
「第1はそういうのが多いですね」
反町キャスター
「家族がいいよ、気にするなよ。いいじゃないかと。そういうのは自分の家族だったら、そういう感じになりますよね?」
西田教授
「つまり、そこは注意さえしていれば大丈夫ですし、しっかりしているものは騙されないと皆思っているから。精神論で何とかなると思っています。だから、騙された人に問題があるとすぐに言ってしまうんですね」

振り込め詐欺の防止策 金融機関などとの連携
秋元キャスター
「未然に防ぐにはどうやって防いだらいいのですか?」
伊藤氏
「金融機関の窓口でお金を下ろされる方に金融機関の職員が声をかけていただく、それによって気がついてやめる。あるいは警察に通報していただいて、警察官が説得してやめるというのが多くあります」
反町キャスター
「これは振り込め詐欺の流れになっていると、金融機関はどう見抜くのですか?」
伊藤氏
「まずは年齢、70歳、75歳、高齢者の方であること。現金の取引きで非常に引き出し金額が大きい。100万円、200万円という、ある一定の金額の基準でフィルタリングし、それから警察の方で被害者の方につけていただくチェックポイント。息子さんから電話がかかってきてお金が必要なのではないですかとか、名義貸しだとか言われていませんかと、そういう一定のチェックポイントをつけていただくようなこともやっています」
反町キャスター
「金融機関にチェックリストを配布してある?」
伊藤氏
「はい、そうです」
反町キャスター
「銀行員とそこに来た人、被害者とのやりとりだけで済むものなのですか?」
伊藤氏
「非常にお怒りになられる。なかなか銀行員だけでは、顧客と預金者という立場ですので難しいというところもあるんですね。そういう時のために、警察の方では、銀行の方にはお声をかけていただいて通報をしていただく。ここまでを銀行の役目としている。 そのあと被害者の方を説得するのは警察の仕事ですと役割を分担して、なるべく金融機関の方が矢面に立たないように、お客さんとの関係ですから矢面に警察が立つようにということで、警察も指導していますし、そういう対応で被害を防ぎたいと思っています」

有効な水際の対策
反町キャスター
「電話を使っての犯罪ですね?電話会社の協力を得るという方法はないのですか?」
伊藤氏
「もちろん、あります。詐欺に使われた電話はとめていただくことが、携帯電話不正防止法という法律が施行されていますので、それでできる仕組みにはなっています。ただし、電話について言えば、犯人が非常に巧妙になっていまして、たとえば、電話転送サービスというのがありまして、携帯電話でかけているのですが、被害者のディスプレイに出るのは固定の電話であるということもありますし、電話自体がレンタル携帯になっている場合もありますし、たくさん契約をしてありますので、1つがとめられても別の電話でまた犯行を続けるというパターンもあります。いたちごっこで、これが決定打ということにはなりませんけれども、もちろん、電話会社の多大な協力をいただいています」
秋元キャスター
「電話がかかってきた時点で、こういうのは怪しんだ方がいいというのは何かありますか?」
西田教授
「大金を電話1本で要求すること自体、全部疑うべきですね。たとえば、オレオレ式だと家族だと言っているのだから、現在スマートフォンとかが多くなっていますが、テレビ電話にしちゃえば、すぐわかることです。そうしたら本物かどうかすぐわかるではないですか。となると、たとえば、もう少し電話会社であるとか、メーカーが、声で認識できる装置の電話にするとか、暗証番号を入れないとつながらない電話装置をつくるとか、そういうのは技術的に簡単だとは思うのですが、そういうことをやればいいのかなと思うんですね」
反町キャスター
「小切手を使うことによって防止するというのは?」
伊藤氏
「銀行の窓口でいろんなことを言って、現金を下ろされて、とられた方が警察に通報していただくことがあるわけですけれども、なかなかそこまで踏み込めない場合に、現金と同じ役割を果たす小切手を出すことで、代わりになるので、そちらの方が安全ですよということで銀行の方から被害者の方、あるいは預金者の方におすすめいただくという取り組みをやっていまして、非常に静岡県等で防止の成果を上げています。本当は小切手に行くまでに、話をして気づいていただく、通報していただくというのがあるので、(その途中で)とまると言うのが多いのですが、仮に小切手を犯人側に渡したとしても、関係のところで名前をさらさなければいけない」

