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2015年1月13日(火)
“介護難民”どう救う 報酬引き下げの影響は

ゲスト

鴨下一郎
自由民主党社会保障制度に関する特命委員会委員長代理
衆議院議員
高橋進
日本総合研究所理事長
服部万里子
立教大学コミュニティ福祉学部非常勤講師

変わる介護保険制度 制度の現状と財政構造
秋元キャスター
「当初、保険料は全国平均で月2911円だったんですけれども、3年ごとに見直しがされていきまして、現在は4972円。そして、来年度からは5550円になります。一方、給付費は3.6兆円だったものが、毎年増え続けていて、2014年度は予算で10兆円にまで膨らんでいるんです。鴨下さん、そもそもこの介護保険制度はどういう経緯でできたものでしょうか?」
鴨下議員
「まずは、家庭内で介護をしていたというご家族が、やっていたというのが、これまでだったわけですけれども、それだと、たとえば、子供の世代の人達が本当に疲労困憊してしまう。だから、家庭内介護から社会皆で支えあう制度にしましょうよというのが、そもそもの始まりです。もう1つは、医療の中にも、医療が必要でない、むしろケアが必要な人達もたくさんいましたので、そういう人達は病院ではなくて介護施設のようなものに入っていただいて、介護を中心にというサービスを提供できる。この2つの点から、介護保険制度というのが2000年から始まったんです」
秋元キャスター
「スタートから15年経った現在のこの制度をどのように見ていますか?」
服部氏
「40歳以上から死ぬまで保険料を取り続けるという、しかも、取りはぐれがないように、先に天引きしてしまっている。そういう年金からも健康保険に上乗せするということも含めて、そういう取りはぐれのないシステムをつくったというのがまず1つ。それから、医療費が上がっていったわけですよね、当然ね。この医療費が上がる理由は、高齢者の入院が占める率が増えていると。なかなか退院できないということで、医療費をどう削減するかというところに、新たな財源に医療費を付け替えるという、そういうことも大きな目的としてあったんだろうと私は思います。現在、これだけ増えていると言っているんですけれども、増えているのも事実ですけれども、想定内だと思います。この人数のように増えるというのは最初からわかっていることで、急に何か、突然変異で人数が増えたわけではないし、1人あたりの利用する限度を決めていますので、その中の平均としても6割ということですし、それがとんでもない、突然変異で増えるわけではないと、私は想定内だと思っています」
秋元キャスター
「介護保険の財源構成を見ていきたいと思うんですけれども、国や地方自治体から出る公費が5割。40歳以上から払う保険料、これがまた5割となっています。第1号被保険者。こちらは65歳以上の人。そして第2号被保険者、こちらは40歳から64歳の人です。要介護と認定され、サービスを受ける時の自己負担というのは1割です。ただし、8月からは年収280万円以上の方は2割負担ということになるということです。高橋さん、この現在の制度で、介護保険は持続できるのでしょうか?」
高橋氏
「私はもたないと思いますね。主として財政という観点ですけれども、先ほど、介護保険制度の給付の伸び、費用の伸びは、想定の範囲内とおっしゃいましたけれども、たとえば、高齢化が進む、あるいは高齢者の中の高年齢化が進むということは全部計算に入れてやっても、それを上まわる伸びになっているんですね。それから、今度、歳入の方ですけれども、ずっとデフレが続いていたということもあって賃金が伸びない。そういう中でなかなか保険料が取りづらくなっている、負担が大きくなっている。保険料がもし取れなければ、税金でということになるわけですが、今回もそうですけれども、とめどなく消費税を上げることができるのかと。一説には、2015年に、団塊の世代の方が後期高齢者になる。そこまで含めて財源を確保しようとしたら、消費税を30%以上に上げなくてはという試算もあるので、そういう意味で、社会保障の支出は、医療も含めて、ワニの口の上顎がすごく上を向いてしまっている。それに対して、そのワニの下顎の歳入の方はあまり伸びていないと。今、一所懸命に下顎を上げようとしているわけですけれども、大きく開いている上顎を下げるということをしないと拡散してしまうんですね。ですから、私は、歳出の方と歳入の両方でもって改革をしないと、医療と介護、年金もですけれども、社会保障そのものが持続可能ではない。持続可能ではないということは財政がもたないということですし、それをもたそうとして無理に増税すれば、今度は経済に跳ね返ってしまうということで、いずれにせよ、私は改革が必要ではないかと思います」

