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2015年1月14日(水)
2015年日本の景気動向 円安の副作用と原油安

ゲスト

宅森昭吉
三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト
松野利彦
SMBCフレンド証券チーフストラテジスト
永濱利廣
第一生命経済研究所主席エコノミスト
大山泰
フジテレビ解説委員

最新経済データ独自分析 2015年の景気を読み解く
秋元キャスター
「今週政府は来年度予算案を閣議決定。最新の経済見通しを示しました。2014年度の実質GDP成長率はマイナス0.5%。2015年度は1.5%の成長率に向けて、様々な経済政策を進めていくという方針ですけれど、まずはこの成長率が妥当な見通しなのかどうか?」
宅森氏
「2014年度については妥当だと思います。2015年度については、ちょっと慎重に置いているかなと思っています」
反町キャスター
「もっと上振れしていいのではないかということですか?」
宅森氏
「上振れる可能性はあると思っています。
反町キャスター
「それはどういう根拠というか、見通しというと」
宅森氏
「経済の好循環が始まるからですね」
反町キャスター
「1.5%というのは、そういう意味で最低このぐらいはいくだろうというそんな気持ちで見ていますか?」
宅森氏
「最低ではないですけれど、昨日発表されたESPフォーキャスト調査で、低い方の8人の平均が1.25%です。高い方の8人が2.26%。平均が1.75%ですよ。私が見ているのは1.8%ぐらいで予測していますので、ちょっと1.5%というのは低い方に近いのかなと」
反町キャスター
「海外の投資家から見た時に、日本の経済は順調だなと安心して、投資できるなという数字ですか。それとも、うーんちょっと見た方がいいなとこんな感じなのですか?」
松野氏
「世界銀行の今回の話というのは、前回の6月から比べると、多少、下方修正になっていまして、その影響というのはデフレリスクがちょっとある。最近、原油安のせいでガソリン価格を中心に下がり気味ですので、そういった影響もあって実際に効果があることはあるんですけれども、それは来年度、2016年に出てくるという世界銀行の見通しだと思うものですから」
反町キャスター
「来年に何が出てくるのですか?」
松野氏
「原油価格が安くなってくる、経済的な効果というところですね」
反町キャスター
「それは日本に限らず?」
松野氏
「そうですね。世界銀行は来年出てくるだろうという見方があるんですね」
反町キャスター
「それは来年まで原油安が続くという前提なのですか?」
松野氏
「そこは確かにそういった前提にたぶんなるのだろうと思いますけれども、そのような見方のものですから、どちらかというと前倒しで出てくると思うんですけれども、比較的、現在、宅森さんが言ったようにちょっと控えめな見通しになっているのかなと思いますね」

2014年の景気失速とGDP
秋元キャスター
「マイナス成長とされている2014年度について中でも注目を集めていたのが消費税10%への判断材料とされました7-9月期のGDPだったのですが、あらためて、この数値を見ていきたいと思うのですが、民間エコノミストの事前予測を取りまとめたESPフォーキャスト調査の前期比で、0.62%、年率換算で2.47%など、増税後の反動減からプラスに持ち直すとの見通しが多くあったのですが、実際には1次速報でマイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%。さらに1か月後の2次速報でも、さらに下方修正されて、結果的には専門家の予測を覆す結果になりました。宅森さん、この数値のズレをどのように分析されていますか?」
宅森氏
