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2014年12月23日(火)
解散権“乱用”なのか 選挙制度は限界なのか

ゲスト

細田博之
自由民主党幹事長代行 衆議院議員
小堀眞裕
立命館大学法学部教授

戦後最低の投票率 選挙に対する国民の本音
秋元キャスター
「今回の総選挙、まず投票率は戦後最低を更新しました。これまで戦後最低といわれて問題となった2012年の59.32%を、今回、6.66ポイントも下回る52.66%と国民の2人に1人は棄権という選挙になりました」
小堀教授
「やはり自民党と公明党が強いということはほとんどの国民がわかっていて、対抗する政党が育っていないということもわかっていると。ですから、多かれ少なかれ、下手をすると、もっと自民党、公明党が勝ってしまうだろう。そういう結果が見えていたので、投票に行こうと思わなかったというのが最大のポイントではないかと思います」
反町キャスター
「アベノミクスが1年半、2年動いてきて、でも、僕ら番組で何回もやりましたけれど、実質賃金が上がっていない。インフレ上昇率に賃金の上昇率が追いついていない。決して皆がいいねと思っていない中で、それで与党が勝ってしまうということについては、何がどうなるとこうなるのですか。皆が幸せになっていないにもかかわらず、与党が勝ってしまう。この結果をどう見るのかというのは」
小堀教授
「結局、選挙というのは、候補者の名前を書くか、政党の名前を書くしかないわけですね。いろんな、たとえば、6割支持して4割支持をしていないということであっても、名前を書いてしまえば、支持票になると。それで集計されて、選挙の結果になると。ですから、国民の持っている情報とか、想いというのは、非常に多様なものなのだけれども、その一部分だけが選挙で表されているわけであって、多様性を全部表しているわけではないんです。たとえば、我々でもそうですけれども、お前もこう言ったじゃないかと、あとで言われても、自分は四分六の気持ちで選んだのであって、俺はこう思っていたんだというのが、あとになって出てくることはありますよね。お前はこう言ったじゃないかということだけでどんどん物事を進めていくと、すごく大きな反発が待っているというのが、我々の生活でもそうですし、政治の世界でも同じだと思います」
反町キャスター
「野党は今回、選挙協力まではいかないけれど、政策は別々でいいけど、反自民の候補者を共産党以外一本化したいと、候補者調整を行いました。そういう形が、どうも野党の勝利に結びついていない選挙区がほとんどだったのですが、野党の戦いぶり、これと低投票率。何か関係がありますか」
小堀教授
「世界的に見てもそうですけれど、日本の政党対立というのはよくわからない。有権者がよくわからない。我々もよくわからないという表現をするぐらいですから、有権者から見てわからないというのは無理もないことで、結果、反自民と言われても、消費税にも賛成しているでしょう、集団的自衛権も行使容認で賛成しているでしょうと。もっと言うと、その態度を明らかにさえしないと。ということになってくると、あなた達はどちらの方向を向いているのですかと。そういう人は支持できない。実際にやっているという意味では、自民党の方がまだ支持できるとか、そういうことは十分あり得る話だと思います」