介護報酬引き下げの影響
秋元キャスター
「今年の4月から介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬について、政府が全体で2.27%引き下げるということを決定しました。事業者への報酬をマイナス4.48%。一方で、人件費に関する報酬をプラスの1.65%。良好なサービスを提供する事業者への加算0・56%プラスとしまして、全体でマイナスの2.27%になっているのですが」
反町キャスター
「個別に見ていくと、事業者に対してはマイナス4.48%だと。人件費はプラスの1.65%だと。良好なサービスを提供する事業者への加算。つまり、良い仕事をやっているところにはボーナスをつけるよという、こういう話ですよね」
鴨下議員
「そうですね」
反町キャスター
「マイナスとプラスがあるではないですか。事業者に対し、老人ホームなら老人ホームの経営する側に対してはマイナス査定で、そこで働いている人に対してはプラス査定ですよ。これはどう見たらいいのですか?」
鴨下議員
「これは事業者でも濃淡がありまして、地方ではランニングコストが低いものですから、余剰金が少し出る。都会は逆にギリギリでやっているので赤字体質。こういうことで、たぶん介護保険制度の報酬を受けていても、事業者によっても濃淡があるんだと思います。そういう意味で言うと、人件費の高いところは、一所懸命がんばってくれれば、特別に人件費だけに対しては報酬をプラスアルファする。しかし、トータルで、全体的に、日本中を考えると、儲かっているところも一部あるかもわからないので、少し企業努力をしていただきましょうと。こういうようなことで増減があると思います。それから、実際に施設で働いている人は月収で二十数万で働いて、一般企業で働いているよりも相当給料が安いですよね。だから、その分だけ少しでも加算して、少しでも働きがいのあるようにというようなことで、特別に人件費だけに特化してプラス会計をした」
反町キャスター
「非常に荒っぽい言い方をすると、たとえば、特養がどうか別しても、有料老人ホームを見ると、経営する側は儲かっているのだけども、そこはあまりにも儲け過ぎで、一方、働いている人の給料が低く過ぎるという、そこの部分の問題だと。そういう理解でよろしいのですか?」
鴨下議員
「いや、有料老人ホームは、これは保険の中でやっていませんから、特別養護老人ホーム。こういう中にはずっと長くやっていると、たとえば、施設の更新とか、何かのために貯金しないといけないところもありますので、だから、多少そういうふうにお金を持っているところもあるけれども、一般的に言えば、そんなに皆が儲かって、安心して経営をしているところはないです」
反町キャスター
「儲かっていないなら、4.48%も減らす必要ないのではないですか。儲け過ぎている人達がいるからマイナスにしているのではないのですか?」
鴨下議員
「いやいや、そんなことじゃないんです。より効率的に、より適正化しないと、結果的に保険料を上げざるを得ないという、現役世代に対して着目して、今回の改正は行われた。だから、事業者とか、社会福祉法人にとって見たら、すごくつらいところですが、でも、ここは全体のトータルで言うと、税金と保険料で成り立っているシステムですから、その中で支え手側の気持ちも考えてもらわないといけないと。これが今回の改正の大きな哲学です」
秋元キャスター
「服部さんは、今回の引き下げをどのように見ていますか?」
服部氏
「結局どこにしわ寄せがくるかというと、結果的に、人件費にしわ寄せがきて、先ほどお話があったように、介護の人件費は日本の一般の人件費が比べると、月に10万円ぐらい低いという、このことが15年間でつくられてしまったということですよ。だから、結果的に介護に人が集まらない。施設をつくっても、そのオープンすらできないという、こういう現状があるんですね。それがこれで解決をされるかというと、今回、1万2000円アップですよね。10万円差があるのに1万2000円のアップでそちらに行くかというと、想いがあって介護の仕事に就いているので、人のために仕事をしたいということでくると思うんです。だけれども、子供ができたり、学費がかかったりするようになったら、現実的には、それではやっていかれないという板挟みになることが変わらないのではないかと、私は思います」