「たとえば、予測が出ていますね。0.62%という数字を出した時に個人消費の基礎データで消費総合指数というのがあるのですが、0.7%伸びるだろうという数字が出ていたわけです、具体的に。ほとんど変わらない数字なのに今回ビックリしたことに、それが0.4%になっちゃったんです。だから、基礎統計が持っている数字自体がいろんな要素で、基礎調査の家計調査の見直しか何かで上振れ下振れになったということもあります。1-3月期のGDPが1.5%伸び、反動ですから、上がったものよりも大きく落ちていいわけで、マイナス1.8%ではなくて、もっと2とか、3とか、落ちてもおかしくなかった。そういうことですね。いったん落ち込むところです。それがストンといってしまった、落ちなかったのは民間在庫増加というものです。在庫投資といっているものですね。これを除いたものが最終需要ですから、逆にこれがプラス1.4%押し上げていなければ、マイナス3%台だったわけです。そうすれば当然、これは反動増でプラスになるんですよ。ところが、1.4%も伸びてしまった。これは異常値的な、非常に高い伸びですよね。よっぽど在庫の読みが外れて、在庫が積み上がってしまったということになってしまったわけですが、その当然反動が出ますから、マイナス0.6%。だから、この在庫の寄与度ですが、これはGDPの何%を在庫で動かしているかということですけれど、GDPのマイナスよりも、こちら(在庫)の寄与度が大きいわけです。だから、在庫を除くと一応プラスになっていたわけですよね。まだあるんですけれども、GDPの個人消費を出す時に何を使うかというと、様々なデータを使うんですね。供給サイドの数字と需要サイドの数字をあわせて使うんですけれども、需要サイドの代表的なものに家計調査というのがあります。これはサンプル調査ですので、1年前の人とまた別人の方がやっている調査になります。このサンプルがたまたま家計調査、どうも悪そうです。家計調査の中で勤労者世帯に関してはボーナスの統計もとっているのですが、賃金のいろいろ統計があるのですが、名目値で見て、マイナス2.9%という数字になります。一方、別の統計で毎月勤労統計というのがあります。ちょっと概念がマイナスのところと違うのですが、これはプラス7.3ですよ、7月分」
反町キャスター
「これは行って来いで10ポイントぐらい違うのではないですか?」
宅森氏
「違うんです」
反町キャスター
「どういうこと?同じ調査をしているわけではない?」
宅森氏
「違うんです。だから、家計調査のサンプルが弱い。要するに、ボーナスが皆、プラスだと言われていたのに、ボーナスが3%落ちている。6月分の数字も低いんですね。6か月間だけ家計調査の対象になって、6分の1ずつ入れ替わりますから、どうもこの6月、7月あたりのボーナス時期のサンプルが弱い可能性があるんです。そうすると、結構、この影響が当然、所得が低いという前提では消費も低くなりますよね。ですので、弱い数字が入っている可能性もあるんです。だから、反動増にならなかった。消費がマイナス5.1%も落ちたあと、0.4しか伸びていないというのは、本当にそうなのかというところがあるので、これはあとで、統計を今度コモディティフローというやり方でしっかり見直すんですね。今年の12月あたり、それがどうなっているかと最終的に確認できると思います」
反町キャスター
「消費税を上げるか、上げないかで、最大の物差しとされたGDPの数字が実は結構、信じられないものなのかという、そういう話になっちゃう」
宅森氏
「統計というのはあくまでも幅を持って見ないといけないものです。普通だったら平均的なところが出るのですが、どうも今回不幸なことに調査した対象自体ボーナスが世間のニュースだと増えているという話が多かった。平均的にマイナス3%になっている」
反町キャスター
「総務省のサンプリングに偏りがあったって、そんな話なのですか?」
宅森氏
「サンプリングというか、たまたま答えてくれた方がなってしまったということだと思いますね」
反町キャスター
「信憑性と言ったら変ですけれども、どう感じていますか?」
永濱氏