日本政治のあるべき姿 首相の解散権
秋元キャスター
「今回の解散総選挙に関しては、大義なき解散という批判もありました。小堀さんは今回、安倍総理の解散をどのように見ていますか?」
小堀教授
「解散という制度は日本が外から輸入した考え方。議会そのものもそうですが。そういう点から言うと、ちょっとこの解散というのは…もともとの解散の考え方とかなり違うと思います」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
小堀教授
「もともと議会の解散というのは、イギリスの例もそうですけれども、他の国もそうですけれども、国王と議会が対立をして、それで国王が国民に信を問うてみようと。これで議会の解散という形になっていたわけですね。これがだんだん首相の方に権限が移っていって、首相と議会が対立した時に国民に信を問うてみようという形で解散をすると。それで、イギリスでも2011年になくなりましたけれども、それまではそういう考え方で、他の国も基本的にそういう考え方です。ですから、今回の場合、安倍総理と衆議院の構成というのは、衆議院で安倍総理の方針に反対をしているわけではない。ですから、対立は何もないと。にもかかわらず、解散をしたというのはちょっと解散という制度のそもそもの主旨には合致していない。ですから、逆に言うと2年前とほとんど同じ結果が出てきたというのは、非常に象徴的だと思いますね」
秋元キャスター
「解散権は何なのかということですけれども、憲法第69条にはこのように規定されているんですね。『内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決した時は、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない』と。つまり、内閣不信任案が決議された時に、衆議院が解散することができるということですね。しかし、内閣不信任案が可決されていない今回の解散は第7条を根拠にした解散ということになったんです。『天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う』と。その3番目に衆議院を解散することとあります。つまり、内閣の助言と承認を理由に天皇の国事行為の1つとして実施されるということになるんですね。いわゆる7条解散が初めて行われたのが、1952年の第3次吉田内閣の抜き打ち解散でした。この解散については憲法違反ではないかという議論も巻き起こったということです。小堀さん、内閣不信任案が出ていない解散がこれだけ繰り返されているというのをどのように見ていますか?」
小堀教授
「イギリスも2011年まではそういう形で解散をしていたんですけれど、2010年に連立政権になったと。これは保守党と自由民主党というイギリスの自由民主党ですが、連立政権で、たとえば、保守党の支持率が非常にグンと伸びていって、解散総選挙ということになると自由民主党はすぐ負けてしまうわけです。ですから、結局、協力してやったのに梯子を外されると。そうなっては困るというので、法案を通して解散というのは、不信任の時以外は止めましょうということになったんですね」
反町キャスター
「それは保守党の大多数も賛成せざるを得なかったのですか?」
小堀教授
「そうですね、賛成しないと連立が崩壊しますし、それから、野党の労働党も賛成をしていましたので、議会の中で、首相の解散権、これに何らかの形で制限を加えて、なくしてしまおうというところから、非常に多くの故意があったというのは間違いないと思います」
反町キャスター
「議会制度がイギリスから日本に輸入をしたという前提に立った時に、随分昔の話を現在もずっと見習うべきかどうかというのがあるのでしょうけれど、解散権をある意味制限したということについては、イギリスの例について習うべきかどうか?」
小堀教授
「もちろん、国の制度は、その国が決めるべきだと思うんですけれど、これは報道の中でもそうですし、ある種の学問の世界でもそうですけれども、そういう解散権の行使というものがどの程度行なわれていて、専権事項ということで誰もタッチしてこないというのが、自然なのか、普通であるのかと。こういうことの議論がされてこなかったと。それをしっかり見渡す必要があるし、またイギリスの場合もそうですけれども、実際にはアベノミクスで解散するということだったんだけれど、現在のうちに解散するとか、これ以上悪くなるばかりみたいな、そういう議論があって、解散するというケースは世界的に見ても、私自身、発見できないところですので、レアケースであるのは間違いないですね」