反町キャスター
「事業者報酬を下げて、人件費を上げるという、行ってこいのメリットのように見えるのは機能しないのですか?別の視点、事業者報酬を減らすということは、不当に儲けている事業者がいるのではないかと僕らは思いますが、それは正しいですか?正しくないのですか?」
服部氏
「結果としては、私は正しくないと思います。なぜかというと、国が、厚生労働省が経営実態調査というのを発表しているわけですね。ずっとマイナスすれすれのところの事業者もある。施設は、耐震装置をつけるとか、建て替えをするとか、または火災に対応をするということで、大規模修繕をやらなければいけないので、そういうのをやっていかなければいけない。どの業界もそうですけれども、皆一律ではないです、そういう意味ではね。だから、利益が上がっているところもないとは思いません。ただ、公定価格で決められている以上、お金が上がらなければ、払いたくても払えないという、特に小規模な事業者ですよね。ある程度、スケールメリットで払えないところとか、大規模展開ができないところとか、経営的に言えば、そういうところの方が苦しくなる。介護保険では、地域の人が来るので、あまり遠くから普通は来ないので、そうすると、地域で育ってきた小さな事業者がたぶん淘汰されざるを得ないというようなことも出てくると。サービスが得られなくなる。結果として利用者に反映するのではないかと。私は、今回の報酬改定は利用者も追いつめるのではないかと思っています」
反町キャスター
「結果的に、たとえば、特別養護老人ホームの効率化、大規模化が進むかもしれない。そういう意味ですか?」
服部氏
「それは、国はそうしようとしていると思いますね」
反町キャスター
「僕もそういうふうにしていくから、こういうふうにやるのだろうと。ドライブをかけているようには見えるのですが、そういうことになるわけですね」
服部氏
「それも一事業所、一店舗みたいな、そういうものを変えようと思っているし、もっと先だったもの、何とかホールディングスをつくって医療も看護も介護も全部そこで大規模でやって、スケールメリットと効率化というものも考えていると思います」
高橋氏
「財務省の説明を鵜呑みにするわけではないですけれど、でも、たとえば、特養は減価償却の部分は支出ということで計上をしているんです。そのうえで収支差があって、それがついているところがあるので、これを削ったからといって、設備投資ができないという話ではないと。あるいは収支差というのは、企業で言えば、収益ですよね。たとえば、通常介護だと、財務省の説明だと10%あるようなところもあると言っている。それに対し、一般の日本の中小企業の収益率は2%、1%とかですよ。それに比べたら、ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、経営努力を本当にされているのでしょうか。もしそれだけの経営努力をされているのであれば、それは人件費にまわしてほしいなと思うわけです。だから、私は、そこにまわらないのであれば、人件費に関する報酬をカットして、その分、先ほど、鴨下さんがおっしゃった、私達の負担が増えないようにするというのが、一理あるかなと。ちょっと経営努力が足りないというところが、先生に怒られるかもしれないですけれども、財務省はそう説明していますよね」
反町キャスター
「そういう意味でいうと、大規模化、効率化というのは、服部さんは、選択肢を狭めることで良くないという主旨で発言しているんですけれど、ある意味、効率性とか、大規模化というものを、これは農業と同じような話になっちゃうんですけれども、全体のコストを下げて、社会全体の負担を小さくするためにはこれは避けられないというのが、今回の引き下げのコンセプトと思ってよろしいですか?」
高橋氏