「日本のGDPの信憑性は高くないと思います。要は、何でGDPの予測をエコノミストが外したかというと、要は、100%推量の仕方が開示されていなくて、まさに在庫のところで外すんですね。ブラックボックスのところね。だいたい在庫がぶれる時が、GDPの予測が外れるんですけれども、だいたいこういう時にGDPの予測というのは結構近い形で出てくるのが、実は鉱工業生産を見ていただいて、結局、要は、生産、そのまま製造業ですけれど、見ているので、結果的にエコノミストの予測が外れた時、鉱工業生産の前期比値が近い数字が出ているんですね。実際、グラフをご覧いただいても、そうなのですが、GDPの前期比、年率のデータと鉱工業生産の前期比をグラフで書くと結構動きが近いですね。GDPの方がギラギラしているんですけど、実は7-9月のところをご覧いただきたいのですが、鉱工業生産も7-9月期は前期比でマイナスだったんです。と言うことは、生産が相当調整されているなということが結果論ですけれど、わかっていたわけで。中途半端と言いますか、8割ぐらい、需要側のGDPの推計方法が結構出ていますから、多くのエコノミストはそれをちゃんと再現しようとするわけではないですか。たとえば、昔のリーマンショックのあととかも、大きな落ち込みというのは鉱工業生産が先に示していたと思うので、確かにGDPだけを見ると危険なのですけれども、今回の判断は結果的に鉱工業生産はマイナスだったですし、景気ウオッチャー調査も悪化していたということからすると、私は妥当だったと思います。さらに、先行きを見れば、鉱工業生産が、要は、GDPの成長率に結構、連動するということからすると、生産側の今年の1月までの生産計画が出ているんですね。その数字が若干、下方修正される可能性が高いんですけれども、仮にその通りにいって、2月以降は生産が横ばいでいったと仮定すると、こんな点線になるということは、10-12月期以降は結構経済成長率が大きくプラスになる可能性が高いのではないかなと、ここから見られるわけですね」
反町キャスター
「それだったら消費税を上げても良かったのではないかという話になりませんか?」
永濱氏
「いや、でも、結局、今回の消費税増税を仮にやってしまうと、今回、消費税を上げなければ、私はもう少しアベノミクスの恩恵を一般国民が享受できたと思うんですね。それを、仮にそこでまた消費税を上げちゃうとなると、おそらく今年の景気は良いと思うんですけれど、また、そこで10月に消費税を上げちゃうとなると、結局アベノミクス自体は経済のパイを拡大させるという意味では、理にかなった政策をやっているんですけれど、それがせっかく良い恩恵を受けるところで、また、消費税で恩恵が乏しくなっちゃうと、国民的にそもそもアベノミクス大丈夫なの?というリスクがあったと思うので、結果的にプライマリーバランスの半減は達成できそうな感じで、私は良かったのではないのかなと思います」

2015年の世界経済は
秋元キャスター
「昨年後半から今年にかけての日本経済の状況をどう分析されていますか。景気は持ち直しているのですか?」
松野氏
「現在のお話は、消費増税の反動というのが色濃く出ているということで、結局、さらに増税するという話は先送りになったんですけれど、この半年ぐらいで何かマーケット的に大きく変わったかと申しますと、為替が105円ぐらいから一時120円を超えるような下降で円安になったということと、それから、あと原油価格です。でも、アメリカの代表的な原油価格のWTIは100ドルを超える場面から現在50ドルを割り込むみたいな、ほぼ半値以下まで落ち込んだということで、ただ、この円安によって企業業績そのものは結構上振れだと思われていますけれども、一方で、消費のところは、輸入品の値段が上がっていますので、所得の方で、消費増税ほどはまだ上がっていないようですから、そのへんの影響がある。多少消費のところが足を引っ張っているということはあるんですけれども、ただ、この原油安の効果がおそらく今年あたりから、たぶん日本経済において良い影響が出てくる可能性が高いと思いますので、一方で、原油安というのは物価を下げるわけですよね。ですので、せっかくある程度、円安になって、輸入物価が上がってきて、ある程度、体温が上がってきて、物価が上がり基調だったものもあるんですけれど、原油安のおかげで。日米欧の物価の状況を示しましたけれども、足元で日本の物価が上がっているのは、消費増税の影響ですので、比較的経済が弱めの日本、ヨーロッパは下がってきていますよね。割と強めのアメリカでも、普通に経済が強ければ、物価が上がるはずなのですが、横ばいにしているということで、原油安の影響で物価こそ上がらない、下がっている状況があるんですけれど、ただ、経済的には比較的こういった日本、アメリカ、ヨーロッパという先進国の中は経済的にエネルギーをいっぱい使うものですから、その恩恵はこれから出てくるのかなと思います。経済的に日本は円安のおかげで輸入物価が上がっていまして、特に天然ガスもいっぱい輸入して、値段も輸入価格すら上がっていたわけですけれども、今回のこの原油安のおかげでだいぶ天然ガスも原油価格連動型の価格設定になっていますから、日本経済には良い影響が出てくると思いますね」