小選挙区制の是非
秋元キャスター
「さて、ここからは現在の選挙制度は、本当に日本に適しているのかについてです。日本の衆議院の選挙は小選挙区と比例代表に投票する、小選挙区比例代表並立制という選挙制度を取り入れています。その結果、今回の総選挙でも小選挙区では得票率と当選議員の比率に大きな差が出ました。選挙区にどれぐらい候補者を立てたかで、数字は大きく異なってくるんですけれども、小選挙区で、たとえば、自民党の得票率。これは48.1%に対して当選議員比率は75.6%と、当選比率が得票率を大きく上まわっている状態です。一方、野党ですけれど、たとえば、民主党が自民党の半分程度の得票率、22.51%に対して、当選議員比率は自民党の6分の1にも届かない12.9%になっています。このような現象がなぜ起こるのかと言いますと、小選挙区の場合は、当選者が1人のため、落選した候補者の票は全て死に票になってしまうということですね。これだけ見ますと小選挙区制というのは第1党だけに有利な選挙制度なのかなという印象を受けるんですけれども」
細田幹事長代行
「小選挙区というのは、最初に小沢(一郎)さんが言ったように、二大政党を目指さなければダメなんですよ。民主党の一部に、そういう人が残っているけれども、それがどうも日本的な現状から言うと、議論が分化していきますから。党を離れたりとか、独立したりとかする人が出てくるから、ますます大きな政党に有利になると。ただ、一概にそうかというと、そうではなくて、小沢さんが最初に目論んだように、大きな流れが変わると、あっという間に変わるわけですね。それは鳩山さんのマニフェスト選挙で、子ども手当を1人当たり31万円出しますとか、農業補助金を出しますとか、いろんなことが多くの人に受け入れられ、あっという間に多数の党になった。あの時は3分の2の多数を民主党が獲っているんですね。だから、振れる選挙。そういう構造になったわけですね。それは小沢さんの目論見が成功したとも言える。しかしながら、ここ2回は逆の芽が出ているということだから、私はそう悲観はしていないですね。大きく出るけれど、政権交代が可能であることは確かだ。ただ、各党の対応に未熟な面があると。だけど、これからは現在の野党が一緒にやろうという機運がだんだん高まって、結束をしてきて、二大政党化の方を向かうと」
反町キャスター
「向かっていますか?野党は。現在、二大政党に」
細田幹事長代行
「いや、これから向かうでしょう。現在のままではじり貧ですから」
小堀教授
「ただ、わかっていてもできないという雰囲気が、人間社会では多いことですので。他の野党に移れるのだったら、自民党に移っていくということもあり得るわけですね。そういうことが余程、進んで行かない限りは、そう簡単に2つになっていくのは難しいのではないか。2つになるというのは、かなり先としてはあるかもわかりませんが、ここ2、3年のところでというのはかなり難しいのではないかという気はしますけれどもね」
秋元キャスター
「海外の選挙制度が現在どのようになっているか、ちょっと見ますと、カナダとイギリスは小選挙区制ですけれども、その他のほとんどが比例代表制を採用しているのですが、これはどうして海外は比例代表制が多いのでしょうか?」
小堀教授
「1つの政党で非常に多数を獲る。過半数を跨ぐようなというのが、あまり多くなかったのもそうですし、非常に多様であるということでですね。結局、多様性が勝って、そういう形になっている。だた、イギリスはそうですけれど、2011年の国民投票では圧倒的に否決されたのですが、あの時、対案になったのは小選挙区制の別種みたいなもので、現在も逆にイギリスは非常にたくさん政党が出てきて、またずっとこの状態が続いていくと、そういうところで不満もまた出てきて将来的にはどうなるかわからないというところがあると思うんですね」

日本に適した選挙制度とは
反町キャスター
「どういう選挙制度が良いのですか?日本には」
小堀教授
「私は1つ日本の問題としてというか、日本は非常にそういう意味では珍しいんですけれども、言われたように、小選挙区制のために二大政党制にするんだと言って、やった国というのはちょっと記憶の限りにないですね。むしろイギリスにしてもそうですし、アメリカにしてもそうですけれども、二大政党なり、二大勢力の枠組みが、ある程度つくっていかれる中で、小選挙区制をやってきたという国がほとんどですね。ですから、1990年代の前半には自民党の政権が非常に続いているという、そういう問題意識があったにせよ、これを制度でもって変えていこうと言っても、結局、現在の日本のいろんな政党が出てくるのを見ていると、1980年代に新自由クラブが出てきたりですとか、日本新党が出てきたりですとか、その時代とほとんど変わっていない。だから、結局、制度によって日本の政治の本質というは簡単には変わっていないところがあるのかなと見ていますね」
反町キャスター
「細田さんはいかがですか?」
細田幹事長代行
「それはちょっと私の見解とは違うんですがね。と言うのは、そんな昔の話ではなくて、たった5年前に民主党という巨大政党が政権を獲って、3分の2の多数を獲ったわけですよ。小沢さんもいれば、菅(直人)さんもいれば、鳩山(由紀夫)さんもいるので。もともとはさきがけの人だったり、新生党の人だったりで、したわけでしょう。自民党だった人も多いけれども。民社党だった人だっているわけです。それが結束をして、5年前には3分の2の多数を獲ったわけですよ。そこでいったん実現しかかったんだけれども、党が未熟だったんですね。つまり、中の意見の差とか、それから、あまりにもいろんな不可能なことを公約にし過ぎたものだから、実際には消費税を上げなければならないという点において分解をしてしまった。だから、積み木がバラバラに崩れたものをもう1度積み直せば、より新しい形ができるのではないかというのが私の見解で。5年前に3分の2ができたことを、もう5年経ったら忘れてしまって。それを。5年ではないですね。2年前までそうだったんですよ。そうでしょう。2年前の12月に、巨大な政党、民主党が敗れたわけですから。それは、その前にだんだん消費税を巡って分裂をしていったりしましたけれども。だから、もうちょっと記憶をきっちり辿って、そこまで来たんだなということをまず定着させて、頭の中で。しかし、なぜ分解したのだろうか。分解したものは分解したままなのか。そうではなくて、現在の制度でまた寄ってきて、小沢さんが現在言っているように、もう一度この指止まれと言ったら、そうなっていくのかということが、現在の論点だと思うんですね」