「いや、それだけではないと思います。と言うのは、地域差がいろいろあるので、小規模でもちゃんと痒いところに手が届くサービスをするのであれば、それは良い。たとえば、こういう良好なサービスの中に、そういうサービスを提供しているところについては加算をしましょうということがあって然るべきではないのかなと思います。それから、多様な選択肢と言いますけれど、全部公的保険でカバーをしたら、そのサービスはすごく水膨れしているんです。だから、保険でカバーするべきものはどこまでなのか。それから、誰がどこまで負担すべきなのかということについてはもう少し考え直していく必要があるのではないのかなと思います」
反町キャスター
「事業者報酬を下げておきながら、人件費に対する報酬を上げるという。だったら、事業者報酬に対して、その減らす分を少し塩梅して、二元、ダブルトラックでいくのではなくて、事業者報酬に対しての少額の引き下げに収めて、それで賃金を払いなさいみたいな、それをやらないということは事業者がきちんと賃金を払うか、払わないか、担保できないから、捉えきれないから。そういうことですよね?」
鴨下議員
「そういうようなこともある。ただ、地域差がありますから、たとえば、地方の人件費と東京の人件費だとそもそも違いますが、だから、そういうようなことでいうと、一律で事業者にこれだけ差し上げますというと、東京とか、そういうようなところの施設にとって見ると給料までまわらないということになる。そういうようなことで、逆に言うと、地方のところは求人しやすいけれど、都市部は手薄になってしまうというようなことがあるので、苦肉の策というか、ダブルトラックというのは、そういう意味ですね」
反町キャスター
「そうすると、これを見てもらった方がいいかもしれない。介護関係、福祉の求人倍率は、全国平均で2.51。東京が4.41。大分県1.3。現在、全国で1.12とか、そんなぐらいですよね。一番低いところ、大分県でも全国平均の、あらゆる職種から見てもすごく高い。東京は4.4倍という空前の人手不足。これだけの状況があるにもかかわらず、何で平均賃金よりも10万円も低いのかと。なぜ普通、人手が足りない、アルバイトの賃金も、時給1000円突破するところがごろごろ出ているではないですか。人手が足りなければ、普通、賃金は上がりますよ。人手がこれだけ足りないのに、どうして賃金が上がらないのですか?」
鴨下議員
「それは1番重要なのは介護報酬そのものが、それなりに制限されているから、だから、結果的に企業努力しても人件費に配分できる量というのは自ずと決まっていますので、なかなか本来は、たとえば、経営者の方だってもっと給料を上げて、優秀な人材をたくさん採りたいということがあっても、現実には十分な資金が診療報酬ではなく、介護報酬としてまわっていないということがあるんですけれど、でも、他方でそれをふんだんに、施設に報酬をつけていくという話は、最終的に現役世代の人達の負担が増えるということに直結していますから。特に、介護はある地域の中で、施設が増えて、サービス量が増えれば、その分だけ保険料が上がるというようなメカニズムで制度が設計されていますので、だから、たとえば、特別養護老人ホームをたくさん増やしましょう。そして、その人達にできるだけニーズに合ったようにサービスを十分にしましょうというと、自動的に介護保険料が上がっていく。だって、それしかしようがないですから」
反町キャスター
「高橋さん、これはどうですか。なぜ市場メカニズムが、介護労働者に働かない。現在の鴨下さんの説明で、それに尽きるのですか?」
高橋氏
「はい。社会保険という仕組みの中で介護報酬という財源に限りがあるわけなので、十分な給料が払えない。もし世間並に払うとすれば、私は、介護というサービス分野そのものを公的なもので稼ぐ部分と、それ以外の分野でサービスを受けて、利用者からも貰う部分と2つに分けて、あるいは両方合わせて、たとえば、30万円を超えるとか、そういう形にしていかないと公的保険、社会保険の中でやっている限り、私は人件費の上げ方に限界があると思うんです」
服部氏
「高橋さんのおっしゃったようにやると、結果としては…」
反町キャスター
「混合診療みたいなイメージですよね」
服部氏
「混合診療というのは最初から介護保険はそうですけれども、なぜ介護保険制度というものをつくったかというと、これはお金がそれほどない人でも必要なサービスを受けられるようにしましょうとしているわけですから、現在お金のある人は有料老人ホームに入ることだっていくらでもできるわけですよね。でも、基本的なサービスでもっと自費を増やしてやればいいですよとなった時には、ある意味保険制度が崩壊するかもしれない」