反町キャスター
「ただ、円安になって輸出しましょうと話になったとしても、原油安によって、それまでの産油国が元気を失って、購買力がどうこうという心配はないのですか?」
松野氏
「産油国が経済圏としてそんなに大きいかという話ですよね。懸念されているのはロシアですとか、あるいは中東、あとは南米のところですとか、一部ありますけれども、こういったことを考えますと、経済圏としてはそれほど大きくないということです。ただ、ロシアとヨーロッパはつながりが深いと。あるいは中国とつながりが深いので、いよいよヨーロッパ、中国の方に波及して日本にまでということは考えられなくもないです。そこはちょっと注意して見ておきたいと思うのですが、経済圏的にアメリカもヨーロッパも日本も割と大きいところがエネルギーを輸入しているところですから、そういった意味では、原油安というのは世界レベルで見れば悪くない話だと思います」
秋元キャスター
「永濱さんは、この原油安が今後の日本経済にどのような影響を与えると考えていますか?」
永濱氏
「一言で言うと、相当プラスの効果が出てくるのではないかと思います。確かに、マーケットに不穏な動きがあると思いますけれども、これだけ原油(価格)が下がっているわけですから、相当プラスになると。実際に日本からの、いわゆる所得の海外流出というデータが、公益損失というデータがあるのですが、それと円建ての原油価格は、非常に連動性が高いです。仮に足元の為替と原油価格が横ばいで推移したと仮定すると、今年の所得の海外流出は13兆円ぐらい抑えられるんですね、おそらく。それから、若干、原油価格が下げ止まって上がっていくと思うので、それを加味しても10兆円ぐらい所得の海外流出が抑えられると思います。どれだけのプラスの効果があるかというと、たぶん2015年度の名目GDPを2%ぐらい押し上げるインパクトがあるので、私は2015年度の名目成長率は3%成長も見えるのではないのかなと思います。さらに、家計の影響で見てもトータルで考えれば、結論から言うと1.5%ぐらいの消費減税やったと同じぐらいの効果が出てくると思いますので、相当プラスになると思います。原油を輸入している国の方が経済規模もでかいんですね。特に、日本からの輸出で見ると、半分以上がアジア向けの輸出であって、アジアは相当原油を輸入していますから、これが相当プラスに効いてくるということからすると、足元の輸出というのは、実質ベースで見ていきますと、ずっと円安でも輸出が増えていないと言われてきたんだけれど、実は昨年の9月ぐらいから増加傾向になっているんですね。これはアジア向けが増えているんですけれど、アジア経済が良くなって増えて、アジアからアメリカ向けに輸出が増えているので、要は、アメリカ経済が良くなってきているだけです。これが今年になるとアジアの経済が原油安でプラスになってくる。もう1つ、足元で円安が結構続いているので、製造業の国内回帰的な動きが出てきていると思いますが、このへんもプラスに効いてくると思いますので、原油安は輸出にも結構効くのかなということからすると、私は原油安というのは日本経済にとって神風になるのではないかなと」
反町キャスター
「はっきり言っちゃうと、原油の価格次第によって、日本経済はどうにでもなるよという話にも聞こえるのですが、これが1番大きな要因になりますか?」
永濱氏
「今年の経済のプラス原因は、原油安だと思います。アベノミクスよりも原油安の方が大きいと思います」
反町キャスター
「安倍政権が日本の経済成長を本当に考えるのであれば、今回、中東に行きますよね。これはテロのこともあるのだけれども、エネルギーの供給に関しての話もするかと。意外とこちらの方が成長戦略の意味があるみたいな感じになっていきますか?」
永濱氏
「だから、エネルギーの価格の安定も、成長戦略の中にエネルギー戦略も入っているわけですから、それを考えると、成長戦略の中でもエネルギー戦略というのが今後のアベノミクスを考えるうえで、非常に重要な位置づけを担ってくるのかなと思います」