検挙率を上げる方策
秋元キャスター
「振り込め詐欺を防ぐ最も有効な対策は犯人を検挙していくことだと思いますが、検挙率の低さはどこにあるのですか?」
伊藤氏
「検挙率が30%、25%ですごく低いということでは必ずしもないのかなと思うんですけれども、特殊詐欺の検挙が困難だというのは先ほども話があった電話を1つとっても、転送やレンタルといったことで足がつきにくいということは間違いなくありますので、また痕跡も残りませんので、非常に捜査するのが難しいということはあるかと思います。ただ、言い訳ではありませんけれども、昨年の特殊詐欺の検挙人員は11月までですけれども、過去最高の検挙人を記録しているところです。もちろん、それで被害が収まっているのかと言ったら、収まっているわけではありませんし、まだまだ検挙が足りないと思っていますし、もっとやっていかないといけないと認識はしています」
反町キャスター
「刑罰はどのぐらいなのですか?」
西田教授
「最高刑で10年」
反町キャスター
「振り込み詐欺は、犯人側から見たら簡単に入れる犯罪領域ですよね?」
西田教授
「おっしゃる通りです。ほぼやり方は確定していますので、マニュアルをもらって、名簿をもらって、電話1本あれば始められるという感じですよね」
反町キャスター
「マニュアルはあるのですか?虎の巻みたいなものが、こういうふうにやると引っかかるみたいなマニュアルブックというのは?」
伊藤氏
「そうですね。特殊詐欺の現場を捜索したりしますと、必ずそういう騙しの手口を書いたマニュアルが出てきます」
西田教授
「基本的に電話をかける時にはシナリオがあるわけではないですか。つまり、練習をしておくんですよ」

犯行グループの構成
反町キャスター
「組織形態をどう見ていますか?」
伊藤氏
「検挙されている中で見ると、暴力団みたいに上から下に三角形の形をしているようなきちんとした形ではなくて、大きな組織もあれば、小さな組織もある、また上も下もはっきりとわかならないような組織もあるということで、かなり千差万別ですね。ただ、つながりで言うと、地元の同じ中学校を出たつながりだとか、地元のつながりとか、あるいは刑務所で入っていた時のつながりであるとか、そういったものが多いようですね」
反町キャスター
「必ずしも暴力団のトップがいて、だんだん全国組織になって、支店があってという感じでもない?」
伊藤氏
「必ずしもそうではないですね。もちろん、暴力団が上にいて、その下に暴力団ではない人がいてという三角形になっている組織もありますけれども、そうでない組織もあるということですね。検挙の中で暴力団員が占める割合は3~4割です」
反町キャスター
「暴力団員が3割、4割は多いのですか?」
伊藤氏
「それが全部首魁であるとか、幹部格であるとかでは必ずしもないです。受け子とか、末端が暴力団員であるという場合もありますので、そういう意味で、必ずしも暴力団だけの犯罪というわけではないのかなと」
反町キャスター
「振り込め詐欺の実態は、どこかに拠点があるわけでもないし、どこで起きて(いるのか)。東京から電話をかけて、北海道で被害が起きている可能性もあるわけではないですか。全容の把握が非常に難しいと思います。もしかしたらそういうのをやることよりも起きていることを次から次へと潰していく方が大切なのかなとか、どう捉えていますか?」
伊藤氏
「両方大事だと思っています。たとえば、協力してもらって、受け子を検挙していくことも大事だと思います。それをたくさんやっていくことも大事だと思います。我々は拠点の摘発と言っているんですけれども、実際に電話をかけている拠点を摘発していく、それで中枢を潰していくということも大事だと思います。いずれにしても拠点を摘発した時、受け子を捕まえた時、できない場合もありますけれど、常に突き上げ捜査。突き上げ捜査というのは上部の関与を追求していく捜査ということですけれども、それを徹底していくことも同時に大切なのかなと思います」
反町キャスター
「今後の検挙率のアップのため、新たな捜査手法とか、捜査の方針は、言えないことも多いとは思いますが、こういう方向、ないしは方法で組織犯罪と対抗していきたいとかはあるのですか?」
伊藤氏
「話がずれちゃうかもしれませんが、送付型が多いということがあります。そうした時に、送付先がわかっているということがありますので、送付先に対する捜査というのも、現在これだけ送付型が増えている中でしっかりやっていくというのが1つ大事なのだろうなと思います。また、これはまだ法務省の審議会で出た段階の話ですけれど、通信傍受を組織的な詐欺についても適用するということについての方針が、法務省の審議会で出ていますので、いずれ法律改正も提案されることになるだろうと思われますので、そうなった時にはしっかりそれも使って捜査していくということが大事だと思っていますし、きっちり検挙していかないといけないと思っています」
反町キャスター
「通信傍受は今回のケースでは効果があるという、期待はありますよね」
伊藤氏
「そうですね。効果をあげていかなければいけないと思っています」

伊藤隆行 警察庁特殊詐欺対策室長の提言:『知らない人に大金を渡さない、送らない』
伊藤氏
「これに尽きるのではないかと思います。騙す手口は非常に巧妙化していまして、こんな手口、あんな手口といって、いろいろと拡大もしてきますから、最終は知らない人には渡さない、送らないということで、気をつけていただくことが1番かなと思います」

西田公昭 立正大学心理学部教授の提言:『人は信じるもの=人はだまされる!!』
西田教授
「日常から人は信じる動物ですので、逆に言えば、騙されない人はいないのであって、自分自身に謙虚になっていただきたいですね。ですから、お金の問題が起きた時、その時にもしかしたら自分は騙されるかもしれないという謙虚な気持ちで、疑いの気持ちをまず持っていただく。これが大事だろうと思います」