高橋氏
「そこは基本的なサービス。それから、それを払える人。そこは介護保険というシステムを絶対守らなければいけないわけですよ。だから、公的な保険でここまでは提供しますというところをきちんと決めておく。それから、負担能力のない人には、たとえば、逆に、政府から補助金を出すなりして埋めてあげる。それでカバーすべき分野というのはしっかり守っていく。でも、それの外の部分についてはおっしゃるように、たくさん収入がある人は有料でいいでしょうし、あるいはほとんどの方がそこまでいかないのであれば、たとえば、付加的なサービス自体はある程度自分で負担します。だけど、最低限は守ってくださいねと」
反町キャスター
「きちんとしたマンパワー、人材を、介護の現場で確保するためには、現在の状況では確保できないと見てよろしいのですか?」
服部氏
「そうですね。生活できない人が現実にあるということの中で、生活できない。
反町キャスター
「と言うことは、賃金をある程度確保するためには、先ほど、高橋さんが言われたみたいに、ある程度、混ぜ込んでたくさん払ってもらう人もいて、国の負担もあって、それである程度、給料を増やすという。その方法はダメですか?」
服部氏
「いや、私も一定の所得の人に負担をしてもらう。たとえば、今回2割負担とか、それが280万円ぐらいが妥当かどうかは別にして、本当に高額なのかというのは別として、でも、やむを得ないと私は思っています、そのことに関しては。ただ、それ以上にどこにお金がまわっているかというと、在宅と施設を見ると、施設は4倍かかっているんですよ、1日あたりの単価が。医療でも外来と入院だと3倍違うんですけれども、それは当然ですよ。24時間やるところと、たとえば、1日2時間でヘルパーさんが入ったり、6時間だけデイサービスを使ったりするのと、月に、たとえば、5日間だけショートスティに行くのと、24時間ケアするところというのは当然単価が違うのは当たり前ですよね。だから、逆に言えば、もっと在宅で暮らせるようにするということをすれば、トータルの単価は大幅に下がると私は思っています」
鴨下議員
「介護がフルスペックで必要な人と、それから、そこそこ元気だけれど、いざと言う時にはちょっと、そういう見守りというか、こういうことをしてもらいたいという、こういう人達にとって見ると、たとえば、サービス付高齢者住宅、賃貸住宅みたいなものを1つの選択肢、メニューとしてはあっていいと思います。ただ、本当に介護度が3とか、4になってしまったら、そういう人達にとってみると、そこで十分に生活できない可能性がありますから、そういう人達には、たとえば、老健施設だとか、それから、特別養護老人ホームだとか、そういうところに入れるように柔軟に考えていった方がよくて、こちらがいっぱいだから、サービス付高齢者住宅をやりましたとか、そういうこととは違うという」
反町キャスター
「国は養護老人ホームを増設しようとは思っていないですか?」
鴨下議員
「都会部はまだニーズが非常に高くて、困っている人が多いので、一生懸命、現在やろうとしているし、たとえば、舛添知事も東京都の空き地を利用して特別養護老人ホームをもう少し整備しましょうと。現実にそれは進み始めていますと」
服部氏
「だから、トータルの施設は減らしていますよね。いわゆる特別養護老人ホームと、老人保健施設と、療養型医療施設と3つあるんですけれど、療養型医療施設はいずれ廃止という方向になりますから」
鴨下議員
「いや、そんなことはないですよ。そんなことはない。療養病床も現在、民主党政権の時にグレーだったんだけれども、もう少しこのまま存続しましょうと」
反町キャスター
「療養病床というのは特別養護老人ホームというよりも軽度の方になりますか?」
鴨下議員
「もうちょっと病院に近い」
反町キャスター
「病院的な治療をするところ?」
鴨下議員
「医療がもう少し必要な方。そういうような人達には、介護療養病床というのと、医療療養病床。給付するというのは介護保険で給付するのと、医療保険で給付するのと、その1番始まりは老人病院みたいな、そういうようなところの人達の病院が、経営の方向を介護に行くか、医療に行くのかというので、慢性の高齢者の人達を見る。そういうのが療養病床ですけれども、そういうところを全部一時止めて老健施設に移行しましょうみたいな話があったんですけれども、ちょうど医療と介護のグレーなところに、それなりに必要な人達がたくさんいるねという話で、現在それをもう1度維持しようという方向で見直そうと、現在議論そのものが始まったところです」