反町キャスター
「エネルギー全体のことでいうと、今日この時間でゆっくりやるつもりはないのですが、原発の再稼働の話もあります。原油安と同じように、原発もある意味、新基準をクリアしたものが次々再稼働していくことが同様な効果を日本にもたらすと見ていいですか?」
永濱氏
「単純な、短期的なコストだけを見たら、そうなのですが、逆に言うと、先ほど申し上げた所得の海外流出が10兆円ぐらいに抑えられているということは、言うなれば、現在の発電の比率を9割ぐらい原発でやるのと同じぐらいのインパクトがあるので、逆に言うと、原発はあまり動かさなくても…」
反町キャスター
「原油安が再稼働の必要性をもしかしたら抑えるかもしれないと?」
永濱氏
「もちろん、再稼働すれば、もっと安くなるかもしれませんけれど、逆に言うと、原発再稼働よりも、原油が下がったことが大きなプラスの効果があるとなっちゃいますね」
秋元キャスター
「先週、日銀が発表したレポートで、昨年行われた意識調査ですけれど、現在の景気を1年前に比べるとどう感じますかというという問いに対しまして、6月に調査した時は、良くなったというのが13.5%いたんですけれども、9月、12月と調査が進むにつれて、答えがどんどん減っているんですね。一方で、景気が悪くなったという答えは、23.5%から31.5%、33.8%と増加する傾向にありますね。景気回復を実感できない人が増えているという結果ですけれども、宅森さんはこの変化をどのように見ていますか?」
宅森氏
「実は、日銀のこのレポートの質問のあとにどんな理由でというのがあるんですよ。これを6月調査と今回の12月調査と比べてみると、回答の割合として、『マスコミ報道』が2.9ポイント増えました。次に、『景気関連指標』がプラス1.9ポイント増えました。逆に落ちたものというと、『勤め先や店の経営状況』、これが0.7ポイント下がりました。それから、『自分や家族の収入』が2.7ポイント下がりました。つまり、GDPが悪いからだとか、マスコミで流れてくるので、よっぽど悪いんだろうと思ったんですね」
反町キャスター
「GDP、GDPと、毎日やったものだから、それが刷り込まれてという、そういう意味ですか?」
宅森氏
「そうだと思います」
反町キャスター
「結果、マイナス2.9ポイント増えたというのはメディアが悪いと言っているんだから、悪いんだろうなという話ですよね?」
宅森氏
「うん」
大山解説委員
「たとえば、名目の実額で見ると、2008年2月にリーマンショックがあったころは、GDPの総額は付加価値470ぐらいだったのが、ずっと右肩上がりできて、増えてきているわけですね。今年あたり500くらいにいくかいかないか。そういうのもちゃんと伝えなければいけないなと私も思います。今日の前半の話を聞いていても思います」
反町キャスター
「変な話ですけれども、たとえば、GDPというか、景況感、GDPの数字ではなくて、景況感におけるメディアの役割というのは、どう感じていますか?」
宅森氏
「いろいろ局面によって違うと思うんですけれども、今回みたいに消費税の引き上げを決める、決めないの判断は非常に重要な問題ですよね。その時に使う経済統計で、あまり統計のことがわからない人は、今回は過剰反応したのかなと思いますよね。だって、これまで十何年も経っている歴史の中でないんですもの、そんなこと」
反町キャスター
「景気の動向で今年の見通しを聞きたいんですけれども」
宅森氏
「1月のデータでマインドを示すものとして初詣の参拝者数ですね。日本で1番初詣、お正月三が日の初詣客が多いのは、明治神宮ですけれども、あそこは原宿に近いので、遊びに行くついでに参拝する人もいると思うんです。成田山新勝寺の場合は、成田空港から海外旅行のついでに行くというのはなかなかできないですね。だから、あくまでも初詣が目的で行くわけです。かつてバブルが弾けました。そこで1996年に向けてずっと増えていくんですよ。苦しい時の神頼みですね。もうバブルが弾けてどうなるか、非常に不安だということで、そういう普段お参りに行かないような人も参拝されたんでしょうね、315万人。ただ、これは1997年になって、消費税引き上げとか何かがあって、それまでにちょっと良くなりましたから、消費税引き上げの影響が出るまでにいったんちょっと下がったりしたわけですよ。それから、今度、景気が、いざなぎ景気がありましたよね。あれがちょうど2002年からですけれども、このあたりになってくるので、このあたりを底にしてずっと行かなくなる、初詣に」