巨大与党と国会運営
秋元キャスター
「来年の1月26日に通常国会が召集されます。この国会では2015年度の予算案の審議とともに、集団的自衛権の行使を限定的に可能にするための安全保障法制の議論などが行われる予定だということですけれど、ちょっと国会における与野党の割合ですけれど、得票率では与党は小選挙区、比例代表でともに過半数に達していないのですが、議席数では衆議院では3分の2以上を占めています。万が一、参議院で否決されても、衆議院で再可決することが可能な状態ということですけれども」
反町キャスター
「細田さん、野党の立場からすると、こういう議席の数になってしまうとまともに議論をするよりも強行採決をやらせたい。再可決をやらせたい。それが国会の運営を、野党が横暴だということを世間に知らしめることになると。そういう作戦をとることは十分考えられると思うんですけれど、逆に3分の2を獲ったことによって国会が荒れてしまう。野党の作戦がそちらの方に向いてしまう。そういうリスクを感じませんか?」
細田幹事長代行
「むしろ逆で、0増5減だけはやらないといけない判決が出てしまうから、3分の2を使いましたけれど、あとの法案は、衆議院が3分の2を超えていたとしてというのがいろいろあるけれども、一切、そういうことはしなかったですよね。それは参議院で否決されたものを、またオーバーライドしてやるということは議会制度上好ましくないと思ったから、無理をしていないわけですね」
反町キャスター
「それは野党側が、ある意味、どうしてもやるんだったら、3分の2を使えよということに対して、与党側がセーブしたという理解でよろしいのですか?」
細田幹事長代行
「それに野党の主張を入れて、相当修正していますよ、中身をね」

衆院の優越はどこまで
小堀教授
「日本の場合は、予算とか、条約、首班指名、いくつかの問題にだけ限定していると。しかも、財政に関しては予算だけと。現在の日本の予算の仕組みでいくと、赤字国債を発行しないとやっていけない。ですから、事実上、予算だけの衆議院の優越というのはあまり力にはなっていないわけですね。ただ、もともとの日本が学んだ制度の、他の国々、たとえば、イギリスで言うと、税制、赤字国債、もちろん、予算もそうですけれど、全て下院だけで、一院だけで決定できるという形になっている。フランスの場合、それに加えて社会保障法案。ですから、ある意味、イギリスも貴族院がいまだに結構、強い役割を果たしているんですけれども、はやく決めないといけないことと、じっくり議論をすることを分けているんですけれども、日本の場合は、それがちょっと制度的な問題もあって、分かれていないというのが1つ大きな問題点だとは私は思っています」
反町キャスター
「それは優越の範囲を広げるべきだという意味ですか?」
小堀教授
「そうですね。たとえば、先ほどお話がありましたけど、民主党政権がうまくいかなかった理由の1つに、参議院で過半数が割れると、途端に法案が成立しなくなってくると。こういうことはイギリスとフランスの場合で言うと非常に限られているわけです。ですから、よく民主党の政治家の人がイギリス型の二大政党制ということを言うのですが、イギリスの場合は下院にしか選挙がなくて、下院の選挙で勝利をすれば、5年間安定政権を維持できるんですね。日本の場合、根本的に制度が違いますので、逆に言うと、自民党は非常に、ナチュラルに自分達のやれることというのをわかっているんだ。たとえば、自民党と公明党が組めば、両方で多数を獲るということに非常に合理的にできているし、それを簡単には手放さないという。逆に、民主党政権は自分達が政権に入った時にもっと、たとえば、公明党に対してアプローチをするとか、なぜそういうことしなかったのかというのが非常に私は不思議なところですね」