現場への影響は
秋元キャスター
「要介護1、2向けの訪問介護などを介護保険から外し、3年かけて市町村事業に移管となっていますが、どのように受け止めていますか?」
服部氏
「まず人数ですけれども、介護保険の対象者ってだいたい500万人弱ですけれど、その中で、要支援でサービスを利用されている方がだいたい21%です。その中で訪問介護ないしはデイサービス、両方どちらかを使っている方というのは実は要支援の85%です。だから、外すには2つですけれど、対象の人数からすると要支援でサービスを利用されている方の85%が移行するということですね。だから、そういう意味では量が決して少ないものではないということが1つ。それから、要支援1と要支援2というのはすごく違うんです。要支援2というのはもともと要介護の1で認定された方を、介護保険法を変えて、要支援2にしたので、ある意味で介護が必要な人。たとえば、病院に1人で行けないとか、1人でお風呂に入れないとか、そういう介護が必要な人がいるので、そこを合わせちゃっていいのかというのが1つあります。人数的には、要支援1の方が多いのですが、サービスを利用している割合からすると要支援2の方が多いです。ですから、1人1人の介護ニーズというのを見とかないと、市町村のボランティアさんとか、そのサービスに変えるということで本当に賄えるかどうかということが1つ。それに伴って介護保険の保険料も使うと思うんですけれども、その人の負担がどのぐらいなのか。これは市町村格差が大きく出ると思うんですよ、現在は全国一律になっていますけれども、市町村によってなかったり、あったり、単価が多かったり、少なかったりとか。一番多いのはサービスをつくることができないということの方が大きいと思うんです。マンパワーの問題と、当然単価を下げるわけですよね、単価を下げてまで働く人がもっといるかということもあるんですね」
反町キャスター
「現在よりさらに賃金が安くなるかもしれない?」
服部氏
「そういうことです。なぜかと言うとそうでなければ離す意味がないので。私は地域で支えるシステムというのは必要だと思います。ボランティアさんが必要だと、私も思っていますし、もっと介護に関しては、ちゃんと地域の中で支えるシステムが大切だと思うんですけれども、1人1人の、特に要支援2の方のニーズに対して対応できるかどうかということは市町村が非常にきめ細かく見ていかないと、結果として外れて悪化した結果になってしまったら元も子もないなと思っています」
反町キャスター
「どういう弊害が起きると想定していますか?弊害は起きない?」
鴨下議員
「高齢者の中でもお元気な方は、自分は人の役に立ちたいというので、週に1度か2度は、そういう要支援の人達のサポートにまわりたいという人達もたくさんおいでになるので、そういう人達のマンパワーも利用させてくださいと。そうでないと先ほどから言っているように全部公費で賄うというのには限界がありますから、もう1度家庭内介護から社会的介護に変えましたけれども、社会の中で支え合うと言っても、国からいきなり、エンドユーザーにというだけではなく、むしろ地域の中でのいろんな創意工夫、それから支え合いというものも加味しながら。その代わりに最低限のサービスは国がちゃんと保証するのは当たり前ですから、そういうことを見ながらいろいろとそれぞれの地域に応じた形をつくってもらいましょうというのが、今回の市町村に…。国が全部サービスを手厚くやれればいいんですけれど、財源もあるし、サービスの限界もありますから、できるだけきめ細かく工夫してもらうのには市町村単位にしておいた方がいいのではないのかというようなことです」
高橋氏
「現在私達は世代間の負担、給付の不公平についてよく語っていますよね。高齢者に手厚すぎる、現役の負担が重すぎると言っていますけれども、一方で、高齢者の世代内の助け合い、あるいは再配分という観点が必要なのではないか。と言うのは、高齢者になればなるほど実は資産格差と所得格差が大きいんですね。人生に成功したか、失敗したかですごく格差が大きいわけです。そうすると、資産をたくさんもっておられる方、収入の多い方にはそれなりの負担をしていただいて、その部分を同じ高齢世代の低所得の方、あるいは資産のない方にまわしていく。すなわち世代の中で再配分をするという考え方も必要だと思うんですよ。世代間も必要だけれど、世代内の再配分という考え方に立つと、たとえば、特養もそうだし、それから、食費、部屋代についてもある程度資産なり、収入なりが多い方については我慢していただこうとか。私は極めて合理的な発想だと思います」