反町キャスター
「景気が良くなると初詣しない?」
宅森氏
「はい。行かなくたっていいや、遊びに行ってしまえと、景気ももう大丈夫そうだということで、息の長い、戦後最長の景気拡張でしたから、少なかったのかもしれないですね。姉歯事件だとか、リーマンショックだとかがあると結構高めで、そのあたりからずっと高い数字が続くんですけれども、これはどうも若い人の間でパワースポットか何かが人気になりましたね。成田山もそうだと思うんですけれども、ずっとコンスタントに多かった。それにちょとここのところの変化ですけれども、今年は308万人です。315万人以来の高水準」
反町キャスター
「景気が悪いのですか?」
宅森氏
「だから、不安心理だと思います。非常に不透明感が出てきて、GDPは直近までの数字を見る限り、2期連続マイナス成長。今度エコノミストの言うことだから、次プラスと言ったけれど、どうせ違うのではないかと思っちゃうと、これは初詣に行った方がいいかなという人がちょっと増えたのかなと思っています」
反町キャスター
「人々の心の中にはまだ不透明感があるということですね」
宅森氏
「そういうことですね」

2015経済データ分析 世界経済の行方とリスク
秋元キャスター
「アメリカ経済の先行きについて、不安材料とか、注目されていることは?」
松野氏
「まず全体として、IMFのデータそのものが2014年10月であるということですね。おそらく今月の20日には1月の見通しが出てきますので、間もなくこれは古い数字になっちゃうんですけれども、日本は先ほど2014年が0.9で、2015年が0.8といった格好、ちょっと弱くなる見通しですが、消費増税先送りの判断の前に出てきた数字ですし、どうしてもこんな数字になっちゃいます。また、原油価格についても下がり始めたとは言え、まだバレル80ドルぐらいの数字の時に、現在は40ドル台ですけれども、80ドル台の時のデータなものですから、多少ここから大きく変わるかと思いますが、ご質問のあったアメリカの経済そのもので、問題があるかどうかということになると、金融マーケット的にはアメリカの金融政策そのものが今後どうなっていくのかと、これが最大の焦点になります」
反町キャスター
「金融政策は今後どのようになっていくか?見通しや影響、分析は?」
松野氏
「一応、アメリカ経済そのものが良くて、金融緩和をどんどん縮小してきまして、10月でやめて、いよいよ今度は利上げと。そのタイミングは、おそらく今年の半ばぐらいだろうと言われていますけれども、ただ、もしも問題があったらというところなのですが、このフリップを見ていただくと、どうでしょう、このオレンジ色の数字のところが、FRBが出しているお金の量ですけれども、山が3つあって、3回に分けて、お金を出しましたが、やめたところですが、これはアメリカのニューヨークダウですが、金融緩和をやめたあとにもたつく。ここでももたついていまして、今回も、たとえば、一昨年の5月に前のFRB議長ですけれど、その方がそろそろ金融緩和を縮小していこうかなと言った瞬間に、マーケットそのものが萎縮して、急にリスク回避の動きがでちゃったと。昨年は始めるよと言って、リスク回避があって、終わるよと言って、またリスク回避があるということで、アメリカの金融政策の一挙手一投足で金融マーケットを見ながら、警戒しているのですが、今回は縮小の話ではなくて、いよいよ利上げの話になってきますので、それがどのようにマーケットに影響が出てくるかというところですけれども、これはスムーズに上げられるのかどうかということですが、実際にこういった格好で金融緩和をやめて経済的に問題が出たケースが過去何度もあった。今回は原油安があるものですから、これはアメリカ経済にとって特にエネルギーセクションにとって非常に厳しい話ではあるのですが、ガソリン価格の値下がりによって、アメリカの消費全体、アメリカのGDPの7割ぐらいは個人消費ですから、ここに非常に良い影響を与えるということはこういった格好で金融を引き締めの方向に向かっても、すぐはアメリカの経済は悪くならない可能性が高いのではなかろうかと。となるとスムーズに金利を上げていって、うまく経済をコントロールできる可能性がありますので、そういった意味ではアメリカ経済的には今後しっかりとした動向が続くのではなかろうかと考えています」