議員定数削減の行方
秋元キャスター
「参議院定数削減の与党案ですが、比例定数を30削減し、150にすると。第1配分枠90、第2配分枠60としています」
細田幹事長代行
「どうやったら少数政党にたくさん配分できるだろうかということで、知恵を出したのがこの案で、公明党もなるほどそういうことならわかる、つまり、小選挙区の数をどんどん減らすと民主主義のルールとして今、45万人ほどに1人の小選挙区議席だけれど、それが50万人、60万人になって、民主主義の小選挙区議員の意見の反映というものが非常に広がってしまい過ぎる。だから、比例で現れた政党比に近づけていこうと。そのための内容が現在、書いたような案で自民公明の間では合意したんですね。これに基づいて、今回の選挙に従って試算しますと、比例定数を30削減するのは、丸々自民党が30減るんです。その他の党は+1、+2、?1、?2というのがありますけれども、共産党は増えますし、公明党も減らない。現在のいわば30減らしても自民党以外は減らないという中身がこの案ですね。だけど、幸いにしてと言うか、よくわからないところがあるのですが、野党は小選挙区を減らせという方向に凝り固まっていますからそこで合意ができない。野田さんが言っていた方向に、党首討論の方向で我々は結論を出しているんだけれども、それが向こうの方針が変わったために、格差だなんだということを加味して、0増5減ではダメだと。20減ぐらいしろという言い方になっているために、意見がまとまらないので、現在、第三者委員会にそれをお願いしている。こういうことですね」
反町キャスター
「与党提案、与党主導の選挙制度改革、定数削減というのは、小選挙区の削減に踏み込むのは無理なのかなと思うのですが、小選挙区を減らすべきか、比例定数を削減すべきか、どう感じますか?」
小堀教授
「私自身はそもそも別に国会議員の数を別に減らす必要はないと思っています。別に20減らしたからと言って、国家財政に対して寄与するわけでもなく、むしろ先ほどの小選挙区制の場合もそうですし、だいたいおっしゃる通りですけれども、有権者に迷惑がかかるんですね。ですから、もし国家財政に寄与したいとか、いわゆる流行の身を切るということなのであれば、別の候補、たとえば、交際費を減らすとか、いろいろなやり方があるわけですよね。むしろそういう選挙区をいじるということによって、たとえば、これは衆議院ではないですけれど、参議院で一県に1人の参議院議員が出せないというような問題ですとか、そういうようなことを有権者の方が不利益を被るみたいなことが起こってくるわけですよね。ですから、別に国会議員の数を減らさないといけないという議論に、別に私は立つ必要はないと思うんです」
反町キャスター
「消費税で国民に負担をお願いする前にやるべきことがあると。政治家自らが身を切るべきであるという議論が一部の政治家からありました。ポピュリズムだと思いますか?」
小堀教授
「ポピュリズムというのはいろいろ難しい議論ですが、大衆迎合であるというのは間違いないとは思います」
反町キャスター
「それが日本の政治をダメにしていると思いますか?」
小堀教授
「そう思いますね」
細田幹事長代行
「建前論で言えば、皆がそうだと言うから建前論を言っているというのが1つですね。社民党や共産党は絶対反対ですよ、定数削減は。それは民主主義に反するではないかと言うんです。それから、歳費や調査費を含めてたくさんもらっているというのは、実は本当ではなくて、普通の上場会社の中堅ぐらいの部長クラスの所得よりは低いんですね。身分は落選すれば秘書から何からクビになってしまって、失業するわけです。年金も国民年金です。そういう状態から言うと、当落のことも考えるとあまり貧乏にしてはいけないです。金のない人はなり手がなくなる。なろうと思ってもリスクが大きすぎるというのが実は問題で、国家公務員的な制度に戻した方がいいのではというのがあるけど、ポピュリズムで国会議員年金をやめちゃったんですよ。やめたということは国民年金並みだから、国民年金をもらっている人に失礼ではないかという議論も形式論であって、月に満額で6万円の国民年金で国会議員はやっていけばいいじゃないの、落ちたら失業だと。そういうことを総合的に加味すると、あまり貧乏にしてはいけないので、ある程度の所得を保証した方が国家のためになると」

選挙、国会…改革の必要性は
秋元キャスター
「2012年のデータですが、国会議員の1人あたりの歳費は年間2100万円ということで、ドイツやイギリスの倍以上となっています。身を切るなら歳費を減らすという方向は考えられないという考えですか?」
細田幹事長代行
「これ以上どれだけ減らせばそれで適当かという議論は…じゃあ落ちた時には八がけの給料を保障しましょうというと、たとえば、半分で良いではないかということになるかもしれないけど、でも、落ちた人に八がけの給料を保障することもできないでしょうしね。年金は国家公務員並みというと制度を改正しないといけないし、それから、アメリカはとりあえず国会議員として、こういうことになるんだけれども、大半は法律家であったり、専門家であったり、起業家であったりして、辞めると数千万から1億の所得に戻る人がいっぱいいるんです。だから、貯めているお金で、と言うか自分の豊かな家計の中で、ボランティア的に、少額をもらっていいよというように、仕組みができている。他の国もそういうことが非常にあるものですから、一概には言えないですね」