鴨下議員
「ある程度これは税金と現役世代と高齢者の保険料で成り立っている財源ですから、サービスを受ける権利はもちろん、皆さんにあるけれど、その中で負担能力のある人にはそれなりに負担していただかないと、全部税金と保険料でオールカバーしようと思ったって、これから高齢者がどんどん増えていく。このトレンドの中では制度そのものが維持できなくなる。こういうことだと思います」

介護と社会と家族
秋元キャスター
「地域包括ケアシステムとはどういうものなのですか?」
鴨下議員
「もともとは医療の中に介護も入っていたわけですけれども、15年前に医療と介護を切り分けたんです。介護の必要な人は介護保険。医療の必要な人は医療保険ということになっていたんですけれども、縦割りになると、医療と介護は、別々に1人の高齢者の方にいくというのは不効率なので、医療と介護の連携をもう1度とりましょうという話がそもそもの始まりです。実際には、たとえば、往診も必要なこともあるし、看護士さんに来てもらわないといけないという訪問看護。それから、介護の人が行く場合、あるいは家事援助のようなものでヘルパーさんが行く場合、こういうようなことをトータルで、あるサービスを受けられる高齢者の人に提供する時に、できれば在宅で、お家でそういうサービスが総合的にいけば1番いいわけでありますし、ただ、それも場合によると、独り身で住んでいて不安だから施設に入りたいという場合には介護の方が出て行って、施設に入る。あるいは具合が悪くなって入院するという時もあるかもしれない。そういうのを総合的に在宅を中心にサービスを、その人のベストミックスとして提供できる体制をつくろうよという話で地域包括ケアというようなことの概念を、かつての3党合意の時から議論をしてプログラム法の中で地域包括ケアのシステムをつくりましょうという話を国民会議で議論をしていただいて、現在に至っている。一言で言うと、患者さん、あるいはクライアント中心主義でやっていきましょうということです」
服部氏
「2つ違うと思うんです。1つは、住まいは自宅ではないです、これで言っているのは。自宅ないしケア付き住宅というのは国の表現で住まいというテーマを今回地域包括ケアの中に入れてるんですけれども、在宅が無理であればということで高齢者住宅が前面に…そのために1室100万円も国がお金を出して15万室とかつくっているわけですから。医療というのは昨年、医療報酬というのが変わって日本に現在107万ぐらいベッドがあるのですが、それを4つの機能に分けて、全ての機能に在宅復帰率というのが導入されたんですね。たとえば、高度医療だったら75%、老人の慢性期だったら50%在宅復帰をしなければ、そのお金がとれないとしたんですね。ということで医療ニーズが高い高齢者の方がどんどんこれから戻されてくるという新しい事実があるんです。これは昨年から」
反町キャスター
「本人の選択ではない?」
服部氏
「そうですね。現在言っているのは入院です。入院の患者さん。たとえば、精神疾患の人でも戻すということで在宅のニーズに入れなさいみたいな具体的なことも言っているわけです」
鴨下議員
「医療も、たとえば、癌の末期の方でも最期はお家で終わりたいということもあるので。医療がいかないことでそういうことが実現しないのは良くないから。できれば自宅に戻りたいという人には、自宅に戻ってからもいろいろとサービスを受けられるようにしましょうという話ですから、何もかも全部病院でということではなくて、むしろ本人の希望でそういうふうにいこうという人については、そうしたい。あるいは医療全体も、これは厚労省の言っていることだけれど、トータルの在院日数が他のOECD諸国に比べると非常に高い。だから、そういう意味で言うと、できるだけお家に戻って、自分もお家に戻った方が住みやすい。でも、その時にちょっと医療がきてくれないと困る、介護がきてくれないと困る。こういうことを包括的にやっていきましょうという話ですから」
高橋氏