秋元キャスター
「足を引っ張りそうな国は?心配な国は?」
松野氏
「産油国ももちろん、そうなのですが、先進国、割と経済圏が大きいところではユーロ圏が問題なのかなと思いますね。原油安の前からデフレの方向に向かって走っているということで、緊縮財政の問題が出てくると。足元は追加で金融緩和をしなければいけないのではないか。緩和は当たり前で、どのくらいやるかというのが、マーケットが一生懸命予測している最中ですね」

アベノミクスと景気回復
反町キャスター
「安倍総理は関西テレビでこのような発言をしています。『上がっていく物価以上に賃金が上がるように物価に追いつくようにしたい。だいたい2年間で追いつくようにしていきたい』と。賃金は今年どうなりそうですか?」
永濱氏
「少なくともこれまでは、賃金も上がってるんですけれども、それ以上に物価が上がっちゃったってことですよね。実際グラフでも見ていくとわかりやすいと思うのですが、1人あたり賃金で言えば、この棒グラフは1人あたり賃金です。これに対して、物価は青いグラフですね。なので、賃金は上がっている3月から前年比でプラスになっていて、そもそもこれ自体もすごいことなのですが、それ以上に物価は上がっています。この物価上昇の最大の要因というのは消費税率の引き上げですね。実は消費税率の引き上げを除くと物価上昇率は赤い数字なわけですね。確かに1人あたり賃金も重要ですけれど、マクロ経済的により重要なのはいわゆる総賃金ですよね。要は、昨年はどういうことが起こっていたかと言うと雇用者数は2年間で100万人以上増えましたと。一方で、非正規労働者が優先的に増えたわけではないですか。たとえば、1つの家庭で説明すれば、これまでは旦那さんが1人で、片働きで月収50万円でした。そこに奥さんが働き始めて月収10万でした、となると、お父さんだけ働いている時は、1人あたり賃金は50万円です。奥さんも働いたら総賃金は60万円になるわけではないですか、良いことではないのですか。1人あたりの賃金でやると、平均されちゃうから30万円になるわけです。そういう圧力がかかっている中でこれだけ1人あたり賃金が増えているわけですから、これだけでもすごいことですが、また、消費税を上げちゃったから、こうなっちゃったと。今年はどうなるのですかと言うと、結論からすると、私は実質賃金が今年はプラスになる可能性が高いのではないかと」
反町キャスター
「物価上昇率を超える?」
永濱氏
「超えると思います。それはなぜかというと、まず消費増税の影響というのは、今年3月のデータまでしか乗っていませんから、4月以降は前年比で見ると消費税を上げたあと2%分がなくなるわけですね。さらに言うと消費税を除く物価も伸びが鈍化していますが、これは原油安の影響も出てくると思うのですが、恐らくここまで原油が下がると場合によっては可能性が高いと思うんですけれど、今年の前半中に消費者物価のインフレ率がマイナスになる可能性があると思っているんですね」
反町キャスター
「それは良いことですか?」
永濱氏
「日銀的には良くないかもしれませんけれど、実態経済で考えれば、要は、原油が下がってマイナスになるわけですから、必ずしも悪いことではないと思っているんですね。そういった意味では、消費者物価のインフレ率というのは、私は食料、エネルギーを除いたやつで見た方がいいのではないかと思うんですけれども、いずれにしても、物価はマイナスになる可能性があると。一方で、鍵を握るのが今年の春闘ですね。ただ、現在のところのいわゆる組合の要求とか、あと経団連の回答を見てみると、とりあえず昨年よりはさらに賃上げ率が高まる期待があるかと言うことからすると、今年は実質賃金がプラスになるのではないかなと。それは実際プラスになるのは4月以降なので、たぶんそのへんから個人消費が本格的に回復するのではないかと思うんですけれども、ここは大いに期待していいのではないかと思います」
大山解説委員