民主主義は選挙だけか?
秋元キャスター
「選挙だけが民意を政治に反映させるものではないとの考えがあるそうですが」
小堀教授
「選挙というのは、候補者の名前か政党の名前を書くという…それだけですので、どう思ってそれを書いたのか、みたいなことは書けないわけですよね。書けば無効票になるので絶対書いちゃいけないわけですよね。ですから、今回、自民党、公明党の政権が衆議院選挙で確認をされたと。しかし、それは国民が非常にいろんな意識を持っている中での一部なわけですよね。だから、集団的自衛権に関して怖いなと思っていても、たとえば、書いたら、これは一票であって、0.3とか、0.7とか、そういうカウントはされない。ですから、その他の部分というのは、これも日常的にいろいろな形で、デモもそうですし、陳情もそうですし、こういうマスコミでの議論でもそうですし、いろんな形で伝えていくということを平行して進めていかないと、実際選挙の時に何が争点になるのかということも、国民がいろいろと言っていかないと、そもそも争点化されないですので、黙っているとわかるはずがないですので、そういう点でも意見を言うというのは非常に大事だと思いますね」
反町キャスター
「具体的な手法としては、選挙以外にどういう…」
小堀教授
「そうですね。たとえば、国会前でデモがあるのは、自民党の議員の方は嫌うかもわかりませんけれども、同時に議員会館にもたくさん毎日陳情にいらっしゃる。その他、関係会議でまた会っていることもあるし、現在で言うとインターネットももちろん、そうですし、こういうマスコミでの議論もそうですし、それから、訴訟も実際一票の格差の問題をはじめとして、実際に影響を与えていく。ただ、これも誰かがしないと、黙っていると誰かが訴訟してくれるというわけではありませんので、いろんな経路でもって意見を伝えていくということをしないと、候補者の名前を書くことと、政党の名前を書くだけでは気持ちは伝わらない。そこは意義と限界を考えておいた方がいいのではないか」

日本政治のあるべき姿
反町キャスター
「選挙を考える時に、与党が厳しいことを言い出した時に、野党がいや、そうではなくて、我々には他の道がある、負担をお願いしなくても我々はこういうことができると言って、選挙で勝って与野党が逆転するケースが日本にもありました。そういうことがまた日本で起きる可能性があるのかどうか。そこはまさに国民の理解とか、政治側の説得力が問われると思うんですけれども、そこはどう感じますか?」
細田幹事長代行
「それを間違ったのは民主党で、それは本当に節約すれば16兆8000億円は出ると言ったのですが、1兆、2兆円は出ても、それ以上は出ないというのは構造的にわかっていたわけで、その嘘が大きかったために結局消費増税をしなければダメだということになって政権がひっくり返ったわけですから。地道にこの制度はこうあらためるべきだと。岡田さんでも、誰でも、それぞれ立派な考えを持っているのですから。年金制度についてはこう、医療制度についてはこう、子育てについてはどうということを、それぞれ出して、こちらの方にもっていけということを提言すべきですよね」

小堀眞裕 立命館大学法学部教授の提言:『トップ以外を大切に』
小堀教授
「先ほど議論しました小選挙区制はまさにトップしか通らないということですが、アベノミクスでも、それから、大学の現場でもそうですけれども、トップを育てよう、またトップを伸ばそうということを政策的にも感じるのですが、日本国民を皆成長させていく。そういう意味で言うと、トップだけどんどん成長していっても周りがついてこない。アベノミクスの課題もそうでしたけれども、トップ以外のところにたくさん投資をする。たとえば、私はイギリスが専門ですが、イギリスの場合は教育で一番貧困な層に投資する。こういうことが議論になって、先ほど言った選挙にアピールしないところもあったりするんですね。だから、そういうことが、日本全体を引き上げていくために必要なのではないかと思うわけです」
細田幹事長代行
「おっしゃる通りだと思います。女性の登用というのももちろん、役員に対する比率がどうだとか、国会議員に対する比率がどうだとかという議論も大事ですが、企業で地道に働いている女性の方々がちゃんとその努力が報われるようにとか、所得が上がるようにとかも含めて、もっと幅広く見たらどうかなと思います」