「先ほど鴨下先生がおっしゃった利用者本意、患者本意だと思うんですね。医療と介護が分かれていると、病院では患者としてしか見ないんです。その人を継続的に診てくれないわけですね。ところが、高齢者になれば、要介護でも何か急性の病気になったりしたら、病院に行くわけですけれども、その時に、病気になった時だけ医者が診てくれて、点で見るのではなくて、その人がずっとどういう状況なのか、あるいはどうすれば重症化しないのかということまで含め、介護と医療を切れ目なく見てくれることが必要なわけで、そういう意味で、たとえば、在宅であれば24時間誰かが診てくれる、それは病院もあれば、訪問介護もあれば、介護もあるだろうし、あるいはNPOが入ってくれるかもしれないと。仕組みはいろいろだと思いますが、切れ目なく見てあげられるようにするのが1つ。もう1つは、ちょっと極端な例で申し上げますけど、ドイツは在宅で看取りをするケースが結構あるんです。だから、病院だけが死に場所ではないと。むしろ重症化しても、その分、亡くなる方もいらっしゃるわけで、そういう意味では、いろんなケースがあるということだと思うので、選択肢はいろいろあっていいのだろうと思います」
反町キャスター
「それが結果的に医療費の削減につながるという話になる?」
高橋氏
「そうですね」

鴨下一郎 自由民主党社会保障制度に関する特命委員会委員長代理の提言:『自助・共助・公助』
鴨下議員
「それぞれ制度というのは、全部が税金で賄えるわけではありませんし、保険だけで全部できるわけでもありません。それから、自分の努力というのも限りがあります。だから、この3つも上手に組み合わせて、最終的には現役世代に過重な負担をかけない。さらには、それぞれ自分もがんばる。がんばれない時にはお互いに助け合うと。いよいよダメな時は国が出ていく。こういうようなことで、3つの助け合いをお互いに組み合わせるということしかないのだろうと思います」

高橋進 日本総合研究所理事長の提言:『民間の力を引き出す』
高橋氏
「医療、介護は、実は成長分野だと言われて久しいわけですけれども、この分野を具体的に成長させるというのにはまだ絵がないと思うんですね。そういう意味で、医療とか、介護というのは核になる部分は公的な部分でカバーしないといけないけれど、それを超える部分については民間がもっと積極的にサービスを提供していいのではないかと。それを払える方はそこを使っていく。そうやって公的分野の外側に医療介護の成長分野をつくっていくべきではないのかなと。似たような発想というのは、実は公共事業だとか、官と民の役割分担みたいに使える議論ではないのかなと。そういうことをやっていかないと財政支出がとめどなく増えてしまうと思います」

服部万里子 立教大学コミュニティ福祉学部非常勤講師の提言:『より長く在宅で介護ができるように』
服部氏
「より長く在宅で介護が必要になっても暮し続けるようにするとトータルの介護報酬は減ると考えています。国の調査によると、介護が必要になった時にどこで介護を受けたいかというのでは75%が自宅でと言っているんです。ところが、現状でサービスとのミスマッチがあって家族が負担に耐えられなくて家族がダメだと言ったら残念ながら在宅ができないという現実があります。もっと在宅の介護サービスの充実が必要だと私は思っています。国は言うけれども、現実にはそうなっていないということで、そのために大切なのは、介護を専門職としてきちんとした給料を払って、まともな仕事として育成をしていくということ。特にそれに関わるケアマネージャー。国の調査では15年間居宅介護支援事業所というケアマネージャーの事業所は赤字であるというデータを出しているんですよね。15年間も赤字でまともな仕事をさせること自体に無理があると思うので、ケアマネージメントに関してもきちんとした報酬で赤字ではなく、ちゃんと経営ができるようにすべきだと思います。そうすることによってより長く在宅で暮すことができれば、ケアマネージャーと在宅のサービスの充実、そうすればトータルの介護給付は減る。もちろん、施設も大切です。だけれども、本来は在宅でできる人が結果的にサービスのミスマッチで、在宅でできなくなってしまっている。お金がある人は有料老人ホームに入れるけれども、入れない人はそれこそ貧困ビジネスとか、また介護難民化していることに対して解決していかなければいけないと私は思っています」