「今年は昨年の後半から安倍政権は地方の創生と女性の活躍。女性の活躍はちょっと置いといて、地方は今日話していろいろマクロのデータとか、見通しを話していただいた中で、今後どういう展開になるかとか、そういうのはマクロを見ている永濱さん的に思うことがありますか?」
永濱氏
「とりあえず地方はエネルギーの消費の割合が高いので、原油が下がっているのはむしろ都市部より地方の方が、恩恵が大きいので、これは若干地方にはプラスに効いてくるとは思いますね。もう1つは、アベノミクスは非常に大きな効果だと思うのが、製造業の国内回帰的な動きが出始めそうになってきているではないですか。一方で、地方の方に生産拠点とかを出したりする税制優遇みたいな話も出ていますね。それがどこまで効果があるかはわかりませんけれども、仮にそういったものを使って国内回帰してくる製造業、メーカーが、地方に拠点を出していくことになれば、これは地方経済に結構プラスになるのかなということを思いますね」

日本経済のリスク検証
反町キャスター
「リスク因子は何ですか?」
永濱氏
「原油価格が戻ってしまうのが最大のリスクだと思います。もう1つは、アベノミクスの方向性自体がパイの拡大にありますので、これが本当に進むのか。特に成長戦略ですね。これが6月に出てくると思うのですが、昨年の成長戦略がそれなりにマーケットに評価されましたので、さらにということからすると、個人的には正社員の解雇ルールの明確化とか、このへんが海外事例を調査するとなったのですが、それがどこまでいくのかとか。TPPとか。成長戦略に含まれる賃上げ要請とかも成長戦略のメインに入っていますから。このへんがどこまで進むか。そういった意味で、賃上げが期待外れで進まなかったら全部崩れちゃうということですよね」

宅森昭吉 三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの提言:『決定、実行』
宅森氏
「まずこの春に賃金を上げることを企業の経営者の方に徹底していただき、それを実行していただきたいですね。まず所定内給与がしっかり1%ぐらい上がって、あと所定外とボーナスで2%ぐらい上がれば、2%の物価目標が達成でき、実質賃金がプラスになりますからね。それが大事。それから、もう1つは地方版の総合戦略を全部つくることになっていますので、これをただ適当につくるのではなくて、いろんな人の意見を聞いて決定してほしい。それを価値のある形で実行してほしいと思います」

松野利彦 SMBCフレンド証券チーフストラテジストの提言:『円安+原油安 その効果』
松野氏
「昨年は円安がそんなに、経済成長率や増税の影響もありましたけれど、そんなに少ないマイナスでカバーできたのは、円安のおかげで企業業績もかなり良くて、株価もそんなに上がってというのがあったと思いますが、おそらく来年は円安ももちろん、そうですし、さらに原油安が乗っかってきまして、日本の経済的には非常にありがたい効果が株価にも表れますし、経済的にも表れますし、原油安のあと日本は個人消費の部分で相当持ち上げる話になりますから、円安のせいでちょっと萎縮した国内の消費もかなりカバーできると。一方で、円安でカバーできたのはインバウンドという外国人法人客のおかげで国内消費が増えたものもあったのですが、原油安のおかげで減るわけではありませんから、そういう意味ではダブルの効果が昨年よりもあって、高い成長が今年は見込めると。おそらくその効果が経済的に出てくる可能性が高いというところが、景気のポイントだと思います」

永濱利廣 第一生命経済研究所主席エコノミスト:『実質賃金』
永濱氏
「今年の注目点で言うと、日銀の審議委員が3月と6月に変わるんです。どんな方がなるかというのが注目で、この前のサプライズ緩和でも、5対4でギリギリだったではないですか。次の3月任期の方が賛成された方です。次はどんな方が選ばれるのかということです。その後の金融緩和があるかないかは別として、いざとなった時に積極的な金融緩和ができる状況になっているのかでマーケットの期待にも働くと思うので、言うなればアベノミクスの1本目の矢は、アベノミクスの象徴みたいなものですから、そこでいかに黒田総裁のご意向にあったような考え方を持っている方が選ばれるかどうか。これは結構マーケットに影響を及ぼすのではないかと思います」